説明

目隠し板

【課題】既設のドアを新規のドアに交換する際、取替え用カバー枠を装着した後、短時間で装着できる目隠し板を提供すること。
【解決手段】目隠し板15は板部本体151と板部本体151から立設する複数のリブ部15aを有している。板部本体151の端部に配置する1対のリブ部15aを支持板部152として形成し、他のリブ部15aを化粧板部153として形成する。化粧板部153は、リブ部15aの元部に形成する立ち上がり連接部153aで切断可能に形成される。新規のカバー枠を壁体に装着した後、新規のカバー枠と壁体との間の隙間に合わせて、元の目隠し板15Aから適宜な位置で化粧板部153を立ち上がり連接部153aに沿って切断して隙間に装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドアの取替え用カバー枠に装着する目隠し板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アルミサッシのドアが急速に普及して、老朽化した既設のドアの取替え工事を行うことが多くなってきた。この工事は、既設のドアを取り外した後、壁体に装着された既設のカバー枠に取替え用カバー枠を装着して、取替え用カバー枠内に新規のドアを装着するものである。例えば、特許文献1では、取替え用カバー枠を装着した後、ドアを容易に組み込むために、カバー枠に懸吊ピンを設け、懸吊ピンに、一旦、新規のドアを吊下するようにしている。取替え用カバー枠は、既設の建物内で行われることから、既設のカバー枠の形状や寸法にバラツキがあり定格ではなかった。従って、取替え用カバー枠を装着する際に、既設のカバー枠と取替え用カバー枠との間で隙間を生じることがあった。そのため、その隙間を隠すために目隠し板が必要となっていた。従来、取替え用カバー枠を装着した工事において、目隠し板を装着した例が、特許文献1によって示されている。
【0003】
これによると、図5に示すように、取替え用カバー枠60は、壁体1に埋設された既設のカバー枠70を基準として装着されている。取替え用カバー枠60は、ドアの前後方向に対して前部枠61と後部枠62とを有し、前部枠61にドア7が挿入され、後部枠62の前面がドア7の開閉ストッパとなるために、後部枠62が前部枠61に対して左右両側枠の間隔を幅狭とするように形成されていた。
【0004】
前部枠61は前端部が、内枠と外枠とを有して平面視U字状に形成され、外枠には、既設のカバー枠70に支持されるために、壁体1の方向に向かって延設する延設枠部611が形成されている。また、後部枠62は、後端面が開口する平面視U字状に形成されるとともに、前端部には、既設の壁体1に向かって延設する延設枠部621が形成されている。そして、前部枠61の延設枠部611の前面には目隠し板65が装着され、後部枠62の後端面に目隠し板65が装着されて見栄えを向上させている。
【特許文献1】特開2003−184436公報(3〜5頁、図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、壁体1に埋設されている既設のカバー枠70は、それぞれの建物に合わせてその形状や大きさが形成されているから、既設のドアを新規のドア7に交換する場合には、埋設されている既設のカバー枠70に合わせて新規のカバー枠60を装着しなければならなかった。従って、壁体1と新規のカバー枠60との間に生じた隙間を埋めるための目隠し板65は、その工事を行っている際に、形状や寸法を決めなければならなかった。つまり、取替え用カバー枠60を既設のカバー枠70に装着した後で、壁体1と新規のカバー枠60との隙間を測って、その寸法に合わせて新たに目隠し板65を製作しなければならなかったから、作業時間に無駄が発生して、取替工事を長期化させる要因となっていた。また、寸法に合わせて大きな板から切断する方法も考えられるが、切断する際、切粉を発生させることとなって、現場を汚くするとともに怪我をしやすかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、既設のカバー枠と新規のカバー枠との隙間の寸法にバラツキが合っても、予め用意した目隠し板を使用して作業時間を短時間で行えることを目的とするものである。従って、本発明に係る目隠し板は、上記の課題を解決するために、以下のように構成するものである。すなわち、
請求項1請求項1記載の発明では、ドアの取替え用カバー枠に装着される目隠し板であって、
板部本体と前記板部本体から平行に立設する複数のリブ部を備え、
前記複数のリブ部のうち、一対のリブ部は前記カバー枠に支持可能な支持板部として配置され、他のリブ部は、前記カバー枠の隙間内に挿入可能な化粧板部として配置され、
前記板部本体が、少なくとも前記支持板部を残して前記化粧板部付近で切断可能に形成されることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2記載の発明では、前記支持板部が、少なくとも一方のリブ部の内側面に、長手方向に沿って突出したガイド部を形成していることを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の発明では、前記支持板部は、前記板部本体の端部に配置されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、新規の取替え用カバー枠を既設のカバー枠に装着した後、目隠し板を装着するべき隙間に合わせて、目隠し板における適宜な位置の化粧板部を選定して、その化粧板部の元部付近を長尺方向に沿って手で切断する。化粧板部はその元部において、切断するためのガイドの役目をすることになるから、手で容易に切断することができ、長時間の作業とはならない。そして、切断された目隠し板は、支持板部を取替え用カバー枠の所定位置に係合することによって、板部本体が表面に現れることとなり、隙間を埋めて見栄えを向上することができる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、目隠し板の支持板部には、長手方向にガイド部を突出させていることから、取替え用カバー枠における目隠し板の装着部位に、前記ガイド部に係合するガイド溝を設けることによって、目隠し板の支持板部を係合させて強固に支持することができる。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、ガイド部を有する支持板部が、常に板部本体の端部に配置されていることから、板部における支持板部と反対側の板部の端部側を切断するだけの容易な作業で目隠し板を新規のカバー枠に装着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、ドアの取替え用カバー枠における本発明の目隠し板の一形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、新規の取替え用カバー枠(以下、新規のカバー枠という。)10を壁体1に埋設されている既設のカバー枠3に装着した状態を示す一部平面断面図であり、ドア7に対する左右方向の既設の壁体(以下、壁体という。)1のうち、一方の壁体1付近を示す図である。なお、以下の説明において、室外側を前部といい、室内側を後部という(図1参照)。壁体1には既設のカバー枠3が埋設されていて、既設のカバー枠3に位置決め板としてのアタッチメント5が取り付けられている。そして、新規のカバー枠体10は、アタッチメント5に位置決めして装着される。
【0014】
既設のカバー枠3は、壁体1に埋設される埋設部31と壁体1から突出する突出部32とを有して構成されている。実施形態のアタッチメント5は、本体板部51の両端からそれぞれ反対側に向かう突出片52、53を有して形成され既設のカバー枠3の突出部32におけるドア7側端面にビスで止着されている。アタッチメント5の一方の突出片52(前部)は、本体板部51の一端より反ドア7側に向かって延設して既設のカバー枠3の突出部32の前端面に対向して配置され、他方の突出片53(後部)は、本体板部51の他端よりドア7側に向かって延設して配置されている。
【0015】
このアタッチメント5は、左右方向に対して、本体板部51が既設のカバー枠3のドア7側端面に支持されるために移動を規制されるものの、前後方向(図1における上下方向)に対して移動調整することができる。以下の説明では、アタッチメント5の前部突出片52は、既設のカバー枠3における突出部32の前端面に当接した状態で説明する。
【0016】
新規のカバー枠10は、装着される新規のドア7の横面と後面に対向する面を有する前枠部11と、前枠部11よりドア7側に突出するとともに前枠部11の後端部から後方に延設して配置される後枠部12と、を備えて平面視段付状に形成されている。
【0017】
前枠部11には、アタッチメント5の前部突出片52の前面部に係合する前基準部111と、ドア7の横面に対向する横対向面112と、ドア7の後面に対向する後対向面113とが形成され、前基準部111は、前枠部11の前端部付近からドア7側に向かって延設するとともに前方に向かって開口する凹部111aを有している。
【0018】
なお、前基準部111と横対向面112との間に、図1に示すように、アタッチメント5の本体板部51に当接可能なストッパ片114を設けるようにしてもよい。
【0019】
後枠部12には、後枠部12の前端部においてアタッチメント5の後部突出片52の前面部に係合する後基準部121と、ドア通路と対向する内壁面122と後端部において反ドア通路側に突出する凹状突出部123とが形成されている。後基準部121は前枠部11の後対向面113と並列して形成され、凹状突出部123の凹部123aは後面が開口して形成されるととともに、凹状突出部123には後述の目隠し板15が装着される。
【0020】
目隠し板15は、アルミニウム性の材料で形成されるとともに、図2に示すように、板部本体151と板部本体151から並設して立ち上がる複数のリブ部15aとを備えている。複数のリブ部15aのうち、端部に配置される一対のリブ部15a、15aは、新規のカバー枠10の前枠部11に形成された前基準部111の凹部111a又は後枠部12の凹状突出部123の凹部123aに係合する支持板部152として形成され、他のリブ部15aは、化粧板部153として形成されている。支持板部152の一方のリブ部15aには、長手方向に沿って突出して形成するガイド部152aが支持板部152の内方に向かって形成されている。
【0021】
支持板部152は、新規のカバー枠3の前基準部111の凹部111aに内嵌あるいは凹状突出部123に外嵌可能に形成されている。そして、化粧板部153のリブ部15aは、目隠し板15を現地工事で所定の寸法に形成するために切断して組付けることから、できるだけ多数形成されているものを使用することが望ましい。
【0022】
化粧板部153は、図3に示すように、板部本体151との立ち上がり連接部153aに沿って切断可能に形成されている。従って、複数のリブ部15aを有する化粧板部153を形成した元の目隠し板15Aから不必要な化粧板部153を切断することによって所定の大きさの目隠し板15が形成されることとなる。図1における実施形態では、適宜の大きさに切断された目隠し板15は、一方では、化粧板部153を支持板部152との間で切断して支持板部152だけを新規のカバー枠10の前基準部111の凹部111aに内嵌している。そして、他方では、複数の化粧板部153間で切断して1セットの支持板部151と2本のリブ部15aを有する化粧板部153で形成した後、新規のカバー枠10後枠部12の凹状突出部123と既設のカバー枠3との間の隙間に挿入されている。
【0023】
次に上記のように構成された新規のカバー枠10を既設のカバー枠3に装着し、さらに新規のカバー枠10に目隠し板15を取り付ける作用について説明する。
【0024】
新規のドア7を取り付けるために、既設のドア7を取り外した後、壁体1に埋設されている既設のカバー枠3の突出部32に新規のカバー枠10に適合したアタッチメント5をまず装着する。アタッチメント5は、図1に示すように、前部の突出片51を反ドア7側に向けて突出させて既設のカバー枠32の前端面に係合させ、本体板部51を既設のカバー枠3のドア7側端面に当接した状態で、本体板部51から既設のカバー枠3に向かってビスで止着する。前述したように、新規のカバー枠10によっては、アタッチメント5の前部突出片52と既設のカバー枠3の前端面との間に所定の隙間を有して、アタッチメント5を前後方向に移動調整して既設のカバー枠3に装着してもよい。
【0025】
アタッチメント5が止着されると、新規のカバー枠10をアタッチメント5に装着する。
【0026】
新規のカバー枠10の前基準部111と後基準部121との間の寸法は、アタッチメント5の前部突出片52と後部突出片53との間の寸法と同一に形成されている。
【0027】
このため、新規のカバー枠10の前基準部111をアタッチメント5の前部突出片52の前端面に当接することによって、後基準部121の後端面はアタッチメント5の後部突出片53の前端面と当接する。これによって新規のカバー枠10は前後方向が規制される。新規のカバー枠10の左右方向は、ドア7の幅寸法によって規制され、必要に応じて新規のカバー枠10をアタッチメント5に対して左右方向に移動調整する。勿論、新規のカバー枠10の前基準部111と横対向面112との間にストッパ片114が形成されているものについては、ストッパ片114をアタッチメント5の本体板部51に当接することによって新規のカバー枠10の左右方向は規制されることとなる。
【0028】
新規のカバー枠10の前後方向及び左右方向の位置決めがなされた後、新規のカバー枠10の前基準部111と後基準部121とをアタッチメント5の各突出片52、53にビスで止着する。
【0029】
この状態では、図1に示すように、新規のカバー枠10と壁体1との間には、前面において、新規のカバー枠10の前基準部111と壁体1との間に僅かな隙間があり、前基準部111の凹部111aは前面部が開口されている。また、後面において、新規のカバー枠10の凹状突出部123と壁体1との間には大きな隙間が形成されている。
【0030】
そのため、新規のカバー枠10の前面においては、前基準部111の凹部111aに、複数のリブ部15aを有する化粧板部153を形成した元の目隠し板15Aから化粧板部153を切断して支持板部152だけとなった目隠し板15を装着する。前基準部111と壁体1との僅かな隙間には、ゴムシール又はシール剤を塗布して、隙間を埋めることによって、見栄えを向上することができる。
【0031】
また、新規カバー枠10の後面においては、壁体1との隙間が大きいことから、複数のリブ部15aを有する化粧板部153を形成した元の目隠し板15Aから不必要な化粧板部153を切断して、支持板部152に複数(図例においては2個)のリブ部15aを有する化粧板部153を形成した目隠し板15を装着する。この場合、目隠し板15の支持板部152を新規のカバー枠10における凹状突出部123に外嵌するように装着する。そして、目隠し板15と壁体1との間に僅かな隙間が生じれば、前面と同様に、ゴムシールまたはシール剤を塗布して隙間を埋めることとなる。
【0032】
その後、新規のドア7を取り付ける。
【0033】
上述のように、実施形態の目隠し板15では、予め複数に設けられたリブ部15aを有する化粧板部153を形成した元の目隠し板15Aを使用して、新規のカバー枠10をアタッチメント5に取り付けた後で、適宜の位置で元の目隠し板15Aから化粧板部153を手で切断できることから、壁体1との隙間に合わせた大きさで目隠し板15を形成することができる。このため、作業時間を短時間で行うことができるとともに、現場において目隠し板15を切削具で切断することがないことから、切粉を発生させることがなく、清潔で安全な作業を行うことができる。そして、目隠し板15を装着することによって見栄えを向上することができる。
【0034】
しかも支持板部152にリブ部15aから内方に突出するガイド部152aを形成し、支持板部152と係合する新規のカバー枠10の対向部位にガイド部152a嵌合させることによって、安定した強固な係合を行うことができる。
【0035】
なお、本発明の取替え用カバー枠の目隠し板は、上記の形態に限定されるものではない。例えば、板部151から立ち上がるリブ部153の本数は、新規のカバー枠10を取り付けた際の壁体1との隙間の大きさによって決まるものであるから、図4に示すように、リブ部15aの本数を増やしたものであってもよい。そのため、元の目隠し板15Aでは、リブ部15aの本数をなるべく多いものに形成することが望ましい。
【0036】
また、埋設された既設のカバー枠3で新規のカバー枠10の位置決めができるものであれば、特にアタッチメントを装着する必要がなく、アタッチメントを装着する場合、アタッチメント5の形状について、新規のカバー枠10が前後方向に規制されるものであれば、上述の形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】新規のカバー枠を壁体に装着した状態を示す簡略一部平面図である。
【図2】本発明の目隠し板を示す斜視図である。
【図3】補助リブ部を切断した状態を示す斜視図である。
【図4】別の形態の目隠し板を示す斜視図である。
【図5】従来のカバー枠の装着状態を示す一部平面図である。
【符号の説明】
【0038】
1、壁体
3、既設のカバー枠
5、アタッチメント
51、本体板部
52、突出片
53、突出片
7、ドア
10、新規のカバー枠
11、前枠部
111、前基準部
111a、凹部
12、後枠部
123、凹状突出部
123a、凹部
15、目隠し板
15a、リブ部
151、板部本体
152、支持板部
153、化粧板部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの取替え用カバー枠に装着される目隠し板であって、
板部本体と前記板部本体から平行に立設する複数のリブ部を備え、
前記複数のリブ部のうち、一対のリブ部は前記取替え用カバー枠に支持可能な支持板部として配置され、他のリブ部は、前記カバー枠の隙間内に挿入可能な化粧板部として配置され、
前記板部本体が、少なくとも前記支持板部を残していずれかの前記化粧板部付近で切断可能に形成されることを特徴とする目隠し板。
【請求項2】
前記支持板部が、少なくとも一方のリブ部の内側面に、長手方向に沿って突出したガイド部を形成していることを特徴とする請求項1記載の目隠し板。
【請求項3】
前記支持板部は、前記板部本体の端部に配置されることを特徴とする請求項1又は2記載の目隠し板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−177123(P2006−177123A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−374337(P2004−374337)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(398020220)株式会社長尾木鋼 (2)
【Fターム(参考)】