説明

直接圧縮可能な水酸化炭酸マグネシウム

本発明は、直接圧縮可能な水酸化炭酸マグネシウム、その調製方法およびその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接圧縮可能な水酸化炭酸マグネシウム(magnesium hydroxide carbonate)ならびにその調製方法およびその使用に関する。
【0002】
〔先行技術〕
塩基性炭酸マグネシウムまたは水酸化炭酸マグネシウムは、化学組成が4MgCO・Mg(OH)・5HOであり、炭酸マグネシウム(MgCO)から調製できる。炭酸マグネシウムは、水中での溶解度が非常に低い白色粉末である。炭酸マグネシウムは、水溶液が過剰の炭酸を多量に含有している場合にのみ、水溶液から生成される。5、3および1モルの結晶水を有する炭酸マグネシウムは結晶化でき、水と共に沸騰させると徐々に分解して塩基性炭酸マグネシウムとなる。これに対応する調製方法は、しばらく前から知られている。
【0003】
医薬組成物の調製および工業的用途に関しては、塩基性炭酸マグネシウム(マグネシアアルバ)は、純粋な炭酸マグネシウムよりもはるかに頻繁に用いられている。水酸化炭酸マグネシウムは通常、ソーダを用いて硫酸マグネシウム水溶液から沈殿を生成させることによって得られる。
【0004】
水酸化炭酸マグネシウムは、雪白色で、非常に軽く、さらさらした水不溶性の粉末であり、マグネサイトよりはるかに速く酸に溶解する。したがって、水酸化炭酸マグネシウムは、他のマグネシウム化合物の調製のための出発原料として一般に使用されている。
【0005】
さらにまた、水酸化炭酸マグネシウムは、胃酸過多症に対する制酸剤中に、歯磨き粉として、外傷治療用粉剤(wound powder)として、酸、ヒ素および金属塩による中毒に対する解毒剤として、粉末や洗浄用粉末などの調製に使用されている。一方、水酸化炭酸マグネシウムは、ペイント、紙、ゴム用の充填剤として、また、断熱などのための耐火材料としても使用されている 。
【0006】
特に、水酸化炭酸マグネシウムは、食品、医薬品および栄養剤(dietetic preparation)のマグネシウム強化用の無機物質としてよく用いられている。水酸化炭酸マグネシウムは、マグネシウム含量が比較的高く、しかも有利な価格で入手できるので、好ましくは錠剤(圧縮錠)の構成成分として、例えば、チュアブル錠および発泡錠中にも使用される。発泡錠においては、水酸化炭酸マグネシウムはさらに、 発泡効果を生じさせるための二酸化炭素源としても作用する。この種類の圧縮錠は好ましくは、直接打錠法によって、すなわち、事前の造粒ステップを行わずに製造される。
【0007】
しかし、今日まで知られている粉末水酸化炭酸マグネシウムは、流動性が乏しく、圧縮性が欠如しているため、特殊な添加剤を用いるかまたは特殊な前処理を行わなければ、直接打錠できない。
【0008】
EP0460923は、塩基性炭酸マグネシウムの調製を記載しており、BET表面積が10〜70m/gの塩基性炭酸マグネシウムを特許請求している。開示されている例は、最高38m/g(表1)のBET表面積を有する。これらの材料について、平均粒径1〜50μmのものが特許請求されているが、実施例によって確認されている平均粒径は3.8〜6.0μmの範囲(表1)のみである。一方、これに対応する、実際に市販されている唯一の製品は、Lehmann & Voss製の「PharMagnesia MC Type A粒状物」であり、そのBET表面積は32m/gである。
【0009】
EP0460923において、塩基性炭酸マグネシウムは、「結晶化助剤」を添加して硫酸マグネシウム7水和物と炭酸ナトリウムとを反応させることによって調製される(表1)。高いBET表面積および高い細孔容積を得るには、反応器中に反応体を固体として投入することが、そうしなければその発明による生成物を得ることができないので、どうしても必要である。既に事前溶解されている反応生成物の使用は、明らかに除外される。
【0010】
市販されておりかつ「直接圧縮可能である」と特許請求されている、純粋な水酸化炭酸マグネシウムの圧縮性を検討しても、圧縮性は疑わしい。より良好な打錠性は、脆いマグネシウム塩と、例えば澱粉の形態の可塑化成分との組み合わせによって達成される。このような組成物は、よりよく圧縮できるが、結合剤が添加されているために、マグネシウム含量が減少している。さらに、このような組成物は、単純な薬局方のモノグラフによってもはや特徴付けることができない。特に、このことは、医薬製剤の調製において、登録または文書作成の際に使用者にとって問題となる場合がある。加えて、これらの組成物の調製は、例えば顆粒化を必須とする追加のプロセス工程等があることから、かなり複雑である 。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
〔目的〕
したがって、本発明の目的は、調製が簡単で、可能な限り高いマグネシウム含量を有し、従来の薬局方の純度規格を満たし、添加剤をさらに加えずに圧縮プロセスにおいて直接使用して圧縮できる、安価な水酸化炭酸マグネシウムを提供することである。本発明のさらなる目的は、この種類の直接圧縮可能な水酸化炭酸マグネシウムを調製することが簡単で低コストの方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
〔目的の達成〕
本発明の目的は、出発塩の水溶液から水酸化炭酸マグネシウムを連続法で沈殿させ、続いてそれを乾燥プロセスに供することによって、達成される。改良された調製方法により、市販製品と比較して、特に有利な医薬製剤の特性を有し且つ著しく高いBET表面積を示す、外観が改良された水酸化炭酸マグネシウムが得られる。本発明によるこの新規材料は、非常にうまく直接打錠でき、純度基準でも、いわゆる重質水酸化炭酸マグネシウム(重質塩基性炭酸マグネシウム)に関する欧州薬局方(PhEur)、英国薬局方(BP)、米国薬局方(USP)およびE504の規格を満たすことができる。
【0013】
特に、本発明の目的は、10kN〜20kNの範囲の押圧力を用いる圧縮によって直接圧縮して、80N超から200N超の範囲の硬度かつ0.2重量%未満の摩損度を有する錠剤を生成できる、(欧州薬局方、英国薬局方、米国薬局方およびE504の純度規格による、重質の)直接圧縮可能な水酸化炭酸マグネシウムを提供することによって達成される。この水酸化炭酸マグネシウムは、同様に、10kN〜20kNの範囲の押圧力を用いる圧縮によって圧縮して、0.1重量%未満の摩損度を有する錠剤を生成できる。したがって、本発明は特に、BET表面積が少なくとも44〜70m/g、好ましくは50m/gより大きい、この種類の水酸化炭酸マグネシウムに関する。同時に、この水酸化炭酸マグネシウムは、0.25〜0.80g/mlの範囲、特に0.40〜0.60g/mlの範囲の嵩密度、および0.35〜0.90g/mlの範囲、特に0.50〜0.80g/mlの範囲のタップ密度を有する。用語「嵩密度」および「タップ密度」の代わりに、用語「嵩重量」および「タップ重量」も慣用されている。さらにまた、この水酸化炭酸マグネシウムは、好ましくは、20〜60μmの範囲の平均粒径(レーザー;D0.50)を有する。
【0014】
本発明によれば、この水酸化炭酸マグネシウムは連続反応で調製でき、溶液中のマグネシウム含量が2〜11重量%特に好ましくは3〜6重量%であるマグネシウム塩の加温溶液と、溶液中の炭酸塩含量が2〜18重量%好ましくは3〜15重量%であるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩の加温溶液とが、管型反応器中で60〜70℃の範囲の温度で混合され、pHが8.5〜9.0の範囲に維持される。続いて、沈降した水酸化炭酸マグネシウムが濾去され、次いで対流乾燥機中で、含量が40〜43.5重量%(MgOとして計算)となるまで乾燥される。
本発明はまた、請求項1〜6の1つまたは複数に記載の直接圧縮可能な水酸化炭酸マグネシウムを、請求項10〜12の錠剤製剤(tablet formulation)の成分として使用することに関する。
【0015】
特に、本発明はまた、本発明による直接圧縮可能な水酸化炭酸マグネシウムの調製方法に関する。この方法は、
a)マグネシウム含量が2〜11重量%、好ましくは3〜10重量%、特に3〜6重量%であるマグネシウム塩の加温溶液、および炭酸塩含量が2〜18重量%、好ましくは3〜16重量%、特に好ましくは3〜15重量%、特に好ましくは7〜10重量%であるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩の加温溶液を、管型反応器中に連続的にポンプ注入し、混合して、反応溶液が温度60〜70℃およびpH範囲8.5〜9.0に設定され、且つ生成された水酸化炭酸マグネシウムが沈殿するようにし、
b)必要であればしばらく沈降させた後に、生成物を含有している反応混合物から沈殿生成物を濾去し、乾燥させる、
ことを特徴とする。それに続く乾燥は、対流乾燥機中で、好ましくは流動床乾燥機中で行うのが好ましい。濾去された生成物は、ここで、含量が40〜43.5重量%(MgOとして計算)となるまで乾燥される。生成物を分離する前に、生成物を含有している反応混合物を温度範囲55〜65℃で10〜45分間沈降させるのが有利である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】表4のデータに基づく押圧力と錠剤硬度の関係を示す図である。
【図2】表5のデータに基づく押圧力と錠剤硬度の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔発明の詳細な説明〕
本発明に係る水酸化炭酸マグネシウムは、マグネシウム含量が高用量の錠剤(圧縮錠)を簡単な方法で安価に製造できる、直接打錠性が最適化された生成物を、調剤薬剤師(formulation pharmacist)に与える。特に、この水酸化炭酸マグネシウムは、特定の顆粒化ステップにおいて前処理を行わずに、打錠のために直接使用できる。
【0018】
本発明に係る生成物の調製のためには、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩と可溶性マグネシウム塩(例えば、加温された溶液の形態の塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムまたは同様な可溶性塩)とを、別々に適当な反応器中にポンプ注入し、それら自体を連続法で反応させる。生成された生成物は析出する。これを、任意選択で実施される追加の処理ステップの後に、乾燥プロセスによって、例えば、対流乾燥によって、好ましくは流動床中での乾燥によって、粉末の形態に変換する。それ以外に、さらなる処理は必要ない。このようにして得られる材料は、食品および医薬品業界の純度基準を満たし、44〜70m/gの範囲の高いBET表面積によって差別化される。直接打錠は、医薬業界において常用される打錠助剤と混合し、続いて圧縮するだけで実施できる。このようにして調製される水酸化炭酸マグネシウムを使用することにより、今日に至るまで市販されている直接圧縮可能な水酸化炭酸マグネシウムを使用する場合よりも、同じ押圧力でより高い錠剤硬度を得ることができる。
【0019】
本発明に係る生成物は好ましくは、連続法で調製される。この方法を実施するために、出発原料を水に溶解させる。出発原料は、炭酸塩、特にアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、および適当なマグネシウム塩(例えば、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムまたは同様な可溶性塩)、特に好ましくは塩化マグネシウムである。
【0020】
加温しながら、炭酸塩から各炭酸塩成分が約2〜18重量%、好ましくは約3〜15重量%、特に好ましくは7〜10重量%の濃度である水溶液を調製する。マグネシウム塩、好ましくは塩化マグネシウムから、マグネシウム含量が2〜11重量%、好ましくは3〜10重量%、特に好ましくは3〜6重量%の水溶液を調製する。溶液の含量は、実際には溶液の密度との相関によって調節される。密度は、当業者に周知の種々の方法によって測定できる。工業用には、例えば振動トランスデューサーを装着した密度計を用いる電気音響法が、簡単に実施でき且つオンラインで直接評価できるので、好ましい。出発溶液の調製は、このように、適当な分配装置と組み合わせて簡単な方法で自動化できる。使用されるマグネシウム塩に依存するが、マグネシウム塩は発熱反応によって水中で溶解される。必要であれば、得られたマグネシウム塩溶液は加温される。速い反応を保証するために、マグネシウム塩溶液中のpHは、4.5〜6.0の範囲、好ましくは5〜5.5の範囲に設定される。必要であれば、pHは、補足的な酸または適当な塩基、例えば、MgOの添加によって調整可能である。
【0021】
得られた溶液は、次いで、制御条件下で互いに連続的に混合される。この目的のために、溶液は加温され、温度を実質的に一定の範囲に維持しながら、互いに混合される。同時に、pHは特定の範囲に設定されて制御される。薬局方の規格を満たし且つ直接圧縮可能な純粋な生成物が、「結晶化助剤」を添加することなく、このようにして得られる。
【0022】
本発明によれば、この沈殿反応は、液相中で連続反応を実施するのに適当であり且つ供給した媒体を確実に混合できる、任意の反応器中で実施できる。しかし、事前に加温した出発溶液を連続的にポンプ注入し、且つ生成された生成物を含有する反応混合物が、ポンプ速度に応じて、その後に設定できる平均滞留時間の後に連続的に流出する管型反応器の使用が、本発明に係る水酸化炭酸マグネシウムの調製に特に適当であることが判明した。実施した実験において、反応器内の平均滞留時間は4〜20分間、特に7〜15分間が特に適当であることが判明した。塩の反応によって既に生成された沈殿結晶生成物は、このようにして得られた反応混合物中に存在し、それ自体を周知の方法によって直接分離し、乾燥できる。
【0023】
連続反応を実施するためには、内径300mmおよび長さ3300mmの管型反応器の使用が特に奏功することが判明した。しかし、反応液体の適当な混合が維持されるならば、この種類の適当な管型反応器の寸法は、目的とする処理量に応じて調節できる。これに対応する調節は、適当な実験による化学反応装置のスケールアップまたはスケールダウンに精通している当業者であれば、容易に実施できる。
【0024】
本発明において好ましい管型反応器中で反応を実施するために、別個に加温した塩溶液がポンプによって管型反応器中に投入されて、約1300L/時、好ましくは約1500L/時の量の液体の流れが管型反応器を通るようにされる。
【0025】
反応溶液中のpH範囲を8.5〜9.0におよび温度を60〜70℃に維持しながら、目的とする水酸化炭酸マグネシウムが沈殿される。出発溶液の混合時に、pHはそれ自体が自動的に所望の値に設定される。必要ならば、pHは、少量の酸化マグネシウムまたは対応する酸の添加によって調整できる。反応器が、それに応じた測定装置および計量装置を装着している場合には、pH調整は反応中にも実施できる。しかし、pHが、出発溶液の混合時に自動的に所望の範囲に設定されるように、出発溶液のpHを予め設定することがより都合よい。
【0026】
得られた生成物を含有する反応混合物を適当な貯蔵容器中に収集して、しばらく沈降させると、生成物の特性が改善されることが、複数の連続する実験から分かった。このようにして、塩相互の反応と、目的生成物の沈殿とを共に完了させることができる。沈殿結晶生成物は、反応混合物から直接、またはそれに対応した沈降時間の後に分離させることができる。反応によって得られた懸濁液は、収集し、沈降させることが、それ自体有利であることが判明した。これはまた、得られた懸濁液が濾過ユニットに均一に供給できる点でも有利である。
【0027】
生成物の分離は、当業者に周知の方法で、例えば、遠心分離または濾過によって実施できる。濾過による分離が、特に適当である。生成物の連続分離には、ベルト濾過が適当であることが判明した。
【0028】
濾過される液体は、適当な不織布または織布からなるフィルターシートに連続的に供給される。分離される粒子は、フィルターシート上に保持され、粒子を除かれた液体が排出されて廃棄される。フィルターシート上に残った残渣は、いわゆる濾過ケーキを形成し、これは、まだフィルターベルト上にある間に、精製のために純水によって洗浄できるが、適当な溶媒によっても洗浄できる。濾過後直ちに、洗浄された濾過ケーキが乾燥に送られる。全操作は、液流を中断することなく、連続的に且つ完全に自動的に実施できる。
【0029】
沈殿した水酸化炭酸マグネシウムの分離後の乾燥ステップは、当業者に周知の種々の方法で実施できる。得られた生成物が焼けないように、直後の乾燥は対流乾燥によって実施されることが好ましい。乾燥は特に好ましくは、流動床中で実施される。このために、分離された湿った水酸化炭酸マグネシウムは、それに応じた乾燥機の流動床中に移されて乾燥される。乾燥機中に吹き込まれる空気の温度は、ここでは250℃未満とすることができる。しかし、乾燥は好ましくは中温で実施される。湿った水酸化炭酸マグネシウムは、このようにして含量が40〜43.5重量%(MgOとして計算)となるまで乾燥される。
【0030】
乾燥は好ましくは、適当な対流乾燥機、または温度が好ましくは70〜140℃の範囲の加温空気を用いて操作される流動床乾燥機を使用して実施される。例えば、Glatt(ドイツ)製のWST/WSG型の流動床乾燥機が、この目的に適当である。しかし、同等の市販装置も使用できる。
【0031】
乾燥のために、一定量の濾去された生成物が、最初に流動床装置[GPCG5/Glatt(ドイツ)]中に投入される。材料が微細成分に分解されるまで、材料に温風が通される。ここで約70℃から250℃未満の範囲、好ましくは70〜140℃の範囲の温度の供給空気を供給する場合には、貫流している一定量の空気に対して、排気空気の温度は対応して比較的低い範囲に設定される。貫流空気の量は好ましくは、約370〜450Nm/時に調整される。供給空気の温度が好ましい範囲である場合には、排気空気の温度は約35〜65℃に設定される。約15〜20分間の乾燥後、材料は通常、流動化し始める。この時点で、排気空気の量は、温度分布を維持することによって、135〜165Nm/時に低減できる。生成物が望ましい湿分を有するようになるまで、乾燥が続けられる。生成物中に存在するどんなに頑強な塊でも、適当な篩による篩い分けによって除去できる。これを目的として、メッシュ幅710μm以下の篩を使用できる。乾燥プロセスを終了させ、欧州薬局方に従って含量測定が行われる。含量の測定値(MgOとしての計算値)が過度に低い値を示す場合には、乾燥を続けなければならない。
【0032】
欧州薬局方、米国薬局方、英国薬局方、E504に従って「塩基性重質炭酸マグネシウム」として特徴づけられる、打錠性に関して改善された特性を有する水酸化炭酸マグネシウムが、記載された方法で得られる。
【0033】
結合剤を添加しなくてもまた事前に顆粒化を追加しなくても、得られる生成物は非常に良好な打錠性を有する。即ち、それ自体が脆い水酸化炭酸マグネシウムを、低い押圧力であっても、良好な硬度を有する錠剤に変換でき、錠剤は、従来の同等の錠剤よりも磨耗性が著しく低い。したがって、本発明に係る水酸化炭酸マグネシウムは、同等の市販DC炭酸マグネシウムよりも著しく良好に作用する。
【0034】
結合剤(澱粉10%)の添加によって直接圧縮可能な形態に変換されている炭酸マグネシウムである市販グレードと比較しても、本発明に係る材料の打錠性は、少なくとも同等であるかまたはそれより良好である。
【0035】
さらに、本発明に係る材料が、市販製品によりもかなり大きいBET表面積を有することに加えて、著しく増大したBET細孔容積を有することが、実験によって示されている。これらの改良された特性は、外面的には、改良された粒径および粒子構造と関連し、錠剤の製造への使用においては、改善された圧縮性と関連する。得られた水酸化炭酸マグネシウムは、欧州薬局方、英国薬局方、米国薬局方およびE504の規格を満たし、更なる打錠助剤を用いずに簡単な方法で直接圧縮されて錠剤を得ることができ、また、10〜20kNの押圧力での圧縮によって80N超から200N超の範囲の硬度を有すると同時に0.2重量%未満、特に0.1重量%未満の摩損度を有する錠剤をもたらす。
【0036】
詳細には、この改善された材料は、44〜70m/gの範囲、好ましくは50m/gより大きい、増加されたBET表面積を有する。一方で、この生成物のBET細孔容積もまた、市販のDC炭酸マグネシウムと比較してかなり増加している。このように特徴付けられる水酸化炭酸マグネシウムは、0.25〜0.80g/mlの範囲、特に0.40〜0.60g/mlの範囲の嵩密度、および0.35〜0.90g/mlの範囲、特に0.50〜0.80g/mlの範囲のタップ密度を有する。
【0037】
これに対して、一方で、粒子構造は、対応する市販製品の場合よりもかなり粗く、測定された平均粒径のD(0.50)値は、20〜60μmの範囲、特に24〜60μmの範囲である。
【0038】
本発明に従って調製される直接圧縮可能な水酸化炭酸マグネシウムは、その改善された特性により、マグネシウム強化用の活性化合物を含有する錠剤製剤、チュアブル錠および口内錠、発泡錠、発泡散剤、カプセル製剤、または粉末製剤における構成成分として使用できる。しかし、これはまた、ビタミン、無機物質、微量元素、機能性食品成分を含む錠剤製剤の調製に、または活性化合物を含む錠剤製剤の調製に、または合成もしくは天然の色素、天然および/もしくはネーチャーアイデンティカルの香料、および/もしくは他の矯味剤、例えば、アスパルテーム、サッカリン、アセスルファムK、ネオヘスペリジン、スクラロース、タウマチンおよびステビオシドの群からのもの、またはフルーツ香料、フルーツ酸、矯味用植物エキス、並びに、医薬もしくは栄養活性化合物を含む錠剤製剤の調製に非常に適している。
【0039】
〔方法〕
材料の特性のキャラクタリゼーションに使用する機器および方法を、以下に示す:
【0040】
1.嵩密度は、DIN EN ISO 60:1999(ドイツ語版)に従って測定される。本明細書、実施例および表中のデータは、「グラム/ミリリットル」である。
【0041】
2.得られた生成物のタップ密度は、DIN EN ISO 787-11:1995(ドイツ語版)に従って測定される。本明細書、実施例および表中のデータは、「グラム/ミリリットル」である。
【0042】
3.得られた生成物の安息角は、DIN ISO 4324(ドイツ語版)に従って測定される。本明細書、実施例および表中のデータは、「度」である。
【0043】
4.打錠試験は、以下のようにして行なわれる:
打錠性を試験する材料492.5gを、Parteck LUB MST(植物性ステアリン酸マグネシウム)EMPROVE exp PhEur、BP、JP、NF、FCC Art.No.1.00663(Merck KGaA、ドイツ)7.5gと混合する。ステアリン酸マグネシウムは、実験室用タンブルミキサー(Turbula、Willy A.Bachofen、スイス)中の密封ステンレス鋼製容器(容量:約2L、高さ:約19.5cm、直径:約12cm(外部の寸法))中に、前もって250μmの篩によって堆積させ、その中で5分間混合する。500mgの錠剤(11mmパンチ、丸く平ら、面取り)を得るための圧縮は、Korsch EK 0−DMS搭載偏心打錠機(Korsch、ドイツ)上でCatman 5.0評価システム、Hottinger Baldwin Messtechnik−HBM(ドイツ)を用いて実施する。
【0044】
試験押圧力(公称設定値:5+/−1、10+/−2、20+/−2および30+/−2kN;有効に測定された実測値が実施例中に示されている)に応じて、少なくとも100個の錠剤が、圧縮データおよびそれらの医薬製剤の特性数の評価のために製造される。
【0045】
5.錠剤の硬度、直径および高さの測定:Erweka TBH 30 MD;Erweka(ドイツ);いずれの場合も押圧力当たり20個の錠剤の測定値からの平均データ(算術平均)である。
【0046】
6.錠剤の磨耗性の測定:摩損度試験機Erweka(ドイツ);機器パラメーターおよび測定性能は、Ph.Eur. 6th Edition 「Friability of uncoated tablets」に従う。
【0047】
7.錠剤の重量:押圧力当たり20個の錠剤の秤量による平均値(算術平均);天秤:Mettler AT201、Mettler(ドイツ)。
【0048】
8.乾燥減量の測定
Ph.Eur. 6th Edition、main work 2008、Volume 1、70頁、 method 2.2.32 d)に従って130℃で実施。
【0049】
9.粒径分布の測定:Malvern Instruments Ltd(英国)製のHydro 2000S(A)分散ユニットを装着した湿潤分散Mastersizer 2000 Ver.5.22、Serial Number:34403−97によるレーザー散乱;分散媒:脱イオン水、RI 1.330;ポンプ速度:2000rpm;撹拌速度:2000rpm;超音波持続時間:1秒、超音波レベル:100%、トレイ型:一般用;背景時間:7500ミリ秒、測定時間:7500ミリ秒;掩蔽限度(obscuration limit):10.0〜20.0%;評価−Fraunhofer;性能は、ISO13320−1ならびに技術マニュアルおよび機器製造業者の仕様書の情報に従う。
【0050】
10.BET表面積およびBET細孔容積(一点吸収総細孔容積)の測定:
性能および評価は、文献「BET Surface Area by Nitrogen Adsorption」、S.Brunauer ら(Journal of American Chemical Society,60,9,1938)、機器製造業者の仕様書およびDIN ISO 9277に従う。機器:Micromeritics Instrument Corporation社(米国)製のASAP 2420 V 1.03a Z;窒素;容積法;試料重量3g+/−10%、試料調製(目標温度の50℃まで3.0℃/分で、50℃で5時間、加熱することによって乾燥)。
【0051】
11.振動トランスデューサーを装着した密度計を用いる密度測定による炭酸塩およびマグネシウムを含有するバッチの含量測定:Anton Paar DMA 4500密度計(オーストリア);70℃で測定;
性能は、「Relative density」、Ph.Eur. 6th Edition、 main work 2008、Volume 1、33頁、method 2.2.5および欧州標準EN ISO 15212-1:1999、ドイツ語版の測定に従って実施:密度計は振動原理による。
【0052】
12.マグネシウム(MgOとして計算)の含量測定:Ph.Eur. 6th Edition 「Heavy, basic magnesium carbonate」に従う。
【0053】
前記記載における、「重質」グレードの水酸化炭酸マグネシウムのための一般に通用している純度規格値への言及は、下記の総説、モノグラフおよび指示書に関する。
【0054】
1.欧州薬局方(PhEur):
「Heavy, basic magnesium carbonate」または「Magnesii subcarbonas ponderosus」、European pharmacopoeia 6th Edition、main work 2008、Volume 3、monographs K-Z、official German edition、3143〜3144頁 Deutscher Apotheker Verlag Stuttgart, Govi-Verlag-Pharmazeutischer Verlag GmbH Eschborn ISBN 978-3-7692-3962-1。
【0055】
2.英局薬局方(BP):
「Heavy magnesium carbonate」 British Pharmacopoeia (BP) 2009、Volume II、General Notices Monographs、Medicinal and Pharmaceutical Substances(J-Z)、ISBN 978 0 11 322799 0、1263〜1264頁。
【0056】
3.米国薬局方(USP):
「Magnesium carbonate」、The United States Pharmacopeia 2009、USP 32-NF27、Volume 3、USP Monographs M-Z、ISBN 1-889788-69-2、USP 32、2828〜2829頁。
【0057】
4.E504:
「E504 (ii)Magnesium hydroxide carbonate」、Commission Directive 2008/84/EC of 27.August 2008 for stipulating specific purity criteria for food additives other than dyes and sweeteners、Official Journal of the European Union datead 20.09.2008 DE、L253/119頁。
【0058】
〔表および図のリスト〕
表1:反応条件、含量(本発明に係る実施例A〜E)。
【0059】
表2および表3:DC水酸化炭酸マグネシウム、重質:調合薬の特性、嵩密度、タップ密度、流れ角、粒径分布、BET表面積、細孔容積(本発明に係る実施例A〜Eを、粉末Fと、ならびに結合剤を用いなかった市販DC炭酸マグネシウム(G、H)および結合剤を用いた(I〜L)市販DC炭酸マグネシウムと比較)。
【0060】
表4:DC水酸化炭酸マグネシウム、重質:打錠データ(本発明に係る実施例A〜Eを、粉末Fと、および結合剤を用いなかった市販DC炭酸マグネシウム(G、H)と比較)。
【0061】
表5:DC水酸化炭酸マグネシウム、重質:打錠データ(本発明に係る実施例A〜Eを、粉末Fと、および澱粉10%を含む市販DC炭酸マグネシウム(I〜L)と比較)。
【0062】
図1:DC水酸化炭酸マグネシウム、重質:打錠データ[(本発明に係る実施例A〜E)対(粉末F)対(結合剤を含まない市販DC炭酸マグネシウム(G、H))]、押圧力の関数としての錠剤硬度(表4からのデータ)。
【0063】
図2:DC水酸化炭酸マグネシウム、重質:打錠データ(本発明に係る実施例A〜Eを、粉末Fと、および澱粉10%を含む市販DC炭酸マグネシウム(I〜L)と比較)、押圧の関数としての錠剤硬度(表5からのデータ)。
【0064】
更に明細書において、本発明をよりよく理解できるようにするためおよび本発明を説明するために、本発明の保護範囲内である本発明に係る水酸化炭酸マグネシウムの調製のための本発明に係る方法の例を示す。これらの実施例はまた、プロセスの変更可能性を例示するのに役立つ。しかし、記載された発明原理は一般化できるので、本出願の保護範囲はこれらの実施例にのみに限定されない。
【0065】
実施例および明細書ならびに特許請求の範囲において示された温度は、常に℃である。特に明記しない限り、含量データは、重量%または重量比である。
【0066】
さらにまた、以下の実施例および明細書の残りの部分のいずれにおいても、組成物中に存在する成分の量は、組成物全体を基準としており、常に、合計で100重量%、100モル%または100容量%となり、表中に示された%範囲からより高い値が生じ得たとしても、これを超えることはできないことは、当業者には言うまでもない。特に明記しない限り、%データは、容量データに示される比を除いて、重量%である。
【実施例】
【0067】
〔例〕
[水酸化炭酸マグネシウムの調製]
記載されたグレードの水酸化炭酸マグネシウムの調製は、炭酸ナトリウム溶液および塩化マグネシウム溶液からの生成物の連続沈殿、反応生成物の分離ならびに乾燥によって達成される。
【0068】
加温しながら、炭酸ナトリウム(NaCO)から溶液を調製する。塩化マグネシウム溶液の調製は、無水塩化マグネシウムMgClの使用時に、強い発熱反応として進行する。pHは、少量の37%塩酸または酸化マグネシウムの添加によって、5〜5.5に調整される。
【0069】
連続調製のために、3〜15%の炭酸塩熱溶液と2〜10%のMg熱溶液とが、ポンプによって管型反応器中に投入される。(これらの溶液は、溶液の総重量に基づき、表示した重量%の炭酸塩イオンまたはマグネシウムイオンがそれぞれ溶液中に存在するように調製される。)これらの成分は、炭酸イオン1モルに対してマグネシウムイオン0.6〜0.8モルのモル比で反応させられる。
溶液の含量調整は、実際には溶液の密度との相関によって行なわれる。使用される反応器は、内径300mm×長さ3300mの寸法を有する。この反応について測定された反応器中における平均滞留時間は、7〜15分間であった。
【0070】
沈殿は、さらなる熱源を用いることなくpH(pH8.5〜9.0)に注意を払いながら、60〜70℃の温度で直ちに行なわれる。生成された懸濁液は、濾過ユニットへの均一生成物の供給および反応の完了のために容器内で一時的に貯蔵されてから、ベルトフィルターユニット上で分離され、指定された化学品質パラメーターに従って洗浄される。
【0071】
そこで生成される濾過ケーキは、250℃未満の、好ましくは70〜140℃の熱風を用いて乾燥されて、組成4MgCO・Mg(OH)・4HOに相当する生成物が得られる。
【0072】
このようにして、欧州薬局方、米国薬局方、英国薬局方、E504に従って「塩基性重質炭酸マグネシウム」と特徴付けられる水酸化炭酸マグネシウムが得られる。
【0073】
それぞれ制御された方法で塩含量が調節された種々の実験実行データが、比較のために下記表1に再現されている。
【0074】
【表1】

【0075】
[実施例Cの乾燥についての記載]:
ベルトフィルターから取った湿った材料2000g(付着水50〜60%)が、最初にGPCG5/Glatt(ドイツ)流動床装置に投入される。材料が微細成分に分解されるまで、すなわち、頑強な塊が全て、710μmの篩による篩い分けによって除去されるまで、温風(供給空気温度70〜70.6℃;排気空気温度38.6〜42.7℃;空気量396〜416Nm/時)を材料に通す。約20分間乾燥後に材料が流動化し始めたら、排気空気の量を、140〜160Nm/時に減少させ(供給空気および排気空気の温度は不変のままである)、これらの条件下でさらに30分間乾燥させる。50〜55分間の総乾燥時間(および36℃における排気空気中の相対湿度20〜21%)の後、その工程を終了させ、欧州薬局方に従って含量測定を実施する。実収量780g(装置中で、例えばフィルター中でおよび装置壁への付着でわずかな材料損失)。含量測定(MgOとして測定)がより低い含量を示したら、乾燥を続けるべきである。
【0076】
[実施例Dの乾燥についての記載]:
ベルトフィルターから取った湿った材料2000g(付着水50〜60%)が、最初にGPCG5/Glatt(ドイツ)流動床装置に投入される。材料が微細成分に分解されるまで、すなわち、頑強な塊が全て、710μmの篩による篩い分けによって除去されるまで、温風(供給空気温度87.3〜90.3℃;排気空気温度39.5〜48.2℃;空気量396〜427Nm/時)を材料に通す。約20分間乾燥後に材料が流動化し始めたら、排気空気の量を、142〜159Nm/時に減少させ(供給空気と排気空気の温度は不変のままである)、これらの条件下でさらに30分間乾燥させる。50〜55分間の総乾燥時間(および40℃における排気空気中の相対湿度15〜16%)の後、その工程を終了させ、欧州薬局方に従って含量測定を実施する。実収量780g(装置中で、例えばフィルター中でおよび装置壁への付着でわずかな材料損失)。含量測定(MgOとして測定)がより低い含量を示したら、乾燥を続けるべきである。
【0077】
【表2】

【0078】
【表3】

【0079】
【表4】

【0080】
【表5】

【0081】
比較実験に使用した、市販グレードの粉末製品および直接圧縮可能な重質水酸化炭酸マグネシウム生成物:
F:1級(extra pure)の重質水酸化炭酸マグネシウム、欧州薬局方、英国薬局方、米国薬局方およびE504、Merck KGaA、Darmstadt[ドイツ、Art.No.1.05829、バッチK38796529(これは、特許請求しているDC特性を有しない粉末製品)、
G:英国薬局方、米国薬局方、欧州薬局方、CALMAGS GmbH、Luneburg[ドイツ]、バッチ308075060に従う純度の、顆粒化されているNutriMag MC DC重質炭酸マグネシウム(医薬品グレード)、
H:Pharmagnesia MC A型顆粒、重質炭酸マグネシウム、顆粒、医薬品グレード、EP、E504、Lehmann & Voss、Hamburg[ドイツ]、Art. No.2420230、バッチ:0805−089、
I:澱粉10%を含んでいるSCORAMAG DC 90ST、Scora、Caffiers[フランス]、バッチ:07/348/C414、
K:コーンスターチ約10%を含んでいる炭酸マグネシウムDC90S/C、顆粒、Dr.Paul Lohmann、Emmerthal[ドイツ]、Art. No.501003036270、バッチ:234298、
L:コーンスターチ約10%を含んでいる炭酸マグネシウムDC90S/F、顆粒、Dr.Paul Lohmann、Emmerthal[ドイツ]、Art. No.501003036280、バッチ:138252。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10kN〜20kNの範囲の押圧力を用いる圧縮によって直接圧縮されて80N超から200N超の範囲の硬度および0.2重量%未満の摩損度を有する錠剤が生成される、(欧州薬局方、英国薬局方、米国薬局方およびE504の規格による、重質の)直接圧縮可能な水酸化炭酸マグネシウム。
【請求項2】
10kN〜20kNの範囲の押圧力を用いる圧縮によって圧縮されて0.1重量%未満の摩損度を有する錠剤が生成される、請求項1に記載の直接圧縮可能な水酸化炭酸マグネシウム。
【請求項3】
BET表面積が少なくとも44〜70m/g、好ましくは50m/gより大きい、請求項1または2に記載の直接圧縮可能な水酸化炭酸マグネシウム。
【請求項4】
嵩密度が0.40〜0.60g/mlであって、かつタップ密度が0.50〜0.80g/mlである、請求項1〜3のいずれかの一項に記載の直接圧縮可能な水酸化炭酸マグネシウム。
【請求項5】
平均粒径(レーザー;D(0.50))が20〜60μmの範囲、特に24〜60μmの範囲である、請求項1〜4のいずれかの一項に記載の直接圧縮可能な水酸化炭酸マグネシウム。
【請求項6】
管型反応器中であって、温度範囲が60〜70℃でpHが8.5〜9.0であり、溶液中のマグネシウム含量が2〜11重量%特に好ましくは3〜6重量%であるマグネシウム塩および溶液中の炭酸塩含量が2〜18重量%好ましくは3〜15重量%であるアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩の加温溶液中での連続反応、それに続く、濾過による沈殿炭酸マグネシウムの除去、それに続く、対流乾燥機中での40〜43.5重量%の含量(MgOとして計算)までの乾燥によって調製できる、請求項1〜5のいずれかの一項に記載の直接圧縮可能な水酸化炭酸マグネシウム。
【請求項7】
a)マグネシウム含量が2〜11重量%特に好ましくは3〜6重量%であるマグネシウム塩の加温溶液、および、炭酸塩含量が2〜18重量%特に好ましくは3〜15重量%であるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩の加温溶液が、管型反応器中に連続的にポンプ注入され、混合されて、反応溶液が温度60〜70℃、およびpH範囲8.5〜9.0に設定され、且つ、生成された水酸化炭酸マグネシウムが沈殿するようにされ、及び、
b)必要であればしばらく沈降させた後に、生成物を含有している反応混合物から沈殿生成物を濾去し、乾燥させる、ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかの一項に記載の直接圧縮可能な水酸化炭酸マグネシウムの調製方法。
【請求項8】
濾去された生成物を、流動床乾燥機または対流乾燥機中で乾燥させることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
濾去された生成物を40〜43.5重量%(MgOとして計算)の含量まで乾燥させることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
マグネシウム強化用の活性化合物を含有する錠剤製剤、チュアブル錠および口内錠、発泡錠、発泡散剤、カプセル製剤、または粉末製剤における構成成分としての、請求項1〜6のいずれかの一項に記載の圧縮可能な水酸化炭酸マグネシウムの使用。
【請求項11】
ビタミン、無機物質、微量元素、機能性食品成分または活性化合物を含む錠剤製剤の調製のための、請求項1〜6のいずれかの一項に記載の圧縮可能な水酸化炭酸マグネシウムの使用。
【請求項12】
合成もしくは天然の色素、天然および/もしくはネーチャーアイデンティカルの香料および/もしくは他の矯味剤、例えば、アスパルテーム、サッカリン、アセスルファムK、ネオヘスペリジン、スクラロース、タウマチンおよびステビオシドの群からのもの、またはフルーツ香料、フルーツ酸、矯味用植物エキス、並びに、医薬もしくは栄養活性化合物を含む錠剤製剤の調製のための、請求項1〜6のいずれかの一項に記載の圧縮可能な水酸化炭酸マグネシウムの使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−518833(P2013−518833A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551529(P2012−551529)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000045
【国際公開番号】WO2011/095269
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】