説明

真空パックカバー、並びにそのカバーを内蔵したパック用及び/又は運搬用バッグ

本発明は、垂直に延在し、その上端部に少なくとも1個の物品を挿入するための開口部(19)を備えた第1のケーシング(2)と、第1のケーシング(2)の少なくとも底部が収められる平行六面体ベースを形成するように折畳み手段(6a)を備えた板(6)とを備える少なくとも1個の物品、特に織物製品をパッキングするためのカバー(1)に関する。パッキングカバー(1)は、第1のケーシング(2)の下端部より下側で水平に組み込まれた第2のケーシング(3)を更に備え、第2のケーシング(3)は、板より僅かに大きい寸法を有し、板(6)を第2のケーシング(3)に挿入するための少なくとも1個の開口部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は保管装置の分野に関し、特に、少なくとも1個の物品のスーツケース内での保管用に適応され、最終的には運搬用に適応された、保管装置の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
不動産にかかる費用や居住面積の平米あたりにかかる価格が増加していることから、容量及び保管手段に関する新たな問題が生じている。
【0003】
例えば、多数の家具保管会社が次々に立ち上げられており、ほとんどの場合、保管する容積に比例した高額な値段が設定されている。
【0004】
同様に、様々な運搬手段、仕事の柔軟性、直前になってインターネットで購入される週末の宿泊手配が発達しており、これは手荷物の分野で需要が成長しつつあることを意味している。
【0005】
それにもかかわらず、航空会社は、各手荷物品の容量に料金を課することが多く、一方で車両のトランクは、複数個の手荷物品を納めるには小さくなってきている。
【0006】
より一般的には従来の手荷物は、より広くは保管手段は、容量の大きい物品の保管を望む人々や旅行者の要求を必ずしも満足しておらず、また運搬される体積についての要求も満たされていないことは明らかである。
【0007】
保管と運搬に関するこの問題は、卸売販売と貨物輸送の分野においても当てはまる。容量と費用の観点から、物品又は商品を小型化して運搬する必要がある。
【0008】
カバー内に真空を生じることで物品を圧縮させる、真空運搬用カバーが周知である。
【0009】
この種のカバーと一体化して、物品を保護及び運搬するか、或いは一時的に保管するスーツケースもある。
【0010】
この種のカバーは、特に、季節性の織物製品に適用されている。
【0011】
特に米国特許出願第2005/0173439号において、現代のカバーは、織物製品を入れる包みを備えている。
【0012】
この包みは、内部に含まれる空気を抜いて内部の物品を圧縮する弁を主に備えている。
【0013】
また公知技術において、上記の包みはその下端にて、垂直の包みに対して鉛直な平面内に実質的に延在するプラスチックシートを備えている。プラスチックシートは、それに対応する寸法の板に、特には任意選択で布により覆われていてもよい厚紙製の板に、取り付けられている。板は、特に縫合によって、シートに取り付けられている。
【0014】
この厚紙製の板は、長手方向に延在し、その端部に折り目を備え、物品の圧縮中に底部が平行六面体の形をとる。
【0015】
従って圧縮された物品は、平行六面体の形状となる。
【0016】
しかし、平行六面体形成中の動きが、プラスチックシートと柔軟な板とで異なるため、プラスチックシートが板との取り付け位置で引き裂かれうるという欠点がある。
【0017】
柔軟な板がカバーの底部に直接配置されているカバーもあり、特に米国特許出願第2006/0120631号に記載されるカバーが挙げられる。
【0018】
この種のカバーには幾つか不利な点がある。
【0019】
特に、カバーに物品を詰めて真空パックした後に、板が不適切な位置にあった場合、カバーを開けて減圧し、物品を取り出し、板を適切に再配置する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許出願第2005/0173439号明細書
【特許文献2】米国特許出願第2006/0120631号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的と概要
本発明の目的は、上述した不利な点の改良を試み、また保管用カバーの製造コストを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この趣旨で本発明は、少なくとも1個の物品の保管用カバーを提供する。この物品は、例えば織物製品であってもよい。
【0023】
一方、本発明の保管用カバーは、上方に延在し、その上端部に物品挿入用の開口部を備えた第1の包みを備える。
【0024】
一方、本発明の保管用カバーは、第1の包みの少なくとも下部が収められる平行六面体ベースを形成するように折畳み手段を設けた板を備える。
【0025】
この保管用カバーは、第1の包みの下端部より下側で水平に組み込まれた第2の包みを更に備える。
【0026】
第2の包みは、板より僅かに大きい寸法を有し、板を第2の包み内に導入するための少なくとも1個の開口部を備えることは明白である。
【0027】
従って第2の包みのこの構成により、板がカバーのその他の部分に固定されない、又は組み込まれない。
【0028】
より具体的には、第2の包みと板との配置によって、構成要素をそれぞれ独立に動作させることが可能となり、従って板及び/又は第2の包みが引き裂かれることが回避されることは明白である。
【0029】
有利なことに、第1の包みは、その上端部に、開口部の閉鎖手段、例えばジッパー式のものを備える。これら閉鎖手段によって、カバーの密封が可能になる。
【0030】
本発明の好適な実施形態において、第1の包みは、その壁の1つに、空気抜き手段、例えば弁を備える。これらの空気抜き手段によって、第1の包み内の空気を抜くことが可能になる。
【0031】
従って、第1の包み内に含まれる物品を圧縮する目的で、密封手段と空気抜き手段とが協働することは明白である。
【0032】
従って、これらの手段により、容量を制限しつつ、第1の包み内に物品を保管するのが容易となる。
【0033】
本発明の特定の実施形態において、第2の包みと、第1の包みの下部と、板とが、矩形をなす。
【0034】
より具体的には、板の幅が、第2の包みの幅より短く、第1の包みの下部の幅より短い。板の長さが、第2の包みの長さより短く、第1の包みの下部の幅より短い。
【0035】
板は、平行六面体ベースを形成する1つの中央部と2つの折畳み側部とにこの板を分ける、横断方向に延びる2本の折り目を備えてもよく、中央部は、圧縮状態すなわち空気抜きを行ったときの第1の包みの長さより僅かに長い。
【0036】
本発明の実施形態の変更例において、第2の包みは、板を挿入するための開口部をそれぞれに設けた、2つの横端部を備える。
【0037】
上で説明した特定の実施形態の変更例において、前記2つの折畳み側部は、長さが同一であり、平行六面体ベースの体積が一旦空気の抜かれた第1の包みの体積に相当するような寸法になっている。
【0038】
上記に相関して、本発明の更なる目的は、物品の保管用及び/又は運搬用バッグを提供することにある。
【0039】
より具体的には、この保管用バッグは、外側カバーに相当する容器、特にスーツケースの形状のものと、上で説明した実施形態の1つによる保管用カバーとによって構成される。この保管用カバーは、上記した容器内に収納するのに好適である。
【0040】
本発明の変形例において、容器は、周囲垂直壁を備える。この壁の内面に、容器内でカバーを安定化させるための、平行六面体ベースを受容する受容手段が備えられている。
【0041】
実施形態の特定の変形例において、周囲垂直壁は、少なくとも2つの横側面を備え、受容手段は、これら2つの横側面の上側の角のある端部に位置するフラップ(rebat)によって構成される。
【0042】
これらのフラップは従って、平行六面体ベースの形成時に、板の折畳み側部の角のある端部を受容する。
【0043】
最後に、本発明の対象は、保管用カバーを備えるバッグと、カバー内の空気を抜くことが可能なポンプ装置とによって構成されるキットに関する。このポンプ装置は、好ましくは旅行用ポンプ又は小型送風機であり、例えば保管用カバーの圧縮時に容器内に収めることのできるものである。
【0044】
本発明のその他の特徴及び利点は、付属の図面を参照にした以下の説明により明らかになるであろう。なお図面は、発明を限定することのない例示的実施形態を例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の特定の実施形態におけるカバーの側面図を概略的に例示する。
【図2】本発明の特定の実施形態におけるカバーの斜視図を概略的に例示する。
【図3】本発明の特定の実施形態におけるカバー及びスーツケースを概略的に例示する。
【図4】本発明の特定の実施形態におけるカバー及びスーツケースを概略的に例示する。
【図5】本発明の特定の実施形態におけるスーツケースの内部図を概略的に例示する。
【図6】本発明の特定の実施形態におけるスーツケースを取り囲むベルトシステムを例示する。
【図7】本発明の特定の実施形態におけるスーツケースを取り囲むベルトシステムを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0046】
実施形態の詳細な説明
本発明によるカバー1及びスーツケース7を、図1〜5を参照しつつ特定の実施形態で説明する。
【0047】
図1及び図2のカバー1は、実質的に垂直に延在する第1の包み2と、第1の包み2の下端に対して実質的に鉛直に配置される第2の包み3とで構成される。
【0048】
ここで説明する実施形態では、第1の包み2は、この包み2に含まれる空気を抜いてカバーを圧縮するための弁17を備える。なおこの弁は、どのような種類のポンプや送風機と協働させてもよい。
【0049】
第1の包みは更に、第1の包み2の密封を可能にするジッパーシステム18を備える。
【0050】
図3及び図4のスーツケース7は、圧縮状態のカバー1の寸法より実質的に大きい寸法を有する平行六面体の形状をしている。通常、このスーツケース7は、底部8と、4個の側壁9〜12と、上部13とを備え、上部13には、その周縁と側壁9〜12の上端との間に配置される開放システム14を備えている。
【0051】
圧縮可能な物品の運搬という範囲内では、カバー1及びスーツケース7は高度に有利である。
【0052】
羽毛布団(非常に容量のある織物製品)の運搬を望み、本発明によるキットを持っている者がいる場合を例にする。このキットには、保管用カバー1と、スーツケース7と、旅行用ポンプとが備えられている。
【0053】
周知の方法によって、羽毛布団を折り畳んで、第1の包み2の上端に位置する開口部19からカバー1内に滑り込ませる。
【0054】
カバー1内の羽毛布団を密封して取り巻く環境から隔離するように、ジッパーシステム18を閉位置へ滑らせる。
【0055】
次に、弁17と、キットに備わっているポンプ(図示せず)とを利用して、第1の包み2の内部に準真空状態を作り出す。
【0056】
弁17とジッパーシステム18との協働によって、ポンプが空気を抜くことで、羽毛布団が圧縮され、布団の体積が減少して最小容量となる。
【0057】
特にその端部において、特定の強度を有する保管用カバー1を得ることが、本発明の目的の1つである。
【0058】
そのため、第2の包み3は、2個の開口部4及び5を備えており、柔軟な板及び多少硬目の板6を、開口部内に導入することが可能になっている。この板6の設計には、硬質又は半硬質プラスチック製の板等の他の材料を用いることももちろん可能である。
【0059】
図2及び図3から、板6には折畳み手段6a、6bが備えられていることが分かる。
【0060】
従って、第1の包み2内の羽毛布団を圧縮する際に、カバー1は変形する。板6と第2の包み3とによって、互いに独立した手段6a、6bに応じた変形と折り畳みが可能となり、スーツケース7の寸法より実質的に小さい寸法の平行六面体を形成する。
【0061】
なお、板6を第2の包み3へ固定しない又は組み込まない本発明の特定の構成によって、カバー1の端部を頑丈なものとしつつ、従来技術のように端部が取り付け位置で引き裂かれることがない。
【0062】
また、羽毛布団を第1の包み2に一旦挿入し、この第1の包み2を圧縮し始めた後でも、都合のよいことに、折り畳んで平行六面体ベースを形成する前に、板6を再配置することが可能である。
【0063】
従って、カバー1が図3及び図4に例示されるような平行六面体の形状となれば、ユーザは、このカバー1をスーツケース7に配置することができる。
【0064】
図5に例示するように、カバーの引き裂きを常に避け且つスーツケース7内での位置を確実に保持するように、このスーツケース7は、板6の角のある端部を受容する受容手段15を備えることを特徴とし、カバー1とその内容物をスーツケース7内で密封し安定化する。この受容手段15は、垂直壁9〜12の側面に位置している。
【0065】
カバー1をスーツケース7内に詰め込むと、スーツケース7の上部13を下ろし、システム14を用いて閉じることが可能になる。
【0066】
運搬中に又は取り扱いミスによってスーツケースが偶然開口しないように、スーツケースを取り囲み、図6に示すようなクリップ閉鎖システム又は図7に示すようなマジックテープ(Velcro:登録商標)によって固定される、ベルトシステム16を用いることも好ましい。
【0067】
ここで説明する実施形態において、カバー及びスーツケースは、容量のある織物商品の保管及び/又は運搬について様々な制約に対して特に適合される。しかし明示的に説明した例示的実施形態は、本発明の目的を限定するものと見なされるべきではないことは理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直に延在し、その上端部に少なくとも1個の物品を挿入するための開口部(19)を備えた第1の包み(2)と、
前記第1の包み(2)の少なくとも下部が収められる平行六面体ベースを形成するように折畳み手段(6a、6b)を備えた板(6)と
を備える少なくとも1個の織物製品等の物品の保管用カバー(1)であって、
前記第1の包み(2)の下端部より下側で水平に組み込まれた第2の包み(3)を更に備え、
前記第2の包み(3)は、前記板(6)より僅かに大きい寸法を有し、前記板(6)を前記第2の包み(3)内に導入するための少なくとも1個の開口部を備えることを特徴とする保管用カバー(1)。
【請求項2】
前記第1の包み(2)は、その上端部に、前記カバー(1)を密封するための、上記開口部(19)のジッパー式の閉鎖手段(18)を備えることを特徴とする請求項1に記載のカバー(1)。
【請求項3】
前記第1の包み(2)は、その壁の1つに、第1の包み(2)内の空気を抜くための、弁式の空気抜き手段(17)を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のカバー(1)。
【請求項4】
前記第1の包み(2)の前記下部と、前記第2の包み(3)と、前記板(6)とが平面矩形状であり、前記板(6)の幅が前記第1の包み(2)の前記下部の幅及び前記第2の包み(3)の幅より短く、前記板(6)の長さも前記第1の包み(2)の前記下部の長さ及び第2の包み(3)の長さより短いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカバー(1)。
【請求項5】
前記板(6)は、平行六面体ベースを形成する1つの中央部と2つの折畳み側部とに前記板(6)を分ける、横断方向に延びる2本の折り目(6a、6b)を備えることを特徴とする請求項4に記載のカバー(1)。
【請求項6】
前記第2の包み(3)は、前記板(6)を挿入するための開口部(4、5)をそれぞれに設けた、2つの横端部を備えることを特徴とする請求項4又は5に記載のカバー(1)。
【請求項7】
前記2つの折畳み側部は、長さが同一であり、平行六面体ベースの体積が一旦空気の抜かれた前記第1の包み(2)の体積に相当する寸法になっていることを特徴とする請求項3に従属する請求項5又は6に記載のカバー(1)。
【請求項8】
特にスーツケースの形状の容器(7)を含む、物品の保管用及び/又は運搬用バッグ(20)であって、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の保管用カバー(1)を備え、前記カバー(1)は、前記容器(7)内に収納するのに適していることを特徴とするバッグ(20)。
【請求項9】
前記容器(7)が周囲垂直壁を備える前記バッグ(20)であって、
前記壁の内面に、前記容器(7)内で前記カバーを安定化させるための、平行六面体ベースを受容する受容手段(15)が備えられていることを特徴とする請求項8に記載のバッグ(20)。
【請求項10】
前記周囲垂直壁は、少なくとも2つの横側面(9、10、11、12)を備え、前記バッグは、請求項5〜7のいずれか1項に記載の保管用カバー(1)を備える請求項9に記載のバッグ(20)であって、
前記受容手段(15)は、前記少なくとも2つの横側面(9、10、11、12)の上側の角のある端部に位置するフラップによって構成され、前記フラップは、平行六面体ベースの形成時に、前記板(6)の折畳み可能な前記側部の角のある端部の受容を可能にすることを特徴とするバッグ(20)。
【請求項11】
請求項3に従属する請求項4〜7のいずれか1項に記載の保管用カバー(1)を備える請求項8〜10のいずれか1項に記載のバッグ(20)と、前記カバー(1)内の空気を抜くポンプ装置とを備えるキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−501918(P2012−501918A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525593(P2011−525593)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051585
【国際公開番号】WO2010/026329
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(511059494)
【Fターム(参考)】