説明

真偽判定システム

【課題】システムの運用中に物品の読取り条件を変更したい場合や、紙で構成される物品の内容などに応じて物品の読取り条件を変更したい場合などに柔軟に対応することができる真偽判定システムを提供すること。
【解決手段】識別コード生成装置10は、指定された読取り条件に基づいて紙紋読取装置9で読取った物品の表面の組成状態から原本データを取得し、取得された原本データと共に読取り条件を設定した識別コードを生成し、生成された識別コードをプリンタ8に印刷させ、真偽判定装置20は、判定対象となる物品に印刷されている識別コードから原本データおよび読取り条件を識別コード読取装置6に読取らせ、紙紋読取装置7が読取り条件で読取った判定対象となる物品の表面の組成状態から判定対象データを取得し、取得された原本データと、取得された判定対象データとを用いて判定対象となる物品の真偽を判定するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取り対象物の真偽を判定する真偽判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙の表面の中で任意の箇所の繊維の組成状態(以下、紙紋という。)が、他の箇所または他の紙と全く同じ紙紋をもつ可能性は非常に低いため、この紙紋を利用して、紙で構成される物品が本物か偽物かを判定する真偽判定装置が開発されている。紙で構成される物品から紙紋を読取る技術としては、スポット状のレーザ光を紙の表面に照射すると共に紙を掃引して、散乱する光を4つの近接するフォトダイオードで検出しながら紙紋を読取る技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、紙紋の真偽を判定する真偽判定装置を利用して、転売目的で持ち込まれた書籍の真偽を検証するための真偽判定システムとしては、書籍に付されているISBN等の識別コードと共に、書籍の所定ページの所定領域の紙紋を予め登録する登録装置を有しており、書籍が顧客から持ち込まれた場合に、持ち込まれた書籍のISBN等の識別コードをバーコードリーダで読取り、さらに、指定された書籍のページの所定領域の紙紋をスキャナで読取り、読取った識別コードおよび紙紋を、登録装置に登録されているものと照合して書籍の真贋を検証する照合装置を備えたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
なお、特許文献2に開示されている真偽判定システムでは、例えば、登録装置に登録する際に読取った紙紋と、持ち込まれたときに読取った紙紋とは、同じデータ形式で統一しておく必要があり、真偽判定システムを運用する前に、紙紋のデータ形式などの紙の読取り条件などを予め決めておく。
【特許文献1】国際公開第2005/088533号パンフレット
【特許文献2】特開2006−171900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の真偽判定システムでは、運用前に紙紋のデータ形式などを予め決めているため、運用中に紙の読取り条件を変更したい場合や、紙で構成される物品の重要度などに応じて紙紋の読取り条件を変更したい場合などに柔軟に対応することができないという課題が残されていた。
【0006】
そこで、本発明は、システムの運用中に物品の読取り条件を変更したい場合や、紙で構成される物品の内容などに応じて物品の読取り条件を変更したい場合などに柔軟に対応することができる真偽判定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の真偽判定システムは、指定された読取り条件で読取った物品の表面の組成状態から原本データを取得する原本データ取得部と、前記原本データ取得部によって取得された原本データと共に前記読取り条件を設定した識別コードを生成する識別コード生成部と、を備えた識別コード生成装置と、判定対象となる物品にある前記識別コードから前記原本データおよび前記読取り条件を取得する読取条件取得部と、前記読取条件取得部によって取得された読取り条件で読取った前記判定対象となる物品の表面の組成状態から判定対象データを取得する判定対象データ取得部と、前記読取条件取得部によって取得された原本データと前記判定対象データ取得部によって取得された判定対象データとを用いて前記判定対象となる物品の真偽を判定する判定部とを備えた真偽判定装置と、を有する構成を有している。
この構成により、判定対象となる物品にある識別コードから原本データおよび読取り条件を取得し、取得された読取り条件で読取った判定対象となる物品の表面の組成状態から判定対象データを取得し、原本データと判定対象データとを用いて判定対象となる物品の真偽を判定するため、システムの運用中に物品の読取り条件を変更したい場合や、紙で構成される物品の内容などに応じて物品の読取り条件を変更したい場合などに柔軟に対応することができる。
【0008】
また、本発明の真偽判定システムは、前記判定部が、前記原本データと前記判定対象データとそれぞれの相関値のピークが所定の閾値以上か否かを判定することで前記判定対象となる物品の真偽を判定する備えた構成を有している。
この構成により、真偽の判定を容易にし、真偽の判定の精度を高めることができる。
【0009】
また、本発明の真偽判定システムは、前記判定部が、前記原本データと前記判定対象データとそれぞれの相関値のピークが所定の閾値以上か否かを判定することで前記判定対象となる物品の真偽を判定する備えた構成を有している。
この構成により、読取り条件に加えて判定条件を変更したい場合などに柔軟に対応することができる。
【0010】
また、本発明の真偽判定システムは、前記判定条件が、前記閾値に関する条件である構成を有している。
この構成により、判定対象となる物品の真偽を判定する際に判定条件を柔軟に変更することができる。
【0011】
また、本発明の真偽判定システムは、複数の読取りセンサで前記物品の表面の組成状態から読取る場合、前記読取り条件は、複数の前記読取りセンサのうち1つまたは複数の読取りセンサを指定できる条件である構成を有している。
この構成により、読取りセンサに関わる物品の読取り条件を柔軟に変更することができる。
【0012】
また、本発明の真偽判定システムは、前記判定条件が、前記複数の読取りセンサを指定した場合において、それぞれの読取りセンサから得られた前記原本データと前記判定対象データとの相関値のピークに基づいて前記判定対象となる物品の真偽を判定する条件である構成を有している。
この構成により、判定対象となる物品の真偽を判定する際に判定条件を柔軟に変更することができる。
【0013】
また、本発明の真偽判定システムは、前記判定条件が、それぞれの読取りセンサから得られた前記原本データと前記判定対象データとの相関値のピークのうち最も大きいピークに基づいて前記判定対象となる物品の真偽を判定する条件である構成を有している。
この構成により、判定対象となる物品の真偽を判定する際に判定条件を柔軟に変更することができる。
【0014】
また、本発明の真偽判定システムは、前記判定条件が、それぞれの読取りセンサから得られた前記原本データと前記判定対象データとの相関値のピークの平均に基づいて前記判定対象となる物品の真偽を判定する条件である構成を有している。
この構成により、判定対象となる物品の真偽を判定する際に判定条件を柔軟に変更することができる。
【0015】
また、本発明の真偽判定システムは、前記読取り条件が、読取る物品の箇所の位置や面積に関する条件である構成を有している。
この構成により、読取る物品の箇所の位置や面積に関する読取り条件を柔軟に変更することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように本発明は、システムの運用中に物品の読取り条件を変更したい場合や、紙で構成される物品の内容などに応じて物品の読取り条件を変更したい場合などに柔軟に対応することができる真偽判定システムを提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、本発明に係る原本データは、物品の表面の組成状態から得られるデータであるが、本発明の実施の形態に係る真偽判定システムでは、原本データの対象を、紙で構成された処方箋から得られる紙紋を表すデータとし、処方箋が正しいものか否かを検証するための処方箋検証システムを例にとって説明している。
【0018】
また、本発明では処方箋に限定されず、株券のような有価証券など紙で構成された物品でもよい。以下に説明する処方箋検証システムでは、処方箋を紙として適用しているが、本発明に係る真偽判定システムでは、紙、プラスチック等の物品を適用することができる。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る処方箋検証システムの構成図の一例である。本発明の実施の形態に係る処方箋検証システムは、病院側のシステムと薬局側のシステムからなる。
【0020】
病院側のシステムには、処方箋の特定箇所にある紙紋を読取る紙紋読取装置9、紙紋データなどの表す識別コードを生成する識別コード生成装置10、および、識別コードを印刷するプリンタ8が備えられている。識別コード生成装置10は、例えば、CPUやメモリを備えたパソコン等のコンピュータで構成されてもよく、本発明の実施の形態ではパソコンとする。
【0021】
なお、本発明の実施の形態では、識別コードをQRコードとして説明するが、もちろん識別コードはQRコードに限定されず、バーコードなど如何なる識別コードでもよい。
【0022】
紙紋読取装置9について詳細に説明すれば、紙紋読取装置9は、紙を組成する繊維の絡み具合を表す紙紋を読み込むようになっており、図2(a)に示すように、紙紋読取装置9の紙紋読込部分は、レーザダイオード92、シリンドリカルレンズ93a、93b、および読取りセンサとなるフォトダイオード94a乃至94dによって構成されている。以下、レーザダイオードを単に「LD」と記載し、フォトダイオードを単に「PD」と記載する。
【0023】
LD92は、図示しない掃引機構によって掃引される紙91の表面にレーザ光を照射するようになっている。また、LD92は、紙91の紙紋が読取れる程度の波長、例えば635nmのレーザ光を照射するようになっている。
【0024】
シリンドリカルレンズ93a、93bは、LD92がレーザ光を紙91に照射しているとき、紙91の表面における照射形状を図2(b)に示すように、例えば長さ7mmのスポット状に変化させるようになっている。
【0025】
PD94a乃至94dは、紙91の表面でレーザ光が散乱された散乱光を受光するようになっており、紙91の表面におけるレーザ光の照射面の中心を受光軸が通るよう、互いに異なる位置でLD92に対して固定に設けられている。例えば、紙を40mm程度掃引しながら、PD94a乃至94dが、散乱光を検出して紙紋を読取るようになっている。
【0026】
各PD94で検出された散乱光は、A/D変換器でデジタル信号(以下、紙紋データという。)に変換され、変換された紙紋データは、光の強度を表している。例えば、紙を40mm掃引して得られた信号から1000個の標本(サンプル)が抽出され、1000個の標本それぞれに対応する光の強度を表した紙紋データに変換される。
【0027】
また、病院スタッフが、紙紋読取装置9の読取り条件を指定するようになっている。例えば、病院スタッフは、図3に示したように、識別コード生成装置10の画面に表示される設定ウインドウに従って読取り条件を指定する。
【0028】
病院側では、読取り条件として、各PD94で得られた紙紋データのうち特定の1つを指定し、指定したPD94で得られた紙紋データを原本データとして指定してもよい。さらに、読取り条件としては、読取る用紙の箇所の位置や面積などの条件などがあってもよい。
【0029】
また、読取り条件として、4つのPD94を指定した場合には、PD94で得られた紙紋データが4つあるため、後述する真偽判定装置20が複数の紙紋データ用いて処方箋の真偽を判定するときの判定条件や、判定用の閾値に関わる判定条件がある。判定条件については後述する。
【0030】
また、読取り条件として紙紋データの精度は、1つの標本に対して1ビット(0、1の2段階)で表現されてもよいし、例えば8ビット(0〜255までの256段階)で表現されてもよい。
【0031】
また、病院スタッフは、例えば、図4に示したように、識別コード生成装置10の画面に表示される設定ウインドウに従って処方箋を作成するようになっている。最初に、病院スタッフは、処方箋の用紙を紙紋読取装置9にセットして「QRコード付与」ボタンをマウスでクリックすれば、紙紋読取装置9は、図3に示した設定ウインドウに従って設定した読取り条件で処方箋の用紙の特定箇所を読取り、識別コード生成装置10は、特定箇所が読取られたときの紙紋データを取得し、取得した紙紋データと共に読取り条件を設定したQRコードを生成するようになっている。
【0032】
次に、病院スタッフは、図4に示した設定ウインドウに従って、氏名や薬およびその個数などを入力し、紙紋読取装置9で読取った処方箋をプリンタ8にセットし、図4に示した設定ウインドウの「印刷」ボタンをマウスでクリックすれば、プリンタ8は、QRコードと処方箋の内容とを処方箋の用紙に印刷するようになっている。
【0033】
この時、QRコードは、処方箋の用紙に印刷されるのが望ましいが、QRコードだけ別途シールに印刷し、病院スタッフがQRコードのシールを処方箋に貼り付けるようにしても構わない。
【0034】
病院スタッフは、QRコードが印刷された処方箋を患者に渡し、処方箋を受け取った患者は、薬局に処方箋を持っていく。
【0035】
図1に示したように薬局側のシステムには、Webカメラなどの識別コード読取装置6、紙紋読取装置9と同様の構成を有する紙紋読取装置7、および、処方箋の真偽を判定する真偽判定装置20が備えられている。また、真偽判定装置20は、例えば、CPUやメモリを備えたパソコン等のコンピュータで構成されてもよく、本発明の実施の形態ではパソコンとする。
【0036】
まず、薬局スタッフは、患者が持ってきた処方箋に印刷されているQRコードを識別コード読取装置6で読取る。例えば、パソコン等の真偽判定装置20には、図5に示した操作ウインドウが表示されており、薬局スタッフは、「QRコード読取り」ボタンをマウスでクリックすることでWebカメラなどの識別コード読取装置6にQRコードを読取らせる。
【0037】
次に、真偽判定装置20は、識別コード読取装置6で読取ったQRコードから紙紋データおよび読取り条件を取得し、取得した紙紋データおよび読取り条件をメモリに記憶する。
【0038】
次に、薬局スタッフは、QRコードから取得した紙紋データと、処方箋の用紙の特定箇所を読取って得た紙紋データとを用いて処方箋の真偽を真偽判定装置20に判定させる。
【0039】
例えば、薬局スタッフは、紙紋読取装置7に処方箋をセットし、図5に示した操作ウインドウの「紙紋判定」ボタンをマウスでクリックすることで処方箋の特定箇所にある紙紋を紙紋読取装置7に読取らせる。真偽判定装置20は、QRコードから取得した紙紋データと、読取って得た紙紋データとを用いて処方箋の真偽を判定する。
【0040】
真偽判定装置20は、処方箋の真偽を判定した後、図5に示したような判定結果を操作ウインドウに表示する。以上が、本発明の実施の形態に係る真偽判定システムの概要である。続いて、本発明の実施の形態に係る識別コード生成装置および真偽判定装置の構成について説明する。
【0041】
図6は、本発明の実施の形態に係る識別コード生成装置のブロック図である。図6に示すように、識別コード生成装置10は、ユーザインタフェース部11、制御部12、原本データ取得部13、識別コード生成部14、および印刷部15によって構成されている。
【0042】
なお、ユーザインタフェース部11、制御部12、原本データ取得部13、識別コード生成部14、および印刷部15は、識別コード生成装置10のCPU(Central Processing Unit)によって実行されるプログラムのモジュールでもよい。
【0043】
ユーザインタフェース部11は、図3および図4に示した設定ウインドウを介してユーザによって入力された情報を受付けるようになっている。
【0044】
制御部12は、ユーザインタフェース部11、原本データ取得部13、または識別コード生成部14などを制御し、ユーザインタフェース部11から出力されたユーザの入力した情報を原本データ取得部13、識別コード生成部14、または印刷部15に出力するようになっている。
【0045】
原本データ取得部13は、制御部12から出力された読取り条件で、処方箋の用紙の表面の組成状態から紙紋データを紙紋読取装置9に読取らせ、読取らせた紙紋データを原本データとして取得するようになっている。
【0046】
識別コード生成部14は、原本データ取得部13によって取得された紙紋データと共に読取り条件を設定したQRコードを生成するようになっており、さらに、ユーザインタフェース部11を介して判定条件が入力されている場合には、紙紋データおよび読取り条件に加えて判定条件を設定したQRコードを生成するようになっている。
【0047】
印刷部15は、識別コード生成部14によって生成されたQRコードや図4に示した設定ウインドウに従って入力された処方箋の内容をプリンタ8に印刷させるようになっている。
【0048】
図7は、本発明の実施の形態に係る真偽判定装置のブロック図である。図7に示すように、真偽判定装置20は、ユーザインタフェース部21、制御部22、読取条件取得部23、判定対象データ取得部24、および判定部25によって構成されている。
【0049】
なお、ユーザインタフェース部21、制御部22、読取条件取得部23、判定対象データ取得部24、および判定部25は、真偽判定装置20のCPUによって実行されるプログラムのモジュールでもよい。
【0050】
ユーザインタフェース部21は、図5に示した操作ウインドウを介してユーザの操作を受付けるようになっている。
【0051】
制御部22は、ユーザインタフェース部21、読取条件取得部23、判定対象データ取得部24、および判定部25などを制御し、ユーザインタフェース部21から出力されたユーザの操作を読取条件取得部23に指示するようになっている。
【0052】
読取条件取得部23は、処方箋に印刷されているQRコードから、判定対象となる紙紋データおよび読取り条件をWebカメラなどの識別コード読取装置6に読取らせ、紙紋データおよび読取り条件を取得するようになっている。
【0053】
なお、QRコードの大きさおよび印刷位置に関しては、識別コード読取装置6がQRコードを読取ることができる範囲内であることが要件であり、例えば、識別コード読取装置6は、処方箋の表面からからおよそ90mmの高さ、処方箋の左端と下端からそれぞれおよそ40mmにレンズの中心がくるように設置される。
【0054】
判定対象データ取得部24は、読取条件取得部23によって取得された読取り条件で紙紋読取装置7に処方箋の表面を読取らせ、読取った処方箋の表面の組成状態から判定対象データとなる紙紋データを取得するようになっている。従って、紙紋読取装置9が処方箋の表面を読取った条件と同じ条件で、紙紋読取装置7は処方箋の表面を読取ることになる。
【0055】
判定部25は、読取条件取得部23によって取得された紙紋データと、判定対象データ取得部24によって取得された判定対象データとなる紙紋データとを用いて、判定対象となる処方箋の真偽を判定するようになっている。
【0056】
例えば、互いの紙紋データで処方箋の真偽を判定する方法には、互いの紙紋データの相関値を用いて判定する方法がある。例えば、紙紋データの標本の数がn個であった場合、読取条件取得部23によって取得された紙紋データをO、判定対象データ取得部24によって取得された判定対象データとなる紙紋データをTとして表せば、基準データと被判定データとのn個分のシフト相関値を、例えば次の式で求める。
×T+O×T+O×T+・・・+O×T=相関値
×T+O×T+O×T+・・・+O×T=相関値
: :
×T+O×T+O×T+・・・+On−1×T=相関値
【0057】
判定部25は、上記のn個の相関値のうち鋭いピーク(他の値と突出した値)を検出した場合、ピークが所定の閾値以上か否かを判定することで判定対象となる処方箋の真偽を判定するようになっている。
【0058】
また、QRコードから読取ったときに閾値に関わる判定条件があれば、判定部25は、算出した相関値のピークがこの判定条件の閾値以上か否かを判定することで判定対象となる処方箋の真偽を判定するようにしてもよい。なお、閾値に関わる判定条件は、図3の設定ウインドウで入力できるようにしてもよい。
【0059】
QRコードから読取ったときに複数の紙紋データ用いて処方箋の真偽を判定するときの判定条件がある場合がある。
【0060】
例えば、図3に示すように、判定条件としては、識別コード生成装置10のPD94aおよび真偽判定装置20のPD94a、すなわちPD94a同士から得られたシフト相関値、さらにPD94b同士、PD94c同士、PD94d同士から得られたシフト相関値のピークのうち最大のピークや2番目に大きいピークが閾値以上か否かを判定する場合がある。さらに、判定条件としては、シフト相関値のピークの平均化したものが閾値以上か否かを判定する場合がある。
【0061】
以上のように構成された識別コード生成装置10および真偽判定装置20の動作について図面を用いて以下に説明する。
【0062】
図8は、識別コード生成装置10のプログラムのシーケンス図である。なお、便宜上、ユーザインタフェース部11は、省略されており、制御部12にまとめられている。
【0063】
まず、病院スタッフは、識別コード生成装置10を使用し、図3に示した設定ウインドウに従って読取り条件を予め指定しておく。もちろん、読取り条件と共に判定条件を指定するようにしてもよい。例えば、読取り条件や判定条件の指定は、紙で構成される物品の内容などに応じて変更される。指定された読取り条件や判定条件は、制御部12を介して原本データ取得部13に登録される。
【0064】
病院スタッフが、処方箋を作成する際に処方箋の用紙を紙紋読取装置9にセットした後、図4に示した設定ウインドウの「QRコード付与」ボタンをマウスでクリックすることで、制御部12は、紙紋データを原本データ取得部13に取得させる。このとき、原本データ取得部13は、図3に示した設定ウインドウに従って指定された読取り条件で紙紋データを読取るよう紙紋読取装置9に指示する。
【0065】
紙紋データが取得された後、識別コード生成部14は、原本データ取得部13によって取得された紙紋データと共に読取り条件を設定したQRコードを生成する。なお、識別コード生成部14は、判定条件がある場合には、判定条件を設定したQRコードを生成する。
【0066】
QRコードが生成された後、制御部12は、ユーザインタフェース部11を介してQRコードを含む処方箋の印刷イメージが図4に示したように表示される。
【0067】
病院スタッフが、処方箋を印刷する際に処方箋の用紙をプリンタ8にセットした後、図4に示した設定ウインドウの「印刷」ボタンをマウスでクリックすることで、制御部12は、図4に示した入力の内容とQRコードを処方箋の用紙に印刷するよう印刷部15に指示する。印刷部15は、入力の内容とQRコードをプリンタ8に印刷させる。
【0068】
ここで、病院スタッフは、QRコードが印刷された処方箋を患者に渡し、患者は、この処方箋を薬局に持っていく。以下は、真偽判定装置20の動作について説明する。
【0069】
図9は、真偽判定装置20のプログラムのシーケンス図である。なお、便宜上、ユーザインタフェース部21は、省略されており、制御部22にまとめられている。
【0070】
まず、薬局スタッフは、QRコードが印刷された処方箋の用紙を紙紋読取装置7にセットした後、図5に示した操作ウインドウの「QRコード読取り」ボタンをマウスでクリックすることで、制御部22は、QRコードから読取り条件や紙紋データを取得するように読取条件取得部23に指示する。
【0071】
次に、読取条件取得部23は、処方箋に印刷されているQRコードから紙紋データおよび読取り条件を、Webカメラなどの識別コード読取装置6に読取らせ、紙紋データおよび読取り条件を取得する。
【0072】
読取条件取得部23は、取得した読取り条件を判定対象データ取得部24に出力すると共に、取得した判定対象となる紙紋データを判定部25に出力する。
【0073】
次に、薬局スタッフは、図5に示した操作ウインドウの「紙紋判定」ボタンをマウスでクリックすることで、制御部22は、紙紋読取装置7にセットした処方箋の用紙から紙紋データを取得するように判定対象データ取得部24に指示する。判定対象データ取得部24は、処方箋の用紙から紙紋データを紙紋読取装置7に読取らせ、紙紋データを取得する。
【0074】
判定部25は、読取条件取得部23によって取得された紙紋データと、判定対象データ取得部24によって取得された判定対象データとなる紙紋データとを用いて、判定対象となる処方箋の真偽を判定する。また、QRコードから読取ったときに判定条件があれば、判定部25は、算出した相関値がこの判定条件の閾値以上か否かを判定することで処方箋の真偽を判定する。
【0075】
制御部22は、判定部25が判定したときの判定結果を図5に示したように表示する。
【0076】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る処方箋検証システムは、真偽判定装置20が、識別コード生成装置10によって判定対象となる処方箋に印刷されたQRコードから紙紋データおよび読取り条件を取得し、取得された読取り条件で読取った判定対象となる紙紋データを取得し、QRコードからの紙紋データと判定対象となる紙紋データとを用いて判定対象となる物品の真偽を判定するため、システムの運用中に処方箋の読取り条件を変更したい場合や、処方箋の内容などに応じて処方箋の読取り条件を変更したい場合などに柔軟に対応することができる。
【0077】
なお、図4に示した設定ウインドウは、「QRコード付与」および「印刷」の2つのボタンで構成しているが、1つのボタンにまとめてもよい。同様に、図5に示した操作ウインドウも、「QRコード読取り」および「紙紋判定」の2つのボタンで構成しているが、1つのボタンにまとめてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態に係る処方箋検証システムの構成図
【図2】本発明の実施の形態に係る紙紋読込部の断面図
【図3】読取り条件を指定するための設定ウインドウを示す図
【図4】処方箋を作成するための設定ウインドウを示す図
【図5】本発明の実施の形態に係る真偽判定装置の操作ウインドウを示す図
【図6】本発明の実施の形態に係る識別コード生成装置のブロック図
【図7】本発明の実施の形態に係る真偽判定装置のブロック図
【図8】本発明の実施の形態に係る識別コード生成装置のプログラムのシーケンス図
【図9】本発明の実施の形態に係る真偽判定装置のプログラムのシーケンス図
【符号の説明】
【0079】
6 識別コード読取装置
7、9 紙紋読取装置
8 プリンタ
10 識別コード生成装置
11、21 ユーザインタフェース部
12、22 制御部
13 原本データ取得部
14 識別コード生成部
15 印刷部
20 真偽判定装置
23 読取条件取得部
24 判定対象データ取得部
25 判定部
91 紙
92 レーザダイオード
93 シリンドリカルレンズ
94 フォトダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定された読取り条件で読取った物品の表面の組成状態から原本データを取得する原本データ取得部と、
前記原本データ取得部によって取得された原本データと共に前記読取り条件を設定した識別コードを生成する識別コード生成部と、を備えた識別コード生成装置と、
判定対象となる物品にある前記識別コードから前記原本データおよび前記読取り条件を取得する読取条件取得部と、
前記読取条件取得部によって取得された読取り条件で読取った前記判定対象となる物品の表面の組成状態から判定対象データを取得する判定対象データ取得部と、
前記読取条件取得部によって取得された原本データと前記判定対象データ取得部によって取得された判定対象データとを用いて前記判定対象となる物品の真偽を判定する判定部とを備えた真偽判定装置と、
を有することを特徴とする真偽判定システム。
【請求項2】
前記識別コード生成部は、前記原本データ取得部によって取得された原本データおよび前記読取り条件に加えて、前記判定対象となる物品の真偽を判定するときの判定条件を設定した識別コードを生成し、
前記読取条件取得部は、前記判定対象となる物品にある前記識別コードから原本データ、読取り条件、および判定条件を取得し、
前記判定部は、前記読取条件取得部によって取得された判定条件で、前記原本データと前記判定対象データとを用いて前記判定対象となる物品の真偽を判定することを特徴とする請求項1に記載の真偽判定システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記原本データと前記判定対象データとそれぞれの相関値のピークが所定の閾値以上か否かを判定することで前記判定対象となる物品の真偽を判定することを特徴とする請求項2に記載の真偽判定システム。
【請求項4】
前記判定条件は、前記閾値に関する条件であることを特徴とする請求項3に記載の真偽判定システム。
【請求項5】
複数の読取りセンサで前記物品の表面の組成状態から読取る場合、前記読取り条件は、複数の前記読取りセンサのうち1つまたは複数の読取りセンサを指定できる条件であることを特徴とする請求項1に記載の真偽判定システム。
【請求項6】
前記判定条件は、前記複数の読取りセンサを指定した場合において、それぞれの読取りセンサから得られた前記原本データと前記判定対象データとの相関値のピークに基づいて前記判定対象となる物品の真偽を判定する条件であることを特徴とする請求項3に記載の真偽判定システム。
【請求項7】
前記判定条件は、それぞれの読取りセンサから得られた前記原本データと前記判定対象データとの相関値のピークのうち最も大きいピークに基づいて前記判定対象となる物品の真偽を判定する条件であることを特徴とする請求項6に記載の真偽判定システム。
【請求項8】
前記判定条件は、それぞれの読取りセンサから得られた前記原本データと前記判定対象データとの相関値のピークの平均に基づいて前記判定対象となる物品の真偽を判定する条件であることを特徴とする請求項6に記載の真偽判定システム。
【請求項9】
前記読取り条件は、読取る物品の箇所の位置や面積に関する条件であることを特徴とする請求項1に記載の真偽判定システム。
【請求項10】
指定された読取り条件で読取った物品の表面の組成状態から原本データを取得する原本データ取得部と、
前記原本データ取得部によって取得された原本データと共に前記読取り条件を設定した識別コードを生成する識別コード生成部と、を備えたことを特徴とする識別コード生成装置。
【請求項11】
指定された読取り条件で読取った物品の表面の組成状態から得られる原本データと共に前記読取り条件を設定した識別コードを扱う真偽判定装置であって、
判定対象となる物品にある前記識別コードから前記原本データおよび前記読取り条件を取得する読取条件取得部と、
前記読取条件取得部によって取得された読取り条件で読取った前記判定対象となる物品の表面の組成状態から判定対象データを取得する判定対象データ取得部と、
前記読取条件取得部によって取得された原本データと前記判定対象データ取得部によって取得された判定対象データとを用いて前記判定対象となる物品の真偽を判定する判定部とを備えたことを特徴とする真偽判定装置。
【請求項12】
識別コードを生成する識別コード生成装置と物品の真偽を判定する真偽判定装置とを制御する真偽判定方法であって、
前記識別コード生成装置が、指定された読取り条件で読取った物品の表面の組成状態から原本データを取得する原本データ取得ステップと、
前記識別コード生成装置が、前記原本データ取得ステップで取得された原本データと共に前記読取り条件を設定した識別コードを生成するステップと、
前記真偽判定装置が、判定対象となる物品にある前記識別コードから前記原本データおよび前記読取り条件を取得する読取条件取得ステップと、
前記真偽判定装置が、前記読取条件取得ステップで取得された読取り条件で読取った前記判定対象となる物品の表面の組成状態から判定対象データを取得する判定対象データ取得ステップと、
前記真偽判定装置が、前記読取条件取得ステップで取得された原本データと前記判定対象データ取得ステップで取得された判定対象データとを用いて前記判定対象となる物品の真偽を判定するステップとを備えたことを特徴とする真偽判定方法。
【請求項13】
請求項12に記載の真偽判定方法の各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項12に記載の真偽判定方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータ読取り可能な記録媒体。

【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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