説明

目標物検出システム

【課題】撮影画像上の農林資源を検出することが可能な目標物検出システムを提供する。
【解決手段】画素ブロック抽出手段31が探索対象画像から画素ブロックを抽出し、平均値算出手段32は該画素ブロックに対して、画素ブロック内の画素値の平均値を算出する。総和値算出手段33は、画素ブロックの各画素値より平均値を減算した差分値に画素に対応する前記正負符号ブロック内の正負符号値を乗じた値の総和値を各正負符号ブロックに対応して複数個算出する。画素評価値算出手段34は、複数個の総和値を用いて所定の演算を行い、複数個の画素評価値を算出する。目標物領域特定手段35は、画素評価値ごとに設定された画素判定基準値範囲と、画素評価値とを比較し、全ての画素評価値が対応する画素判定基準値範囲に含まれる場合に、画素ブロック内の所定の画素を、目標物領域として特定し、探索結果出力手段36が特定された特定画素を所定態様で出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像中から目的とするパターンを検出するための技術に関し、特にパンクロマティック高精細衛星画像を対象として、撮影されている目標物を抽出するパターン検出技術に関する。
【背景技術】
【0002】
QuickBird(米国DigitalGlobe)、ALOS“だいち”(日本JAXA)、TERRA/ASTER(日本ERSDAC)など陸域観測・地球観測衛星は高度約450km上空で地球を極軌道で周回しており、高分解能な光学センサや合成開口レーダ(SAR)を搭載し、地上を連続的にスキャニングし、定時的に地球局に画像データを伝送している。主として3種類の画像が活用され、光学センサのマルチスペクトラル・モード(カラー写真)は、可視光のRGBバンドに近赤外を加えた4バンド構成で夜間も撮影でき、地上の資源探索や大規模災害などの状況を収集するのに有効である。SAR画像は電波によるレーダ画像で、雲がかかっていても透過するため、天候が悪いときでも画像を収集でき、ドップラー効果を用いて航行中の船舶を計測することもできる(特許文献1参照)。中でも、光学センサのパンクロマチック・モード(モノクロ写真)は地上の乗用車を識別できる1m弱(世界最高分解能QuickBird 0.6m)の分解能をもち、交通状況の監視などに有益である。交通状況の監視については、地上に設置された監視カメラやヘリコプター・航空機による航空写真の方が鮮明な画像が得られるが、広域を同時観測することが難しいのと、建築物などの陰に隠れた死角が必ず発生するという問題から、近年衛星画像が注目されている。
【0003】
また、目標物を航空機と船舶に特化したテンプレートマッチングによる検出方法(特許文献2参照)、テンプレートをあらかじめ準備し、画像データの先頭画素から順次スキャンしながらテンプレートと同サイズの画素ブロックを抽出し、テンプレートと照合する手法(特許文献3参照)なども提案されている。
【0004】
また、画像のテクスチャ解析機能として、テンプレートマッチングに類似した手法で、画素ブロック単位に複数の評価パラメータを算出し、評価パラメータの大小関係により金属、木材、布地などのテクスチャを識別する濃度共起行列を用いたものが提案されている(非特許文献1参照)。
【0005】
一方、出願人は、衛星画像等の探索対象とする画像から、目標物を高速、高精度で自動抽出することが可能な目標物検出システムを提案している(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3863014号
【特許文献2】特許第3978979号
【特許文献3】特開2001−67470号公報
【特許文献4】特願2008−141617号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】田村秀行編:「コンピュータ画像処理」,6.5テクスチャ解析、オーム社出版局,pp.214-224 (2002))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記非特許文献1の手法では、金属、木材、布地などの表面粒状パターンをマクロに撮影した画像データでないと適用できず、地上分解能0.6mという桁違いに粗い衛星画像には適用できないという問題がある。
【0009】
また、上記特許文献4の手法では、輸送機関に共通な金属質感をもつテクスチャ領域を抽出することを対象としているため、農林資源(田畑、森林など)の抽出には向いていないという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、画像上に撮影されている農林資源(田畑、森林など)を検出することが可能な目標物検出システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明第1の態様では、目標物が撮影された撮影画像から、目標物を検出するシステムであって、前記撮影画像から所定サイズの画素ブロックを順次抽出する画素ブロック抽出手段と、前記抽出された画素ブロックに対して、前記画素ブロックと同一サイズの正負符号ブロックを複数個定義し、前記画素ブロックの全ての画素値の平均値Iaveを算出する平均値算出手段と、前記画素ブロックの各画素値I(x,y)より前記平均値Iaveを減算した差分値に当該画素に対応する前記正負符号ブロック内の正負符号値M(x,y)を乗じた値の総和値を、前記各正負符号ブロックに対応して複数個算出する総和値算出手段と、前記複数個の総和値を用いて所定の演算を行い、複数個の画素評価値F1、F2、F4を算出する画素評価値算出手段と、前記画素評価値ごとに設定された画素判定基準値範囲と、前記画素評価値とを比較し、全ての画素評価値が対応する前記画素判定基準値範囲に含まれる場合に、前記画素ブロック内の所定の画素を、目標物領域として特定する目標物領域特定手段と、前記目標物領域特定手段により特定された特定画素を所定の態様で出力する探索結果出力手段を有する目標物検出システムを提供する。
【0012】
本発明第1の態様によれば、撮影画像から所定サイズの画素ブロックを定義するとともに、同一サイズの正負符号ブロックを複数個定義し、画素ブロックの全ての画素値の平均値Iaveを算出し、画素ブロックの各画素値I(x,y)から平均値Iaveを減算した差分値に各画素に対応する正負符号ブロック内の正負符号値M(x,y)を乗じた値の総和値を算出し、複数個の総和値を用いて、複数個の画素評価値F1、F2、F4を算出し、画素評価値が別途設定された画素判定基準値範囲に含まれる場合に、画素ブロック内の所定の画素を所定の態様で出力するようにしたので、画像上に撮影されている農林資源(田畑、森林など)を検出することが可能となる。
【0013】
また、本発明第2の態様では、本発明第1の態様において、前記画素評価値算出手段は、前記画素ブロックの各画素値I(x,y)より前記平均値Iaveを減算した差分値の二乗平均値を用いて算出される画素分散値を画素評価値の1つとして算出するものであることを特徴とする。
【0014】
本発明第2の態様によれば、画素ブロックの各画素値I(x,y)から平均値Iaveを減算した差分値の二乗平均値を用いて算出される画素分散値を画素評価値の1つとして算出するようにしたので、金属材質の人工物を認識し、農林資源等の自然物との識別をより高い精度で行なうことが可能となる。
【0015】
また、本発明第3の態様では、本発明第1または第2の態様において、前記総和値算出手段は、ある正負符号ブロックを用いて第1の総和値を算出するとともに、当該正負符号ブロックを90度回転させた正負符号ブロックを用いて第2の総和値を算出するものであり、前記画素評価値算出手段は、前記第1の総和値と前記第2の総和値の二乗平均値を画素評価値として算出するものであることを特徴とする。
【0016】
本発明第3の態様によれば、互いに90度回転させた正負符号ブロックを用いて複数の総和値を算出し、これら総和値の二乗平均値を画素評価値として算出するようにしたので、2方向を考慮した周波数成分を求めることができ、検出精度が高まる。
【0017】
また、本発明第4の態様では、本発明第1から第3のいずれかの態様において、前記総和値算出手段は、ある正負符号ブロックを用いて算出した総和値に加え、当該正負符号ブロックを水平方向または垂直方向に1画素ずつ最大m画素だけ、はみ出した画素を反対側に送りながら移動させた正負符号ブロックを用いてm個の総和値を算出し、計m+1個の総和値の中から絶対値が最大になる総和値を、前記正負符号ブロックに対応した総和値とするものであることを特徴とする。
【0018】
本発明第4の態様によれば、水平方向または垂直方向に1画素ずつ最大m画素だけ移動させた正負符号ブロックを利用して、画素評価値を算出するようにしたので、最適な位相で目標物の検出を行なうことができ、検出精度が高まる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、画像上に撮影されている農林資源(田畑、森林など)を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る目標物検出システムの構成図である。
【図2】第1次正負符号ブロックの一例を示す図である。
【図3】第1次正負符号ブロックの一例を示す図である。
【図4】第2次正負符号ブロックの一例を示す図である。
【図5】第4次正負符号ブロックの一例を示す図である。
【図6】探索対象画像とする衛星画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(1.システム構成)
まず、本発明に係る目標物検出システムの構成について説明する。図1は本発明に係る目標物検出システムの構成図である。図1において、10は探索対象画像記憶部、20は正負符号ブロック記憶部、30は目標物探索部、40は探索結果記憶部である。本発明に係る目標物検出システムは、自動車等の金属材質に加え、田畑、森林等の農林資源などの広範な目標物の検出に適したものである。
【0022】
探索対象画像記憶部10は、探索対象となる画像である探索対象画像を記憶したものである。本実施形態では、人工衛星により撮影された画像である衛星画像を探索対象画像として記憶している。正負符号ブロック記憶部20は、画素ブロックの判定に用いる正負符号ブロックを記憶したものである。目標物探索部30は、探索対象画像中から目標物を探索する処理を実行するものであり、画素ブロック抽出手段31、平均値算出手段32、総和値算出手段33、画素評価値算出手段34、目標物領域特定手段35、探索結果出力手段36を有している。探索結果記憶部40は、目標物探索部30により探索された結果を記憶するものである。図1に示した目標物検出システムは、現実には汎用のコンピュータに専用のプログラムを組み込むことにより実現される。また、各記憶部は、コンピュータに内蔵または接続されたハードディスク等の記憶装置で実現される。
【0023】
探索対象画像記憶部10に記憶された探索対象画像について説明する。探索対象画像は、人工衛星により撮影された衛星画像である。本実施形態では、Adobe社TIFF規格準拠のGeo−TIFF形式であり、画像データに地理情報(緯度経度情報など)が付加されたものを採用する。衛星画像には、自動車、農林資源(田畑、森林など)等の目標物になり得るものが写っている。
【0024】
正負符号ブロック記憶部20に記憶された正負符号ブロックについて説明する。本システムでは、正負符号ブロックを2個以上用いて探索処理を実行するが、本実施形態では、図2〜図5に示すようなN×N画素で構成される正負符号ブロック14個を用いる。なお、本実施形態では、N=8としている。本実施形態で用いる正負符号ブロックは、行または列単位で同一符号の値を有するが、符号が変化する方向における変化の回数に応じて第1次正負符号ブロック、第2次正負符号ブロック、第4次正負符号ブロックに分けられている。図2〜図5に示した正負符号ブロックは、本システムにおいて、Walsh変換をフィルタ演算で簡便に行えるマトリックスとして機能する。
【0025】
最初に、図2、図3に示す第1次正負符号ブロックについて説明する。図2(a)(b)は第1次正負符号ブロックを示しており、図2(a)は、水平方向(図面左右方向)に値が変化する第1次正負符号ブロックを示し、図2(b)は、垂直方向(図面上下方向)に値が変化する第1次正負符号ブロックを示している。したがって、図2(a)では、同一の列は全て同一の値、図2(b)では、同一の行は全て同一の値となっている。当然のことながら、図2(a)に示した第1次正負符号ブロックと図2(b)に示した第1次正負符号ブロックは、互いに90度回転させた状態となっている。これら図2(a)と(b)に示した第1次正負符号ブロック(図2(c)と(d)に示した第1次正負符号ブロック、図3(a)と(b)に示した第1次正負符号ブロック、図3(c)と(d)に示した第1次正負符号ブロックも同様)を対にして判定を行えば、水平方向および垂直方向のみならず、任意の方向の2次元空間周波数成分を解析することができる。第1次正負符号ブロックの“第1次”とは、変化の回数の程度を後述する第2次、第4次と比較する基準とするため定めたもので、N=8(1画素を0.6mとすると、4.8m)を基本周期とする空間周波数を第1次空間周波数成分(基本周波数成分)とすると、第2次、第4次は各々第2次空間周波数成分(第2次高調波成分)、第4次空間周波数成分(第4次高調波成分)に対応する。図2(a)では、4列ごとに1回符号が変化しているため、8列では平均して2回変化することになる。図2(b)では、4行ごとに1回符号が変化しているため、8行では平均して2回変化することになる。
【0026】
図2(c)は、図2(a)に示した第1次正負符号ブロックを、列単位で水平方向(図面右方向)に1画素ずつ移動させたものである。移動させることにより右側からはみ出す列については、左端の列に配置される。また、図2(d)は、図2(b)に示した第1次正負符号ブロックを、行単位で水平方向(図面下方向)に1画素ずつ移動させたものである。移動させることにより下側からはみ出す行については、上端の行に配置される。これらの1画素移動操作は空間周波数を判定する際の位相補正を行うためで、1画素の移動は45度の位相シフトに対応する。この45度という角度は、図2(a)と(b)に示した第1次正負符号ブロックおよび図2(c)と(d)に示した第1次正負符号ブロックが互いに90度回転した関係(空間的な回転)になっているのとは無関係な独立した位相次元の回転である。
【0027】
図3(a)は、図2(a)に示した第1次正負符号ブロックを、列単位で水平方向(図面右方向)に2画素ずつ移動させたものである。移動させることにより右側からはみ出す2列については、左端の2列に配置される。また、図3(b)は、図2(b)に示した第1次正負符号ブロックを、行単位で水平方向(図面下方向)に2画素ずつ移動させたものである。移動させることにより下側からはみ出す2行については、上端の2行に配置される。図3(c)は、図2(a)に示した第1次正負符号ブロックを、列単位で水平方向(図面右方向)に3画素ずつ移動させたものである。移動させることにより右側からはみ出す3列については、左端の3列に配置される。また、図3(b)は、図2(b)に示した第1次正負符号ブロックを、行単位で水平方向(図面下方向)に3画素ずつ移動させたものである。移動させることにより下側からはみ出す3行については、上端の3行に配置される。正負符号ブロックは、最大m画素まで1画素ずつ移動させるが、第1次正負符号ブロックは、図3(c)(d)に示したように最大3画素まで移動させることができる。4画素移動させると、元の正負符号ブロックと同一となるからである。したがって、第1次正負符号ブロックの場合、m=3である。これらの2画素または3画素の移動操作は、1画素移動させた場合と同様に、空間周波数を判定する際の位相補正を行うためで、2画素の移動は90度の位相シフトに対応し、3画素の移動は135度の位相シフトに対応する。
【0028】
次に、第2次正負符号ブロックについて説明する。図4(a)(b)は第2次正負符号ブロックを示しており、図4(a)は、水平方向(図面左右方向)に値が変化する第2次正負符号ブロックを示し、図4(b)は、垂直方向(図面上下方向)に値が変化する第2次正負符号ブロックを示している。したがって、図4(a)では、同一の列は全て同一の値、図4(b)では、同一の行は全て同一の値となっている。当然のことながら、図4(a)に示した第2次正負符号ブロックと図4(b)に示した第2次正負符号ブロックは、互いに90度回転させた状態となっている。これら図4(a)と(b)に示した第2次正負符号ブロック(図4(c)と(d)に示した第2次正負符号ブロックも同様)を対にして判定を行えば、水平方向および垂直方向のみならず、任意の方向の2次元空間周波数成分を解析することができる。第2次正負符号ブロックの“第2次”とは、“第1次”の正負符号ブロックに比べて、符号が変化する回数が2倍になっていることを示している。即ち、N=8(1画素を0.6mとすると、4.8m)を基本周期とする空間周波数に対して1/2の周期で変化する第2次高調波成分を検出するためである。図4(a)では、2列ごとに1回符号が変化しているため、8列では平均して4回変化することになる。また、図4(b)では、2行ごとに1回符号が変化しているため、8行では平均して4回変化することになる。
【0029】
図4(c)は、図4(a)に示した第2次正負符号ブロックを、列単位で水平方向(図面右方向)に1画素ずつ移動させたものである。移動させることにより右側からはみ出す列については、左端の列に配置される。また、図4(d)は、図4(b)に示した第1次正負符号ブロックを、行単位で水平方向(図面下方向)に1画素ずつ移動させたものである。移動させることにより下側からはみ出す行については、上端の行に配置される。正負符号ブロックは、最大m画素まで1画素ずつ移動させるが、第2次正負符号ブロックは、図4(c)(d)に示したように最大1画素まで移動させることができる。2画素移動させると、元の正負符号ブロックと同一となるからである。したがって、第2次正負符号ブロックの場合、m=1である。これらの1画素の移動操作は、第1次正負符号ブロックの場合と同様に、空間周波数を判定する際の位相補正を行うためで、1画素の移動は90度の位相シフトに対応する。
【0030】
次に、第4次正負符号ブロックについて説明する。図5(a)(b)は第4次正負符号ブロックを示しており、図5(a)は、水平方向(図面左右方向)に値が変化する第4次正負符号ブロックを示し、図5(b)は、垂直方向(図面上下方向)に値が変化する第4次正負符号ブロックを示している。したがって、図5(a)では、同一の列は全て同一の値、図5(b)では、同一の行は全て同一の値となっている。当然のことながら、図5(a)に示した第4次正負符号ブロックと図5(b)に示した第2次正負符号ブロックは、互いに90度回転させた状態となっている。これら図5(a)と(b)を対にして判定を行えば、水平方向および垂直方向のみならず、任意の方向の2次元空間周波数成分を解析することができる。第4次正負符号ブロックの“第4次”とは、“第1次”の正負符号ブロックに比べて、符号が変化する回数が4倍、“第2次”の正負符号ブロックに比べて、符号が変化する回数が2倍になっていることを示している。即ち、N=8(1画素を0.6mとすると、4.8m)を基本周期とする空間周波数に対して1/4の周期で変化する第4次高調波成分を検出するためである。図5(a)では、1列ごとに1回符号が変化しているため、8列では平均して8回変化することになる。また、図5(b)では、1行ごとに1回符号が変化しているため、8行では平均して8回変化することになる。図2〜図5に示したように、正負符号ブロックを第1次、第2次、第4次としている。これは、自然物は周波数解析を行なうと、1/fルールで周波数に反比例して値が小さくなる特性が多いことが知られているため、異なる周波数成分との比較判定を行えるようにするためである。
【0031】
図1に示した目標物探索部30について説明する。目標物探索部30中の画素ブロック抽出手段31は、探索対象画像記憶部10から読み込んだ探索画像から、正負符号ブロックと同サイズの画素の集合である画素ブロックを抽出する。平均値算出手段32は、ブロック抽出手段31により抽出された画素ブロック内の全画素の平均値を算出する。総和値算出手段33は、ブロック抽出手段31により抽出された画素ブロックの各画素値I(x,y)より平均値Iaveを減算した差分値に、画素に対応する正負符号ブロック内の正負符号値M(x,y)を乗じた値の総和値を、各正負符号ブロックについて1つずつ算出する。
【0032】
画素評価値算出手段34は、総和値算出手段33により算出された複数個の総和値を用いて所定の演算を行い、複数個の画素評価値F1、F2、F4を算出する。目標物領域特定手段35は、画素評価値ごとに設定された画素判定基準値範囲と、画素評価値とを比較し、全ての画素評価値が対応する画素判定基準値範囲に含まれる場合に、ブロック抽出手段31により抽出された画素ブロック内の所定(全て)の画素を、目標物領域として特定する。探索結果出力手段36は、目標物領域特定手段35により特定された特定画素を所定の態様で出力するものであり、ディスプレイ装置等の表示手段、プリンタ等の印刷手段を有する。
【0033】
(2.処理動作)
次に、本発明に係る目標物検出システムの処理動作について説明する。本システムにおいて、探索対象画像を指定すると、目標物探索部30が探索対象画像において目標物の探索を行う。利用者が目標物探索処理を指示すると、目標物探索部30の画素ブロック抽出手段31が、正負符号ブロック記憶部20に記憶されている正負符号ブロックと同一サイズの画素ブロックを、探索対象画像から順次抽出する処理を行う。
【0034】
画像の抽出は、最初に、探索対象画像中の始点画素位置(0,0)を起点として(N−1,N−1)までのN×N個(正負符号ブロックと同一サイズ)の正方形状の画素ブロックを抽出し、次に(N,0)を起点とする正方形領域、(2N,0)を起点とする正方形領域…というように、X方向スキャン範囲に1画素づつ移動させて比較を行っていき、x軸方向について終了したら、Y方向スキャン範囲に1画素分移動し、(0,N)を起点とする正方形領域、(N,N)を起点とする正方形領域…というように順次探索対象画像全体について行っていく。なお、正負符号ブロックの説明の際にも述べたように、本実施形態では、N=8である。
【0035】
画素ブロック抽出手段31は、上述のように、探索対象画像から順次画素ブロックを抽出し、平均値算出手段32、総和値算出手段33、画素評価値算出手段34、目標物領域特定手段35は、抽出された画素ブロックに対して、順次処理を行なっていく。以下では、画素ブロック抽出手段31により抽出された1つの画素ブロックに対する平均値算出手段32、総和値算出手段33、画素評価値算出手段34、目標物領域特定手段35の処理について説明していく。
【0036】
まず、平均値算出手段32が、総和値算出手段33、画素評価値算出手段34において用いられる画素ブロック内の画素の平均値を算出する。具体的には、平均値算出手段32が、画素ブロック抽出手段31により抽出された画素ブロック内の画素(x,y)(x、yは共に1〜8までの整数)の画素値をI(x,y)として、以下の〔数式1〕に従った処理を実行し、平均値をIaveを算出する。
【0037】
〔数式1〕
ave=(Σx=1,8;y=1,8I(x,y))/64
【0038】
画素ブロック内の画素平均値Iaveが算出されたら、総和値算出手段33が、画素ブロックの各画素値I(x,y)より前記平均値Iaveを減算した差分値に、各画素に対応する正負符号ブロック内の正負符号値M(x,y)を乗じた値の総和値を、各正負符号ブロックごとに以下の〔数式2〕に従った処理を実行することにより算出する。
【0039】
〔数式2〕
総和値=Σx=1,8;y=1,8(I(x,y)−Iave)・M(x,y)
【0040】
上記〔数式2〕における正負符号値M(x,y)は、正負符号ブロックにより異なるため、本実施形態では、14個の正負符号ブロックにそれぞれ対応した計14個の総和値が算出されることになる。この総和値は、後述の〔数式4〕〜〔数式6〕において用いられる。
【0041】
各正負符号ブロックに対応する総和値が算出されたら、画素評価値算出手段34が、算出された平均値、総和値を用いて、抽出された画素ブロックに対する4種の画素評価値Ddis、F1、F2、F4を算出する。画素評価値の1つである画素分散値Ddisは、以下の〔数式3〕に従った処理により算出される。
【0042】
〔数式3〕
dis={Σx=1,8;y=1,8(I(x,y)−Iave21/2/8
【0043】
図2(a)(c)、図3(a)(c)に示した4種の正負符号ブロックにおける画素値をそれぞれMx11(x,y)、Mx12(x,y)、Mx13(x,y)、Mx14(x,y)とし、図2(b)(d)、図3(b)(d)に示した4種の正負符号ブロックにおける画素値をそれぞれMy11(x,y)、My12(x,y)、My13(x,y)、My14(x,y)とすると、第1次空間周波数成分F1は、以下の〔数式4〕に従った処理により算出される。
【0044】
〔数式4〕
x1i=|Σx=1,8;y=1,8(I(x,y)−Iave)・Mx1i(x,y)|/64
y1i=|Σx=1,8;y=1,8(I(x,y)−Iave)・My1i(x,y)|/64
x1=MAXi=1,4x1i
y1=MAXi=1,4y1i
1=(Fx12+Fy121/2
【0045】
上記〔数式4〕において、上2つの式には、総和値算出手段33により算出された総和値が含まれている。図4(a)(c)に示した2種の正負符号ブロックにおける画素値をそれぞれMx21(x,y)、Mx22(x,y)とし、図4(b)(d)に示した2種の正負符号ブロックにおける画素値をそれぞれMy21(x,y)、My22(x,y)とすると、第2次空間周波数成分F2は、以下の〔数式5〕に従った処理により算出される。
【0046】
〔数式5〕
x2i=|Σx=1,8;y=1,8(I(x,y)−Iave)・Mx2i(x,y)|/64
y2i=|Σx=1,8;y=1,8(I(x,y)−Iave)・My2i(x,y)|/64
x2=MAXi=1,2x2i
y2=MAXi=1,2y2i
2=(Fx22+Fy221/2
【0047】
上記〔数式5〕において、上2つの式には、総和値算出手段33により算出された総和値が含まれている。図5(a)に示した正負符号ブロックにおける画素値をMx4(x,y)とし、図5(b)に示した正負符号ブロックにおける画素値をMy4(x,y)とすると、第4次空間周波数成分F4は、以下の〔数式6〕に従った処理により算出される。
【0048】
〔数式6〕
x4=|Σx=1,8;y=1,8(I(x,y)−Iave)・Mx4(x,y)|/64
y4=|Σx=1,8;y=1,8(I(x,y)−Iave)・My4(x,y)|/64
4=(Fx42+Fy421/2
【0049】
上記〔数式6〕において、上2つの式には、総和値算出手段33により算出された総和値が含まれている。画素評価値算出手段34により4種の画素評価値Ddis、F1、F2、F4が算出されたら、目標物領域特定手段35が、画素評価値ごとに設定された画素判定基準値範囲と、各画素評価値とを比較し、画素評価値が対応する画素判定基準値範囲に含まれるかどうかを判断する。画素判定基準値範囲は、目標物検出システムとして機能するコンピュータの入力機器を用いて、事前に設定され、内蔵の記憶装置に記憶されるものである。具体的な設定手法については後述する。この画素判定基準値範囲は、判定基準下限値および判定基準上限値により定められる。画素評価値が画素判定基準値範囲に含まれるかどうかは、以下の〔数式7〕に示す各条件により判断される。
【0050】
〔数式7〕
dis≦Ddis≦Hdis
f1≦F1≦Hf1
f2≦F2≦Hf2
f4≦F4≦Hf4
【0051】
上記〔数式7〕において、Ldis、Hdisはそれぞれ画素分散値Ddisの判定基準下限値、判定基準上限値であり、Lf1、Hf1はそれぞれ第1次空間周波数成分F1の判定基準下限値、判定基準上限値であり、Lf2、Hf2はそれぞれ第2次空間周波数成分F2の判定基準下限値、判定基準上限値であり、Lf4、Hf4はそれぞれ第4次空間周波数成分F4の判定基準下限値、判定基準上限値である。
【0052】
目標物領域特定手段35は、上記〔数式7〕として示した4つの条件を判断し、全ての条件が満たされる場合には、抽出された画素ブロックに対応する探索対象画像上の領域を目標物として特定する。一方、〔数式7〕として示した4つの条件のうち、1つでも満たさないものがある場合は、抽出された画素ブロックに対応する探索対象画像上の領域を目標物として特定しない。即ち、探索対象画像と同一サイズの二値画像を用意し、全ての条件が満たされる場合には、処理した画素ブロックに対応する左上1画素の値を“1”に設定し、1つでも満たさない条件がある場合は、処理した画素ブロックに対応する左上1画素の値を“0”に設定する。ただし、この方法をとると、目標物として特定される領域に非特定領域と判定される画素による穴が多数発生してしまうため、実際には、全ての条件が満たされる場合には、処理した画素ブロックに対応する全画素(本実施形態では64個)の値を“1”に設定するようにし、1つでも満たさない条件がある場合は、処理した画素ブロックに対応する左上画素のみ“0”に設定するようにしている。結局、用意された二値画像上では、目標物として特定された画素ブロックを構成する画素(以下「特定画素」という)は“1”、それ以外の画素(以下「非特定画素」という)は“0”として二値化されることになる。目標物領域特定手段35は、目標物とそれ以外を二値化することができれば良いので、二値画像に与える画素値としては、逆に、特定画素を“0”、非特定画素を“1”としても良い。
【0053】
上述のように、平均値算出手段32、総和値算出手段33、画素評価値算出手段34、目標物領域特定手段35は、画素ブロック抽出手段31により抽出された画素ブロックに対して、順次処理を行なっていく。したがって、画素ブロック抽出手段31が探索対象画像上の全範囲に渡って画素ブロックを抽出していくことにより、探索対象画像上の全ての画素が目標物であるか、目標物以外であるかが特定されることになる。
【0054】
探索対象画像上の全ての画素が目標物であるか、目標物以外であるかが特定されたら、探索結果出力手段36が、探索結果の出力を行う。探索結果は複数の形式で出力することができる。第1の形式は、特定画素の座標をデータとして出力するものである。第2の形式は、探索対象画像上の特定画素、非特定画素の値を、目標物であると特定された画素、それ以外の画素と認識できるように変更した後、探索対象画像を表示出力するものである。データとして出力する場合は、上記のように特定画素と非特定画素を設定した二値画像における特定画素の座標を出力する。実際には、特定画素は画素ブロック単位に連結しているため、全ての特定画素の座標を出力せず、特定画素が連結している特定領域の輪郭に位置する特定画素の座標のみを出力したり、特定領域の面積(特定画素の個数の総和)と重心に位置する座標のみを出力する場合もある。
【0055】
表示出力する場合は、まず、探索対象画像上の各画素の0〜255の値を0〜127の値に変換し、2〜8ビット目までに格納する。したがって、本実施形態では、探索対象画像が256階調から128階調に変換されることになる。さらに、探索結果出力手段36は、特定画素については、1ビット目に“1”を格納し、非特定画素については、1ビット目に“0”を格納する。この結果、探索対象画像上では、特定画素は128〜255の値で表現され、非特定画素は0〜127の値で表現される。このため、画面上では、256擬似カラーモードで表示されているディスプレイのカラールックアップテーブルを操作して、特定画素と非特定画素は対照的な色相で表示(例えば赤とグレー)、特定画素の輝度は画素値から128を引いた値の2倍で表示し、非特定画素の輝度は画素値の2倍で表示することにより、双方とも128段階の明るさで表現されることになる。目的に応じて、逆に設定し、特定画素については、1ビット目に“0”を格納し、非特定画素については、1ビット目に“1”を格納したり、カラールックアップテーブルの設定を種々に変更しても良い。
【0056】
探索結果は、上記データ出力、表示出力に応じて、特定画素の座標値の形式、画素値を変更した探索対象画像の形式で探索結果記憶部40に記憶される。
【0057】
(3.画素判定基準値範囲の設定)
ここでは、目標物領域特定手段35が、画素評価値との比較に用いる画素判定基準値範囲の設定について説明する。本実施形態では、探索対象画像を表示し、この上で利用者が領域を指定し、指定された領域における画像を利用して、画素判定基準値範囲を設定する。具体的には、まず、画面に表示された探索対象画像に対して、目標物とすべきものが撮影されている箇所、または類似のテクスチャ特徴を示す箇所を領域Oとして指定する。次に、目標物とすべきものと対照的なテクスチャ特徴を示す箇所を2つ、領域A、領域Bとして指定する。図6は、探索対象画像とする衛星画像の一例を示す図である。図6の衛星画像においては、領域Oとして目標物とする水田を指定し、領域Aとして町および住宅、領域Bとして河川が設定された状態を示している。
【0058】
領域O、領域A、領域Bが指定されたら、画素ブロック抽出手段31が、領域O、領域A、領域Bで特定される画像を対象として、上述の探索時において探索対象画像全体を対象とした場合と同様に、画素ブロックを順次抽出する処理を行う。画素ブロックが抽出されたら、平均値算出手段32、総和値算出手段33、画素評価値算出手段34が、上述の探索対象画像の場合と同様に、各画素ブロックについて4種の画素評価値Ddis、F1、F2、F4の算出を行なう。各画素ブロックについて画素評価値が算出されたら、領域内の画素評価値の平均値を算出する。これは、単純に各領域内の画素ブロックについての画素評価値の平均値を算出すれば良い。
【0059】
領域Oにおける画素評価値Ddis、F1、F2、F4の平均値をOdis、Of1、Of2、Of4とし、領域Aにおける画素評価値Ddis、F1、F2、F4の平均値をAdis、Af1、Af2、Af4とし、領域Bにおける画素評価値Ddis、F1、F2、F4の平均値をBdis、Bf1、Bf2、Bf4とすると、画素評価値Ddisの画素判定基準値範囲の判定基準下限値Ldis、判定基準上限値Hdisは、Adis<Bdisという条件において、以下の〔数式8〕に従った処理により算出される。
【0060】
〔数式8〕
dis<Odis<Bdisを満たす場合、Ldis=(Adis+Odis)/2、Hdis=(Bdis+Odis)/2
dis<Bdis<Odisを満たす場合、Ldis=(Bdis+Odis)/2、Hdis=∞(無限大)
dis<Adis<Bdisを満たす場合、Ldis=0、Hdis=(Adis+Odis)/2
【0061】
上記〔数式8〕の例では、第2式において、Hdis=∞(無限大)となっているが、実際には、画素がとり得る最大値等を設定することになる。また、Adis>Bdisである場合は、上記〔数式8〕において、AdisとBdisを交換して算出する。
【0062】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、画素評価値として、画素分散値Ddis、第1次空間周波数成分F1、第2次空間周波数成分F2、第4次空間周波数成分F4の4つを用いたが、人工物を目標物としない場合は、画素分散値Ddisを用いなくても良い。画素分散値Ddisは、鏡面反射率と関係し、金属やコンクリートなどの人工物で値が大きく、地面や水領域などの自然物で小さくなり、空間周波数とは別の尺度で人工物と自然物の識別を可能とするものだからである。また、空間周波数成分については、第1次空間周波数成分F1、第2次空間周波数成分F2、第4次空間周波数成分F4の3つを用いたが、必ずしも3つである必要はなく、周波数成分の違いを判断するために最低2つ以上あれば良い。したがって、4つ以上の空間周波数成分を算出するようにしても良い。
【0063】
また、上記実施形態では、図2〜図5および〔数式4〕〜〔数式6〕に示したように、正負符号ブロックとして90度回転させたものをペアにして計算し、それらの二乗平均値をとって2次元上のあらゆる方向の空間周波数検出に対応できるようにしたが、各々を単独に用いて各々2つのパラメータで2種類の判定基準下限値および判定基準上限値を用いて判定するようにしても良い。そうすると、水平または垂直の特定方向に周期性パターンのある領域(駐車場、田畑など)をより高精度に検出できる場合もある。
【0064】
また、上記実施形態では、図2〜図4に示したように、正負符号ブロックとして列または行単位で水平方向または垂直方向に1画素ずつ移動させた正負符号ブロックを用いて位相補正を行っていたが、必ずしも画素を移動させた正負符号ブロックを用いて位相補正を行う必要はなく、移動させない状態で判定するようにしても良い。この場合、検出精度は落ちるが処理速度が高速になるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、主としてQuickBird(米国DigitalGlobe)などパンクロマチック高精細衛星画像を用いた、道路や駐車場の自動車などの輸送機関や、田畑や森林などの農林資源の抽出、および交通状況など監視業務や農林資源の面積計測などの調査業務の省力化・自動化に利用可能である。
【符号の説明】
【0066】
10・・・探索対象画像記憶部
20・・・正負符号ブロック記憶部
30・・・目標物探索部
31・・・画素ブロック抽出手段
32・・・平均値算出手段
33・・・総和値算出手段
34・・・画素評価値算出手段
35・・・目標物領域特定手段
36・・・探索結果出力手段
40・・・探索結果記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標物が撮影された撮影画像から、目標物を検出するシステムであって、
前記撮影画像から所定サイズの画素ブロックを順次抽出する画素ブロック抽出手段と、
前記抽出された画素ブロックに対して、前記画素ブロックと同一サイズの正負符号ブロックを複数個定義し、前記画素ブロックの全ての画素値の平均値Iaveを算出する平均値算出手段と、
前記画素ブロックの各画素値I(x,y)より前記平均値Iaveを減算した差分値に当該画素に対応する前記正負符号ブロック内の正負符号値M(x,y)を乗じた値の総和値を、前記各正負符号ブロックに対応して複数個算出する総和値算出手段と、
前記複数個の総和値を用いて所定の演算を行い、複数個の画素評価値F1、F2、F4を算出する画素評価値算出手段と、
前記画素評価値ごとに設定された画素判定基準値範囲と、前記画素評価値とを比較し、全ての画素評価値が対応する前記画素判定基準値範囲に含まれる場合に、前記画素ブロック内の所定の画素を、目標物領域として特定する目標物領域特定手段と、
前記目標物領域特定手段により特定された特定画素を所定の態様で出力する探索結果出力手段と、
を有することを特徴とする目標物検出システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記画素評価値算出手段は、前記画素ブロックの各画素値I(x,y)より前記平均値Iaveを減算した差分値の二乗平均値を用いて算出される画素分散値を画素評価値の1つとして算出するものであることを特徴とする目標物検出システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記総和値算出手段は、ある正負符号ブロックを用いて第1の総和値を算出するとともに、当該正負符号ブロックを90度回転させた正負符号ブロックを用いて第2の総和値を算出するものであり、
前記画素評価値算出手段は、前記第1の総和値と前記第2の総和値の二乗平均値を画素評価値として算出するものであることを特徴とする目標物検出システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかにおいて、
前記総和値算出手段は、ある正負符号ブロックを用いて算出した総和値に加え、当該正負符号ブロックを水平方向または垂直方向に1画素ずつ最大m画素だけ、はみ出した画素を反対側に送りながら移動させた正負符号ブロックを用いてm個の総和値を算出し、計m+1個の総和値の中から絶対値が最大になる総和値を、前記正負符号ブロックに対応した総和値とするものであることを特徴とする目標物検出システム。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかにおいて、
前記正負符号ブロックは8×8画素で構成され、水平方向または垂直方向のいずれか一方の方向に同一符号が配置され、他方の方向は1画素、2画素または4画素ごとに符号が反転するように配置された少なくとも3種類のパターンの正負符号ブロックを用いることを特徴とする目標物検出システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかにおいて、
前記画素判定基準値範囲は、前記撮影画像上に定義された前記画素ブロックより大きい複数の領域それぞれを対象として、前記画素ブロック抽出手段により画素ブロックを抽出し、前記平均値算出手段、前記総和値算出手段、前記画素評価値算出手段により複数個の画素評価値を算出し、前記定義された領域ごとに画素評価値の平均値を算出し、前記複数の領域における当該平均値の大小関係に基づいて、求められるものであることを特徴とする目標物検出システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかにおいて、
前記探索結果出力手段は、前記所定の態様として、前記探索対象画像上の特定画素の所定ビットを、特定画素以外の画素の所定ビットと異なる値に設定して出力することを特徴とする目標物検出システム。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1から請求項7のいずれかに記載の目標物検出システムとして機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−286940(P2010−286940A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138783(P2009−138783)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】