説明

目隠し蓋及びその製造方法

【課題】通気及び水抜き機能を有し、製造が容易な目隠し蓋及びその製造方法を提供する。
【解決手段】長手方向の端面57が開口する中空部材40の端面57を覆う目隠し蓋10であって、木粉とプラスチックの複合材からなり、端面57に接する裏面24の一方の長辺側周縁部(下端部)が表面21側にセットバックした段差部28とされ、中空部材40の端面57が覆われた際、段差部28を介して中空部材40の中空部43が外気と連通する。目隠し蓋10は、木粉とプラスチックを加熱混合した材料を用いて射出成形により形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向の端面が開口する中空部材の該端面を覆う目隠し蓋及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築現場や工場などから排出される木材及びプラスチックを粉砕して加熱混合した材料を押出成形にて成形した中空部材が屋外デッキやルーバー等の建設部材として使用されている(特許文献1参照)。この中空部材は、プラスチックが木粉の間を埋め、表面を保護する構造となっているため、耐水性が高く、細菌による腐食やシロアリによる食害を受けにくい性質を有している。また、廃材を利用するため、資源保護の観点からも地球環境に配慮した製品である。
【0003】
上記中空部材は、木材とプラスチックの複合材であることから、開発時点では、吸水による膨張は無いと考えられていた。しかし、通気性が悪かったり、水はけが悪い環境下では、数ヶ月から数年に亘る毛細管現象により、中空部内に水が浸透して中空部材が膨張することがわかっている。そのため、中空部材の施工に当たっては、連設される中空部材間に5mm以上のクリアランスを設けるようにしている。
【0004】
一方、上記中空部材が使用される建造物では、見栄えを良くするため、中空部材の端面を目隠し板で塞いで中空部が見えないようにすることがある。このようなケースでは、中空部材の側面や底面に、水抜き及び通気用の孔を後加工により設けている。しかし、見た目が悪いうえ、後加工時のバリ等が中空部内に残留し、穿孔した孔から水が抜ける際に目詰まりするおそれがある。
そこで、特許文献2では、中空部と連通するスリットを底面に形成した中空部材の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−201760号公報
【特許文献2】特開2009−102923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2記載の発明の場合、中空部材を押出成形にて形成した後、当該中空部材に対して、中空部と連通するスリットを形成しなければならず、作業が二度手間となり、製作に手間が掛かるという問題があった。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、通気及び水抜き機能を有し、製造が容易な目隠し蓋及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[目隠し蓋]
上記目的を達成するため、第1の発明は、長手方向の端面が開口する中空部材の該端面を覆う目隠し蓋であって、木粉とプラスチックの複合材からなり、前記端面に接する裏面の周縁部の一部が表面側にセットバックした段差部とされ、前記中空部材の端面が覆われた際、前記段差部を介して該中空部材の中空部が外気と連通することを特徴としている。
【0009】
また、第2の発明は、長手方向の端面が開口する中空部材の該端面を覆う目隠し蓋であって、木粉とプラスチックの複合材からなり、前記端面に接する裏面に周縁部まで延びる溝が形成され、前記中空部材の端面が覆われた際、前記溝を介して該中空部材の中空部が外気と連通することを特徴としている。
【0010】
第1及び第2の発明は、中空部材の端面を目隠し蓋で覆った(目隠しした)際、中空部材の中空部が密閉空間とならないように、中空部と外気とをつなぐ段差部もしくは溝を、目隠し蓋の裏面に設けるものである。段差部もしくは溝を介して中空部の通気が行われると共に、中空部内に溜まった水は段差部もしくは溝から外部に排出される。
【0011】
また、第1及び第2の発明に係る目隠し蓋では、前記中空部材の中空部に挿入される突起部が前記裏面に形成されていてもよい。
当該構成では、中空部に挿入される突起部を目隠し蓋の裏面に設けることにより、目隠し蓋と中空部材との接合性を高めることができる。
【0012】
また、第1及び第2の発明に係る目隠し蓋では、接着剤が充填される凹部が前記裏面に形成されていてもよい。
当該構成では、接着剤が充填される凹部を目隠し蓋の裏面に設けているので、目隠し蓋を中空部材に貼着した際に、接着剤が中空部材又は目隠し蓋の表面に溢れ出ることがない。
【0013】
[目隠し蓋の製造方法]
第3の発明は、第1及び第2の発明に係る目隠し蓋の製造方法であって、木粉とプラスチックを加熱混合した材料を用いて、射出成形により前記目隠し蓋を形成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、中空部材の端面を目隠し蓋で覆った際、中空部材の中空部と外気とをつなぐ段差部もしくは溝を目隠し蓋の裏面に設けているので、中空部が密閉空間とならず、中空部の通気及び水抜きが可能となる。
また、段差部もしくは溝を有する目隠し蓋は、木粉とプラスチックを加熱混合した材料を用いて射出成形により一体成形するので、製作に手間が掛からず製造も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(A)は本発明の第1の実施の形態に係る目隠し蓋の裏面図、(B)は同目隠し蓋の側面図、(C)はA−A矢視断面図である。
【図2】同目隠し蓋及び当該目隠し蓋が使用される中空部材の斜視図であり、(A)は中空部材の端面を目隠し蓋で覆う前、(B)は覆った後の状態をそれぞれ示している。
【図3】同目隠し蓋の変形例及び当該目隠し蓋が使用される中空部材の斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る目隠し蓋の斜視図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る目隠し蓋及び当該目隠し蓋が使用される中空部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態に付き説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の説明では、目隠し蓋(板状体)の表裏に関して、中空部材の端面に接する面を「裏面」、その反対側の面を「表面」と呼ぶ。
【0017】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態に係る目隠し蓋10を図1(A)、(B)、(C)及び図2(A)、(B)に、目隠し蓋10が使用される中空部材40を図2(A)、(B)に示す。目隠し蓋10は、木粉とプラスチックの複合材を射出成形により成形したものであって、中空部材40の長手方向の開口する端面57を覆う(目隠しする)矩形状の板状体14と、板状体14の裏面24から突出し、中空部材40の中空部43に挿入される複数の突起部18とを備えている。
【0018】
一方、矩形状の断面を有する中空部材40は、木粉とプラスチックの複合材を押出成形にて成形したものでもよいし、あるいは木材を加工したものでもよい。図2(A)に示すように、中空部材40の中空部43には、長手方向に延在する複数の仕切り壁46が設けられている。
【0019】
板状体14の裏面24の一方の長辺側周縁部(下端部)は、表面21側にセットバックした段差部28とされている。即ち、図1(B)に示すように、板状体14を側面視した際、階段状の裏面24とされている。中空部材40の端面57を目隠し蓋10で覆った際、中空部43が密閉空間とならないように、段差部28は中空部43と外気とをつなぐ機能を有している。段差部28は中空部材40の端面57と接触せず、中空部43と連通する間隙33を形成する(図2(B)参照)。
【0020】
他方の長辺側周縁部31a(上端部)及び一対の短辺側周縁部31b(下端部を除く。)には、各辺に沿って延びる凹部32が設けられている。凹部32には、目隠し蓋10を中空部材40の端面57に貼着する際に使用される接着剤が充填される。
一方、板状体14の表面21はフラットになっている。
【0021】
また、各突起部18は板状とされ、各突起部18の面が向かい合うように並設されている。なお、各突起部18の先端部は、中空部43に挿入しやすいように、両角部が面取りされている(図1(B)、(C)参照)。
【0022】
[製造方法]
続いて、目隠し蓋10の製造方法について説明する。
木粉は、住宅解体時に出る廃材、パレットに使われていた木材及び間伐材などを粉砕したものである。一方、プラスチックは、工場廃棄物のトレーや自動車のバンパー、農業用ビニールなどをフレーク状に砕いたものである。プラスチックの材質としては、例えば、塩化ビニル樹脂、発泡塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリスチレン樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられるが、中でも塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂が好適である。
【0023】
住宅解体時等に出る廃材は、受入検査を経た後、金属や小石などの異物が除去され、段階的な粉砕が行われる。そして、最終的に篩い機で粒度を揃えた粒径数百ミクロン程度の木粉とされ、配合工程へ送られる。また、プラスチック工場から出る廃プラスチックは、受入検査後、粉砕機により粒径10mm程度に粉砕され、配合工程へ送られる。配合工程では、木粉、廃プラスチック、及び添加剤を所定の比率にて加熱混合し、中間原料(ペレット)を作製する。
【0024】
目隠し蓋10は、後述するように、射出成形によって製造される。射出成形は、加熱溶融した材料を金型内に射出注入し、冷却固化させることによって成形品を得る成型方法であり、複雑な形状の製品を大量生産するのに適している。
ペレットはホッパー(図示省略)からシリンダ(図示省略)内に投入され、シリンダ内で加熱溶融された後、シリンダ先端のノズルから金型(図示省略)内に射出される。金型は雄型と雌型から構成されており、加熱溶融された成形材料は、雄型と雌型の間に設けられた窪みに流し込まれ、圧力が加えられる。そして、金型内で冷却固化された後、成型品として金型から取り出される。
【0025】
[施工方法]
次に、目隠し蓋10の施工方法について説明する。
(1)目隠し蓋10の裏面24及び中空部材40の端面57をウエス等で拭いて接着面に付着している異物を除去する。
(2)板状体14の裏面24に接着剤を塗布する。塗布する箇所は、凹部32及び中空部材40の仕切り壁46が当接する箇所である。接着剤としては、変性アクリル樹脂接着剤(例えば、住友スリーエム(株)製 Scotch−Weld)などを使用することができる。
【0026】
(3)接着剤塗布後10分以内(雰囲気温度25℃の場合)に、目隠し蓋10を中空部材40の端面57に貼着する。その際、目隠し蓋10の各突起部18は、仕切り壁46と仕切り壁46の間の中空部43に挿入される(図2(A)参照)。
(4)目隠し蓋10を貼り付けた後、接着剤が硬化するまで粘着テープ等で目隠し蓋10が動かないように仮止めする。目隠し蓋10貼着後4時間以上経過した時点で、粘着テープを除去する。
【0027】
[変形例]
図3は、変形例に係る目隠し蓋11及び目隠し蓋11が使用される中空部材41を示している。目隠し蓋11は、中空部材41の端面58を覆う板状体15の裏面25に形成された突起部19の形状が、前述した目隠し蓋10の突起部18と異なっている。
【0028】
一方、矩形状断面とされた中空部材41は、断面「日」の字状とされた金属製の内筒部50と、木粉とプラスチックの複合材からなり、内筒部50を外装する外筒部52から構成されている。
【0029】
板状体15の裏面25に形成された一対の突起部19はそれぞれ矩形台状とされ、中空部材41の中空部44に設けられた仕切り壁47が挿入される間隙34が突起部19間に設けられている。
また、板状体15の裏面25の一方の長辺側周縁部(下端部)は、表面側にセットバックした段差部29とされている。
【0030】
目隠し蓋11を中空部材41の端面58に貼着する際は、板状体15の裏面25の周縁部(段差部29を除く。)、及び突起部19間に設けられた間隙34にそれぞれ接着剤を塗布する。
なお、目隠し蓋10と同様、板状体15の裏面25の周縁部(段差部29を除く。)に、接着剤が充填される凹部を設けても良い。
【0031】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態に係る目隠し蓋12を図4に示す。目隠し蓋12は、目隠し蓋10、11の段差部28、29に替えて、十字状の溝54が板状体16の裏面26に形成されている。
【0032】
木粉とプラスチックの複合材から形成された目隠し蓋12は、円筒状の中空部材(図示省略)の端面を覆う円盤状の板状体16と、板状体16の裏面26から突出する円形台状の突起部20とを備えている。
板状体16の裏面26には、板状体16の中心部を通り板状体16の裏面26を縦断する縦溝54a及び裏面26を横断する横溝54bからなる溝54が形成され、中空部材の端面が覆われた際、周縁部まで延びる溝54を介して該中空部材の中空部が外気と連通する。
なお、目隠し蓋10と同様、板状体16の裏面26の周縁部(溝54を除く。)に、接着剤が充填される凹部を設けても良い。
【0033】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態に係る目隠し蓋13及び目隠し蓋13が使用される中空部材42を図5に示す。目隠し蓋13は、前述した目隠し蓋10、11、12と異なり、ネジ(図示省略)で中空部材42の端面59に接合される。
【0034】
目隠し蓋13は、木粉とプラスチックの複合材からなる矩形状の板状体17から概略構成され、板状体17の裏面27の一方の長辺側周縁部(下端部)は、表面側にセットバックした段差部30とされている。
また、板状体17の周縁部(段差部30を除く。)には、ネジ孔55が形成されている。
【0035】
一方、矩形状断面とされた中空部材42は、目隠し蓋13のネジ孔55に対応する位置にネジ孔56が形成された金属製の内筒部51と、木粉とプラスチックの複合材からなり、内筒部51を外装する外筒部53から構成されている。
【0036】
目隠し蓋13を中空部材42の端面59に接合する際は、板状体17の裏面27を中空部材42の端面59に当接し、ネジ孔55、56にネジを螺挿する。
【0037】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、上記実施の形態では、板状体の形状を矩形又は円形としているが、中空部材の端面形状に応じて如何なる形状でも良いことは言うまでもない。また、上記実施の形態では、板状体の裏面に形成される溝を十字状としたが、これに限定されるものではなく、通気及び/又は水抜きが可能な溝が板状体の裏面に形成されていれば良い。
【符号の説明】
【0038】
10、11、12、13:目隠し蓋、14、15、16、17:板状体、18、19、20:突起部、21:表面、24、25、26、27:裏面、28、29、30:段差部、31a、31b:周縁部、32:凹部、33、34:間隙、40、41、42:中空部材、43、44:中空部、46、47:仕切り壁、50、51:内筒部、52、53:外筒部、54:溝、54a:縦溝、54b:横溝、55、56:ネジ孔、57、58、59:端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の端面が開口する中空部材の該端面を覆う目隠し蓋であって、
木粉とプラスチックの複合材からなり、前記端面に接する裏面の周縁部の一部が表面側にセットバックした段差部とされ、前記中空部材の端面が覆われた際、前記段差部を介して該中空部材の中空部が外気と連通することを特徴とする目隠し蓋。
【請求項2】
長手方向の端面が開口する中空部材の該端面を覆う目隠し蓋であって、
木粉とプラスチックの複合材からなり、前記端面に接する裏面に周縁部まで延びる溝が形成され、前記中空部材の端面が覆われた際、前記溝を介して該中空部材の中空部が外気と連通することを特徴とする目隠し蓋。
【請求項3】
請求項1又は2記載の目隠し蓋において、前記中空部材の中空部に挿入される突起部が前記裏面に形成されていることを特徴とする目隠し蓋。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の目隠し蓋において、接着剤が充填される凹部が前記裏面に形成されていることを特徴とする目隠し蓋。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の目隠し蓋の製造方法であって、木粉とプラスチックを加熱混合した材料を用いて、射出成形により前記目隠し蓋を形成することを特徴とする目隠し蓋の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−127060(P2012−127060A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277206(P2010−277206)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(503097440)株式会社エコウッド (3)
【Fターム(参考)】