説明

相同組換えを利用したイネアントラニル酸合成酵素の改変

【課題】遺伝子ターゲッティング法による高濃度のトリプトファンを含有する植物体の製造方法及び当該方法により製造される植物体等を提供することを課題とする。
【解決手段】遺伝子ターゲッティング法に用いるベクターの設計にあたり、S126Fの点変異がライトボーダー側に位置するように設計した。S126Fの変異をT-DNAのライトボーダー(RB)側に配置することにより、相同配列領域が短くならざるを得ない場合でも、効率よく遺伝子ターゲッティング個体を得られることが確認された。
またOASA2遺伝子の遺伝子ターゲッティングに成功した個体を選抜する際、これまでに報告されていた濃度より高い500μMの5MTを利用することが効果的であることがわかった。このようにして得られた遺伝子ターゲッティング個体は、イネ葉身において約8.62nmol/mgの遊離トリプトファンを蓄積している。これは野生型の遊離トリプトファン含量の約130倍であった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高濃度のトリプトファンを含有する植物体の製造方法及び当該方法により製造される植物体、並びにその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
アントラニル酸合成酵素(AS)は、トリプトファン合成の鍵酵素として知られており、高濃度のトリプトファンによって負に制御されていることが知られている。ASはα及びβサブユニットからなる4量体であるが、そのうち、高濃度のトリプトファンによってフィードバック阻害を受けるのはαサブユニットである。イネにおいて、ASのαサブユニットをコードする遺伝子は2コピー存在し、それぞれOASA1、OASA2遺伝子と名付けられている(非特許文献1)。OASA2遺伝子は、OASA1遺伝子と比較してイネ組織で広く発現しているが、高濃度のトリプトファンに対する感受性はOASA2の方がOASA1より高い(非特許文献2)。また、OASA2合成タンパク質を利用した生化学的な研究から、2アミノ酸を置換した改変型OASA2(S126F/L530D)やOASA2(Y367A/L530D)は、高濃度のトリプトファンに対して感受性が低下するだけでなく、酵素活性自体も非常に高くなることが分かっている(非特許文献3)。例えば、変異型OASA2遺伝子(S126F/L530D)を大量に発現させた形質転換イネカルスでは、非形質転換体の300-400倍ものトリプトファンが蓄積することが示されている(非特許文献4)。
【0003】
相同組換えを利用した遺伝子ターゲッティング(ジーンターゲッティング、GT)は、従来の遺伝子導入方法とは異なり、標的遺伝子だけを改変することができる非常に有用な技術である。従来の遺伝子導入方法は、ゲノム中のランダムな位置に外来DNAが挿入されるが、GTでは標的遺伝子だけを思い通りに改変することができるため、より「クリーン」な遺伝子改変技術であるといえる。酵母などの微生物やマウスなどの哺乳動物において、GTを利用した標的遺伝子の改変が広く行われている。それに対し、イネなどの高等植物においては、相同組換えの効率が非常に低い。植物細胞に導入したDNA配列が相同組換えを起こす確率は、その配列がランダムに植物ゲノム中に挿入される確率の10-3-10-5であるといわれている。そのため、GTによる標的遺伝子の改変は容易ではない。
【0004】
最近になり、モデル高等植物であるイネやシロイヌナズナにおいて、GTによる内性遺伝子の改変に成功したという報告がなされている。イネにおけるGTの最初の成功例は、Waxy遺伝子をノックアウトしたものである(非特許文献5)。この方法は、GT個体を選抜するためのマーカーとしてハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子を利用している。よって、その他の遺伝子にも適用することが可能であり、ADH2遺伝子も同様な方法でノックアウトすることに成功している(非特許文献6)。一方、内在性遺伝子自身が選抜マーカーとして利用できる場合は、抗生物質を利用することなくGT個体を選抜することが可能である。イネALS遺伝子は、点変異を導入することによって除草剤であるビスピリパック(BS)に対して耐性型となることが報告されている。これを利用して、GTに成功した細胞だけがBS耐性を示すような選抜を行い、ALS遺伝子に目的の点変異を導入することに成功している(非特許文献7)。また、従来の遺伝子組換え技術によってBS耐性型ALS遺伝子を大量に発現させた個体は、内在性のBS感受性ALS遺伝子が発現しているために、高濃度のBSを処理すると感受性を示す。それに対し、GTによって野生型のBS感受性ALS遺伝子を排除した個体(すなわち、GTによってホモでBS耐性型ALS遺伝子を持つ個体)は、BSに対する完全な耐性を獲得していることが明らかになった(非特許文献7)。これは、GTによって内在性のALS遺伝子を完全に排除することができたためであると考えられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許公開2006−246744 遺伝子導入方法、ジーンターゲッティング方法及びトランスジェニック植物の製造方法
【特許文献2】WO2003/020940 高等植物のゲノム改変法
【特許文献3】特許公開2004−350692 イネのアントラニル酸シンターゼの第1アイソザイムαサブユニットをコードするDNAの改変体
【特許文献4】特許公開2002−101776 形質転換植物の選抜方法
【特許文献5】WO99/011800 イネのアントラニル酸シンターゼのαサブユニットをコードする遺伝子と該遺伝子に関連するDNA
【特許文献6】特許公開2003−265182 カルス特異的発現プロモーターを含むプラスミド及び形質転換された植物細胞カルスの選抜方法
【特許文献7】特許公開2006−042801 イネのアントラニル酸合成酵素遺伝子OASA2の新規改変遺伝子およびその利用
【特許文献8】特許公開2000−342277 イネのアントラニル酸シンターゼの第2アイソザイムのαサブユニット遺伝子のプロモーター
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Tozawa Y. et al. (2001) Characterization of rice anthranilate synthase alpha-subunit genes OASA1 and OASA2. Tryptophan accumulation in transgenic rice expressing a feedback-insensitive mutant of OASA1. Plant Physiol. 126:1493-506.
【非特許文献2】Kanno T. et al. (2004) In vitro reconstitution of rice anthranilate synthase: distinct functional properties of the alpha subunits OASA1 and OASA2. Plant Mol Biol. 54:11-22.
【非特許文献3】Kanno T. et al. (2005) Structure-based in vitro engineering of the anthranilate synthase, a metabolic key enzyme in the plant tryptophan pathway. Plant Physiol. 138:2260-8.
【非特許文献4】トリプトファン生合成系における一次・二次代謝の制御と利用、若狭暁、戦略的創造研究推進事業 チーム型研究 CREST、平成18年度 研究終了報告書(平成13、15年度採択研究課題)、247〜262ページ
【非特許文献5】Terada, R. et al. (2002) Efficient gene targeting by homologous recombination in rice. Nature Biotech, 20, 1030-1034.
【非特許文献6】Terada, R. et al. (2007) Gene targeting by homologous recombination as a biotechnological tool for rice functional genomics. Plant Physiol., 144, 846-856.
【非特許文献7】Endo, M. et al. (2007) Molecular breeding of a novel herbicide-tolerant rice by gene targeting. Plant J., 52, 157-166.
【非特許文献8】Yamada T. et al. (2004) Use of a feedback-insensitive at subunit of anthranilate synthase as a selectable marker for transformation of rice and potato. Mol. Breeding 14:363-373.
【非特許文献9】Saika H, Toki S (2008) Approach for metabolic engineering of amino acid production by T-DNA mediated gene targeting, FAO/IAEA International Symposium on Induced Mutations in Plants
【非特許文献10】Toki S, Endo M, Saika H, Abe K, Osakabe K (2008) Site-directed mutagenesis in plants via gene targeting, FAO/IAEA International Symposium on Induced Mutations in Plants
【非特許文献11】雑賀啓明, 小野寺治子, 土岐精一 (2008) 遺伝子ターゲッテイングによるイネアントラニル酸合成酵素遺伝子の改変 育種学研究 10(別2):129
【非特許文献12】Saika H, Onodera H, Toki S (2008) Generation of a tryptophan hyper-accumulating rice by homologous recombination mediated gene targeting, The 6th 3R (Replication, Recombination, Repair) Symposium
【非特許文献13】Saika H, Onodera H, Toki S (2008) Production of the tryptophan hyper-accumulating rice by T-DNA mediated gene targeting The 6th International Symposium of Rice Functional Genomics
【非特許文献14】雑賀啓明, 小野寺治子, 土岐精一 (2009) ジーンターゲッティングによるイネアントラニル酸合成酵素遺伝子の人為的改変 第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
【非特許文献15】雑賀啓明, 小野寺治子, 土岐精一、ジーンターゲッティングを利用したイネアントラニル酸合成酵素遺伝子の改変、農業生物資源研究所 研究成果発表会(2008年10月21日)
【非特許文献16】Towards a highly efficient gene targeting system in higher plants H. Saika and S. Toki S, Japan Agricultural Research Quarterly. 43,81-85(2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、遺伝子ターゲッティング法による高濃度のトリプトファンを含有する植物体の製造方法及び当該方法により製造される植物体等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らはまず、遺伝子ターゲッティング法に用いるベクターを設計した。ベクターの設計にあたり本発明者らは、S126Fの点変異がライトボーダー側に位置するよう工夫した。S126Fの変異はベクターの末端から約0.2kbの距離に位置するが、通常、遺伝子ターゲティング法において相同配列領域を短く設定すると、相同組換え効率が低下する。しかし本発明者らは、S126Fの変異をT-DNAのライトボーダー(RB)側に配置することにより、相同配列領域が短くならざるを得ない場合でも、効率よく遺伝子ターゲッティング個体が得られることを見出した。
本発明者らは次に、作製したベクターをアグロバクテリウム法によってイネカルスに導入した。本発明者らは、OASA2遺伝子の遺伝子ターゲッティングに成功した個体を効率よく選抜するために、5MTの濃度検定を行った。その結果、これまでに報告されていた濃度より高い500μMの5MTを利用することが、OASA2遺伝子の遺伝子ターゲッティングに成功した個体の選抜に効果的であることを見出した。
本発明者らは、このようにして得られた遺伝子ターゲッティング個体では、イネ葉身において約8.62nmol/mgの遊離トリプトファンが蓄積していることを見出した。これは野生型の遊離トリプトファン含量の約130倍であった。
本発明は、本発明者らがこのような知見を見出したことに基づくものであり、以下〔1〕〜〔24〕を提供するものである。
〔1〕下記(a)又は(b)に記載のDNAで形質転換された植物体であって、高濃度のトリプトファンを含有する植物体;
(a)配列番号:2又は4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA、
(b)配列番号:1又は3に記載の塩基配列を含むDNA、
〔2〕内在性のアントラニル酸合成酵素αサブユニットを含有しない、〔1〕に記載の植物体、
〔3〕植物が単子葉植物である、〔2〕に記載の植物体、
〔4〕単子葉植物がイネ科植物である、〔3〕に記載の植物体、
〔5〕イネ科植物がイネ、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、ソルガム、えん麦、イネ科牧草からなる群より選択される、〔4〕に記載の植物体、
〔6〕〔1〕から〔5〕のいずれかに記載の植物体から単離された細胞、
〔7〕〔1〕から〔5〕のいずれかに記載の植物体の繁殖材料、
〔8〕〔1〕から〔5〕のいずれかに記載の植物体から単離された器官、
〔9〕下記(a)及び(b)の工程を含む、トリプトファンを含有する植物体の製造方法;
(a)遺伝子ターゲティング法により下記(i)又は(ii)に記載のDNA又は該DNAを含むベクターを植物細胞に導入する工程、及び
(b)工程(a)においてDNA又はベクターが導入された植物細胞から植物体を再生する工程、
(i)配列番号:2又は4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA、
(ii)配列番号:1又は3に記載の塩基配列を含むDNA、
〔10〕植物が内在性のアントラニル酸合成酵素αサブユニットを含有しない、〔9〕に記載の方法、
〔11〕植物が単子葉植物である、〔10〕に記載の方法、
〔12〕単子葉植物がイネ科植物である、〔11〕に記載の方法、
〔13〕イネ科植物がイネ、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、ソルガム、えん麦、イネ科牧草からなる群より選択される、〔12〕に記載の方法、
〔14〕ベクターが配列番号:7から10のいずれかに記載の塩基配列を含むベクターから選択される、〔13〕に記載の方法、
〔15〕下記(a)及び(b)の工程を含む、植物にトリプトファンを含有させる方法;
(a)遺伝子ターゲティング法により下記(i)又は(ii)に記載のDNA又は該DNAを含むベクターを植物細胞に導入する工程、及び
(b)工程(a)においてDNA又はベクターが導入された植物細胞から植物体を再生する工程、
(i)配列番号:2又は4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA、
(ii)配列番号:1又は3に記載の塩基配列を含むDNA、
〔16〕植物が内在性のアントラニル酸合成酵素αサブユニットを含有しない、〔15〕に記載の方法、
〔17〕植物が単子葉植物である、〔16〕に記載の方法、
〔18〕単子葉植物がイネ科植物である、〔17〕に記載の方法、
〔19〕イネ科植物がイネ、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、ソルガム、えん麦、イネ科牧草からなる群より選択される、〔18〕に記載の方法、
〔20〕ベクターが配列番号:7から10のいずれかに記載の塩基配列を含むベクターから選択される、〔19〕に記載の方法、
〔21〕下記(i)又は(ii)に記載のDNA又は該DNAを含むベクターを有効成分として含有する、植物に高濃度のトリプトファンを含有させるための薬剤;
(i)配列番号:2又は4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA、
(ii)配列番号:1又は3に記載の塩基配列を含むDNA、
〔22〕配列番号:7から10のいずれかに記載の塩基配列を含むベクターのうち少なくとも1種類を有効成分として含有する、植物に高濃度のトリプトファンを含有させるための薬剤、
〔23〕下記(a)及び(b)の工程を含む、トリプトファンの製造方法;
(a)〔9〕から〔20〕のいずれかに記載の方法で、トリプトファンを含有する植物体を取得する工程、及び
(b)工程(a)で取得された植物体からトリプトファンを回収する工程、
〔24〕〔9〕から〔14〕のいずれかに記載の方法によって得られる形質転換植物体。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、高濃度のトリプトファンを含有する植物体の製造方法及び当該方法により製造される植物体が提供された。本発明の植物体は、従来の遺伝子導入法で得られ得る植物体よりも高濃度のトリプトファンを含有するため、飼料米や高栄養米用の品種として有用である。
また本発明の植物体は、標的遺伝子だけが改変されているため、その他の領域は野生型と同じ塩基配列であると考えられる。それに対し、従来の遺伝子組換え技術ではゲノムDNA中のランダムな領域にT-DNAが挿入するため、予想外の変異が生じる可能性が高い。また、本発明で用いたT-DNAは、イネゲノムの配列をそのまま利用したものである。以上のことから、遺伝子組換え技術を利用しているが、遺伝子ターゲッティングにより得られた個体は突然変異個体と同等であると考えられる。このことから、一般消費者に受容されやすいと考えられる。
従来の遺伝子組換え個体では選抜マーカーとしてイネ以外の遺伝子(ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼなど)を利用することが多い。従来の組換え個体を栽培種の野生型イネと交配した場合、選抜マーカー遺伝子が種子に導入されてしまうため、抗生物質耐性イネが環境中に拡散していく可能性がある。それに対し、本発明においては標的遺伝子そのものを選抜マーカーとして利用した。このことから、野生型イネと交配しても抗生物質耐性イネが環境中に拡散することは無く、自然環境に対して負荷が少ないと考えられる。
なお本発明の植物体の製造方法は、主要穀物のイネ、トウモロコシ、ムギのアントラニル酸合成酵素遺伝子の遺伝子ターゲッティングによる改変に広く利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】GT用ベクターの構造を示す図である。黒いボックスはOASA2遺伝子のコーディング配列、白いボックスはUTRを示している。また、斜線で示したボックスはOASA2遺伝子の葉緑体移行シグナルを示している。GT用ベクターには葉緑体移行シグナルから下流約7.0kbの配列、ポジティブコントロールベクターには、翻訳開始点から上流1.3kbを含む約7.5kbの配列を利用した。黒丸は点変異を導入した部位を示している。
【図2】実験に用いたベクターのコンストラクトを示す図である。GT用のベクターとしてOASA2SL-GT1(配列番号:7)、OASA2SL-GT2(配列番号:8)、OASA2YL-GT1(配列番号:9)、OASA2YL-GT2(配列番号:10)を用いた。また、選抜時のポジティブコントロールとしてOASA2SL-PC, OASA2YL-PCを、ネガティブコントロールとしてpPZP2028を用いた。
【図3】500μMの5MTを含むN6D培地上でポジティブコントロールベクターOASA2SL-PC(右)又は空ベクターpPZP2028(左)を導入したイネカルスの生育を示す写真である。
【図4】得られた5MT耐性個体を用いたCAPSマーカーの解析結果を示す写真である。(上)GTに成功した個体やGTベクターがランダム挿入した個体ではS126Fの近傍ではHindIIIサイトが新しく追加されるために、S126Fを含む0.8kbのPCR産物がHindIIIによって0.2kbと0.6kbに切断される。(下)GTに成功した個体やGTベクターがランダム挿入した個体ではL530Dの近傍ではEcoRVサイトがなくなるために、L530Dを含む0.5kbのPCR産物がEcoRVで切断されなくなる。
【図5】得られたGT個体の植物体の写真である。(左)植物体全体。(右)穂。
【図6】得られた植物体から抽出したDNAをHindIIIで切断し、プローブを用いてサザン解析を行った結果を示す図及び写真である。GT用ベクターOASA2SL-GT1にはCAPSマーカーとしてHindIIIサイトを追加しているため、野生型のOASA2遺伝子では6.0kb、GTによって改変されたOASA2遺伝子では1.5kbの大きさにバンドが確認される。WT:非形質転換個体、M:λHindIIIマーカー。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、アントラニル酸合成酵素αサブユニット(本明細書において、「OASA2」と称することも出来る)の改変体をコードするDNAで形質転換された植物体であって、高濃度のトリプトファンを含有する植物体を提供する。より具体的には本発明は、下記(a)又は(b)に記載のDNAで形質転換された植物体であって、高濃度のトリプトファンを含有する植物体を提供する。
(a)配列番号:2又は4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA
(b)配列番号:1又は3に記載の塩基配列を含むDNA
【0012】
本発明のOASA2の改変体としては、野生型OASA2(配列番号:6に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質)において、126位のセリンがフェニルアラニンに、及び530位のロイシンがアスパラギン酸に置換されたアミノ酸配列(配列番号:2に記載のアミノ酸配列)を含むタンパク質が挙げられるがこれに限定されない。また本発明のOASA2の改変体として、野生型OASA2(配列番号:6に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質)において、367位のチロシンがアラニンに、及び530位のロイシンがアスパラギン酸に置換されたアミノ酸配列(配列番号:4に記載のアミノ酸配列)を含むタンパク質が挙げられるがこれに限定されない。
また本発明のOASA2の改変体をコードするDNAとして、野生型OASA2をコードするDNA(配列番号:5に記載の塩基配列を含むDNA)において、377位のシトシンがチミンに、1588位のシトシンがグアニンに、1589位のチミンがアデニンに、及び1590位のチミンがシトシンに置換された塩基配列(配列番号:1に記載の塩基配列)を含むDNAが挙げられるがこれに限定されない。またOASA2の改変体をコードするDNAとして、野生型OASA2をコードするDNA(配列番号:5に記載の塩基配列を含むDNA)において、1099位のチミンがグアニンに、1100位のアデニンがシトシンに、1588位のシトシンがグアニンに、1589位のチミンがアデニンに、及び1590位のチミンがシトシンに置換された塩基配列(配列番号:3に記載の塩基配列)を含むDNAが挙げられるがこれに限定されない。
【0013】
本発明の「OASA2の改変体をコードするDNA」は、イネ又はイネ以外の植物においてOASA2の改変体をコードしうるものであれば特に制限はない。また、OASA2の改変体をコードするものであれば、遺伝暗号の縮重に基づく任意の塩基配列を有するDNAが含まれる。
【0014】
トリプトファン含有量は、例えば、高速アミノ酸分析計(Wakasa, K. et al. (2006) High-level tryptophan accumulation in seeds of transgenic rice and its limited effects on agronomic traits and seed metabolite profile. J. Exp. Bot, 57. 3069-3078)を使用して測定することが可能であるが、この方法に限定されない。
【0015】
また本発明の形質転換植物体は、野生型と比較して高濃度の遊離トリプトファンを含量する。本発明の形質転換植物体は、野生型と比較して遊離トリプトファン含量が増加している限り特に限定されるものではないが、例えば野生型と比較して少なくとも100倍、110倍、120倍、130倍、140倍、150倍、160倍、170倍、180倍、190倍、200倍、210倍、220倍、230倍、240倍、250倍、260倍、270倍、280倍、290倍、300倍、310倍、320倍、330倍、340倍、350倍、360倍、370倍、380倍、390倍、400倍、410倍、420倍、430倍、440倍、450倍、460倍又はそれ以上の遊離トリプトファン含量を有する形質転換植物体が挙げられる。
本発明においてトリプトファンの含有が増加する部位としては、葉、種子などが挙げられるが特に限定されない。なお植物中のトリプトファンは新しい組織に転流することが知られており、古い葉よりも新しい葉において、トリプトファン含量が多いと考えられる。またトリプトファンは最終的には種子に高濃度で蓄積すると考えられる。
【0016】
また本発明の形質転換植物体は、内在性のアントラニル酸合成酵素を有さない。本発明において内在性のアントラニル酸合成酵素とは、野生型の植物体が本来有している野生型のアントラニル酸合成酵素(例えば配列番号:6に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質)を意味する。形質転換植物体が内在性のアントラニル酸合成酵素を有するか否かは、例えば、公知のPCR法やサザンハイブリダイゼーション法によって、又は植物体中のDNAの塩基配列を解析することによって確認することができるが、これらの方法に限定されない。
【0017】
また本発明の形質転換体は、相同組換えを利用したジーンターゲティング(GT)法により作成されることを特徴とする。ジーンターゲティング(GT)法を利用することにより、目的遺伝子のみを改変することが可能である。またジーンターゲティング(GT)法により作出された形質転換植物体では、組換え遺伝子の発現量は内在性プロモーターの影響を受けるため安定である。さらに、ジーンターゲティング(GT)法を利用することにより作成される形質転換体は内在性遺伝子を有さない。そのため従来の遺伝子導入法により作出される形質転換植物体と比較し、さらに高濃度のトリプトファンを含有する。
【0018】
なお本発明の形質転換植物体は、高濃度のトリプトファンを含有する限り、植物の他の形質が改変されていてもよい。他の形質の改変としては、例えば、オーキシン含量の増加、アルカロイド化合物の含量及び組成の変化、トリプトファン以外のアミノ酸の含量及び組成の変化などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
OASA2をコードするDNAの調製は、当業者にとって常套手段を利用して行うことが可能である。例えば、植物からゲノムDNAを抽出し、ゲノミックライブラリー(ベクターとしては、プラスミド、ファージ、コスミド、BAC、PACなどが利用できるがこれらに限定されない)を作成し、これを展開して、OASA2をコードするDNA(例えば、配列番号:5に記載の塩基配列を含むDNA)を基に調製したプローブを用いてコロニーハイブリダイゼーションあるいはプラークハイブリダイゼーションを行うことにより、OASA2をコードするDNAを取得することが出来る。また、OASA2をコードするDNAに特異的なプライマーを作成し、これを利用したPCRを行うことによって、OASA2をコードするDNAを取得することが可能である。
また、OASA2をコードするcDNAを調製する場合、例えば、イネ又はイネ以外の植物から抽出したmRNAを基にcDNAを合成し、これをλZAP等のベクターに挿入してcDNAライブラリーを作成し、これを展開して、上記と同様にコロニーハイブリダイゼーションあるいはプラークハイブリダイゼーションを行うことにより、また、PCRを行うことにより調製することが可能である。
【0020】
本発明のOASA2の改変体をコードするDNAは、上述の方法によって取得したOASA2をコードするDNAに変異を導入することにより取得することが可能である。OASA2をコードするDNAに対する変異の導入は、kunkel法やPCRを利用した方法等公知の方法によって行うことが出来る。また市販のキット(例えばMutan-K、Mutan-Super Express Km、LA-PCR in vitro mutanegenesis Kit等が挙げられるがこれらに限定されない)を用いてOASA2をコードするDNAに対する変異を導入することも可能である。
【0021】
OASA2の改変体をコードするDNAを利用して形質転換植物体を作製するには、該DNAが挿入されたベクターを植物細胞に導入し、これにより得られた形質転換植物細胞から植物体を再生させればよい。
本発明におけるベクターとしては、植物細胞内で挿入遺伝子を発現させることが可能なものが好ましく、例えばpMH1、pMH2などのベクターが挙げられるが、特に制限はない。本発明のベクターは、例えば、植物細胞内での恒常的な遺伝子発現を行うためのプロモーター(例えば、ジャガイモ・キチナーゼ遺伝子SK2のプロモーター、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーター等)を有していてもよい。このようなプロモーターを使用する場合、プロモーターの下流に、本発明のOASA2の改変体をコードするDNAが機能的に結合したDNAを設計する。そして設計されたDNAを含むベクターを植物細胞に導入する。これにより得られた形質転換植物細胞を再生させることによって、本発明のOASA2の改変体が発現された形質転換植物体を得ることが出来る。本発明はこのように、プロモーターの下流に、OASA2の改変体をコードするDNAが機能的に結合したDNAも提供する。ここで「機能的に結合」とは、プロモーター配列に転写因子が結合することにより、本発明のOASA2の改変体をコードするDNAの発現が誘導されるように、プロモーター配列と該DNAとが結合していることを言う。
なおこれら以外にも、外的な刺激により誘導的に活性化されるプロモーターを有するベクターを用いることも可能である。
【0022】
本発明のDNAの細胞への導入は、当業者においては、例えば、ポリエチレングリコール法、電気穿孔法(エレクトロポーレーション)、アグロバクテリウムを介する方法、パーティクルガン法等の公知の方法によって実施することができる。
【0023】
また植物体の再生は、植物細胞の種類に応じて当業者に公知の方法で行うことが可能である(Toki et. al., Plant Physiol. 100: 1503-1507, 1992)。例えば、形質転換植物体を作出する手法については、ポリエチレングリコールによりプロトプラストへ遺伝子導入し、植物体を再生させる方法(Datta et. al., In Gene Transfer To Plants (Potrykus I and Spangenberg Eds.) pp66-74, 1995)、電気パルスによりプロトプラストへ遺伝子導入し、植物体を再生させる方法(Toki et. al., Plant Physiol. 100: 1503-1507, 1992)、パーティクルガン法により細胞へ遺伝子を直接導入し、植物体を再生させる方法(Christou et. al., Bio/technology, 9: 957-962, 1991)及びアグロバクテリウムを介して遺伝子を導入し、植物体を再生させる方法(Hiei et. al., Plant J. 6: 271-282, 1994)など、いくつかの技術が既に確立し、本願発明の技術分野において広く用いられている。本発明においては、これらの方法を好適に用いることができる。
【0024】
上記アグロバクテリウム法を用いる場合、例えばNagelらの方法(Microbiol. Lett. 67: 325, 1990)が用いられる。この方法によれば、組み換えベクターをアグロバクテリウム細菌中に形質転換して、次いで形質転換されたアグロバクテリウムを、リーフディスク法等の公知の方法により細胞に導入する。上記ベクターは、例えば植物体に導入した後、本発明のOASA2の改変体をコードするDNAが植物体中で発現するように、発現プロモーターを含む。一般に、該プロモーターの下流には本発明のOASA2の改変体をコードするDNAが位置し、さらに該DNAの下流にはターミネーターが位置する。この目的に用いられる組み換えベクターは、植物への導入方法、又は植物の種類に応じて、当業者によって適宜選択される。上記プロモーターとして、例えばカリフラワーモザイクウイルス由来のCaMV35S、トウモロコシのユビキチンプロモーター(特開平2-79983号公報)等を挙げることができる。
【0025】
また、上記ターミネーターは、カリフラワーモザイクウイルス由来のターミネーター、あるいはノパリン合成酵素遺伝子由来のターミネーター等を例示することができるが、植物体中で機能するプロモーターやターミネーターであれば、これらに限定されない。
【0026】
また、本発明のOASA2の改変体をコードするDNAを導入する植物は、外植片であってもよく、これらの植物から培養細胞を調製し、得られた培養細胞に導入してもよい。本発明の植物には、植物個体に加え例えば葉、根、茎、花及び種子中の胚盤等の植物の細胞、カルス、懸濁培養細胞等が含まれる。
【0027】
また、本発明のOASA2の改変体をコードするDNAの導入により形質転換した細胞を効率的に選択するために、組み換えベクターは、適当な選抜マーカー遺伝子、もしくは選抜マーカー遺伝子を含むプラスミドベクターと共に植物細胞へ導入してもよい。この目的に使用する選抜マーカー遺伝子は、例えば、抗生物質ハイグロマイシンに耐性であるハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子、カナマイシン又はゲンタマイシンに耐性であるネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子、及び除草剤ホスフィノスリシンに耐性であるアセチルトランスフェラーゼ遺伝子等が挙げられる。
【0028】
組み換えベクターを導入した細胞は、導入された選抜マーカー遺伝子の種類に従って適当な選抜用薬剤を含む公知の選抜用培地に置床し培養する。これにより形質転換された植物培養細胞を得ることができる。
【0029】
なお本発明のOASA2の改変体をコードするT-DNAは、GTのマーカー遺伝子として使用することが可能である。本発明のOASA2の改変体をコードするT-DNAが内在性のOASA2遺伝子に導入された細胞はトリプトファン耐性であるため、トリプトファンの類縁化合物を培地に添加することにより、本発明のOASA2の改変体をコードするDNAが導入されて、GTが生じた細胞のみを選抜することが可能である。
また本発明のT-DNAは葉緑体移行シグナルを含まないため、T-DNAがゲノムにランダムに挿入された場合、OASA2の改変体は機能しない。即ち本発明のT-DNAは5MT選抜を利用したGT実験におけるネガティブマーカーとして作用し、T-DNAがゲノム上にランダムに挿入した形質転換細胞は死滅する。これにより、GTに成功した細胞だけを得ることが可能である。
【0030】
形質転換細胞から再生させた植物体は、次いで順化用培地で培養する。その後、順化した再生植物体を、通常の栽培条件で栽培すると、高濃度のトリプトファンを含有する形質転換植物体が得られ、成熟して結実して種子を得ることができる。即ち本発明は、下記(a)及び(b)の工程を含む、トリプトファンを含有する形質転換植物体の製造方法、及び当該方法によって得られる形質転換植物体を提供する。
(a)遺伝子ターゲティング法により下記(i)又は(ii)に記載のDNA又は該DNAを含むベクターを植物細胞に導入する工程、及び
(b)工程(a)においてDNA又はベクターが導入された植物細胞から植物体を再生する工程
(i)配列番号:2又は4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA、
(ii)配列番号:1又は3に記載の塩基配列を含むDNA。
また本発明は、下記(a)及び(b)の工程を含む、トリプトファンを含有する形質転換植物体の製造方法、及び当該方法によって得られる形質転換植物体を提供する。
(a)遺伝子ターゲティング法により配列番号:7から10のいずれかに記載の塩基配列を含むベクターを植物細胞に導入する工程、及び
(b)工程(a)においてベクターが導入された植物細胞から植物体を再生する工程
これらの方法により、高濃度のトリプトファンを含有する形質転換植物体を取得することが可能である。
【0031】
なお、このように再生され、かつ栽培した形質転換植物体中の導入された外来DNAの存在は、公知のPCR法やサザンハイブリダイゼーション法によって、又は植物体中のDNAの塩基配列を解析することによって確認することができる。この場合、形質転換植物体からのDNAの抽出は、公知のJ.Sambrookらの方法(Molecular Cloning、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)に準じて実施することができる。再生させた植物体中に存在するOASA2の改変体をコードするDNAよりなる外来遺伝子を、PCR法を用いて解析する場合には、再生植物体から抽出したDNAを鋳型として増幅反応を行う。また、OASA2の改変体をコードするDNAの塩基配列に従って適当に選択された塩基配列をもつ合成したオリゴヌクレオチドをプライマーとして用い、これらを混合させた反応液中において増幅反応を行うこともできる。増幅反応においては、DNAの変性、アニーリング、伸張反応を数十回繰り返すと、OASA2の改変体をコードするDNA配列を含むDNA断片の増幅生成物を得ることができる。増幅生成物を含む反応液を例えばアガロース電気泳動にかけると、増幅された各種のDNA断片が分画されて、そのDNA断片が本発明のDNAに対応することを確認することが可能である。
【0032】
一旦、染色体内に本発明のOASA2の改変体をコードするDNAが導入された形質転換植物体が得られれば、該植物体から有性生殖又は無性生殖により子孫を得ることが可能である。また、該植物体やその子孫あるいはクローンから細胞や器官、繁殖材料(例えば、種子、果実、切穂、塊茎、塊根、株、カルス、プロトプラスト等)を単離し、それらを基に該植物体を量産することも可能である。本発明には、OASA2の改変体をコードするDNAが導入された植物細胞、該細胞を含む植物体、該植物体の器官(例えば花、葉、根、茎等)、該植物体の子孫及びクローン、並びに該植物体、その子孫及びクローンの繁殖材料が含まれる。これらの植物細胞、該細胞を含む植物体、該植物体の器官(例えば花、葉、根、茎等)、該植物体の子孫及びクローン、並びに該植物体、その子孫及びクローンの繁殖材料は、高濃度のトリプトファンを含有する形質転換植物体の作出に使用することが可能である。
【0033】
なお本発明の植物としては、単子葉植物が挙げられる。このような植物には、イネ科植物が含まれる。イネ科植物としてはイネ、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、ソルガム、えん麦、イネ科牧草などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0034】
本発明はさらに、下記(a)及び(b)の工程を含む、植物にトリプトファンを含有させる方法を提供する。
(a)遺伝子ターゲティング法により下記(i)又は(ii)に記載のDNA又は該DNAを含むベクターを植物細胞に導入する工程、及び
(b)工程(a)においてDNA又はベクターが導入された植物細胞から植物体を再生する工程、
(i)配列番号:2又は4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA、
(ii)配列番号:1又は3に記載の塩基配列を含むDNA。
この方法により、高濃度のトリプトファンを含有する形質転換植物体を取得することが可能である。
【0035】
本発明の植物にトリプトファンを含有させる方法には、野生型の植物にトリプトファンを含有させる方法のみならず、すでに何らかの変異が導入されている植物にトリプトファンを含有させる方法も含まれる。ここで、すでに何らかの変異が導入されている植物に関して、変異の種類や程度は限定されない。
本発明において、トリプトファンを含有させる対象となる植物は特に制限されないが、例えば上述の植物を挙げることが出来る。
【0036】
上記方法において、OASA2の改変体をコードするDNAを含むベクターとしては、配列番号:7〜10のいずれかに記載の塩基配列を含むベクターが挙げられるがこれらに限定されない。またOASA2の改変体をコードするDNAを含むベクターの植物細胞への導入、及び、該植物細胞から植物体への再生は、上述の方法によって行うことが出来る。
【0037】
また本発明は、OASA2の改変体をコードするDNA、又は該DNAを含むベクターを有効成分として含有する、植物に高濃度のトリプトファンを含有させるための薬剤を提供する。OASA2の改変体をコードするDNAとしては、
(i)配列番号:2又は4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA、
(ii)配列番号:1又は3に記載の塩基配列を含むDNA、
が挙げられるがこれらに限定されない。またOASA2の改変体をコードするDNAを含むベクターとしては配列番号:7〜10のいずれかに記載の塩基配列を含むベクターが挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の薬剤は例えば、高濃度のトリプトファンを含有する植物を製造する際、又は植物に高濃度のトリプトファンを含有させる際に使用することが出来る。植物としては上述のものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0038】
また本発明は、下記(a)から(c)の工程を含むトリプトファンの製造方法を提供する。
(a)遺伝子ターゲティング法により下記(i)又は(ii)に記載のDNA又は該DNAを含むベクターを植物細胞に導入する工程、及び
(b)工程(a)においてDNA又はベクターが導入された植物細胞から植物体を再生する工程、及び
(c)工程(b)で製造された植物体からトリプトファンを回収する工程。
(i)配列番号:2又は4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA、
(ii)配列番号:1又は3に記載の塩基配列を含むDNA。
本発明のトリプトファンの製造方法においてはまず、遺伝子ターゲティング法により、トリプトファンを含有する形質転換植物体を取得する。トリプトファンを含有する形質転換植物体の取得は、本明細書に記載の方法(例えば実施例に記載の方法)によって行うことが出来る。
本発明のトリプトファンの製造方法においては次に、トリプトファンを含有する形質転換植物体からトリプトファンを回収する。トリプトファンの回収は、例えばWakasa K and Widholm J.(A 5-methyltryptophan resistant rice mutant, MTR1, selected in tissue culture. Theor. Appl. Genet. 74:49-54. (1987))に記載されているように、組織を破壊した後に遠心分離して可溶性画分を回収することにより行うことが可能であるが、これに限定されない。
なお本発明の植物体は、「トリプトファンに対する感受性が低下したアントラニル酸合成酵素αサブユニットを有する植物体であって、トリプトファンに感受性を示す内在性のアントラニル酸合成酵素αサブユニットを有さない植物体」と表現することが出来る。また「トリプトファン生合成経路においてトリプトファンによるフィードバック阻害に対する抵抗性を有する植物体であって、トリプトファンによってフィードバック阻害を受ける(トリプトファンによるフィードバック阻害に対する抵抗性を有さない)内在性のアントラニル酸合成酵素αサブユニットを有さない植物体」と表現することが出来る。
【実施例】
【0039】
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
1.材料と方法
1.1 GT用ベクターの作製
GT用ベクターとして図1に示したOASA2SL(ΔCP)またはOASA2YL(ΔCP)の領域、ポジティブコントロールとして図1に示したPro::OASA2SLまたはPro::OASA2YLの領域を用いた。
イネ品種日本晴(Oryza sativa L. cv Nipponbare)のゲノムDNAをテンプレートにし、OASA2遺伝子の約4.4kbの断片をPCR法によって増幅した。PCRは、プライマー
5’-CCCATCGAGGAAGAGTAAACCCAAAAA-3’(配列番号:11)
5’-TAAACATGCAGCGAGAAGAACCATGAA-3’(配列番号:12)
と酵素KOD-plus-(Toyobo)を用いて、キットの説明に従い行った。得られたPCR断片はEcoRI及びXhoIで切断した後、pBSベクターにクローニングした。得られたクローンに対し、PCR法を利用してS126F/L530D及びY367A/L530Dとなるような変異を導入した。PCRには、プライマー
S126F;
5’-GGAGACGCC[aAGCTT]CTCTTCGAGTtCGTCGAGC-3’(配列番号:13)
5’-GCTCGACGaACTCGAAGAGG[AAGCTt]GGCGTCTCC-3’(配列番号:14)
Y367A;
5’-TTGTGAACCCAAGTCCAg[cCATGG]CATATGTACAGGTAT-3’(配列番号:15)
5’-ATACCTGTACATATG[CCATGg]cTGGACTTGGGTTCACAA-3’(配列番号:16)
L530D;
5’-GCCTTGGAGG[GATtTC]ATTTGACGGAGACATGgacATCGC-3’(配列番号:17)
5’-GCGATgtcCATGTCTCCGTCAAAT[GAaATC]CCTCCAAGGC-3’(配列番号:18)
(小文字は変異を導入した塩基を示す。また、下線部分はアミノ酸置換、[ ]で挟まれた部分は非同義置換でGT個体を効率よく検出するためにCAPSマーカー化した配列である。)とQuickChange II XL Site-directed Mutagenesis kit(STRATAGENE)を利用した。得られたクローンをそれぞれSL-1またはYL-1とした。また、イネ品種日本晴のゲノムDNAをテンプレートにし、OASA2遺伝子を含む約9.7kbの断片をPCR法によって増幅した。PCRは、プライマー
5’-ATGGACTTGTTTACTCGGGAGTGGTTG-3’(配列番号:19)
5’-TCCCAACCTCTCATCTCTCATTTTTCG-3’(配列番号:20)
と酵素KOD-plus-を用いて、キットの説明に従い行った。得られたPCR断片はKpnI及びPacIで切断した後、pPZP2028ベクター(pPZP202のMCSにAscI/PacIサイトを加えた改変ベクター)にクローニングした。これをSacII/XhoIによって切断し、SacII/XhoIによってSL-1またはYL-1から切り出した約3.8kbの断片を導入した。これによって得られたベクターをSL-2またはYL-2と名付けた。
【0040】
得られたベクターSL-2またはYL-2をテンプレートにし、約7.5kbの断片をPCR法によって増幅した。PCRは、プライマー
5’-GCGTGA[GGTaCc]CCGCGGGGAAG-3’(配列番号:21)
5’-GGGCTTAGGGGTCCTGTTGGAAACTAT-3’(配列番号:22)
([ ]で挟まれた配列は新たに付加したKpnIサイトを示す)と酵素KOD-plus-(Toyobo)を用いて、キットの説明に従い行った。得られたPCR断片はKpnI及びEcoRIで切断した後、pPZP201ベクターにクローニングした。得られたクローンをGT用のベクターとし、それぞれOASA2SL-GT1またはOASA2YL-GT1とした(図2)。
また、上記のKpnI及びEcoRIで切断したPCR断片を、pCAMBIA1304にクローニングした。得られたクローンを別のGT用のベクターとし、それぞれOASA2SL-GT2またはOASA2YL-GT2とした(図2)。また、ベクターSL-2またはYL-2をSpeIで切断した後、pCAMBIA1304またはpCAMBIA1300ベクターにクローニングした。得られたクローンをポジティブコントロール用ベクターとし、それぞれOASA2SL-PCまたはOASA2YL-PCとした(図2)。
【0041】
今回作製したGTベクターについて、S126Fの変異はベクターの末端から約0.2kbの距離に位置している。通常、相同配列領域を短くすると相同組換え効率が低下するため、効率的にGT個体を得ることが困難であると考えられる。今回、それをできるだけ克服するために、S126Fの変異をT-DNAのライトボーダー(RB)側に配置した。レフトボーダー(LB)に対して、RB側はタンパク質によってT-DNAが保護されるために核に到達するまでDNAが削られることが少ない。これにより、S126Fの変異を効率よく導入することができたと考えられた。
【0042】
1.2 アグロバクテリウムを用いた遺伝子導入法
脱頴したイネ品種日本晴の滅菌種子をN6D培地に置床し、33℃明条件下で3-4週間培養した。得られたカルスに対し、アグロバクテリウム法によって形質転換を行った。形質転換にはアグロバクテリウムEHA105株を利用した。アグロバクテリウムを処理したイネカルスを2N6AS培地に置床し、25-28℃、暗条件で3日間の共存培養を行った。その後、滅菌水及びカルベニシリン溶液でアグロバクテリウムを除菌し、500μMの5-メチルトリプトファン(トリプトファンアナログでありAS活性を阻害する、5MT)、カルベニシリンを含む選抜用N6D培地に置床した。5MT耐性カルスの選抜は、33℃明条件下で1-2ヶ月行った。途中、数回新しい培地にカルスを移植した。得られた5MT耐性カルスを300μMの5MTを含む再分化培地に置床し、33℃明条件下で約1ヶ月培養した。得られた再分化植物体は、300μMの5MTを含むホルモンフリー培地に移植し、33℃明条件下で約1ヶ月培養した。
【0043】
1.3 GTによって得られた個体のCAPS解析
GTによって得られた個体の葉からDNAを抽出した。得られたDNAを用いてPCR法によって変異を導入した塩基を含む0.5-0.8kbの断片を増幅した。PCRは、プライマーS126F;
5’-GCGTGAGGTACCCCGCGGGGAAG-3’(配列番号:21)
5’-ACGAGAACATCATCATAAAGCCCAAGG-3’(配列番号:23)
Y367A;
5’-ACTCGGCAGTTTGGTACACCTTTGAAC-3’(配列番号:24)
5’-ACAGTCCCAGCAAGTGGACGGTTAATA-3’(配列番号:25)
L530D;
5’-GTTGGGACAGTGTAGCCTCTTGGTAG-3’(配列番号:26)
5’-CTGCCTTGTTCTCGCATTCACGTT-3’(配列番号:27)
と酵素KOD-dash-(Toyobo)を用いて、キットの説明に従い行った。得られたPCR産物は、制限酵素処理(S126F; HindIII, Y367A; NcoI, L530D; EcoRV)を行い、CAPSマーカーとしてGT用ベクターに導入しておいた変異が導入されているかを電気泳動により確認した。
【0044】
1.4 GTによって得られた個体の塩基配列の決定
GTによって得られた個体の葉からDNAを抽出した。DNA抽出には、NucleonPhytopure(GE)を利用した。得られたDNAを用いてPCR法によって約10.0kbの断片を増幅した。得られたPCR産物を用いたシーケンス反応は、プライマー
5’-GCGTGAGGTACCCCGCGGGGAAG-3’(配列番号:21)
5’-GTTGGGACAGTGTAGCCTCTTGGTAG-3’(配列番号:26)
を用いて行った。
【0045】
1.5 GTによって得られた個体のサザン解析
GTによって得られた個体の葉からDNAを抽出した。DNA抽出には、NucleonPhytopure(GE)を利用した。サザン解析には、制限酵素処理を施した1.5μgのDNAを用いた。プローブ作製には、PCR DIG probe synthesis kit(Roche)を利用した。DIGラベルされたプローブを作製するために、プライマー
5’-GATAGGTGGATGGGTCGGGTTCTTTTC-3’(配列番号:28)
5’-ACAGGATTGAAGGAATGGGCACAGGTT-3’(配列番号:29)
を利用した。サザン解析は定法に従って行った。
【0046】
1.6 トリプトファン量の測定
トリプトファンを含む遊離アミノ酸を定量するために、イネの葉身をサンプリングし、液体窒素で凍結した。凍結させた試料は、マルチビーズショッカー(安井器械)を用いて粉砕した。粉砕試料約2mgに2%スルホサリチル酸200μLを添加した後、試料をすりつぶし、超音波処理5分を2回行った。0.22μmのフィルターでろ過した抽出液のうち25μLを分析に用いた。各種アミノ酸の定量には生体液分析/ニンヒドリン発色を利用し、アミノ酸分析計(日立、L-8800A)を用いて行った。
【0047】
2.結果
2.1 GTによるOASA2遺伝子の改変個体の獲得
GTによるOASA2遺伝子の改変個体を得るために、GT実験系のデザインを行った。これまでの報告からイネカルスにおいて、改変型OASA1遺伝子を利用した選抜を行う際に300μMの5MTを利用したという報告がある(Yamada et al, 2004)。そこで、空ベクターpPZP2028、ポジティブコントロールベクターOASA2SL-PCまたはOASA2YL-PCを導入したイネカルスを、300-600μMの5MTを含むN6D選抜培地に置床し、33℃明条件下で培養した。その結果、ポジティブコントロールベクターを導入したカルスでは5MT耐性カルスが増殖するのに対し、空ベクターを導入したカルスではカルスが死滅する5MTの濃度条件は500μMが適当であることが明らかになった(図3)。
【0048】
この選抜条件でGTベクターを利用したGT実験を行った。OASA2SL-GT1またはOASA2YL-GT1を用いたGT実験の結果、それぞれ1系統のGTに成功したと思われる個体を獲得することに成功した。以下、OASA2SL-GT1を利用したGT成功個体の獲得について説明する。
3週間培養したイネカルス850個に対し、GT用ベクターOASA2SL-GT1を導入したアグロバクテリウムの感染を行った。除菌後、500μMの5MTを含むN6D培地上で選抜を行ったところ、152系統の5MT耐性カルスを得ることに成功した。それらを再分化培地に置床して培養したところ、25系統の5MT耐性植物体を得ることに成功した。それらについて、CAPSマーカーを利用して再分化植物体に改変型OASA2遺伝子が存在しているかどうかを確認した。その結果、GTに成功したと予想される、もしくはGTベクターがランダム挿入したと予想される個体を1系統獲得することに成功した。
また、得られた個体についてS126FおよびL530D近傍の塩基配列を確認したところ、変異を導入した配列については、野生型と改変型の2種類のピークを確認することができた。得られた個体は大きな形態的な変化は見られず、種子を得ることができた(図5)。
【0049】
2.2 GTによるOASA2遺伝子の改変個体のサザン解析
GTベクターOASA2SL-GT1を用いて得られたT0個体、及びその後代T1個体を用いて、サザン解析を行った。サザン解析の結果、T0個体では6.0kb及び1.5kbのバンドが確認された。このことから、T0個体のOASA2遺伝子は野生型と改変型のヘテロであることが示された。これは上記の塩基配列の結果と一致していた。また、T1個体7系統を用いて同様のサザン解析を行ったところ、系統番号2及び6において、1.5kbのバンドのみが確認された。このことから、今回得られた個体は、内在性OASA2遺伝子を改変することに成功していることが示された。
【0050】
2.3 OASA2SL-GT1を用いて得られた遺伝子ターゲッティング個体におけるトリプトファン量の測定
得られたGT個体の遊離トリプトファン含量を測定したところ、イネ葉身において約8.62nmol/mgの遊離トリプトファンが蓄積していることが明らかとなった。これは、野生型の遊離トリプトファン含量の約130倍であった。また、これは、全アミノ酸の約16%を占めていた。このことから、GTによるOASA2遺伝子の改変によって、トリプトファンの蓄積量を増大させることが可能であると示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)又は(b)に記載のDNAで形質転換された植物体であって、高濃度のトリプトファンを含有する植物体;
(a)配列番号:2又は4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA、
(b)配列番号:1又は3に記載の塩基配列を含むDNA。
【請求項2】
内在性のアントラニル酸合成酵素αサブユニットを含有しない、請求項1に記載の植物体。
【請求項3】
植物が単子葉植物である、請求項2に記載の植物体。
【請求項4】
単子葉植物がイネ科植物である、請求項3に記載の植物体。
【請求項5】
イネ科植物がイネ、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、ソルガム、えん麦、イネ科牧草からなる群より選択される、請求項4に記載の植物体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の植物体から単離された細胞。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の植物体の繁殖材料。
【請求項8】
請求項1から5のいずれかに記載の植物体から単離された器官。
【請求項9】
下記(a)及び(b)の工程を含む、トリプトファンを含有する植物体の製造方法;
(a)遺伝子ターゲティング法により下記(i)又は(ii)に記載のDNA又は該DNAを含むベクターを植物細胞に導入する工程、及び
(b)工程(a)においてDNA又はベクターが導入された植物細胞から植物体を再生する工程、
(i)配列番号:2又は4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA、
(ii)配列番号:1又は3に記載の塩基配列を含むDNA。
【請求項10】
植物が内在性のアントラニル酸合成酵素αサブユニットを含有しない、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
植物が単子葉植物である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
単子葉植物がイネ科植物である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
イネ科植物がイネ、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、ソルガム、えん麦、イネ科牧草からなる群より選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ベクターが配列番号:7から10のいずれかに記載の塩基配列を含むベクターから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
下記(a)及び(b)の工程を含む、植物にトリプトファンを含有させる方法;
(a)遺伝子ターゲティング法により下記(i)又は(ii)に記載のDNA又は該DNAを含むベクターを植物細胞に導入する工程、及び
(b)工程(a)においてDNA又はベクターが導入された植物細胞から植物体を再生する工程、
(i)配列番号:2又は4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA、
(ii)配列番号:1又は3に記載の塩基配列を含むDNA。
【請求項16】
植物が内在性のアントラニル酸合成酵素αサブユニットを含有しない、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
植物が単子葉植物である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
単子葉植物がイネ科植物である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
イネ科植物がイネ、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、ソルガム、えん麦、イネ科牧草からなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ベクターが配列番号:7から10のいずれかに記載の塩基配列を含むベクターから選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
下記(i)又は(ii)に記載のDNA又は該DNAを含むベクターを有効成分として含有する、植物に高濃度のトリプトファンを含有させるための薬剤;
(i)配列番号:2又は4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA、
(ii)配列番号:1又は3に記載の塩基配列を含むDNA。
【請求項22】
配列番号:7から10のいずれかに記載の塩基配列を含むベクターのうち少なくとも1種類を有効成分として含有する、植物に高濃度のトリプトファンを含有させるための薬剤。
【請求項23】
下記(a)及び(b)の工程を含む、トリプトファンの製造方法;
(a)請求項9から20のいずれかに記載の方法で、トリプトファンを含有する植物体を取得する工程、及び
(b)工程(a)で取得された植物体からトリプトファンを回収する工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−51310(P2010−51310A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177959(P2009−177959)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年3月16日、第50回日本植物生理学会年会委員会発行の刊行物「第50回日本植物生理学会年会要旨集」に発表。 平成21年3月17日、http://www.jspp.org/13member/2009youshi/pdf/06.pdfを通じて発表。 平成21年3月17日、http://www.jspp.org/13member/2009suppl/pdf/04_sup_2009.pdfを通じて発表。 平成21年3月21日、日本植物生理学会主催の研究集会「第50回日本植物生理学会年会」において文書をもって発表
【出願人】(501167644)独立行政法人農業生物資源研究所 (200)
【Fターム(参考)】