説明

真空成形機および真空成形品の製造方法

【課題】装飾用シートを用いた真空成形において、基材表面に付着した塵に起因する美観の低下を防止する。
【解決手段】本発明による真空成形機100は、基材16および装飾用シート10を収容し、排気口21aを有するチャンバー20と、排気口21aを介してチャンバー20内の空気をチャンバー20の外部に排出する排気装置30と、チャンバー20内に載置される基材16の表面の静電気を除去する少なくとも1つの静電気除去装置40と、排気口21aに対向するように設けられた集塵部材50aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾用シートを減圧下で基材に成形しながら貼り付ける真空成形機に関する。また、本発明は、真空成形品の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
近年、塗装に代わる装飾手法として、基材の表面に装飾用のシートを貼り付ける手法が提案されている。装飾用シートを用いると、塗装に比べ、基材のリサイクルが容易になる。また、塗装とは異なる美観を醸し出すこともできるので、装飾性の向上を図ることもできる。
【0003】
装飾用シートの一例を図15に示す。図15に示す装飾用シート10は、装飾層1と、装飾層1を支持する支持層2とを有する。装飾層1は、例えば、印刷によって形成されたインク層や、金属を蒸着することによって形成された金属層を含む。支持層2は、ポリ塩化ビニル(PVC)などの樹脂材料から形成されている。装飾用シート10を基材に貼り付ける際には、装飾用シート10の表面に接着剤が塗布される。
【0004】
装飾用シートの基材への貼り付けは、減圧下で装飾用シートを基材の表面形状に沿うように成形しながら行われる。このような真空成形を行うための真空成形機は、例えば特許文献1や特許文献2に開示されている。このような真空成形機により、基材の表面に装飾用シートが貼り付けられた真空成形品を製造することができる。
【0005】
ところが、特許文献1および2に開示されている真空成形機を用いて装飾用シートの貼り付けを行うと、基材と装飾用シートとの間に混入した異物によって、真空成形品の美観が低下することがある。美観の低下の原因となる異物とは、具体的には、真空成形機内に存在する塵である。
【0006】
装飾用シートの貼り付けを行う際、真空成形機の内部は真空引きによって急激に減圧される。そのため、激しい空気摩擦により基材の表面に静電気が発生し、基材表面に真空成形機内の塵が吸着される。従って、真空成形を行うと、完成した真空成形品は、基材と装飾用シートとの間に塵を含んでしまう。特に、冬季は湿度が低いので、静電気が発生しやすく、美観の低下が発生しやすい。また、装飾用シートの装飾層が金属層を含んでいる場合、真空成形品表面の光反射率が高いので、塵の存在によって形成される装飾層(金属層)の微細な凹凸が外観に反映されやすく、美観の低下が顕著となる。
【0007】
このように、基材表面に発生する静電気に起因した塵の付着により、真空成形品の美観が低下してしまう。そこで、基材表面の静電気を、何らかの手法により除去することが考えられる。
【0008】
特許文献3は、TABテープに機能フィルムを貼り合わせるための装置に関し、加工室内に除電処理したクリーンエアーを充満させることにより、TABテープの帯電を防止することを開示している。また、特許文献4は、液晶表示装置用の複合フィルムを製造するための装置に関し、保護フィルムに除電ブロアーでエアーを吹き付けることにより、保護フィルムが静電気によって他の物に付着することを防止することを開示している。さらに、特許文献5は、ガラスレンズと高分子シートとが積層された貼り合わせレンズに関し、ガラスレンズに高分子シートとを貼り付ける直前に、ガラスレンズの内面に消イオン空気を吹き付けることにより、静電気が生じないように埃を取り除くことを開示している。
【特許文献1】特開2006−7422号公報
【特許文献2】特開昭63−214424号公報
【特許文献3】特開2002−301770号公報
【特許文献4】特開2000−169035号公報
【特許文献5】特開昭58−90925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献3、4および5に開示されている手法を、装飾用シートを用いた真空成形に用いても、真空成形品の美観の低下を抑制することはできない。
【0010】
例えば、特許文献3に開示されている手法を用いて、真空成形機の内部に除電処理したクリーンエアーを充満させても、真空引きの際に空気と基材との間に激しい摩擦が生じるので、基材の表面に静電気が発生してしまう。また、特許文献4に開示されている手法を用いて、装飾用シートに除電ブロアーでエアーを吹き付けて装飾用シートを除電しても、基材に塵が付着するのを防止することはできない。特許文献5に開示されている手法を用いて、基材に消イオン空気を吹き付けても、装飾用シートの貼り付け直前には装飾用シートによって基材への消イオン空気の吹き付けが妨げられて基材の表面に静電気が生じてしまうことがある。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、装飾用シートを用いた真空成形において、基材表面に付着した塵に起因する美観の低下を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による真空成形機は、装飾用シートを減圧下で基材に成形しながら貼り付けるための真空成形機であって、前記基材および前記装飾用シートを収容し、排気口を有するチャンバーと、前記排気口を介して前記チャンバー内の空気を前記チャンバーの外部に排出する排気装置と、前記チャンバー内に載置される前記基材の表面の静電気を除去する少なくとも1つの静電気除去装置と、前記排気口に対向するように設けられた集塵部材と、を備える。
【0013】
ある好適な実施形態において、前記少なくとも1つの静電気除去装置は、前記チャンバー内の、前記基材が載置される領域を囲むように配置された複数の静電気除去装置である。
【0014】
ある好適な実施形態において、前記複数の静電気除去装置は、無風状態で除電された空間を形成することができる。
【0015】
ある好適な実施形態において、前記集塵部材は、前記複数の静電気除去装置によって形成される前記除電空間と前記排気口との間に配置されている。
【0016】
ある好適な実施形態において、本発明による真空成形機は、前記チャンバー内において前記装飾用シートを前記基材に対して相対的に昇降させる昇降機構をさらに備え、前記少なくとも1つの静電気除去装置は、前記昇降機構によって前記装飾用シートおよび/または前記基材が昇降する領域の外側に位置し、前記静電気除去装置の少なくとも一部は、前記昇降機構によって互いにもっとも離れた位置にあるときの前記装飾用シートと前記基材との間の高さに位置している。
【0017】
ある好適な実施形態において、前記昇降機構は、前記装飾用シートを昇降可能に保持する保持部材を含む。
【0018】
ある好適な実施形態において、本発明による真空成形機は、前記集塵部材を帯電させる帯電装置をさらに備える。
【0019】
ある好適な実施形態において、前記集塵部材は、板状である。
【0020】
ある好適な実施形態において、本発明による真空成形機は、前記排気口に対向しないさらなる集塵部材を備える。
【0021】
本発明による真空成形品の製造方法は、装飾用シートおよび基材を用意する準備工程と、チャンバー内で前記装飾用シートを基材に貼り付ける貼付工程と、を包含する真空成形品の製造方法であって、前記チャンバー内に前記基材を載置する載置工程と、前記基材が載置された前記チャンバー内の空気を前記チャンバーの外部に排出する排気工程と、前記チャンバー内に載置された前記基材の表面の静電気を除去する静電気除去工程と、前記チャンバー内の集塵を行う集塵工程と、を包含する。
【0022】
ある好適な実施形態では、前記集塵工程において、前記チャンバーの排気口に対向するように設けられた集塵部材によって集塵が行われる。
【0023】
ある好適な実施形態では、前記静電気除去工程において、前記チャンバー内に載置された前記基材を囲むように配置された複数の静電気除去装置により静電気の除去が行われる。
【0024】
ある好適な実施形態では、前記静電気除去工程において、前記複数の静電気除去装置によって、無風状態で除電された空間が形成される。
【0025】
ある好適な実施形態では、前記準備工程において用意される前記装飾用シートは、装飾層と、前記装飾層を支持する支持層とを有し、前記装飾層は、金属層を含む。
【0026】
本発明による真空成形機は、静電気除去装置を備えているので、基材の表面の静電気を除去することができ、基材表面への塵の付着を防止できる。本発明による真空成形機は、さらに、集塵部材を備えている。この集塵部材は、排気口に対向するように設けられているので、排気装置によりチャンバー内の空気が排気口を介して外部に排出される際、空気は集塵部材を回り込む必要がある。従って、集塵部材と空気との間に激しい摩擦が生じ、集塵部材は帯電する。そのため、チャンバー内の塵が集塵部材に吸着されて集塵が行われるので、基材表面への塵の付着をより確実に防止することができる。このように、本発明による真空成形機は、静電気除去装置と集塵部材とを備えることにより、基材表面に付着した塵に起因する美観の低下を防止することができる。
【0027】
本発明による真空成形機が備える少なくとも1つの静電気除去装置は、チャンバー内の基材が載置される領域を囲むように配置された複数の静電気除去装置であることが好ましい。基材が載置される領域を複数の静電気除去装置で囲むことにより、基材の表面の静電気を効果的に除去することができる。
【0028】
複数の静電気除去装置は、無風状態で除電された空間を形成し得ることが好ましい。つまり、無風除電を行うことが可能な静電気除去装置を用いることが好ましい。無風除電の可能な静電気除去装置を用いると、減圧下でも好適に静電気の除去を行うことができる。この場合、集塵部材は、複数の静電気除去装置によって形成される除電された空間(除電空間)と排気口との間に配置されることになる。
【0029】
本発明による真空成形機は、典型的には、チャンバー内において装飾用シートを基材に対して相対的に昇降させる昇降機構をさらに備える。この場合、静電気除去装置は、昇降機構によって装飾用シートおよび/または基材が昇降する領域(成形領域)の外側に位置していることが好ましい。静電気除去装置を成形領域の外側に位置させることにより、静電気除去装置自体が成形を妨げる(例えば装飾用シートが静電気除去装置に貼り付けられてしまう)ことを防止できる。また、静電気除去装置の少なくとも一部が、昇降機構によって互いにもっとも離れた位置にあるときの装飾用シートと基材との間の高さに位置していることが好ましい。静電気除去装置の少なくとも一部を、互いにもっとも離れた位置にあるときの装飾用シートと基材との間の高さに位置させることにより、静電気の除去を効果的に行うことができる。
【0030】
昇降機構は、例えば、装飾用シートを昇降可能に保持する保持部材を含む。あるいは、昇降機構は、基材を昇降可能に支持する支持台を含んでもよい。
【0031】
本発明による真空成形機は、集塵部材を帯電させる帯電装置をさらに備えてもよい。帯電装置によって集塵部材を強制的に帯電させることにより、いっそう強力な集塵が可能になる。
【0032】
集塵部材は、排気装置による排気の際の空気との摩擦によって帯電しやすい形状を有することが好ましく、例えば、板状であることが好ましい。
【0033】
本発明による真空成形機は、排気口に対向しないさらなる集塵部材を備えてもよい。排気口に対向しない集塵部材であっても、排気装置による減圧時のチャンバー内での空気の流れによって帯電し得るので、チャンバー内の塵を集めることができる。
【0034】
本発明による真空成形品の製造方法は、チャンバー内に載置された基材の表面の静電気を除去する静電気除去工程を包含するので、基材の表面の静電気を除去し、基材表面への塵の付着を防止できる。また、本発明による真空成形品の製造方法は、さらに、チャンバー内の集塵を行う集塵工程を包含するので、基材表面への塵の付着をより確実に防止することができる。このように、本発明による真空成形品の製造方法は、静電気除去工程と集塵工程とを包含することにより、基材表面に付着した塵に起因する美観の低下を防止することができる。
【0035】
集塵工程においては、チャンバーの排気口に対向するように設けられた集塵部材によって集塵が行われることが好ましい。集塵部材が排気口に対向するように設けられていると、排気工程においてチャンバー内の空気が外部に排出される際、空気は集塵部材を回り込む必要がある。従って、集塵部材と空気との間に激しい摩擦が生じ、集塵部材は帯電する。そのため、チャンバー内の塵が集塵部材に吸着されて集塵が行われる。
【0036】
また、静電気除去工程においては、チャンバー内に載置された基材を囲むように配置された複数の静電気除去装置により静電気の除去が行われることが好ましい。基材が載置される領域を複数の静電気除去装置で囲むことにより、基材の表面の静電気を効果的に除去することができる。
【0037】
さらに、静電気除去工程においては、複数の静電気除去装置によって、無風状態で除電された空間が形成されることが好ましい。つまり、無風除電を行うことが可能な静電気除去装置を用いることが好ましい。無風除電の可能な静電気除去装置を用いると、減圧下でも好適に静電気の除去を行うことができる。
【0038】
装飾用シートの装飾層が金属層を含んでいる場合、基材の表面に付着した塵に起因する美観の低下が顕著となる。そのため、本発明は、装飾用シートの装飾層が金属層を含む場合に効果が高い。
【発明の効果】
【0039】
本発明によると、装飾用シートを用いた真空成形において、基材表面に付着した塵に起因する美観の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0041】
図1に、本実施形態における真空成形機100を示す。なお、図1には、説明のわかりやすさのために、装飾用シート10および基材16を併せて示している。真空成形機100は、装飾用シート10を減圧下で基材16に成形しながら貼り付けるための機器である。つまり、真空成形機100は、基材16およびその表面に貼り付けられた装飾用シート10(以下では単に「シート」とも呼ぶ。)から構成される真空成形品を製造するための装置である。
【0042】
シート10は、図15を参照しながら既に説明したように、装飾層1と、装飾層1を支持する支持層2とを有する。装飾層1は、例えば、印刷によって形成されたインク層や、金属を蒸着することによって形成された金属層である。支持層2は、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレートなどの樹脂材料から形成されている。シート10を基材16に貼り付ける際には、シート10の表面には接着剤が塗布される。なお、以下では、シート10の本体とも言うべき支持層2を「シート基材」とも呼ぶ。基材16(真空成形品の本体)は、典型的には、樹脂材料から形成される。樹脂材料としては、ポリプロピレン(PP)、ナイロン、ABS樹脂、AES樹脂などが用いられる。
【0043】
本実施形態における真空成形機100は、図1に示すように、基材16およびシート10を収容するチャンバー(真空容器)20と、チャンバー20内の空気をチャンバー20の外部に排出する排気装置30とを備える。
【0044】
チャンバー20内には、シート10を保持する保持部材11が設けられている。チャンバー20は、シート10および保持部材11によって互いに区画される上側ボックス21および下側ボックス22を有する。上側ボックス21は、その底面が開口している。これに対し、下側ボックス22は、その上面が開口している。下側ボックス22の底面上に、基材16が載置される。上側ボックス21および下側ボックス22には、それぞれ排気口21aおよび22aが設けられている。
【0045】
保持部材11は、シート10の外周部分を把持することが可能な環状(例えば四角環状)の部材である。保持部材11は、シート10を保持した状態で上下に移動可能である。つまり、保持部材11は、シート10を基材16に対して相対的に昇降させる昇降機構として機能する。
【0046】
本実施形態におけるチャンバー20は、さらに、シート10を加熱するための加熱装置(ヒーター)12を収容するヒーターボックス23を有する。ヒーター12は、例えば、遠赤外線ヒーターである。ヒーターボックス23は、下側ボックス22に隣接するように設けられている。ヒーター12は、シート10を加熱する際には下側ボックス22内に導入される。
【0047】
チャンバー20の下側ボックス22内には、さらに、チャンバー20内に収容された基材16を囲む枠体25が設けられている。枠体25は、図2に示すように、筒状(ここでは四角筒状)であり、枠体25の内側の空間25Aに基材16が配置される。枠体25は、図1に示されているように、下側ボックス22の底面から、基材16の頂部よりも高い位置まで延びている。つまり、枠体25の頂部は、基材16の頂部よりも高い位置にある。枠体25は、例えば、帯電防止剤入りポリプロピレン(PP)から形成されている。また、アルミニウムから形成された枠体25をアースしてもよい。あるいは、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)などを枠体25の材料として用いてもよい。基材16の材料よりも体積抵抗率の高い材料を用いると、基材16よりも枠体25に塵が吸着されるようになるので好ましい。
【0048】
排気装置30は、典型的には、真空ポンプである。排気装置30は、排気口21aおよび22aを介してチャンバー20内の空気をチャンバー20の外部に排出する。排気装置30と上側ボックス21との間には、上側ボックス21内の減圧状態を調整するためのバルブ31が設けられている。また、排気装置30と下側ボックス22との間には、下側ボックス22内の減圧状態を調整するためのバルブ32が設けられている。
【0049】
本実施形態における真空成形機100は、さらに、複数の静電気除去装置40と、複数の集塵部材50a、50bとを備える。以下、図3も参照しながら、真空成形機100の構成をより具体的に説明する。図3は、チャンバー20の上側ボックス21および下側ボックス22内を上方から見た図である。図3では、シート10および保持部材11は省略されている。
【0050】
複数の静電気除去装置40は、チャンバー20内に載置される基材16の表面の静電気を除去する。本実施形態では、図3に示すように、4つの静電気除去装置40が、チャンバー20内の、基材16が載置される領域を囲むように配置されている。これらの静電気除去装置40は、昇降機構である保持部材11によってシート10が昇降する領域(「成形領域」と呼ぶ。)の外側に位置する。また、静電気除去装置40は、図1に示すように、保持部材11がもっとも上に位置しているとき(つまり昇降機構によってシート10と基材16とが互いにもっとも離れた位置にあるとき)のシート10と基材16との間の高さに位置している。
【0051】
本実施形態における複数の静電気除去装置40は、無風状態で除電された空間(「除電空間」と呼ぶ。)を形成することができる。つまり、静電気除去装置40は、無風除電を行うことができる。
【0052】
複数の集塵部材50a、50bは、帯電性を有する材料から形成された部材であり、ここでは板状である。集塵部材50aおよび50bの材料は、できるだけ帯電しやすいことが好ましく、1×1016Ω・cm以上の体積抵抗率を有することが好ましい。体積抵抗率は、ISO 2951に準拠して測定される。集塵部材50a、50bの材料としては、具体的には、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)などの樹脂材料を好適に用いることができる。
【0053】
複数の集塵部材50a、50bのうちの一部の集塵部材50aは、上側ボックス21の排気口21aに対向するように設けられており、複数の静電気除去装置40によって形成される除電空間と排気口21aとの間に配置されている。これに対し、他の集塵部材50bは、排気口21aには対向していない。排気口21aに対向しない集塵部材50bは、チャンバー20の(上側ボックス21の)内壁面に取り付けられている。一方、排気口21aに対向する集塵部材50aは、チャンバー20の(上側ボックス21の)内壁面近傍に設けられているものの、排気口21aを塞いでしまわないように、排気口21aから所定の距離(典型的には100mm〜200mm程度)離れた位置に配置されている。
【0054】
上述したように、本実施形態における真空成形機100は、静電気除去装置40を備えているので、基材16の表面の静電気を除去することができ、基材16の表面への塵の付着を防止できる。本実施形態における真空成形機100は、さらに、排気口21aに対向するように設けられた集塵部材50aを備えている。排気装置30によりチャンバー20内の空気が排気口21aを介して外部に排出される際、空気は集塵部材50aを回り込む必要がある。従って、集塵部材50aと空気との間に激しい摩擦が生じ、集塵部材50aは帯電する。そのため、チャンバー20内の塵が集塵部材50aに吸着されて集塵が行われるので、基材16の表面への塵の付着をより確実に防止することができる。このように、本実施形態における真空成形機100は、静電気除去装置40と集塵部材50aとを備えることにより、基材16の表面に付着した塵に起因する美観の低下を防止することができる。
【0055】
集塵部材50aは、排気装置30による排気の際の空気との摩擦によって帯電しやすい形状を有することが好ましく、例えば、板状であることが好ましい。
【0056】
なお、本実施形態では、チャンバー20内に4つの静電気除去装置40が設けられる構成を例示したが、静電気除去装置40の個数は4つに限定されるものではない。少なくとも1つの静電気除去装置40を設けることにより、基材16の表面の静電気を除去することができる。ただし、美観の低下をより確実に防止する観点からは、チャンバー20内の基材16が載置される領域を囲むように複数の静電気除去装置40を配置することが好ましい。基材16が載置される領域を複数の静電気除去装置40で囲むことにより、静電気の除去を効果的に行うことができる。
【0057】
また、複数の静電気除去装置40は、本実施形態のように、無風状態で除電された空間を形成し得ることが好ましい。つまり、無風除電を行うことが可能な静電気除去装置40を用いることが好ましい。無風除電の可能な静電気除去装置40を用いると、減圧下でも好適に静電気の除去を行うことができる。
【0058】
無風除電の可能な静電気除去装置40としては、例えば、株式会社トリンク製の空間除電器TAS−801を用いることができる。この空間除電器は、プラスイオンを放射する放電針と、マイナスイオンを放射する放電針とを備え、除電対象である空間にイオンを放射することにより、空間内の電荷を中和する。これにより、無風状態で静電気を除去することができる。勿論、静電気除去装置40として、無風除電を行うことのできない除電器を用いてもよい。具体的には、静電気除去ファンやイオナイザー、除電ブロア(例えば株式会社キーエンス製)などを用いてもよい。
【0059】
また、静電気除去装置40は、図3に示したように、成形領域の外側に位置していることが好ましい。静電気除去装置40を成形領域の外側に位置させることにより、静電気除去装置40自体が成形を妨げる(例えばシート10が静電気除去装置40に貼り付けられてしまう)ことを防止できる。
【0060】
さらに、静電気除去装置40の少なくとも一部は、図1に示したように、互いにもっとも離れた位置にあるときのシート10と基材16との間の高さに位置していることが好ましい。これにより、例えば、塵の付着が特に問題となるシート10の下面や基材16の表面にイオンが当てやすくなり、静電気の除去を効果的に行うことができる。
【0061】
また、本実施形態では、排気口21aに対向する集塵部材50aに加え、排気口21aに対向しない集塵部材50bが設けられている。排気口21aに対向しない集塵部材50bであっても、排気装置30による減圧時のチャンバー20内での空気の流れによって帯電し得る(勿論排気口21aに対向する集塵部材50aほどではないが)ので、チャンバー20内の塵を集めることができる。そのため、排気口21aに対向する集塵部材50aに加えて排気口21aに対向しない集塵部材50bを設けることによって、いっそう確実な集塵を行うことができる。なお、図3では、排気口21aに対向する2つの集塵部材50aと排気口21aに対向しない6つの集塵部材50bを例示しているが、集塵部材50aおよび50bのそれぞれの個数はこれに限定されるものではない。
【0062】
上述したように、集塵部材50aおよび50bは、排気を行う際の空気の流れにより帯電し得るが、集塵部材50aおよび50bを帯電させる帯電装置をさらに設けてもよい。帯電装置によって集塵部材50aおよび50bを強制的に帯電させることにより、いっそう強力な集塵が可能になる。帯電装置は、例えば、集塵部材50aおよび50bに高電圧(具体的には6000V〜12000V程度)を印加することによって集塵部材50aおよび50bの表面を帯電させる。
【0063】
帯電装置と集塵部材50a(あるいは50b)の組み合わせの一例を図4に示す。図4に示す例では、板状電極61および針状電極62が高圧電源に接続されており、いわゆるコットレル式の電気集塵機が構成されている。板状電極61は、例えば鉄板であり、針状電極62は、例えば細いタングステン線である。図4に示す例では、板状電極61が集塵部材50a(あるいは50b)として機能し、他の構成要素が帯電装置として機能する。針状電極62と板状電極61との間で発生した放電により電荷を帯びた塵が、板状電極61に吸着される。
【0064】
続いて、上述した真空成形機100を用いた真空成形品の製造方法を説明する。本実施形態における製造方法は、シート10および基材16を用意する準備工程と、チャンバー20内でシート10を基材16に貼り付ける貼付工程とを少なくとも包含する。
【0065】
以下、図5〜図12を参照しながら、より具体的な説明を行う。図5〜図12は、真空成形品の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0066】
まず、シート10および基材16を用意する(準備工程)。シート10は、既に述べたように、装飾層1と、装飾層1を支持するシート基材(支持層)2とを有する。装飾層1は、例えば、印刷によって形成されたインク層や、金属を蒸着することによって形成された金属層である。装飾層1は、単層である必要はなく、インク層や金属層などが積層された多層構造を有していてもよい。シート基材2は、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレートなどの樹脂材料から形成されている。基材16は、既に述べたように、典型的には樹脂材料から形成されており、例えば、射出成形により作製することができる。樹脂材料としては、一般的にはABS樹脂やAES樹脂を用いることが好ましく、耐熱性の点ではナイロンを用いることが好ましい。また、環境対応の点では、オレフィン系リサイクル材やポリエチレンを用いることが好ましい。
【0067】
次に、図5に示すように、チャンバー20内に基材16を載置する(載置工程)。より具体的には、下側ボックス22に設けられた枠体25の内側に基材16を載置する。
【0068】
続いて、図6に示すように、シート10を保持部材11に固定する。このとき、シート10の2つの表面のうちの一方には、接着剤が塗布されている。
【0069】
次に、図7に示すように、チャンバー20内に載置された基材16の表面の静電気を除去する(静電気除去工程)。具体的には、基材16を囲むように配置された複数の静電気除去装置40によって、無風状態で除電された空間(除電空間)が形成され、それによって静電気の除去が行われる。
【0070】
その後、図8に示すように、ヒーター12を用いてシート10を加熱する。シート10は、十分に軟化するように、シート基材2の荷重たわみ温度をTAとしたとき、(TA−40)℃以上(TA+50)℃以下の範囲内の温度に加熱されることが好ましく、(TA+30)℃以上(TA+50)℃以下の範囲内の温度に加熱されることがより好ましい。
【0071】
また、このとき、図8に示すように、チャンバー20内の空気を排気口21aおよび22aを介してチャンバー20の外部に排出する(排気工程)。つまり、排気装置30によりチャンバー20内を減圧する。この際、図9に模式的に示しているように、空気は、排気口21aに対向するように設けられた集塵部材50aを回り込む必要がある。従って、集塵部材50aと空気との間に激しい摩擦が生じ、集塵部材50aは帯電する。そのため、チャンバー20内の塵が集塵部材50aに吸着されて集塵が行われる。このように、排気工程と同時に集塵工程も実行される。
【0072】
次に、図10に示すように、保持部材11をシート10ごと下降させる。具体的には、シート10が枠体25に当接する位置まで保持部材11を下降させる。このとき、上側ボックス21の排気口21aを介した排気が停止されるとともに、下側ボックス22の排気口22aを介した排気は引き続いて行われているため、図11に示すように、圧力差によってシート10が基材16に対して押圧され、基材16に接合される。つまり、シート10が基材16の表面に沿うように延ばされながら(つまり成形されながら)貼り付けられる(貼付工程)。
【0073】
続いて、シート10の不要な部分(基材16からはみ出た部分)を回転刃などの切断手段を用いて切断(トリミング)することにより、図12に示すように、基材16およびその表面に貼り付けられた装飾用シート10から構成される真空成形品19が完成する。
【0074】
本実施形態における製造方法は、上述したように、チャンバー20内に載置された基材16の表面の静電気を除去する静電気除去工程を包含するので、基材16の表面の静電気を除去し、基材16の表面への塵の付着を防止できる。また、本実施形態における製造方法は、さらに、チャンバー20内の集塵を行う集塵工程を包含するので、基材16の表面への塵の付着をより確実に防止することができる。このように、本実施形態における真空成形品の製造方法は、静電気除去工程と集塵工程とを包含することにより、基材16の表面に付着した塵に起因する美観の低下を防止することができる。
【0075】
表1に、本実施形態における真空成形機100を用いた場合(実施例)と、静電気除去装置および集塵部材を備えていない従来の真空成形機を用いた場合(従来例)とについて、真空成形品の基材とシートとの間に存在する塵(異物)の大きさ(直径)と1m2あたりの個数(50回製造後の平均)との関係を示す。塵の個数の計測は、透明な基材にシートを貼り付けることによって真空成形品を製造し、完成した真空成形品を裏側から目視で観察することにより行った。
【0076】
【表1】

【0077】
表1からわかるように、実施例の真空成形機100では、従来例の真空成形機よりも、美観の低下の主な原因となる直径0.2mm以上の塵の個数が大幅に低減されていることがわかる。
【0078】
なお、表1には、静電気除去装置を備えているが集塵部材を備えていない真空成形機(比較例1)と、集塵部材を備えているが静電気除去装置を備えていない真空成形機(比較例2)についても同様の関係を示している。表1から、実施例の真空成形機100では、静電気除去装置および集塵部材の一方しか備えていない比較例1および2の真空成形機と比べても、塵の個数が大幅に低減されていることがわかる。
【0079】
また、本実施例の真空成形機100のように、静電気除去装置40と集塵部材50aとが両方設けられていると、製造回数が増加しても(つまり多数回製造を繰り返しても)塵の個数がほとんど増加しない。これに対し、比較例1および2の真空成形機のように、静電気除去装置および集塵部材の一方しか設けられていないと、製造を繰り返すうちに塵の個数が従来例とほぼ同程度にまで増加してしまう。
【0080】
このように、本発明によれば、基材16の表面に付着する塵の個数が大幅に低減されるので、真空成形品19の美観の低下が防止される。既に述べたように、美観の低下は、シート10の装飾層1が金属層を含んでいる場合に顕著となるので、本発明は、シート10の装飾層1が金属層を含む場合に効果が高い。
【0081】
なお、図11に示した貼付工程においては、シート10に対して基材16とは反対側に広がる空間を加圧することが好ましい。このような加圧を行うことにより、シート10を基材16に対して押圧するための圧力差をより高くすることができるので、いっそう速やかにシート10の貼り付けを行うことができる。このような加圧は、例えば、チャンバー20内に不図示の圧縮機(コンプレッサ)を用いて圧縮空気を供給することによって行うことができる。
【0082】
また、本実施形態では、保持部材11が昇降機構として機能する構成、つまり、シート10を保持部材11ごと下降させる構成を例示したが、これとは逆に、基材16および枠体25を上昇させてもよい。例えば、下側ボックス22内に、基材16および枠体25を支持するテーブル(支持台)を設け、このテーブルごと基材16および枠体25を上昇させてもよい。
【0083】
さらに、図1などには、下側ボックス22内(枠体25内)に1つの基材16が載置される構成を例示したが、図13に示すように、下側ボックス22内に複数の基材16を載置してもよい。複数の基材16を載置することにより、一回の貼付工程でより多くの真空成形品19を製造することができるので、製造コストの低減を図ることができる。
【0084】
また、本実施形態では、チャンバー20がヒーターボックス23を有する構成を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図14に示すように、ヒーター12を上側ボックス21内に配置し、ヒーターボックス23を省略してもよい。
【0085】
本実施形態における製造方法により製造された真空成形品19は、美しい外観を有しているので、種々の輸送機器の外装部材として好適に用いられる。例えば、自動二輪車のタンクカバーやフロントフェンダー、テールカウルとして好適に用いられる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明によると、装飾用シートを用いた真空成形において、基材表面に付着した塵に起因する美観の低下を防止することができる。
【0087】
本発明による真空成形機あるいは真空成形品の製造方法を用いて製造された真空成形品は、美しい外観を有しているので、乗用車、バス、トラック、オートバイ、トラクター、飛行機、モーターボート、土木車両などの種々の輸送機器の外装部材に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の好適な実施形態における真空成形機100を模式的に示す図である。
【図2】真空成形機100の枠体を模式的に示す斜視図である。
【図3】真空成形機100のチャンバー20内を上方から見た図である。
【図4】帯電装置と集塵部材の組み合わせの例を示す図である。
【図5】真空成形機100を用いた真空成形品の製造方法を説明するための図である。
【図6】真空成形機100を用いた真空成形品の製造方法を説明するための図である。
【図7】真空成形機100を用いた真空成形品の製造方法を説明するための図である。
【図8】真空成形機100を用いた真空成形品の製造方法を説明するための図である。
【図9】真空成形機100を用いた真空成形品の製造方法を説明するための図である。
【図10】真空成形機100を用いた真空成形品の製造方法を説明するための図である。
【図11】真空成形機100を用いた真空成形品の製造方法を説明するための図である。
【図12】真空成形機100を用いた真空成形品の製造方法を説明するための図である。
【図13】本発明の好適な実施形態における真空成形機100を模式的に示す図である。
【図14】本発明の好適な実施形態における真空成形機100を模式的に示す図である。
【図15】装飾用シート10の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
1 装飾層
2 シート基材(支持層)
10 装飾用シート
11 保持部材
12 ヒーター
16 基材
20 チャンバー
21 上側ボックス
21a 排気口
22 下側ボックス
22a 排気口
23 ヒーターボックス
25 枠体
30 排気装置
31、32 バルブ
40 静電気除去装置
50a、50b 集塵部材
100 真空成形機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾用シートを減圧下で基材に成形しながら貼り付けるための真空成形機であって、
前記基材および前記装飾用シートを収容し、排気口を有するチャンバーと、
前記排気口を介して前記チャンバー内の空気を前記チャンバーの外部に排出する排気装置と、
前記チャンバー内に載置される前記基材の表面の静電気を除去する少なくとも1つの静電気除去装置と、
前記排気口に対向するように設けられた集塵部材と、を備える真空成形機。
【請求項2】
前記少なくとも1つの静電気除去装置は、前記チャンバー内の、前記基材が載置される領域を囲むように配置された複数の静電気除去装置である請求項1に記載の真空成形機。
【請求項3】
前記複数の静電気除去装置は、無風状態で除電された空間を形成することができる請求項2に記載の真空成形機。
【請求項4】
前記集塵部材は、前記複数の静電気除去装置によって形成される前記除電空間と前記排気口との間に配置されている請求項3に記載の真空成形機。
【請求項5】
前記チャンバー内において前記装飾用シートを前記基材に対して相対的に昇降させる昇降機構をさらに備え、
前記少なくとも1つの静電気除去装置は、前記昇降機構によって前記装飾用シートおよび/または前記基材が昇降する領域の外側に位置し、前記静電気除去装置の少なくとも一部は、前記昇降機構によって互いにもっとも離れた位置にあるときの前記装飾用シートと前記基材との間の高さに位置している請求項1から4のいずれかに記載の真空成形機。
【請求項6】
前記昇降機構は、前記装飾用シートを昇降可能に保持する保持部材を含む請求項5に記載の真空成形機。
【請求項7】
前記集塵部材を帯電させる帯電装置をさらに備える請求項1から6のいずれかに記載の真空成形機。
【請求項8】
前記集塵部材は、板状である請求項1から7のいずれかに記載の真空成形機。
【請求項9】
前記排気口に対向しないさらなる集塵部材を備える請求項1から8のいずれかに記載の真空成形機。
【請求項10】
装飾用シートおよび基材を用意する準備工程と、
チャンバー内で前記装飾用シートを基材に貼り付ける貼付工程と、を包含する真空成形品の製造方法であって、
前記チャンバー内に前記基材を載置する載置工程と、
前記基材が載置された前記チャンバー内の空気を前記チャンバーの外部に排出する排気工程と、
前記チャンバー内に載置された前記基材の表面の静電気を除去する静電気除去工程と、
前記チャンバー内の集塵を行う集塵工程と、を包含する真空成形品の製造方法。
【請求項11】
前記集塵工程において、前記チャンバーの排気口に対向するように設けられた集塵部材によって集塵が行われる請求項10に記載の真空成形品の製造方法。
【請求項12】
前記静電気除去工程において、前記チャンバー内に載置された前記基材を囲むように配置された複数の静電気除去装置により静電気の除去が行われる請求項10または11に記載の真空成形品の製造方法。
【請求項13】
前記静電気除去工程において、前記複数の静電気除去装置によって、無風状態で除電された空間が形成される請求項12に記載の真空成形品の製造方法。
【請求項14】
前記準備工程において用意される前記装飾用シートは、装飾層と、前記装飾層を支持する支持層とを有し、
前記装飾層は、金属層を含む請求項10から13のいずれかに記載の真空成形品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−155367(P2010−155367A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334437(P2008−334437)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】