説明

直流入出力制御装置の雷サージ保護システム

【課題】簡単な構成で雷サージから確実に保護するとともに直流入出力制御装置の誤制御を確実に防止する。
【解決手段】非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子5a,5b,5cを直流入力制御装置1aの複数の直流入力電子回路2a,2bに遠方入力IRa,IRbを接続する制御線3a,3bと、制御線3a,3bとは極性が異なる遠方入出力用直流電源装置4の出力との間に接続して、雷サージ保護素子5aに導通故障が生じても直流入力制御装置1aを安全側に制御して列車の安全運行が損なわれることを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄道の電子連動システムなどの直流入出力制御装置の雷サージ保護システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道の分野では列車を安全かつ効率的に運行するため、信号機や転てつ機などの相互間で、その取扱いについて一定の順序と制限をつける電子連動システムが開示されている。
【0003】
この電子連動システムにおいては、従来、大形の鉄道信号用電磁リレーを使用して直流入出力の制御が行われている。この鉄道信号用電磁リレーは、一般に雷サージ耐量が大きいため雷サージ保護の機能を必要としなかった。
【0004】
近年、鉄道信号分野の制御において電子化が趨勢になり、鉄道信号用電磁リレーに代わって電子回路による制御が行われている。この電子回路は雷サージ耐量が小さいため、特許文献1に示すように、雷サージ保護システムを設けることが必要になった。
【0005】
図5の回路構成図に示すように、遠方入力IRa,IRbに対応して片線制御の2回路の直流入力電子回路2a,2bがある直流入力制御装置1aに適用した従来の雷サージ保護システムは、遠方入力IRaと直流入力電子回路2aとの間の制御線3aと、遠方入力IRbと直流入力電子回路2bとの間の制御線3bと、直流入力電子回路2a,2bに一方の出力、例えばプラス側が接続され、遠方入力IRa,IRbに他方の出力例えばマイナス側が接続された遠方入出力用直流電源装置4と遠方入力IRa,IRbとの間の制御線3cにそれぞれ例えば酸化亜鉛(ZnO)素子からなる非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子5と放電管からなる雷サージ保護管6とを直列に接続した雷サージ保護手段7a〜7cを接続して接地することが一般的である。
【0006】
また、図6の回路構成図に示すように、遠方入出力用直流電源装置4のプラス側に接続された遠方入力IRa1と遠方入出力用直流電源装置4のマイナス側に接続された遠方入力IRa2の2回路の遠方入力IRaと、遠方入出力用直流電源装置4のプラス側に接続された遠方入力IRb1と遠方入出力用直流電源装置4のマイナス側に接続された遠方入力IRb2の2回路の遠方入力IRbに対応して両線制御の2回路の直流入力電子回路2a,2bがある直流入力制御装置1bに適用した従来の雷サージ保護システムは、遠方入力IRa1と直流入力電子回路2aとの間の制御線3a1と、遠方入力IRa2と直流入力電子回路2aとの間の制御線3a2と、遠方入力IRb1と直流入力電子回路2bとの間の制御線3b1と、遠方入力IRb2と直流入力電子回路2bとの間の制御線3b2とにそれぞれ例えば酸化亜鉛(ZnO)素子からなる非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子5と放電管からなる雷サージ保護管6とを直列に接続した雷サージ保護手段7a〜7dを接続して接地するとともに、遠方入出力用直流電源装置4と遠方入力IRa1,IRb1との間を接続する制御線3c1と、遠方入出力用直流電源装置4と遠方入力IRa2,IRb2との間を接続する制御線3c2と接地との間に雷サージ保護素子5と放電管からなる雷サージ保護管6とを直列に接続した雷サージ保護手段7e,7fを接続している。
【0007】
また、図7の回路構成図に示すように、遠方出力ORa,ORbに対応して片線制御の2回路の直流出力電子回路11a,11bがある直流出力制御装置10aに適用した従来の雷サージ保護システムは、遠方出力ORaと直流出力電子回路11aとの間の制御線3aと、遠方出力ORbと直流出力電子回路11bとの間の制御線3bと、直流出力電子回路11a,11bにプラス側が接続され、遠方出力ORa,ORbにマイナス側が接続された遠方入出力用直流電源装置4と遠方出力ORa,ORbとの間の制御線3cにそれぞれ例えば酸化亜鉛(ZnO)素子からなる非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子5と放電管からなる雷サージ保護管6とを直列に接続した雷サージ保護手段7a〜7cを接続して接地している。
【0008】
また、図8の回路構成図に示すように、両線制御の2回路の直流出力電子回路11a,11bがある直流出力制御装置10bに適用した従来の雷サージ保護システムは、両線制御出力の遠方出力ORaのプラス側と直流出力電子回路11aとの間の制御線3a1と、遠方出力ORaのマイナス側と直流出力電子回路11aとの間の制御線3a2と、両線制御出力の遠方出力ORbのプラス側と直流出力電子回路11bとの間の制御線3b1と、遠方出力ORbのマイナス側と直流出力電子回路11bとの間の制御線3b2とにそれぞれ例えば酸化亜鉛(ZnO)素子からなる非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子5と放電管からなる雷サージ保護管6とを直列に接続した雷サージ保護手段7a〜7dを接続して接地している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図5に示すように、遠方入力IRa,IRbに対応して片側制御の2回路の直流入力電子回路2a,2bがある直流入力制御装置1aに適用した従来の雷サージ保護システムにおいて、遠方入力IRaがオンで直流入力電子回路2aが入力ありで、遠方入力IRbがオフの状態のときに、雷サージ保護手段7a,7bが導通故障すると制御線3aと制御線3bが雷サージ保護手段7a,7bにより短絡されて直流入力電子回路2bは入力ありの状態になってしまう。この雷サージ保護手段7a,7bが同時に導通故障することはほとんど無いと考えられるが、一方の雷サージ保護手段7aが導通故障後に時間が経過して他方の雷サージ保護手段7bに導通故障が発生することによる多重導通故障の発生は無視できない。
【0010】
また、図6に示すように、両線制御の直流入力電子回路2a,2bがある直流入力制御装置1bに適用した従来の雷サージ保護システムにおいて、遠方入力IRaがオンで直流入力電子回路2aが入力ありで、遠方入力IRbがオフの状態のときに、制御線3a1と制御線3b1が混触し、雷サージ保護手段7b,7dが導通故障すると制御線3a2と制御線3b2が雷サージ保護手段7b,7dにより短絡されて直流入力電子回路2bは入力ありの状態になってしまう。同様に、遠方入力IRaがオンで直流入力電子回路2aに入力ありで、遠方入力IRbがオフの状態のときに、制御線3a2と制御線3b2が混触し、雷サージ保護手段7a,7cが導通故障すると制御線3a1と制御線3b1が雷サージ保護手段7a,7cにより短絡されて直流入力電子回路2bは入力ありの状態になってしまう。
【0011】
また、図7に示すように、遠方出力ORa,ORbに対応して片線制御の2回路の直流出力電子回路11a,11bがある直流出力制御装置10に適用した従来の雷サージ保護システムにおいて、直流出力電子回路11aが出力ありで遠方出力ORaがオンで、直流出力電子回路11bが出力なしで、遠方出力ORbがオフの状態のときに、雷サージ保護手段7a,7bが導通故障すると制御線3aと制御線3bが雷サージ保護手段7a,7bにより短絡されて直流出力電子回路11aによって遠方出力ORbはオンの状態になるおそれがある。
【0012】
さらに、図8に示すように、両線制御の直流出力電子回路11a,11bがある直流入出力制御装置10bに適用した従来の雷サージ保護システムにおいて、直流出力電子回路11aが出力ありで遠方出力ORaがオンで、直流出力電子回路11bが出力なしで遠方出力ORbがオフの状態のときに、制御線3a1と制御線3b1が混触し、雷サージ保護手段7b,7dが導通故障すると制御線3a2と制御線3b2が雷サージ保護手段7b,7dにより短絡されて直流出力電子回路11aによって遠方出力ORbはオンの状態になるおそれがある。同様に、直流出力電子回路11aが出力ありで遠方出力ORaがオンで、直流出力電子回路11bが出力なしで遠方出力ORbがオフの状態のときに、制御線3a2と制御線3b2が混触し、雷サージ保護手段7a,7cが導通故障すると制御線3a1と制御線3b1が雷サージ保護手段7a,7cにより短絡されて直流出力電子回路11aによって遠方出力ORbはオンの状態になるおそれがある。
【0013】
また、一般に、雷サージ保護手段7は大形で高価であり、全ての制御線に雷サージ保護手段7を接続することは、経済性とともに大きな設置スペースを必要とする問題もある。
【0014】
この発明は、このような問題を解消し、簡単な構成で雷サージから確実に保護するとともに直流入出力制御装置の誤制御を確実に防止することができる直流入出力制御装置の雷サージ保護システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明の直流入出力制御装置の雷サージ保護システムは、遠方入出力用直流電源の一方の出力を鉄道の電子連動システムなどの遠方入力の共通制御線に接続し、遠方入出力用直流電源の他方の出力が接続されて遠方入力を片線制御方式で制御する複数の直流入力電子回路を有する直流入出力制御装置の雷サージ保護システムにおいて、前記直流入出力制御装置の各直流入力電子回路に接続された入力制御線と前記直流入出力制御装置に接続された遠方入出力用直流電源の他方の出力との間に接続された非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子と、前記共通制御線と前記遠方入出力用直流電源の他方の出力との間に接続された非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子と、前記共通制御線と接地との間に接続され、非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子と放電管からなる雷サージ保護管とを直列に接続した雷サージ保護手段とを有することを特徴とする。
【0016】
この発明の第2の直流入出力制御装置の雷サージ保護システムは、遠方入出力用直流電源の一方の出力を鉄道の電子連動システムなどの遠方出力の共通制御線に接続し、遠方入出力用直流電源の他方の出力が接続されて遠方出力を片線制御方式で制御する複数の直流出力電子回路を有する直流入出力制御装置の雷サージ保護システムにおいて、前記直流入出力制御装置の各直流出力電子回路が接続された出力制御線と前記直流入出力制御装置に接続された遠方入出力用直流電源の一方の出力との間に接続された非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子と、前記共通制御線と接地との間に接続され、非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子と放電管からなる雷サージ保護管とを直列に接続した雷サージ保護手段とを有することを特徴とする。
【0017】
この発明の第3の直流入出力制御装置の雷サージ保護システムは、遠方入出力用直流電源のプラス出力とマイナス出力が接続されて遠方入力又は遠方出力を両線制御方式で制御する複数の直流入力電子回路又は複数の直流出力電子回路を有する直流入出力制御装置の雷サージ保護システムにおいて、前記直流入出力制御装置の直流入力電子回路又は直流出力電子回路に前記遠方入力又は遠方出力を接続する制御線と該制御線とは極性が異なる前記遠方入出力用直流電源の出力との間に接続された非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子と、前記遠方入出力用直流電源のプラス出力とマイナス出力との間に接続された非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子と、前記遠方入出力用直流電源のいずれかの出力と接地との間に接続され、非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子と放電管からなる雷サージ保護管とを直列に接続した雷サージ保護手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明は、非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子を直流入出力制御装置の複数の直流入力電子回路又は直流出力電子回路に遠方入力又は遠方出力を接続する制御線と、制御線とは極性が異なる遠方入出力用直流電源の出力との間に接続することにより、雷サージ保護素子に導通故障が生じても直流入出力制御装置を安全側に制御して列車の安全運行が損なわれることを防ぐことができる。
【0019】
また、雷サージ保護手段の数を最小限にすることにより、雷サージ保護機能の低価格化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】片線制御の直流入力電子回路を有する直流入力制御装置の雷サージ保護システムの構成を示すブロック図である。
【図2】両線制御の直流入力電子回路を有する直流入力制御装置の雷サージ保護システムの構成を示すブロック図である。
【図3】片線制御の直流出力電子回路を有する直流出力制御装置の雷サージ保護システムの構成を示すブロック図である。
【図4】両線制御の直流出力電子回路を有する直流出力制御装置の雷サージ保護システムの構成を示すブロック図である。
【図5】片線制御の直流入力電子回路を有する直流入力制御装置の従来の雷サージ保護システムの構成を示すブロック図である。
【図6】両線制御の直流入力電子回路を有する直流入力制御装置の従来の雷サージ保護システムの構成を示すブロック図である。
【図7】片線制御の直流出力電子回路を有する直流出力制御装置の従来の雷サージ保護システムの構成を示すブロック図である。
【図8】両線制御の直流出力電子回路を有する直流出力制御装置の従来の雷サージ保護システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1〜図4に基づき、この発明の雷サージ保護システムを詳細に説明する。
図1は、この発明の直流入力制御装置の雷サージ保護システムの構成を示すブロック図である。図に示すように、遠方入力IRa,IRbに対応して片線制御の2回路の直流入力電子回路2a,2bがある鉄道の電子連動システムなどの直流入力制御装置1aに適用した雷サージ保護システムは、遠方入力IRaと直流入力電子回路2aとの間の制御線3aと遠方入出力用直流電源装置4の一方の出力例えばプラス側に接続された例えば酸化亜鉛(ZnO)素子のような非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子5aと、遠方入力IRbと直流入力電子回路2bとの間の制御線3bと遠方入出力用直流電源装置4のプラス側に接続された雷サージ保護素子5bと、遠方入出力用直流電源装置4のプラス側とマイナス側に接続された雷サージ保護素子5cと、遠方入力IRa,IRbと遠方入出力用直流電源装置4のマイナス側の出力とを接続する制御線3cと接地との間に接続され、雷サージ保護素子5dと放電管からなる雷サージ保護管6dとを直列に接続した雷サージ保護手段7とを有する。直流入力電子回路2a,2bは例えばフォトカプラからなる。
【0022】
この雷サージ保護素子5a〜5dを構成するZnO素子は、印加電圧が低く、非直線現象が起こる前の領域で高抵抗となっており、雷サージが流れた後、印加電圧が低くなると絶縁抵抗が元の高抵抗となって絶縁性を回復して続流を防止することができる。また、雷サージ保護手段7の雷サージ保護管6を構成する放電管は雷サージのような高電位ではアーク放電を起こして電流を流し、一度放電が生じると電流を遮断しない限り通電状態のままになる。
【0023】
この雷サージ保護システムで遠方入力IRaがオンで直流入力電子回路2aが入力ありで、遠方入力IRbがオフの状態のときに、雷サージ保護素子5aが導通故障すると直流入力電子回路2aの入力は短絡されるので直流入力電子回路2aは入力なしの状態に制御される。同様に雷サージ保護素子5bが導通故障すると直流入力電子回路2bの入力は短絡されるので直流入力電子回路2bは入力なしの状態に制御される。また、雷サージ保護素子5cが導通故障すると遠方入出力用直流電源装置4の出力が短絡されるので、直流入力電子回路2aは入力なしの状態になる。鉄道の電子連動システムなどのでは入力なしの状態に制御することは安全側であり、雷サージ保護素子5a〜5cのいずれが導通故障しても直流入力制御装置1aを安全側に制御することができる。
【0024】
また、雷サージ保護素子5a〜5cを直流入力制御装置1aに内蔵することにより、直流入力制御装置1aを設置するとき雷サージ保護手段7だけを直流入力制御装置1aの外部に接続すれば良く、施工を容易に行なうことができる。
【0025】
また、図2に示すように、両線制御の直流入力電子回路2a,2bがある鉄道の電子連動システムなどの直流入力制御装置1bに適用した雷サージ保護システムは、2回路の遠方入力IRaの一方の遠方入力IRa1と直流入力電子回路2aとの間の制御線3a1と遠方入出力用直流電源装置4の一方の出力例えばマイナス側とに接続された例えば酸化亜鉛(ZnO)素子のような非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子5a1と、遠方入力IRa2と直流入力電子回路2aとの間の制御線3a2と遠方入出力用直流電源装置4の他方の出力例えばプラス側とに接続された雷サージ保護素子5a2と、2回路の遠方入力IRbの一方の遠方入力IRb1と直流入力電子回路2bとの間の制御線3b1と遠方入出力用直流電源装置4のマイナス側とに接続された雷サージ保護素子5b1と、遠方入力IRb2と直流入力電子回路2bとの間の制御線3b2と遠方入出力用直流電源装置4のプラス側とに接続された雷サージ保護素子5b2と、遠方入出力用直流電源装置4のプラス側とマイナス側に接続された雷サージ保護素子5cと、遠方入力IRa1,IRb1と遠方入出力用直流電源装置4のプラス側とを接続する制御線3c2と接地との間に接続され、雷サージ保護素子5dと放電管からなる雷サージ保護管6dとを直列に接続した雷サージ保護手段7とを有する。
【0026】
この雷サージ保護システムで遠方入力IRaがオンで直流入力電子回路2aが入力ありで、遠方入力IRbがオフの状態のときに、制御線3a1と制御線3b1が混触状態の場合、又は制御線3a2と制御線3b2が混触状態の場合、雷サージ保護素子5a1,5a2,5b1,5b2がどのように導通故障しても直流入力電子回路2bは入力なしの状態になって安全側に制御される。
【0027】
また、図3に示すように、遠方出力ORa,ORbに対応して片線制御の2回路の直流出力電子回路11a,11bがある直流出力制御装置10aに適用した雷サージ保護システムは、遠方出力ORaと直流出力電子回路11aとの間の制御線3aと遠方入出力用直流電源装置4の一方の出力例えばマイナス側とに接続された例えば酸化亜鉛(ZnO)素子のような非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子5aと、遠方出力ORbと直流出力電子回路11bとの間の制御線3bと遠方入出力用直流電源装置4のマイナス側とに接続された雷サージ保護素子5bと、遠方出力ORa,ORbと遠方入出力用直流電源装置4のマイナス側の出力とを接続する制御線3cと接地との間に接続され、雷サージ保護素子5dと放電管からなる雷サージ保護管6dとを直列に接続した雷サージ保護手段7とを有する。
【0028】
この雷サージ保護システムで直流出力電子回路11aが出力ありで遠方出力ORaがオンで、直流出力電子回路11bが出力なしで遠方出力ORbがオフの状態のときに、雷サージ保護素子5a,5bがどのように導通故障しても直流出力電子回路11bは出力なしの状態になって安全側に制御される。
【0029】
さらに、図4に示すように、両線制御の2回路の直流出力電子回路11a,11bがある直流出力制御装置10bに適用した雷サージ保護システムは、2回路の遠方出力ORaの一方の遠方出力ORa1と直流出力電子回路11aとの間の制御線3a1と遠方入出力用直流電源装置4の一方の出力例えばマイナス側とに接続された例えば酸化亜鉛(ZnO)素子のような非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子5a1と、2回路の遠方出力ORaの他方の遠方出力ORa2と直流出力電子回路11aとの間の制御線3a2と遠方入出力用直流電源装置4の他方の出力例えばプラス側とに接続された雷サージ保護素子5a2と、2回路の遠方出力ORbの一方の遠方出力ORb1と直流出力電子回路11bとの間の制御線3b1と遠方入出力用直流電源装置4のマイナス側とに接続された雷サージ保護素子5b1と、2回路の遠方出力ORbの他方の遠方出力ORb2と直流出力電子回路11bとの間の制御線3b2と遠方入出力用直流電源装置4のプラス側とに接続された雷サージ保護素子5b2と、遠方入出力用直流電源装置4のプラス側とマイナス側に接続された雷サージ保護素子5cと、遠方入出力用直流電源装置4のプラス側の出力と接地との間に接続され、雷サージ保護素子5dと放電管からなる雷サージ保護管6dとを直列に接続した雷サージ保護手段7とを有する。
【0030】
この雷サージ保護システムで直流出力電子回路11aが出力ありで遠方出力ORaがオンで、直流出力電子回路11bが出力なしで遠方出力ORbがオフの状態のときに、制御線3a1と制御線3b1が混触状態の場合、又は制御線3a2と制御線3b2が混触状態の場合、雷サージ保護素子5a1,5a2,5b1,5b2,5cがどのように導通故障しても直流出力電子回路11bは出力なしの状態になって安全側に制御される。
【符号の説明】
【0031】
IRa,IRb;遠方入力、ORa,ORb;遠方出力、1;直流入力制御装置、
2;直流入力電子回路、3;制御線、4;遠方入出力用直流電源装置、
5;雷サージ保護素子、6;雷サージ保護管、7;雷サージ保護手段、
10;直流出力制御装置、11;直流出力電子回路。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】特開2003−165440号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠方入出力用直流電源の一方の出力を鉄道の電子連動システムなどの遠方入力の共通制御線に接続し、遠方入出力用直流電源の他方の出力が接続されて遠方入力を片線制御方式で制御する複数の直流入力電子回路を有する直流入出力制御装置の雷サージ保護システムにおいて、
前記直流入出力制御装置の各直流入力電子回路に接続された入力制御線と前記直流入出力制御装置に接続された遠方入出力用直流電源の他方の出力との間に接続された非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子と、
前記共通制御線と前記遠方入出力用直流電源の他方の出力との間に接続された非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子と、
前記共通制御線と接地との間に接続され、非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子と放電管からなる雷サージ保護管とを直列に接続した雷サージ保護手段とを有することを特徴とする直流入出力制御装置の雷サージ保護システム。
【請求項2】
遠方入出力用直流電源の一方の出力を鉄道の電子連動システムなどの遠方出力の共通制御線に接続し、遠方入出力用直流電源の他方の出力が接続されて遠方出力を片線制御方式で制御する複数の直流出力電子回路を有する直流入出力制御装置の雷サージ保護システムにおいて、
前記直流入出力制御装置の各直流出力電子回路が接続された出力制御線と前記直流入出力制御装置に接続された遠方入出力用直流電源の一方の出力との間に接続された非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子と、
前記共通制御線と接地との間に接続され、非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子と放電管からなる雷サージ保護管とを直列に接続した雷サージ保護手段とを有することを特徴とする直流入出力制御装置の雷サージ保護システム。
【請求項3】
遠方入出力用直流電源のプラス出力とマイナス出力が接続されて遠方入力又は遠方出力を両線制御方式で制御する複数の直流入力電子回路又は複数の直流出力電子回路を有する直流入出力制御装置の雷サージ保護システムにおいて、
前記直流入出力制御装置の直流入力電子回路又は直流出力電子回路に前記遠方入力又は遠方出力を接続する制御線と該制御線とは極性が異なる前記遠方入出力用直流電源の出力との間に接続された非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子と、
前記遠方入出力用直流電源のプラス出力とマイナス出力との間に接続された非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子と、
前記遠方入出力用直流電源のいずれかの出力と接地との間に接続され、非線形抵抗素子からなる雷サージ保護素子と放電管からなる雷サージ保護管とを直列に接続した雷サージ保護手段とを有することを特徴とする直流入出力制御装置の雷サージ保護システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−279187(P2010−279187A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129911(P2009−129911)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000001292)株式会社京三製作所 (324)
【Fターム(参考)】