説明

真空包装装置

【課題】容易に真空チャンバー内部を清掃できる真空包装装置を提供する。
【解決手段】シール受け台4は、ベークライト等の絶縁体からなる略直方体の電極支持部材の上面にシール用電極(ヒータ)を備える。電極支持部材の下面側には基台1側の凸部と嵌合する穴である凹部を備え、基台1に対して着脱可能に配設されている。基台1の凸部の上面に設けられた第1の接触電極と、シール受け台4に設けられた第2の接触電極とが互いに接触して、電気的に接続された状態となる。シール受け台4を基台1から取り外すことにより、基台1上面を一気に水洗いできるので、基台1上面の清掃を容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空もしくは減圧環境下で被包装物を収納した包装袋の開口部を封止する真空包装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被包装物を収納した包装袋の開口部を、真空もしくは減圧環境下で封止する真空包装技術は、被包装物、特に食品などの腐敗や鮮度低下を抑制するために広く行われている。
【0003】
従来の真空包装装置の構成を図8に示す。この真空包装装置は、基台101上面と蓋部材102とによって形成される密閉空間内に樹脂フィルム製の包装袋100を収容し、この密閉空間内を真空ポンプで排気減圧した状態で基台101の上面に載置された包装袋100の開口部分を封止する、いわゆるバッチ式の真空包装装置である。
包装袋100を封止するために、基台101上には、シール用電極を有するシール受け台103が立設されている。また、このシール受け台103と対向する蓋部材102の下面には、膨出体104を介して押さえ部材(シールバー)105が取り付けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このような真空包装装置においては、まず、液体や粉末などを含む被包装物を収納する包装袋100は、その包装袋100の開口部がシール受け台103上に位置するように基台101上に載置されて、基台101上に蓋部材102を載置することによって形成される真空チャンバ内に収容される。この状態で、真空ポンプにより真空チャンバ内を負圧化し、包装袋100内を脱気する。脱気したところで、外部電源に電気的に接続されたシール用電極に通電することによって、押さえ部材105によってシール受け台103上に押さえられた包装袋100の開口部を溶着し、包装袋100を真空封止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−099368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
真空チャンバ内を負圧化する際に、包装袋100の開口部から内容物の液体や粉末などが飛び出ることがあるので、真空包装装置においては、包装袋100から飛び出して基台101上等に付着した内容物を取り除くための清掃が欠かせない。特に被包装物が食品の場合は、衛生上の観点からも、飛び出た被包装物を取り除き、真空包装装置を清潔な状態を保たなければならない。真空包装装置を清潔な状態に保つためには、水流により基台101上等の付着物を洗い流すことが望ましい。
【0007】
しかしながら、従来の真空包装装置では、基台101にシール受け台103が固定されているため、基台101上面を一気に水洗いしようとするとシール受け台103が浸水し、漏電等のおそれが生じてしまう。したがって、基台101上面の清掃は、水洗に代えて、拭き掃除が中心となってしまうため、手間がかかる上、水洗した場合と同等程度に清潔な状態を保つことが難しかった。
また、あえて水洗しようとすれば、真空包装装置を分解してシール受け台103を取り外さなければならないので、日々行わなければならない真空包装装置の清掃としては非現実的であった。
【0008】
そこで、本発明は、容易に清掃できる真空包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述したような課題を解決するために、本発明に係る真空包装装置は、被包装物を収納した包装袋が載置される基台と、この基台に対して昇降可能に支持され、前記基台の上面に載置されるとその基台とともに前記包装袋を収容する密閉空間を形成する上部チャンバー部材と、前記基台の上面に配設され、前記密閉空間内において前記包装袋を溶着するシール用電極を備えたシール受け台と、前記上部チャンバー部材の前記シール受け台と対向する位置に膨出手段を介して前記シール受け台と平行に配設され、前記密閉空間内で前記包装袋の一部を前記シール受け台とともに押さえる押さえ部材とを備え、前記基台は、その基台の上面に立設されて前記シール受け台を支持する突起を備え、前記シール受け台は、前記突起と嵌合する穴を有し、前記基台に着脱可能に取り付けられることを特徴とする。
【0010】
上記真空包装装置において、さらに、前記基台の上面に設けられた凸部と、この凸部の上面に配置され、外部電源と電気的に接続されるとともに前記基台から電気的に絶縁された第1の接触電極とを備え、前記シール受け台は、前記シール用電極を支持するとともに、当該シール用電極を支持する側とは反対側に前記穴を有する電極支持部材と、この電極支持部材に設けられた切り欠き部と、この切り欠き部に設けられ、前記シール用電極と電気的に接続されるとともに、当該シール受け台が前記基台に取り付けられた状態で前記第1の接触電極と接触する第2の接触電極とを備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シール受け台が基台に対して着脱可能に配設することによって、シール受け台を基台から取り外して基台の上面を一気に水洗いすることができる。したがって、容易に真空包装装置を清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る真空包装装置の構成を模式的に示す平面図である。
【図2】図2は、図1のI-I線断面図である。
【図3】図3は、図1のII-II線断面図である。
【図4】図4は、シール受け台の構成を模式的に示す正面図である。
【図5】図5は、基台側の支持構造を模式的に示す断面図である。
【図6】図6は、基台側の支持構造とシール受け台とを組み合わせた状態を模式的に示す断面図である。
【図7】図7は、シール受け台を取り外した状態における基台の構成を模式的に示す平面図である。
【図8】図8は、従来の真空包装装置の構成を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
[真空包装装置の構成の概要]
本実施の形態に係る真空包装装置は、図1〜図3に示すように、基台1と、この基台1の上面に載置されてその基台1とともに密閉空間、すなわち、真空チャンバを形成する蓋部材(上部チャンバー部材)2と、基台1の上面に着脱可能に配設されたシール受け台4と、この真空包装装置およびこの真空包装装置に接続される真空ポンプ(図示せず)の動作を制御する制御装置5とを備えている。
【0015】
基台1は、SUS304等の金属からなる平面視略矩形の板状に形成され、脚部11によりその平面が水平となるように支持されている。
【0016】
この基台1に対してシール受け台4を着脱可能に配設するため、基台1の上面には、シール受け台4を支持する凸部6の突起68が設けられる一方、シール受け台4の略直方体の電極支持部材41の下面には、突起68と嵌合する凹部46等が形成される。このようなシール受け台4の支持構造等については追って詳述する。
【0017】
蓋部材2は、底面が開口したSUS304等の金属からなる略直方体の箱であり、開閉機構3によって基台1に対して昇降可能に支持されている。
蓋部材2の上壁面には、吸気口21が形成されており、この吸気口21に図示しない真空ポンプを接続することによって、基台1とともに形成される真空チャンバ内を減圧することができる。
【0018】
蓋部材2の内側には、真空チャンバ内において包装袋の一部をシール受け台4とともに押さえる押さえ部材7が、シール受け台4と対向する位置にエアバッグ8を介してシール受け台4と平行に配設されている。このエアバッグ8は、蓋部材2に形成された通気口9を介して外部と連通している。したがって、基台1および蓋部材2により構成される真空チャンバ内を減圧すると、エアバッグ8は通気口9から導入される外気によって膨張するので、押さえ部材7が下方に移動し、この押さえ部材7の下面がシール受け台4の上面に設けられたシール用電極42に圧接されることとなる。この状態で、シール受け台4の上面に設けられたシール用電極42に瞬間的に電流を流して包装袋を溶着することによって、真空封止を行うことができる。
【0019】
なお、本実施の形態にかかる真空包装装置において、蓋部材2を基台1に対して昇降可能に支持する開閉機構3は、基台1の底面に設けられモータ31と、このモータ31の回動軸32に一端が接続され、その回動軸32の軸心に直交する方向に延在する第1のアーム部33と、この第1のアーム部33の他端に接続されたリンク34と、蓋部材2の一外側壁から延設され、略中央部が基台1上面の一端に設けられた回動軸36により軸支され、開放端がリンク34の他端に接続された第2のアーム部35とから構成される。
このような開閉機構3は、図3の実線で示すように基台1上に蓋部材2が載置されたいわゆる閉状態において、モータ31の回動軸32を時計回り方向に回動させると、蓋部材2が基台1の上面から離間する。そして、図3の点線で示すように蓋部材2が最も基台1から離間したいわゆる開状態となると、回動軸32を固定して、その開状態を維持する。また、この開状態のときに回動軸32の固定を解除すると、自重によって蓋部材2が下方に移動して、図3の実線で示すように基台1上に載置されて閉状態となる。
なお、上述した蓋部材2の昇降、真空ポンプの動作、包装袋の溶着等の動作は、制御装置5によって制御される。
【0020】
次に、基台1に対してシール受け台4を着脱可能に配設するための、支持構造等について、図4乃至図6を参照しながら詳述する。
【0021】
[基台1側の構成]
基台1の上面に立設された突起68は、後述するシール受け台4の下面に設けられた凹部46と嵌合してシール受け台4を支持する役割を果たす。
本実施の形態にかかる真空包装装置においては、図5に示すように、基台1の上面に凸部6を設け、この凸部6に、シール用電極に電流を供給するための基台1側の電極(第1の接触電極)を突起68とともに設けている。
【0022】
具体的には、基台1に形成された孔に嵌入され溶接等により固定された筒12内に第1〜第5の絶縁部材61〜65を設けるとともに、これら第1〜第5の絶縁部材61〜65を棒状に形成された金属製の軸部材66が挿通している。この軸部材66は、軸線方向の途中にフランジ67を備えるとともに、下端部に形成された雄ねじに座金69aを介してナット69を螺着することによって、基台1に固定される。
この軸部材66は、基台1の上面に突出した部分が突起68として作用すると同時に、電線70を介して外部電源に接続される電極端子としても作用し、フランジ67は、シール用電極42に電流を供給するための基台1側の接触電極(第1の接触電極)として作用する。
【0023】
上述した筒12、第1〜第5の絶縁部材61〜65およびOリング61a〜65aは、基台1の上面に設けられる凸部6を構成する。本実施の形態においては、筒12の上部開口には、フランジを有する筒状の第1の絶縁部材61をOリング61aを介して嵌入し、さらに、この第1の絶縁部材61と軸部材66のフランジ67の間には、筒12の径より大きな径を有する円盤状の第5の絶縁部材65を絶縁Oリング65aを介して設けている。また、筒12の下部開口には、第2の絶縁部材62を嵌入した上で、Oリング63aを介して筒状の第3の絶縁部材63を外嵌し、さらにこの第3の絶縁部材63の貫通孔に筒状の第4の絶縁部材64を嵌入している。
【0024】
このように絶縁部材とOリングとを組み合わせることによって、筒12の上部開口および下部開口は封止された状態となっており、基台1の上面と下面とを気密分離するとともに、第1の接触電極として作用するフランジ67を含む軸部材66を、基台1から電気的に絶縁している。
【0025】
[シール受け台4の構成]
シール受け台4は、ベークライト等の絶縁体からなる略直方体の電極支持部材41の上面にシール用電極(ヒータ)42を備えるとともに、この電極支持部材41の下面側、すなわち、シール用電極42を支持する側とは反対側に、凹部46を備えている。この凹部46は、上述した基台1側の突起68と嵌合する穴である。
【0026】
具体的には、図4に示すように、電極支持部材41の下面の両端部、すなわち、基台1への載置面側の両端部に、シール受け台4の厚さ方向に平面視略矩形に切り欠かれた切り欠き部43が設けられている。この切り欠き部43は、上述した基台1に設けられた凸部6に対応した大きさに形成されている。
この切り欠き部43の基台1と対向する面からこの面に隣接する電極支持部材41の側面の一部にかけては、金属等の導電体からなる側面視略L字板に形成された接触電極(第2の接触電極)44が設けられている。この接触電極44は、電極支持部材41の側面に設けられた接続部45を介して、シール用電極42の一端に電気的に接続されている。
さらに、この切り欠き部43の基台1と対向する面には、基台1に立設された突起68と嵌合する凹部46が穿設されている。
【0027】
これら2つの凹部46を、基台1の上面に立設された対応する2つの突起68にそれぞれ嵌合させることにより、シール受け台4を基台1の上面の所定の位置に着脱可能に配設することができる。
【0028】
図6に示すように、凹部46を基台1の上面の突起68に嵌合させ、シール受け台4が基台1の上面の所定の位置に取り付けられた状態では、基台1側の軸部材66のフランジ67、すなわち、基台1の凸部の上面に設けられた第1の接触電極と、シール受け台4に設けられた第2の接触電極とが互いに接触して、互い電気的に接続された状態となる。したがって、基台1側に設けられた一対の軸部材66に電線70を介して供給された電圧を、第1の接触電極67および第2の接触電極44を通してシール用電極42に印加することができる。
【0029】
一方、シール受け台4を上方に引っ張り、突起68から凹部46を抜脱するだけで、シール受け台4を基台1から容易に取り外すことができる。したがって、真空包装装置を清掃するときには、シール受け台4を取り外して、基台1上面を流水で洗浄することができるので、真空包装装置の衛生状態を飛躍的に向上させることができる。
このとき、シール受け台4は基台1から取り外されているので、シール用電極42に水がかかる心配はなく、また、基台1上面に水をかけても、基台1に設けられた軸部材66および第1の接触電極(フランジ)67は、基台1から電気的に絶縁され、防水されているので、腐食や漏電の危険を避けることができる。
なお、シール受け台4については、基台1から取り外した後、布等で拭くことにより清掃すればよい。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態によれば、シール受け台4が基台1に対して着脱可能に配設されているので、シール受け台4を基台1から取り外すことによって基台1上面を一気に水洗いできるので、結果として、基台1上面の清掃を容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、真空包装装置など、被包装物が収容された包装袋の開口部を2つの部材により挟み込む構造を有する各種装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1…基台、2…蓋部材、3…開閉機構、4…シール受け台、5…制御装置、6…凸部、7…押さえ部材、8…エアバッグ、9…通気口、11…脚部、12…筒、21…吸気孔、31…モータ、32…回動軸、33…第1のアーム部、34…リンク、35…第2のアーム部、36…回動軸、41…電極支持部材、42…シール用電極、43…切り欠き部、44…接触電極、45…接続部、46…凹部、61…第1の絶縁部材、61a…Oリング、62…第2の絶縁部材、63…第3の絶縁部材、63a…Oリング、64…第4の絶縁部材、65…第5の絶縁部材、65a…Oリング、66…軸部材、67…フランジ、68…凸部、69…ナット、69a…座金、70…電線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を収納した包装袋が載置される基台と、
この基台に対して昇降可能に支持され、前記基台の上面に載置されるとその基台とともに前記包装袋を収容する密閉空間を形成する上部チャンバー部材と、
前記基台の上面に配設され、前記密閉空間内において前記包装袋を溶着するシール用電極を備えたシール受け台と、
前記上部チャンバー部材の前記シール受け台と対向する位置に膨出手段を介して前記シール受け台と平行に配設され、前記密閉空間内で前記包装袋の一部を前記シール受け台とともに押さえる押さえ部材とを備え、
前記基台は、その基台の上面に立設されて前記シール受け台を支持する突起を備え、
前記シール受け台は、前記突起と嵌合する穴を有し、前記基台に着脱可能に取り付けられる
ことを特徴とする真空包装装置。
【請求項2】
請求項1記載の真空包装装置において、さらに、
前記基台の上面に設けられた凸部と、
この凸部の上面に配置され、外部電源と電気的に接続されるとともに前記基台から電気的に絶縁された第1の接触電極と
を備え、
前記シール受け台は、
前記シール用電極を支持するとともに、当該シール用電極を支持する側とは反対側に前記穴を有する電極支持部材と、
この電極支持部材に設けられた切り欠き部と、
この切り欠き部に設けられ、前記シール用電極と電気的に接続されるとともに、当該シール受け台が前記基台に取り付けられた状態で前記第1の接触電極と接触する第2の接触電極と
を備える
ことを特徴とする真空包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−86845(P2013−86845A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228973(P2011−228973)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(391010459)株式会社設楽製作所 (4)
【出願人】(502066867)
【出願人】(502066890)
【Fターム(参考)】