説明

真空濾過装置

【課題】 濾過部における濾布上に均一なスラリーの供給を可能とする。
【解決手段】 装置本体上には濾布上にスラリーSを供給する供給装置が設けられ、供給装置は、スラリーSを吐出する開口部を有するフィードパイプと、該フィードパイプと濾布との間に配設された分散板22とを備え、分散板22の、前記フィードパイプ開口部と対向するスラリー供給面22aは、前記開口部側から濾布上に向けて傾斜して延在するとともに、該傾斜する方向における濾布側の端部22bは、当該スラリー供給面22aの平面視において、前記傾斜する方向と交差する方向に延在し、スラリー供給面22aの前記端部22bには、前記傾斜する方向に対して凸とされた凸部41と凹とされた凹部42とが、当該端部22bの延在する方向に交互に複数連設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略水平に走行可能とされた濾布上に供給されたスラリーを、この濾布の下に設けられた真空トレイによって真空吸引して濾過する真空濾過装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の真空濾過装置としては、例えば下記特許文献1および2などに、装置本体に設けられた複数のロールに濾布が無端状に巻き掛けられてその周回り方向に連続的に走行可能とされ、このうち装置本体上部の濾布が水平に走行させられる部分において、この濾布の下に、真空吸引手段に連結された複数の真空トレイを所定のストロークでこの濾布の走行方向に進退可能に設け、これらの真空トレイが濾布の走行方向に向けて前進するときには、前記真空吸引手段により濾布を介して真空吸引を行って濾布上に供給されたスラリーを濾過する一方、真空トレイがそのストロークエンドに達したときには、真空吸引を解除して真空トレイを後退させ、しかる後再び真空トレイを前進させつつ吸引・濾過を行うといった操作を繰り返すようにしたものが提案されている。
また、下記特許文献3および4には、濾布が走行方向に間欠的に所定のストロークで前進走行するとともに、濾布が停止したときにスラリーの供給装置を濾布の走行方向や幅方向に移動させつつスラリーの供給を行うものも提案されている。
【特許文献1】特開昭62−79817号公報
【特許文献2】特開平7−148404号公報
【特許文献3】特開平5−69564号公報
【特許文献4】特開平7−124418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、このような真空濾過装置では、この装置に供されるスラリーの性状(例えばスラリーの沈降性や粘度)、あるいはスラリーのフィードパイプからの吐出量によっては、濾布上の全域に亙って均一な厚さのスラリーを供給することができない場合があった。すなわち、連続走行する濾布上に単にスラリー注入口からスラリーを供給するだけの前記特許文献1、2記載の真空濾過装置では、スラリーの沈降性や粘度が高い場合、あるいはスラリーの供給量が少ない場合、スラリーが濾布上でその幅方向に十分に分散されることなく、スラリー注入口の直下に集中的に堆積してしまうため、この濾布の幅方向に供給ムラが発生し易くなる。これは、スラリー注入口を単に濾布の走行方向に移動させるだけの前記特許文献3記載の真空濾過装置でも同様である。
【0004】
ところで、このような問題を解決するための手段として、濾布上に該濾布の幅方向に延在するフィードパイプを配設して、該フィードパイプの前記濾布と対向する表面に、このパイプが延在する延在方向に小ピッチで複数の小径のスラリー注入口を設ける構成を採用することが考えられる。しかしながら、スラリーには固形分が含有されている場合があるため、前記小径のスラリー注入口では、該注入口が詰まり易くなるおそれがあり、有効な解決手段にはなり得ない。
一方、スラリーの供給口を濾布の幅方向に移動可能とした前記特許文献4記載の真空濾過装置でも、単にこの供給口を濾布の幅方向、すなわち濾布の走行方向と直角に移動させつつスラリーを供給しただけでは、前記性状を有するスラリーの場合には、やはり濾布の走行方向においてスラリーが不均一に供給されることとなる。
【0005】
ところで、この文献4には、スラリーの供給口としてフレキシブルホースを介して供給されたスラリーを撹拌機構によって前記走行方向に均一に広げてシュートにより濾布上に落とす供給ボックスが開示されているが、前述のような沈降性や粘度の高いスラリーでは、前記シュート上で前記走行方向に均一に広げられたとしても、図7に示すように、該シュート101の濾布側の端部101aから濾布上に落下する際に、該端部101aが延在する延在方向(前記走行方向)で隣合うスラリーSが、このスラリーSが含有する液の粘性や表面張力によりくっつき合い(再集合し)、不特定の数箇所からまとまった量のスラリーSが不均一な量で濾布上に落下する、つまりスラリーSを前記広げた状態のまま濾布上に落下させることができず、やはりスラリーSを均一に濾布上に供給することができないおそれがあった。
【0006】
したがって、これらのようにスラリーが不均一に濾布上に供給された場合、スラリーを濾過した後に形成される脱水ケーキの含液率が部分ごとでばらつくことがあり、この状態の脱水ケーキに洗浄装置によって洗浄液を供給しても、製品品質を向上させる、若しくは製品中の不純物濃度を低減させることができないおそれがあった。
【0007】
本発明は、このような背景の下になされたもので、濾過部における濾布上に均一なスラリーの供給を可能とし、これにより製品品質の向上、若しくは製品中の不純物濃度を低減させることが可能な真空濾過装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明の真空濾過装置は、装置本体に略水平に走行可能に設けられた濾布の下に、真空吸引装置に連結された真空トレイが設けられ、この濾布上に供給されたスラリーを前記真空トレイによって前記濾布を介して真空吸引することにより濾過する真空濾過装置であって、前記装置本体上には、前記濾布上に前記スラリーを供給する供給装置が設けられ、該供給装置は、前記スラリーを吐出する開口部を有するフィードパイプと、該フィードパイプと前記濾布との間に配設された分散板とを備え、該分散板の、前記フィードパイプの開口部と対向するスラリー供給面は、前記フィードパイプの開口部側から前記濾布上に向けて傾斜して延在し、前記スラリー供給面の前記濾布側の端部には、前記傾斜する方向に対して凸とされた凸部と、凹とされた凹部とが、当該端部の延在する方向に交互に複数連設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、スラリー供給面の前記端部に前記凸部および前記凹部が設けられているので、該供給面に供給されて前記端部に到達したスラリーは、少量の一部が前記凸部の上面に流れる場合があるものの、それよりも多量のスラリーが前記凹部から濾布上に落下することとなる。そのため、該多量のスラリーの落下する流動に引き込まれるようにして、前記少量の一部も前記凹部に向けて流動させられることとなる。すなわち、前記端部に到達したスラリーは、おもにそれぞれの凹部から濾布上に落下することとなり、該スラリーを前記端部の延在する方向において、特定の位置から分断した状態で、かつそれぞれから略均一な量で落下させることが可能になる。したがって、スラリーが例えば沈降性や粘度の高い性状を有している場合に、前記落下するスラリーが、図7に示したように前記端部の延在する方向で集合してまとまり、該端部の特定されない数箇所からまとまった量のスラリーが不均一な量で濾布上に供給されることを抑えることができる。このため、スラリー供給面の前記端部が延在する方向における、スラリーが落下する位置、および単位長さ当たりのスラリーの落下量を、該方向で均等にすることが可能になり、濾布上にスラリーを均一な厚さで供給することができる。これにより、製品品質の向上、若しくは製品中の不純物濃度を低減させることができる。
【0010】
ここで、少なくとも前記凸部および前記凹部が形成された前記スラリー供給面の前記濾布側の端部は、前記分散板に対して着脱可能とされていることが望ましい。この場合、スラリーの性状や吐出量に応じて前記凸部および前記凹部の配設ピッチ、大きさ、形状等を種々変更することが可能になり、該真空濾過装置の取り扱い性を向上させることができる。
【0011】
また、少なくとも前記凸部および前記凹部が形成された前記スラリー供給面の前記濾布側の端部は、前記濾布の幅方向における略全域に亙って延在していることが望ましい。
この場合、分散板を濾布の幅方向に揺動可能に設けずとも、濾布上の幅方向における略全域に亙って均等な厚さのスラリーを供給することが可能になり、この真空濾過装置の大型化、高コスト化を抑制することができる。
【0012】
さらに、前記フィードパイプの開口部は、前記スラリー供給面の平面視において、該スラリー供給面の前記傾斜する方向と交差する方向に揺動可能とされていることが望ましい。この場合、フィードパイプ開口部から吐出されたスラリーを、分散板のスラリー供給面の前記傾斜する方向におけるフィードパイプの開口部側に、このスラリー供給面の平面視において、この供給面の前記傾斜する方向と交差する方向に所定幅広げて配置することが可能になる。このようにして配置されたスラリーは、その自重によりスラリー供給面の傾斜面に沿って前記端部側に移動することにより、該移動の過程で、このスラリーの厚さが徐々にスラリー供給面に沿った方向において均等になる。従って、スラリー供給面の前記端部に位置するスラリーの厚さを均等にすることができる。
以上により、複数の前記凹部それぞれから濾布上に落下するスラリーの量を均等にすることが可能になり、濾布上に均等な厚さのスラリーを確実に供給することができる。
【0013】
ここで、このようなフィードパイプとしては、この開口部を前記交差する方向に複数設け、該交差する方向にそれぞれ揺動可能とするのが望ましく、これにより、フィードパイプの開口部の揺動ストロークを最小限に抑えても、前述と同様に、濾布上のスラリーの厚さを均等にすることができるので、フィードパイプに損傷が発生することを抑制することが可能になり、この真空濾過装置の長寿命化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1から図3、図4(a)、および図6は、本発明の一実施形態を示すものである。本実施形態の真空濾過装置では、その装置本体10において無端ベルト状の濾布11が複数のロール12…に順次巻き掛けられていて、この濾布11の上側部分は水平方向に延びるように配置されて濾過部11Aとされている。そして、この濾過部11Aの一端側(図1において右側)において濾布11が巻き掛けられるロール12Aは図示しない駆動装置に連結されていて、この駆動装置によって前記ロール12Aが図中時計回り方向に回転駆動されることにより、濾布11もロール12…間を連続的に周回駆動され、これに伴い濾布11の濾過部11Aは図中に矢線Fで示す走行方向に連続的に走行させられる。
【0015】
濾布11の濾過部11Aの他端側(図1において左側)、すなわち前記走行方向Fに対する後方側の上方には、濾布11上にスラリーSを供給するスラリー供給装置20が設けられ、この供給装置20から真空トレイ16の上の濾布11上に供給されたスラリーSが、濾過部11Aの走行とともに前記走行方向Fに移動させられるうちに真空トレイ16によって濾布11を介して真空吸引されて濾過されるようになっている。そして、濾過部11Aのスラリー供給装置20より前記走行方向F側の上方には、濾布11に向けて洗浄液Lを供給する洗浄装置21が設けられ、前記吸引濾過されたスラリーSに洗浄液Lを供給するようになっている。また、濾布11を駆動する前記ロール12Aには、濾過されて脱水が終了したスラリーSの脱水ケーキを濾布11から掻き落として剥離させるためのナイフ14が設けられている。さらに、濾布11の濾過部11Aの一端側(図1において右側)、すなわち前記走行方向Fに対する前方側の下方には、ナイフ14によってスラリーSが掻き落とされた後の濾布11を洗浄する濾布洗浄装置15が設けられている。
【0016】
ここで、真空トレイ16は、濾布11の前記濾過部11Aの下に、スラリー供給装置20の略直下から前記走行方向Fに向けて複数設けられている。これらの真空トレイ16…は、断面が略同形同大の上下に偏平した箱形をなすものであって、前記濾布11に密着するその上面部には多数の吸引孔(図示略)が形成されている。また、この真空トレイ16の前記箱形の内部は図示されない真空吸引室とされていて、この真空吸引室は真空トレイ16の下面部の前記幅方向中程に接続されたフレキシブル管17を介して図示されない真空吸引装置に連通されており、この真空吸引装置によって前記吸引孔から濾布11を介してスラリーSの液分が真空吸引室に吸引されてフレキシブル管17を通して回収され、またこの真空吸引装置の弁機構を切り替えることにより真空吸引が解除されて真空吸引室内が大気圧に戻されるようになっている。
【0017】
なお、このフレキシブル管17は、真空トレイ16の下面部の幅方向中央に1つだけ接続されていてもよく、またその接続部分を分岐させるなどして、この幅方向に複数箇所で真空トレイ16に接続されていてもよい。また、前記真空吸引装置も、複数の真空トレイ16…に接続されたすべてのフレキシブル管17…を1つの真空吸引装置に接続してもよく、あるいは前記走行方向Fに向けて1または複数の真空トレイ16ごとに異なる真空吸引装置に接続されるようにしてもよい。
【0018】
さらに、これらの真空トレイ16…は、前記走行方向Fに隣接するもの同士が互いに連結されており、このうち最も走行方向Fの前記後方側に位置する真空トレイ16には、装置本体10のフレーム10Aに取り付けられて前記走行方向Fに向けて伸縮可能とされたエアシリンダー等の駆動シリンダー18に連結されていて、これにより全ての真空トレイ16…は該走行方向Fとその後方側に所定のストロークで一体に往復移動可能とされ、すなわちこの走行方向Fに沿って進退可能とされている。
【0019】
なお、装置本体10には、これらの真空トレイ16…にその下方から接して真空トレイ16…を支持する回転自在な複数の支持車輪19…が、濾布11の前記幅方向に間隔をあけて備えられており、真空トレイ16…は自在に回転するこれらの支持車輪19…上を進退可能とされ、逆に支持車輪19…は前記駆動シリンダー18によるこの真空トレイ16の進退に伴って従動的に回転させられることとなる。
【0020】
ここで、前述したスラリー供給装置20は、図2および図3に示すように、スラリーを吐出する開口部21aを有するフィードパイプ21と、このフィードパイプ21と濾布11との間に配設された分散板22と、フィードパイプ開口部21aを後述するように揺動可能に支持する駆動部23とを備える概略構成とされている。
【0021】
フィードパイプ21は、ブチルゴム等からなるフレキシブルホース21bと剛体管21cとを備え、剛体管21cは濾布11の走行方向Fに延在して配設されており、この方向Fにおける前端部がフレキシブルホース21bと連結され、このホース21bは濾布11の上面から離間するように上方に延びて配設されている。以上の構成において、剛体管21cの前記走行方向Fにおける後端部がフィードパイプ21の開口部21aとされている。
【0022】
分散板22は、上下に偏平した箱形をなし、装置本体10のフレーム10Aから吊ボルト10bによって吊下げられ、濾布11上に配設されている。具体的には、分散板22の両側面がそれぞれ、走行方向前側および後側の2箇所吊ボルト10bと連結されて装置本体10Aから吊下げられた構成となっている。この分散板22はフィードパイプ21の開口部21aと対向する上面が開口されており、これによりフィードパイプ21の開口部21aから吐出されたスラリーは、分散板22の内側底面としてのスラリー供給面22aに配置されるようになっている。
【0023】
このスラリー供給面22aは、フィードパイプ21の開口部21a側から濾布11上に向けて、走行方向Fに対する後側から前側に向けて傾斜した状態で延在しており、この傾斜角度、すなわち濾布11の上面(図示の例では、濾布11の上面に平行な2点鎖線)とスラリー供給面22aとがなす角度θ1は例えば約5°〜約15°に設定される。この角度は、分散板22を吊ボルト10bの軸方向にスライドさせ、かつ走行方向前側と後側とでこのスライドさせる方向を異ならせることにより、スラリーの性状、供給量等に応じて適宜設定できるようになっている。また、スラリー供給面22aの前記傾斜する方向における濾布11側の端部(以下、単に「先端部」という)22bは、図2に示されるように、この濾布11の走行方向Fに垂直な方向(濾布11の幅方向(以下、この方向を単に「延在方向」という))に延在していて、この先端部22bの前記延在方向の大きさは、濾布11の幅の大きさと略同等若しくは若干小さくされている。
【0024】
駆動部23は、分散板22より走行方向Fに対して前方側の濾布11上に、この濾布11の走行方向Fに沿った方向に延在して配置された平板状の基台24の上面に配設されている。なお、この基台24は、分散板22と同様にして、吊ボルト10bにより装置本体フレーム10Aに固定されている。
【0025】
駆動部23は、走行方向Fに延在して配設された平板状の支持板25と、濾布11の幅方向に伸縮可能に設けられ、この先端部が支持板25の前記走行方向Fにおける中央部25aに、濾布11の表面に直交する回転軸回りに回転自在に連結されたシリンダー26と、支持板25の走行方向Fにおける前方側に、この支持板25を基準にして両側部にこの支持板25から所定距離離間して配設された位置決め部27と、支持板25の前記走行方向Fにおける後端部25bと前記中央部25aとの間に位置する被支持部25cにより、この支持板25を濾布11の表面に直交する回転軸回りに回転自在に支持する支持部28とを備える概略構成とされている。
【0026】
支持板25は、フィードパイプ剛体管21cに、その開口部21aから所定距離離間した部分に連結されている。本実施形態では、支持板25の走行方向Fにおける後端部25bが、フィードパイプ剛体管21cの前記走行方向Fに対する前端部に連結されている。
特に本実施形態では、支持板25のシリンダー26との連結部(中央部25a)と、フィードパイプ開口部21aとは支持部28(被支持部25c)を挟んで対向配置され、前記連結部(中央部25a)と支持部28(被支持部25c)との距離は、フィードパイプ開口部21aと支持部28(被支持部25c)との距離より小さくされている。
なお、基台24の上面のうち、走行方向Fにおける前端部には、フィードパイプ21を支持するスライドプレート29が設けられ、このスライドプレート29は摩擦係数が小さく、かつ耐磨耗性に優れる材質、例えば超高分子ポリエチレン等により形成されている。
【0027】
以上のように構成された駆動部23は、図2に示すように、シリンダー26が伸縮駆動されることにより、支持板25が支持部28を中心にしてフィードパイプ剛体管21cごと基台24の上面に沿って回転移動されることになる。そして、支持板25の走行方向Fに対する前端部が、位置決め部27の配設位置に到達したときに、具体的には位置決め部27のリミットスイッチ27aと衝突したときにシリンダー26の伸縮駆動が停止されるとともに、これとは逆の動作が開始される。以上の動作の間、スライドプレート29の配設位置に位置するフィードパイプ21は、スライドプレート29の上面と摺接し続ける。
【0028】
なお、位置決め部27は支持板25に対して接近離間する方向に位置調整可能に配設され、またシリンダー26の伸縮動作スピードは調整可能とされ、さらにシリンダー26は濾布11の走行方向Fに位置調整可能に配設されており、これによりスラリーの性状や供給量等に応じてシリンダー26の伸縮ストローク、フィードパイプ開口部21aの揺動ストローク、およびフィードパイプ開口部21aの揺動スピードが調整可能になっている。例えば開口部21aの揺動ストロークは、スラリー供給面22aの幅が約700mmであるのに対し、400mm以上600mm以下で調整可能とされている。
【0029】
そして、本実施形態の真空濾過装置10の分散板22において、スラリー供給面22aの前記先端部22bは、前記傾斜する方向に対して凸とされた凸部41と凹とされた凹部42とが、当該先端部22bの前記延在方向に交互に複数連設された構成とされている。本実施形態の前記先端部22bは、分散板22とは別部材とされた平面視矩形状の板状体22bとされて、該矩形状をなす一対の長辺が前記延在方向(濾布11の幅方向)に延在し、一対の短辺がスラリー供給面22aの前記傾斜する方向に延在するように、分散板22に着脱可能に取り付けられた構成とされている。
【0030】
また、前記板状体22bを前記平面視したときの表面には、前記一対の長辺の一方の側に前記凸部41と前記凹部42とが交互に当該長辺が延在する方向に複数連設され、該長辺の他方の側に貫通孔が前記延在する方向に所定の間隔をあけて複数穿設されている。ここで、分散板22の外側底面における前記傾斜する方向の先端部には、複数のボルト43が、分散板22の、前記傾斜する方向における先端部の延在する方向(濾布11の幅方向)に、板状体22bの前記貫通孔の配設間隔と同等の間隔をあけて、その軸線が前記外側底面に略直交するように立設されている。なお、該ボルト43は溶接等により前記外側底面に接合されていて、分散板22上面のスラリー供給面22a上に、前記先端部に向けて突出する部分が形成されないようになされている。
【0031】
以上の構成において、前記板状体22bは、前記貫通孔に分散板22のボルト43が挿入され、かつ分散板22の外側底面と当接した状態で、ボルト43にナット44を締結することによって、分散板22の外側底面に取り付けられている。これにより、前記板状体22bの凸部41および凹部42が、スラリー供給面22aの前記傾斜する方向における濾布11側の端縁を構成するようになっている。
【0032】
ここで、凸部41は、スラリー供給面22aの前記傾斜する方向の先端縁に向かうに従い漸次その幅が小さくなるような構成とされている。本実施形態の凸部41は平面視三角形とされて、該三角形の頂点が前記傾斜する方向の先端縁を構成するようになっている。これにより、該凸部41上のスラリーSが前記先端縁側に移動しようとした場合においても、該スラリーSを当該凸部41の隣に位置する凹部42から濾布11上に落下させ易いようになっている。
【0033】
一方、凹部42は、スラリー供給面22aの前記傾斜する方向の先端縁に向かうに従い漸次その幅が大きくなるような構成とされている。本実施形態の凹部42は平面視三角形とされて、該三角形の頂点が前記傾斜する方向の後端縁を構成するようになっている。すなわち、前記先端部22bに到達したスラリーSは、前記三角形の頂点から濾布11上に落下するようになっている。
【0034】
なお、前記板状体22bのうち前記凸部41の上面と、濾布11の上面(図示の例では、濾布11の上面に平行な2点鎖線)とがなす角度θ2は、0°以上25°以下とされている。また、複数の凸部41の配設ピッチ、大きさおよび形状は全て同一とされるとともに、凹部42についても同様とされている。
【0035】
次に、以上のように構成された真空濾過装置により真空濾過する方法について説明する。まず、フィードパイプ開口部21aを、スラリー供給面22aの平面視において、スラリー供給面22aの前記傾斜する方向と交差する方向に揺動させながら、この開口部21aからスラリーSを吐出し、このスラリーSをスラリー供給面22aにおける前記交差する方向の略全域に亙って供給する。そして、このスラリーSをその自重によりスラリー供給面22aの傾斜面に沿わせつつ前記先端部22bに至らせる。その後、スラリーSは主に各凹部42から濾布11上に向けて落下する。
【0036】
このようにして濾布11上に供給されたスラリーSは、濾布11の下に設けられた真空トレイ16によって濾布11を介して真空吸引されることにより濾過されて脱水ケーキとされた後に、さらにこれを走行方向Fに移動させて洗浄装置21の配設位置に到達させ、この洗浄装置21から洗浄液Lを供給する。そして、さらに走行方向Fに移動させるとともに前述と同様に真空吸引した後に、この脱水ケーキをナイフ14により濾布11から掻き落として剥離させる。なお、このナイフ14によってスラリーSが掻き落とされた後の濾布11は濾布洗浄装置15により洗浄される。
【0037】
以上説明したように本実施形態による真空濾過装置によれば、スラリー供給面22aの先端部22bに凸部41および凹部42が設けられているので、該供給面22aに供給されて前記先端部22bに到達したスラリーSは、少量の一部が凸部41の上面に流れる場合があるものの、それよりも多量のスラリーSが凹部42から濾布11上に落下することとなる。そのため、該多量のスラリーSの落下する流動に引き込まれるようにして、前記少量の一部も凹部42に向けて流動させられることとなる。すなわち、前記先端部22bに到達したスラリーSは、おもにそれぞれの凹部42から濾布11上に落下することとなり、該スラリーSを前記先端部22bの延在する方向において、特定の位置から分断した状態で、かつそれぞれから略均一な量で落下させることが可能になる。したがって、スラリーSが例えば沈降性や粘度の高い性状を有している場合に、前記落下するスラリーSが、図7に示したように前記先端部22bの延在する方向で集合してまとまり、該先端部22bの特定されない数箇所からまとまった量のスラリーSが濾布11上に不均一な量で供給されることを抑えることができる。このため、スラリー供給面22aの先端部22bが延在する方向における、スラリーSが落下する位置、および単位長さ当たりのスラリーSの落下量を、該方向で均等にすることが可能になり、濾布11上にスラリーSを均等な厚さで供給することができる。これにより、製品品質の向上、若しくは製品中の不純物濃度を低減させることができる。
【0038】
特に本実施形態では、前記板状体22bのうち前記凸部41の上面と、濾布11の上面とがなす角度θ2が、0°以上25°以下とされているので、前述した作用効果を確実に奏することができる。すなわち、前記角度θが25°より大きいと、スラリー供給面22aの前記先端部22bに到達したスラリーSが凹部42から濾布11上に落下しようとしたときに、凸部41の上面に沿いながら落下することとなる。従って、凸部41を介して隣合う凹部42からそれぞれ落下するスラリーSの互いが集合するような移動を凸部41によって阻止することができず、まとまった量のスラリーSが濾布11上に供給されるおそれがある。その一方、前記角度θが0°より小さいと、スラリーSが凹部42から濾布11上に落下しようとしたときに、凸部41の下面に回り込み、この凸部41の両隣りに位置する凹部42から落下しようとした各スラリーSが凸部41の下面に集合し、この凸部41の下面から落下して、やはりまとまった量のスラリーSが濾布11上に供給されるおそれがある。
【0039】
また、凸部41は、スラリー供給面22aの前記傾斜する方向の先端縁に向かうに従い漸次その幅が小さくなるような構成とされ、前記傾斜する方向の後端縁における幅が最も広くなっているので、凸部41の両隣りに位置する凹部42からそれぞれ落下するスラリーSが、この凸部41の下面に回り込んで集合してまとまるのに要する、スラリーSの該下面における移動量、つまり回り込み移動量を大きく確保することが可能になる。
特に本実施形態では、凸部41および凹部42はともに平面視三角形とされて、凸部41の前記先端縁および凹部42の前記後端縁がそれぞれ前記三角形の頂点により構成されているので、前述の各作用効果を確実に奏することができる。
【0040】
さらに、複数の凸部41の配設ピッチ、大きさおよび形状は全て同一とされるとともに、凹部42についても同様とされているので、各凹部42からのスラリーSの落下量を均等にすることが可能になる。特に本実施形態では、凸部41および凹部42が、前記先端部22bの前記延在する方向における全領域に亙って形成されているので、この全領域において、特定の位置からそれぞれ均一な量のスラリーSを濾布11上に落下させることができる。したがって、濾布11上にその幅方向における全域に亙って均等な厚さのスラリーSを確実に供給することができる。
【0041】
また、スラリー供給面22aの前記先端部(前記板状体)22bは、分散板22に対して着脱可能とされているので、スラリーSの性状に応じて凸部41および凹部42の配設ピッチ、大きさ、形状等を種々変更することが可能になり、該真空濾過装置10の取り扱い性を向上させることができる。
【0042】
さらに、フィードパイプ開口部21aは、スラリー供給面22aの平面視において、該スラリー供給面22aの前記傾斜する方向と交差する方向に揺動可能とされているので、この開口部21aを揺動しながらスラリーSを吐出することが可能になり、スラリーSを、スラリー供給面22aの前記傾斜する方向におけるフィードパイプ開口部21a側の端部に、この供給面22aの前記傾斜する方向と交差する方向に所定幅広げて配置することが可能になる。このようにして配置されたスラリーSは、その自重によりスラリー供給面22aの傾斜面に沿って前記先端部22b側に移動することにより、この過程で、スラリーSの厚さが徐々にスラリー供給面22aに沿った方向において均等になる。従って、スラリー供給面22aの前記先端部22bに位置するスラリーSの厚さを均等にすることができる。これにより、複数の前記凹部42それぞれから濾布11上に落下するスラリーSの量を均等にすることが可能になり、濾過部11Aにおける濾布11上に均等な厚さのスラリーSを確実に供給することができる。
【0043】
また、スラリー供給面22aの前記先端部22bが濾布11の幅方向の略全域に亙って延在しているので、この分散板22を濾布11の幅方向に揺動可能に設けずとも、濾過部11Aにおける濾布11上の略全域に亙って均一な厚さのスラリーSを供給することが可能になり、この真空濾過装置10の大型化、高コスト化を抑制することができる。
【0044】
さらに、剛体管21cの前記走行方向Fに対する前端部に、支持板25が連結されるとともにフレキシブルホース21bが連結され、さらに支持部28と剛体管21cの前記前端部との距離は、支持部28とフィードパイプ開口部21aとの距離より小さくされているので、フレキシブルホース21bの曲げ変形を抑制しつつフィードパイプ開口部21aの揺動ストロークを最大限確保することが可能になる。したがって、このホース21bの損傷発生を抑制することができる。
【0045】
また、支持板25のシリンダー26との連結部(中央部25a)と、フィードパイプ開口部21aとは支持部28(被支持部25c)を挟んで対向配置され、前記連結部(中央部25a)と支持部28(被支持部25c)との距離は、フィードパイプ開口部21aと支持部28(被支持部25c)との距離より小さくされているので、シリンダー26の伸縮ストロークを最小限に抑制しつつ、フィードパイプ開口部21aの揺動ストロークを最大限確保することが可能になり、この真空濾過装置の大型化、高コスト化を抑制することができる。
【0046】
これに対し、前記特許文献4には、スラリーを濾布上に落とすシュートと、このシュートを往復移動させるシリンダーとがフレキシブルホースを介して連結された構成が示されているが、この場合、シュートの往復移動量と、フレキシブルホースの変形移動量と、シリンダーの伸縮ストロークの大きさとが一対一に対応しているので、前述した、シリンダー26の伸縮ストローク、およびフレキシブルホース21bの曲げ変形量を最小限に抑制しつつ、フィードパイプ開口部21aの揺動ストロークを抑えることはできない。
【0047】
さらに、基台24の上面のうち、走行方向Fにおける前端部には、フィードパイプ21を支持するスライドプレート29が設けられているので、前記揺動可能にしたことによるフィードパイプ21に作用する負荷の発生を最小限に抑制することができ、このパイプ21からスラリーSが漏洩する等の不具合発生を抑制することができる。
【0048】
次に、本発明の第二実施形態による真空濾過装置について、図4を参照しながら説明するが、前記第一実施形態と同様の部分には同一の符号を付しこの説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
この真空濾過装置の駆動部33は、前記実施形態と同様に、分散板22より走行方向Fに対して前方側の濾布11上に、この濾布11の幅方向に延在して設けられた円筒状の支柱部30と、この支柱部30の長手方向両端部に設けられ、この支柱部30が挿入配置される軸受部31と、支柱部30の長手方向一端側に設けられ、この支柱部30をこの長手方向に進退可能に支持するシリンダー32と、支柱部30の長手方向他端側に設けられた位置決め部34とを備える概略構成とされている。なお、軸受部31は摩擦係数が小さく、かつ耐磨耗性に優れる材質として例えば超高分子ポリエチレン等により形成されている。
【0049】
また、フィードパイプ35は、ブチルゴム等からなるフレキシブルホース35bと、このホース35bの下端部(濾布11側)に連結された剛体管とを備え、この剛体管がフィードパイプ開口部35aとされ、この開口部35aがスラリー供給面22aの、走行方向Fに対する後端側と対向配置された構成となっている。なお、本実施形態ではフィードパイプ開口部35aは、濾布11の幅方向に6個設けられ、これらの開口部35aは支柱部30の外周面に長手方向に等間隔あけて取付けられている。
【0050】
以上の構成により、シリンダー32が伸縮駆動されることによって、支柱部30が軸受部31に支持された状態で、この長手方向に進退移動し、これに伴いフィードパイプ開口部パイプ35aが濾布11の幅方向に揺動されるようになっている。なお、このフィードパイプ開口部35aの揺動は、前記実施形態と同様に、そのストロークおよびスピードが調整可能となっている。
【0051】
なお、支柱部30の前記他端部には超高分子ポリエチレン等により形成されたドグ30aが備えられており、支柱部30が前記進退駆動された際に、この前進端および後進端に到達したときに、このドグ30aが位置決め部34のリミットスイッチ27aと衝突することにより、シリンダー32に供給される流体の方向が切替わり、支柱部30の進退移動が停止するとともに、これとは逆の動作を開始するようになっている。すなわち、このリミットスイッチ27aの、支柱部30の長手方向における位置によって、シリンダー32のストロークが設定され、このストロークは、フィードパイプ開口部35a同士の間隔と略同等になっている。
【0052】
以上説明したように本実施形態による真空濾過装置では、フィードパイプ35の開口部35aを濾布11の幅方向に複数設け、この幅方向に揺動可能に支持しているので、フィードパイプ開口部35aの揺動ストロークを最小限に抑えても、前記実施形態と略同様に、濾過部11Aにおける濾布11上に均等な厚さのスラリーを確実に供給することが可能になる。したがって、フィードパイプ35に損傷が発生することを抑制することが可能になり、この真空濾過装置の長寿命化を図ることができる。特に、本実施形態では、フレキシブルホース35bの下端部(濾布11側)にフィードパイプ開口部35aが連結されるとともに、この開口部35aが支柱部30に取付けられ、支柱部30がシリンダー32により前記長手方向に進退移動されることによって、フィードパイプ開口部35aが揺動されるようになっているので、開口部35aを揺動させるに際して、フレキシブルホース35bの曲げ変形量を最小限に抑制することが可能になる。したがって、フィードパイプ開口部35aを濾布11の幅方向に揺動可能に設けたことにより、フレキシブルホース35bに作用する負荷の増大を最小限に抑制することができる。
【0053】
また、シリンダー32の伸縮ストロークは、フィードパイプ開口部35a同士の間隔と略同等になっているので、濾布11の幅方向の略全域に亙って均一な厚さのスラリーSを確実に供給することが可能になる。すなわち、前記ストロークの方が前記間隔より小さいと、濾布11の幅方向において、スラリーSが配置される部分とされない部分とが交互に生ずる場合があり、また前記ストロークの方が前記間隔より大きいと、濾布11の幅方向において、スラリーSが一重に供給される部分と重ねて供給される部分とが交互に生ずる場合があり、均一な厚さのスラリーSを供給することができない。
【0054】
なお、前記実施形態は、本発明の一実施形態を示したものに過ぎず、分散板22に向けてスラリーを吐出する際に、フィードパイプ開口部21a、35aを、スラリー供給面22aの前記傾斜する方向と交差する方向に揺動する構成であれば、前記各実施形態に限られるものではない。例えば、前記各実施形態では、スラリー供給装置20を濾布11上に固定して配設した構成を示したが、濾布11の走行方向Fに進退可能に設けてもよく、また走行方向Fに交差する方向に進退可能に設けてもよく、さらにこの進退速度を濾布11の走行速度若しくは停止時などの走行状態に適合するように適宜変更できる構成であってもよい。すなわち、真空濾過時に濾布11を連続的に走行させる場合のみならず、間欠的に走行させる場合にも本発明は適用可能である。また、スラリー供給面22aの先端部22bを、濾布11の幅方向に延在させた構成を示したが、この延在方向も前記各実施形態に限らず、例えば濾布11の走行方向Fに延在させた構成や、この方向Fに斜交する方向であってもよい。さらに、前記実施形態では、複数の凸部41の配設ピッチ、大きさおよび形状を全て同一にするとともに、凹部42についても同様とした構成を示したが、異ならせるようにしてもよい。
【0055】
また、スラリー供給面22aの前記先端部22bに設けられた凸部41および凹部42は、図4(a)および図6に示される構成に限られるものではなく、例えば図4(b)〜(g)に示されるような構成でもよい。
すなわち、図4(b)のように、図4(a)に示す凹部42に代えて、スラリー供給面22aの前記傾斜する方向の後端縁が、前記先端部22bの前記延在方向に所定長さ延びるような凹部42aとしてもよい。
また、図4(c)のように、図4(a)に示す凸部41および凹部42に代えて、平面視矩形とされた凸部41aおよび凹部42bとしてもよい。
さらに、図4(d)のように、図4(a)に示す凹部42に代えて、スラリー供給面22aの前記傾斜する方向の後端縁が、該傾斜する方向の後方に向けて曲線状に凹とされた凹部42cとしてもよい。
さらにまた、図4(e)のように、図4(a)に示す凸部41に代えて、スラリー供給面22aの前記傾斜する方向の先端縁が、該傾斜する方向の前方に向けて曲線状に凸とされた凸部41bとしてもよい。
また、図4(f)のように、図4(b)に示す凸部41に代えて、スラリー供給面22aの前記傾斜する方向の先端縁が、前記先端部22bの前記延在方向に所定長さ延びるような凸部41cとしてもよい。
さらに、図4(g)のように、図4(a)に示す凸部41に代えて、図4(f)に示すスラリー供給面22aの前記傾斜する方向の先端縁が、前記先端部22bの前記延在方向に所定長さ延びるような凸部41cとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
濾過部における濾布上に均一なスラリーの供給を可能とし、これにより製品品質の向上、若しくは製品中の不純物濃度を低減させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の真空濾過装置の一実施形態の全体構成を示す側面図である。
【図2】図1に示すスラリー供給部の第1実施形態を示す平面図である。
【図3】図1に示すスラリー供給部の第1実施形態を示す側面図である。
【図4】図1に示すスラリー供給面の先端部の第1〜第7実施形態を示す平面図である。
【図5】図1に示すスラリー供給部の第2実施形態を示す正面図である。
【図6】図4(a)に示すスラリー供給面の先端部の第1実施形態を適用したときのスラリーの落下状態を示す模式図である。
【図7】本発明の従来例に係る真空濾過装置の一実施形態であって、分散板からのスラリーの落下状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0058】
10 装置本体
11 濾布
16 真空トレイ
20 供給装置
21、35 フィードパイプ
21a、35a 開口部
22 分散板
22a スラリー供給面
22b スラリー供給面の先端部(端部)
41、41a〜41c 凸部
42、42a〜42c 凹部
S スラリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に略水平に走行可能に設けられた濾布の下に、真空吸引装置に連結された真空トレイが設けられ、この濾布上に供給されたスラリーを前記真空トレイによって前記濾布を介して真空吸引することにより濾過する真空濾過装置であって、
前記装置本体上には、前記濾布上に前記スラリーを供給する供給装置が設けられ、
該供給装置は、前記スラリーを吐出する開口部を有するフィードパイプと、該フィードパイプと前記濾布との間に配設された分散板とを備え、
該分散板の、前記フィードパイプの開口部と対向するスラリー供給面は、前記フィードパイプの開口部側から前記濾布上に向けて傾斜して延在し、
前記スラリー供給面の前記濾布側の端部には、前記傾斜する方向に対して凸とされた凸部と、凹とされた凹部とが、当該端部の延在する方向に交互に複数連設されていることを特徴とする真空濾過装置。
【請求項2】
請求項1記載の真空濾過装置において、
少なくとも前記凸部および前記凹部が形成された前記スラリー供給面の前記濾布側の端部は、前記分散板に対して着脱可能とされていることを特徴とする真空濾過装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の真空濾過装置において、
少なくとも前記凸部および前記凹部が形成された前記スラリー供給面の前記濾布側の端部は、前記濾布の幅方向における略全域に亙って延在していることを特徴する真空濾過装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の真空濾過装置において、
前記フィードパイプの開口部は、前記スラリー供給面の平面視において、該スラリー供給面の前記傾斜する方向と交差する方向に揺動可能とされていることを特徴とする真空濾過装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の真空濾過装置において、
前記フィードパイプの開口部は、前記スラリー供給面の平面視において、該スラリー供給面の前記傾斜する方向と交差する方向に複数設けられ、該交差する方向にそれぞれ揺動可能とされていることを特徴とする真空濾過装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−150161(P2006−150161A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−340133(P2004−340133)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(000165273)月島機械株式会社 (253)
【Fターム(参考)】