説明

目玉焼き製造装置

【課題】目玉焼きを効率よく連続して製造することができる目玉焼き製造装置を提供する。
【解決手段】卵を連続して供給し得る卵供給装置2と、卵供給装置2から1個づつ卵を受け取り、受け取った卵を分割する割卵装置4と、割卵装置4によって分割された卵の生卵液を受け取る受取り装置6と、受取り装置6上の生卵液を落下して焼成する焼成装置8を具備する目玉焼きの製造装置である。焼成装置8は、連続又は間欠して移動する複数の焼き皿28と、焼き皿28を加熱する加熱装置39を有し、受取り装置6は焼き皿28の移動方向とは直交する方向へ連続又は間欠して駆動する複数のトレー23を有し、複数のトレー23上の生卵液を焼成装置8の複数の焼き皿28上にそれぞれ落下、供給するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目玉焼きを連続的に製造することができる目玉焼きの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、卵を分割して生卵液(卵黄と卵白)を搬送コンベア上の型枠内に供給し、この生卵液を焼成することによって目玉焼きを製造する装置が、例えば、特開平6−237738号公報(特許文献1)、特開2002−223728号公報(特許文献2)、特開2002−191327号公報(特許文献3)などに記載されている。
【0003】
しかし、これらの製造装置においては、生卵液をどのようにして搬送コンベア上に供給するのか記載されておらず、従って、機械的に連続して目玉焼きを製造することが実現されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−237738号公報
【特許文献2】特開2002−223728号公報
【特許文献3】特開2002−191327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、目玉焼きを効率よく連続して製造することができる目玉焼き製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明の目玉焼き製造装置は以下を提供する。
(項目1)
卵を連続して供給し得る卵供給装置と、該卵供給装置から1個づつ卵を受け取り、受け取った卵を分割する割卵装置と、該割卵装置によって分割された卵の生卵液を受け取る受取り装置と、該受取り装置上の生卵液を落下して焼成する焼成装置を具備する目玉焼きの製造装置であって、
該焼成装置は、連続又は間欠して移動する複数の焼き皿と、該焼き皿を加熱する加熱装置を有し、該受取り装置は、該焼き皿の移動方向とは直交する方向へ連続又は間欠して駆動する複数のトレーを有し、該複数のトレー上の生卵液を該焼成装置の複数の焼き皿上にそれぞれ落下、供給するように構成されている目玉焼きの製造装置。
(項目2)
前記生卵液の受取り装置は、連続又は間欠して駆動する第1の搬送コンベアと、該第1の搬送コンベアに上下回動可能に取り付けられた複数のトレーを有し、該第1の搬送コンベアが停止した際に、該複数のトレーが下方へ回動して、該トレー上にある生卵液を前記焼成装置の焼き皿上に落下するように構成されている項目1に記載の目玉焼きの製造装置。
(項目3)
前記焼成装置は、搬送コンベアと、該搬送コンベアの上に配置されたプレートと、該プレートに設けられた複数の焼き皿と、該焼き皿を加熱する加熱装置を有する項目1又は2に記載の目玉焼きの製造装置。
(項目4)
前記割卵装置は、水平方向へ回転駆動する回転体と、該回転体に設けられた複数の卵受け部と、該回転体の回転中に該卵受け部によって保持された卵の殻にキズを入れて分割するカッターを備えている項目1〜3のいずれか1項に記載の目玉焼きの製造装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の目玉焼きの製造装置によれば、卵を連続して供給し得る卵供給装置と、該卵供給装置から1個づつ卵を受け取り、受け取った卵を分割する割卵装置と、該割卵装置によって分割された卵の生卵液を受け取る受取り装置と、該受取り装置上の生卵液を落下して焼成する焼成装置を具備し、生卵液の焼成装置は、連続又は間欠して移動する複数の焼き皿と、該焼き皿を加熱する加熱装置を有し、生卵液の受取り装置は、焼き皿の移動方向とは直交する方向へ連続又は間欠して駆動する複数のトレーを有し、複数のトレー上の生卵液を該焼成装置の複数の焼き皿上にそれぞれ落下、供給するように構成されているので、卵を卵供給装置に供給することにより、割卵装置によって卵を分割し、生卵液が受取り装置に受け取られ、次いでこの生卵液が焼成装置に落下して焼成される。よって、目玉焼きを連続して効率よく製造することができる。
【0008】
特に、生卵液の受取り装置は、連続又は間欠して駆動する第1の搬送コンベアと、第1の搬送コンベアに上下回動可能に取り付けられた複数のトレーを有し、該第1の搬送コンベアが停止した際に、該複数のトレーが下方へ回動して、該トレー上にある生卵液を前記焼成装置の焼き皿上に落下させるように構成されているので、多数の生卵液を第1の搬送コンベアのトレーから第2の搬送コンベアの焼き皿上に同時に落下させることにより、効率良く目玉焼きを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の目玉焼き製造装置の概略断平面図である。
【図2】図1で示す目玉焼き製造装置の概略正面図である。
【図3】図1で示す目玉焼き製造装置の概略断面図である。
【図4】図1で示す目玉焼き装置のトレー部分の平面図である。
【図5】図4のトレー部分の水平断面図である。
【図6】図4のトレー部分の一部切欠側面図である。
【図7】第1実施例の目玉焼き製造装置の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態である目玉焼きの製造装置について図1乃至図7を参照して説明する。
【0011】
本発明の目玉焼きの製造装置は、卵を連続して供給し得る卵供給装置2と、該卵供給装置2から1個づつ卵を受け取り、卵の殻を分割する割卵装置4と、該割卵装置4によって分割された卵の生卵液を受け取る受取り装置6と、該受取り装置6上の生卵液を落下して加熱焼成する焼成装置8を具備する。
【0012】
これらの各装置は、相互に同期しながら連続して又は間欠的に駆動し、卵供給装置2によって1個づつ卵を割卵装置4へ受け渡し、この割卵装置4によって卵の殻を分割し、分割された卵の生卵液を受取り装置6が受け取り、次に、受取り装置6上の生卵液を焼成装置8の上に落下して加熱焼成し、このようにして目玉焼きが連続して製造される。
【0013】
以下に、本発明の目玉焼き製造装置の各部材を順次説明する。
(卵供給装置)
図1および図2に示すように、卵供給装置2は、多数の生卵液を収容するバスケット10と、該バスケット10から1個づつの卵を送る卵コンベア11を備えている。卵コンベア11の終端部分に卵充填部(図示せず)が形成されている。
(割卵装置)
割卵装置4は、図7に示すように、水平方向へ回転駆動する回転体14と、該回転体14に設けられた複数の卵受け部15と、該回転体14の回転中に該卵受け部15によって保持された卵の殻にキズを入れて分割するカッター16と、該カッター16に向けて洗浄水を供給する洗浄水供給装置17と、洗浄されたカッター16に空気を噴出してカッターに付着した水を除去する空気除水装置18を備えている。該卵受け部15によって該卵コンベア11から1個ずつの卵を受け取り、回転体14が1回転する間に、カッター16によって卵の殻にキズを入れて分割し、生卵液を次の卵の受取り装置6へ送るように構成されている。
【0014】
回転体14が1回転する間に、洗浄水供給装置17から洗浄水をカッター16に向けて噴射して洗浄することで、カッター16に付着した生卵液によって分割性能が低下するおそれがない。
(卵の受取り装置)
図3〜図7に示すように、卵の受取り装置6は、連続又は間欠して駆動される第1の搬送コンベア21と、該第1の搬送コンベア21に取り付けられた複数のトレー23を有する。
【0015】
第1の搬送コンベア21は、焼成装置8の第2の搬送コンベア22の搬送方向とは直交するように配設されている。
【0016】
すなわち、第2の搬送コンベア22の横断面の周囲を取り囲むようにフレーム24が配設され、このフレーム24に沿って第1の搬送コンベア21の搬送チェーン25が移動するように配設されている。搬送チェーン25に複数のトレー23が取り付けられ、搬送チェーン25の間欠又は連続した駆動に伴って各複数のトレー23は間欠又は連続して移動する。
【0017】
そして、所定数のトレー23上に生卵液Eが供給され、かつ第1の搬送コンベア21が駆動の際に停止したときに、該複数のトレー23が同時に下方へ回動して、該トレー23上にある生卵液が焼成装置8の焼き皿28上に落下するように構成されている。詳細は次のとおりである。
【0018】
図4〜図6に示すように、フレーム24にチェーン支持ブラケット30が固定され、このチェーン支持ブラケット30上にチェーン25が移動可能に係合されている。また、該チェーン25と間隙をおいてフレーム24にローラ34が回転可能に取り付けられている。
【0019】
該チェーン25にプレート31が固着され、このプレート31にトレー23が上下回動可能に支持されている。該トレー23とブラケット30との間にトレー23を水平方向へ付勢するばね43が取り付けられている。
【0020】
また、フレーム24にエアーシリンダー32が取り付けられ、このシリンダー32のロッドの先端部に駆動プレート33が設けられ、この駆動プレート33は、トレー23のプレート31に設けられた駆動部44に当接可能になっている。従って、複数のトレー23が、焼成装置8の複数の焼き皿28に対応する位置まで移動したときに、このシリンダー32を駆動することで、シリンダー32のロッド先端の駆動プレート33が駆動部44を押圧し、図5の破線で示すように、トレー23が下方へ回動する。その結果、各トレー23上の生卵液は、焼成装置8上の各焼き皿28上に落下供給される。シリンダー32は複数設けても良く、あるいは駆動プレート33を長いもので形成して、1つのシリンダー23の操作によって複数のトレー31を同時に下方へ回動させるように構成してもよい。
【0021】
その後、シリンダー32の駆動が停止すると、シリンダー32のロッドの収縮に伴ってばね43の付勢力により駆動プレート33が元の位置へ戻りトレー23は水平状態となる。
【0022】
図3に示すように、第2の搬送コンベア22が第1の搬送コンベア21の下方側へ回ったときには、トレー23内を水または温水で洗浄するための水洗浄ノズル36が装置に配設され、続いてトレー23内を空気で除水するための空気ノズル37が装置に配設されている。
【0023】
上記したように、第1の搬送コンベア21と第2の搬送コンベア22の駆動は同期されており、所定数のトレー23内に生卵液が供給されたときに、各トレー23上の生卵液は焼成装置8の各焼き皿28上に落下されるように構成されている。また、該割卵装置4によって分割された卵の生卵液は第1搬送装置上のトレー23上に受け取られるように、第2搬送装置と割卵装置4とは同期されている。
(焼成装置)
焼成装置8は、第2の搬送コンベア22と、該第2の搬送コンベア22の上に配置された複数のプレート38と、該プレート38に設けられた複数の焼き皿28と、該プレート38の下面側に配置されて該焼き皿28を加熱する加熱装置を有する。
【0024】
該第2の搬送コンベア22は、一対の前端側スプロケットと一対の後端側スプロケットとの間にそれぞれ平行に掛け渡された一対の無端チェーンを有し、該チェーン間に該プレート38が架設されている。このスプロケットを間欠的に又は連続的に駆動することで、プレート38は間欠的に又は連続的に駆動される。
【0025】
該プレート38は、平面視矩形状の鋼板などで構成され、そのプレート38の両端部に形成された取着具が該無端チェーンの固着具に固着され、無端チェーンの回動に伴ってプレート38は回動されるように構成されている。
【0026】
この一対の無端チェーンの間に架設された複数のプレート38上に複数の焼き皿28が配設されている。焼き皿28は、断面円弧状で中央部が低く外周にいくに従って底が浅くなる皿状に形成されており、この上に生卵液Eを受ける。
【0027】
加熱装置としては、プレート38の下方位置に配設されたガスバーナなどで構成することができる。この場合、ガスバーナは、無端チェーンに沿って設けられたガス供給管と、この供給管から前記プレート38の長手方向に向かって延在するガスノズルを有している。このガスノズルには、前記各焼き皿28に対応して複数の吐出口が設けられており、各焼き皿28のそれぞれに直火による加熱を行う。
【0028】
各プレート38は、図1中の矢印A方向へ移動し、プレート38が第2コンベアの終端にまで到達すると、次いで矢印B方向へプレート38が移動し、第3搬送コンベア27によって第2コンベア22の搬送開始端部方向へプレート38は移動される。
【0029】
なお、第2コンベア22および/または第3コンベア27に隣接して油点滴装置、水供給装置、水排出装置がそれぞれ設けられ、また第3搬送コンベア27の終端には製品取り出し部が設けられている。
【0030】
次に、本発明の目玉焼きの製造装置の操作方法を説明する。
【0031】
間欠又は連続して駆動する第2の搬送コンベア22上の焼き皿28が油点滴装置の下方で一時停止すると、油点滴装置によって食用油が焼き皿28上に供給され、その後伸展部で油の伸ばしが行われる。
【0032】
この油点滴装置の下流側に卵供給装置2が配設されている。
【0033】
焼き皿28が、卵供給装置2の下方で一時停止すると、各トレー23から殻割された生卵液(卵黄と卵白)の1個分が各焼き皿28に供給される。生卵液Eが供給された焼き皿28は第2の搬送コンベア22によってガスバーナの上方を進行停止を繰り返しながら通過する。生卵液はガスバーナからの直火によって加熱される。これによって、生卵液Eの底面に焦げ目が形成される。
【0034】
このようにして、目玉焼きが完成し、完成した目玉焼きは、目玉焼き取り出し装置53によって焼き皿28から掻き落とされ、目玉焼き取り出しコンベアによって搬出される。
【0035】
第1の搬送コンベア21は、トレー23内の生卵液を第2搬送装置22の焼き皿28上に供給した後に、反転して第2の搬送コンベア22の下側を回り、その際に水洗浄装置および空気除水装置によってトレー23内の汚れが除去される。
【0036】
なお、上記実施の形態にあっては、焼き皿28をプレート38に直接形成したが、これに限る必要はなく、別部材の焼き皿をプレート上に配置してもよい。
【0037】
また、上記実施の形態にあっては、加熱装置としてガスバーナで焼き皿28を加熱しているが、これに限る必要はなく、IHヒーター、蒸気加熱、電熱器による加熱でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、目玉焼きの製造装置として好適である。
【符号の説明】
【0039】
2 卵供給装置
4 割卵装置
6 卵受取り装置
8 焼成装置
21 第1の搬送装置
22 第2の搬送装置
28 焼き皿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵を連続して供給し得る卵供給装置と、該卵供給装置から1個づつ卵を受け取り、受け取った卵を分割する割卵装置と、該割卵装置によって分割された卵の生卵液を受け取る受取り装置と、該受取り装置上の生卵液を落下して焼成する焼成装置を具備する目玉焼きの製造装置であって、
該焼成装置は、連続又は間欠して移動する複数の焼き皿と、該焼き皿を加熱する加熱装置を有し、該受取り装置は、該焼き皿の移動方向とは直交する方向へ連続又は間欠して駆動する複数のトレーを有し、該複数のトレー上の生卵液を該焼成装置の複数の焼き皿上にそれぞれ落下、供給するように構成されている目玉焼きの製造装置。
【請求項2】
前記生卵液の受取り装置は、連続又は間欠して駆動する第1の搬送コンベアと、該第1の搬送コンベアに上下回動可能に取り付けられた複数のトレーを有し、該第1の搬送コンベアが停止した際に、該複数のトレーが下方へ回動して、該トレー上にある生卵液を前記焼成装置の焼き皿上に落下するように構成されている請求項1に記載の目玉焼きの製造装置。
【請求項3】
前記焼成装置は、搬送コンベアと、該搬送コンベアの上に配置されたプレートと、該プレートに設けられた複数の焼き皿と、該焼き皿を加熱する加熱装置を有する請求項1又は2に記載の目玉焼きの製造装置。
【請求項4】
前記割卵装置は、水平方向へ回転駆動する回転体と、該回転体に設けられた複数の卵受け部と、該回転体の回転中に該卵受け部によって保持された卵の殻にキズを入れて分割するカッターを備えている請求項1〜3のいずれか1項に記載の目玉焼きの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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