説明

直線式編機糸ガイドバーの振動制御装置

【課題】直線編機の糸ガイドバーのための振動制御装置を提案する。
【解決手段】少なくとも一つの糸ガイドバー(2)と関連する中心軸(6)の周囲を回転可能な保持部(5)と、該保持部(5)のための運動手段(10)、及び該運動手段と作動可能に連結し該保持部(5)に振動運動を伝えるための伝達手段(20)を含むワープ直線編機(60)の糸ガイドバー(2)のための振動制御装置(1)であって、前記保持部(5)を前記中心軸(6)について均衡のとれた状態で動かすために前記伝達手段(20)は、少なくとも二つの離間した作動点(7a、7b)上において前記保持部(5)と作動可能に関連することを特徴とする振動制御装置(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッセル式たて編機、トリコット編機、クローシェ編機等として知られている、直線編機の糸ガイドバーの振動制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のこととして、一般に糸ガイドとして知られている糸保持要素を運搬するために設計された複数のバーを有するラッセル式たて編機が提供されている。当該バーは、新しい糸が古いループに入り、当該古いループが排出されて形成される生地の一部となる周知の技術により新しい糸を形成するために、糸が糸ガイドと関連して編機の針の上に正しく供給されるように糸ガイドと関連して動かされなければならない。この編みの課題を達成するために、該糸ガイドバーは、同時に二つの基本的な運動を行う。すなわち、“ショグ”として一般に知られている各針のフックの前での第一の直線運動と、“スイング”として一般に知られている針フックの前後に択一的に糸をもたらすための各針の横での振動運動である。
【0003】
本発明は、糸ガイドの振動運動(“スイング”)を可能にする装置に関するものである。
【0004】
これまでのところ、通常は4度から10度である直線編機における糸ガイドバーの振動はさまざまな方法により得られる。それらはすべて、例えば四角形のような「てこ」システムを利用するものであり、編み目を形成するための互いに適切に連結された針の上げ下げを扱うシステムであり、例えばWO03/071018号公報及び米国特許第3221520号公報に示されている。したがって、当該機械の全機構は、当該機械のいかなる作動速度においても、その基本的な動作において厳格に同期化されている。
【0005】
周知のこととして、糸ガイドバーは、8つの糸ガイドバーが一般的には少なくとも一つの支持部と関連してダブル針床機械上に存在し、振動運動を伝達するために、このダブル針床機械はその回転が該「てこ」システムと連結している。前記バーは2つの支持部と連結し、各支持部はこれらの端部の一つの上に置かれている。必要な場合、さらにそれは中間の静止支持部のために供給されることが可能であり、該振動運動の積極的な伝達及び受動的な従属の両者が可能である。
【0006】
既述の通り、該てこは、針からの直線的な運動を糸ガイドバーのための振動運動に変換する。実際には、糸ガイドバーを支持するシャフトの軸周りに回転するように、糸ガイドバーと連結したロッドの動きにより振動運動を発生させる。原則として、図1にみられるように、糸ガイドバーの支持部は当該バーが連結される本体及び支持部アームからなり、この上でロッドが作用し、本体の主軸に対して基本的に垂直な主軸を有している。さらに、該支持部は本体とアームとの間の接点上で支持する軸と関連し、また、該支持部のための回転の中心となる。この特定の構造は、ロッド手段により得られるアームの直線運動から始まる本体の振動運動を得ることを可能とする。
【0007】
上記に開示した公知の装置は様々な欠点を示す。
【0008】
最初に、機械のモータから糸ガイドバーへの伝達運動のためのシステムは、針と糸ガイドが機械の外形寸法に関して狭い空隙において稼働するため非常に複雑でなければならず、また、非常に多くの部品を要するからである。これには非常に高価な費用を必要とする。さらに、当該装置の機械的複雑性はこれらの使用速度を大きく制限し、このため当該機械はしばしばこれらが統合された製造システムにおけるボトルネックに相当するものとなってしまう。
【0009】
第二に、当該装置は、当該装置が有する複雑性のため後に変更することが困難であることから、柔軟性が非常に低い。修理や構成要素の置換のための維持作業でさえ複雑となる。いずれにせよこれらの作業は、機械製造会社で働く専門的な人材の介入を必要とし、後に起こる製造の中断や、コストの増大を要することとなる。
【0010】
結局のところ、公知のシステムに関するもう一つの問題は、振動を形成するための連続的に支持部の変化の方向を逆にする必要にあり、これは糸ガイドバーにある。実際には、含まれる主要なものは、例えば反時計回りの振動を起こすために一方向に押されなければならず、その後、それに続く時計回りの振動を起こすために、振動のストロークの終わりにおいて抑制され、反対方向に押さなれければならない。したがって、そのような装置では、応力がかかったコンポーネントの全体のサイズや、作動速度の強力な減少を含む幾つかの機械的な問題であって解決が必然的な問題をもたらす。さらに、当該装置は非常に強い振動を生じ、例えば大きな反振動支持部構造のような適切な対策を通じて吸収されなければならない。
【0011】
この技術における状態では、上記で開示された問題を緩和する装置を示すものであるが、コストがさらに増大する。これらは図2に示される如く、基本的には正弦運動を支持部に伝達するコネクティングロッドークランク偏心システムの原理により成り立つ。該コネクティングロッドの当該正弦運動は動作が逆転する点での支持部のストロークを低減し、このため、モータに関す限り振動を強力に減少させ、様々な機械的な結合の上に生成される慣性力を排出する。
【0012】
さらに、公知の編機は糸ガイドバーの端部で連関する従来の装置のうち、さらに二台以上を含むことができる。例えば、略3.5メートルの長さを有する針床を含む機械においては、互いに略0.5メートルの間隔をおいて配置される8つの装置とすることが可能である。実際には、幾つかの装置の使用は寸法を減少することができ、このため、より早い使用速度が得られる。しかし、この場合、モータの寸法が大きく、またこれに連結するシャフトのサイズも非常に大きくなり、針及び他の要素の動きに含まれる他の装置とともに、このシャフトにこれらの8つの装置が挿入され、一定の速度及び加速又は制動時に適切な方法により作動しなければならない動きにおける主要なものによりこの装置に含まれる慣性力が増大する。
【0013】
示すべき点は、一般的に、これらの装置は、後方のニードルベッドを含む部分に位置し、このため異なる理由や、経済的性質のため機械の前部は自由にされる。したがって、該システムは均衡を保たず、また低速において振動が発生し増大する(例えば毎分350振動である)。
【特許文献1】国際公開第03/071018号公報
【特許文献2】米国特許公開第3221520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、当該技術の状態におけるこの問題を、上記の不利益をもたらすことなく、直線編機の糸ガイドバーの振動制御を提案することにより解決することである。したがって、本発明の目的は、直線編機の糸ガイドバーのための振動制御装置を提案することであり、編機の製造及び管理コストを低減することが可能となる。
【0015】
結果として、本発明の目的は、小数のコンポーネントを有する直線編機の糸ガイドバーのための振動制御装置を提供することであり、特に、保守に関する限り、機械構成、構造及び管理が簡素化できる。
【0016】
本発明のさらなる目的は、直線編機の糸ガイドバーのための振動制御装置を提示することであり、これは非常に精密であり、また最終製品の高品質を確実にするものである。
【0017】
本発明のよりさらなる目的は、編機の作業速度を増加することであり、編みステーション(knitting station)は、編み製品の全製造工程におけるボトルネックがこれ以上おきないことを提案するものである。
【0018】
さらに、本発明の目的は、直線編機の糸ガイドバーのための振動制御装置を示すことであり、この制御は支持部上に生じ、したがって糸ガイド上で、振動運動が均衡化され制御されて、特に臨界加速において抑止し及び動作を反転することにより、当該機械の構成コンポーネントが大きくなることを必要とせず、振動の発生及び揺れが低減できることである。
【0019】
本発明の最後の目的は、直線編機の糸ガイドバーのための振動制御装置を示すことであり、コンパクトで、合理的であり動的に均衡化された構造を有する直線編機を提供できるように、当該機械上に作用する力を均衡化することである。
【発明を解決するための手段】
【0020】
これら及び他の目的は以下の記載に表される本出願にクレームされている本発明によるところの、直線編機の振動制御装置により達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の更なる詳細は、典型的に示される図面とこれらについての排他的でない実施形態において開示される。
図1は、直線編機の糸ガイドバーのための公知の振動制御装置、
図2は、直線編機の糸ガイドバーのための公知の振動制御装置、
図3は、本発明による直線編機の糸ガイドバーのための振動制御装置の側面図、
図4は、本発明の第1実施形態における直線編機の第1の概略図、
図5は、本発明による機械の詳細の正面概略図、
図6は、本発明の第1実施形態における機械の平面図、
図7は、糸ガイドバーの第1の端部と関連する図3の装置の斜視図、
図8は、糸ガイドバーの第2の端部と関連する図3の装置の斜視図、
図9は、図4の機械の第2の概略正面図、
図10は、本発明の第2実施形態における機械の概略側面図である。
【0022】
以上の図面を参照すれば、本発明による直線編機60の糸ガイドバー2のための振動制御装置1は、中軸の周りを回転可能な少なくとも一つの糸ガイドバー2と関連して設けられた支持部5と、該支持部5の運動手段10、および該支持部5に振動運動を伝えるための該運動手段10に動作可能に連結された伝達手段20とを含む。
【0023】
当該装置1は、該伝達手段20が、該装置の中間軸6について均衡のとれた形で振動運動とともに動き、該支持部5と少なくとも二つの個別の作動点7a、7b上で動作可能に関連して設けられていることを特徴とする。
【0024】
図3にみられるように、該支持部5の動作のための該当該点7a、7bは該中間軸6を含む垂直面について向かい合っている。さらに、押し作用及び引き作用が同時に二つの該作動点7a、7b上に、該運動手段10により該伝達手段20を介してそれぞれ適用される。さらなる詳細においては、該支持部5が振動運動と共に動くたび毎に、押し作用が二つの作動点7a、7bの一方に適用され、引き作用が他の一方に適用される。結果として、これらの装置1は「プッシュ―プル」装置として定義することができる。
【0025】
このため、該装置1上に作用する力を平衡とすることが可能となり、またこれらのダイナミックスを効果的に制御することが可能となる。さらに、該支持部5の振動運動は、該支持部5の該中間軸6が基本的に該糸ガイドバー2の主軸と平行にできるように、糸ガイドバー2の長手の進展に対して垂直な平面で起こる。
【0026】
該伝達手段20は、該運動手段10と作動可能に連結した主伝達手段21、及び該主伝達手段21と作動可能に連結した二次伝達手段25を含み、後者により動かされる。該主伝達手段21は第1の作用点7a上で該支持部5に作用し、一方、該二次伝達手段25は第2の作用点7b上で作用する(図3及び図6)。
【0027】
有利なこととして、したがって該主伝達手段21及び二次伝達手段25は、対応する作用点7a、7bを介して、一方向の振動及び他の方向の反対の振動のための各押し作用及び引き作用により、該支持部5上に作用する。
【0028】
該伝達手段20はさらに、該二次伝達手段25と主伝達手段21を介して該運動手段10により提供される動きを同調して伝達するために、該主伝達手段21と該二次伝達手段25の間に連結手段30を含む(図3及び図6)。
【0029】
本発明によれば、該主伝達手段21は、該運動手段に作動可能に連結する主軸22と、該主軸22及び該第1の作用点7a上の該支持部5と作動可能に関連して設けられている主連結ロッド23とを含む。該手段21のさらなるコンポーネントは、該主軸22の一部に、好ましくはこの端部に取り付けられる主偏心ピン24であり、当該主偏心ピン24により該主連結ロッド23が該主軸22上で組み込まれる(図4)。
【0030】
それに対して、該二次伝達手段25は、該連結手段30と作動可能に関連して設けられている二次軸26と、当該二次軸26及び第2の作用点7b上の該支持部5と作動可能に関連して設けられている二次連結ロッド27とを含む。
【0031】
好ましくは、また該二次伝達手段25は、該二次軸26の一部に、原則として端部に取り付けられる二次偏心ピン28を含む。繰り返すが、該連結ロッド27は、当該二次偏心ピン28によって該二次軸26上で組み込まれる。
【0032】
該二次連結ロッド27は、該支持部5が振動運動とともに動くように主連結ロッド23と協力するように設計されている。
【0033】
該二つの軸、主22と二次26は同期して回転する一方、これらの連結ロッド26、27は各シャフト22、26の該偏心ピン24、28が異なる位置であるために逆の位相で動作する。したがって、これらのうちの一では、例えば該主連結ロッド23は該支持部5を押し、その中間軸6に関して半時計回りに回転させ、他の一方では、例えば該二次27は、同時に該主連結ロッド23と協同して当該支持部が均衡のとれた形で半時計回りに回転できるように、該支持部5を引く。
【0034】
有利なこととして、該支持部への該主連結ロッド23と該二次連結ロッド27により与えられる該振動運動は正弦波でその端部で減衰する、すなわち、運動逆転の間で減衰する。これは、加速時および減速時において、該二つの連結ロッド23、27が協同して公平に高振動速度で生じる慣性の作動力と吸収力を分配することで、該運動の効果を最大限にすることができる。したがって、一方だけに作用している手段、すなわち1本の連結ロッドだけで動かされる公知の装置1で発生する全ての否定的な構成要素がない、調和した運動をもたらす。
【0035】
該連結手段30は、該主軸22と一体化した主プーリー31、該二次軸26と一体化した二次プーリー32、及び該二次プーリー32により該主プーリー31の動きを確実に該二次軸26に伝達する、該二つのプーリー31及び32と関連して設けられている連結ベルト33を含む。一般的に、ダブル針床直線編機60においては、すべての支持部5は8つの糸ガイドバー2と関連して設けられている。好ましくは、該バー2は該支持部5と直接接続されるものではなく、該支持部5と一体化した二次支持部8により関連して設けられることが望ましく、これは図3、4、5、7及び8に示されている。指摘すべき点としては、すべての二次支持部8は、回転に関する限り該支持部5と一体化している。これは該支持部5に関して並進運動を可能にしながら、一般に“ショグ”として知られている求められる該バー2の並進を可能とするためである。
【0036】
第1の実施形態は図4、6及び9に詳細に示されており、本発明の好ましい実施形態で、該運動手段10は少なくとも一の専用モータ11を含む。この専用モータ11は、該保持部材5だけを動かすために設計されたものであり、針のような該機械60の他の要素を動かす中央モータ13とは異なる。
【0037】
この場合、したがって、該主軸22は該専用モータ11と一体として連結し、主連結ロッド23は、該主軸の22該専用モータ11により発生する回転運動を該保持部材5の振動運動に変換するために設計される。
【0038】
該専用モータ11はブラシレスモータであることが好ましいが、しかしこの目的に適した他の形式のもの、例えばステッパモータあるいは直流モータも使用可能である。他の選択肢としては、該主伝達手段21及び該二次伝達手段25を動かすために、互いに同期する二つの専用モータ11も使用可能であり、したがって、該主伝達手段21の運動を発端とする該二次伝達手段を動かす機能の連結手段30を要しない。しかしながら当該解決策は、特に、二つの専用モータ11間の完全な同調が必要のため、実行及び管理には非常に複雑となり、そしてコストが非常に増加する。
【0039】
本発明の第2の実施形態は図10に示されており、該運動手段10は、該機械60の該中央モータ13と作動可能に関連して設置され得る。指摘すべき点は、該中央モータ13は、該機械60のすべての要素、特に針を動かすために設計されたこと意味する。したがってこの場合、該運動手段10は、該主軸22と作動可能に関連して設けられる第1のプーリー14、該中央モータ13と作動可能に連関することが可能な第2プーリー15、および該第1及び該第2運動プーリーと作動可能に連結し該第1の運動プーリー14と該第2運動プーリー15へ伝達するための運動ベルト16を含む。
【0040】
有利なこととして、該運動手段10はさらに、該主モータ13の回転速度に関して該主軸22の回転速度を変えるための、該運動ベルト16と関連して設けられる第1手段17を含む。更なる詳細においては、当該手段17は減速装置から構成される。この減速装置は、該主軸22が該該中央モータ13の一つと異なる角速度で動かなければならない場合に必要とされ、該中央モータに接続し、通常はダブル針床直線編機において生ずるその運動を受ける。
【0041】
本発明の下地となる着想は、また直線編機60であって、上記に従えば糸ガイドバー2のための少なくとも一つの振動制御装置1を含むことを特徴とする。
【0042】
特に、本発明による直線編機60は、一般的に糸ガイドバー2のための少なくとも二つの振動制御装置1を含む。振動中に当該糸ガイドバーのねじれを防ぐためには、これらの装置1のうちの一つは、該糸ガイドバー2の第一の端部3に配置され、また他のものは第1の端部に対向する第2の端部4に配置されることが望ましい。
【0043】
さらに該機械60は、二つの端部3,4の間に配置され該糸ガイドバー2の中間部2a上で該糸ガイドバーと関連して設けられ、後者を支持するための少なくとも一の中間支持部9含む(図5)。すべての中間支持部9は中心軸の周りを振動して動くことができる。該中間支持部9は該糸ガイドバー2に振動を伝達せずに、この振動を受動的に吸収することによって、振動を伴うだけであることが望ましい。時として、しかしながら、該中間支持部9は該バー2に積極的に該振動運動を伝達することもできる(この代案は図示されない)。
【0044】
有利なことは、全ての支持部5及び全ての中間支持部9は、振動軸18と回転可能に関連して設けられていることであり、この振動軸の主軸は該中心軸6と一致し、該中心軸の周りを該支持部5が回転する。有利なことは、図5に示されるように、該糸ガイドバー2は全ての中間支持部と関連して設けられることができ、全ての糸ガイドバー2を二次中間支持部によって収容する。
【0045】
該編機60は、該糸ガイドバー2の該端部3,4と関連して設けられる二つの装置1の該支持部5の振動運動間の同期性を確実にし、また不具合が生じた場合でも該糸ガイドバー2の連続的な運動を確実にする制御手段40をさらに含む。当該制御手段40は、該二次軸26を堅く連結するための、該二つの機械1の該二次軸26と作動可能に関連して設けられる補助軸41を含む(図5及び図6)。
【0046】
該補助軸41は、上記のように2本の第二のシャフトの間で完全な同期性を確実にする一より優る幾つかの機能を有する。実際には、例えば該主伝達手段21と該二つの装置1の該二次伝達手段25の間の連結ベルト33のように、幾つかの部品が壊れた場合に、該補助軸41は損傷していない装置1の該二次軸26を利用して損傷した装置1の該二次軸26を動かすことができ、該補助軸41は連続的な運動を確実にする。同様なことは、該運動手段10の故障又は誤動作に適用でき、特に該機械1の該第1の実施形態において該専用モータ11について適用できる。しかし、該機械60は、緊急状態の信号を発し、そして当該機械60を適切な手順により停止する安定センサを備えている。
【0047】
さらに、該予備軸41は適切に保持され、該伝達手段における望ましくない振動を引き起こすことなく、その軸42上において高速で完全に回転可能である。
【0048】
糸ガイドバー2のための振動制御装置1を備える直線編機60は、該第1の実施形態によれば、該糸ガイドバー2の運動を該針の一に同期させるため、該中央モータ13と該専用モータ11の間に、該専用モータ11の動きを該中央モータ13の動きに適合させるための調整手段50をさらに含む。この機能は、全ての針が常に正確に供給されるために、該糸ガイドバー2の動き及び該針を非常に堅くしなければならないこと及び協同することについて非常に重要であり、このため最終製品や針又は糸の損傷を防止できる。
【0049】
当該調整手段は、電子的なものとすることもでき、あるいは機械的なものとすることもできる。
【0050】
該第1の場合、該調整手段は、該専用モータ11を該中央モータ13と同期させるために、該中央モータ13の角度位置を検出するように設計されており該中央モータ13に取り付けられた少なくとも一つの第1の検出要素51と、それぞれの該専用モータ11の角度位置を検出するように設計されており該専用モータ11に取り付けられた少なくとも一つの第2の検出要素52と、該第1の検出要素51と第2の検出要素52により伝達される信号を処理するように設計された電子調整要素(図示しない)とを含む(図4および図9)。例えば、該電子調整手段は該機械60全体を運転し操作する該電子手段と接続した電子カードとすることができる。さらに、該第1検出要素51及び該第2検出要素52は、リファレンスゼロに関する該軸の運動の正確な角度位置を表示可能な“エンコーダ”又は“レゾルバ”他の形式の位置変換器を含む。特に、該中央モータ13を参照する信号は、主信号“マスター信号”として管理され、該機械60の全ての他の動きを命令する。
【0051】
これは、実行するには困難であり高価である、カム、バックギヤ、てこ、ロッド等を堅く連結すること及び数メートルも離間して要素を同調させることの要求を回避することができる。電子的形式であるにも拘わらず、この形式の該調整手段50は、まるで各要素間の堅固な連結が実際に存在するかのように、該中央モータ13を該専用モータ11に堅く連結することができる。
【0052】
急速なデータの伝達と実行は、該調整手段50が、該中央モータ13の実際の時間速度振動を追跡でき、これら制御下で該機構に適応することができるので、該中央モータ13と該専用モータ11の間の動きを調和して連結し、厳密に制御される。
【0053】
既述の如く、該中央モータ13と該専用モータ11間の該調整は従来の伝達を利用して機械的調整手段50によっても行うことができる。この場合には、該調整手段50は該各専用モータ11と関連して設けられる少なくとも一の第1の調整プーリー53と、該中央モータ13と関連して設けられる第2の調整プーリー54と、該第1調整プーリー53及び該第2調整プーリー54と作動可能に連結し該第1調整プーリー53を該第2調整プーリー54の動きにしたがって動かすための調整ベルト55とを含む。該調整ベルト50は、さらに、該第1調整プーリー53の回転速度を第2調整プーリー54に関して調整する第2の手段を含むことができ、該第2の手段は通常は減速ギアよりなる。
【0054】
さらに、この場合全ての専用モータ11は、2つの軸、該主軸21よりなる第1の軸、及び該第1調整プーリー53と作動可能に連結した調整軸57よりなる第2の軸を含む。
【0055】
この形式の調整手段50は、完全に機能的であり、該調整ベルト55の不完全な剛性による幾らかの遅れを取り込むことができ、これらの遅れは該機械60の操作速度を減らすことにより緩和される。
【0056】
該二つの形式の調整手段50は、該各種の構成要素が損傷したり不具合の場合に、該中央モータ13と該専用モータ13の間が同期しない可能性を最小化するために、同期して使用することができる。
【0057】
実施例の解決において、直線編機60は、第2の実施形態による糸ガイドバー2のための振動制御手段1と、二つの軸を有する該中央モータ13を含む。実際には、当該モータ13は、該糸ガイドバー2の各第1の端部3及び第2の端部4と関連して設けられる二つの装置1の該第2運動プーリー15と作動可能に連結する運動軸12よりなる2つの軸を有する。
【0058】
指摘すべき点として、全ての該ベルトと全てのプーリーは鋸歯状であることが望ましい。しかし、ベルトとプーリーの関係、記載された独創的な着想による編機60により機能を実行するように設計された如何なる伝達要素を意味する一般的な関係と解釈される。
【0059】
したがって、このように考えられる本発明は、幾つかに変化、変形することができ、これらの全ては創作の思想の枠組みに入る。
【0060】
実際には、様々なニーズに応じて如何なる材料又は寸法も使用することができる。
【0061】
さらに、全ての詳細は技術的に均等な要素に置き換えることができる。
【0062】
本発明は重要な利点を達成できる。
【0063】
第1に、該支持部上で押し及び引き作用を同期して行う伝達手段の存在は、動きの方向を反転することができ、そして、加減速の段階を漸進的に円滑に行うことができ、機械の機械的構造のサイズや、作動中に受けるストレス(振動、揺動等)を制限できる。
【0064】
両実施形態では、記載されている如く、また該運動手段の特有の形状の結果、該機械の構成はさらに簡素化されより軽くなる。実際には、第1の実施形態では専用モータの使用は該機械の該中央モータによって制御される要素の数を低減でき、このため寸法を縮小できる。この実施例では、該機械の構造は、該機械自体の柔軟性にも良い影響を与える電子的調整手段を使用することによって、さらに減少される。第2の実施形態では、公知機械の該複雑な「てこ装置」を好ましいプーリー及びベルトを使用する簡素な伝達装置に置き換えられる。これは、特に保守を考慮する限り、実施され管理される該編機をより簡素化でき、またこのためのコストを著しく低減する。さらに、プッシュ−プル・システムは該編機の構造のバランスを保つことができ、その振動を著しく低減する。例えば本発明による該編機は、また毎分3000またはそれ以上の振動数の速度における振動を低減することを可能にする。
【0065】
より軽量な構造と、より少ない振動の結果、本発明による該装置は、編まれる商品の製造プロセスの他のステップに関する編みステップの臨界を低減して高速で稼動することができる。
【0066】
最後に、該記述された装置は、振動運動を制御して、高精度を確実にすることにより、このようにして製造される編まれた商品の高品質を確実にするという点に、更なる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、直線編機の糸ガイドバーのための公知の振動制御装置である。
【図2】図2は、直線編機の糸ガイドバーのための公知の振動制御装置である。
【図3】図3は、本発明による直線編機の糸ガイドバーのための振動制御装置の側面図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施例における直線編機の第1の概略図である。
【図5】図5は、本発明による機械の詳細の正面概略図である。
【図6】図6は、本発明の第1実施例における機械の平面図である。
【図7】図7は、糸ガイドバーの第1の端部と関連する図3の装置の斜視図である。
【図8】図8は、糸ガイドバーの第2の端部と関連する図3の装置の斜視図である。
【図9】図4の機械の第2の概略正面図である。
【図10】図10は、本発明の第2実施例における機会の概略側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの糸ガイドバー(2)と関連する中心軸(6)の周囲を回転可能な保持部(5)と、
該保持部(5)のための運動手段(10)と、
該運動手段と作動可能に連結し該保持部(5)に振動運動を伝えるための伝達手段(20)と、を含むワープ直線編機(60)の糸ガイドバー(2)のための振動制御装置(1)であって、
前記保持部(5)を前記中心軸(6)について均衡のとれた状態で動かすために前記伝達手段(20)は、少なくとも二つの離間した作動点(7a、7b)上において前記保持部(5)と作動可能に関連することを特徴とする振動制御装置(1)。
【請求項2】
前記作動点(7a、7b)は前記中心軸(6)を含む垂直面に関して対向することを特徴とする請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記伝達手段(20)を介した前記運動手段(10)により、押し作用及び引き作用が同期して前記二つの作動点(7a、7b)上に適用されることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記伝達手段(20)は、前記運動手段(10)と作動可能に連結する主伝達手段(21)と、
前記主伝達手段(21)と作動可能に関連し、そして前記主伝達手段(21)によって動く二次伝達手段(25)とを含み、
前記主伝達手段(21)は第1の前記作用点(7a)上で、前記二次伝達手段(25)は第2の前記作用点(7b)上で作用することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の装置(1)。
【請求項5】
前期主および二次伝達手段(21、25)は、該対応作動点(7a、7b)を介して、前記押し作用及び引き作用のそれぞれ、又はその逆を、同期して前記保持部(5)上で作用させることを特徴とする請求項4に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記伝達手段(20)は、該主伝達手段21と該二次伝達手段25の間に、前記主伝達手段(21)を介して該運動手段(10)により提供される動きを、前記二次伝達手段(25)に同調して伝達するため設計された連結手段(30)を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記主伝達手段(21)は、前記運動手段(10)と作動可能に連結したと主軸(22)および、
前記主軸(22)及び前記第1の作動点(7a)上で前記保持部(5)と作動可能に関連する主連結ロッド(23)を含むことを特徴とする請求項4から6の何れかに記載の装置(1)。
【請求項8】
前記主伝達手段(21)は、さらに前記主軸(22)の一部と関連する主偏心ピン(24)と、前記主偏心ピン(24)により前記主軸(22)と関連する前記主連結ロッド(23)を含むことを特徴とする請求項7に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記二次伝達手段(25)は、前記連結手段(30)と作動可能に関連する二次軸(26)と、
前記二次軸(26)及び前記第2作動点(7b)上で前記保持部(5)と作動可能に関連し、前記振動運動により前記保持部(5)を動かすための前記主連結ロッド(23)と協同するように設計された二次連結ロッド(27)を含むことを特徴とする請求項4から8の何れかに記載の装置(1)。
【請求項10】
前記主連結ロッド(23)および前記二次連結ロッド(27)を用いて、前記保持部(5)へ伝えられる前記振動運動は、正弦曲線運動であることを特徴とする請求項9に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記二次伝達手段(25)は、さらに前記二次軸(26)の一部と関連する二次偏心ピン(28)と、前記二次偏心ピン(28)により前記二次軸(26)と関連する前記二次連結ロッド(27)を含むことを特徴とする請求項9又は10に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記連結手段(30)は、前記主軸(22)と一体として関連する主プーリー(31)、前記二次軸(26)と一体として関連する二次プーリー(32)、及び前記主プーリー(31)と前記二次プーリー(32)と関連し、前記二次プーリー(32)により前記主プーリー(31)の運動を前記二次軸(26)に伝達するための連結ベルト(33)を含むことを特徴とする請求項4から11の何れかに記載の装置(1)。
【請求項13】
さらに前記糸ガイドバー(2)の一つが関連可能な少なくとも一つの二次保持部(8)を含み、前記少なくとも一つの二次保持部(8)が前記保持部(5)と関連していることを特徴とする請求項1から12の何れかに記載の装置(1)。
【請求項14】
前記運動手段(10)は、少なくとも一つの専用モータ(11)を含むことを特徴とする請求項1から13の何れかに記載の装置(1)。
【請求項15】
前記主軸(22)は、前記専用モータ(10)と一体的に連結することを特徴とし、また前記主連結ロッド(23)は、前記専用モータ(11)により発生する前記主軸(22)の回転運動を前記保持部(5)の振動運動へ変換するために設計されたことを特徴とする請求項14に記載の装置(1)。
【請求項16】
前記専用モータ(11)はブラシレスモータであることを特徴とする請求項14又は15に記載の装置(1)。
【請求項17】
前記運動手段(10)は、前記機械の針を動かすように設計されており前記機械(60)に設けられた中央モータ(13)と、作動可能に関連できるように設けられていることを特徴とする請求項1から13の何れかに記載の装置(1)。
【請求項18】
前記運動手段(10)は、前記主軸(22)と作動可能に関連する第1運動プーリー(14)と、前記中央モータ(13)と作動可能に関連することができる第2運動プーリー(15)と、前記第2運動プーリー(15)の動きを前記第1運動プーリー(14)に伝達するために前記第1(14)及び前記第2プーリー(15)と作動可能に連結する運動ベルト(16)と、を含むことを特徴とする請求項17に記載の装置(1)。
【請求項19】
前記運動手段(10)はさらに、前記運動ベルト(16)と関連する前記中央モータ(13)の回転速度に関して前記主軸(22)の回転速度を変化させるための第1の手段(17)を含むことを特徴とする請求項17又は18に記載の装置(1)。
【請求項20】
請求項1から19の何れかに記載された糸ガイドバー(2)振動制御装置(1)を、少なくとも一つ含むワープ直線編機(60)。
【請求項21】
前記機械(60)は、少なくとも二つの前記装置(1)を含み、前記少なくとも一つの糸ガイドバー(2)のねじれを防止するために、前記装置(1)の一つが前記少なくとも一の糸ガイドバー(2)の第1の端部(3)に位置し、一つが前記第1の端部(3)に対向する第2の端部(4)に位置することを特徴とする請求項20に記載の機械(60)。
【請求項22】
前記機械(60)はさらに、少なくとも一つの糸ガイドバー(2)と関連する前記第1(3)及び前記第2(4)端部の間に配置された糸ガイドバーの中間部(2a)上の中間支持部(9)を含み、前記少なくとも一つの糸ガイドバー(2)を支持し、前記中間支持部(9)が前記中間軸(6)の周囲の前記振動運動によって運動可能であることを特徴とする請求項21に記載の機械(60)。
【請求項23】
前記機械(60)はさらに、前記装置(1)の前記支持部(5)の間の前記振動運動を同期することを確実にし、不具合の場合前記少なくとも一つの糸ガイドバー(2)のために運動の連続性を確保するように設計された制御手段(40)を含むことを特徴とする請求項20から22の何れかに記載の機械(60)。
【請求項24】
前記制御手段(40)は、前記少なくとも一つの糸ガイドバー(2)と関連する前記二つの装置(1)と作動可能に関連する前記二次軸(26)と堅固に連結するように設計された補助軸(41)を含むことを特徴とする請求項23に記載の機械(60)。
【請求項25】
前記機械(60)はさらに、前記中央モータ(13)と前記専用モータ(11)の間に、前記少なくとも一つの糸ガイドバー(2)の動きを該針と同期するために前記専用モータ(11)の動きを前記中央モータ(13)の動きに適応するように設計された調整手段(50)を含むことを特徴とする請求項20から24の何れかに記載の機械(60)。
【請求項26】
前記調整手段(50)は、前記中央モータ(13)と関連し前記中央モータ(13)の角度位置を検出するように設計された第1検出要素(51)と、前記専用モータ(11)のそれぞれと関連し前記専用モータ(11)の角度位置を検出するように設計された少なくとも一つの第2検出要素(52)と、前記専用モータ(11)を前記中央モータ(13)と同期させるために前記第1(51)及び前記第2(52)検出要素により伝達される信号を処理するように設計された電子的調整要素を含むことを特徴とする請求項25に記載の機械(60)。
【請求項27】
前記第1(51)及び前記第2(51)検出要素は、角度位置の変換器を含むことを特徴とする請求項26に記載の機械(60)。
【請求項28】
前記調整手段(50)はさらに、前記各専用モータ(11)と関連する少なくとも一つの第1調整プーリー(53)と、前記中央モータ(13)と関連する第2調整プーリー(54)と、前記第1(53)及び前記第2(54)調整プーリーと作動可能に連結し、前記第2調整プーリー(54)の動きによって前記第1調整プーリー(53)を動かすための調整ベルト(55)と、を含むことを特徴とする請求項25から27の何れかに記載の機械(60)。
【請求項29】
前記調整手段(50)はさらに、前記第2調整プーリー(54)に関する前記第1調整プーリー(53)の回転速度を変化させる第2の手段(56)を含むことを特徴とする請求項28に記載の機械(60)。
【請求項30】
前記専用モータ(11)は二つの軸を有し、該第1の軸は前記主軸(22)を形成し、前記第2の軸は、前記第1調整プーリー(53)と作動可能に連結する調整シャフト(57)を形成することを特徴とする請求項28又は29に記載の機械(60)。
【請求項31】
前記中央モータ(13)は、前記少なくとも一つの糸ガイドバー(2)の前記第1(3)及び前記第2(4)の端部のそれぞれと関連する前記二つの装置(1)のために前記第2運動プーリー(15)と作動可能に連結した運動軸(12)を形成する二つの軸を有することを特徴とする請求項20から24の何れかに記載の機械(60)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−254950(P2007−254950A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−77914(P2007−77914)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(506344918)
【氏名又は名称原語表記】SANTONI S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Carlo Fenzi,14,25135 Brescia,ITALY
【Fターム(参考)】