説明

看護支援システム

【課題】 生体モニタにおいて、測定中の生体データを含んだ電子メールを医療従事者が容易に送信できるようにした看護支援システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 生体モニタ100にて、医療従事者が送信操作を行うと、送信部105は、その時点で取得されている生体データを電子メールに添付する。そして、送信部105は、生体モニタ用設定部104から取得したメールアドレスを宛先にして電子メールを送信する。また、管理装置110にて、生体モニタ100から送信された電子メールを受信すると、抽出部114は、受信した電子メールのメールアドレスに含まれる被測定者情報により、所望の被測定者の生体データを抽出する。これにより、医療従事者は、電子メールの宛先をいちいち設定することなく、生体データを含んだ電子メールを送信できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院などで使用される生体モニタに表示されている情報を取得する看護支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に病院では、看護行為を効率的に進めるために看護支援システムが用いられている。従来の看護支援システムでは、生体モニタ(例えば、バイタルセンサや心電図計など)で測定した生体データを記憶して管理している。
【0003】
さらに近年では、生体モニタから電子メールで送信された生体データを医師や看護師などの医療従事者が使用する情報端末装置が受信し、受信した生体データを情報端末装置の表示部に表示する生体データの登録・表示システムが開示されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の生体データの登録・表示システムでは、生体データモニタ情報を登録する者は、情報端末装置のアドレスを入力する。各生体モニタは、メールサーバを介して生体データをメールにより情報端末装置のアドレスに送信する。
【特許文献1】特開2005−95469号公報
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の生体モニタ情報の登録・表示システムでは、生体データを情報端末装置へメール送信するには、生体データを登録する度にアドレスを設定する必要があるので、生体データを登録する者は、登録作業が面倒になってしまうという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、生体モニタにおいて、測定中の生体データを含んだ電子メールを医療従事者が容易に送信できるようにした看護支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の看護支援システムでは、生体モニタにて、医療従事者が送信操作を行うと、送信部は、その時点で取得されている生体データを電子メールに添付する。そして、送信部は、生体モニタ用設定部から取得したメールアドレスを宛先にして電子メールを送信するようにしている。また、管理装置にて、生体モニタから送信された電子メールを受信すると、抽出部は、受信した電子メールのメールアドレスに含まれる被測定者情報により、所望の被測定者の生体データを抽出するようにしている。
【発明の効果】
【0007】
上記のように構成した本発明によれば、生体データを送信するためのメールアドレスに含まれるドメイン名を持つメールサーバである管理装置に、すべての生体データが集められるとともに、メールアドレスに含まれる被測定者情報により生体データが区別される。これにより、医療従事者は、電子メールの宛先をいちいち設定することなく、生体データを含んだ電子メールを送信できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態による看護支援システムの構成例を示すブロック図を図1に示す。同図に示すように、本実施形態による看護支援システムは、生体モニタ100、管理装置110を備えて構成されている。
【0009】
また、生体モニタ100は、生体モニタ用制御部101と、操作部102と、測定部103と、生体モニタ用設定部104と、送信部105と、生体モニタ用インターフェース(I/F)部106とを備えている。また、管理装置110は、管理装置用制御部111と、メールボックス112と、受信部113と、抽出部114と、編集部115と、管理装置用設定部116と、管理装置用インターフェース(I/F)部117とを備えている。
【0010】
図1において、生体モニタ100は、病室内や診察室内の患者の近辺に設置されており、ネットワークを介して管理装置110に接続されている。また、管理装置110は、医療従事者の居室や各種サーバが設置されているサーバ室などに設置されている。管理装置110には、複数の生体モニタ100が接続されている。ここで、管理装置110は、メール受信サーバの機能を有している。
【0011】
生体モニタ用制御部101は、生体モニタ100の各構成要素を後述するように制御する。操作部102は、医療従事者により生体モニタ100を操作するためのものである。ここで、操作部102は、タッチパネルなどにより構成されており、図2に示す測定画面200上に設けられている。測定画面200には、記録ボタン204が設けられているが、この他にも、測定開始ボタン、測定終了ボタン(いずれも図示しない)が設けられている。また、測定開始ボタンを押下したと生体モニタ用制御部101が判断した場合には、生体モニタ用制御部101は、測定部103を動作させることで測定を開始する。また、測定終了ボタンを押下したと生体モニタ用制御部101が判断した場合には、生体モニタ用制御部101は、測定部103の動作を終了し、測定を終了させる。また、記録ボタン204を押下したと生体モニタ用制御部101が判断した場合には、制御部101は、送信部105を動作させる。
【0012】
測定部103は、被測定者の生体データを測定するためのものである。生体モニタ100は、測定部103を動作させることで測定を行うことができる。また、測定部103は、記憶メモリを有しており、測定した生体データを記憶することができる。生体モニタ用設定部104は、被測定者情報とメール受信サーバのドメイン情報とを登録するものである。生体モニタ用設定部104では、初期設定時にメール受信サーバのドメイン名を示すドメイン情報を登録し、測定前に患者ID(特許請求の範囲の被測定者情報に該当する)を登録する。生体モニタ用設定部104は、登録された登録内容を使用してメールアドレスを生成する。
【0013】
ここで、メールアドレスの形式は、「123@xyz.com」となっており、「@」記号の前が患者を識別するための患者IDであり、「@」記号の後が管理装置110を示すためのドメイン情報である。
【0014】
送信部105は、電子メールを作成し送信するものである。医療従事者が記録ボタン204を押下すると、送信部105は、電子メールを新規作成し、測定部103に記憶された生体データを取得する。続いて、送信部105は、取得した生体データを電子メールに添付して、生体モニタ用設定部104で生成したメールアドレスを宛先にして電子メールを送信する。送信した電子メールには、生体モニタ100のシステム時計から打刻した記録日時情報が含まれている。
【0015】
測定画面200は、図2に示すように、測定を監視するための画面である。測定画面200は、被測定者ID表示欄201、測定日時表示欄202、生体データ表示欄203、記録ボタン204を含んでいる。被測定者ID表示欄201には、測定前に予め生体モニタ用設定部104に登録した患者IDが表示される。測定日時表示欄は、現時点の測定日時が表示される。生体データ表示欄203は、測定部103で測定された生体データが表示される。ここで、生体データ表示欄203のデータは、波形図が表示されているが、これに限定されない。例えば、測定値を表示させても良い。記録ボタン204を押下すると、生体モニタ用制御部101は、送信部105を動作させることで、前述したように送信部105は、生体データを含んだ電子メールを管理装置110へ送信する。
【0016】
生体モニタ用I/F部106は、ネットワークと接続し、送信部105で送信された電子メールを通信するものである。ここで、電子メールを通信する方法としては、一般的にSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)通信が用いられる。
【0017】
管理装置用制御部111は、管理装置110の各構成要素を後述するように制御する。メールボックス112は、受信部113にて受信した電子メールを保存するものである。ここで、メールボックス112は、各生体モニタ100から送信された電子メールをメールの宛先毎に保存する。受信部113は、生体モニタ100から送信された電子メールを受信し、メールボックス112に蓄積するものである。受信部113は、電子メールを受信すると、後述する管理装置用設定部116に登録されている患者情報を参照し、メールアドレスに含まれる患者IDが患者情報に登録されているか否かを判定する。メールアドレスに含まれる患者IDが管理装置用設定部116の患者情報に登録されている場合には、受信部113は、宛先不明を示すフラグとして“0”(否)を立てて被測定者毎にメールボックス112に保存する。メールアドレスに含まれる患者IDが管理装置用設定部116の患者情報に登録されていない場合には、受信部113は、宛先不明を示すフラグとして“1”(正)を立ててメールボックス112に保存する。メールボックス112内の電子メールは、図3に示す閲覧画面300のように患者ID毎に保存される。
【0018】
ここで、受信部113で受信したすべての電子メールには、宛先不明を示すフラグが含まれている。宛先不明を示すフラグとして“0”(否)が立っている電子メールは、メールアドレスに含まれる患者IDを持つ患者情報が管理装置用設定部116に登録されているということである。一方、宛先不明を示すフラグとして“1”(正)が立っている電子メールは、メールアドレスに含まれる患者IDを持つ患者情報が管理装置用設定部116に登録されていないということである。これらの宛先不明を示すフラグは、後述の抽出部114の処理で使用される。
【0019】
閲覧画面300は、図3に示すように、メールボックス112に蓄積された電子メールを閲覧するための画面である。閲覧画面300は、被測定者フォルダ301、被測定者ID表示欄302、測定日時表示欄303、生体データ表示欄304、UNKNOWNフォルダ310を含んでいる。被測定者フォルダ301には、患者情報に登録されている患者IDに該当する(すなわち、宛先不明を示すフラグとして“0”が立っている)電子メールに添付されているデータが患者ID毎に表示される。メールアドレスに含まれる患者IDが被測定者ID表示欄302に表示される。生体モニタ100から送信された電子メールに含まれる記録日時情報が測定日時表示欄303に表示される。生体モニタ100から送信された電子メールに添付されている生体データが生体データ表示欄304に表示される。UNKNOWNフォルダ310には、患者情報に登録されていない(すなわち、宛先不明を示すフラグとして“1”が立っている)患者IDと生体モニタ100から送信された電子メールに含まれる記録日時情報とが患者ID毎に表示される。
【0020】
抽出部114は、メールボックス112に保存された電子メールのメールアドレスに含まれる患者IDを解析して所望の被測定者の生体データを抽出するものである。医療従事者が図示しない参照ボタンを押下すると、管理装置用制御部111は、抽出部114を動作させる。抽出部114が動作を開始すると、抽出部114は、図示しない入力画面を表示する。入力画面は、患者ID入力欄と出力ボタンとを含んでいる。医療従事者は、患者IDを患者ID入力欄に入力し、出力ボタンを押下する。出力ボタンが押下されると、抽出部114は、患者ID入力欄に入力された患者IDを取得し、患者IDに該当する生体データをメールボックス112から抽出し、閲覧画面300の被測定者フォルダ301に抽出した生体データを表示する。また、患者IDを持つ患者情報が管理装置用設定部116に登録されていない生体データも、閲覧画面300のUNKNOWNフォルダ310に表示する。
【0021】
編集部115は、メールボックス112に保存された電子メールに含まれる被測定者情報を編集するものである。医療従事者がUNKNOWNフォルダ310に表示された患者IDをクリックすると、管理装置用制御部111は、編集部115を動作させる。編集部115が動作を開始すると、編集部115は、図示しない入力画面を表示する。入力画面は、患者ID入力欄と保存ボタンとを含んでいる。医療従事者は、患者ID入力欄に新たな患者IDを入力し、保存ボタンを押下する。保存ボタンが押下されると、編集部115は、患者ID入力欄に入力された患者IDを取得し、入力された患者IDをキーにして管理装置用設定部116に登録された患者情報を検索する。検索後、編集部115は、患者IDを持つ患者情報が管理装置用設定部116に登録されているか否かの判定を行う。入力された患者IDを持つ患者情報が管理装置用設定部116に登録されていると編集部115にて判断した場合には、編集部115は、該当する電子メールに宛先不明を示すフラグとして“0”を立てて保存し、編集処理を終了する。一方、入力された患者IDを持つ患者情報が管理装置用設定部116に登録されていないと編集部115にて判断した場合には、編集部115は、宛先不明を示すフラグとして“1”を立てたまま編集処理を終了する。
【0022】
管理装置用設定部116は、メール受信サーバのドメイン名を示すドメイン情報と、入院または通院している患者の患者情報とを登録するものである。患者情報には、患者IDと、患者氏名と、受診科目とが互いに紐付けられて登録されている。また、管理装置用設定部116に登録されたドメイン情報は、生体モニタ100から送信された電子メールを受信する際に使用される。管理装置用設定部116に登録されたドメイン情報と生体モニタ100から送信された電子メールのメールアドレスのドメイン情報とが一致していれば、生体モニタ100から送信された電子メールは、ドメイン情報が一致した管理装置110のメールボックス112に保存される。
【0023】
管理装置用I/F部117は、ネットワークと接続し自宛先に送られてきた電子メールを通信するものである。
【0024】
次に、本実施形態による看護支援システムの動作を説明する。本実施形態による看護支援システムの動作を示すフローチャートを図4並びに図5に示す。同図に示すように、看護支援システムの動作は、生体モニタ100での動作と、管理装置110での動作とに分かれる。生体モニタ100にて、生体モニタ用制御部101は、初期設定済みであるか否か(すなわち、生体モニタ用設定部104にメール受信サーバのドメイン情報が登録済みであるか否か)の判定を行う(ステップ401)。初期設定済みであると生体モニタ用制御部101にて判断した場合には、(ステップ401にてYES)、ステップ403へ移行する。一方、初期設定が未設定であると生体モニタ用制御部101にて判断した場合には(ステップ401にてNO)、生体モニタ用制御部101は、生体モニタ用設定部104にメール受信サーバのドメイン情報を設定し、初期設定を行う(ステップ402)。このように、初期設定でメール受信サーバのドメイン情報を設定しておくことにより、生体モニタの測定開始前に被測定者情報を入力するだけで、生体モニタ100は、指定した管理装置にメールを送信することができる。
【0025】
初期設定済みであるか、初期設定が終了するか、何れかの処理が行われると、生体モニタ100は測定可能となる。医療従事者は、測定開始前に被測定者情報である患者IDを操作部102で入力して、生体モニタ用設定部104に被測定者情報を登録する。生体モニタ用制御部101は、被測定者情報が登録されたか否かを判断する(ステップ403)。被測定者情報が登録されていないと生体モニタ用制御部101にて判断した場合には(ステップ403にてNO)、生体モニタ用制御部101は、ステップ403に戻り、被測定者情報が登録されるまで処理を継続する。一方、被測定者情報が登録されたと生体モニタ用制御部101にて判断した場合には(ステップ403にてYES)、生体モニタ用設定部104は、登録された被測定者情報とメール受信サーバのドメイン情報とから、管理装置へ送信するためのメールアドレスを生成する。
【0026】
生体モニタ用設定部104がメールアドレスを生成すると、生体モニタ用制御部101は、開始操作が行われたか否か(すなわち、操作部102の操作開始ボタンが押下されたか否か)の判定を行う(ステップ404)。開始操作が行われていないと生体モニタ用制御部101にて判断した場合には(ステップ404にてNO)、生体モニタ用制御部101は、ステップ404の処理に戻り、開始操作が行われるまで処理を継続する。一方、開始操作が行われた生体モニタ用制御部101にて判断した場合には(ステップ404にてYES)、生体モニタ用制御部101は、測定部103を動作させることで測定を開始する(ステップ405)。測定部103で測定した生体データは、生体モニタ100の測定画面200として出力される。測定部103による測定は、終了操作が行われる(すなわち、操作部102の測定終了ボタンが押下される)まで継続される。
【0027】
測定中、生体モニタ用制御部101は、送信操作が行われたか否か(すなわち、測定画面200の記録ボタン204が押下されたか否か)の判定を行う(ステップ406)。送信操作が行われていないと生体モニタ用制御部101にて判断した場合には、(ステップ406にてNO)、ステップ409へ移行する。一方、送信操作が行われたと生体モニタ用制御部101にて判断した場合には(ステップ406にてYES)、生体モニタ用制御部101は、送信部105を動作させる。送信部105が動作を開始すると、送信部105は、取得された生体データを測定部103から取得する。また、送信部105は、データ送信用の電子メールを新規に作成し、生体モニタ設定部104で生成したメールアドレスを取得する(ステップ407)。
【0028】
送信部105は、取得したメールアドレスを電子メールの宛先とし、生体データと生体モニタ100の記録日時情報とをメール本文に含ませ、電子メールを送信し(ステップ408)、ステップ409へ移行する。送信した電子メールは、生体モニタ用I/F部107を介してネットワーク上の管理装置110へ送信される。なお、ステップ407〜408の動作が行われている間も測定部102は測定を行っている。
【0029】
ステップ409では、生体モニタ用制御部101は、終了操作が行われたか否か(すなわち、測定終了ボタンが押下されたか否か)の判定を行う。終了操作が行われたと生体モニタ用制御部101にて判断した場合には、(ステップ409にてYES)、測定部103の動作を終了させて測定を終了する。一方、終了操作が行われていないと生体モニタ用制御部101にて判断した場合には、(ステップ409にてNO)、生体モニタ用制御部101は、ステップ405に戻る。このようにして、記録ボタン204が押下される度に、生体モニタ100は、測定中の生体データを含んだ電子メールを送信することができる。また、生体モニタ100は、測定前に被測定者情報を登録するので、生体モニタ情報を送信する度にアドレスを設定する必要がない。そのため、医療従事者は、電子メールの宛先をいちいち設定することなく、生体データを含んだ電子メールを送信できる。
【0030】
生体モニタ100から送信された電子メールは、管理装置110で受信される。管理装置110では、電子メール受信時に受信部113が実行するメール受信処理と、医療従事者の操作によって抽出部114が実行する受信済電子メールの参照処理と、医療従事者の操作によって編集部115が実行する編集処理とが行われる。メール受信処理において、管理装置用制御部111は、図4に示すように、電子メールの受信チェックを行い、電子メールを受信したか否かを判断する(ステップ411)。具体的には、受信部113は、管理装置用設定部116に登録されたドメイン情報に該当する電子メールを検索し、ドメイン情報が存在する場合には、該当する電子メールを受信する。電子メールを受信していないと管理装置用制御部111が判断した場合には(ステップ411にてNO)、ステップ411の処理に戻り、管理装置用制御部111は受信待機状態となる。一方、電子メールを受信したと管理装置用制御部111が判断した場合には(ステップ411にてYES)、受信部113は、電子メールに含まれるメールアドレスから患者IDを取得する(ステップ412)。続いて受信部113は、取得した患者IDをキーにして管理装置用設定部116に登録された患者情報を検索する(ステップ413)。検索後、受信部113は、患者IDを持つ患者情報が管理装置用設定部116に登録されているか否かの判定を行う(ステップ414)。
【0031】
患者IDを持つ患者情報が管理装置用設定部116に登録されていると受信部113にて判断した場合には、(ステップ414にてYES)、受信部113は、電子メールに宛先不明を示すフラグとして“0”(否)を立てて、メールボックス112に電子メールを保存し(ステップ415)、ステップ411の処理に戻る。一方、患者IDを持つ患者情報が管理装置用設定部116に登録されていないと受信部113にて判断した場合には、(ステップ414にてNO)、受信部113は、電子メールに宛先不明を示すフラグとして“1”(正)を立てて、メールボックス112に電子メールを保存し(ステップ416)、ステップ411の処理に戻る。このように、宛先不明を示すフラグとして“0”または“1”をすべての電子メールに立てることにより、受信部113は、宛先不明の電子メールも管理することができる。
【0032】
管理装置110は、図5(a)に示すように、所望の生体データを参照する参照処理を行う。受信済電子メールの参照処理おいて、医療従事者が図示しない参照ボタンを押下することにより、管理装置用制御部111は、参照操作が行われたか否かの判定を行う(ステップ501)。参照操作が行われていないと管理装置用制御部111にて判断した場合には、(ステップ501にてNO)、ステップ501の処理に戻り、管理装置用制御部111は操作待機状態となる。一方、参照操作が行われたと管理装置用制御部111にて判断した場合には、(ステップ501にてYES)、管理装置用制御部111は、抽出部114を動作させる。抽出部114が動作を開始すると、抽出部114は、図示しない入力画面を表示する。入力画面は、患者ID入力欄と出力ボタンとを含んでいる。医療従事者は、患者IDを患者ID入力欄に入力し、出力ボタンを押下する。
【0033】
出力ボタンが押下されると、抽出部114は、患者ID入力欄に入力された患者IDを取得する(ステップ502)。抽出部114は、ステップ502で取得した患者IDに該当する生体データをメールボックス112から抽出し、図3に示す閲覧画面300の被測定者フォルダ301に抽出した生体データを表示する(ステップ503)。そして、電子メールの宛先が不明である(すなわち、宛先不明を示すフラグとして“1”が立っている)生体データを抽出し、閲覧画面300のUNKNOWNフォルダ310に表示する(ステップ504)。
【0034】
生体データを出力後、管理装置用制御部111は、終了操作が行われたか否かの判定を行う(ステップ505)。終了操作が行われたと管理装置用制御部111にて判断した場合には、(ステップ505にてYES)、管理装置用制御部111は、参照処理を終了する。一方、終了操作が行われていないと管理装置用制御部111にて判断した場合には、(ステップ505にてNO)、ステップ501の処理に戻る。
【0035】
管理装置110は、宛先不明の生体データについて被測定者情報を修正することで、図5(b)に示すように、編集処理を行う。編集処理において、医療従事者が閲覧画面300のUNKNOWNフォルダ310に表示された患者IDをクリックすることにより、管理装置用制御部111は、編集操作が行われたか否かの判定を行う(ステップ511)。編集操作が行われていないと管理装置用制御部111にて判断した場合には、(ステップ511にてNO)、ステップ511の処理に戻り、管理装置用制御部111は操作待機状態となる。一方、編集操作が行われたと管理装置用制御部111にて判断した場合には、(ステップ511にてYES)、管理装置用制御部111は、編集部115を動作させることで、該当するデータの患者ID入力欄(図示しない)を含む図示しない入力画面を表示する。また、入力画面は、図示しない保存ボタンを含む。医療従事者は、患者ID入力欄に新たな患者IDを入力し、保存ボタンを押下する。
【0036】
保存ボタンが押下されると、編集部115は、患者ID入力欄に入力された患者IDを取得する(ステップ512)。編集部115は、入力された患者IDをキーにして管理装置用設定部116に登録された患者情報を検索する(ステップ513)。検索後、編集部115は、患者IDを持つ患者情報が管理装置用設定部116に登録されているか否かの判定を行う(ステップ514)。
【0037】
入力された患者IDを持つ患者情報が管理装置用設定部116に登録されていると編集部115にて判断した場合には、(ステップ514にてYES)、編集部115は、該当する電子メールに宛先不明を示すフラグとして“0”を立てて保存し(ステップ515)、編集処理を終了する。一方、入力された患者IDを持つ患者情報が管理装置用設定部116に登録されていないと編集部115にて判断した場合には、(ステップ514にてNO)、編集部115は、宛先不明を示すフラグとして“1”を立てたまま編集処理を終了する。
【0038】
ステップ515の処理により、宛先不明を示すフラグが“0”になった電子メールは、次回以降の抽出ではUNKNOWNフォルダ310に表示されず、該当する被測定者フォルダ301に表示される。このように、測定後の生体データの被測定者情報を修正できることから、医療従事者は、実際の被測定者と異なった情報を登録した場合でも測定を再実施せずに済み、正しい被測定者情報に修正した生体データを被測定者の看護記録として取り纏めることができる。
【0039】
以上詳しく説明したように、本実施形態の看護支援システムでは、生体モニタ100にて、医療従事者が送信操作を行うと、送信部105は、その時点で取得されている生体データを電子メールに添付する。そして、送信部105は、生体モニタ用設定部104から取得したメールアドレスを宛先にして電子メールを送信するようにしている。また、管理装置110にて、生体モニタ100から送信された電子メールを受信すると、抽出部114は、受信した電子メールのメールアドレスに含まれる被測定者情報により、所望の被測定者の生体データを抽出するようにしている。
【0040】
本実施形態によれば、生体データを送信するためのメールアドレスに含まれるドメイン名を持つメールサーバである管理装置110に、すべての生体モニタ100からの生体データが集められるとともに、メールアドレスに含まれる被測定者情報により集められた生体データが区別される。これにより、医療従事者は、電子メールの宛先をいちいち設定することなく、生体データを含んだ電子メールを管理装置110に送信することができる。
【0041】
また、管理装置110の抽出部114は、医療従事者が指定する被測定者の生体データを抽出することができる。これにより、宛先に含まれる患者ID毎に生体データが表示されるため、医療従事者は、被測定者毎の生体データを容易に管理することができる。また、抽出部114は、受信部113が登録無しと判断した生体データも併せて抽出することができる。
【0042】
また、管理装置110の編集部115は、受信部113にて登録無しと判断された生体データについて、患者IDを編集可能としている。これにより、医療従事者は、実際の被測定者と異なった情報を登録した場合でも測定を再実施せずに済み、生体データを該当する被測定者の看護記録として取り纏めることができる。
【0043】
なお、前述した実施形態では、送信部105は、波形図の生体データを添付してメールを送信しているが、これに限定されない。例えば、測定値を直接メール本文に含ませても良い。これにより、医療従事者は、様々な出力パターンを持った生体モニタでも、測定されたデータを管理装置へ送信することができる。
【0044】
また、前述した実施形態では、患者情報は、管理装置用設定部116に登録されているが、これに限定されない。例えば、ネットワーク上のサーバや端末に登録しても良い。これにより、患者情報を一括で管理でき、患者情報すべてを持ち出して管理装置用設定部116へ登録する必要がないため、患者情報の取得を最低限に抑えることができる。
【0045】
また、前述した実施形態では、編集部115は、宛先不明の生体データを正しい患者IDに修正すると、宛先不明を示すフラグとして“0”を立てているが、これに限定されない。例えば、宛先不明を示すフラグとは別に、修正が行われた生体データであることを編集部115が判断できるようなフラグ(“1”(修正済み)、“0”(未修正))を立てても良い。これにより、医療従事者は、患者IDを修正した生体データを把握することができる。
【0046】
また、前述した実施形態では、医療従事者が記録ボタン204を押下することにより、生体モニタ100は、測定した生体データを添付した電子メールを管理装置110へ送信しているが、これに限定されない。例えば、生体モニタ用設定部104に予め生体データの上限値及び下限値を設定し、測定値が設定した上限値を上回った場合、または、設定した下限値を下回った場合に、その前後の生体データを添付した電子メールを管理装置110へ送信するようにしても良い。
【0047】
具体的には、測定値が設定した上限値を上回った、または、設定した下限値を下回ったと測定部103が判断した場合には、生体モニタ用制御部101は、送信部105を動作させる。送信部105が動作を開始すると、送信部105は、電子メールを新規作成し、測定部103に記憶された生体データを取得する。続いて、送信部105は、取得した生体データを電子メールに添付して、生体モニタ用設定部104で生成したメールアドレスを宛先にして電子メールを送信する。これにより、設定した範囲を超えて急変等を検出した時点の生体データが自動的に取得されるので、医療従事者は、急変等を検出した時点の生体データを被測定者の看護記録として容易に取り纏めることができる。また、このような場合において、生体データの上限値または、下限値のみを設定するようにしても良い。
【0048】
また、前述した実施形態では、測定画面200には、患者IDと生体モニタ100の記録日時情報とが表示されているがこれに限定されない。例えば、これらに加えて生体モニタ100を識別するための装置識別情報を表示するようにしても良い。
【0049】
具体的には、送信部105が電子メールを管理装置110へ送信する際、送信部105は、生体モニタ100を識別するための装置識別情報、例えば、装置番号を電子メールに添付して送信する。ここで、装置番号は、生体モニタ100固有の番号であり、他の生体モニタ100と重複しない番号で構成されている。また、装置番号は、生体モニタ用設定部104または生体モニタ100の設定ファイル(図示しない)に登録されている。管理装置110にて電子メールを受信した後、図4のステップ503において、閲覧画面300の被測定者フォルダ301に抽出した生体データを表示する際に、抽出部114は、抽出した生体データに該当する装置番号を併せて表示する。また、図4のステップ504において、閲覧画面300のUNKNOWNフォルダ310に宛先不明を示すフラグとして“1”が立っている生体データを表示する際にも、抽出部114は、生体データに該当する装置番号を併せて表示する。
【0050】
この変形例の閲覧画面600は、図6に示すように、被測定者フォルダ601およびUNKNOWNフォルダ610を含む。被測定者フォルダ601は、被測定者ID表示欄602、測定日時表示欄603、生体データ表示欄604に加え、装置番号を表示する装置番号表示欄605を含む。また、UNKNOWNフォルダ610には、患者情報に登録されていない患者IDと記録日時情報と装置番号とが患者ID毎に表示される。
【0051】
被測定者フォルダ601内の被測定者ID表示欄602には、「ID:123」が表示される。測定日時表示欄603には、「6/6 12:34」が表示される。装置番号表示欄605には、「851」が表示される。一方、UNKNOWNフォルダ610内には、患者IDとして「ID:124」が表示される。また、「ID:124」にて測定した測定日時として「7/10 10:20」が表示される。また、「ID:124」にて測定した装置番号として「851」が表示される。被測定者フォルダ601とUNKNOWNフォルダ610との両者を見ると、患者IDと測定日時とは異なるが、装置番号が同じである。また、両者の患者IDは、「123」と「124」と番号が近い。このことから、正しい患者IDである123と入力すべきところを124と誤って入力してしまったと医療従事者は推測することができる。このように、医療従事者は、被測定者フォルダ601に表示されているデータと、UNKNOWNフォルダ610に表示されているデータとを比較して、生体データの正しい送信元を推測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施形態による看護支援システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】生体モニタの測定画面例を示す表示図である。
【図3】管理装置の閲覧画面例を示す表示図である。
【図4】本実施形態による看護支援システムの動作を示すフローチャート(その1)である。
【図5】本実施形態による看護支援システムの動作を示すフローチャート(その2)である。
【図6】管理装置の閲覧画面例の変形例を示す表示図である。
【符号の説明】
【0053】
100 生体モニタ
101 生体モニタ用制御部
102 操作部
103 測定部
104 生体モニタ用設定部
105 送信部
106 生体モニタ用インターフェース(I/F)部
110 管理装置
111 管理装置用制御部
112 メールボックス
113 受信部
114 抽出部
115 編集部
116 管理装置用設定部
117 管理装置用インターフェース(I/F)部
200 測定画面
201 被測定者ID表示欄
202 測定日時表示欄
203 生体データ表示欄
204 記録ボタン
300 閲覧画面
301 被測定者フォルダ
302 被測定者ID表示欄
303 測定日時表示欄
304 生体データ表示欄
310 UNKNOWNフォルダ
600 変形例の実施形態の閲覧画面
601 被測定者フォルダ
602 被測定者ID表示欄
603 測定日時表示欄
604 生体データ表示欄
605 装置番号表示欄
610 UNKNOWNフォルダ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者を測定し生体データを出力する測定部と、
前記被測定者を示す被測定者情報とメール受信サーバのドメイン名を示すドメイン情報とを測定開始前に登録し前記被測定者情報と前記ドメイン情報とからメールアドレスを生成する生体モニタ側設定部と、前記測定部により測定された生体データを電子メールに添付し、前記生体モニタ側設定部により生成されたメールアドレスを宛先として送信する送信部とを備えた生体モニタと、
前記ドメイン名が登録された管理装置用設定部と、前記管理装置用設定部にて登録されたドメイン名を示すドメイン情報を持つ電子メールを受信する受信部と、前記受信部にて受信した電子メールを保存するメールボックスと、前記メールボックスに保存された電子メールのメールアドレスに含まれる前記被測定者情報を解析して所望の被測定者の生体データを抽出する抽出部とを備えた管理装置と、
を有する看護支援システム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−183339(P2008−183339A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−21451(P2007−21451)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(591253593)株式会社ケアコム (493)
【Fターム(参考)】