説明

相乗的抗微生物組成物

3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバマートとフルオメツロンとを含む相乗的抗微生物組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2009年8月5日に出願された米国仮特許出願第61/273,530号および2010年5月5日に出願された米国仮特許出願第61/331,423号の35U.S.C.119(e)の下での優先権の利益を主張する。
本発明は殺生物剤の組み合わせに関し、この組み合わせは個々の抗微生物化合物について観察されるであろうよりも高い活性を有する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも2種類の抗微生物化合物の組み合わせの使用は潜在的な市場を広げることができ、使用濃度およびコストを低減させることができ、かつ廃棄物を低減させることができる。ある場合には、市販の抗微生物化合物は、ある種の微生物、例えば、いくつかの抗微生物化合物に耐性の微生物に対する弱い活性のせいで高い使用濃度でさえ微生物の効果的な制御を提供することができない。特定の最終使用環境における微生物の全体的な制御を提供するために、異なる抗微生物化合物の組み合わせが場合によっては使用される。例えば、米国特許第6,197,805号は3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバマート(IPBC)と2−(メトキシカルボニルアミノ)ベンゾイミダゾールとの組み合わせを開示するが、この文献は本願で特許請求される組み合わせのいずれも示唆していない。さらに、特に乾燥膜コーティングにおける微生物の効果的な制御を提供するために、様々な株の微生物に対して向上した活性を有する抗微生物化合物のさらなる組み合わせについての必要性が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,197,805号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明によって取り組まれる課題は、抗微生物化合物のそのような追加の組み合わせを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は(a)3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバマートと、(b)フルオメツロンとを含み、3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバマート:フルオメツロンの重量比が10:1〜1:10である、相乗的抗微生物組成物に関する。
本発明は(a)3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバマートと、(b)フルオメツロンと、(c)4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(DCOIT)とを含み、3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバマート:フルオメツロンの重量比が3:1〜1:2であり、並びに3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバマート:4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンの重量比が8:1〜4:1である、相乗的抗微生物組成物にさらに関する。
本発明は(a)3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバマートと、(b)フルオメツロンと、(c)ジヨードメチル−p−トリルスルホン(DIMTS)とを含み、3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバマート:フルオメツロンの重量比が3:1〜1:2であり、並びに3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバマート:ジヨードメチル−p−トリルスルホンの重量比が8:1〜4:1である、相乗的抗微生物組成物にさらに関する。
本発明は(a)フルオメツロンと、(b)2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(OIT)とを含み、フルオメツロン:OITの重量比が1:1〜1:2である、相乗的抗微生物組成物にさらに関する。
本発明は(a)フルオメツロンと、(b)ピリチオン亜鉛(ZPT)とを含み、フルオメツロン:ZPTの重量比が10:1〜1:15である、相乗的抗微生物組成物にさらに関する。
本発明は(a)フルオメツロンと、(b)チアベンダゾール(TBZ)とを含み、フルオメツロン:TBZの重量比が10:1〜1:15である、相乗的抗微生物組成物にさらに関する。
本発明は(a)フルオメツロンと、(b)ジヨードメチル−p−トリルスルホン(DMITS)とを含み、フルオメツロン:DMITSの重量比が10:1〜1:15である、相乗的抗微生物組成物にさらに関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書において使用される場合、文脈が明らかに他のことを示さない限りは以下の用語は指定された定義を有する。フルオメツロンは1,1−ジメチル−3−(α,α,α−トリフルオロ−m−トリル)ウレアである。用語「抗微生物化合物」とは、微生物の成長を阻止し、または成長を制御することができる化合物をいい;抗微生物化合物には、適用される用量レベル、システム条件および望まれる微生物制御の水準に応じて、殺バクテリア剤、静バクテリア剤、殺真菌剤、静真菌剤、殺藻剤および静藻剤が挙げられる。用語「微生物」には、例えば、真菌(例えば、酵母およびカビ)、バクテリアおよび藻類が挙げられる。以下の略語が本明細書を通して使用される:ppm=重量基準の100万分率(重量/重量)、mL=ミリリットル、ATCC=アメリカンタイプカルチャーコレクション、およびMIC=最小阻止濃度。他に特定されない限りは、温度は摂氏度(℃)であり、パーセンテージに関する言及は重量基準(重量%)である。本発明の組成物中の抗微生物化合物のパーセンテージは組成物中の活性成分の全重量、すなわち、溶媒、担体、分散剤、安定化剤もしくは存在しうる他の物質の量を除いた抗微生物化合物自体に基づく。
【0007】
抗微生物組成物がIPBCおよびフルオメツロンを含む本発明のある実施形態においては、IPBC:フルオメツロンの重量比は8:1〜1:7、好ましくは6:1〜1:5、好ましくは5:1〜1:5、好ましくは6:1〜1:4、好ましくは5:1〜1:4、好ましくは4:1〜1:4、好ましくは5:1〜1:3、好ましくは4:1〜1:3である。
【0008】
抗微生物組成物がIPBC、フルオメツロンおよびDCOITを含む本発明のある実施形態においては、IPBC:フルオメツロンの重量比は2:1〜1:2、好ましくは3:1〜1:1、好ましくは2:1〜1:1であり、IPBC:DCOITの重量比は7:1〜4:1、好ましくは8:1〜5:1、好ましくは7:1〜5:1、好ましくは6:1〜5:1である。
【0009】
抗微生物組成物がIPBC、フルオメツロンおよびDIMTSを含む本発明のある実施形態においては、IPBC:DIMTSの重量比は2:1〜1:2、好ましくは3:1〜1:1、好ましくは2:1〜1:1であり、IPBC:DIMTSの重量比は7:1〜4:1、好ましくは8:1〜5:1、好ましくは7:1〜5:1、好ましくは6:1〜5:1である。
【0010】
抗微生物組成物がフルオメツロンおよびZPTを含む本発明のある実施形態においては、フルオメツロン:ZPTの重量比は10:1〜1:12、好ましくは8:1〜1:12、好ましくは10:1〜1:10、好ましくは8:1〜1:10、好ましくは7:1〜1:10、好ましくは6:1〜1:10である。
【0011】
抗微生物組成物がフルオメツロンおよびTBZを含む本発明のある実施形態においては、フルオメツロン:TBZの重量比は10:1〜1:12、好ましくは8:1〜1:12、好ましくは10:1〜1:10、好ましくは8:1〜1:10、好ましくは7:1〜1:10、好ましくは6:1〜1:10である。
【0012】
抗微生物組成物がフルオメツロンおよびDMITSを含む本発明のある実施形態においては、フルオメツロン:DMITSの重量比は10:1〜1:12、好ましくは8:1〜1:12、好ましくは10:1〜1:10、好ましくは8:1〜1:10、好ましくは7:1〜1:10、好ましくは6:1〜1:10である。
【0013】
本発明のある実施形態においては、本発明の抗微生物組み合わせは液体組成物、特に水性媒体中のポリマーの分散物に組み込まれる。殺生物剤の組み合わせは建築材料、例えば、接着剤、コーキング材、目地材、シーラント、ウォールボードなど、塗料、コーティング、ポリマー、プラスチック、合成および天然ゴム、紙製品、ガラス繊維シート、断熱材、外断熱仕上げシステム、屋根用および床用フェルト、建築用プラスター、木材製品および木材−プラスチック複合体の保存に特に有用である。本発明のある実施形態においては、抗微生物組成物は、本明細書に開示される殺生物剤の組み合わせを含むラテックス塗料もしくは他の液体コーティング組成物である。殺生物剤の組み合わせは塗料もしくは他の液体コーティング組成物の適用の後で得られる乾燥膜コーティングの保存に有用である。ある実施形態においては、抗微生物組成物は本明細書に開示された殺生物剤の組み合わせの1種以上を含むアクリルラテックス塗料、またはこの塗料を表面に適用して得られた乾燥膜コーティングである。
【0014】
典型的には、微生物の成長を制御するための本発明の殺生物剤の組み合わせの量は100ppm〜10,000ppm活性成分である。本発明のある実施形態においては、組成物の活性成分は、少なくとも300ppm、好ましくは少なくとも500ppm、好ましくは少なくとも600ppm、好ましくは少なくとも700ppmの量で存在する。ある実施形態においては、組成物の活性成分は8,000ppm以下、好ましくは6,000ppm以下、好ましくは5,000ppm以下、好ましくは4,000ppm以下、好ましくは3,000ppm以下、好ましくは2,500ppm以下、好ましくは2,000ppm以下、好ましくは1,800ppm以下、好ましくは1,600ppm以下の量で存在する。上で言及された濃度は殺生物剤の組み合わせを含む液体組成物中のものであり、乾燥膜コーティングにおける殺生物剤の濃度はより高いであろう。
【0015】
本発明は、特許請求の範囲に特定された殺生物剤の組み合わせのいずれかを建築材料、特に乾燥膜コーティングに組み込むことにより、建築材料、特に乾燥膜コーティングにおける微生物の成長を妨げるための方法も包含する。
【0016】
フルオメツロンはIPBC、DCOIT、OIT、ZPT、DIMTSおよびTBZの1種より多くと一緒にされることができ、本明細書の他のところには開示されていない、相乗的3成分もしくはより多くの成分の組み合わせを生じさせることができる。
【実施例】
【0017】
サンプル調製:殺生物剤を含まない白色アクリルラテックス塗料のサンプルが50mlの量で準備された。その塗料中で必要な活性成分濃度を生じさせる様に、それぞれの殺生物剤が後添加された。試験された殺生物剤合計濃度は750、1500、2500および5000ppmであった。殺生物剤添加の後で、各サンプルは最低30秒間、手作業で混合され、次いで3分間ペイントシェーカー(RED DEVIL)にかけられた。この塗料サンプルのそれぞれ、並びに対照サンプル(殺生物剤を含んでいない)が使用されて、3milのバードバーアプリケータを使用して黒色プラスチック−ビニルクロライド/アセタートコポリマーパネル(レネタ、ニュージャージー州モーウォー)上に膜を製造した。これらパネルは、太陽光への直接の曝露を避けつつ5日間完全に乾燥させられた。正方形のディスク(15mm)が各パネルから切り出されて、真菌および藻類有効性試験のための基材として使用された。このサンプルサイズは、このサンプルディスクが試験プレートのウェルに配置された場合の寒天境界を可能にした。
【0018】
試験条件:微生物の成長をサポートするために、適切な培地(緑藻植物(Chlorophytes)についてBOLDの3N、シアノバクテリアについてはBG−11、および真菌についてはPDA)が使用された。試験プレートは、藻類については、室温(25℃〜26℃)で、サイクル化された明暗環境で3週間維持された。真菌有効性試験のためのプレートは30℃で3週間維持された。インキュベーション期間の終わりに、サンプルは目に見える微生物の成長によって覆われた領域のパーセントについて集計された。
【0019】
【表1】

【0020】
【表2】

【0021】
藻類有効性試験:改変されたASTM5589
ASTM5589は藻類汚損に対する様々なコーティング(塗料を含む)の抵抗性を決定するための標準加速試験方法である。高スループットスクリーニングを提供するために、この方法はペトリ皿から12ウェルプレートにスケールダウンされた。滅菌鉗子を用いて1つの試験片が塗布面が上を向くように寒天プラグの中央(上に)に配置された。各ウェルには、表面(塗料膜およびそれを取り囲む寒天)全体が均一に覆われるのを確実にするように、150μlの生物(1×10cfu/ml)が接種された。このプレートは室温(25℃〜26℃)で明相(OTT−Liteモデル#OTL4012P、40ワット、26Kルーメン)および暗相への周期的な曝露を伴い、3週間にわたってインキュベートされた。各週の終わりに、覆われた領域のパーセントについて5%刻みで、覆われた合計領域が評価された。プレートを評定しつつ、阻止の区域について表記がなされた。
【0022】
真菌有効性試験:改変されたASTM5590
ASTM5590は真菌汚損に対する様々なコーティング(塗料を含む)の抵抗性を決定するための標準加速試験方法である。高スループットスクリーニングを提供するために、この方法はペトリ皿から12ウェルプレートにスケールダウンされた。試験をセットアップするために、寒天プラグが滅菌12ウェルプレートの各ウェルの底に配置された。滅菌鉗子を用いて1つの試験片が塗布面が上を向くように寒天プラグの中央(上に)に配置された。各ウェルには、表面(塗料膜およびそれを取り囲む寒天)全体が均一に覆われるのを確実にするように、150μlの生物(1×10cfu/ml)が接種された。このプレートは水分の存在下で30℃で3週間にわたってインキュベートされた。2週間後から各週の終わりに、覆われた合計領域パーセントが評価され、記録され、並びに5%刻みで記録された。
【0023】
相乗効果指数(SI)
SIは、F.C.Kullらの方法(アプライドマイクロバイオロジー(Applied Microbiology)Vol.9(1961))に基づいて計算される。この検討においてSIは、試験された各微生物に対する個々の殺生物剤によって示される阻止パーセントに基づいて選択された最小阻止濃度で、以下の式に基づいて計算された。
SI=Qa/QA+Qb/QB+Qc/QC+.....
Qa=混合物中での殺生物剤Aの濃度
QA=この殺生物剤だけの場合の殺生物剤Aの濃度
Qb=混合物中での殺生物剤Bの濃度
QB=この殺生物剤だけの場合の殺生物剤Bの濃度
Qc=混合物中での殺生物剤Cの濃度
QC=この殺生物剤だけの場合の殺生物剤Cの濃度
【0024】
この式における1未満のSI値は、混合された殺生物剤の相乗効果が存在することを示す。
【0025】
実施例1
この試験は、IPBC:フルオメツロン(Fluo)の重量比4:1〜1:1のIPBCとフルオメツロンとの混合物の性能を調査するために行われた。これら混合物は広いスペクトルの真菌および藻類に対して非常に良好な相乗効果を示した。試験されたそれぞれの混合物は、試験されたIPBC:フルオメツロンの全ての比率で少なくとも1種の生物に対して相乗効果を示した。3週間の曝露後の結果は藻類については表1に、および真菌については表2に示される。
【0026】
【表3】

【0027】
【表4】

【0028】
実施例2
この試験は、IPBC:フルオメツロン(Fluo)の重量比1:2〜1:3のIPBCとフルオメツロンとの混合物の性能を調査するために行われた。これら混合物は広いスペクトルの真菌および藻類に対して非常に良好な相乗効果を示した。試験されたそれぞれの混合物は、試験されたIPBC:フルオメツロンの全ての比率で少なくとも1種の生物に対して相乗効果を示した。3週間の曝露後の結果は藻類については表3に、および真菌については表4に示される。
【0029】
【表5】

【0030】
【表6】

【0031】
実施例3:3成分殺生物剤混合物
表5および6に記載されるように、これら混合物も試験された各重量比で様々な生物に対して相乗効果を示した。
【0032】
【表7】

【0033】
【表8】

【0034】
実施例4:さらなる殺生物剤混合物
生物およびその成長培地は前記実施例に示される通りである。
サンプル調製:殺生物剤を含まない白色アクリルラテックス塗料に、試験される最大合計活性成分濃度をもたらすように、殺生物剤の単一種もしくは混合物が後添加された。次いで、この塗料は殺生物剤を含まないアクリルラテックス塗料で、75〜12.5%w/wの濃度範囲に希釈され、試験のための所望の濃度を得た。試験された殺生物剤混合物の種類に応じて、殺生物剤合計濃度は200〜5000ppmで変動する。殺生物剤添加もしくは希釈の後で、各サンプルは少なくとも1分間均一が達成されるまで手作業で混合された。この塗料サンプルのそれぞれ、並びに対照サンプル(殺生物剤を含んでいない)が使用されて、3milのバードバーアプリケータを使用して黒色プラスチック−ビニルクロライド/アセタートコポリマーパネル(レネタ、ニュージャージー州モーウォー)上に膜を製造した。これらパネルは、太陽光への直接の曝露を避けつつ少なくとも2日間完全に乾燥させられた。正方形のディスク(0.5インチ、13mm)が各パネルから切り出されて、真菌および藻類有効性試験のための基材として使用された。このサンプルサイズは、このサンプルディスクが試験プレートのウェルに配置された場合の寒天境界を可能にした。それぞれのサンプルは二重に試験された。
【0035】
試験条件:微生物の成長をサポートするために、適切な培地(緑藻植物(Chlorophytes)についてBOLDの3N、シアノバクテリアについてはBG−11、および真菌についてはPDA)が使用された。試験プレートは、藻類については、室温(25℃〜26℃)で、サイクル化された明暗環境で4週間維持された。真菌有効性試験のためのプレートは30℃で4週間維持された。インキュベーション期間の終わりに、サンプルは目に見える微生物の成長によって覆われた領域のパーセントについて集計された。
【0036】
藻類有効性試験:改変されたASTM5589
ASTM5589は藻類汚損に対する様々なコーティング(塗料を含む)の抵抗性を決定するための標準加速試験方法である。高スループットスクリーニングを提供するために、この方法はペトリ皿から6ウェルプレートにスケールダウンされた。滅菌鉗子を用いて1つの試験片が塗布面が上を向くように寒天プラグの中央(上に)に配置された。藻類接種物は等しい濃度(1×10cfu/ml)で等しい体積(接種されるサンプルの数に応じて変化する)の同様に成長している生物を混合することにより準備された。この試験においては、グロエオカプサ(Gloeocapsa)sp.およびユレモ属(Oscillatoria)sp.はBG−11培地で成長させられたシアノバクテリアの混合物であった。
クロレラ(Chlorella)sp.、クロレラケスレリ(Chlorella kessleri)およびイシクラゲ(Nostoc commune)はBold培地で成長させられ、混合された単細胞緑藻植物である。スミレモ(Trentepohlia aurea)、トレンテポーリアオダラタ(Tretepohlia odorata)およびキャロスリックスパリエンティナ(Calotrix parientina)はBold培地で成長させられ、混合された糸状藻類である。各ウェルには、表面(塗料膜およびそれを取り囲む寒天)全体が均一に覆われるのを確実にするように、400μlの生物混合物(1×10cfu/ml)が接種された。このプレートは室温(25℃〜26℃)で明相(OTT−Liteモデル#OTL4012P、40ワット、26Kルーメン)および暗相への周期的な曝露を伴い、4週間にわたってインキュベートされた。各週の終わりに、覆われた領域のパーセントについて5%刻みで、覆われた合計領域が評価された。プレートを評定しつつ、阻止の区域について表記がなされた。
【0037】
真菌有効性試験:改変されたASTM5590
ASTM5590は真菌汚損に対する様々なコーティング(塗料を含む)の抵抗性を決定するための標準加速試験方法である。高スループットスクリーニングを提供するために、この方法はペトリ皿から6ウェルプレートにスケールダウンされた。試験をセットアップするために、寒天プラグが滅菌6ウェルプレートの各ウェルの底に配置された。滅菌鉗子を用いて1つの試験片が塗布面が上を向くように寒天プラグの中央(上に)に配置された。真菌接種物は等しい濃度(約1×10cfu/ml)かつ等しい体積(試験されるサンプルの数に応じて)の同様に成長している生物を混合することにより準備された。クラドスポリウムヘルバラム(Cladosporium herbarum)がオーレオバシディウムプルランス(Aureobasidium pullulans)と混合された。アスペルギルスニガー(Aspergillus niger)がペニシリウムフニクロサム(Penicillium funiculosum)と混合された。アルターナリアアルターナタ(Alternaria alternata)がトリコデルマビリデ(Trichoderma viride)と混合された。各ウェルに400μlの生物混合物(約1×10cfu/ml)が接種され、表面全体(塗料膜およびそれを取り囲む寒天)が均一に覆われたことを確実にした。このプレートは水分の存在下で30℃で4週間にわたってインキュベートされた。2週間後から各週の終わりに、覆われた合計領域パーセントが評価され、記録され、並びに5%刻みで記録された。結果は以下の表7〜11に示される。
【0038】
【表9】

注:真菌に対して試験されたフルオメツロンの最大濃度は5000ppmであるので、この濃度は推定SIを算出するために使用される。未満の印(<)を用いることによる補正はSI<1のこの関連するデータに対してのみ含まれる。
NE=試験された濃度での終点なし。
【0039】
【表10】

【0040】
【表11】

【0041】
【表12】

【0042】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバマートと、(b)フルオメツロンとを含み、3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバマート:フルオメツロンの重量比が10:1〜1:10である、相乗的抗微生物組成物。
【請求項2】
(a)3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバマートと、(b)フルオメツロンと、(c)4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを含み、3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバマート:フルオメツロンの重量比が3:1〜1:2であり、並びに3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバマート:4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンの重量比が8:1〜4:1である、相乗的抗微生物組成物。
【請求項3】
(a)3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバマートと、(b)フルオメツロンと、(c)ジヨードメチル−p−トリルスルホンとを含み、3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバマート:フルオメツロンの重量比が3:1〜1:2であり、並びに3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバマート:ジヨードメチル−p−トリルスルホンの重量比が8:1〜4:1である、相乗的抗微生物組成物。
【請求項4】
(a)フルオメツロンと、(b)2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを含み、フルオメツロン:2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンの重量比が1:1〜1:2である、相乗的抗微生物組成物。
【請求項5】
(a)フルオメツロンと、(b)ピリチオン亜鉛とを含み、フルオメツロン:ピリチオン亜鉛の重量比が10:1〜1:15である、相乗的抗微生物組成物。
【請求項6】
(a)フルオメツロンと、(b)チアベンダゾールとを含み、フルオメツロン:チアベンダゾールの重量比が10:1〜1:15である、相乗的抗微生物組成物。
【請求項7】
(a)フルオメツロンと、(b)ジヨードメチル−p−トリルスルホンとを含み、フルオメツロン:ジヨードメチル−p−トリルスルホンの重量比が10:1〜1:15である、相乗的抗微生物組成物。

【公表番号】特表2013−501048(P2013−501048A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523653(P2012−523653)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/043518
【国際公開番号】WO2011/017156
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】