説明

省電力制御方法、局側装置および通信システム

【課題】局側装置の省電力化を適切に図ることが可能な省電力制御方法、局側装置および通信システムを提供する。
【解決手段】1または複数の宅側装置102と、各宅側装置102と共通の通信回線を介して通信信号を送受信するための局側装置101とを備え、各宅側装置102から局側装置101への通信信号が時分割多重される通信システムにおける省電力制御方法であって、各宅側装置102から局側装置101への通信信号のトラフィック量を示すトラフィック情報を取得するステップと、取得したトラフィック情報に基づいて、各宅側装置102から送信される通信信号の受信動作を停止するスリープ状態への遷移が局側装置101において可能か否かを判断するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力制御方法、局側装置および通信システムに関し、特に、局側装置の省電力化を図る省電力制御方法、局側装置および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットが広く普及しており、利用者は世界各地で運営されているサイトの様々な情報にアクセスし、その情報を入手することが可能である。これに伴って、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)およびFTTH(Fiber To The Home)等のブロードバンドアクセスが可能な装置も急速に普及してきている。
【0003】
IEEE Std 802.3ah(登録商標)−2004(非特許文献1)には、複数の宅側装置(ONU:Optical Network Unit)が光通信回線を共有して局側装置(OLT:Optical Line Terminal)とのデータ伝送を行なう媒体共有形通信である受動的光ネットワーク(PON:Passive Optical Network)の1つの方式が開示されている。すなわち、PONを通過するユーザ情報およびPONを管理運用するための制御情報を含め、すべての情報がイーサネット(登録商標)フレームの形式で通信されるEPON(Ethernet(登録商標) PON)と、EPONのアクセス制御プロトコル(MPCP(Multi-Point Control Protocol))およびOAM(Operations Administration and Maintenance)プロトコルとが規定されている。局側装置と宅側装置との間でMPCPフレームをやりとりすることによって、宅側装置の加入、離脱、および上りアクセス多重制御などが行なわれる。また、非特許文献1では、MPCPメッセージによる、新規宅側装置の登録方法、帯域割り当て要求を示すレポート、および送信指示を示すゲートについて記載されている。
【0004】
なお、1ギガビット/秒の通信速度を実現するEPONであるGE−PON(Giga Bit Ethernet(登録商標) Passive Optical Network)の次世代の技術として、IEEE802.3av(登録商標)−2009として標準化が行なわれた10G−EPONすなわち通信速度が10ギガビット/秒相当のEPONにおいても、アクセス制御プロトコルはMPCPが前提となっている。
【0005】
PONシステムにおいて省電力化を図る方法の一例として、たとえば、特開2010―114830号公報(特許文献1)には、以下のような構成が開示されている。すなわち、局側装置と複数の宅側装置との間で光分岐器を介して光通信を行なうPONシステムにおいて、上記局側装置の送信部は、各宅側装置に順次送信するユーザフレームを蓄積する下りバッファ部と、省電力モード制御部とを有する。上記省電力モード制御部は、上記下りバッファ部の中の送信するユーザフレームが空の宅側装置に対して、当該宅側装置に上り帯域割り当て用制御フレームを送信してから他の宅側装置に順次送信して当該宅側装置に上り帯域割り当て用制御フレームを送信するまでの一巡時間よりも短い時間に設定されている省電力モード時間を記述した省電力モード設定フレームを送信する。上記宅側装置のPON受信部は、上記局側装置から受信した自局宛のフレームを解析するフレーム解析部を有する。上記フレーム解析部は、上記省電力モード設定フレームを受信した場合には、その省電力モード設定フレーム内に記述された省電力モード時間にわたって当該PON受信部を省電力モードに設定する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】IEEE Std 802.3ah(登録商標)-2004
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010―114830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のPONシステムでは、宅側装置の省電力化を図ることが可能である。しかしながら、局側装置については、各宅側装置からの上りフレームを受信する必要があるため、宅側装置のように省電力化を図ることは困難である。
【0009】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、局側装置の省電力化を適切に図ることが可能な省電力制御方法、局側装置および通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる省電力制御方法は、1または複数の宅側装置と、各上記宅側装置と共通の通信回線を介して通信信号を送受信するための局側装置とを備え、上記各宅側装置から上記局側装置への上記通信信号が時分割多重される通信システムにおける省電力制御方法であって、上記各宅側装置から上記局側装置への上記通信信号のトラフィック量を示すトラフィック情報を取得するステップと、取得した上記トラフィック情報に基づいて、上記各宅側装置から送信される上記通信信号の受信動作を停止するスリープ状態への遷移が上記局側装置において可能か否かを判断するステップとを含む。
【0011】
このような構成により、トラフィック量に基づいてスリープ状態への遷移を適切に判断し、局側装置における通信信号受信用の回路の動作を停止することにより、局側装置の消費電力を低減することができる。したがって、局側装置の省電力化を適切に図ることができる。
【0012】
好ましくは、上記省電力制御方法は、さらに、上記スリープ状態へ遷移可能であると判断した場合に、上記局側装置が上記スリープ状態へ遷移できるように、上記各宅側装置から上記局側装置への上記通信信号の送信を制御するステップを含む。
【0013】
このような構成により、各宅側装置からの上りトラフィックの存在しない期間を長くする制御が可能となるため、局側装置における省電力効果をさらに高めることができる。
【0014】
より好ましくは、上記通信信号の送信を制御するステップにおいては、上記各宅側装置から上記局側装置への上記通信信号の送信が所定間隔以内で行なわれるように上記各宅側装置を制御する。
【0015】
このような構成により、各宅側装置から通信信号が到着するタイミングを集中させ、当該通信信号が到着しない期間をできるだけ長くすることができるため、局側装置は、スリープ期間として十分な期間を確保することができ、省電力効果を高めることができる。
【0016】
より好ましくは、上記通信信号の送信を制御するステップにおいては、上記通信回線における帯域の上記各宅側装置への割り当てを停止し、上記省電力制御方法は、さらに、上記局側装置が、上記割り当ての停止により上記各宅側装置から上記局側装置へ上記通信信号が到着しなくなる期間において上記スリープ状態となるステップを含む。
【0017】
このような構成により、各宅側装置から通信信号が到着しない期間を確実に設けることができるため、局側装置は、スリープ期間を確実に確保することができ、省電力効果を高めることができる。
【0018】
好ましくは、上記局側装置は、上記各宅側装置からの上記通信回線における帯域の割り当て要求の受信期間、および予定された上記各宅側装置からの上記通信信号の受信期間を含む割り当て周期を繰り返し、上記省電力制御方法は、さらに、上記局側装置が、上記通信信号の受信期間において、上記予定された上記通信信号の受信を完了した後に上記スリープ状態へ遷移するステップを含む。
【0019】
ある割り当て周期において各宅側装置からの通信信号をすべて受信した後、次の割り当て周期が始まるまでの期間は各宅側装置から通信信号が到着しない。この期間をスリープ期間とする構成により、局側装置は、通常の割り当て周期を繰り返す動作においてスリープ期間として十分な期間を確保することができるため、省電力効果を高めることができる。
【0020】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる局側装置は、1または複数の宅側装置と、各上記宅側装置と共通の通信回線を介して通信信号を送受信するための局側装置とを備え、上記各宅側装置から上記局側装置への上記通信信号が時分割多重される通信システムにおける上記局側装置であって、上記各宅側装置から上記局側装置への上記通信信号のトラフィック量を示すトラフィック情報を取得するためのトラフィック情報取得部と、上記トラフィック情報取得部によって取得された上記トラフィック情報に基づいて、上記各宅側装置から送信される上記通信信号の受信動作を停止するスリープ状態への遷移が上記局側装置において可能か否かを判断するためのスリープ制御部とを備える。
【0021】
このような構成により、トラフィック量に基づいてスリープ状態への遷移を適切に判断し、局側装置における通信信号受信用の回路の動作を停止することにより、局側装置の消費電力を低減することができる。したがって、局側装置の省電力化を適切に図ることができる。
【0022】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる通信システムは、1または複数の宅側装置と、各上記宅側装置と共通の通信回線を介して通信信号を送受信するための局側装置とを備え、上記各宅側装置から上記局側装置への上記通信信号が時分割多重される通信システムであって、上記各宅側装置から上記局側装置への上記通信信号のトラフィック量を示すトラフィック情報を取得するためのトラフィック情報取得部と、上記トラフィック情報取得部によって取得された上記トラフィック情報に基づいて、上記各宅側装置から送信される上記通信信号の受信動作を停止するスリープ状態への遷移が上記局側装置において可能か否かを判断するためのスリープ制御部とを備える。
【0023】
このような構成により、トラフィック量に基づいてスリープ状態への遷移を適切に判断し、局側装置における通信信号受信用の回路の動作を停止することにより、局側装置の消費電力を低減することができる。したがって、局側装置の省電力化を適切に図ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、局側装置の省電力化を適切に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係るPONシステムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る局側装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る局側装置における上りフレーム受信部の一部の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るPONシステムにおける局側装置が省電力処理を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る局側装置におけるDBA処理部が省電力処理を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る局側装置におけるDBA処理部がスリープ状態への遷移可否を判断する方法の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るPONシステムにおける局側装置および宅側装置間のデータの流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態に係るPONシステムの構成を示す図である。
【0028】
図1を参照して、PONシステム201は、たとえば10G−EPONであり、ONU102A,102B,102C,102Dと、局側装置101と、スプリッタSP1,SP2とを備える。ONU102A,102B,102Cと局側装置101とは、スプリッタSP1およびSP2ならびに光ファイバOPTFを介して接続され、互いに光信号を送受信する。ONU102Dと局側装置101とは、スプリッタSP2および光ファイバOPTFを介して接続され、互いに光信号を送受信する。PONシステム201では、ONU102A,102B,102C,102Dから局側装置101への光信号が時分割多重される。
【0029】
ここで、ONUから上位ネットワークへの方向を上り方向と称し、上位ネットワークからONUへの方向を下り方向と称する。
【0030】
図2は、本発明の実施の形態に係る局側装置の構成を示すブロック図である。
【0031】
図2を参照して、局側装置101は、PONトランシーバ11と、上り受信処理部12と、上りバッファメモリ13と、上り送信処理部14と、SNIトランシーバ15と、下り受信処理部16と、下りバッファメモリ17と、下り送信処理部18と、DBA(Dynamic Bandwidth Allocation)処理部(トラフィック情報取得部およびスリープ制御部)19と、制御部20と、トランシーバ受信制御部21とを備える。PONトランシーバ11は、受信部31と、送信部32とを含む。SNIトランシーバ15は、送信部33と、受信部34とを含む。
【0032】
局側装置101において、PONトランシーバ11は、PON線路の親局側起点として、PON回線である光ファイバOPTFと接続される。PONトランシーバ11における受信部31は、光ファイバOPTFを介して各ONU102と双方向通信が行なえるように、特定の波長、たとえば1310nm帯の上り光信号を光ファイバOPTFから受信し、電気信号に変換して上り受信処理部12に出力する。また、PONトランシーバ11における送信部32は、下り送信処理部18から受けた電気信号を別波長の下り光信号に変換して光ファイバOPTFへ出力する。たとえば、PONトランシーバ11は、下り送信処理部18から受けた10Gbpsの電気信号を1570nm帯の下り光信号に変換して各ONU102へ送信する。
【0033】
上り受信処理部12は、PONトランシーバ11から受けた電気信号からフレームを再構成するとともに、フレームの種別に応じてDBA処理部19、制御部20または上りバッファメモリ13にフレームを振り分ける。具体的には、データフレームを上りバッファメモリ13へ出力し、制御フレームをDBA処理部19および制御部20に出力する。
【0034】
上りバッファメモリ13は、上り受信処理部12から受けたデータフレームを蓄積する。
【0035】
上り送信処理部14は、上りバッファメモリ13からデータフレームを取り出して所定の信号処理を行ない、処理後のフレームをSNIトランシーバ15へ出力する。
【0036】
SNIトランシーバ15における送信部33は、上り送信処理部14から受けたフレームを上位ネットワークへ送信する。
【0037】
SNIトランシーバ15における受信部34は、上位ネットワークから受信したフレームを下り受信処理部16へ出力する。
【0038】
下り受信処理部16は、SNIトランシーバ15から受けたフレームに所定の信号処理を行ない、処理後のフレームをデータフレームとして下りバッファメモリ17へ出力する。
【0039】
DBA処理部19および制御部20は、各種制御情報を示す制御フレームを生成し、下り送信処理部18へ出力する。
【0040】
下り送信処理部18は、下りバッファメモリ17からデータフレームを取り出し、物理層の電気信号に変換してPONトランシーバ11へ出力する。また、下り送信処理部18は、DBA処理部19および制御部20から受けた制御フレームを物理層の電気信号に変換してPONトランシーバ11へ出力する。
【0041】
DBA処理部19および制御部20は、PON回線およびONU102を運営管理するためのMPCPフレームおよびOAMフレーム等の制御フレームを生成し、下り送信処理部18を介してONU102へ送信する。また、DBA処理部19および制御部20は、ONU102から送信されるMPCPフレームおよびOAMフレーム等の制御フレームを上り受信処理部12を介して受信し、対応する処理を行なう。
【0042】
具体的には、DBA処理部19および制御部20は、MPCPおよびOAMなど、PON回線の制御および管理に関する局側処理を行なう。すなわち、PON回線に接続されている各ONUとMPCPメッセージおよびOAMメッセージをやりとりすることによって、ONUの登録、離脱および帯域割り当てを含めた上りアクセス制御、下りアクセス制御、ならびにONUへのスリープ指示を含めたONUの運用管理などを行なう。
【0043】
たとえば、DBA処理部19は、各ONU102から受けたPON回線における上り帯域の割り当て要求に基づいて、PON回線における上り帯域を各ONU102に割り当てる。具体的には、DBA処理部19は、ONU102から受けたPON回線における帯域の割り当て要求を示すレポートフレームに基づいて、PON回線における帯域をONU102に割り当てる、すなわちグラントを記したゲートフレームをONU102へ送る。
【0044】
DBA処理部19は、各ONU102からのPON回線における帯域の割り当て要求の受信期間、および予定された各ONU102からの上りフレームの受信期間を含む割り当て周期すなわちDBAサイクルを繰り返す。ここで、DBA処理部19は、たとえば、予定された各ONU102からの上りフレームの受信期間において、上記帯域の割り当て量の演算を行なう。
【0045】
制御部20は、DBA処理部19から受けた情報に基づいて、トランシーバ受信制御部21を制御することにより、スリープ命令を示す制御信号をPONトランシーバ11における受信部31および上り受信処理部12へ出力する。また、制御部20は、DBA処理部19から受けた情報に基づいて、トランシーバ受信制御部21を制御することにより、起床命令を示す制御信号をPONトランシーバ11における受信部31および上り受信処理部12へ出力する。
【0046】
図3は、本発明の実施の形態に係る局側装置における上りフレーム受信部の一部の構成を示す図である。
【0047】
図3を参照して、上り受信処理部12は、CDR(Clock and Data Recovery)41と、デシリアライザ42と、MAC処理部43とを含む。
【0048】
上り方向において、CDR41は、PONトランシーバ11から受けた電気信号のリシェーピングを行なうとともに、当該電気信号からタイミングを抽出し、抽出したタイミングに基づいて電気信号のリタイミングを行なうことにより、ONU102との同期を確立する。
【0049】
デシリアライザ42は、CDR41から受けたシリアルの電気信号をパラレルの電気信号に変換し、MAC処理部43へ出力する。
【0050】
MAC処理部43は、デシリアライザ42から受けた電気信号に対してMAC(Media Access Control)層の所定の処理を行なうことにより、フレームを再構成する。
【0051】
下り方向において、MAC処理部43は、下り送信処理部18から受けたフレームに対してMAC層の所定の処理を行なうことにより、パラレルの物理層の電気信号に変換する。
【0052】
シリアライザ44は、MAC処理部43から受けたパラレルの電気信号をシリアルの電気信号に変換し、PONトランシーバ11へ出力する。
【0053】
また、PONトランシーバ11における受信部31は、トランシーバ受信制御部21からスリープ命令を示す制御信号を受けると動作を停止する。また、PONトランシーバ11における受信部31は、トランシーバ受信制御部21から起床命令を示す制御信号を受けると動作を再開する。なお、CDR41およびデシリアライザ42も、トランシーバ受信制御部21からスリープ命令を示す制御信号を受けると動作を停止し、また、トランシーバ受信制御部21から起床命令を示す制御信号を受けると動作を再開する構成であってもよい。
【0054】
[動作]
次に、本発明の実施の形態に係るPONシステムが省電力制御を行なう際の動作について図面を用いて説明する。
【0055】
DBA処理部19は、各ONU102から局側装置101への上りフレームのトラフィック量を示すトラフィック情報を取得する。
【0056】
DBA処理部19は、取得したトラフィック情報に基づいて、各ONU102から送信される上りフレームの受信動作を停止するスリープ状態への遷移が局側装置101において可能か否かを判断する。
【0057】
そして、DBA処理部19は、スリープ状態へ遷移可能であると判断した場合に、局側装置101がスリープ状態へ遷移できるように、各ONU102から局側装置101への上りフレームの送信を制御する。
【0058】
図4は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおける局側装置が省電力処理を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0059】
図4を参照して、まず、あるDBAサイクルにおいて、局側装置101は、各ONU102からレポートフレーム1を受信する(ステップS1)。
【0060】
次に、局側装置101は、各ONU102から受信したレポートフレーム1に基づいて、各ONU102からの帯域要求の総量を演算し(ステップS2)、自己がスリープ状態へ遷移可能か否かを判断する(ステップS3)。
【0061】
局側装置101は、たとえば各ONU102からの帯域要求の総量が所定値以上であることから、次回のDBAサイクルではスリープ状態へ遷移できないと判断する(ステップS3でNO)。
【0062】
そして、局側装置101は、次回のDBAサイクルではスリープ状態へ遷移できないことから、通常通り、各ONU102の上りフレームの送信タイミングおよび送信可能時間を演算する(ステップS13)。
【0063】
次に、局側装置101は、演算結果を示すゲートフレームを各ONU102へ送信する(ステップS14)。
【0064】
また、上記各動作と並行して、局側装置101は、各ONU102から送信された上りフレームを受信する。この上りフレームは、前回のDBAサイクルにおいて局側装置101が送信したゲートフレームの示すグラントに従って各ONU102が送信したフレームである。そして、局側装置101は、次のDBAサイクルにおいて、各ONU202からレポートフレームを再び受信する(ステップS1)。
【0065】
一方、局側装置101は、たとえば各ONU102からの帯域要求の総量が所定値未満であることから、次回のDBAサイクルにおいて自己のスリープ状態への遷移が可能であると判断した場合には(ステップS3でYES)、たとえば、スリープ状態へ遷移できるように、すなわちスリープ期間を確保できるように、各ONU102から局側装置101への上りフレームの送信を制御する。すなわち、局側装置101は、スリープ状態へ遷移できるように、各ONU102の上りフレームの送信タイミングおよび送信可能時間を演算する(ステップS4)。
【0066】
たとえば、局側装置101は、各ONU102から局側装置101への上りフレームの送信が所定間隔以内で行なわれるように各ONU102を制御する。
【0067】
より詳細には、局側装置101は、ONU102から局側装置101への上りトラフィックが存在しない無割当期間を延ばすために、各ONU102に対するグラント時間すなわち上りフレームの送信許可期間を連続させる。これにより、各ONU102からの上りフレームの到着タイミングを時間的に集中させる。
【0068】
なお、局側装置101は、次回のDBAサイクルにおいてスリープ期間が確保されていることを確認すればよく、各ONU102の上りフレームの送信を制御しなくても、スリープ状態へ遷移することは可能である。
【0069】
次に、局側装置101は、演算結果を示すゲートフレーム1を各ONU102へ送信する(ステップS5)。
【0070】
また、上記各動作と並行して、局側装置101は、各ONU102から送信された上りフレーム0を受信する。上りフレーム0は、局側装置101が前回のDBAサイクルにおいて送信したゲートフレーム1の前に送信したゲートフレームが示すグラントに従って、各ONU102が送信したフレームである。
【0071】
次のDBAサイクルにおいて、局側装置101は、各ONU102から送信されたレポートフレーム2を受信する(ステップS6)。
【0072】
次に、局側装置101は、各ONU102から受信したレポートフレーム2に基づいて、各ONU102からの帯域要求の総量を演算する(ステップS7)。
【0073】
局側装置101は、たとえば各ONU102からの帯域要求の総量が所定値以上であることから、次回のDBAサイクルではスリープ状態へ遷移できないと判断する(ステップS8)。なお、これは一例であり、局側装置101が、複数回のDBAサイクルにおいて連続してスリープ状態へ遷移してもよい。
【0074】
そして、局側装置101は、次回のDBAサイクルではスリープ状態へ遷移できないことから、通常通り、各ONU102の上りフレームの送信タイミングおよび送信可能時間を演算する(ステップS9)。
【0075】
次に、局側装置101は、演算結果を示すゲートフレーム2を各ONU102へ送信する(ステップS10)。
【0076】
また、上記各動作と並行して、局側装置101は、各ONU102から送信された上りフレーム1を受信する。上りフレーム1は、ゲートフレーム1が示すグラントに従って各ONU102が送信したフレームであり、各ONU102からたとえば所定間隔以内で連続的に送信されるフレームである。
【0077】
次に、局側装置101は、上りフレームの受信期間において、予定された上りフレームの受信を完了した後にスリープ状態への遷移制御を行なう。より詳細には、制御部20は、ゲートフレーム1に対応するフレームがすべて受信されると、スリープ命令をPONトランシーバ11における受信部31および上り受信処理部12に与える。これにより、PONトランシーバ11における受信部31および上り受信処理部12の動作が停止し、局側装置101はスリープ状態へ遷移する(ステップS11)。
【0078】
なお、局側装置101は、上記のようにスリープ状態への遷移タイミングを判断する際、上りフレームを監視する必要はない。すなわち、局側装置101は、各ONU102から上りフレームが到着する時刻を把握しているため、タイマ等を使用して、設定された時刻すなわち各ONU102からの上りフレームの受信を完了する時刻になるとスリープ命令を与えることが可能である。
【0079】
次に、局側装置101は、次回のDBAサイクルの開始タイミングから所定時間前のタイミングにおいて、起床命令をPONトランシーバ11における受信部31および上り受信処理部12に与える。これにより、PONトランシーバ11における受信部31および上り受信処理部12の動作が再開し、局側装置101はスリープ状態から復帰する(ステップS12)。
【0080】
図5は、本発明の実施の形態に係る局側装置におけるDBA処理部が省電力処理を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。図5は、1つのDBAサイクルにおける処理を示している。
【0081】
図5を参照して、まず、DBA処理部19は、各ONU102からレポートフレームが局側装置101に到着すると(ステップS21)、これらのレポートフレームに基づいて、各ONU102からの帯域要求の総量を演算し、局側装置101がスリープ状態へ遷移可能か否かを判断する(ステップS22)。
【0082】
次に、DBA処理部19は、各ONU102からの帯域要求の総量が所定のスリープ閾値以上である場合には(ステップS22でNO)、次回のDBAサイクルでは局側装置101はスリープ状態へ遷移できないと判断し、通常通りの帯域割り当て演算を実施する(ステップS26)。
【0083】
次に、DBA処理部19は、帯域割り当て演算の結果を示すゲートフレームを各ONU102へ送信し(ステップS25)、各ONU102から新たに到着するレポートフレームの処理を行なう。
【0084】
一方、DBA処理部19は、各ONU102からの帯域要求の総量がスリープ閾値未満である場合には(ステップS22でYES)、次回のDBAサイクルにおいて局側装置101はスリープ状態への遷移が可能であると判断し、スリープ期間を確保できるような帯域割り当て演算を実施する(ステップS23)。
【0085】
次に、DBA処理部19は、演算結果に基づいて、スリープ時刻および起床時刻を制御部20に設定する(ステップS24)。制御部20は、トランシーバ受信制御部21を制御することにより、DBA処理部19から設定されたスリープ時刻においてスリープ命令を示す制御信号を出力し、また、DBA処理部19から設定された起床時刻において起床命令を示す制御信号を出力する。
【0086】
次に、DBA処理部19は、帯域割り当て演算の結果を示すゲートフレームを各ONU102へ送信し(ステップS25)、各ONU102から新たに到着するレポートフレームの処理を行なう。
【0087】
なお、局側装置101がスリープ期間を確保できるように各ONU102から局側装置101への上りフレームの送信を制御する(ステップS23)方法としては、たとえば以下のような方法も考えられる。すなわち、DBA処理部19は、1つのDBAサイクルだけでは局側装置101がスリープ状態へ遷移できないが、2つ以上のDBAサイクルを用いて各ONU102に上り帯域を割り当てればスリープ状態へ遷移可能となる場合には、2つ以上のDBAサイクルを用いた帯域割り当てを行ない、局側装置101をスリープ状態へ遷移させてもよい。
【0088】
また、DBA処理部19は、1つのDBAサイクルだけでは局側装置101がスリープ状態へ遷移できないが、DBAサイクルを延長すれば遷移可能となる場合には、DBAサイクルを延長して帯域割り当てを行ない、局側装置101をスリープ状態へ遷移させてもよい。
【0089】
また、DBA処理部19は、あるDBAサイクルの帯域割り当てを見送り、当該DBAサイクルにおいて局側装置101をスリープ状態へ遷移させ、以降のDBAサイクルにおいて改めて帯域割り当てを行ってもよい。この場合、DBA処理部19は、PON回線における帯域の各ONU102への割り当てを停止する。そして、制御部20は、当該割り当ての停止により各ONU102から局側装置101へ上りフレームが到着しなくなる期間においてスリープ状態への遷移制御を行なう。
【0090】
図6は、本発明の実施の形態に係る局側装置におけるDBA処理部がスリープ状態への遷移可否を判断する方法の一例を示す図である。
【0091】
図6を参照して、TDBAはDBAサイクルの長さであり、TRPは局側装置101が各ONU102からレポートを受信するための時間であり、TDATは局側装置101が各ONU102からのフレームを受信可能な最大時間である。
【0092】
DBA処理部19は、各ONU102に割り当てる上り帯域の合計tdを演算した場合において、(TDAT−td)が、局側装置101がスリープ状態へ遷移するための準備時間Tslinおよびスリープ状態から通常状態へ復帰するための準備時間Tsloutの和より大きい場合には、局側装置101のスリープ状態への遷移が可能であると判断する。
【0093】
すなわち、DBA処理部19は、(TDAT−td)>(Tslin+Tslout)の場合にはスリープ状態への遷移が局側装置101において可能であると判断し、(TDAT−td)≦(Tslin+Tslout)の場合にはスリープ状態への遷移が局側装置101において不可であると判断する。
【0094】
ここで、たとえば、TDBAは500μ秒であり、(Tslin+Tslout)は数十μ秒である。
【0095】
上り帯域の合計tdが小さくなるケースとしては、局側装置101に接続された各ONU102からのレポート量が少ない場合、およびユーザの契約するサービス種別等による帯域制御のために局側装置101からのグラント量が少ない場合が考えられる。このような場合には、ONU102から局側装置101への上りトラフィックが存在しない、無割当期間が発生する。
【0096】
この無割当期間が、局側装置101においてスリープ期間を確保するのに必要な時間よりも長い場合には、当該無割当期間中、局側装置101の上りフレーム受信部を省電力動作させることができる。
【0097】
なお、上りフレーム受信部のうち、動作を停止させる具体的な箇所としては、光トランシーバすなわちPONトランシーバ11の受信部31が考えられる。また、ロック時間が十分短い場合には、PONトランシーバ11に接続されるCDR41およびデシリアライザ42をスリープさせることも可能である。
【0098】
図7は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおける局側装置および宅側装置間のデータの流れの一例を示す図である。ここでは、局側装置に3つのONU1〜3が接続される場合について説明する。
【0099】
図7を参照して、DBAサイクル1において、局側装置101は、ONU1〜3から受信したレポートフレーム1に基づいて、ONU1〜3からの帯域要求の総量を演算し、演算結果から、DBAサイクル2においてスリープ状態へ遷移可能であると判断する。
【0100】
そして、局側装置101は、スリープ状態へ遷移できるように、すなわちスリープ期間を確保できるように、ONU1〜3の上りフレームの送信タイミングおよび送信可能時間を演算し、演算結果を示すゲートフレーム1をONU1〜3へ送信する(タイミングta)。なお、ゲートフレーム1の送信タイミングは、次回のDBAサイクルにおいて各ONUがレポートフレームを送信することが可能なタイミングであればよい。
【0101】
また、局側装置101は、ONU1〜3から送信された上りフレーム0を受信する。この上りフレーム0は、局側装置101がDBAサイクル1の1つ前のサイクルにおいて送信したゲートフレームが示すグラントに従って、ONU1〜3が送信したフレームである。
【0102】
そして、次のDBAサイクル2において、DBA処理部19は、ONU1〜3から受信したレポートフレーム2に基づいて、ONU1〜3からの帯域要求の総量を演算し、演算結果から、局側装置101はDBAサイクル3においてスリープ状態へ遷移できないと判断する。
【0103】
そして、局側装置101は、通常通り、ONU1〜3の上りフレームの送信タイミングおよび送信可能時間を演算し、演算結果を示すゲートフレーム2をONU1〜3へ送信する(タイミングtb)。なお、ゲートフレーム2の送信タイミングは、次回のDBAサイクルにおいて各ONUがレポートフレームを送信することが可能なタイミングであればよい。
【0104】
また、局側装置101は、ONU1およびONU3から送信された上りフレーム1を受信する。この上りフレーム1は、ゲートフレーム1が示すグラントに従ってONU1およびONU3が送信したフレームであり、ONU1〜3から連続的に送信されるフレームである。
【0105】
次に、局側装置101は、ゲートフレーム1に対応するフレームをすべて受信すると、スリープ状態へ遷移する(タイミングtc)。
【0106】
次に、制御部20は、次のDBAサイクル3の開始タイミングteから所定時間前のタイミングtdにおいて、スリープ状態からの復帰動作を開始し、タイミングteまでに通常状態に復帰する。
【0107】
ところで、PONシステムにおける局側装置については、各宅側装置からの上りフレームを受信する必要があるため、宅側装置のように省電力化を図ることは困難である。すなわち、接続されている各ONU102からの上りフレームを局側装置がもれなく受信するためには、上りフレーム受信部を省電力動作させることができない。このため、既存のPONシステムでは、局側装置は、ONUとの間で通信トラフィックが無い場合であっても、すべての回路を通常動作させている。
【0108】
これに対して、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、DBA処理部19は、各ONU102から局側装置101への上りフレームのトラフィック量を示すトラフィック情報を取得する。そして、制御部20は、DBA処理部19によって取得されたトラフィック情報に基づいて、各ONU102から送信される上りフレームの受信動作を停止するスリープ状態への遷移が局側装置101において可能か否かを判断する。
【0109】
たとえば、局側装置において、上りトラフィックの負荷が存在しない、あるいは負荷が非常に小さい場合には、省電力動作が可能であると判断する。
【0110】
このような構成により、トラフィック量に基づいてスリープ状態への遷移を適切に判断し、局側装置101における上りフレーム受信用の回路の動作を停止することにより、局側装置101の消費電力を低減することができる。したがって、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、局側装置の省電力化を適切に図ることができる。
【0111】
また、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、DBA処理部19は、制御部20がスリープ状態へ遷移可能であると判断した場合に、局側装置101がスリープ状態へ遷移できるように、各ONU102から局側装置101への上りフレームの送信を制御する。
【0112】
このような構成により、各ONU102からの上りトラフィックの存在しない期間を長くする制御が可能となるため、局側装置101における省電力効果をさらに高めることができる。
【0113】
また、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、DBA処理部19は、各ONU102から局側装置101への上りフレームの送信が所定間隔以内で行なわれるように各ONU102を制御する。
【0114】
このような構成により、各ONU102から上りフレームが到着するタイミングを集中させ、当該上りフレームが到着しない期間をできるだけ長くすることができるため、局側装置101は、スリープ期間として十分な期間を確保することができ、省電力効果を高めることができる。
【0115】
また、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、DBA処理部19は、PON回線における帯域の各ONU102への割り当てを停止する。そして、制御部20は、当該割り当ての停止により各ONU102から局側装置101へ上りフレームが到着しなくなる期間においてスリープ状態への遷移制御を行なう。
【0116】
このような構成により、各ONU102から上りフレームが到着しない期間を確実に設けることができるため、局側装置101は、スリープ期間を確実に確保することができ、省電力効果を高めることができる。
【0117】
また、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、DBA処理部19は、各ONU102からのPON回線における帯域の割り当て要求の受信期間、および予定された各ONU102からの上りフレームの受信期間を含む割り当て周期すなわちDBAサイクルを繰り返す。そして、制御部20は、上りフレームの受信期間において、予定された上りフレームの受信を完了した後にスリープ状態への遷移制御を行なう。
【0118】
あるDBAサイクルにおいて各ONU102からの上りフレームをすべて受信した後、次のDBAサイクルが始まるまでの期間は各ONU102から上りフレームが到着しない。この期間をスリープ期間とする構成により、局側装置101は、通常のDBAサイクルを繰り返す動作においてスリープ期間として十分な期間を確保することができるため、省電力効果を高めることができる。
【0119】
なお、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、局側装置101が、DBAサイクルにおいて、各ONU102からの帯域割り当て要求に基づき、まとめて帯域割り当てを行なう集中型DBA方式を採用する構成であるとしたが、これに限定するものではない。DBAサイクルを設けずに、局側装置101が、各ONU102からの帯域割り当て要求に対してその都度帯域割り当てを行なう分散型DBA方式を採用する構成であってもよい。分散型DBA方式においても、局側装置101は、スリープ状態へ遷移できるように、各ONU102の上りフレームの送信タイミングおよび送信可能時間を設定することが可能である。
【0120】
また、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、DBA処理部19は、各ONU102から局側装置101への上りフレームのトラフィック量を示すトラフィック情報として、各ONU102に割り当てる上り帯域の合計を演算する構成であるとしたが、これに限定するものではない。各ONU102からのレポート量およびONUへのグラント量に限らず、たとえば上りバッファメモリ13におけるフレームの蓄積量、または当該蓄積量から算出した上りレート等、他のトラフィック情報を取得する構成であってもよい。
【0121】
また、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、局側装置101が、トラフィック情報の取得、局側装置101のスリープ状態への遷移可否判断、および各ONU102の上りフレームの送信制御を行なう。
【0122】
しかしながら、PONシステム201は、このような構成に限定されるものではない。すなわち、局側装置101の代わりに、PONシステム201における局側装置101およびONU102以外の他の装置が、トラフィック情報の取得、局側装置101のスリープ状態への遷移可否判断、および各ONU102の上りフレームの送信制御を行なう構成であってもよい。
【0123】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0124】
11 PONトランシーバ
12 上り受信処理部
13 上りバッファメモリ
14 上り送信処理部
15 SNIトランシーバ
16 下り受信処理部
17 下りバッファメモリ
18 下り送信処理部
19 DBA処理部
20 制御部
21 トランシーバ受信制御部
31 受信部
32 送信部
33 送信部
34 受信部
41 CDR
42 デシリアライザ
43 MAC処理部
101 局側装置
102A,102B,102C,102D ONU
201 PONシステム
SP1,SP2 スプリッタ
OPTF 光ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の宅側装置と、各前記宅側装置と共通の通信回線を介して通信信号を送受信するための局側装置とを備え、前記各宅側装置から前記局側装置への前記通信信号が時分割多重される通信システムにおける省電力制御方法であって、
前記各宅側装置から前記局側装置への前記通信信号のトラフィック量を示すトラフィック情報を取得するステップと、
取得した前記トラフィック情報に基づいて、前記各宅側装置から送信される前記通信信号の受信動作を停止するスリープ状態への遷移が前記局側装置において可能か否かを判断するステップとを含む、省電力制御方法。
【請求項2】
前記省電力制御方法は、さらに、
前記スリープ状態へ遷移可能であると判断した場合に、前記局側装置が前記スリープ状態へ遷移できるように、前記各宅側装置から前記局側装置への前記通信信号の送信を制御するステップを含む、請求項1に記載の省電力制御方法。
【請求項3】
前記通信信号の送信を制御するステップにおいては、前記各宅側装置から前記局側装置への前記通信信号の送信が所定間隔以内で行なわれるように前記各宅側装置を制御する、請求項2に記載の省電力制御方法。
【請求項4】
前記通信信号の送信を制御するステップにおいては、前記通信回線における帯域の前記各宅側装置への割り当てを停止し、
前記省電力制御方法は、さらに、
前記局側装置が、前記割り当ての停止により前記各宅側装置から前記局側装置へ前記通信信号が到着しなくなる期間において前記スリープ状態となるステップを含む、請求項2または請求項3に記載の省電力制御方法。
【請求項5】
前記局側装置は、前記各宅側装置からの前記通信回線における帯域の割り当て要求の受信期間、および予定された前記各宅側装置からの前記通信信号の受信期間を含む割り当て周期を繰り返し、
前記省電力制御方法は、さらに、
前記局側装置が、前記通信信号の受信期間において、前記予定された前記通信信号の受信を完了した後に前記スリープ状態へ遷移するステップを含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の省電力制御方法。
【請求項6】
1または複数の宅側装置と、各前記宅側装置と共通の通信回線を介して通信信号を送受信するための局側装置とを備え、前記各宅側装置から前記局側装置への前記通信信号が時分割多重される通信システムにおける前記局側装置であって、
前記各宅側装置から前記局側装置への前記通信信号のトラフィック量を示すトラフィック情報を取得するためのトラフィック情報取得部と、
前記トラフィック情報取得部によって取得された前記トラフィック情報に基づいて、前記各宅側装置から送信される前記通信信号の受信動作を停止するスリープ状態への遷移が前記局側装置において可能か否かを判断するためのスリープ制御部とを備える、局側装置。
【請求項7】
1または複数の宅側装置と、各前記宅側装置と共通の通信回線を介して通信信号を送受信するための局側装置とを備え、前記各宅側装置から前記局側装置への前記通信信号が時分割多重される通信システムであって、
前記各宅側装置から前記局側装置への前記通信信号のトラフィック量を示すトラフィック情報を取得するためのトラフィック情報取得部と、
前記トラフィック情報取得部によって取得された前記トラフィック情報に基づいて、前記各宅側装置から送信される前記通信信号の受信動作を停止するスリープ状態への遷移が前記局側装置において可能か否かを判断するためのスリープ制御部とを備える、通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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