直線‐回転運動変換機構
直線往復運動と回転運動との間で変換を行う軸方向機構が、z‐クランクシャフトと、z‐クランクシャフトの傾斜クランクピンに回転可能に取り付けられたウォッブル部材と、1つ又は2つ以上のピストンとを有し、連結ロッドが各ピストンとウォッブル部材に連結されたピボットピンとの間に設けられている。一実施形態では、連結ロッドは、連結ロッドのウォッブル部材側端部のところで360°の軌道を描く側方運動を許容するのに十分な固有の可撓性を備えている。別の実施形態では、連結ロッドの内部からピボットピンの各々への潤滑連通路が設けられる。別の実施形態では、このようなピボット継手は各々、一体形ユニットとしてウォッブル部材に取り付けられている。別の実施形態では、z‐クランクシャフトは、全てz‐クランクシャフトの一方の側に位置決めされると共にz‐クランクシャフトの出力駆動端部に沿って互いに間隔を置いて設けられた軸受によって回転可能に支持されている。別の実施形態では、トルク制限部材が、弾性マウント又は軸受を介してウォッブル部材と不動基準箇所との間に結合されており、弾性マウント又は軸受は、トルク制限部材の振動運動及び長手方向運動を制限することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば1つ又は2つ以上のピストンの直線往復運動をピストンの直線運動軸線に平行な軸線を中心とした回転運動に変換する機構に関する。変形例として、この機構は、回転運動を直線往復運動に変換することができる。このような機構は、例えばエンジン、ポンプ、冷凍機又は圧縮機に利用できる。
【背景技術】
【0002】
軸方向エンジンでは、ピストンの直線往復動運動は、ピストンの直線往復運動軸線に平行な軸線を中心とした回転運動に変換される。典型的には、多数のピストンが、エンジンの出力シャフトの軸線の回りに配置されている。変形例として、同様な形態のポンプ又は圧縮機では、入力回転運動は、入力回転運動の軸線に平行な1つ又は複数の軸線に沿う多数のピストンの直線往復運動に変換される。
【0003】
直線往復運動と回転運動との間で変換を行う斜板(スワッシュプレート)型機構が知られている。斜板型機構は、例えば自動車用エアコンディショニングポンプに大々的に用いられると共に幾つかの形態のスターリングエンジン(ヒートエンジン)に用いられている。
【0004】
直線往復運動と回転運動との間で変換を行うウォッブル又はz‐クランク型機構も又知られており、このような機構は、低電力用途において良好な機械的効率を提供することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、直線往復運動と回転運動との間で変換を行う軸方向機構の改良形態又は少なくとも変形形態を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、本発明は、広義には、直線往復運動と実質的に平行な軸線を中心とした回転運動との変換を行う軸方向機構であって、
z‐クランクシャフトを有し、z‐クランクシャフトは、z‐クランクシャフトの長手方向軸線回りに回転可能に設けられ、z‐クランクシャフトは、出力駆動端部及び傾斜クランクピンを有し、
z‐クランクシャフトの傾斜クランクピンに回転可能に取り付けられたウォッブル部材を有し、
1つ又は2つ以上のピストンを有し、連結ロッドが各ピストンとウォッブル部材に連結されたピボット継手との間に設けられていて、直線往復運動をピストンとウォッブル部材との間で結合するようになっており、連結ロッドは、連結ロッドのウォッブル側端部のところで又はこのウォッブル部材側端部寄りで360°の軌道を描く側方運動を許容するのに十分な固有の可撓性を備えていることを特徴とする軸方向機構に関する。
【0007】
好ましくは、連結ロッドは、連結ロッドの一端部がそのピストンに実質的に剛性的に結合される。
【0008】
好ましくは、連結ロッドは、連結ロッドに所要の可撓性を与えるような長さに対する直径を備えた実質的に円形の断面を有する。連結ロッドは、その長さの1/10よりも小さい直径を有するのが良い。
【0009】
広義には、本発明の要旨は、直線往復運動と実質的に平行な軸線を中心とした回転運動との変換を行う軸方向機構であって、
z‐クランクシャフトを有し、z‐クランクシャフトは、z‐クランクシャフトの長手方向軸線回りに回転可能に設けられ、z‐クランクシャフトは、出力駆動端部及び傾斜クランクピンを有し、
z‐クランクシャフトの傾斜クランクピンに回転可能に取り付けられたウォッブル部材を有し、
各々が1つ又は2つ以上のピボット継手を介してウォッブル部材に連結され、直線往復運動をウォッブル部材に結合する1つ又は2つ以上のピストンを有し、ウォッブル部材の内部から1つ又は2つ以上のピボット継手の各々までの潤滑連通路を有することを特徴とする軸方向機構にある。
【0010】
代表的には、ピボット継手の各々は、潤滑剤が潤滑連通路を介してウォッブル部材の内部から提供される多数個の軸受を有する。
【0011】
好ましくは、ウォッブル部材は、所与の量の潤滑剤を溜めるための中空内部を有する。
【0012】
一形態では、z‐クランクシャフトは、ウォッブル部材の中空内部に通じる内部潤滑連通路を有し、軸方向機構の作動の際、内部潤滑連通路により、潤滑剤が圧力下で、ウォッブル部材及び(又は)ウォッブル部材をz‐クランクシャフトのクランクピンに取り付ける軸受及び(又は)1つ又は2つ以上のピストンをウォッブル部材に連結する1つ又は2つ以上のピボット継手の各々に提供される。
【0013】
広義には、別の態様では、本発明の要旨は、直線往復運動と実質的に平行な軸線を中心とした回転運動との変換を行う軸方向機構であって、
z‐クランクシャフトを有し、z‐クランクシャフトは、z‐クランクシャフトの長手方向軸線回りに回転可能に設けられ、z‐クランクシャフトは、出力駆動端部及び傾斜クランクピンを有し、
z‐クランクシャフトの傾斜クランクピンに回転可能に取り付けられたウォッブル部材を有し、
各々がピボット継手を介してウォッブル部材に連結された1つ又は2つ以上のピストンを有し、ピボット継手は、多数個の軸受を有し、一体形ユニットとしてウォッブル部材に取り付けられていることを特徴とする軸方向機構にある。
【0014】
好ましくは、各ピボット継手は、ウォッブル部材に螺着される。
【0015】
広義には、別の態様では、本発明の要旨は、直線往復運動と実質的に平行な軸線を中心とした回転運動との変換を行う軸方向機構であって、
z‐クランクシャフトを有し、z‐クランクシャフトは、z‐クランクシャフトの長手方向軸線回りに回転可能に設けられ、z‐クランクシャフトは、出力駆動端部及び傾斜クランクピンを有し、z‐クランクシャフトは、全てz‐クランクシャフトの一方の側に位置決めされると共にz‐クランクシャフトの出力駆動端部に沿って互いに間隔を置いて設けられた軸受によって回転可能に支持され、
z‐クランクシャフトの傾斜クランクピンに回転可能に取り付けられたウォッブル部材を有し、
直線往復運動をウォッブル部材に結合する1つ又は2つ以上のリンク装置を有することを特徴とする軸方向機構にある。
【0016】
この構成では、クランクピンの他方の側には軸受が存在しない。また、好ましくは、バランスウェイトが、z‐クランクの同一の出力駆動端部に設けられる。
【0017】
広義には、別の態様では、本発明の要旨は、直線往復運動と実質的に平行な軸線を中心とした回転運動との変換を行う軸方向機構であって、
z‐クランクシャフトを有し、z‐クランクシャフトは、z‐クランクシャフトの長手方向軸線回りに回転可能に設けられ、z‐クランクシャフトは、出力駆動端部及び傾斜クランクピンを有し、
z‐クランクシャフトの傾斜クランクピンに回転可能に取り付けられたウォッブル部材を有し、
直線往復運動をウォッブル部材に結合する1つ又は2つ以上のリンク装置を有し、
弾性マウント又は軸受を介してウォッブル部材と不動基準箇所との間に結合されたトルク制限部材を有し、弾性マウント又は軸受は、傾斜クランクピンまでのトルク制限部材の長手方向軸線を中心としたトルク制限部アームの振動運動を制限すると共に好ましくは又、トルク制限部アームの長手方向軸線の方向における運動を制限することができることを特徴とする軸方向機構にある。
【0018】
好ましくは、弾性マウント又は軸受は、或る程度の大きさの張力をハブ中心に向かってトルク拘束アームの端部に加えるよう配置されている。
【0019】
好ましくは、トルク制限部材は、出力駆動端部の長手方向軸線が特に、本明細書において「ハブ中心」と呼ぶ箇所の各側でz‐クランクシャフトのクランクピンの長手方向軸線を通る箇所のところでクランクピンの長手方向軸線を横方向に通る軸線に沿ってz‐クランクシャフトの回転軸線の各側でウォッブル部材に枢動可能に結合されている。
【0020】
本明細書においては、「往復運動を回転運動に変換する」という表現は、別段の指定がなければ、回転運動を往復運動に変換するという逆の対応を含む。また、「ピストン」という用語は、単動又は複動型エンジンの公知形式のピストン、ディスプレーサ及び例えば位置決め機構として使用可能な往復動ラムを含むが、これらには限定されない。
【0021】
添付の図面は、例示としての(このような例示には限定されない)外燃エンジン/ヒートエンジンに利用される本発明の機構の好ましい形態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】エンジンのz‐クランクシャフト、ウォッブル部材、ピストンを収納すると共に連結ロッドを備えたシリンダ及びトルク制限部材が好ましい形態の機構を構成し、エンジンがスターリングエンジンであることを示す斜視図である。
【図2】エンジンから取り外されると共にシリンダ、ピストン及び連結ロッドから分離された状態の好ましい形態の機構のz‐クランクシャフト、ウォッブル部材及びトルク制限部材の斜視図であるが、ウォッブル部材によって支持されており、連結ロッドに結合可能な4つの自在継手を示す図である。
【図3】エンジンから取り外された機構の側面図であり、図2と同一の部品及び更に連結ロッドを一方の側から見た図である。
【図4】機構を上から(これについて後で定義される)見た図である。
【図5】図3の図4のA‐A線に沿った図3及び図4の機構の断面図である。
【図6】図3のC‐C線に沿った図3ないし図5の機構の断面図である。
【図7】図5に類似した断面図であるが、エンジン‐発電機のケーシング内の定位置に存在する機構の断面図であり、発電機を断面で示すと共に機構の底部バランスウェイトを示す図である。
【図8】図3ないし図6の機構の好ましい形態のトルク制限部材を機構の残部から分離した状態で示す拡大斜視図である。
【図9】トルク制限部材並びにウォッブル部材及び軸受の分解組立て図である。
【図10】機構の好ましい形態を上から見た部分組立て分解斜視図である。
【図11】機構の好ましい形態を一方の側から見た部分組立て分解図である。
【図12a】軸受をトルク拘束部材の一形態の外端部に取り付けるための一構成例の拡大図である。
【図12b】軸受をトルク制限部材の一形態の外端に取り付けるための一構成例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の好ましい形態の直線‐回転運動変換機構を、エンジンのピストンの直線往復運動をエンジンの出力シャフトの回転運動に変換するためのエンジン、特にスターリングエンジンの一部として説明する。この説明では、「上側」若しくは「頂部」及び「下側」若しくは「底部」又はこれらと同様な用語は、機構をz‐クランクシャフトの出力駆動端部が最も下に位置し、z‐クランクシャフトのクランクピンが最も上に位置する向きで説明するために用いられているが、この機構をクランクシャフトの出力端部が最も上に位置し又はいずれかの側に位置し若しくは任意の向きで位置するエンジン(又はポンプ若しくは圧縮機)に用いることができ、相対的な用語「上側」若しくは「頂部」と「下方」若しくは「底部」又はこれらに類似した用語の使用は、以下の説明を限定するものではない。
【0024】
先ず最初に図1ないし図7を参照すると、好ましい形態の機構のz‐クランクシャフトが、参照符号1で示されている。z‐クランクシャフトは、出力駆動端部2及び傾斜クランクピン3(特に図5参照)を有している。z‐クランクシャフト1は、出力駆動端部2の長手方向軸線を中心に回転可能に設けられている。図示の好ましい形態では、z‐クランクシャフト1は、エンジンのエンジンケーシング5に設けられた上側軸受4a(図7参照)及び下側軸受4bで支持されている。図示の実施形態では、スターリングエンジンは、直流発電機又は交流発電機(本明細書では、便宜上「発電機」という)を駆動する。発電機のロータ組立体50は、z‐クランクシャフトの出力駆動端部2で支持されている。ロータ組立体は、図示のように積層及び巻線から成っていても良く、巻きステータと相互作用する永久磁石型のものであっても良い。下側軸受4bは、z‐クランクシャフトの出力駆動端部2の底端の周りで発電機ケーシング53の下方部分内に設けられている。上側ハウジング4aも又、クランプピン3の下でz‐クランクシャフトの出力駆動端部2の周りに位置している。
【0025】
ウォッブル部材6が、傾斜クランプピン3に回転可能に取り付けられている。好ましい形態では、ウォッブル部材6は、図示のように全体として管状又は円筒形のものであり、上側及び下側軸受7a,7bによってz‐クランクシャフト1上に支持され、これら軸受は、例えば、ウォッブル部材6の各端部のところ又はその近くに、特に、連結ロッド29の下端部とシリンダ19内で作動する4つのピストン(図1参照)を連結する4つのナックル継手がウォッブル部材6に取り付けられているウォッブル部材のボス部分6aの各側に設けられた玉軸受(図5、図7及び図9参照)であるのが良い。トルク制限部材は、同じボス部分6aのところで、ウォッブル部材6に結合されており、これについては以下において更に説明する。ボルト30が、ウォッブル部材6の頂部を貫通してクランクピン3(図5参照)の頂部に設けられた軸方向ボアの中にねじ込まれている。
以下、本明細書では、便宜上、ウォッブル部材6をボス6という。
【0026】
エンジンのピストンの連結ロッドに結合可能な4つのナックル継手を参照すると、これらは、図示のようにボス6の周りに等間隔をなして配置されると共にボス6に固定されている。好ましい形態では、4つのハブピン9の各々の縮径端部8は、ボス6の周りに半径方向に間隔を置いて設けられた横方向ボア10内にねじ込まれている(図6参照)。図示の好ましい形態では、ボス6とハブピン9は、別々のコンポーネントとして形成されているが、変形例として、ボス6とハブピン9若しくはこれらと均等物は、任意の形態をなす単一の一体形コンポーネントとして形成されても良い。クレビス11が、ハブピン軸受12を介して横方向軸線回りに枢動可能に各ハブピン9の外端部に取り付けられている。コンロッドピン13が、コンロッドピン13の長手方向軸線に対して横に向いたボアを備える拡大ヨーク14を有し、コンロッドピンは、ハブピン9の外端部に被さると共に好ましい形態ではニードルころ軸受として示されたハブピン軸受12を介してハブピン9に取り付けられている。クレビス11のアームは、コンロッドカップ15によりコンロッドピン13の端部に結合されており、これらコンロッドカップは、クレビスのアームに設けられた孔を貫通した状態でハブピン9の端部に設けられた連結ロッド軸受16、好ましくはニードルころ軸受に被さっている。内側スラスト軸受17及び外側スラスト軸受17aが、コンロッドピン13とハブピン9の外端部との間に更に設けられている。軸受は、キャップ18により覆われており、キャップ18の口にはハブピン9の外部周りにシールが設けられている。連結ロッド29の下端部は、好ましい形態では各クレビス11(特に図5参照)の上側ブリッジ部分内へのねじ連結により各クレビス11に結合されている。上述の実施形態の変形例では、軸受12,16,17の各々に代えてブッシュを用いても良い。
【0027】
特に図4、図6、図8及び図9を参照すると、好ましい形態としての機構のトルク制限部材は、参照符号20で示されている。トルク制限部材は、一端部がボス6に結合され、図示の特定の実施形態では、トルク制限部材は又、z‐クランクシャフトを包囲している。クランクピン3は、トルク制限部材20に設けられた孔22を貫通してこの中で自由に動くことができる(トルク制限部材に接触することなく)。スタブシャフト27が、ボス6の内部から見てトルク制限部材からボス6の各側部で軸受21、例えばニードルころ軸受内に突き出ており、スタブシャフト27を通る長手方向軸線は、z‐クランクシャフト1の出力駆動端部2の長手方向軸線がクランクピンの長手方向軸線と交差する箇所で傾斜クランクピン3の長手方向軸線を横方向に通るようになっている。便宜上、この箇所を本明細書では「ハブ中心」(又は、別の言い方をすれば、回転中心又はウォッブル中心)という。これにより、トルク制限部材20は、機構の運動中、ハブ中心を通る軸線回りに枢動することができる。軸受21は、ボス6の各側に設けられた孔内に設けられている。変形形態では、2本のトルク制限アームをエンジンの各側から見て同一のピボット箇所のところで(ボス中心を横方向に取る同一の軸線に沿って)ボス6に結合しても良い(各トルク制限アームの端部24は、機構/エンジンの各側に位置している)。
【0028】
トルク制限部材20の他端部24は、不動基準点としてエンジンのケーシングに直接的に又は間接的に結合されている。好ましい形態では、トルク制限アーム20の端部24は、軸受25(本明細書においては、回転防止軸受25という)内に設けられており、この軸受は、エンジンケーシングの部分5内に設けられている。トルク制限アーム20の端部24を何らかの仕方でエンジン本体又はケーシングに又は任意他の不動基準点に固定しても良いが、トルク制限アーム20の端部24の長手方向軸線が機構のハブ中心を正確に通っていれば、トルク制限アームのその端部24の長手方向軸線を中心とした往復振動運動を許容する軸受により固定しなければならない。もしそうでなければ、トルク制限アーム20も又、機構が回転すると或る程度の長手方向往復運動(トルク制限アーム20の端部24の軸線に沿う往復運動)を生じる場合がある。少なくとも僅かな程度のこのような長手方向往復運動を許容するため、回転防止軸受25がトルク制限アームの長手方向軸線の方向に或る程度まで動くことができるよう回転防止軸受25を設けるのが良い。例えば、回転防止軸受25は、トルク制限アームの端部24のこのような長手方向往復運動を許容するよう弾性的に設けるのが良い。図12a及び図12bは、例示として回転防止軸受25をこのように取り付けるための一構成例を示している。参照符号26は、エンジンケーシングの部分5からの直立部を示している。直立部26の下方部分には貫通孔が形成されており、トルク制限アーム20の端部24は、これに回転防止軸受25が取り付けられた状態でこの貫通孔内に延びており、この回転防止軸受は、ニードルころ軸受として示されている。回転防止軸受25は、例えばばね鋼で形成されるのが良い弾性要素63の自由端部に固定された軸受取り付けキャップ62内に保持されており、弾性要素の他端部は、図示のように締結具64によって直立部26に固定されている。この構成は、或る程度の力をハブ中心に向かって、即ち矢印A2の方向に(このことが有利な場合がある)トルク制限アーム20の端部24に及ぼしながら、ばね鋼要素63の下端部が図12bに記載された矢印A1‐A2の方向に自由に往復運動状態で撓むことができるようなものである。このような弾性マウントのもう1つの利点は、この弾性アームが自動調心を行う傾向があるということにある。或る程度の長手方向運動及び(又は)自動調心も又許容するよう回転防振軸受25を取り付ける任意の別の構成を採用することが可能である。
【0029】
作動にあたり、図3の矢印LMの方向にエンジンのピストンによって駆動された連結ロッド29の直線往復運動は、矢印RMによって指示されているようにz‐クランク部材1の出力シャフト端部2の回転運動に変換される(例えばポンプ又は圧縮機用途ではこの逆の関係が成り立つ)。
【0030】
トルク制限部材をハブ中心を通る横方向軸線に沿って枢動可能にウォッブル部材又はボス6に結合した結果として、トルク制限アームとウォッブル部材又はボスとの間の軸受21に加わる荷重は比較的軽いので、比較的小形の軸受を用いることができる。好ましくは、トルク制限アームとボスとの間で軸受21を通る軸線は、エンジンをシリンダ及び連結棒の長手方向軸線に対して45°の角度をなし、それにより、作動中、コンロッド連結ナックル継手によって実行される8の字形運動の幅が最小限に抑えられ、それ故、ピストンに加わる横方向荷重及び振動が最小限に抑えられる。
【0031】
連結ロッド端部の8の字形運動により、エンジン振動数の2倍の振動数でエンジンのねじり振動が生じる。好ましくは、4シリンダ型機械の場合、軸受25の位置がシャフト回転位置に対して適当に位相調整した状態で接線方向に動くと、その結果として、ねじり運動が打ち消される。
【0032】
機構の作動中、連結ロッドの下端部は、軸線に沿う往復運動だけでなく、ピストンシリンダの軸線を下に見た状態で360°の軌道を描く幾分かの側方運動を行う傾向がある。好ましい形態では、これは、この運動を許容するのに十分な固有の可撓性を有するよう連結ロッドを構成することによって可能になる。従来、連結ロッドは、剛性であるように形成されている。連結ロッドは、円形又は丸形断面を有するのが良い。連結ロッドの長さに対する断面直径は、連結棒に所要程度の可撓性を与えるようなものである(但し、連結ロッドは、例えば鋼で作られる)。この場合、連結ロッドは、ナックル継手端部のところで360°の軌道を描いて撓む。連結ロッドは、これら連結ロッドの長さの1/10よりも短い直径を有するのが良い。連結ロッドは更に、連結ロッドの座屈を生じないで下向きのピストン力をウォッブル機構に効果的に伝達するのに十分な剛性を有する。連結ロッドを二重曲げ連結ロッドと称しても良い。というのは、このような連結ロッドは、2つの平面内で撓むからである。連結ロッドの上端部のところでの連結ロッドとピストンの連結部は、剛性であるのが良く、それによりこの連結部のところで自在継手を用いる必要性が回避される。この場合、連結ロッドの上端部とピストンとの間のこのような継手に潤滑手段を設けることは不要である。
【0033】
上述の好ましい実施形態では、z‐クランクシャフト1は、上述したようにエンジンケーシングの部分5内に設けられた軸受4a及び発電機ケーシング53の下方部分内に設けられた軸受4bによって支持され、これは両方共、z‐クランクシャフト1の傾斜クランクピン3の下に位置している。クランクピンの上には軸受が設けられていない。加うるに、クランクピン3の下にはバランスウェイトが設けられている。上側バランスウェイト46が、z‐クランクシャフトの上端部寄りであるが軸受4aの上でクランクピン3の下に固定されている。下側バランスウェイト45が、軸受4bの下に設けられている。下側バランスウェイト4bは、これが発電機のための冷却ファンとして作用するよう羽根を更に有するのが良い。この構成では、これ又、単一のシールを設けることが必要であるに過ぎず、このようなシールは、ボス6をクランクピン3に取り付ける下側軸受7の下に位置したシール31(図5参照)である。このシールは、ハブ組立体の内側に潤滑剤を保持する。
【0034】
好ましい形態では、ハブピン9は、ボス6内にねじ込まれている。軸受12,16,17を有する各ハブピン9及び連結ロッドナックル継手は、ボス6とは別個のユニットとして形成され、次にボス6内にねじ込まれるのが良い。これは、機構の組立て及び更に次のナックル継手軸受の任意のものの交換にとって有利である。というのは、連結ロッドをクレビス11から取り外すことが必要なだけであるからであり、それにより、ナックル継手‐ハブピン組立体をボス6からねじ戻して外し、交換品を定位置にねじ込むことができる。
【0035】
図示の好ましい形態としての機構では、中空ボス6の頂部は、キャップ(図示せず)によって閉鎖されている。ボス6の下端部は、回転リップシール31(図5参照)によってz‐クランクシャフトに封着され、ボスとトルク制限アームのヨーク端部21aとの間の軸受32の各々は、関連のシールを有している。ボア10が、ハブピン9を介して連結ロッドナックル継手軸受とボスの内部を連通させている。油循環式システムでは、油が加圧下で、z‐クランクシャフト1を上方に貫通して設けられたボア及びハブピン9の貫通ボア10を経てハブピン軸受12、連結ロッドスラスト軸受17及びクレビス‐ハブピン軸受16に供給されるのが良い。油は、ハブピン端部とz‐クランクシャフトのクランクピンとの間で各ハブピン9の内端部上に設けられたシューによってボア10に移送されるのが良く、このようなシューは、供給加圧油をピックアップする。変形例として、非加圧油潤滑式システムでは、ボス6の内部は、油リザーバとしての役目を果たすことができ、各ハブピン9の端部とクランクピンとの間のシューは、機構が作動すると、油をピックアップし、これをナックル継手軸受に送ることができる。グリース潤滑式システムでは、ボス6の内部には加圧下でグリースを詰め込むのが良く、グリースは、ボア10を通ってナックル継手軸受に送られる。エンジン‐機構の補修中、グリースを加圧下で、ボス6の壁を通って単一のニップルに送ることにより全ての軸受を再潤滑するのが良い。
【0036】
上述の説明は、好ましい形態を含む本発明に関する。当業者には明らかな変形例及び改造例は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に含まれるものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば1つ又は2つ以上のピストンの直線往復運動をピストンの直線運動軸線に平行な軸線を中心とした回転運動に変換する機構に関する。変形例として、この機構は、回転運動を直線往復運動に変換することができる。このような機構は、例えばエンジン、ポンプ、冷凍機又は圧縮機に利用できる。
【背景技術】
【0002】
軸方向エンジンでは、ピストンの直線往復動運動は、ピストンの直線往復運動軸線に平行な軸線を中心とした回転運動に変換される。典型的には、多数のピストンが、エンジンの出力シャフトの軸線の回りに配置されている。変形例として、同様な形態のポンプ又は圧縮機では、入力回転運動は、入力回転運動の軸線に平行な1つ又は複数の軸線に沿う多数のピストンの直線往復運動に変換される。
【0003】
直線往復運動と回転運動との間で変換を行う斜板(スワッシュプレート)型機構が知られている。斜板型機構は、例えば自動車用エアコンディショニングポンプに大々的に用いられると共に幾つかの形態のスターリングエンジン(ヒートエンジン)に用いられている。
【0004】
直線往復運動と回転運動との間で変換を行うウォッブル又はz‐クランク型機構も又知られており、このような機構は、低電力用途において良好な機械的効率を提供することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、直線往復運動と回転運動との間で変換を行う軸方向機構の改良形態又は少なくとも変形形態を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、本発明は、広義には、直線往復運動と実質的に平行な軸線を中心とした回転運動との変換を行う軸方向機構であって、
z‐クランクシャフトを有し、z‐クランクシャフトは、z‐クランクシャフトの長手方向軸線回りに回転可能に設けられ、z‐クランクシャフトは、出力駆動端部及び傾斜クランクピンを有し、
z‐クランクシャフトの傾斜クランクピンに回転可能に取り付けられたウォッブル部材を有し、
1つ又は2つ以上のピストンを有し、連結ロッドが各ピストンとウォッブル部材に連結されたピボット継手との間に設けられていて、直線往復運動をピストンとウォッブル部材との間で結合するようになっており、連結ロッドは、連結ロッドのウォッブル側端部のところで又はこのウォッブル部材側端部寄りで360°の軌道を描く側方運動を許容するのに十分な固有の可撓性を備えていることを特徴とする軸方向機構に関する。
【0007】
好ましくは、連結ロッドは、連結ロッドの一端部がそのピストンに実質的に剛性的に結合される。
【0008】
好ましくは、連結ロッドは、連結ロッドに所要の可撓性を与えるような長さに対する直径を備えた実質的に円形の断面を有する。連結ロッドは、その長さの1/10よりも小さい直径を有するのが良い。
【0009】
広義には、本発明の要旨は、直線往復運動と実質的に平行な軸線を中心とした回転運動との変換を行う軸方向機構であって、
z‐クランクシャフトを有し、z‐クランクシャフトは、z‐クランクシャフトの長手方向軸線回りに回転可能に設けられ、z‐クランクシャフトは、出力駆動端部及び傾斜クランクピンを有し、
z‐クランクシャフトの傾斜クランクピンに回転可能に取り付けられたウォッブル部材を有し、
各々が1つ又は2つ以上のピボット継手を介してウォッブル部材に連結され、直線往復運動をウォッブル部材に結合する1つ又は2つ以上のピストンを有し、ウォッブル部材の内部から1つ又は2つ以上のピボット継手の各々までの潤滑連通路を有することを特徴とする軸方向機構にある。
【0010】
代表的には、ピボット継手の各々は、潤滑剤が潤滑連通路を介してウォッブル部材の内部から提供される多数個の軸受を有する。
【0011】
好ましくは、ウォッブル部材は、所与の量の潤滑剤を溜めるための中空内部を有する。
【0012】
一形態では、z‐クランクシャフトは、ウォッブル部材の中空内部に通じる内部潤滑連通路を有し、軸方向機構の作動の際、内部潤滑連通路により、潤滑剤が圧力下で、ウォッブル部材及び(又は)ウォッブル部材をz‐クランクシャフトのクランクピンに取り付ける軸受及び(又は)1つ又は2つ以上のピストンをウォッブル部材に連結する1つ又は2つ以上のピボット継手の各々に提供される。
【0013】
広義には、別の態様では、本発明の要旨は、直線往復運動と実質的に平行な軸線を中心とした回転運動との変換を行う軸方向機構であって、
z‐クランクシャフトを有し、z‐クランクシャフトは、z‐クランクシャフトの長手方向軸線回りに回転可能に設けられ、z‐クランクシャフトは、出力駆動端部及び傾斜クランクピンを有し、
z‐クランクシャフトの傾斜クランクピンに回転可能に取り付けられたウォッブル部材を有し、
各々がピボット継手を介してウォッブル部材に連結された1つ又は2つ以上のピストンを有し、ピボット継手は、多数個の軸受を有し、一体形ユニットとしてウォッブル部材に取り付けられていることを特徴とする軸方向機構にある。
【0014】
好ましくは、各ピボット継手は、ウォッブル部材に螺着される。
【0015】
広義には、別の態様では、本発明の要旨は、直線往復運動と実質的に平行な軸線を中心とした回転運動との変換を行う軸方向機構であって、
z‐クランクシャフトを有し、z‐クランクシャフトは、z‐クランクシャフトの長手方向軸線回りに回転可能に設けられ、z‐クランクシャフトは、出力駆動端部及び傾斜クランクピンを有し、z‐クランクシャフトは、全てz‐クランクシャフトの一方の側に位置決めされると共にz‐クランクシャフトの出力駆動端部に沿って互いに間隔を置いて設けられた軸受によって回転可能に支持され、
z‐クランクシャフトの傾斜クランクピンに回転可能に取り付けられたウォッブル部材を有し、
直線往復運動をウォッブル部材に結合する1つ又は2つ以上のリンク装置を有することを特徴とする軸方向機構にある。
【0016】
この構成では、クランクピンの他方の側には軸受が存在しない。また、好ましくは、バランスウェイトが、z‐クランクの同一の出力駆動端部に設けられる。
【0017】
広義には、別の態様では、本発明の要旨は、直線往復運動と実質的に平行な軸線を中心とした回転運動との変換を行う軸方向機構であって、
z‐クランクシャフトを有し、z‐クランクシャフトは、z‐クランクシャフトの長手方向軸線回りに回転可能に設けられ、z‐クランクシャフトは、出力駆動端部及び傾斜クランクピンを有し、
z‐クランクシャフトの傾斜クランクピンに回転可能に取り付けられたウォッブル部材を有し、
直線往復運動をウォッブル部材に結合する1つ又は2つ以上のリンク装置を有し、
弾性マウント又は軸受を介してウォッブル部材と不動基準箇所との間に結合されたトルク制限部材を有し、弾性マウント又は軸受は、傾斜クランクピンまでのトルク制限部材の長手方向軸線を中心としたトルク制限部アームの振動運動を制限すると共に好ましくは又、トルク制限部アームの長手方向軸線の方向における運動を制限することができることを特徴とする軸方向機構にある。
【0018】
好ましくは、弾性マウント又は軸受は、或る程度の大きさの張力をハブ中心に向かってトルク拘束アームの端部に加えるよう配置されている。
【0019】
好ましくは、トルク制限部材は、出力駆動端部の長手方向軸線が特に、本明細書において「ハブ中心」と呼ぶ箇所の各側でz‐クランクシャフトのクランクピンの長手方向軸線を通る箇所のところでクランクピンの長手方向軸線を横方向に通る軸線に沿ってz‐クランクシャフトの回転軸線の各側でウォッブル部材に枢動可能に結合されている。
【0020】
本明細書においては、「往復運動を回転運動に変換する」という表現は、別段の指定がなければ、回転運動を往復運動に変換するという逆の対応を含む。また、「ピストン」という用語は、単動又は複動型エンジンの公知形式のピストン、ディスプレーサ及び例えば位置決め機構として使用可能な往復動ラムを含むが、これらには限定されない。
【0021】
添付の図面は、例示としての(このような例示には限定されない)外燃エンジン/ヒートエンジンに利用される本発明の機構の好ましい形態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】エンジンのz‐クランクシャフト、ウォッブル部材、ピストンを収納すると共に連結ロッドを備えたシリンダ及びトルク制限部材が好ましい形態の機構を構成し、エンジンがスターリングエンジンであることを示す斜視図である。
【図2】エンジンから取り外されると共にシリンダ、ピストン及び連結ロッドから分離された状態の好ましい形態の機構のz‐クランクシャフト、ウォッブル部材及びトルク制限部材の斜視図であるが、ウォッブル部材によって支持されており、連結ロッドに結合可能な4つの自在継手を示す図である。
【図3】エンジンから取り外された機構の側面図であり、図2と同一の部品及び更に連結ロッドを一方の側から見た図である。
【図4】機構を上から(これについて後で定義される)見た図である。
【図5】図3の図4のA‐A線に沿った図3及び図4の機構の断面図である。
【図6】図3のC‐C線に沿った図3ないし図5の機構の断面図である。
【図7】図5に類似した断面図であるが、エンジン‐発電機のケーシング内の定位置に存在する機構の断面図であり、発電機を断面で示すと共に機構の底部バランスウェイトを示す図である。
【図8】図3ないし図6の機構の好ましい形態のトルク制限部材を機構の残部から分離した状態で示す拡大斜視図である。
【図9】トルク制限部材並びにウォッブル部材及び軸受の分解組立て図である。
【図10】機構の好ましい形態を上から見た部分組立て分解斜視図である。
【図11】機構の好ましい形態を一方の側から見た部分組立て分解図である。
【図12a】軸受をトルク拘束部材の一形態の外端部に取り付けるための一構成例の拡大図である。
【図12b】軸受をトルク制限部材の一形態の外端に取り付けるための一構成例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の好ましい形態の直線‐回転運動変換機構を、エンジンのピストンの直線往復運動をエンジンの出力シャフトの回転運動に変換するためのエンジン、特にスターリングエンジンの一部として説明する。この説明では、「上側」若しくは「頂部」及び「下側」若しくは「底部」又はこれらと同様な用語は、機構をz‐クランクシャフトの出力駆動端部が最も下に位置し、z‐クランクシャフトのクランクピンが最も上に位置する向きで説明するために用いられているが、この機構をクランクシャフトの出力端部が最も上に位置し又はいずれかの側に位置し若しくは任意の向きで位置するエンジン(又はポンプ若しくは圧縮機)に用いることができ、相対的な用語「上側」若しくは「頂部」と「下方」若しくは「底部」又はこれらに類似した用語の使用は、以下の説明を限定するものではない。
【0024】
先ず最初に図1ないし図7を参照すると、好ましい形態の機構のz‐クランクシャフトが、参照符号1で示されている。z‐クランクシャフトは、出力駆動端部2及び傾斜クランクピン3(特に図5参照)を有している。z‐クランクシャフト1は、出力駆動端部2の長手方向軸線を中心に回転可能に設けられている。図示の好ましい形態では、z‐クランクシャフト1は、エンジンのエンジンケーシング5に設けられた上側軸受4a(図7参照)及び下側軸受4bで支持されている。図示の実施形態では、スターリングエンジンは、直流発電機又は交流発電機(本明細書では、便宜上「発電機」という)を駆動する。発電機のロータ組立体50は、z‐クランクシャフトの出力駆動端部2で支持されている。ロータ組立体は、図示のように積層及び巻線から成っていても良く、巻きステータと相互作用する永久磁石型のものであっても良い。下側軸受4bは、z‐クランクシャフトの出力駆動端部2の底端の周りで発電機ケーシング53の下方部分内に設けられている。上側ハウジング4aも又、クランプピン3の下でz‐クランクシャフトの出力駆動端部2の周りに位置している。
【0025】
ウォッブル部材6が、傾斜クランプピン3に回転可能に取り付けられている。好ましい形態では、ウォッブル部材6は、図示のように全体として管状又は円筒形のものであり、上側及び下側軸受7a,7bによってz‐クランクシャフト1上に支持され、これら軸受は、例えば、ウォッブル部材6の各端部のところ又はその近くに、特に、連結ロッド29の下端部とシリンダ19内で作動する4つのピストン(図1参照)を連結する4つのナックル継手がウォッブル部材6に取り付けられているウォッブル部材のボス部分6aの各側に設けられた玉軸受(図5、図7及び図9参照)であるのが良い。トルク制限部材は、同じボス部分6aのところで、ウォッブル部材6に結合されており、これについては以下において更に説明する。ボルト30が、ウォッブル部材6の頂部を貫通してクランクピン3(図5参照)の頂部に設けられた軸方向ボアの中にねじ込まれている。
以下、本明細書では、便宜上、ウォッブル部材6をボス6という。
【0026】
エンジンのピストンの連結ロッドに結合可能な4つのナックル継手を参照すると、これらは、図示のようにボス6の周りに等間隔をなして配置されると共にボス6に固定されている。好ましい形態では、4つのハブピン9の各々の縮径端部8は、ボス6の周りに半径方向に間隔を置いて設けられた横方向ボア10内にねじ込まれている(図6参照)。図示の好ましい形態では、ボス6とハブピン9は、別々のコンポーネントとして形成されているが、変形例として、ボス6とハブピン9若しくはこれらと均等物は、任意の形態をなす単一の一体形コンポーネントとして形成されても良い。クレビス11が、ハブピン軸受12を介して横方向軸線回りに枢動可能に各ハブピン9の外端部に取り付けられている。コンロッドピン13が、コンロッドピン13の長手方向軸線に対して横に向いたボアを備える拡大ヨーク14を有し、コンロッドピンは、ハブピン9の外端部に被さると共に好ましい形態ではニードルころ軸受として示されたハブピン軸受12を介してハブピン9に取り付けられている。クレビス11のアームは、コンロッドカップ15によりコンロッドピン13の端部に結合されており、これらコンロッドカップは、クレビスのアームに設けられた孔を貫通した状態でハブピン9の端部に設けられた連結ロッド軸受16、好ましくはニードルころ軸受に被さっている。内側スラスト軸受17及び外側スラスト軸受17aが、コンロッドピン13とハブピン9の外端部との間に更に設けられている。軸受は、キャップ18により覆われており、キャップ18の口にはハブピン9の外部周りにシールが設けられている。連結ロッド29の下端部は、好ましい形態では各クレビス11(特に図5参照)の上側ブリッジ部分内へのねじ連結により各クレビス11に結合されている。上述の実施形態の変形例では、軸受12,16,17の各々に代えてブッシュを用いても良い。
【0027】
特に図4、図6、図8及び図9を参照すると、好ましい形態としての機構のトルク制限部材は、参照符号20で示されている。トルク制限部材は、一端部がボス6に結合され、図示の特定の実施形態では、トルク制限部材は又、z‐クランクシャフトを包囲している。クランクピン3は、トルク制限部材20に設けられた孔22を貫通してこの中で自由に動くことができる(トルク制限部材に接触することなく)。スタブシャフト27が、ボス6の内部から見てトルク制限部材からボス6の各側部で軸受21、例えばニードルころ軸受内に突き出ており、スタブシャフト27を通る長手方向軸線は、z‐クランクシャフト1の出力駆動端部2の長手方向軸線がクランクピンの長手方向軸線と交差する箇所で傾斜クランクピン3の長手方向軸線を横方向に通るようになっている。便宜上、この箇所を本明細書では「ハブ中心」(又は、別の言い方をすれば、回転中心又はウォッブル中心)という。これにより、トルク制限部材20は、機構の運動中、ハブ中心を通る軸線回りに枢動することができる。軸受21は、ボス6の各側に設けられた孔内に設けられている。変形形態では、2本のトルク制限アームをエンジンの各側から見て同一のピボット箇所のところで(ボス中心を横方向に取る同一の軸線に沿って)ボス6に結合しても良い(各トルク制限アームの端部24は、機構/エンジンの各側に位置している)。
【0028】
トルク制限部材20の他端部24は、不動基準点としてエンジンのケーシングに直接的に又は間接的に結合されている。好ましい形態では、トルク制限アーム20の端部24は、軸受25(本明細書においては、回転防止軸受25という)内に設けられており、この軸受は、エンジンケーシングの部分5内に設けられている。トルク制限アーム20の端部24を何らかの仕方でエンジン本体又はケーシングに又は任意他の不動基準点に固定しても良いが、トルク制限アーム20の端部24の長手方向軸線が機構のハブ中心を正確に通っていれば、トルク制限アームのその端部24の長手方向軸線を中心とした往復振動運動を許容する軸受により固定しなければならない。もしそうでなければ、トルク制限アーム20も又、機構が回転すると或る程度の長手方向往復運動(トルク制限アーム20の端部24の軸線に沿う往復運動)を生じる場合がある。少なくとも僅かな程度のこのような長手方向往復運動を許容するため、回転防止軸受25がトルク制限アームの長手方向軸線の方向に或る程度まで動くことができるよう回転防止軸受25を設けるのが良い。例えば、回転防止軸受25は、トルク制限アームの端部24のこのような長手方向往復運動を許容するよう弾性的に設けるのが良い。図12a及び図12bは、例示として回転防止軸受25をこのように取り付けるための一構成例を示している。参照符号26は、エンジンケーシングの部分5からの直立部を示している。直立部26の下方部分には貫通孔が形成されており、トルク制限アーム20の端部24は、これに回転防止軸受25が取り付けられた状態でこの貫通孔内に延びており、この回転防止軸受は、ニードルころ軸受として示されている。回転防止軸受25は、例えばばね鋼で形成されるのが良い弾性要素63の自由端部に固定された軸受取り付けキャップ62内に保持されており、弾性要素の他端部は、図示のように締結具64によって直立部26に固定されている。この構成は、或る程度の力をハブ中心に向かって、即ち矢印A2の方向に(このことが有利な場合がある)トルク制限アーム20の端部24に及ぼしながら、ばね鋼要素63の下端部が図12bに記載された矢印A1‐A2の方向に自由に往復運動状態で撓むことができるようなものである。このような弾性マウントのもう1つの利点は、この弾性アームが自動調心を行う傾向があるということにある。或る程度の長手方向運動及び(又は)自動調心も又許容するよう回転防振軸受25を取り付ける任意の別の構成を採用することが可能である。
【0029】
作動にあたり、図3の矢印LMの方向にエンジンのピストンによって駆動された連結ロッド29の直線往復運動は、矢印RMによって指示されているようにz‐クランク部材1の出力シャフト端部2の回転運動に変換される(例えばポンプ又は圧縮機用途ではこの逆の関係が成り立つ)。
【0030】
トルク制限部材をハブ中心を通る横方向軸線に沿って枢動可能にウォッブル部材又はボス6に結合した結果として、トルク制限アームとウォッブル部材又はボスとの間の軸受21に加わる荷重は比較的軽いので、比較的小形の軸受を用いることができる。好ましくは、トルク制限アームとボスとの間で軸受21を通る軸線は、エンジンをシリンダ及び連結棒の長手方向軸線に対して45°の角度をなし、それにより、作動中、コンロッド連結ナックル継手によって実行される8の字形運動の幅が最小限に抑えられ、それ故、ピストンに加わる横方向荷重及び振動が最小限に抑えられる。
【0031】
連結ロッド端部の8の字形運動により、エンジン振動数の2倍の振動数でエンジンのねじり振動が生じる。好ましくは、4シリンダ型機械の場合、軸受25の位置がシャフト回転位置に対して適当に位相調整した状態で接線方向に動くと、その結果として、ねじり運動が打ち消される。
【0032】
機構の作動中、連結ロッドの下端部は、軸線に沿う往復運動だけでなく、ピストンシリンダの軸線を下に見た状態で360°の軌道を描く幾分かの側方運動を行う傾向がある。好ましい形態では、これは、この運動を許容するのに十分な固有の可撓性を有するよう連結ロッドを構成することによって可能になる。従来、連結ロッドは、剛性であるように形成されている。連結ロッドは、円形又は丸形断面を有するのが良い。連結ロッドの長さに対する断面直径は、連結棒に所要程度の可撓性を与えるようなものである(但し、連結ロッドは、例えば鋼で作られる)。この場合、連結ロッドは、ナックル継手端部のところで360°の軌道を描いて撓む。連結ロッドは、これら連結ロッドの長さの1/10よりも短い直径を有するのが良い。連結ロッドは更に、連結ロッドの座屈を生じないで下向きのピストン力をウォッブル機構に効果的に伝達するのに十分な剛性を有する。連結ロッドを二重曲げ連結ロッドと称しても良い。というのは、このような連結ロッドは、2つの平面内で撓むからである。連結ロッドの上端部のところでの連結ロッドとピストンの連結部は、剛性であるのが良く、それによりこの連結部のところで自在継手を用いる必要性が回避される。この場合、連結ロッドの上端部とピストンとの間のこのような継手に潤滑手段を設けることは不要である。
【0033】
上述の好ましい実施形態では、z‐クランクシャフト1は、上述したようにエンジンケーシングの部分5内に設けられた軸受4a及び発電機ケーシング53の下方部分内に設けられた軸受4bによって支持され、これは両方共、z‐クランクシャフト1の傾斜クランクピン3の下に位置している。クランクピンの上には軸受が設けられていない。加うるに、クランクピン3の下にはバランスウェイトが設けられている。上側バランスウェイト46が、z‐クランクシャフトの上端部寄りであるが軸受4aの上でクランクピン3の下に固定されている。下側バランスウェイト45が、軸受4bの下に設けられている。下側バランスウェイト4bは、これが発電機のための冷却ファンとして作用するよう羽根を更に有するのが良い。この構成では、これ又、単一のシールを設けることが必要であるに過ぎず、このようなシールは、ボス6をクランクピン3に取り付ける下側軸受7の下に位置したシール31(図5参照)である。このシールは、ハブ組立体の内側に潤滑剤を保持する。
【0034】
好ましい形態では、ハブピン9は、ボス6内にねじ込まれている。軸受12,16,17を有する各ハブピン9及び連結ロッドナックル継手は、ボス6とは別個のユニットとして形成され、次にボス6内にねじ込まれるのが良い。これは、機構の組立て及び更に次のナックル継手軸受の任意のものの交換にとって有利である。というのは、連結ロッドをクレビス11から取り外すことが必要なだけであるからであり、それにより、ナックル継手‐ハブピン組立体をボス6からねじ戻して外し、交換品を定位置にねじ込むことができる。
【0035】
図示の好ましい形態としての機構では、中空ボス6の頂部は、キャップ(図示せず)によって閉鎖されている。ボス6の下端部は、回転リップシール31(図5参照)によってz‐クランクシャフトに封着され、ボスとトルク制限アームのヨーク端部21aとの間の軸受32の各々は、関連のシールを有している。ボア10が、ハブピン9を介して連結ロッドナックル継手軸受とボスの内部を連通させている。油循環式システムでは、油が加圧下で、z‐クランクシャフト1を上方に貫通して設けられたボア及びハブピン9の貫通ボア10を経てハブピン軸受12、連結ロッドスラスト軸受17及びクレビス‐ハブピン軸受16に供給されるのが良い。油は、ハブピン端部とz‐クランクシャフトのクランクピンとの間で各ハブピン9の内端部上に設けられたシューによってボア10に移送されるのが良く、このようなシューは、供給加圧油をピックアップする。変形例として、非加圧油潤滑式システムでは、ボス6の内部は、油リザーバとしての役目を果たすことができ、各ハブピン9の端部とクランクピンとの間のシューは、機構が作動すると、油をピックアップし、これをナックル継手軸受に送ることができる。グリース潤滑式システムでは、ボス6の内部には加圧下でグリースを詰め込むのが良く、グリースは、ボア10を通ってナックル継手軸受に送られる。エンジン‐機構の補修中、グリースを加圧下で、ボス6の壁を通って単一のニップルに送ることにより全ての軸受を再潤滑するのが良い。
【0036】
上述の説明は、好ましい形態を含む本発明に関する。当業者には明らかな変形例及び改造例は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に含まれるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線往復運動と実質的に平行な軸線を中心とした回転運動との変換を行う軸方向機構であって、
z‐クランクシャフトを有し、前記z‐クランクシャフトは、前記z‐クランクシャフトの長手方向軸線回りに回転可能に設けられ、前記z‐クランクシャフトは、出力駆動端部及び傾斜クランクピンを有し、
前記z‐クランクシャフトの前記傾斜クランクピンに回転可能に取り付けられたウォッブル部材を有し、
1つ又は2つ以上のピストンを有し、連結ロッドが各ピストンと前記ウォッブル部材に連結されたピボット継手との間に設けられていて、直線往復運動を前記ピストンと前記ウォッブル部材との間で結合するようになっており、前記連結ロッドは、前記連結ロッドの前記ウォッブル側端部のところで又はこのウォッブル部材側端部寄りで360°の軌道を描く側方運動を許容するのに十分な固有の可撓性を備えている、
ことを特徴とする軸方向機構。
【請求項2】
前記連結ロッドは、前記連結ロッドの一端部がそのピストンに実質的に剛性的に結合されている、請求項1記載の軸方向機構。
【請求項3】
前記連結ロッドは、前記連結ロッドに前記連結ロッドの前記ウォッブル部材側の端部のところ又はこのウォッブル部材側端部寄りで360°の軌道を描く側方運動を許容するのに十分な前記固有の可撓性を与えるような長さに対する直径を備えた実質的に円形の断面を有する、請求項1又は2記載の軸方向機構。
【請求項4】
前記連結ロッドは、その長さの1/10よりも小さい直径を有する、請求項3記載の軸方向機構。
【請求項5】
直線往復運動と実質的に平行な軸線を中心とした回転運動との変換を行う軸方向機構であって、
z‐クランクシャフトを有し、前記z‐クランクシャフトは、前記z‐クランクシャフトの長手方向軸線回りに回転可能に設けられ、前記z‐クランクシャフトは、出力駆動端部及び傾斜クランクピンを有し、
前記z‐クランクシャフトの前記傾斜クランクピンに回転可能に取り付けられたウォッブル部材を有し、
各々が1つ又は2つ以上のピボット継手を介して前記ウォッブル部材に連結され、直線往復運動を前記ウォッブル部材に結合する1つ又は2つ以上のピストンを有し、前記ウォッブル部材の内部から前記1つ又は2つ以上のピボット継手の各々までの潤滑連通路を有する、軸方向機構。
【請求項6】
前記1つ又は2つ以上のピボット継手の各々は、潤滑剤が前記潤滑連通路を介して前記ウォッブル部材の内部から提供される多数個の軸受を有する、請求項5記載の軸方向機構。
【請求項7】
前記z‐クランクシャフトは、前記ウォッブル部材の中空内部に通じる内部潤滑連通路を有し、前記軸方向機構の作動の際、前記内部潤滑連通路により、潤滑剤が圧力下で、前記ウォッブル部材及び(又は)前記ウォッブル部材を前記z‐クランクシャフトの前記クランクピンに取り付ける軸受及び(又は)前記1つ又は2つ以上のピストンを前記ウォッブル部材に連結する前記1つ又は2つ以上のピボット継手の各々に提供される、請求項5又は6記載の軸方向機構。
【請求項8】
前記潤滑連通路は、当初、前記ピボット継手と前記ウォッブル部材との間に設けられたハブピンを介し、前記1つ又は2つ以上のピボット継手の各々と前記ウォッブル部材の内部を連通させる、請求項5ないし7のうちいずれか一に記載の軸方向機構。
【請求項9】
前記ウォッブル部材は、所与の量の潤滑剤を溜めるための中空内部を有する、請求項5ないし8のうちいずれか一に記載の軸方向機構。
【請求項10】
直線往復運動と実質的に平行な軸線を中心とした回転運動との変換を行う軸方向機構であって、
z‐クランクシャフトを有し、前記z‐クランクシャフトは、前記z‐クランクシャフトの長手方向軸線回りに回転可能に設けられ、前記z‐クランクシャフトは、出力駆動端部及び傾斜クランクピンを有し、
前記z‐クランクシャフトの前記傾斜クランクピンに回転可能に取り付けられたウォッブル部材を有し、
各々がピボット継手を介して前記ウォッブル部材に連結された1つ又は2つ以上のピストンを有し、前記ピボット継手は、多数個の軸受を有し、一体形ユニットとして前記ウォッブル部材に取り付けられている、軸方向機構。
【請求項11】
各前記ピボット継手は、一体形ユニットとして、前記ウォッブル部材に螺着されている、請求項10記載の軸方向機構。
【請求項12】
各前記ピボット継手は、一体形ユニットとして、前記ウォッブル部材にねじ込まれた一体形ユニットとしての前記ピボット継手のねじ山付きハブピン側部分により前記ウォッブル部材に螺着されている、請求項11記載の軸方向機構。
【請求項13】
直線往復運動と実質的に平行な軸線を中心とした回転運動との変換を行う軸方向機構であって、
z‐クランクシャフトを有し、前記z‐クランクシャフトは、前記z‐クランクシャフトの長手方向軸線回りに回転可能に設けられ、前記z‐クランクシャフトは、出力駆動端部及び傾斜クランクピンを有し、前記z‐クランクシャフトは、全て前記z‐クランクシャフトの一方の側に位置決めされると共に前記z‐クランクシャフトの前記出力駆動端部に沿って互いに間隔を置いて設けられた軸受によって回転可能に支持され、
前記z‐クランクシャフトの前記傾斜クランクピンに回転可能に取り付けられたウォッブル部材を有し、
直線往復運動を前記ウォッブル部材に結合する1つ又は2つ以上のリンク装置を有する、軸方向機構。
【請求項14】
バランスウェイトが、前記z‐クランクシャフトの前記出力駆動端部に設けられている、請求項13記載の軸方向機構。
【請求項15】
バランスウェイトは、前記z‐クランクシャフトの前記出力駆動端部の各端に又は各端寄りに設けられている、請求項14記載の軸方向機構。
【請求項16】
1つの前記バランスウェイトは、冷却ファンとして働く羽根を更に有する、請求項15記載の軸方向機構。
【請求項17】
直線往復運動と実質的に平行な軸線を中心とした回転運動との変換を行う軸方向機構であって、
z‐クランクシャフトを有し、前記z‐クランクシャフトは、前記z‐クランクシャフトの長手方向軸線回りに回転可能に設けられ、前記z‐クランクシャフトは、出力駆動端部及び傾斜クランクピンを有し、
前記z‐クランクシャフトの前記傾斜クランクピンに回転可能に取り付けられたウォッブル部材を有し、
直線往復運動を前記ウォッブル部材に結合する1つ又は2つ以上のリンク装置を有し、
弾性マウント又は軸受を介して前記ウォッブル部材と不動基準箇所との間に結合されたトルク制限部材を有し、前記弾性マウント又は軸受は、前記傾斜クランクピンまでの前記トルク制限部材の長手方向軸線を中心とした前記トルク制限部材の振動運動を制限すると共に前記長手方向軸線に沿う運動を制限することができる、軸方向機構。
【請求項18】
前記弾性マウント又は軸受は、力を前記傾斜クランクピンに向かって前記トルク制限部材に加えるよう配置されている、請求項17記載の軸方向機構。
【請求項19】
前記ウォッブル部材の不動基準箇所との間に結合されたトルク制限部材を有し、前記トルク制限部材の一端部は、前記ウォッブル部材の内部で前記z‐クランクシャフトの前記傾斜クランクピンに結合され、前記トルク制限部材は、前記トルク制限部材の前記一端部から前記ウォッブル部材の各側部に設けられた軸受内に突き出たスタブシャフトを有する、請求項1ないし18のうちいずれか一に記載の軸方向機構。
【請求項20】
前記ウォッブル部材と不動基準箇所との間に結合されたトルク制限部材を有し、前記トルク制限部材は、前記z‐クランクシャフトの前記出力駆動端部の長手方向軸線が前記傾斜クランクピンの長手方向軸線と交わる箇所で前記z‐クランクシャフトの前記傾斜クランクピンの長手方向軸線を横方向に通る軸線に沿って枢動可能に前記ウォッブル部材に結合されている、請求項1ないし19のうちいずれか一に記載の軸方向機構。
【請求項21】
前記トルク制限部材は、エンジンのシリンダ及び連結ロッドの長手方向軸線に対して約45°の角度をなして前記z‐クランクシャフトの前記傾斜クランクピンの前記長手方向軸線を横方向に通る前記軸線に沿って枢動可能に前記ウォッブル部材に結合されている、請求項20記載の軸方向機構。
【請求項22】
前記ウォッブル部材は、前記z‐クランクシャフトの前記傾斜クランクピンを中心とする全体として管状又は円筒形のものである、請求項1ないし21のうちいずれか一に記載の軸方向機構。
【請求項23】
前記ウォッブル部材は、前記傾斜クランクピンの各端部のところ又はその近くに設けられた上側及び下側軸受によって前記z‐クランクシャフトの前記傾斜クランクピン上に支持されている、請求項1ないし22のうちいずれか一に記載の軸方向機構。
【請求項24】
エンジンであって、前記エンジンの1つ又は2つ以上のピストンの直線往復運動を回転運動に変換するための請求項1ないし23のうちいずれか一に記載の軸方向機構を有する、エンジン。
【請求項25】
前記エンジンは、熱機関である、請求項24記載のエンジン。
【請求項26】
前記エンジンは、スターリングエンジンである、請求項24記載のエンジン。
【請求項27】
前記z‐クランクシャフトの前記出力駆動端部に結合された発電機を有する、請求項24ないし26のうちいずれか一に記載のエンジン。
【請求項28】
前記発電機のロータ組立体が、前記z‐クランクシャフトの前記出力駆動端部で支持されている、請求項27記載のエンジン。
【請求項29】
微小組合せ型熱・電力ユニットである発電機に結合された請求項24ないし28のうちいずれか一に記載のエンジン。
【請求項30】
ポンプ又は圧縮機であって、回転運動を前記ポンプ又は圧縮機の1つ又は2つ以上のピストンの直線往復運動に変換するための請求項1ないし23のうちいずれか一に記載の軸方向機構を有するポンプ又は圧縮機。
【請求項31】
多シリンダ型機械である請求項24ないし30のうちいずれか一に記載のエンジン、ポンプ又は圧縮機。
【請求項1】
直線往復運動と実質的に平行な軸線を中心とした回転運動との変換を行う軸方向機構であって、
z‐クランクシャフトを有し、前記z‐クランクシャフトは、前記z‐クランクシャフトの長手方向軸線回りに回転可能に設けられ、前記z‐クランクシャフトは、出力駆動端部及び傾斜クランクピンを有し、
前記z‐クランクシャフトの前記傾斜クランクピンに回転可能に取り付けられたウォッブル部材を有し、
1つ又は2つ以上のピストンを有し、連結ロッドが各ピストンと前記ウォッブル部材に連結されたピボット継手との間に設けられていて、直線往復運動を前記ピストンと前記ウォッブル部材との間で結合するようになっており、前記連結ロッドは、前記連結ロッドの前記ウォッブル側端部のところで又はこのウォッブル部材側端部寄りで360°の軌道を描く側方運動を許容するのに十分な固有の可撓性を備えている、
ことを特徴とする軸方向機構。
【請求項2】
前記連結ロッドは、前記連結ロッドの一端部がそのピストンに実質的に剛性的に結合されている、請求項1記載の軸方向機構。
【請求項3】
前記連結ロッドは、前記連結ロッドに前記連結ロッドの前記ウォッブル部材側の端部のところ又はこのウォッブル部材側端部寄りで360°の軌道を描く側方運動を許容するのに十分な前記固有の可撓性を与えるような長さに対する直径を備えた実質的に円形の断面を有する、請求項1又は2記載の軸方向機構。
【請求項4】
前記連結ロッドは、その長さの1/10よりも小さい直径を有する、請求項3記載の軸方向機構。
【請求項5】
直線往復運動と実質的に平行な軸線を中心とした回転運動との変換を行う軸方向機構であって、
z‐クランクシャフトを有し、前記z‐クランクシャフトは、前記z‐クランクシャフトの長手方向軸線回りに回転可能に設けられ、前記z‐クランクシャフトは、出力駆動端部及び傾斜クランクピンを有し、
前記z‐クランクシャフトの前記傾斜クランクピンに回転可能に取り付けられたウォッブル部材を有し、
各々が1つ又は2つ以上のピボット継手を介して前記ウォッブル部材に連結され、直線往復運動を前記ウォッブル部材に結合する1つ又は2つ以上のピストンを有し、前記ウォッブル部材の内部から前記1つ又は2つ以上のピボット継手の各々までの潤滑連通路を有する、軸方向機構。
【請求項6】
前記1つ又は2つ以上のピボット継手の各々は、潤滑剤が前記潤滑連通路を介して前記ウォッブル部材の内部から提供される多数個の軸受を有する、請求項5記載の軸方向機構。
【請求項7】
前記z‐クランクシャフトは、前記ウォッブル部材の中空内部に通じる内部潤滑連通路を有し、前記軸方向機構の作動の際、前記内部潤滑連通路により、潤滑剤が圧力下で、前記ウォッブル部材及び(又は)前記ウォッブル部材を前記z‐クランクシャフトの前記クランクピンに取り付ける軸受及び(又は)前記1つ又は2つ以上のピストンを前記ウォッブル部材に連結する前記1つ又は2つ以上のピボット継手の各々に提供される、請求項5又は6記載の軸方向機構。
【請求項8】
前記潤滑連通路は、当初、前記ピボット継手と前記ウォッブル部材との間に設けられたハブピンを介し、前記1つ又は2つ以上のピボット継手の各々と前記ウォッブル部材の内部を連通させる、請求項5ないし7のうちいずれか一に記載の軸方向機構。
【請求項9】
前記ウォッブル部材は、所与の量の潤滑剤を溜めるための中空内部を有する、請求項5ないし8のうちいずれか一に記載の軸方向機構。
【請求項10】
直線往復運動と実質的に平行な軸線を中心とした回転運動との変換を行う軸方向機構であって、
z‐クランクシャフトを有し、前記z‐クランクシャフトは、前記z‐クランクシャフトの長手方向軸線回りに回転可能に設けられ、前記z‐クランクシャフトは、出力駆動端部及び傾斜クランクピンを有し、
前記z‐クランクシャフトの前記傾斜クランクピンに回転可能に取り付けられたウォッブル部材を有し、
各々がピボット継手を介して前記ウォッブル部材に連結された1つ又は2つ以上のピストンを有し、前記ピボット継手は、多数個の軸受を有し、一体形ユニットとして前記ウォッブル部材に取り付けられている、軸方向機構。
【請求項11】
各前記ピボット継手は、一体形ユニットとして、前記ウォッブル部材に螺着されている、請求項10記載の軸方向機構。
【請求項12】
各前記ピボット継手は、一体形ユニットとして、前記ウォッブル部材にねじ込まれた一体形ユニットとしての前記ピボット継手のねじ山付きハブピン側部分により前記ウォッブル部材に螺着されている、請求項11記載の軸方向機構。
【請求項13】
直線往復運動と実質的に平行な軸線を中心とした回転運動との変換を行う軸方向機構であって、
z‐クランクシャフトを有し、前記z‐クランクシャフトは、前記z‐クランクシャフトの長手方向軸線回りに回転可能に設けられ、前記z‐クランクシャフトは、出力駆動端部及び傾斜クランクピンを有し、前記z‐クランクシャフトは、全て前記z‐クランクシャフトの一方の側に位置決めされると共に前記z‐クランクシャフトの前記出力駆動端部に沿って互いに間隔を置いて設けられた軸受によって回転可能に支持され、
前記z‐クランクシャフトの前記傾斜クランクピンに回転可能に取り付けられたウォッブル部材を有し、
直線往復運動を前記ウォッブル部材に結合する1つ又は2つ以上のリンク装置を有する、軸方向機構。
【請求項14】
バランスウェイトが、前記z‐クランクシャフトの前記出力駆動端部に設けられている、請求項13記載の軸方向機構。
【請求項15】
バランスウェイトは、前記z‐クランクシャフトの前記出力駆動端部の各端に又は各端寄りに設けられている、請求項14記載の軸方向機構。
【請求項16】
1つの前記バランスウェイトは、冷却ファンとして働く羽根を更に有する、請求項15記載の軸方向機構。
【請求項17】
直線往復運動と実質的に平行な軸線を中心とした回転運動との変換を行う軸方向機構であって、
z‐クランクシャフトを有し、前記z‐クランクシャフトは、前記z‐クランクシャフトの長手方向軸線回りに回転可能に設けられ、前記z‐クランクシャフトは、出力駆動端部及び傾斜クランクピンを有し、
前記z‐クランクシャフトの前記傾斜クランクピンに回転可能に取り付けられたウォッブル部材を有し、
直線往復運動を前記ウォッブル部材に結合する1つ又は2つ以上のリンク装置を有し、
弾性マウント又は軸受を介して前記ウォッブル部材と不動基準箇所との間に結合されたトルク制限部材を有し、前記弾性マウント又は軸受は、前記傾斜クランクピンまでの前記トルク制限部材の長手方向軸線を中心とした前記トルク制限部材の振動運動を制限すると共に前記長手方向軸線に沿う運動を制限することができる、軸方向機構。
【請求項18】
前記弾性マウント又は軸受は、力を前記傾斜クランクピンに向かって前記トルク制限部材に加えるよう配置されている、請求項17記載の軸方向機構。
【請求項19】
前記ウォッブル部材の不動基準箇所との間に結合されたトルク制限部材を有し、前記トルク制限部材の一端部は、前記ウォッブル部材の内部で前記z‐クランクシャフトの前記傾斜クランクピンに結合され、前記トルク制限部材は、前記トルク制限部材の前記一端部から前記ウォッブル部材の各側部に設けられた軸受内に突き出たスタブシャフトを有する、請求項1ないし18のうちいずれか一に記載の軸方向機構。
【請求項20】
前記ウォッブル部材と不動基準箇所との間に結合されたトルク制限部材を有し、前記トルク制限部材は、前記z‐クランクシャフトの前記出力駆動端部の長手方向軸線が前記傾斜クランクピンの長手方向軸線と交わる箇所で前記z‐クランクシャフトの前記傾斜クランクピンの長手方向軸線を横方向に通る軸線に沿って枢動可能に前記ウォッブル部材に結合されている、請求項1ないし19のうちいずれか一に記載の軸方向機構。
【請求項21】
前記トルク制限部材は、エンジンのシリンダ及び連結ロッドの長手方向軸線に対して約45°の角度をなして前記z‐クランクシャフトの前記傾斜クランクピンの前記長手方向軸線を横方向に通る前記軸線に沿って枢動可能に前記ウォッブル部材に結合されている、請求項20記載の軸方向機構。
【請求項22】
前記ウォッブル部材は、前記z‐クランクシャフトの前記傾斜クランクピンを中心とする全体として管状又は円筒形のものである、請求項1ないし21のうちいずれか一に記載の軸方向機構。
【請求項23】
前記ウォッブル部材は、前記傾斜クランクピンの各端部のところ又はその近くに設けられた上側及び下側軸受によって前記z‐クランクシャフトの前記傾斜クランクピン上に支持されている、請求項1ないし22のうちいずれか一に記載の軸方向機構。
【請求項24】
エンジンであって、前記エンジンの1つ又は2つ以上のピストンの直線往復運動を回転運動に変換するための請求項1ないし23のうちいずれか一に記載の軸方向機構を有する、エンジン。
【請求項25】
前記エンジンは、熱機関である、請求項24記載のエンジン。
【請求項26】
前記エンジンは、スターリングエンジンである、請求項24記載のエンジン。
【請求項27】
前記z‐クランクシャフトの前記出力駆動端部に結合された発電機を有する、請求項24ないし26のうちいずれか一に記載のエンジン。
【請求項28】
前記発電機のロータ組立体が、前記z‐クランクシャフトの前記出力駆動端部で支持されている、請求項27記載のエンジン。
【請求項29】
微小組合せ型熱・電力ユニットである発電機に結合された請求項24ないし28のうちいずれか一に記載のエンジン。
【請求項30】
ポンプ又は圧縮機であって、回転運動を前記ポンプ又は圧縮機の1つ又は2つ以上のピストンの直線往復運動に変換するための請求項1ないし23のうちいずれか一に記載の軸方向機構を有するポンプ又は圧縮機。
【請求項31】
多シリンダ型機械である請求項24ないし30のうちいずれか一に記載のエンジン、ポンプ又は圧縮機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【公表番号】特表2010−512499(P2010−512499A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541254(P2009−541254)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【国際出願番号】PCT/NZ2007/000359
【国際公開番号】WO2008/072984
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(509039068)ウィスパー テック リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【国際出願番号】PCT/NZ2007/000359
【国際公開番号】WO2008/072984
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(509039068)ウィスパー テック リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
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