説明

目覚まし装置

【課題】就寝者にまぶしさを感じさせることなく、生体リズムを考慮して心地よい目覚めをもたらすことができる目覚まし装置を提供する。
【解決手段】起床希望時刻を設定する設定手段2と、低照度光と中照度光と高照度光の少なくとも三種の照度の光を発生する光発生手段3と、設定された起床希望時刻に応じて光発生段3が発生する光の照度を低照度、中照度、高照度の順に変化させるとともに、光発生手段3は、就寝者から直接見えない位置に配される第一の光発生手段31と、就寝者から直接見える位置に配される第二の光発生手段32を有しており、低照度から中照度へ変化する場合には、第一の光発生手段31が光を発生し、中照度から高照度へ変化する場合には、第一の光発生手段31及び第二の光発生手段32が光を発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起床希望時刻を設定するための設定手段と、低照度光と中照度光と高照度光の少なくとも三種の照度の光を発生する光発生手段と、設定された起床希望時刻に応じて光発生手段を動作させて光発生手段が発生する光の照度を低照度、中照度、高照度の順に変化させるとともに低照度から中照度への照度変化を緩やかに、中照度から高照度への照度変化を急速に行う制御手段とを備えていることを特徴とする目覚まし装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、起床希望時刻を設定するための設定手段と、低照度光と中照度光と高照度光の少なくとも三種の照度の光を発生する光発生手段と、設定された起床希望時刻に応じて光発生手段を動作させて光発生手段が発生する光の照度を低照度、中照度、高照度の順に変化させるとともに低照度から中照度への照度変化を緩やかに、中照度から高照度への照度変化を急速に行う制御手段とを備えていることを特徴とする目覚まし装置として特開平07−318670号公報(特許文献1)に記載されている技術が知られている。
【0003】
これは、起床希望時刻の30〜60分前の時点から、就寝者の顔面を直接照らすことができない位置に配されている低照度光発光部からの光により、就寝者の顔面の照度を0〜200lxへ漸増させ、次いで起床希望時刻の5〜10分前の時点から、就寝者の顔面を直接照らすことができる位置に配されている高照度光発光部からの光により、就寝者の顔面の照度を漸増させ、さらに起床希望時刻の1分前以内の時点で、就寝者の顔面の照度を2000lx以上とするもので、夜明け前の状態から夜明け後の日射がある状態を模すことで生体リズムを考慮して心地よい目覚めをもたらすことを特徴とするものである。
【特許文献1】特開平07−318670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、起床希望時刻の1分前以内の時点で、就寝者の顔面の照度を2000lx以上とする場合には、高照度光発光部の輝度は相当なものとなり、結果として、就寝者がまぶしさを感じ、必ずしも心地よく目覚めることができない可能性もある。
【0005】
さらに寝室に複数の寝台が設置された場合には、各々の就寝者の起床時刻が異なる場合が想定されるが、この場合に未だ起床時刻に至っていない隣接する就寝者を刺激して彼らを不快感のある状態で目覚めさせる可能性もある。
【0006】
本願発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、就寝者にまぶしさを感じさせることなく、生体リズムを考慮して心地よい目覚めをもたらすことができる目覚まし装置を提供することである。また、寝室に複数の寝台が設置された場合にも、未だ起床時刻に至っていない隣接する就寝者を刺激することの目覚まし装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、起床希望時刻を設定するための設定手段と、低照度光と中照度光と高照度光の少なくとも三種の照度の光を発生する光発生手段と、設定された起床希望時刻に応じて光発生手段を動作させて光発生手段が発生する光の照度を低照度、中照度、高照度の順に変化させるとともに低照度から中照度への照度変化を緩やかに、中照度から高照度への照度変化を急速に行う制御手段とを備えていることを特徴とする目覚まし装置であって、光発生手段は、就寝者から直接見えない位置に配されている第一の光発生手段と、就寝者から直接見える位置に配されている第二の光発生手段を有しており、低照度から中照度へ照度変化する場合には、第一の光発生手段が光を発生し、中照度から高照度へ照度変化する場合には、第一の光発生手段及び第二の光発生手段が光を発生することと特徴とする目覚まし装置である。
【0008】
また請求項2に記載された発明は、中照度から高照度へ照度変化する場合の就寝者が感じる輝度が20000cd/m2以下であることを特徴とする請求項1に記載の目覚まし装置である。
【0009】
また請求項3に記載された発明は、光発生手段が発光ダイオードを含むものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の目覚まし装置である。
【0010】
また請求項4に記載された発明は、ヘッドボードを有しており、光発生手段がヘッドボードの内側に備えられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の目覚まし装置である。
【0011】
ここで、ヘッドボードとは、寝台の頭部に設置する家具のことをいう。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された発明によれば、光発生手段は、就寝者から直接見えない位置に配されている第一の光発生手段と、就寝者から直接見える位置に配されている第二の光発生手段を有しており、低照度から中照度へ照度変化する場合には、第一の光発生手段が光を発生し、中照度から高照度へ照度変化する場合には、第一の光発生手段及び第二の光発生手段が光を発生するので、就寝者の顔面の照度を必要な水準とする一方で、その一部を第一の光発生手段が担っているので、就寝者の顔面を照らす第二の光発生手段の輝度を低減することができ、就寝者がまぶしさを感じることが少なくなる。
【0013】
請求項2に記載された発明によれば、中照度から高照度へ照度変化する場合の就寝者の顔面で感じる輝度が20000cd/m2以下であるので、就寝者がまぶしさを感じることをより確実に低減することができる。
【0014】
請求項3に記載された発明によれば、光発生手段が発光ダイオードを含むものであるので、光発生手段からの光の指向性が高く、就寝者への顔面への照射の制御が容易となる一方、寝室に複数の寝台が設置された場合にも、未だ起床時刻に至っていない隣接する就寝者への光の照射を低減することができ、隣接する就寝者を刺激することが低減される。
【0015】
請求項4に記載された発明によれば、光発生手段がヘッドボードの内側に備えられたので、光発生手段からの光がヘッドボードの枠体から漏れにくくなり、寝室に複数の寝台が設置された場合にも、未だ起床時刻に至っていない隣接する就寝者への光の照射をさらに確実に低減することができ、隣接する就寝者を刺激することが一層低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本願発明の一実施形態として、本願の請求項1〜4に対応した目覚まし装置1について図1により説明する。
【0017】
本実施形態の目覚まし装置1は、図1に示す如く、起床希望時刻を設定するための設定手段2と、低照度光と中照度光と高照度光の少なくとも三種の照度の光を発生する光発生手段3と、設定された起床希望時刻に応じて光発生手段を動作させて光発生手段が発生する光の照度を低照度、中照度、高照度の順に変化させるとともに低照度から中照度への照度変化を緩やかに、中照度から高照度への照度変化を急速に行う制御手段4とを備えていることを特徴とする目覚まし装置1であって、光発生手段3は、就寝者から直接見えない位置に配されている第一の光発生手段31と、就寝者から直接見える位置に配されている第二の光発生手段32を有しており、低照度から中照度へ照度変化する場合には、第一の光発生手段31が光を発生し、中照度から高照度へ照度変化する場合には、第一の光発生手段31及び第二の光発生手段32が光を発生することと特徴とする。
【0018】
また、中照度から高照度へ照度変化する場合の就寝者が感じる輝度が20000cd/m2以下であることを特徴とする
また、光発生手段2が発光ダイオードを含むものであることを特徴とする
さらに、ヘッドボード5を有しており、光発生手段3がヘッドボード5の内側に備えられたことを特徴とする。
【0019】
以下、本実施形態による目覚まし装置1を、より具体的詳細に説明する。
【0020】
最初に、目覚まし装置1であるが、これは設定手段2と、光発生手段3と、制御手段4とで、構成され、寝台6の枕元側に光発生手段3が備えられることとなる。また光発生手段は、第一の光発生手段31と第二の光発生手段32とで構成され、これらはいずれも寝台6の枕元側に設けられたヘッドボード5の内側に備えられている。
【0021】
設定手段2は、デジタル式で希望起床時刻を設定するものであり、ここでの設定時刻が図示しない配線によって制御手段4へ送信される。
【0022】
光発生手段3は、就寝者を覚醒、起床させるもので、夜明け前から夜明け後にかけての日射を再現し、就寝者の生体リズムを整えるとともに快適な目覚めを提供するものである。光発生手段3は、第一の光発生手段31と、第二の光発生手段32とで、構成されている。
【0023】
第一の光発生手段31は、薄型板状の筺体内部に複数の発光ダイオードを配置してなる長手方向が寝台6の幅と略同一である薄型板状の発光パネルであって、寝台6の枕元側であって寝台6の就寝面よりも262〜344mmの高さに、発光面が就寝面と略直交となる位置となるように備えられている。このため、第一の光発生手段31からの光は就寝者から直接見えなくなるのである。
【0024】
第一の光発生手段31は、就寝者の顔面の照度を0〜150lxとするように設定されている。
【0025】
第二の光発生手段32は、薄型板状の筺体内部に複数の放電灯を配置してなる長手方向が寝台6の幅と略同一である薄型板状の発光パネルであって、寝台6の枕元側であって寝台6の就寝面よりも1145〜1445mmの高さに、発光面が就寝面と略平行となる位置となるように備えられている。このため、第二の光発生手段32からの光は就寝者から直接見える位置で就寝者の顔面を照らすことができるのである。
【0026】
第二の光発生手段32の輝度は、就寝者の顔面の照度を0〜850lxとするように設定されている。
【0027】
制御部4は、マイクロプロセッサを主とするもので、図示しない計時手段を内蔵しており、これによる計時結果と、設定手段にて設定された希望起床時刻とに従って、光発生手段3の発光を制御するものである。
【0028】
光発生手段3、すなわち第一の光発生手段31と、第二の光発生手段32と、の発光は、例えば図2〜6に示す如く、以下のように行われる。なお参考として、従来技術における発光を図7に示す。
【0029】
すなわち、起床時刻の30分前が覚醒動作開始時となるように設定されており、この覚醒動作開始時において、就寝者の顔面における照度が、覚醒動作開始時に0lxより大きくかつ23lx以下となるように第一の光発生手段31を発光させる。
【0030】
この後、起床時刻の10分前まで覚醒動作開始時における光出力を維持し、又は光出力を漸増させ、起床時刻の10分前において、第一の光発生手段31を発光させたまま、第二の光発生手段32を発光させ、就寝者の顔面における照度が、40lx以下となるようにする。起床時刻の10分前の前後で第二の光発生手段32からの光出力の増加速度が変化するものとなる。
【0031】
さらに、起床時刻まで光出力を増加させ、起床時刻において、就寝者の顔面における照度が、100lx以上となるまで第二の光発生手段32による照度を増加させる。
【0032】
以下、表1に示す調光制御プログラムで就寝者を覚醒させた結果として、本願発明の実施例1〜5、比較例1〜3について、説明する。
【0033】
ここで表1は、各時点における就寝者の顔面の照度、輝度、光源の種類、ヘッドボードの有無と、就寝者及び隣接する就寝者の目覚め感、の代表データである。
【0034】
【表1】

【0035】
ここで、就寝者及び隣接する就寝者の目覚め感については、主観評価実験にて評価した。
【0036】
また、照度は、顔面照度を就寝者の両目の間の中心位置に、受光部を顔面に対して平行にして設置した照度計により測定した。起きたときの顔の状態が上だったら上方向に、右を向いていたら右方向に受光部を向けて測定した。輝度は、輝度計の測定基準点を視野内の最も輝度の高い位置に合わせて測定した。
【0037】
以上に示すごとく、実施例1〜5と比較例1〜5との結果から明らかなように、本実施形態によれば、光発生手段3は、就寝者から直接見えない位置に配されている第一の光発生手段31と、就寝者から直接見える位置に配されている第二の光発生手段32を有しており、低照度から中照度へ照度変化する場合には、第一の光発生手段31が光を発生し、中照度から高照度へ照度変化する場合には、第一の光発生手段31及び第二の光発生手段32が光を発生するので、就寝者の顔面の照度を必要な水準とする一方で、その一部を第一の光発生手段31が担っているので、就寝者から直接見える第二の光発生手段32の輝度を低減することができ、就寝者がまぶしさを感じることが少なくなる。
【0038】
また、中照度から高照度へ照度変化する場合の就寝者が感じる輝度が20000cd/m2以下であるので、就寝者がまぶしさを感じることをより確実に低減することができる。特に輝度を10,000 cd/m2以下に設定すると、さらにまぶしさのレベルが大きく下がるので表1に示す通り、より不快感を低減できる。
【0039】
また、光発生手段が発光ダイオードを含むものであるので、光発生手段3からの光の指向性が高く、就寝者への顔面への照射の制御が容易となる一方、寝室に複数の寝台が設置された場合にも、未だ起床時刻に至っていない隣接する就寝者への光の照射を低減することができ、隣接する就寝者を刺激することが低減される。
【0040】
請求項4に記載された発明によれば、光発生手段3がヘッドボード5の内側に備えられたので、光発生手段3からの光がヘッドボード5の枠体から漏れにくくなり、寝室に複数の寝台が設置された場合にも、未だ起床時刻に至っていない隣接する就寝者への光の照射をさらに確実に低減することができ、隣接する就寝者を刺激することが一層低減される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本願発明の一実施形態における目覚まし装置の斜視図
【図2】本願発明の一実施形態における目覚まし装置の発光状態(起床時刻の30分前)を示す説明図
【図3】本願発明の一実施形態における目覚まし装置の発光状態(起床時刻の10分前)を示す説明図
【図4】本願発明の一実施形態における目覚まし装置の発光状態(起床時刻の10分前であって第二の光発生手段が発光を開始)を示す説明図
【図5】本願発明の一実施形態における目覚まし装置の発光状態(起床時刻1前以内)を示す説明図
【図6】本願発明の一実施形態における光発生手段による就寝者の顔面における照度の測定図
【符号の説明】
【0042】
1 目覚まし装置
2 設定手段
3 光発生手段
31 第一の光発生手段
32 第二の光発生手段
4 制御手段
5 ヘッドボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
起床希望時刻を設定するための設定手段と、低照度光と中照度光と高照度光の少なくとも三種の照度の光を発生する光発生手段と、設定された起床希望時刻に応じて光発生手段を動作させて光発生手段が発生する光の照度を低照度、中照度、高照度の順に変化させるとともに低照度から中照度への照度変化を緩やかに、中照度から高照度への照度変化を急速に行う制御手段とを備えていることを特徴とする目覚まし装置であって、光発生手段は、就寝者から直接見えない位置に配されている第一の光発生手段と、就寝者から直接見える位置に配されている第二の光発生手段を有しており、低照度から中照度へ照度変化する場合には、第一の光発生手段が光を発生し、中照度から高照度へ照度変化する場合には、第一の光発生手段及び第二の光発生手段が光を発生することを特徴とする目覚まし装置。
【請求項2】
中照度から高照度へ照度変化する場合の就寝者が感じる輝度が20000cd/m2以下であることを特徴とする請求項1に記載の目覚まし装置。
【請求項3】
光発生手段が発光ダイオードを含むものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の目覚まし装置。
【請求項4】
ヘッドボードを有しており、光発生手段がヘッドボードの内側に備えられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の目覚まし装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−147361(P2007−147361A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340106(P2005−340106)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】