説明

直流電動機

【課題】ブラシ保持プレートに汎用性を持たせてコストの低減を図るとともに、ブラシを限界まで使用して、寿命を長くすることができるようにした直流電動機を提供する。
【解決手段】ブラシホルダ41〜44をブラシ保持プレート3と別体に構成し、互いに嵌合し合ってブラシホルダ41〜44をブラシ保持プレート3に結合する結合部をブラシホルダ41〜44とブラシ保持プレート3との間に設けて、ブラシホルダ41〜44を結合部を介してブラシ保持プレート3に結合する。ブラシホルダ41〜44内のブラシ51〜54からピグテール61〜64を導出し、ブラシ51〜54を付勢するバネ7をブラシホルダ41〜44内に挿入するためにブラシホルダ41〜44に設けるスリット4cは、整流子2と反対側に位置する端部が閉じ、整流子2側の端部が整流子側に開口した状態で設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシと整流子とを有する整流機構を備えた直流電動機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
整流機構を備えた直流電動機は、例えば図11に示したように、ロータの回転軸1に取り付けられてロータ側のコイルに接続された整流子2と、整流子2を貫通させる孔部3aを中央部に有して、整流子2の径方向の外側に配置された円板状のブラシ保持プレート3′と、整流子2の径方向に伸びるようにしてブラシ保持プレート3′の表面側に保持されたブラシホルダ4′と、ブラシホルダ4′内にスライド自在に保持されて整流子2に接触させられたブラシ5とを備えている。ブラシホルダ4′は、ブラシ保持プレート3′に一体化されている。
【0003】
図12及び図13に示したように、ブラシホルダ4′は、天板4a1′と天板4a1′の幅方向の両端から同じ側(ブラシ保持プレート側)に突出した一対の側壁部4a2′,4a2′とを有するダクト状の形状に形成されていて、ブラシ保持プレート3′と一体に設けられている。ブラシホルダ4′の両側壁部4a2′,4a2′には、整流子の径方向に沿って延びるスリット4c′,4c′が設けられ、ブラシホルダ内に保持されたブラシに接続されたピグテール6が一方のスリット4c′を通してブラシホルダの外部に導出されている。また、ブラシ保持プレート3′に保持されて端部が他方のスリット4c′に挿入されたバネ7によりブラシホルダ内のブラシ5が整流子2側に付勢されている。整流子2と、ブラシ保持プレート3′と、ブラシ保持プレートにブラシホルダ4′を介して保持されたブラシ5とにより整流機構が構成されている。回転軸1には電機子コイルを備えた図示しないロータが取り付けられ、ロータの外側には界磁を備えたステータが配置される。ロータ及びステータと、上記整流機構とにより、直流電動機が構成される。
【0004】
従来のこの種の電動機においては、ブラシホルダ4′がブラシ保持プレート3′に一体に形成されていたため、ブラシホルダ4′内へのブラシ5の挿入を可能にするために、特許文献2に示されているように、ブラシホルダ4′の側壁部4a2′,4a2′に設けられたスリット4c′,4c′がブラシ保持プレート3′の外径側(整流子と反対側)に開口し、整流子2側に閉じた状態で設けられている。この種の電動機は、例えば、特許文献1や特許文献2に示されている。
【特許文献1】特開平9−308203号公報
【特許文献2】特開平2002−136061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の直流電動機においては、ブラシ保持プレート3′とブラシホルダ4′とを一体に形成していたが、ブラシホルダ4′の中空部の開口方向、及びスリット4c′の開口方向は、ブラシ保持プレート3′の中央部の孔の開口方向と異なるため、ブラシ保持プレート3′とブラシホルダとを一度に射出成形することはできない。ブラシホルダ4′をブラシ保持プレートに一体化するためには、ブラシ保持プレートを成形する際に、別工程で成形したブラシホルダ4′をスライド治具を用いて、ブラシ保持プレートを成型する金型内にインサートする必要があった。そのため、金型及び射出成型機として高価なものを用いる必要があり、製造コストが高くなるのを避けられなかった。
【0006】
またブラシホルダ4′の寸法、形状を変更した際には、ブラシ保持プレートを成型する金型全体を変更する必要があったため、種々の寸法、形状を有するブラシホルダに対してブラシ保持プレートを共用することができなかった。そのため、ブラシ保持プレートに汎用性を持たせることができず、ブラシホルダの形状を変更する毎にブラシホルダ及びブラシ保持プレート全体を成形し直す必要があり、コストが高くなるのを避けられなかった。
【0007】
更に、従来の直流電動機では、図13に示したように、ブラシホルダ4′の側壁部に設けるスリット4c′、4c′をブラシ保持プレート3′の径方向の外側(整流子2側)に開口させていたが、この場合、ブラシ5が摩耗して、ブラシ5を付勢するバネ7(図11参照)がスリット4c′の整流子2側の端部を閉じるガイドホルダの側壁部4a2′の端末部(整流子側の端部)に当接すると、ブラシを付勢することができなくなるため、それ以上ブラシを使用することができなくなり、直流電動機の寿命が短くなるという問題があった。ブラシの寿命を長くし、電動機の寿命を長くするためには、スリット4c′の整流子2側の端部を閉じるブラシホルダの側壁部4a2′の端末部の長さdを短くする必要があるが、ブラシホルダの機械的強度の関係から、側壁部4a2′の端末部の長さdを短くするには限度があり、電動機の寿命を延ばす上で限界があった。
【0008】
また従来の直流電動機では、ブラシ5を装着する際に、ブラシ保持プレートに固定されたブラシホルダ4の後端部側(整流子と反対側の端部側)から該ブラシホルダ内にブラシ5を挿入する必要があったため、ブラシの取り回しをするためにブラシに接続するピグテール6の長さに余裕を持たせておく必要があった。そのため、ブラシ装着後にピグテール6に弛みが生じるのを避けられず、弛んだピグテールが図において紙面の手前側に配置されるロータの電機子コイルに接触するのを防ぐために、ピグテールの成形作業が必要になり、面倒であった。また弛んだピグテールはブラシ保持プレートとロータのコイルとの間で相当の空間を占有するため、電動機の軸線方向寸法を短くして電動機の薄型化を図ることを要請された場合に、弛んだピグテールの存在が1つの制約になり、電動機の薄型化が妨げられることがあった。
【0009】
本発明の目的は、ブラシ保持プレート及びブラシホルダを成形する際にスライド治具によるインサート成形が可能な高価な射出成型機を用いる必要性を無くして製造コストの低減を図るとともに、ブラシ保持プレートに汎用性を持たせて量産効果によりブラシ保持プレートのコストの低減を図ることができるようにした直流電動機を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、ブラシを限界まで使用できるようにして、寿命を長くすることができるようにした直流電動機を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、ブラシに接続するピグテールの長さを従来より短くして、ブラシ装着後のピグテールの成形作業を不要とし、製造工数の削減を図るとともに、ピグテールが占有する空間を縮小して、軸線方向寸法を縮小し、小形化を図ることができるようにした直流電動機を提供することにある。
【0012】
本発明の更に他の目的は、ブラシホルダの形状の変更を容易にして、種々の形状、寸法を有するブラシの使用に容易に対応することができるようにした直流電動機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明が対象とする直流電動機は、整流子と、整流子の径方向の外側に配置されたブラシ保持プレートと、整流子の径方向に伸びるようにしてブラシ保持プレートの表面側に保持されたブラシホルダと、ブラシホルダ内にスライド自在に保持されて整流子に接触させられたブラシとを備えている。ブラシホルダには、整流子の径方向に沿って延びるスリットが設けられ、ブラシに接続されたピグテールがスリットを通してブラシホルダの外部に導出されると共に、ブラシ保持プレートに保持されて端部がスリットに挿入されたバネによりブラシホルダ内のブラシが整流子側に付勢されている。
【0014】
本発明においては、ブラシホルダが、ブラシ保持プレートと別体に構成されていて、互いに嵌合し合ってブラシホルダをブラシ保持プレートに結合する結合部がブラシホルダとブラシ保持プレートとの間に設けられ、ブラシホルダがこの結合部を介してブラシ保持プレートに結合されている。また、ブラシホルダに設けられたスリットは、整流子と反対側に位置する端部が閉じ、整流子側の端部が整流子側に開口した状態で設けられている。
【0015】
上記のように、ブラシホルダをブラシ保持プレートと別体に構成して、該ブラシホルダをブラシ保持プレートに取りつけるようにすると、ブラシホルダをブラシ保持プレートにインサート成形する高価な成型機を必要としないため、製造コストの削減を図ることができる。また、ブラシホルダは、単独で成形されるため、インサート成形することを考慮することなく、自由な寸法、形状を持たせて製作することができ、ブラシの寸法及び形状の変更に容易に対応することができる。
【0016】
上記のように、ブラシホルダをブラシ保持プレートと別体に構成するようにすると、使用するブラシの形状や寸法が変更になった場合にブラシホルダのみを変更すればよく、ブラシ保持プレートは変更する必要がないため、ブラシ保持プレートに汎用性を持たせることができ、量産効果によりブラシ保持プレートのコストの削減を図ることができる。
【0017】
また上記のように、ブラシホルダをブラシ保持プレートと別体に構成して、整流機構を組み立てる際にブラシホルダをブラシ保持プレートに結合するようにしておくと、ブラシをブラシ保持プレート上に配置した後にブラシホルダをブラシ保持プレートに取りつけてブラシホルダ内にブラシを組み込むことができるため、ブラシに接続しておくピグテールの長さは必要最小限の長さとすることができ、ブラシ保持プレートとロータのコイルとの間でピグテールが占有する空間の容積を小さくすることができ、電動機の軸線方向寸法の縮小を図る場合にピグテールの存在が制約になるのを防ぐことができる。従って、従来よりも薄型の電動機の設計を容易にすることができる。
【0018】
更に上記のように、ブラシホルダに設けるスリットを、整流子と反対側に位置する端部が閉じ、整流子側の端部が整流子側に開口したスリットとすると、ブラシをその寸法限界(ブラシ全体が摩耗するまで)まで使用することができるため、電動機の寿命を従来よりも長くすることができる。
【0019】
本発明の好ましい態様では、上記結合部が、整流子の径方向に沿ったブラシホルダのスライド運動を伴いながら相互に嵌合し合ってブラシホルダをブラシ保持プレートに結合するように構成されている。
【0020】
整流子の径方向に沿ったブラシホルダのスライド運動を伴いながら相互に嵌合し合ってブラシホルダをブラシ保持プレートに結合する結合部は、例えば、整流子の径方向に沿って伸びるガイドスロットと、該ガイドスロットにスライド可能に嵌合する被ガイド部(または凸部)とにより構成することができる。この場合、ガイドスロット及び被ガイド部は、互いに嵌合しあったときに整流子の径方向にはスライドし得るが、整流子の軸線方向にはスライドし得ないような(互いに拘束し合って分離しないような)断面形状を持つように構成し、ガイドスロットは、ブラシ保持プレート及びブラシホルダの一方に設け、被ガイド部はブラシ保持プレート及びブラシホルダの他方に設ける。また、ガイドスロットは、少なくともブラシ保持プレートの外周側に開口部を有して、ブラシ保持プレートの外周側から被ガイド部を受け入れることができるように形成しておく。
【0021】
ブラシホルダを所定の位置に位置決めするため、ブラシホルダが規定の位置に配置された状態にあるときに互いに嵌合してブラシホルダを規定位置に位置決めする凹凸嵌合部を上記結合部に設けておくことが好ましい。
【0022】
本発明の好ましい一態様では、ブラシホルダが、天板部と該天板部の幅方向の両端から同じ側に突出した1対の側壁部とを有して横断面がコの字形を呈するホルダ本体と、このホルダ本体の1対の側壁部のそれぞれの先端部から外側に突出した1対の張出部とを一体に有して、1対の側壁部の先端部にそれぞれ1対の薄肉部が形成されることにより該1対の側壁部のそれぞれの先端の手前の位置に1対の段部が形成されている。
【0023】
ブラシ保持プレートには、整流子の径方向に沿って平行に延びる1対のスロットからなるガイドスロットが、一端をブラシ保持プレートの外周に開口させ、他端を閉じた状態で形成されている。
【0024】
上記ガイドスロットを構成する各スロットは、ブラシホルダの1対の側壁部の先端部の薄肉部がスライド自在に嵌合し得る幅寸法を有して整流子の径方向に沿って平行に延びる1対の細隙部とブラシ保持プレートの裏面側でブラシホルダの1対の側壁部の先端の張出部をスライド自在に嵌合させる1対の凹部とを有し、ブラシホルダは、1対の側壁部の薄肉部及び張出部をそれぞれガイドスロットを構成する1対のスロットの細隙部及び凹部にスライド自在に嵌合させ、1対の段部をブラシ保持プレートの表面にスライド自在に当接させた状態でブラシ保持プレートに結合されて規定位置に配置されている。
【0025】
またブラシホルダに設けるスリットは、整流子と反対側に位置する端部が閉じ、整流子側の端部が整流子側に開口した状態でブラシホルダの側壁部に設けられている。
【0026】
そして、ブラシホルダが規定の位置に配置された状態にあるときに互いに嵌合してブラシホルダを規定位置に位置決めする凹凸嵌合部が、ブラシホルダとブラシ保持プレートとの間に設けられていて、この凹凸嵌合部の嵌合により、ブラシホルダが規定の位置に配置された状態に位置決め固定されるようになっている。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明によれば、ブラシホルダをブラシ保持プレートと別体に構成して、該ブラシホルダをブラシ保持プレートに取りつけるようにしたので、ブラシホルダをブラシ保持プレートにインサート成形する必要がない。従って、高価な成型機を必要せず、製造コストの削減を図ることができる。また、ブラシホルダは、単独で成形されるため、インサート成形することを考慮することなく、自由な寸法、形状を持たせて製作することができ、ブラシの寸法及び形状の変更に容易に対応することができる。
【0028】
また本発明によれば、ブラシホルダをブラシ保持プレートと別体に構成するようにしたので、使用するブラシの形状や寸法が変更になった場合にブラシホルダのみを変更すればよく、ブラシ保持プレートは変更する必要がない。そのため、ブラシ保持プレートに汎用性を持たせることができ、量産効果によりブラシ保持プレートのコストの削減を図ることができる。
【0029】
また本発明においては、ブラシホルダをブラシ保持プレートと別体に構成して、整流機構を組み立てる際にブラシホルダをブラシ保持プレートに結合するようにしたので、ブラシをブラシ保持プレート上に配置した後にブラシホルダをブラシ保持プレートに取りつけてブラシホルダ内にブラシを組み込むことができる。そのため、ブラシに接続しておくピグテールの長さを必要最小限の長さとすることができ、ブラシ保持プレートとロータのコイルとの間でピグテールが占有する空間の容積を小さくすることができ、従来よりも薄型の電動機の設計を容易にすることができる。
【0030】
更に本発明によれば、ブラシホルダに設けるスリットを、整流子と反対側に位置する端部が閉じ、整流子側の端部が開口した形にしたので、ブラシをその寸法限界(ブラシ全体が摩耗するまで)まで使用することができ、電動機の寿命を従来よりも長くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下図1ないし図8を参照して本発明の第1の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本実施形態において、ブラシ保持プレートの上にブラシを配置した状態を示した平面図、図2は図1の矢印Y2方向から見た要部の正面図、図3は本実施形態で用いるブラシホルダの斜視図、図4はブラシ保持プレートにブラシホルダを取りつけた状態を示した平面図、図5(A)は図4の矢印X5方向からブラシホルダ部分を見た側面図、図5(B)は図4の矢印Y5方向から見たブラシホルダ付近の正面図である。また図6は、ブラシホルダとブラシ保持プレートの結合部に設ける凹凸嵌合部を説明するための断面図、図7はブラシホルダ内のブラシを整流子に向けて付勢するバネを取り付け、ブラシ保持プレートの中心に整流子を配置した状態を示した平面図、図8は図7の矢印Y8方向から見た要部の正面図である。
【0032】
図1ないし図8において、3は円板状に形成されたブラシ保持プレートで、ブラシ保持プレート3の中央部には、整流子2(図7参照)を貫通させるための孔部3aが形成されている。ブラシ保持プレート3にはまた、該プレートの径方向(整流子2の径方向)に伸びる4つのガイドスロットG1〜G4が90度間隔で設けられている。各ガイドスロットは、ブラシ保持プレートの径方向に沿って平行に延びる一対のスロット301a,301bからなり、各ガイドスロットを構成するスロット301a,301bは、それぞれの一端がブラシ保持プレートの外周に開口し、他端が孔部3aの手前の位置で終端するように設けられている。
【0033】
図2に示したように、各ガイドスロットを構成するスロット301a,301bは、後記するブラシホルダの1対の側壁部の先端部の薄肉部がスライド自在に嵌合し得る幅寸法を有してブラシ保持プレートの径方向(整流子2の径方向)に沿って平行に延びる1対の細隙部301a1,301b1と、ブラシ保持プレートの裏面側でブラシホルダの1対の側壁部の先端の張出部をスライド自在に嵌合させる1対の凹部301a2,301b2とを有している。
【0034】
ガイドスロットG1〜G4のそれぞれを構成するスロット301a,301bの間に、ブラシ保持プレートに片持ちで支持された舌片状のブラシ保持板302が形成され、ガイドスロットG1〜G4相互間に扇形の保持板部303ないし306が形成されている。
【0035】
ガイドスロットG1とG2との間の保持板部303の表面には、その両側のガイドスロットG1及びG2の側方に位置させて円柱状のバネサポートS1及びS2が形成され、これらのバネサポートの側方に円弧状のバネガイド突起C1及びC2が形成されている。
【0036】
またガイドスロットG3とG4との間の保持板部305の表面には、その両側のガイドスロットG3及びG4の側方に位置させて円柱状のバネサポートS3及びS4が形成され、これらのバネサポートの側方に円弧状のバネガイド突起C3及びC4が形成されている。各バネサポートにはバネの一端を受け入れるための溝gが形成されている。
【0037】
またガイドスロットG2とG3との間の保持板部304の表面には、ピグテール接続端子金具310が取り付けられている。ピグテール接続端子金具310には、その両側のガイドスロットG2及びG3にそれぞれ結合されるブラシホルダ42及び43内に保持されるブラシ52及び53に接続されたピグテール62及び63の一端が接続されるピグテール接続部310a及び310bが設けられている。
【0038】
ガイドスロットG4とG1との間の保持板部306の表面には、ピグテール接続端子金具311が取り付けられている。ピグテール接続端子金具311には、その両側のガイドスロットG4及びG1に結合されるブラシホルダ44及び41内に保持されるブラシ54及び51に接続されたピグテール64及び61の一端が接続されるピグテール接続部311a及び311bが設けられている。ピグテール接続端子金具310及び311は、直流電動機の入力端子に接続される。
【0039】
ブラシ保持プレート3の中心の孔部3aの周辺部には、ガイドスロットG1ないしG4のそれぞれの前方に位置させて、ガイドスロットG1ないしG4にそれぞれ結合されて保持されたブラシホルダ41ないし44の先端にそれぞれのブラシホルダの幅方向の両側から係合して各ブラシホルダを位置決め固定する1対の位置決めピンp,qが形成されている。
【0040】
ブラシ保持プレート3のガイドスロットG1,G2間に形成された保持板部303には、バネサポートS1及びS2の近傍に位置させて、保持板部303を貫通した取付孔h1が形成され、ガイドスロットG3,G4間に形成された保持板部305には、バネサポートS3及びS4の近傍に位置させて、保持板部305を貫通した取付孔h3が形成されている。
【0041】
またブラシ保持プレート3のガイドスロットG2,G3間に形成された保持板部304には、ガイドスロットG3の近傍に位置させて、保持板部303を貫通した取付孔h2が形成され、ガイドスロットG4,G1間に形成された保持板部306には、ガイドスロットG4の近傍に位置させて、保持板部306を貫通した取付孔h4が形成されている。取付孔h2及びh4の周辺部にはそれぞれ、ピグテール63及び64の一部に接してこれらのピグテールがブラシ保持プレート3の外周側に広がるのを阻止する突起312及び313が形成されている。
【0042】
図1において、ブラシ保持板部302に符号aで示された部分は、後記するブラシホルダ41ないし44に設けられた凸部とともにブラシホルダ41ないし44を所定の位置に位置決めするための凹凸嵌合部を構成する凹部である。図1には示されていないが、ブラシ保持プレート3の裏面の凹部301a2,302b2内の天井面にも同様の凹部aが設けられている。
【0043】
ブラシ保持プレート3のガイドスロットG1ないしG4には、図4に示したようにブラシホルダ41ないし44が結合される。各ブラシホルダは、図3に示したように、天板部4a1と、天板部4a1の幅方向の両端から同じ側に突出した1対の側壁部4a2,4a2とを有して横断面がコの字形を呈するホルダ本体4aと、ホルダ本体4aの1対の側壁部のそれぞれの先端部から外側に張り出した1対の張出部4b,4bとを一体に有し、1対の側壁部4a2,4a2の先端部にそれぞれ1対の薄肉部4a3,4a3が形成されることにより該1対の側壁部のそれぞれの先端の手前の位置に1対の段部4a4,4a4が形成されている。
【0044】
この例では、ブラシホルダ41〜44のそれぞれの側壁部4a2,4a2の先端部に形成された薄肉部4a3,4a3と、1対の段部4a4,4a4と、1対の張出部4b,4bとにより、ブラシホルダの長手方向に均一な断面形状を持って伸びる被ガイド部が構成されている。
【0045】
図6に示したように、ブラシ保持プレート3の凹部301a2,301b2の天井面の所定位置、及びブラシ保持板部302の幅方向の両端寄りの部分の所定位置に円形の凹部aが形成されている。またブラシホルダ41〜44の1対の張出部4b,4b及び段部4a4,4a4には、ブラシホルダ41〜44がスライドして規定の位置に達したときにブラシ保持プレート3の凹部301a2,301b2の天井面に設けられた凹部a及びブラシ保持板部302に設けられた凹部aにそれぞれ嵌合する凸部bが形成され、これらの凹部a及び凸部bにより構成された凹凸嵌合部の嵌合により、ブラシホルダ41〜44が規定位置に位置決め固定されるようになっている。
【0046】
上記の整流機構を組み立てる際には、先ず、図1に示すようにガイドスロットG1ないしG4をそれぞれ構成する1対のスロット301a、301bの間に形成されたブラシ保持板部302の上にブラシ51ないし54を載せ、ブラシ52及び53にそれぞれ一端が接続されたピグテール62及び63の他端をピグテール接続端子金具310のピグテール接続部310a及び310bに接続する。また、ブラシ54及び51にそれぞれ一端が接続されたピグテール64及び61の他端をピグテール接続端子金具311のピグテール接続部311a及び311bに接続する。
【0047】
次いで、ブラシホルダ41ないし44のそれぞれの側壁部4a2,4a2の先端部に形成された被ガイド部をブラシ保持プレート3の外径側から対応するガイドスロットG1ないしG4に嵌合させ、ブラシ51ないし54をブラシホルダ41ないし44内に挿入するとともに、ブラシ51ないし54にそれぞれ接続されたピグテール61ないし64をブラシホルダ41ないし44のいずれかのスリット4cに挿入して、ブラシホルダ41ないし44をブラシ保持プレートの径方向の内側に向けてスライドさせる。このとき、図5(B)に示されているように、ブラシホルダ41ないし44のそれぞれの被ガイド部を構成する1対の側壁部4a2,4a2の先端の薄肉部4a3,4a3及び張出部4b,4bをそれぞれガイドスロットG1ないしG4を構成する1対のスロットの細隙部301a1,301b1及び凹部301a2,301b2に嵌合させ、1対の段部4a4,4a4を対応するガイドスロットのスロット301a、301bの間に形成されているブラシ保持板部302の幅方向の両端に当接させる。ブラシホルダ41ないし44は、それぞれの側壁部の先端の薄肉部4a3,4a3と対応する細隙部301a1,301b1との嵌合により、ブラシ保持プレートの径方向に位置決めされるとともに、張出部4b,4bと凹部301a2,301b2との嵌合及び段部4a4,4a4とブラシ保持板部302との係合により、ブラシ保持プレート3の軸線方向(電動機の回転軸の軸線方向)に変位しないように位置決めされた状態で、ブラシ保持プレート3に結合される。
【0048】
ブラシホルダ41ないし44が規定の位置までスライドすると、ブラシホルダとブラシ保持板との間に設けられた凹凸嵌合部の凹部aと凸部bとが嵌合し合って、ブラシホルダ41ないし44を位置決めする。本実施形態におけるブラシホルダの規定位置は、各ブラシホルダの先端がブラシ保持プレートの中央の孔部3aに整合する位置である。各ブラシホルダ41ないし44の先端の端面41aないし44a(図4参照)は、孔部3aの周方向に沿うように、円弧状に形成されている。
【0049】
上記のようにしてブラシホルダ41ないし44及びブラシ51ないし54をブラシ保持プレート3に取り付けた後、図7に示すように、ブラシ51ないし54を整流子2側に付勢するバネ7を取り付ける。各ブラシを付勢するバネ7は、コイル状に巻回された巻回部7aと、巻回部7aの一端から該巻回部の接線方向に突出して伸びる延長部7bと、延長部7bの先端に形成された円弧状のブラシ係合部7cと、巻回部7aの他端から該巻回部の内径側に突出して伸びる被係止部7dとを一体に有している。
【0050】
バネサポートS1ないしS4にバネ7の巻回部7aを嵌合させるとともに、バネの被係止部7dを溝gに係入してバネサポートS1ないしS4にバネ7を取り付け、バネサポートS1ないしS4にそれぞれ保持されたバネ7のブラシ係合部7cを、図7及び図8に示したようにブラシホルダ41ないし44に設けられたスリット4cを通してブラシホルダ41ないし44内のブラシ51ないし54の側面に当接させる。これにより、ブラシ51ないし54をブラシ保持プレート3の孔部3aから退避した位置に仮保持しておく。次いで、取り付け孔h1ないしh4にそれぞれ挿入したネジにより、ブラシ保持プレート3を図7の紙面の裏側に配置された電動機のエンドカバーに固定し、ロータの回転軸1の一端に取りつけられた軸受けをエンドカバーに設けられた軸受け保持部に保持させるとともに、回転軸1に取り付けられた整流子2をブラシ保持プレート3の中心の孔部3aを貫通させて配置する。次いで、ブラシホルダ41ないし44内に配置されてバネ7により仮保持されているブラシ51ないし54を、ブラシホルダ41ないし44の外側(ブラシ保持プレート3の外径側)の開口部から押して、ブラシ51ないし54を整流子2に当接する位置まで変位させ、図11に示した従来例と同様に、各バネ7のブラシ係合部7cを対応するブラシの後端部に当接させて、ブラシ51ないし54をそれぞれに対して設けられたバネ7により整流子2側に付勢する。その後、図示しない電動機ケース内に設けられたステータの内側にロータを挿入して、回転軸1の他端に取りつけられた軸受けを該ケースの底壁部に設けられた軸受け保持部に保持させ、該ケースの開口部にエンドカバーを結合して電動機を完成させる。
【0051】
整流子2と、ブラシ保持プレート3と、ブラシホルダ41ないし44と、ブラシ51ないし54と、バネ7とにより整流機構が構成され、この整流機構と図示しないロータ及びステータとにより、直流電動機が構成される。
【0052】
上記実施形態に示されているように、本発明においては、ブラシホルダ41〜44が、ブラシ保持プレート3と別体に構成され、互いに嵌合し合ってブラシホルダ41〜44をブラシ保持プレート3に結合する結合部がブラシホルダ41〜44とブラシ保持プレート3との間に設けられて、ブラシホルダ41〜44が結合部を介してブラシ保持プレートに結合される。またブラシホルダ41〜44に設けられたスリット4c,4cは、整流子2と反対側に位置する端部が閉じ、整流子2側の端部が整流子側に開口した状態で設けられている。
【0053】
本発明においては、上記結合部が、整流子2の径方向に沿ったブラシホルダ41〜44のスライド運動を伴いながら相互に嵌合し合ってブラシホルダ41〜44をブラシ保持プレート3に結合するように構成されている。
【0054】
上記の実施形態でも示したように、上記結合部は、整流子2の径方向に沿って伸びるようにしてブラシ保持プレート3及びブラシホルダ41〜44の一方に設けられたガイドスロットG1〜G4と、これらのガイドスロットにスライド可能に嵌合するように形成されてブラシ保持プレート3及びブラシホルダ41〜44の他方に設けられた被ガイド部(薄肉部4a3,4a3、張出部4b,4b及び段部4a4,4a4)とにより構成するのが好ましい。この場合、ガイドスロット及び被ガイド部は、互いに嵌合しあった状態で整流子の径方向には相対的にスライドし得るが、整流子の軸線方向には相対的にスライドし得ないような断面形状を持つように構成される。またガイドスロットは、少なくともブラシ保持プレートの外周側に開口部を有して、ブラシ保持プレートの外周側からブラシホルダの被ガイド部を受け入れることができるように形成される。
【0055】
上記のように、ブラシホルダ41〜44をブラシ保持プレート3と別体に構成して、ブラシホルダ41〜44をブラシ保持プレートに取りつけるようにすると、ブラシホルダをブラシ保持プレートにインサート成形する必要がないため、高価な成型機を必要せず、製造コストの削減を図ることができる。また、ブラシホルダ41〜44は、インサート成形することを考慮することなく、自由な寸法、形状を持たせて製作することができるため、ブラシの寸法及び形状の変更に容易に対応することができる。
【0056】
また上記のように、ブラシホルダ41〜44をブラシ保持プレート3と別体に構成すると、使用するブラシの形状や寸法が変更になった場合にブラシホルダのみを変更すればよく、ブラシ保持プレート41〜44は変更する必要がないため、ブラシ保持プレートに汎用性を持たせてコストの削減を図ることができる。
【0057】
上記のように、ブラシホルダをブラシ保持プレートと別体に構成して、整流機構を組み立てる際にブラシホルダをブラシ保持プレートに結合するようにすると、ブラシ51〜54をブラシ保持プレート3上に配置した後にブラシホルダ41〜44をブラシ保持プレート3に取りつけてブラシホルダ41〜44内にブラシ51〜54を組み込むことができる。そのため、ブラシ51〜54に接続しておくピグテール61〜64の長さを必要最小限の長さとすることができ、ブラシ保持プレートとロータのコイルとの間でピグテールが占有する空間の容積を小さくして、従来よりも薄型の電動機の設計を容易にすることができる。
【0058】
更に上記実施形態のように、ブラシホルダに設けるスリット4c,4cを、整流子と反対側に位置する端部が閉じ、整流子側の端部が開口した形にすると、ブラシ51〜54をそれぞれの寸法限界まで使用することができるため、電動機の寿命を従来よりも長くすることができる。
【0059】
上記の実施形態では、ブラシホルダ41ないし44のそれぞれの1対の側壁部4a2,4a2の先端に薄肉部4a3,4a3及び張出部4b,4bを設けて、これら薄肉部及び張出部をそれぞれブラシ保持プレート3のガイドスロットを構成する1対のスロットの細隙部及び凹部にスライド自在に嵌合させ、1対の段部4a4,4a4をブラシ保持プレートの表面にスライド自在に当接させた状態で、ブラシホルダ41ないし44をブラシ保持プレートに結合するようにしたが、本発明において、ブラシホルダ41ないし44をブラシ保持プレート3に結合する結合部は、整流子2の径方向に沿って伸びるようにしてブラシ保持プレート3及びブラシホルダ41〜44の一方に設けられたガイドスロットと、ガイドスロットにスライド可能に嵌合するように形成されてブラシ保持プレート及びブラシホルダの他方に設けられた被ガイド部とにより構成されていて、ガイドスロット及び被ガイド部が、互いに嵌合しあった状態で整流子の径方向には相対的にスライドし得るが、整流子の軸線方向には相対的にスライドし得ないような断面形状を持つように構成されていればよく、上記実施形態のものに限定されない。
【0060】
図9及び図10は、ブラシホルダとブラシ保持プレートとの結合部の変形例を示す本発明の第2の実施形態を示したもので、この実施形態では、ブラシホルダ41〜44の側壁部4a2,4a2の先端から外側に張り出した張出部4e,4eに傾斜面4e1,4e1が形成されている。一方ブラシ保持プレート3には、各ブラシホルダと結合する部分に、ブラシホルダの側壁部4a2,4a2の先端及び張出部4e,4eをスライド自在に嵌合させる形状の1対のスロット301a′及び301b′からなるガイドスロットG1′〜G4′が形成され、ブラシホルダ41〜44のそれぞれの先端及び張出部4e,4eを対応するスロット301a′及び301b′に嵌合させることにより、ブラシホルダ41〜44をブラシ保持プレート3に結合するようになっている。
【0061】
ブラシホルダを規定位置に位置決めするため、ブラシホルダを規定位置までスライドさせたときに嵌合し合う凹部a及び凸部bが、張出部4e,4eの端面及びスロット301a′及び301b′の底面にそれぞれ設けられている。
【0062】
上記の実施形態では、ブラシが4つ設けられているが、ブラシの数は電動機のロータに設ける電機子コイルの構成により適宜に設定される。
【0063】
上記の実施形態では、ブラシ保持プレート3が整流子を外側から囲むように円板状に形成されているが、ブラシ保持プレートは、必要個数のブラシホルダを保持し得るものであればよく、その輪郭形状は任意である。例えば、ブラシが2個だけ設けられる場合には、整流子の周方向の一部にのみ対向する円弧状の内周部を有する形状にブラシ保持プレートを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1の実施形態において、ブラシ保持プレートの上にブラシを配置した状態を示した平面図である。
【図2】図1の矢印Y2方向から見た要部の正面図である。
【図3】本実施形態で用いるブラシホルダの斜視図である。
【図4】ブラシ保持プレートにブラシホルダを取りつけた状態を示した平面図である。
【図5】(A)は図4の矢印X5方向からブラシホルダ部分を見た側面図、(B)は図4の矢印Y5方向から見たブラシホルダ付近の正面図である。
【図6】ブラシホルダとブラシ保持プレートの結合部に設ける凹凸嵌合部を説明するための断面図である。
【図7】ブラシホルダ内のブラシを整流子に向けて付勢するバネを取り付け、ブラシ保持プレートの中心に整流子を配置して整流機構を完成させた状態を示した平面図である。
【図8】図7の矢印Y8方向から見た要部の正面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態において用いるブラシホルダの斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施形態においてブラシホルダをブラシ保持プレートに結合した状態を示した断面図である。
【図11】従来の直流電動機で用いられていた整流機構の平面図である。
【図12】図11の矢印Y12方向から見た要部の正面図である。
【図13】図11の矢印X13方向から見た要部の側面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 回転軸
2 整流子
3 ブラシ保持プレート
G1〜G4 ガイドスロット
301a,301b ガイドスロットを構成する1対のスロット
41〜44 ブラシホルダ
4a2 ブラシホルダの側壁部
4a3 ブラシホルダの側壁部の薄肉部
4a4 段部
4b 張出部
4c スリット
51〜54 ブラシ
61〜64 ピグテール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
整流子と、前記整流子の径方向の外側に配置されたブラシ保持プレートと、前記整流子の径方向に伸びるようにして前記ブラシ保持プレートの表面側に保持されたブラシホルダと、前記ブラシホルダ内にスライド自在に保持されて前記整流子に接触させられたブラシとを備え、前記整流子の径方向に沿って延びるスリットが前記ブラシホルダに設けられて、前記ブラシに接続されたピグテールが前記スリットを通して前記ブラシホルダの外部に導出されると共に、前記ブラシ保持プレートに保持されて端部が前記スリットに挿入されたバネにより前記ブラシホルダ内のブラシが前記整流子側に付勢されている直流電動機において、
前記ブラシホルダは、前記ブラシ保持プレートと別体に構成され、
互いに嵌合し合って前記ブラシホルダをブラシ保持プレートに結合する結合部が前記ブラシホルダと前記ブラシ保持プレートとの間に設けられて、前記ブラシホルダが前記結合部を介して前記ブラシ保持プレートに結合され、
前記ブラシホルダに設けられたスリットは、前記整流子と反対側に位置する端部が閉じ、前記整流子側の端部が整流子側に開口した状態で設けられていること、
を特徴とする直流電動機。
【請求項2】
前記結合部は、前記整流子の径方向に沿った前記ブラシホルダのスライド運動を伴いながら相互に嵌合し合って前記ブラシホルダをブラシ保持プレートに結合するように構成されている請求項1に記載の直流電動機。
【請求項3】
前記結合部は、前記整流子の径方向に沿って伸びるようにして前記ブラシ保持プレート及びブラシホルダの一方に設けられたガイドスロットと、前記ブラシ保持プレート及びブラシホルダの他方に設けられていて前記ガイドスロットにスライド可能に嵌合するように形成された被ガイド部とにより構成され、
前記ガイドスロット及び被ガイド部は、互いに嵌合しあった状態で前記整流子の径方向には相対的にスライドし得るが、前記整流子の軸線方向には相対的にスライドし得ないような断面形状を持つように構成され、
前記ガイドスロットは、少なくとも前記ブラシ保持プレートの外周側に開口部を有して、前記ブラシ保持プレートの外周側から被ガイド部を受け入れることができるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の直流電動機。
【請求項4】
前記ブラシホルダが規定の位置に配置された状態にあるときに互いに嵌合して前記ブラシホルダを規定位置に位置決めする凹凸嵌合部が前記結合部に設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の直流電動機。
【請求項5】
整流子と、前記整流子の径方向の外側に配置されたブラシ保持プレートと、前記整流子の径方向に伸びるようにして前記ブラシ保持プレートの表面側に保持されたブラシホルダと、前記ブラシホルダ内にスライド自在に保持されて前記整流子に接触させられたブラシとを備え、前記整流子の径方向に沿って延びるスリットが前記ブラシホルダに設けられて、前記ブラシに接続されたピグテールが前記スリットを通して前記ブラシホルダの外部に導出されると共に、前記ブラシ保持プレートに保持されて端部が前記スリットに挿入されたバネにより前記ブラシホルダ内のブラシが前記整流子側に付勢されている直流電動機において、
前記ブラシホルダは、天板部と該天板部の幅方向の両端から同じ側に突出した1対の側壁部とを有して横断面がコの字形を呈するホルダ本体と、前記ホルダ本体の1対の側壁部のそれぞれの先端部から外側に突出した1対の張出部とを一体に有して、前記1対の側壁部の先端部にそれぞれ1対の薄肉部が形成されることにより該1対の側壁部のそれぞれの先端の手前の位置に1対の段部が形成され、
前記ブラシ保持プレートには、前記整流子の径方向に沿って平行に延びる1対のスロットからなるガイドスロットが、一端を前記ブラシ保持プレートの外周に開口させ、他端を閉じた状態で形成され、
前記ガイドスロットを構成する各スロットは、前記ブラシホルダの1対の側壁部の先端部の薄肉部がスライド自在に嵌合し得る幅寸法を有して前記整流子の径方向に沿って平行に延びる1対の細隙部と前記ブラシ保持プレートの裏面側で前記ブラシホルダの1対の側壁部の先端の張出部をスライド自在に嵌合させる1対の凹部とを有し、
前記ブラシホルダは、前記1対の側壁部の薄肉部及び張出部をそれぞれ前記ガイドスロットを構成する1対のスロットの細隙部及び凹部にスライド自在に嵌合させ、前記1対の段部を前記ブラシ保持プレートの表面にスライド自在に当接させた状態で前記ブラシ保持プレートに結合されて規定位置に配置され、
前記スリットは、前記整流子と反対側に位置する端部が閉じ、前記整流子側の端部が整流子側に開口した状態で前記ブラシホルダの側壁部に設けられ、
前記ブラシホルダが規定の位置に配置された状態にあるときに互いに嵌合して前記ブラシホルダを規定位置に位置決めする凹凸嵌合部が前記ブラシホルダとブラシ保持プレートとの間に設けられていること、
を特徴とする直流電動機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−172943(P2008−172943A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−4303(P2007−4303)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(000001340)国産電機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】