説明

直動案内装置

【課題】直動軸の回転が防止された直動案内装置を提供すること。
【解決手段】外周面上に三本以上の直線状溝(11a)を持つ直動軸(11)、上記各溝に配置された複数の柱状転動体(12)、上記軸の周囲に配置されている、各転動体を保持する転動体保持器(13)、および保持器の周囲に嵌め合わされた外筒(14)からなり、上記軸の外周面上に互いに平行な側壁面を持つ直線状補助溝(11b)が形成され、外筒に棒状軸体(15)とその周囲に装着された環状回転具(16)とからなる二個以上の直進補助部材が備えられ、その二個のうちの一方の補助部材(17a)の環状回転具の外周面が上記補助溝の一方の側の側壁面(18b)に非接触に他方の側の側壁面(18a)に接触配置され、そして他方の補助部材(17b)の環状回転具の外周面が後者の側壁面に非接触に前者の側壁面に接触配置されることにより、直動軸の周方向への回転が防止されていること特徴とする直動案内装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物が配置されるステージ、あるいは検査対象物の上方に配置される検査装置が設置された基台を昇降可能に支持するために特に有利に用いることができる直動案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、検査対象物、例えば、回路基板の表面に形成された微細な電気配線のパターンは、この回路基板の上方に配置されたCCD(電荷結合素子:charge coupled device)カメラなどの検査装置で撮像した画像に基づく検査が行なわれている。
【0003】
このような微細な電気配線のパターンの検査に際しては、CCDカメラの焦点を回路基板の表面に精密に一致させるため、回路基板は昇降可能なステージの上に配置される。このステージを昇降させるため、ステージの底面を支持する直動軸を長さ方向(上下方向)に滑動可能に支持する直動案内装置が用いられる。回路基板の微細な電気配線のパターンを精度良く、そして効率良く検査するためには、回路基板が配置されるステージを、傾斜移動あるいは回転移動させることなく精密に昇降させる必要がある。このため、直動案内装置には、その直動軸を周方向に回転させることなく、長さ方向に高精度で移動させることが必要とされる。
【0004】
特許文献1には、外周面上に三本以上の直線状溝(凹溝)が互いに軸対称に形成されている直動軸(ガイド軸)、上記各溝に転動可能に配置された複数の柱状転動体、上記軸の周囲に配置されている、上記各転動体を内周面側と外周面側とに部分的に突き出させた状態で回転可能に保持している円筒状の転動体保持器、および転動体保持器の周囲に保持器の外周面側に突き出された各転動体と接触した状態で嵌め合わされている外筒からなる直動案内装置(リニアベアリング)が開示されている。
【特許文献1】特開2000−120671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の特許文献1の直動案内装置は、各々の柱状転動体が直線状溝の長さ方向に転動するため、その直動軸を長さ方向に高精度で移動させることができる。しかしながら、直動軸を上下に移動させることを繰り返すと、直動軸が僅かに(数μラジアン程度の角度で)回転する場合がある。
【0006】
本発明の課題は、直動軸の周方向への回転が防止された直動案内装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、外周面上に三本以上の直線状溝が互いに軸対称に形成されている直動軸、上記各溝に転動可能に配置された複数の柱状転動体、上記軸の周囲に配置されている、上記各転動体を内周面側と外周面側とに部分的に突き出させた状態で回転可能に保持している円筒状の転動体保持器、および転動体保持器の周囲に保持器の外周面側に突き出された各転動体と接触した状態で嵌め合わされている外筒からなる直動案内装置であって、
上記直動軸の外周面上には互いに平行な側壁面を持つ直線状補助溝が一本もしくはそれ以上形成されていて、外筒にはその内壁面から直動軸に向けて突き出されている棒状軸体と軸体の周囲に回転可能に装着された環状回転具とからなる二個もしくはそれ以上の直進補助部材が備えられており、その二個のうちの一方の補助部材の環状回転具の外周面が上記補助溝の一方の側の側壁面に非接触に、他方の側の側壁面に接触配置され、そして他方の補助部材の環状回転具の外周面が後者の側壁面に非接触に、前者の側壁面に接触配置されることにより、直動軸の周方向への回転が防止されていることを特徴とする直動案内装置にある。
【0008】
本発明の直動案内装置の好ましい態様は、次の通りである。
(1)環状回転具が、棒状軸体の周囲に装着された内周側環状体と、この環状体の周囲に複数の転動体を介して回転可能に嵌め合わされた外周側環状体とを備える回転軸受から構成されている。
(2)二個の直進補助部材が、外筒に形成された開口部に収容固定されている、この開口部内で外筒への取り付け位置の調節が可能なプレートに備えられている。
(3)外筒の内壁面に上記二個の直進補助部材とは間隔をあけて備えられている別の二個もしくはそれ以上の直進補助部材が備えられている。
(4)各々の転動体の外周面が、転動体の長さ方向の中央部における直径が最大となるように膨出している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の直動案内装置では、二個の環状回転具を用いて、そのうちの一方の環状回転具の外周面を直動軸に形成された直線状補助溝の一方の側の側壁面に非接触に、他方の側の側壁面に接触配置させ、そして他方の環状回転具の外周面を後者の側壁面に非接触に、前者の側壁面に接触配置させることにより、直動軸の周方向への回転を防止している。このため、本発明の直動案内装置は、直動軸をその周方向への回転を防止した状態で、長さ方向に高精度で移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の直動案内装置を添付の図面を用いて説明する。図1は、本発明の直動案内装置の構成例を示す断面図である。図2は、図1に記入した切断線II−II線に沿って切断した直動案内装置10の断面図である。図3は、図1の直動案内装置10の直進補助部材17a、17bの近傍の部位の拡大図である。図4は、図1の直動案内装置10の直動軸11の直線状補助溝11bの内部における直進補助部材17a、17bの配置を模式的に示す図である。そして図5は、図4を直線状補助溝11bの手前側から見た図である。なお、前記の図1は、図2に記入した切断線I−I線に沿って切断した直動案内装置10の断面を示している。
【0011】
図1〜図5に示す直動案内装置10は、外周面上に三本以上の直線状溝11a、11a、〜が互いに軸対称に形成されている直動軸11、各溝11aに転動可能に配置された複数の柱状転動体12、12〜、上記軸11の周囲に配置されている、各転動体12を内周面側と外周面側とに部分的に突き出させた状態で回転可能に保持している円筒状の転動体保持器13、および転動体保持器13の周囲に保持器13の外周面側に突き出された各転動体12と接触した状態で嵌め合わされている外筒14などから構成されている。そして、この直動案内装置10は、その直動軸11の外周面上に互いに平行な側壁面18a、18bを持つ一本の直線状補助溝11bが形成されていて、外筒14にその内壁面から直動軸11に向けて突き出されている棒状軸体15と軸体15の周囲に回転可能に装着された環状回転具16とからなる二個の直進補助部材17a、17bが備えられており、その二個のうちの一方の補助部材17aの環状回転具16の外周面が上記補助溝11bの一方の側の側壁面18bに非接触に、他方の側の側壁面18aに接触配置され、そして他方の補助部材17bの環状回転具16の外周面が後者の側壁面18aに非接触に、前者の側壁面18bに接触配置されることにより、直動軸11の周方向への回転が防止されていることに主な特徴がある。
【0012】
直動案内装置10の直動軸11は、例えば、その下端が基台に設置された回転駆動装置に送りねじを介して接続され、そして上端が検査対象物が配置されるステージの下面に固定される。その一方で、外筒14は基台に立設された支柱に支持固定される。そして、前記の回転駆動装置を作動させ、直動軸11を昇降(図1の上下方向に移動)させることにより、外筒14の内周面と直動軸11の各直線状溝11aの底面との間に配置された各柱状転動体12が溝11aに沿って転動しながら直動軸11を支持するため、この直動軸11の上端に固定されたステージを円滑に昇降させることができる。
【0013】
直動軸11は、例えば、アルミニウムや鋼(例、ステンレススチール)に代表される金属材料から形成される。直動軸11の外周面上には、例えば、研削加工によって、3本以上(例えば、9本)の直線状溝11aが互いに軸対称に形成される。
【0014】
直動軸11を外筒14で安定に支持するため、直動軸11の外周面には、少なくとも3本の直線状溝11a、11a、〜が形成される。直線状溝11aの本数が多いほど、直動軸11がより多くの数の転動体12を介して外筒14に支持されるために直動案内装置10の耐荷重性が向上するが、その反面、直動案内装置10の作製(特に、直線状溝11aの研削加工、そして転動体保持器13の上記転動体12を収容する透孔の孔あけ加工)に手間がかかる。従って、直線状溝11aの本数は、直動軸11に付与される荷重の大きさにも依るが、通常、3〜30本の範囲内に設定される。
【0015】
各直線状溝11aには、溝11aに沿って転動可能な複数(例えば、10個)の柱状転動体12、12、〜が配置されている。転動体12は、例えば、アルミニウムや鋼(例、ステンレススチール)に代表される金属材料、あるいはセラミック材料から形成される。
【0016】
各直線状溝11aに配置される柱状転動体12の数が多いほど直動案内装置10の耐荷重性が向上するが、その反面、直動案内装置10の作製(特に、転動体保持器13の上記転動体12を収容する透孔の孔あけ加工)に手間がかかる。従って、各直線状溝11aに配置される柱状転動体12の数は、通常、3〜30個の範囲内に設定される。
【0017】
直動軸11の周囲には、上記の各転動体12を内周面側と外周面側とに部分的に突き出させた状態で回転可能に保持する円筒状の転動体保持器13が配置されている。
【0018】
各々の柱状転動体12を、転動体保持器13の内周面側と外周面側とに部分的に突き出させるため、保持器13の内径は、直動軸11の直径よりも大きな値に設定され、そして外径は、外筒14の内径よりも小さな値に設定される。
【0019】
転動体保持器13は、例えば、金属材料や樹脂材料から形成される。金属材料としては、機械加工が容易な金属材料、例えば、真鍮やステンレス鋼を用いることが好ましい。樹脂材料としては、機械的強度の大きな樹脂材料、例えば、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、あるいはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂を用いることが好ましい。
【0020】
転動体保持器13の周囲には、保持器13の外周面側に突き出された各転動体12と接触した状態で外筒14が嵌め合わされている。外筒14は、例えば、アルミニウムや鋼(例、ステンレススチール)に代表される金属材料から形成される。
【0021】
外筒14の端部には、取り付け用のフランジ14aを形成することができる。直動案内装置10の外筒14は、フランジ14aの透孔14bに挿入されたボルトによって、例えば、基台に立設された支柱の上部に支持固定される。
【0022】
そして、直動案内装置10では、直動軸11の外周面上に互いに平行な側壁面18a、18bを持つ一本の直線状補助溝11bが形成されていて、外筒14にその内壁面から直動軸11に向けて突き出されている棒状軸体15と軸体15の周囲に回転可能に装着された環状回転具16とからなる二個の直進補助部材17a、17bが備えられている。これらの二個のうちの一方の補助部材17aの環状回転具16の外周面は、上記補助溝11bの一方の側の側壁面18bに非接触に、他方の側の側壁面18aに接触配置され、そして他方の補助部材17bの環状回転具16の外周面は、後者の側壁面18aに非接触に、前者の側壁面18bに接触配置されている。
【0023】
図5に示すように、例えば、直動軸11を上方(図に記入した矢印41が示す方向)に移動させると、直進補助部材17aの環状回転具16は反時計回り方向(矢印46aが示す方向)に回転し、その一方で、直進補助部材17bの環状回転具16は時計周り方向(矢印46bが示す方向)に回転する。その一方で、各環状回転具16は棒状軸体15を介して外筒14に支持されているため、上記のように回転(自転)することは可能であるが、移動(例えば、図の上下あるいは左右の方向には移動)することはできない。このため、直動軸11は、各環状回転具16の回転により長さ方向(図の上下方向)に円滑に移動可能な状態にて、周方向への回転が防止されている。直動軸11の周方向への回転を防止するため、更に追加で直進補助部材が備えられていてもよい。
【0024】
図3に示すように、環状回転具16は、棒状軸体15の周囲に装着された内周側環状体21と、この環状体21の周囲に複数の転動体22を介して回転可能に嵌め合わされた外周側環状体23とを備える回転軸受から構成されていることが好ましい。この回転軸受には、両者の環状体21、23の間にて互いに隣接する転動体の接触(衝突)を防止するため、各転動体22を内周側と外周側とに部分的に突き出させた状態で回転可能に保持する環状の転動体保持器25が備えられていることが更に好ましい。このように、環状回転具16として回転軸受を用いると、外周側環状体23が、その外周面を直線状補助溝11bの側壁面に接触させた状態で極めて円滑に回転するため、直動軸11を長さ方向に更に高精度で移動させることができる。なお、回転軸受に代えて、上記の棒状軸体を中心軸として回転可能なローラを用いることもできる。
【0025】
上記の二個の直進補助部材17a、17bは、外筒14に形成された開口部14cに収容固定されている、開口部14cの内部で外筒14への取り付け位置の調節が可能なプレート24に備えられていることが好ましい。
【0026】
図3に示すように、環状回転具16を支持する棒状軸体15としては、ボルトが用いられている。そして二個の直進補助部材17a、17bは、各々の棒状軸体15を用いて、プレート24にねじ込み固定されている。この棒状軸体15の周囲に嵌め合わされた筒状のスペーサ26によって、環状回転具16が棒状軸体15として用いるボルトの頭部の側に位置決めされる。
【0027】
プレート24は、外筒14の開口部14cよりも小さなサイズに設定されており、ボルト27、27を用いて外筒14に固定されている。プレート24に形成された透孔24aのサイズは、ボルト27のねじ軸の直径よりも大きなサイズに設定されている。このため、プレート24を外筒14の開口部14cの内部で移動させたのち、これをボルト27、27で外筒14に固定することにより、プレート24の外筒14への取り付け位置を調節することができる。
【0028】
そして、外筒14の開口部14cの内部にて、プレート24を、例えば、時計方向(図5に記入された矢印47が示す方向)に回転させると、二個の直進補助部材17a、17bが直動軸11の直線状補助溝11bの内部にて前記と同じ方向に回転する。この際に、直進補助部材17aの環状回転具16の外周面が直線状補助溝11bの側壁面18aに接触し、直進補助部材17bの環状回転具16の外周面が直線状補助溝11bの側壁面18bに接触すると、プレート24は更には回転することができなくなる。この状態で、前記ボルト27、27によりプレート24を外筒14に固定する。これにより、二個の直進補助部材17a、17bの各々の環状回転具16の外周面を、極めて容易に直線状補助溝11bの側壁面18a、18bの各々に接触配置させることができる。
【0029】
図1に示すように、外筒14の内壁面には、上記二個の直進補助部材17a、17bとは間隔をあけて備えられている別の二個(もしくはそれ以上)の直進補助部材17c、17dが備えられていることが好ましい。直進補助部材17a、17bの場合と同様に、二個の直進補助部材17c、17dうちの一方の補助部材17cの環状回転具16の外周面は、上記補助溝11bの一方の側の側壁面18bに非接触に、他方の側の側壁面18aに接触配置され、そして他方の補助部材17dの環状回転具16の外周面は、後者の側壁面18aに非接触に、前者の側壁面18bに接触配置される。これにより、直動軸11の周方向への回転が、直線状補助溝11bの上方側の部位にて補助部材17a、17bにより、そして下方側の部位にて補助部材17c、17dにより防止されるため、直動軸11を長さ方向に更に高精度で移動させることが可能になる。
【0030】
直動軸11の周方向への回転を更に効果的に防止するため、直動軸に更に追加で直線状補助溝を形成し、この補助溝の側壁面の各々に、二個(もしくはそれ以上)の直進補助部材の各々の環状回転具16の外周面を接触配置させることもできる。直動案内装置10の製造が容易になることから、直動軸11に形成する直線状補助溝の数は、1〜5本(特に1本もしくは2本)であることが好ましい。
【0031】
また、直動軸11の外周面上には、奇数本(例えば、9本)の直線状溝11a、11a、〜が互いに軸対称に形成されていることが好ましい。これにより、直動軸11の複数本の直線状溝11a、11a、〜は、そのうちの任意の二本の溝が互いに前記軸11の直径方向に対向することのない位置関係にて配置される。このような直線状溝11a、11a、〜の配置により、直動軸11の長さ方向への移動精度(直進性)が更に向上する。その理由は、以下のように理解される。
【0032】
直動案内装置10を製造する際に、外筒14の内周面あるいは直動軸11の直線状溝11aを精密な形状に機械加工することは難しい。特に、前記の直線状溝11aを、直動軸11の外周面上に正確な形状にて機械加工することは極めて難しい。従って、外筒14の内周面及び直線状溝11aの底面の各々には微細な凹凸が形成され、このような微細な凹凸が原因で外筒14の内周面と直線状溝11aの底面との間隔(以下、外筒と直線状溝との間隔と云う)が僅かに変動する。
【0033】
例えば、仮に二本の直線状溝が互いに直動軸の直径方向に対向する位置関係にて配置されていると、外筒と一方の直線状溝との間隔が狭くなった際に、この直線状溝の転動体が外筒と直線状溝とに強く挟まれ、これと同時に直動軸が他方の直線状溝の側に僅かに移動するため、他方の直線状溝の転動体もまた外筒と直線状溝とに強く挟まれる。そして、上記の一方の直線状溝の転動体が長さ方向の中央の位置とは異なる位置にて外筒と直動軸とに強く挟まれると、これと同時に他方の直線状溝の転動体もまた前記位置と対応する位置にて外筒と直動軸とに強く挟まれる。この状態で直動軸が移動すると、各々の柱状転動体が転動体保持器の透孔の内部で僅かに傾斜した状態で配置され、両者の転動体が直動軸の長さ方向に対して傾斜した方向に転動しようとするため、直動軸の直進性が低下する傾向にある。
【0034】
これに対して、二本の直線状溝11a、11aが互いに直動軸11の直径方向に対向することのない位置関係にて配置されていると、外筒14と直線状溝11aとの間隔が狭くなり、転動体12が外筒14と溝11aとに挟まれた際にも、直動軸11が前記転動体12の側とは逆側(転動体が存在しない表面の側に)に移動するため、外筒14と溝11aとが上記転動体12を挟む力が低下する。このため、転動体12の保持器13の透孔の内部での傾斜移動が抑制される。このため、直動軸11の直進性が極めて良好になる。
【0035】
また、本発明の直動案内装置において、各々の柱状転動体の外周面は、転動体の長さ方向の中央部における直径が最大となるように膨出していることが好ましい。このように外周面が膨出した円柱状転動体は、その中心軸が直線状溝の長さ方向と直交する配置で安定するため、直動軸の直進性が更に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の直動案内装置の構成例を示す断面図である。
【図2】図1に記入した切断線II−II線に沿って切断した直動案内装置10の断面図である。
【図3】図1の直動案内装置10の直進補助部材17a、17bの近傍の部位の拡大図である。
【図4】図1に示すの直動軸11の直線状補助溝11bの内部における直進補助部材17a、17bの配置を模式的に示す図である。
【図5】図4を直線状補助溝11bの手前側から見た図である。
【符号の説明】
【0037】
10 直動案内装置
11 直動軸
11a 直線状溝
11b 直線状補助溝
12 転動体
13 転動体保持器
14 外筒
14a フランジ
14b 透孔
14c 開口部
15 棒状軸体
16 環状回転具
17a、17b、17c、17d 直進補助部材
18a、18b 側壁面
21 内周側環状体
22 転動体
23 外周側環状体
24 プレート
24a 透孔
25 転動体保持器
26 筒状のスペーサ
27 ボルト
41 直動軸の移動方向を示す矢印
46a、46b 環状回転具の回転方向を示す矢印
47 プレート24の回転方向を示す矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面上に三本以上の直線状溝が互いに軸対称に形成されている直動軸、上記各溝に転動可能に配置された複数の柱状転動体、該軸の周囲に配置されている、上記各転動体を内周面側と外周面側とに部分的に突き出させた状態で回転可能に保持している円筒状の転動体保持器、および転動体保持器の周囲に該保持器の外周面側に突き出された各転動体と接触した状態で嵌め合わされている外筒からなる直動案内装置であって、
上記直動軸の外周面上には互いに平行な側壁面を持つ直線状補助溝が一本もしくはそれ以上形成されていて、外筒にはその内壁面から直動軸に向けて突き出されている棒状軸体と該軸体の周囲に回転可能に装着された環状回転具とからなる二個もしくはそれ以上の直進補助部材が備えられており、その二個のうちの一方の補助部材の環状回転具の外周面が上記補助溝の一方の側の側壁面に非接触に、他方の側の側壁面に接触配置され、そして他方の補助部材の環状回転具の外周面が後者の側壁面に非接触に、前者の側壁面に接触配置されることにより、直動軸の周方向への回転が防止されていることを特徴とする直動案内装置。
【請求項2】
環状回転具が、棒状軸体の周囲に装着された内周側環状体と、該環状体の周囲に複数の転動体を介して回転可能に嵌め合わされた外周側環状体とを備える回転軸受から構成されている請求項1に記載の直動案内装置。
【請求項3】
二個の直進補助部材が、外筒に形成された開口部に収容固定されている、該開口部内で外筒への取り付け位置の調節が可能なプレートに備えられている請求項1もしくは2に記載の直動案内装置。
【請求項4】
外筒の内壁面に上記二個の直進補助部材とは間隔をあけて備えられている別の二個もしくはそれ以上の直進補助部材が備えられている請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載の直動案内装置。
【請求項5】
各々の転動体の外周面が、該転動体の長さ方向の中央部における直径が最大となるように膨出している請求項1乃至4のうちのいずれかの項に記載の直動案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−144877(P2010−144877A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324378(P2008−324378)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(394000493)ヒーハイスト精工株式会社 (76)
【Fターム(参考)】