説明

直線案内装置

【課題】本発明は、直線案内装置を提供する。
【解決手段】二つの脚(32)の各脚は、少なくとも一つの転動シュー(40)であって、対応する一組のガイドロッド(18,20)の第2のガイドロッド(20)上で転動し、転動シュー(40)に定められ、直線軸(22)に垂直な第2の回転軸(44.1,44.2)の周りを回転する少なくとも一つの第2のローラ(42.1,42.2)を有する少なくとも一つの第2のローラセット(42)を含む、少なくとも一つの転動シュー(40)を備える。二つの脚の各脚の転動シュー(40)は、退避位置と突出位置との間で、対応する一組のガイドロッドの第2のガイドロッドの方に向かって、直線軸に垂直な突出方向で移動台に対して移動可能である。装置は、退避位置と突出位置との間の中間位置で、二つの脚の各脚の転動シュー(40)を移動台(28)に解除可能に締結するための解除可能な締結手段(48)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ベルト、一対のケーブル又は駆動ねじを備えた直線モジュールにおいて使用する直線案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術特許文献1は、水平で平行な第1及び第2のガイドロッドによって規定される直線軌道に沿って移動台を案内するための直線案内装置を開示する。第1及び第2のローラアセンブリは、移動台に固定され、第1のガイドロッドに移動台を転動可能に接続する。移動台の他の側に固定された第3のローラアセンブリは、移動台を第2のガイドロッドに転動可能に接続する。移動台の他の側に固定された第3のローラアセンブリは、移動台を第2のガイドロッドに転動可能に接続する。第3のローラアセンブリは、移動台に固定されたシャフトと、シャフトによって運ばれるローラであって、第2のガイドロッドの先端に転動可能に備わるローラとを備える。第1及び第2のローラアセンブリは、シャフトに沿って互いから間隔を開けて離れている第1及び第2のローラを運ぶ移動台に固定されたシャフトをそれぞれ備えている。第1及び第2のローラは、第1のガイドロッドの先端に跨り、その上面に転動可能に備わる。また、装置は、移動台に固定され、ローラを運ぶシャフトを備え、その先端は第1のガイドロッドの下面と転動可能に係合する。ローラとガイドロッドとの間の望ましくない遊び避けるために、移動台は、ローラとガイドロッドとの間で過度の制御できない摩擦や摩耗を生じる介面を有するガイドロッドに装着される。
【0003】
特許文献2は、ガイドレールを支持し、ガイドレールに沿って転動する複数のトラックローラを有する移動台を備え、個々のトラックローラは、ガイドレール上で転動し、移動台の第1の移動台プレートに配置された第1のサポート上で回転可能にペアで取り付けられていることを開示する。移動台は、移動台に配置された第2のサポートを有する移動台プレートと、別のガイドレール上で転動するための第2のサポートに転動可能に取り付けられた複数のトラックローラとを備え、二つのガイドレールは互いに平行であり、中央のレールサポートの二つの長手方向の側に固定されている。このシステムは、並進方向に対する一つの横断方向での許容差を調整することを可能にするが、他の方向での許容差を調整することはできない。更に、組立中において、許容差の問題及び調整の問題のため、全ての方向での等しい荷重受容能力を保証できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第3,998,497号明細書
【特許文献2】米国特許第6,648,508号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、直線案内装置が提供される。
直線案内装置は、二組のガイドロッドであって、ガイドロッドの各組は、直線案内装置の直線軸に平行で、直線軸に垂直な第1の横断方向で二組のガイドロッドのうちの他のガイドロッドから間隔を開けて離れている第1と第2のガイドロッドとを備えた、二組のガイドロッドと、中央部と、横断方向で互いから間隔を開けて離れた少なくとも二つの脚とを備えた移動台であって、二つの脚の各脚は二組のガイドロッドの一組にそれぞれ対応し、二つの脚の各脚は、対応する一組のガイドロッドの第1のガイドロッド上で転動する少なくとも一つの第1のローラセットを備え、第1のローラセットは、移動台に定められ、かつ、直線軸に垂直な第1の回転軸の周りを回転する少なくとも一つの第1のローラを備え、二つの脚の各脚は、対応する一組のガイドロッドの第2のロッド上で転動する少なくとも一つの第2のローラセットを有する少なくとも一つの転動シューを備え、第2のローラセットは、転動シューに定められ、直線軸に垂直な第2の回転軸の周りを回転する少なくとも一つの第2のローラを備えた、移動台と、を備え、二つの脚の各脚の転動シューは、退避位置と突出位置との間で対応する一組のガイドロッドの第2のロッドの方に向かって、直線軸に垂直な突出方向で移動台に対して移動可能であり、更に、この装置は、退避位置と突出位置との間の中間位置で二つの脚の各脚の転動シューを移動台に解除可能に締結するための解除可能な締結手段を備える。
【0007】
ねじにより移動台に対する転動シューの位置を調整することが可能となり、制御された接触圧力がローラとガイドロッドとの間で保証される。
【0008】
一実施形態によると、解除可能な締結手段はねじである。
【0009】
好ましい実施形態によると、個々の転動シューは、突出方向で第2のガイドロッドの方に転動シューを付勢する付勢手段を備える。
【0010】
一実施形態によると、付勢手段はばねである。
【0011】
二つの脚の各脚に関し、第1の回転軸は第2の回転軸に平行であることが好ましい。
【0012】
二組のガイドロッドの各組は、対応する基準面を規定し、個々の基準面は対応する一組組のガイドロッドを含む。この基準面は、対応する一組のガイドロッド上で脚ローラ及び転動するシューローラの回転軸に垂直であることが好ましい。
【0013】
好ましい実施形態によると、二組のガイドロッドの基準面は、互いに対して所定の角度を成す。特に、二組のガイドロッドの基準面は、互いに対して垂直にすることができる。
【0014】
好ましい実施形態によると、二組のガイドロッドの複数の第1のガイドロッドの間隔は、二組のガイドロッドの複数の第2のガイドロッドの間隔よりも互いに対してより接近している。
【0015】
好ましい実施形態によると、二組のガイドロッドは、直線軸に平行な対称面を規定し、二組のガイドロッドの複数の第1のガイドロッドは対称面の両側で対称面から等しい距離にあり、二組のガイドロッドの複数の第2のガイドロッドは対称面の両側で対称面から等しい距離にある。好ましい実施形態によると、対称面は垂直面であり、二組のガイドロッドの複数の第1のガイドロッドは二組のガイドロッドの複数の第2のガイドロッドの上にある。
【0016】
好ましい実施形態によると、第1のローラの各セットは、直線軸に垂直で、直線軸に沿って互いから間隔を開けて離れており、移動台に定められた二つの第1の回転軸の周りを回転する少なくとも二つの第1のローラを備える。
【0017】
好ましい実施形態によると、第2のローラの各セットは、直線軸に垂直で、直線軸に沿って互いから間隔を開けて離れており、転動シューに定められた二つの第2の回転軸の周りを回転する二つの第2のローラを備える。
【0018】
本発明の他の効果及び特徴は、添付された図面において限定しない例として示されている本発明の特別な実施形態の以下の説明からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態によるガイドウェイ装置の図である。
【図2】図1のガイドウェイ装置の断面図である。
【図3】図1のガイドウェイ装置の脚及びシューの詳細図である。
【図4】図1のガイドウェイ装置の脚の側面図である。
【図5】図4のV−V線に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
説明及び図面を通して、同一の参照符号は同一要素を示すために使用される。
【0021】
図1に示すように、直線案内装置1は、押出しアルミニウムで作られたフレーム12を備える。フレーム12は、例えば、駆動ねじ又は駆動ベルト及び二つの側トラック16を支持する中央トラック14を備える。個々の側トラック16は、一対のガイドロッド18,20を備える。ガイドロッド18,20は直線案内装置の直線軸に対して平行である。各対のガイドロッドは、第1の上側ガイドロッド18と第2の下側ガイドロッド20を備える。対称面24は、二対のガイドロッド18,20間の中間の距離に規定されることができる。二つのトラック16の二つの第1のガイドロッド18は、対称面の両側で、対称面から等しい距離で互いから間隔を開けている。同様に、二つの第2のガイドロッド20は、対称面の両側で、対称面から等しい距離で互いから間隔を開けている。個々のトラック16の基準面26は、直線軸22に平行で、第1及び第2のガイドロッド18,20の中心線を含むように、規定されることができる。二つの面26は、互いに対して所定の角度をなし、60°と120°との間、例えば直角であることが好ましい。
【0022】
移動台28は、直線軸22に平行で前後に動くため、案内フレーム12に取り付けられている。移動台28は、中央板30と中央板30の両側にある二つの脚32を有する。中央板30と二つの脚32は、剛性構造、すなわち変形しない構造を成す。二つの脚32の各々は、後述するように、二つのトラック16のうちの対応するトラックに受け入れられる。
【0023】
各脚32は、第1のローラセット34、この場合、対応するトラック16の第1のガイドロッド18を転動する二つの第1のローラセット34.1,34.2を備える。各脚32の第1のローラは、各脚32に定められ、互いに対して間隔を開けて離れ、各脚32の基準面26に垂直な回転軸36.1,36.2を有する。
【0024】
各脚32は、第2のローラセット42を有する案内シュー40を受け入れるキャビティ38を備える。各脚32の第2のローラ42.1,42.2は、各脚32に定められ、互いに対して間隔を開けて離れ、各脚32の基準面26に垂直な回転軸44.1,44.2を有する。
【0025】
各脚のキャビティ38は、第1及び第2のガイドロッド18,20に垂直な突出方向で、第1及び第2の回転軸36.1,36.2,44.1,44.2に対してガイドシュー40をガイドするための側壁38.1を有する。圧縮ばね46は、キャビティ38に入っており、ガイドシュー40の第2のローラ42.1,42.2を、第2のガイドロッド20に対して押して、第1のローラ34.1,34.2及び第1のガイドロッド18から離す。
【0026】
軸方向のクランプねじ48のセットは、脚32のキャビティ38内で個々のガイドシュー40を締結するために提供されている。各ねじ48は、ねじ48よりも僅かに大きな直径を有する貫通孔50,52内に入れられ、ねじ48が締結されない限り、キャビティ38内でガイドシュー40の動作の制限された自由度を許容する。したがって、ねじが緩められたとき、ガイドシュー40の各々は、脚32の基準面26に平行な突出方向で、第1のローラ34.1,34.2に近い退避位置と第1のローラ34.1,34.2から離れた突出位置との間で、回転軸36.1,36.2,44.1,44.2に垂直に、少なくとも自由に動く。
【0027】
案内装置の組立前に、各案内脚32は、軸方向のクランプねじとばねによってキャビティ38内に保持されるガイドシュー40を有する組立前のサブユニットを形成する。ガイドシュー40は、退避位置でばね46の付勢力に抗して押され、ねじ48はこの位置を保持するために締結される。移動台28はフレーム48に容易に挿入される。脚32が、個々の側トラック16に配置されるとすぐに、ねじは緩められる。ばね46は、第2のローラ42.1,42.2がばね46によって規定される適正な接触圧力で第2のロッド20に係合するまで、ローラシュー40を突出方向に突出位置へ向かって押す。ねじ48は、脚32に対する転動シュー40の位置を確保するために、再度締結される。このステップの最後に、案内装置10の組み立てが終わる。
【0028】
種々の変更が特許請求の範囲から逸脱することなく可能である。
【0029】
図面に示されたガイドロッドは、円形状の断面を有するが、他の断面形状が可能である。従って、図面において、中央溝を有するローラの形状は、変更することもできる。
【0030】
移動台は転動シュー40を備えた二つの脚32と共に示されているが、脚32及び転動シューの数は変更できるということが理解される。
【0031】
二つの脚の交差する基準面26は全ての状況で好ましく、ロッドの前後方向に対して垂直ないくつかの方向での負荷又は振動が予期される。二組のガイドロッド18,20は、同一平面、すなわち、一つの同一の基準面26上に存在することが可能である。このような実施形態は、負荷が基準面26に対して垂直な移動台上で予期されない場合に、好ましい形態となる。他の実施形態によると、基準面に対して垂直な横方向の負荷が予期されない場合に、二つの脚の基準面26は互いに平行である。
【0032】
個々のローラセット34,32は一つ以上のローラを有することが可能である。
【0033】
ねじは、他の締結手段、例えば回転キーに置き換えることができる。
【0034】
同じ概念は三つの案内ロッドに対して適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 直線案内装置
14 中央トラック
16 側トラック
18 上側ガイドロッド
20 下側ガイドロッド
22 直線軸
24 対称面
26 基準面
28 移動台
30 中央プレート
32 脚
34.1,34.2 第1のローラ
36.1,36.2,44.1,44.2 回転軸
38 キャビティ
40 転動シュー
42.1,42.2 第2のローラ
46 圧縮ばね
48 ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線案内装置(10)であって、
二組のガイドロッド(18,20)であって、ガイドロッド(18,20)の各組は、直線案内装置(10)の直線軸(22)に平行で、直線軸に垂直な第1の横断方向で二組のガイドロッドの他のガイドロッドから間隔を開けて離れている第1のガイドロッド(18)と第2のガイドロッド(20)とを備えた、二組のガイドロッド(18,20)と、
移動台(28)であって、中央部と、第1の横断方向で互いから間隔を開けて離れた少なくとも二つの脚(32)とを備え、二つの脚(32)の各脚は二組のガイドロッド(18,20)の一組にそれぞれ対応し、二つの脚の各脚(32)は、対応する一組のガイドロッド(18,20)の第1のガイドロッド(18)上で転動し、移動台(28)に定められ、かつ、直線軸(22)に垂直な第1の回転軸(36.1,36.2)の周りを回転する少なくとも一つの第1のローラ(34.1,34.2)を有する少なくとも一つの第1のローラセット(34)を備えた、移動台(28)と、
を備えた直線案内装置(10)において、
二つの脚(32)の各脚は、少なくとも一つの転動シュー(40)であって、対応する一組のガイドロッド(18,20)の第2のガイドロッド(20)上で転動し、転動シュー(40)に定められ、直線軸(22)に垂直な第2の回転軸(44.1,44.2)の周りを回転する少なくとも一つの第2のローラ(42.1,42.2)を有する少なくとも一つの第2のローラセット(42)を含む、少なくとも一つの転動シュー(40)を備え、
二つの脚(32)の各脚の転動シュー(40)は、退避位置と突出位置との間で、対応する一組のガイドロッド(18,20)の第2のガイドロッド(20)の方に向かって、直線軸(22)に垂直な突出方向で移動台に対して移動可能であり、
更に、この装置は、退避位置と突出位置との間の中間位置で、二つの脚(32)の各脚の転動シュー(40)を移動台(28)に解除可能に締結するための解除可能な締結手段(48)を備える、
ことを特徴とする直線案内装置(10)。
【請求項2】
解除可能な締結手段がねじ(48)であることを特徴とする請求項1に記載の直線案内装置。
【請求項3】
二つの脚(32)の各脚の転動シュー(40)は、突出方向において、対応する一組のガイドロッド(18,20)の第2のガイドロッド(20)の方に向かって転動シュー(40)を付勢するための付勢手段(46)を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の直線案内装置。
【請求項4】
付勢手段がばね(46)であることを特徴とする請求項3に記載の直線案内装置。
【請求項5】
二つの脚(32)の各脚について、第2のローラ(42.1,42.2)の第2の回転軸(44.1,44.2)が第1のローラ(34.1,34.2)の第1の回転軸(36.1,36.2)に平行であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の直線案内装置。
【請求項6】
二組のガイドロッド(18,20)の各々は対応する基準面(26)を規定し、個々の基準面(26)は、対応する一組のガイドロッド(18,20)のガイドロッド(18,20)を含み、第1のローラ(34.1,34.2)の回転軸(36.1,36.2)及び一組のガイドロッドに対応する脚の第2のローラ(44.1,44.2)の回転軸(46.1,46.2)に垂直であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の直線案内装置。
【請求項7】
二組のガイドロッド(18,20)の基準面(26)が互いに対して所定の角度をなすことを特徴とする請求項6に記載の直線案内装置。
【請求項8】
二組のガイドロッド(18,20)の基準面(26)が互いに対して垂直であることを特徴とする請求項7に記載の直線案内装置。
【請求項9】
二組のガイドロッド(18,20)の複数の第1のガイドロッド(18)の間隔が、二組のガイドロッドの複数の第2のガイドロッド(20)の間隔よりも接近していることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の直線案内装置。
【請求項10】
二組のガイドロッド(18,20)は、直線軸(22)に平行に直線案内装置の対称面(24)を規定することを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の直線案内装置。
【請求項11】
第1のローラセット(34)の各々は、移動台(28)に定められた二つの第1の回転軸(36.1,36.2)の周りを回転し、直線軸(22)に垂直で、直線軸(22)に沿って互いから間隔を開けて離れた少なくとも二つの第1のローラ(34.1,34.2)を備えたことを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の直線案内装置。
【請求項12】
第2のローラセット(42)の各々は、転動シュー(40)に定められた二つの第2の回転軸(44.1,44.2)の周りを回転し、直線軸(22)に垂直で、直線軸(22)に沿って互いから間隔を開けて離れた少なくとも二つの第2のローラ(42.1,42.2)を備えたことを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の直線案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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