説明

省電力とコンテキスト表示の表示情報変換システムおよびその装置

【課題】画素自発光表示装置において、画像を表示するための電力消費量を減らすことができる省電力とコンテキスト表示の表示情報変換システムおよびその装置を提供する。
【解決手段】表示情報変換システムは、コンテキスト表示モジュールと、省電力変換モジュールとを含む。コンテキスト表示モジュールは、画像の内容を示す表示情報を受信する。表示情報は、1つまたはそれ以上の要素を含み、各要素は、表示装置によって表示された複数の画素に対応する。また、コンテキスト表示モジュールは、ユーザー閲覧関心に基づいて、1つまたはそれ以上の要素の関連度を決定する。省電力変換モジュールは、表示情報を関連度に基づいて1つまたはそれ以上の要素の単位で変換し、変換された表示情報を表示装置に提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力とコンテキスト表示(context-showing)の表示情報変換システムおよびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(organic light-emitting diode, OLED)ディスプレイは自発光型素子であり、高いコントラスト比、広い視野角および薄型ボディ等の機能を提供する。そのため、近年、多くのディスプレイ製造業者は、OLEDディスプレイの発展に焦点を置いている。
【0003】
OLEDの光強度は電流値に比例するため、OLEDディスプレイの消費電力は、固定電圧で動作している場合、表示画面の内容によって決定される。これは、バックライト(backlight)の強度によって消費電力が決定される薄型トランジスター液晶ディスプレイ(thin film transistor liquid crystal display, TFT-LCD)と異なり、通常、表示される内容に影響されない。例えば、暗い画像を表示している時は電力を消費しないが、明るい画像を表示している時、OLEDディスプレイはTFT-LCDに比べて数倍以上の電力を消費する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在主流のアプリケーション・プログラムのグラフィカル・ユーザー・インターフェース(graphical user interface, GUI)およびウェブページは、明るい背景と暗い前景の色テーマ、例えば、白い背景の上に黒い文字を提供する。全体の画像が高い輝度を表示するため、TFT-LCDの代わりにOLEDディスプレイを使用した場合、より多くの電力が消費される。そのため、表示画像を変換してOLEDディスプレイの電力消費量を減らす技術が必要とされる。
【0005】
図1〜図3は、従来の表示画像変換技術を図示したものである。図1を参照すると、表示画面110は、2つのウィンドウ120および130を含み、ユーザーの焦点はウィンドウ130にある。図2に示した従来の技術によると、ユーザーが焦点を当てているウィンドウはそのまま変えずに、他のウィンドウおよび背景画面を暗くして、電力消費量を減らす。図2に示すように、焦点が置かれているウィンドウ130は変化しないが、他のウィンドウ120および背景画面115は輝度が減少する。
【0006】
図3は、従来の別の表示画像変換技術を示したものである。図3に示すように、表示画面310は、ウィンドウ320と、2つのテキストブロック330および340とを含む。図3に示した従来技術によると、表示画面310は、5つのストライプ状の表示領域351〜355に分割される。ユーザーが見ている最中の表示領域の輝度はそのまま変化しないが、他の表示領域の輝度は、見ている領域からの距離にしたがって減少する。図3に示すように、ユーザーが見ている最中の表示領域353の輝度はそのまま変化しないが、隣接する表示領域352および354はこれより低い輝度で表示され、さらに遠くの表示領域351および355はさらに低い輝度で表示される。この技術によって、OLEDディスプレイの電力消費量を減らすことができるが、表示画面の大部分が見えなくなったり、あるいはほとんど見えない状態になることがあるため、ユーザーにとって不便である。例えば、ウィンドウ320の一部およびテキストブロック340の一部しか元の輝度が維持されず、他の部分は、真っ暗、あるいは真っ暗に近い状態になる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、システムおよび装置が与えられた画像を変換する時に、画像を表示する電力消費量とユーザーにとって見やすい画面のコンテキスト(context)の両方を考慮する表示情報変換システムおよび表示情報変換装置を提供する。
【0008】
本発明は、コンテキスト表示モジュールと、省電力変換モジュールとを含む表示情報変換システムを提供する。コンテキスト表示モジュールは、与えられた画像の内容を表す表示情報を受信する。表示情報は、1つまたはそれ以上の要素(element)を含む。各要素は、表示装置によって表示される複数の画素(pixel)に対応する。コンテキスト表示モジュールは、各要素の少なくとも1つの関連度(relevance)を決定する。関連度を決定するには4つの関連状況があり、それには、2つの要素間の表示距離、ユーザーの閲覧順序の統計結果、いくつかの制御動作に対応する1つまたはそれ以上の要素、表示情報のアプリケーションフロー、または上述した状況の任意の組み合わせが含まれる。省電力変換モジュールは、各要素の少なくとも1つの関連度に基づいて表示情報を変換し、変換後の表示情報を表示装置に提供する。各要素は、表示情報の変換の単位である。変換された表示情報は、与えられた画像を表示するための消費電力を減らすことができる。
【0009】
本発明は、さらに、記憶装置と、プロセッサ(processor)とを含む表示情報変換装置を提供する。記憶装置は、コンテキスト表示モデルおよび省電力変換モデルを記憶する。プロセッサは、与えられた画像の内容を示す表示情報を受信する。表示情報は、1つまたはそれ以上の要素を含む。各要素は、表示装置によって表示される複数の画素に対応する。プロセッサは、コンテキスト表示モデルに基づいて各要素のうち少なくとも1つの関連度を決定し、省電力変換モデルおよび各要素のうちの少なくとも1つの関連度に基づいて表示情報を変換し、変換された表示情報を表示装置に提供する。各要素は、表示情報の変換の単位である。変換された表示情報は、画像を表示するための消費電力を減らすことができる。
【0010】
本発明は、さらに、1つまたはそれ以上の要素を含む表示情報を受信することと、1つまたはそれ以上の要素から少なくとも1つの顕著な要素を選択することと、顕著な要素に基づいて各要素のうち少なくとも1つの関連度を決定することと、各要素のうちの少なくとも1つの関連度に基づいて表示情報を変換することと、変換後の表示情報を表示装置に提供することとから構成された表示情報変換システムを提供する。各要素は、表示装置によって表示される複数の画素に対応し、表示情報の変換の単位である。顕著な要素は、フロー要素(flow element)、焦点要素(focus element)、マークアップ要素(markup element)、重要要素(significant element)、または関心要素(interest element)である。フロー要素は、現時点でアプリケーション・プログラムまたはウェブページのアプリケーションフローに対応または関連している要素である。焦点要素は、表示装置のユーザーによって注視された位置、または入力装置によって指示された位置にある。マークアップ要素は、システム管理者、設計者またはユーザーによって定義された各要素の種類および属性に基づいて設定される。重要要素は、表示情報変換システムによって自動的に設定される。関心要素は、表示情報における各要素の閲覧頻度、クリック頻度、または表示サイズの比率に基づいて設定される。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明の表示情報変換システムおよび表示情報変換装置は、各画素ではなく各要素を表示情報の変換の基本単位とする。そのため、ユーザー閲覧関心の少ない関連度が低い要素のみを暗くする、あるいは小さくすることができる。それによって、電力消費量を減らすだけでなく、画面のコンテキストも考慮することができる。
【0012】
本発明の上記及び他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来の省電力変換方法の概略図である。
【図2】従来の省電力変換方法の概略図である。
【図3】従来の省電力変換方法の概略図である。
【図4】本発明の実施形態に係る表示情報変換システムの概略図である。
【図5】図4の実施形態に係る表示情報変換方法のフローチャートである。
【図6】図4の実施形態に係る表示情報変換方法のフローチャートである。
【図7】図4の実施形態に係る各要素の関連度を示す概略図である。
【図8】図4の実施形態に係る各要素の関連度を示す概略図である。
【図9】図4の実施形態に係る各要素の関連度を示す概略図である。
【図10】図4の実施形態に係る各要素の関連度を示す概略図である。
【図11】図4の実施形態に係る電力消費モデルの概略図である。
【図12】別の実施形態に係る表示情報変換装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の全てではないが、いくつかの実施形態が示される添付の図面を参照して、本発明をさらに充分に説明する。実際、本発明は、多くの異なる形態で実施されてもよく、ここに述べる実施形態に制限されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示内容が適用される法的要件を満足するように提供されるものである。全体を通して、同様の参照番号は、同様の要素を指すものとする。
【0015】
図4は、本発明の第1実施形態に係る表示情報変換システム410の概略図であり、図5は、表示情報変換システム410によって実行された表示情報変換方法のフローチャートである。表示情報変換システム410は、ハードウェアまたはソフトウェア、例えば、プロキシサーバ(proxy server)またはウェブブラウザ(web browser)である。
【0016】
表示情報変換システム410は、コンテキスト表示モジュール411と、電力消費モジュール412と、省電力変換モジュール413とを含む。コンテキスト表示モジュール411、電力消費モジュール412および省電力変換モジュール413は、それぞれハードウェアまたはソフトウェアである。まず、コンテキスト表示モジュール411が表示情報を受信する(ステップ510)。表示情報は、表示装置420によって表示される画像の内容、例えば、ウェブページまたはアプリケーション・プログラムのグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)を示す。表示情報は、1つまたはそれ以上の要素を含み、各要素は、表示装置420によって表示される複数の画素に対応する。各要素は、画像(image)または画像記述子(image descriptor)のセットを含む。画像は、表示装置420によって直接表示される。各画像記述子のセットは、1つまたはそれ以上の画像記述子を含み、各画像記述子は、マークアップ言語(markup language)コードまたはプログラムコードの1つであってもよい。例えば、各画像記述子は、ハイパーテキストマークアップ言語(Hyper Text Markup Language, HTML)の1つ、拡張可能マークアップ言語(Extensible Markup Language, XML)の1つ、または画像を生成するためのコンピュータプログラムコードの1つであってもよい。画像記述子のセットは、表示装置420によって表示される画像を生成するよう表示装置420のハードウェアまたはソフトウェアによって処理される。表示装置420は、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイのような、バックライトを必要としない画素自発光表示装置である。
【0017】
表示情報を受信した後、コンテキスト表示モジュール411が表示情報における各要素のうち少なくとも1つの関連度を決定する(ステップ520)。電力消費モジュール412が表示装置420の電力消費量を計算して、それぞれの要素を表示する(ステップ530)。省電力変換モジュール413が各要素の関連度および電力消費量に基づいて表示情報を変換し(ステップ540)、変換後の表示情報を表示装置420に提供する(ステップ550)。各要素は、表示情報の変換の単位である。変換された表示情報は、画像を表示するための電力消費量を効果的に減らすことができる。つまり、変換された表示情報を表示するための表示装置420の電力消費量は、元の表示情報を表示する電力消費量よりも少ない。
【0018】
図6は、図5のステップ520の詳細なフローチャートである。まず、コンテキスト表示モジュール411が1つまたはそれ以上の要素から少なくとも1つの顕著な要素を選択する(ステップ610)。顕著な要素は、フロー要素、焦点要素、マークアップ要素、重要要素または関心要素である。フロー要素は、現時点でアプリケーション・プログラムまたはウェブページのアプリケーションフローに対応または関連している要素である。アプリケーションフローは、ユーザーがアプリケーション・プログラムを使用する、またはウェブページを閲覧すると予想される順序を指し、アプリケーション・プログラムまたはウェブページの設計者によって特定される。例えば、アプリケーション・プログラムが映画プレーヤーの場合は、映画を見ている間にユーザーがプログレスバー(progress bar)をクリックして、映画を早送りまたは巻き戻しをすると考えられるため、映画を再生するためのプログレスバーまたは全体領域をフロー要素として設定する。ユーザーが特定のウェブニュースのヘッドラインを閲覧している場合は、ユーザーがヘッドラインに関するハイパーリンク(hyperlink)をクリックすると考えられるため、ハイパーリンクをフロー要素として設定する。アプリケーション・プログラムは、フロー要素を特定の種類、属性、またはその両方に設定することができ、それに対応して、コンテキスト表示モジュール411は、要素の種類と属性に基づいてフロー要素を識別することができる。
【0019】
焦点要素は、表示装置420のユーザーによって注視された位置、またはマウス、キーボード、タッチスクリーン等の入力装置によって指示された位置にある要素を指す。マークアップ要素は、表示装置420のユーザー、表示情報変換システム410のシステム管理者、あるいはアプリケーション・プログラムまたはウェブページの設計者が重要とみなした要素である。例えば、マークアップ要素は、ウェブサイトのロゴである。マークアップ要素は、要素の種類や属性に基づいて予め定めることができる。重要要素は、要素に関連する属性に基づいて、またはユーザーの閲覧習慣の統計結果に基づいて、あるいは任意の慣習や先行技術に基づいて、表示情報変換システム410が自動的に重要とみなした要素である。例えば、重要要素は、ウェブページの記事のタイトル、またはボタン等のインターフェース制御要素である。関心要素は、表示情報における各要素の閲覧頻度、クリック頻度または表示サイズの比率に基づいて設定される。例えば、関心要素は、ウェブページにおいてユーザーのクリック頻度が最も多い単語、または特定のしきい値(threshold)よりも大きい表示サイズ比率を有する単語である。
【0020】
次に、コンテキスト表示モジュール411は、ユーザー閲覧関心に対して1つまたはそれ以上の要素のうち少なくとも1つの関連度を決定する。本実施形態において示すように、1つまたはそれ以上の要素の関連度を決定する関連状況は4つあり、以下に詳しく説明する。4つの関連状況は、単独で、または組み合わせて使用される。
【0021】
第1の関連状況は、各要素と顕著な要素の間の表示距離に基づいて、1つまたはそれ以上の要素の関連度を決定することである(ステップ620)。表示距離は、センチメートル等の物理的距離メトリック、または要素数のような相対距離メトリック、または先行文献にある任意のメトリックであってもよい。図7は、ユーザーが閲覧したウェブページ710を図示したものである。要素720、730、740、760および770は、いずれも顕著な要素である。ウェブサイトのロゴ720は、マークアップ要素として分類される。タイトル730および770は、重要要素として分類される。マウスのカーソル750によって指示された要素740は、焦点要素として分類される。要素760は、クリック頻度の多い単語であるため、関心要素として分類される。コンテキスト表示モジュール411は、顕著な要素を関連度のレベルが最も高い要素に設定し、顕著な要素の外側にある1つまたはそれ以上の要素(例えば、要素780)を関連度のレベルが次に高い要素に設定し、さらに外側にある1つまたはそれ以上の要素(例えば、要素790)を関連度のレベルが低い要素に設定する。画面背景715は、関連度のレベルが最も低い要素に設定される。
【0022】
第2の関連状況は、ユーザーの閲覧順序の統計結果に基づいて関連度を決定することである(ステップ630)。図8に示した例では、ユーザーがまず表示領域810の内容を見て、それから表示領域820の内容を見て、最後に表示領域830の内容を見たという統計結果が示されている。この場合、コンテキスト表示モジュール411は、表示領域810、820および830の関連度をそれぞれ最高、中間および最低のレベルに設定する。
【0023】
第3の関連状況は、いくつかの制御動作に対応する表示情報の1つまたはそれ以上の要素に基づいて関連度を決定することである(ステップ640)。図9は、特定のプレゼンテーションソフト(presentation software)のユーザーインターフェースを図示したものである。現在、「再生」と「次の頁」の制御動作が可能であると仮定すると、コンテキスト表示モジュール411は、これらの2つの制御動作に対応する仮想ボタン930および950の関連度を最高レベルに設定し、スライド表示領域920および他の2つの仮想ボタン940および960の関連度を中間レベルに設定し、画面背景915の関連度を最低レベルに設定する。アプリケーション・プログラムが要素の属性に基づいて制御動作に対応する要素を設定することによって、コンテキスト表示モジュール411は、要素を識別することができる。
【0024】
第4の関連状況は、表示情報のアプリケーションフローに基づいて関連度を決定することである(ステップ645)。上述したように、アプリケーションフローは、ユーザーがアプリケーション・プログラムを使用する、またはウェブページを閲覧すると予想される順序を指し、アプリケーション・プログラムまたはウェブページの設計者によって特定される(図10に示す)。矢印1010がウェブページの設計者によって予想された閲覧順序を示す場合、ウェブページの4つの領域1020、1030、1040および1050は、閲覧順序を基礎として関連度が順番に減少するように設定される。
【0025】
上述した関連度を決定するための4つの関連状況は、別々に、または重み付け組み合わせで使用することができる。その後、コンテキスト表示モジュール411が省電力変換モジュール413に関連度を提供する(ステップ650)。
【0026】
省電力変換モジュール413は、顕著な要素を所定の輝度または所定のサイズに設定し、関連度に基づいて他の要素をソートして、ソートされた関連度の順序の基づいて他の要素の輝度またはサイズが減少するように設定する。つまり、輝度またはサイズの減少順序は、全ての要素と最初の顕著な要素で形成される。要素の関連度が低ければ低いほど、輝度が低くなるように、または表示サイズが小さくなるように設定される。
【0027】
電力消費モジュール412は、電力消費量を計算して、表示情報における各要素を表示する。また、省電力変換モジュール413は、要素の関連度および電力消費量に基づいて各要素をどのように変換するか、つまり、要素の輝度やサイズをどのように設定するかを決定する。表示情報の全体の電力消費量は、各要素の電力消費量を足すことによって得られる。表示情報の全体の電力消費量が低い場合、省電力変換モジュール413は、顕著な要素の所定の輝度を表示装置420の最大輝度に設定し、これらの要素の関連度に基づいて他の要素の輝度が減少するように設定する。ユーザーが全ての要素を容易に見ることができるように、各要素の輝度を特定の所定のしきい値よりも低くならないように制限することができる。つまり、変換している間に画面から消える要素は存在しない。逆に、表示情報の全体の電力消費量が高い場合、省電力変換モジュール413は、顕著な要素の所定の輝度を低い輝度に設定して、所定のしきい値よりも関連度の低い要素を完全に真っ暗に、つまり、表示しないように設定する。上述した輝度変換方法は、省電力変換モジュール413が各要素のサイズを変えることによって表示情報を変換する場合にも適用することができる。この技術を通して、表示情報を変換した後の全体の電力消費量を効果的に制御することができ、それによって、消費される電力を減らすことができる。
【0028】
電力消費モジュール412は、表示装置420の電力消費モデルを使用することによって、各要素を表示する電力消費量を計算する。特定のブランドおよびモデルの表示装置は、それぞれ独自の電力消費モデルを有する。電力消費モデルによって提供された情報は、輝度や各種色の様々なレベルを表示する表示装置における単一画素の電力消費量を含む。電力消費モデルは、表示装置の製造業者によって提供された電力消費量データ、または表示装置の実際の電力消費量から得られる。
【0029】
図11は、表示装置420の製造業者によって提供された電流消費曲線を示したものである。表示装置420は、800×480画素の解析度を有し、各画素は、赤、緑、青のサブ画素(sub-pixel)で構成される。図11は、単一色が表示された時の表示装置420の電流消費を示したものである。そのうち、曲線1110、1120および1130は、それぞれ赤サブ画素、緑サブ画素および青サブ画素に対応する電流消費量を示す。曲線1110、1120および1130に対応する電流をそれぞれ800×480で割ることによって、単一画素が任意の色および任意の輝度を表示した時の消費電流量を得ることができる。OLEDディスプレイは固定された画素駆動電圧を有するため、画素の電力消費量は電流に正比例する。つまり、各画素の電力消費量は、そのサブ画素値によって決定される。画面における各画素の電力消費量は、図11の電力消費モデルから得ることができ、各画素の電力消費量は、要素の全ての画素の電力消費量を足すことによって得ることができる。
【0030】
図12は、本発明の第2実施形態に係る表示情報変換装置1210の概略図である。表示情報変換装置1210は、プロセッサ1212と、記憶装置1214とを含む。表示情報変換装置1210、プロセッサ1212および記憶装置1214は、いずれもハードウェアである。記憶装置1214は、コンテキスト表示モデル1215、電力消費モデル1216および省電力変換モデル1217を記憶する。コンテキスト表示モデル1215、電力消費モデル1216および省電力変換モデル1217は、複数のアルゴリズムおよびモデルを含み、それぞれ図4のコンテキスト表示モジュール411、電力消費モジュール412および省電力変換モジュール413に相当する。プロセッサ1212は、これらの3つのモデルを使用することによって、図5〜図9に示した表示情報変換方法を実行し、表示装置1220は、変換された表示情報を表示する。本実施形態の他の詳細および態様は、本発明の第1実施形態で説明したため、ここでは説明を省略する。
【0031】
上述したように、本発明において、表示画像または与えられた画像の変換の原子単位は、画素ではなく表示情報の要素である。そのため、画素自発光表示装置の電力消費量を減らすだけでなく、ユーザーが閲覧しやすい画像のコンテキストも考慮されるため、表示情報の一定のしきい値よりも関連度が高い要素を全て表示することができる。
【0032】
以上のように、本発明の表示情報変換システムおよび表示情報変換装置は、各画素ではなく各要素を表示情報の変換の基本単位とする。そのため、ユーザー閲覧関心の少ない関連度が低い要素のみを暗くする、あるいは小さくすることができる。それによって、電力消費量を減らすだけでなく、画面のコンテキストも考慮することができる。
【0033】
さらに、本出願の範囲は、本明細書で述べたプロセス、装置、製造、組成物、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されない。本発明の開示から当業者が容易に理解するように、本発明に従って、本明細書に示した対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行し、あるいは実質的に同じ結果を達成する現在存在する、あるいは後に開発されるプロセス、装置、製造、組成物、手段、方法またはステップを利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、装置、製造、組成物、手段、方法またはステップを範囲内に含むように意図される。
【符号の説明】
【0034】
110、310、910 表示画面
115、715、915 画面背景
120、130、320 ウィンドウ
330、340 テキストブロック
351〜355、810、820、830、920 表示領域
410 表示情報変換システム
411 コンテキスト表示モジュール
412 電力消費モジュール
413 省電力変換モジュール
420、1220 表示装置
510〜550、610〜650 ステップ
710 ウェブページ
720〜740、760〜790 表示情報要素
750 マウスカーソル
930〜960 仮想ボタン
1010 矢印
1020、1030、1040、1050 ウェブページの領域
1110、1120、1130 電流消費曲線
1210 表示情報変換装置
1212 プロセッサ
1214 記憶装置
1215 コンテキスト表示モデル
1216 電力消費モデル
1217 省電力変換モデル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置によって表示される複数の画素に対応した1つまたはそれ以上の要素を含む表示情報を受信するとともに、前記1つまたはそれ以上の要素のうち少なくとも1つの関連度を決定するコンテキスト表示モジュールと、
前記1つまたはそれ以上の要素のうちの前記少なくとも1つの関連度に基づいて前記表示情報を変換するとともに、前記変換された表示情報を前記表示装置に提供する省電力変換モジュールとを含み、
前記各要素が、前記表示情報の前記変換の単位である表示情報変換システム。
【請求項2】
前記表示装置が、画素自発光表示装置である請求項1記載の表示情報変換システム。
【請求項3】
前記1つまたはそれ以上の要素が、前記表示装置によって直接表示される画像、または前記表示装置によって表示される画像を生成するよう前記表示装置のソフトウェアまたはハードウェアによって処理される画像記述子のセットを含む請求項1記載の表示情報変換システム。
【請求項4】
前記画像記述子のセットが、マークアップ言語コードまたはプログラムコードである少なくとも1つの画像記述子を含む請求項3記載の表示情報変換システム。
【請求項5】
前記コンテキスト表示モジュールが、前記1つまたはそれ以上の要素から少なくとも1つの顕著な要素を選択し、前記顕著な要素が、フロー要素、焦点要素、マークアップ要素、重要要素または関心要素であって、
前記フロー要素が、現時点でアプリケーション・プログラムまたはウェブページのアプリケーションフローに対応または関連している要素であり、
前記焦点要素が、前記表示装置のユーザーによって注視された位置または入力装置によって指示された位置にあり、
前記マークアップ要素が、各要素の種類および属性に基づいて設定され、
前記重要要素が、前記表示情報変換システムによって自動的に設定され、
前記関心要素が、前記表示情報における各要素の閲覧頻度、クリック頻度または表示サイズの比率に基づいて設定される請求項1記載の表示情報変換システム。
【請求項6】
前記1つまたはそれ以上の要素のうちの前記少なくとも1つの関連度が、
前記顕著な要素と各要素の間の表示距離、
閲覧順序の統計結果、
制御動作に対応する前記1つまたはそれ以上の要素、および
前記表示情報のアプリケーションフローの関連状況のうちの少なくとも1つに基づいて決定される請求項5記載の表示情報変換システム。
【請求項7】
前記省電力変換モジュールが、前記顕著な要素を所定の輝度または所定のサイズに設定し、前記少なくとも1つの関連度に基づいて他の要素をソートし、前記ソートされた順序に基づいて前記他の要素の輝度またはサイズが減少するよう設定する請求項5記載の表示情報変換システム。
【請求項8】
各要素を表示するための前記表示装置の電力消費量を計算する電力消費モジュールをさらに含み、前記省電力変換モジュールが、各要素の前記電力消費量に基づいて前記所定の輝度または前記所定のサイズを設定するとともに、各要素の前記電力消費量に基づいて各要素をどのように変換するかを決定する請求項7記載の表示情報変換システム。
【請求項9】
前記電力消費モジュールが、前記表示装置の製造業者によって提供された電力消費量データまたは前記表示装置の実際の電力消費量から得られる電力消費モデルを使用することによって、前記1つまたはそれ以上の要素のそれぞれを表示するための前記表示装置の前記電力消費量を計算する請求項8記載の表示情報変換システム。
【請求項10】
前記変換された表示情報を表示するための前記表示装置の前記電力消費量が、元の表示情報を表示するための前記表示装置の前記電力消費量よりも低い請求項1記載の表示情報変換システム。
【請求項11】
コンテキスト表示モデルおよび省電力変換モデルを記憶する記憶装置と、
表示装置によって表示される複数の画素に対応した1つまたはそれ以上の要素を含む表示情報を受信するとともに、前記コンテキスト表示モデルに基づいて前記1つまたはそれ以上の要素のうち少なくとも1つの関連度を決定し、前記表示情報を前記省電力変換モデルおよび前記1つまたはそれ以上の要素のうちの前記少なくとも1つの関連度に基づいて前記1つまたはそれ以上の要素の単位で変換し、前記変換された表示情報を前記表示装置に提供するプロセッサとを含み、
前記各要素が、前記表示情報の前記変換の単位である表示情報変換装置。
【請求項12】
前記表示装置が、画素自発光表示装置である請求項11記載の表示情報変換装置。
【請求項13】
前記1つまたはそれ以上の要素のうちの少なくとも1つが、前記表示装置によって直接表示される画像、または前記表示装置によって表示される画像を生成するよう前記表示装置のソフトウェアまたはハードウェアによって処理される画像記述子のセットを含む請求項11記載の表示情報変換装置。
【請求項14】
前記画像記述子のセットが、マークアップ言語コードまたはプログラムコードである少なくとも1つの画像記述子を含む請求項13記載の表示情報変換装置。
【請求項15】
前記プロセッサが、前記コンテキスト表示モデルを使用することによって前記1つまたはそれ以上の要素から少なくとも1つの顕著な要素を選択し、前記顕著な要素が、フロー要素、焦点要素、マークアップ要素、重要要素または関心要素であって、
前記フロー要素が、現時点でアプリケーション・プログラムまたはウェブページのアプリケーションフローに対応または関連している要素であり、
前記焦点要素が、前記表示装置のユーザーによって注視された位置または入力装置によって指示された位置にあり、
前記マークアップ要素が、前記1つまたはそれ以上の要素の種類および属性に基づいて設定され、
前記重要要素が、前記表示情報変換システムによって自動的に設定され、
前記関心要素が、前記表示情報における各要素の閲覧頻度、クリック頻度または表示サイズの比率に基づいて設定される請求項11記載の表示情報変換装置。
【請求項16】
前記1つまたはそれ以上の要素のうちの前記少なくとも1つの関連度が、
前記顕著な要素と各要素の間の表示距離、
ユーザーの閲覧順序の統計結果、
制御動作に対応する前記1つまたはそれ以上の要素、および前記表示情報のアプリケーションフローの関連状況のうちの少なくとも1つに基づいて決定される請求項15記載の表示情報変換装置。
【請求項17】
前記プロセッサが、前記省電力変換モデルに基づいて前記顕著な要素を所定の輝度または所定のサイズに設定し、前記少なくとも1つの関連度に基づいて他の要素をソートし、前記ソートされた順序に基づいて前記他の要素の輝度またはサイズが減少するよう設定する請求項16記載の表示情報変換装置。
【請求項18】
前記記憶装置が、電力消費モデルをさらに記憶し、前記プロセッサが、前記電力消費モデルに基づいて前記1つまたはそれ以上の要素のそれぞれを表示するための前記表示装置の電力消費量を計算し、前記省電力変換モデルおよび各要素の前記電力消費量に基づいて前記所定の輝度または前記所定のサイズを設定し、前記省電力変換モデルおよび各要素の前記電力消費量に基づいて各要素をどのように変換するかを決定する請求項17記載の表示情報変換装置。
【請求項19】
前記電力消費モデルが、前記表示装置の製造業者によって提供された電力消費量データまたは前記表示装置の実際の電力消費量から得られる請求項18記載の表示情報変換装置。
【請求項20】
前記変換された表示情報を表示するための前記表示装置の前記電力消費量が、元の表示情報を表示するための前記表示装置の前記電力消費量よりも低い請求項11記載の表示情報変換装置。
【請求項21】
1つまたはそれ以上の要素を含む表示情報を受信することと、前記1つまたはそれ以上の要素から少なくとも1つの顕著な要素を選択することと、前記顕著な要素に基づいて前記1つまたはそれ以上の要素のうち少なくとも1つの関連度を決定することと、前記1つまたはそれ以上の要素のうちの前記少なくとも1つの関連度に基づいて前記表示情報を変換することと、前記変換された表示情報を表示装置に提供することとから構成され、前記各要素が、前記表示装置によって表示された複数の画素に対応するとともに、前記表示情報の前記変換の単位であり、前記顕著な要素が、フロー要素、焦点要素、マークアップ要素、重要要素または関心要素であって、
前記フロー要素が、現時点でアプリケーション・プログラムまたはウェブページのアプリケーションフローに対応または関連している要素であり、
前記焦点要素が、前記表示装置のユーザーによって注視された位置または入力装置によって指示された位置にあり、
前記マークアップ要素が、各要素の種類および属性に基づいて設定され、
前記重要要素が、前記表示情報変換システムによって自動的に設定され、
前記関心要素が、前記表示情報における各要素の閲覧頻度、クリック頻度または表示サイズの比率に基づいて設定される表示情報変換システム。
【請求項22】
前記1つまたはそれ以上の要素のうちの前記関連度が、
前記顕著な要素と各要素の間の表示距離、
ユーザーの閲覧順序の統計結果、
制御動作に対応する前記1つまたはそれ以上の要素、および前記表示情報のアプリケーションフローの関連状況のうちの少なくとも1つに基づいて決定される請求項21記載の表示情報変換システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−154689(P2011−154689A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−13338(P2011−13338)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】