説明

真空計

【課題】1つの真空計でより広い範囲の気体の圧力を測定することができるようにした真空計を提供する。
【解決手段】初期加振用信号源41,42から出力された振動体24,28の固有振動数に対応した周波数の信号が加振電極29,30に印加され、振動体24,28が加振される。初期加振用信号源41,42は初期駆動するときのみ使用され、振動体24,28が振動し始めた後はスイッチ回路39,40が切り替えられる。容量電圧変換回路33,34から出力された信号の位相を位相シフト回路35,36でシフトし、増幅器37,38を経て、加振電極29,30に印加され、共振状態を保つ。加振電極29,30に印加する駆動信号の電圧が一定となるように増幅器37,38のゲインを調整した場合、振動体のQ値に対応して振動体24,28の振幅、つまり、容量電圧変換回路33,34から出力される信号の大きさが変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動体を利用した真空計に関し、特に、広い範囲の気体の圧力を測定することができるようにした真空計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音叉型振動体を利用して雰囲気の圧力を測定する真空センサが知られている(特許文献1参照)。音叉型振動体を利用して雰囲気の圧力を測定する原理は、振動子を振動させ、その振動特性から雰囲気の真空圧力を特定するものである。
【0003】
また従来、密閉筐体の内壁面に振動自在となるように保持された弾性体と、この弾性体に接着固定された2つの圧電素子の一方に高周波信号を印加し、この高周波信号により起振された前記弾性体の振動振幅を他方の圧電素子を介してその両電極間の誘起電圧の変化量として検出し、間接的に空気の圧力を測定する真空計が知られている(特許文献2参照)。
【0004】
また従来、振動体を2方向に振動させて、振動体の振動特性から気体の圧力を測定する圧力センサも知られている(特許文献3参照)。
また従来、面積が異なる複数の振動体を利用して、測定可能な圧力範囲を広げた真空センサも知られている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−137533号公報
【特許文献2】特開昭59−141026公報
【特許文献3】特開平08−338776号号公報(図5,0059段落)
【特許文献4】特開2008−093801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献1および2の真空計は、いずれも振動子を振動させ、その振動特性から雰囲気の真空圧力を特定するもので、低真空から高真空の測定を連続的に測定することができず、且つ回路構成が複雑となるという課題がある。
【0007】
また上述の特許文献3における圧力センサは、2方向に振動させるための電極を別々に2つ有し、また測定する気体の圧力によって振動方向を切り替える構成を採用しているため、連続的に気体の圧力を測定することができず、且つ回路構成が複雑となるという課題がある。
【0008】
ところで、真空計において振動体を利用する場合、一般に、振動体のQ値(振動体の振動特性の一つ)は、気体の圧力Pに反比例する。したがい、振動体のQ値は、気体の圧力Pとの関係において、ωRを振動体の共振角周波数[rad/s]、mを振動体の質量[kg]、Sを並進方向の面積[m2]、Rを気体定数[8.314J/k・mol]、Tを温度[K]、Mを気体分子の質量[kg/mol]、E:ヤング率[Pa]、I:断面2次モーメント[m4]、l:有効梁長[m](=梁長+錘1辺/2)とすると、以下の式(1)のように表すことができる。
【0009】
【数1】

【0010】
なお、上記式1は振動体が片持ち梁である場合に成り立つものである。これにより、振動体のQ値を測定することで気体の圧力を間接的に評価することができる。しかし、振動体を利用した真空センサのQ値の実用測定範囲は概ね100から100,000程度であり、そのため、測定することが可能な圧力範囲が3桁程度で制限されるという課題がある。
【0011】
上記した特許文献4に示される真空センサは、面積が異なる複数の振動体を利用して測定可能な圧力範囲を広げているが、面積を広くすることで振動体の質量も増加するため、面積を広くしたことによる効果が相殺されてしまう課題がある。これをさらに説明する。
【0012】
図20は上記特許文献4に示された真空センサの構成例に倣って設計された真空センサの設計値の一例(設計Iおよび設計IIにおいて振動体の面積比4:1)を示すものであり、図21は図20に示した設計値における気体の圧力Pと振動体のQ値の関係を示す図である。図21に示されるように振動体の錘の面積を広くすることによる効果は小さい。また、面積を広くすると振動体の反りの影響により振動体と振動検出電極とが接触する可能性があるため、振動体の面積を一定値以上広くすることはできない。
【0013】
上記した課題を解決するために本発明は、1つの真空計でより広い範囲の気体の圧力を測定することができるようにした真空計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の真空計は、振動体と、該振動体を静電力により駆動する加振電極部と、前記振動体を加振する駆動信号を生成する駆動信号生成部とを有し、前記駆動信号を前記加振電極部に印加して前記振動体を共振状態に保持して、前記振動体の振動特性から雰囲気の圧力を測定する圧力測定部を備えた真空計であって、前記振動体を前記真空計における共通の雰囲気内に複数個備え、前記各振動体により測定することができる圧力範囲をそれぞれ異ならせたことを特徴とする(請求項1の発明)。
【0015】
上記請求項1の発明によれば、真空計における共通の雰囲気内に、測定することができる圧力範囲の異なる振動体を複数個備えることにより、1つの真空計でより広い範囲の気体の圧力を測定することができるようになる。
【0016】
上記請求項1に記載の真空計において、前記各振動体は、厚さ、梁の長さ、材質もしくは面積の少なくとも1つが異なることにより測定できる圧力範囲が異なるようにするとよい(請求項2の発明)。
【0017】
上記請求項1または2に記載の真空計において、前記各振動体により測定することができる圧力範囲を一部オーバーラップさせて構成するようにするとよい(請求項3の発明)。
【0018】
上記請求項3の発明によれば、各振動体により測定可能な各圧力範囲同士の間の境界領域で気体の圧力が変動する場合に測定が不連続になることを防ぐことができる。
上記請求項1ないし3のいずれか1項に記載の真空計において、真空計内の気体の圧力によって圧力の測定に使用する前記振動体を切り替えるようにするよい(請求項4の発明)。
【0019】
上記請求項4の発明によれば、圧力の測定に使用する振動体のみを振動させればよいので、真空計としての電力の消費を抑えることができる。
上記請求項1ないし4のいずれか1項に記載の真空計において、真空計内の気体の圧力に関わらず常時すべての振動体を動作させるようにするとよい(請求項5の発明)。
【0020】
上記請求項5の発明によれば、常時すべての振動体を動作させていることにより、気体の圧力によって圧力の測定に使用する振動体を切り替える場合におけるような、切替後に使用する方の振動体の初期駆動に要する時間が不要になるので、気体の圧力が急激に変動する場合でも測定が不連続になることを防ぐことができる。
【0021】
上記請求項1ないし5のいずれか1項に記載の真空計において、前記圧力測定部は、前記振動体の振動を検出する振動検出部を有するものであり、前記駆動信号生成部は、前記振動検出部の検出信号に基づき、この検出信号の位相を変えて増幅することにより前記振動体を加振する駆動信号を生成するようにするとよい(請求項6の発明)。
【0022】
上記請求項6に記載の真空計において、前記圧力測定部は、振動体の両側に振動方向に沿って設置された1組の加振電極からなる加振電極部を備えるとともに、振動検出部の検出信号の位相を変化させる位相シフト回路と、該位相シフト回路の出力信号を増幅させる増幅器と、該増幅器の出力信号の位相を反転させる反転回路とからなる駆動信号生成部を備え、振動検出部の検出信号に基づく逆相の駆動信号として、前記反転回路および前記増幅器の各出力信号を前記1組の加振電極にそれぞれ印加することで振動体の共振状態を保持するようにするとよい(請求項7の発明)。
【0023】
上記請求項6または7に記載の真空計において、前記駆動信号生成部は、前記駆動信号の電圧が一定となるように、前記振動検出部の検出信号の位相を変えた信号に対する増幅のゲインを調整するものであり、前記圧力測定部は、前記振動検出部の検出信号の大きさに基づいて圧力を測定するようにするとよい(請求項8の発明)。
【0024】
上記請求項6または7に記載の真空計において、前記駆動信号生成部は、前記振動検出部の検出信号の大きさが一定となるように、前記振動検出部の検出信号の位相を変えた信号に対する増幅のゲインを調整するものであり、前記圧力測定部は、前記駆動信号の電圧に基づいて圧力を測定するようにしてもよい(請求項9の発明)。
【0025】
上記請求項6ないし9のいずれか1項に記載の真空計において、前記振動体の固有周波数に対応した周波数の初期励振信号を出力する初期励振用信号源を備え、振動体の初期駆動時には、振動検出部の検出信号に基づく駆動信号の代わりに、前記初期励振信号に基づく初期駆動信号を前記加振電極部に印加するようにするとよい(請求項10の発明)。
【0026】
上記請求項6ないし10のいずれか1項に記載の真空計において、前記振動検出部は、前記振動体と検出電極との間の静電容量を検知することにより前記振動体の振動を検出するようにするとよい(請求項11の発明)。
【0027】
上記請求項1ないし11のいずれか1項に記載の真空計において、前記各振動体に対応させて前記圧力測定部を複数個設けるようにするとよい(請求項12の発明)。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、1つの真空計内に測定可能な真空度が異なる振動体を複数使用することで、より広い範囲の真空度を評価することが可能となる。また圧力測定範囲がそれぞれ異なる複数個の振動部材を使用することで、より広い範囲の圧力を評価することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1及び第2の実施形態に係る真空計の機構部分を成す構造体の平面図である。
【図2】図1に示す構造体の側面図である。
【図3】本発明の第1及び第2の実施形態に係る振動体の設計値の一例を示す図である。
【図4】図3に示した振動体の設計値におけるQ値と気体の圧力Pとの関係を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る真空計の回路構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係る振動体の設計値の異なる一例を示す図である。
【図7】図6に示した設計値の振動体において駆動電圧が一定となるように増幅器ゲインを調整した場合の振動体の振幅と気体の圧力Pとの関係を示す図である。
【図8】図6に示した設計値の振動体において振動体の振幅が一定となるように増幅器ゲインを調整した場合の駆動電圧と気体の圧力Pとの関係を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る真空計の回路構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る真空計の機構部分を成す構造体の平面図である。
【図11】図10に示す構造体の側面図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る真空計の回路構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る振動体の設計値の一例を示す図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る振動体の設計値の具体例1における気体の圧力Pと振動体のQ値との関係を示す図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る振動体の設計値の具体例2における気体の圧力Pと振動体のQ値との関係を示す図である。
【図16】本発明の第3の実施形態に係る振動体の設計値の具体例3における気体の圧力Pと振動体のQ値との関係を示す図である。
【図17】本発明の第3の実施形態に係る振動体の設計値の具体例4における気体の圧力Pと振動体のQ値との関係を示す図である。
【図18】本発明の第3の実施形態に係る振動体の設計値の具体例5における気体の圧力Pと振動体のQ値との関係を示す図である。
【図19】本発明の第4の実施形態に係る真空計の回路構成を示すブロック図である。
【図20】特許文献4に示された真空センサの構成例に倣って設計された真空センサの設計値の一例を示す図である。
【図21】図20に示した設計値における気体の圧力Pと振動体のQ値の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態に係る真空計の機構部分を成す構造体の平面図であり、図2は、図1に示す構造体の側面図である。図1および図2において真空計の機構部分を成す構造体は、錘1、梁2および振動体固定部3からなる振動体4、振動体4を加振するための加振電極5、振動体4の振動を検出するための振動検出電極6から構成される。
【0031】
次に、振動体4の形状、振動体4のQ値および気体の圧力Pとの関係について説明する。振動体4は気体分子の衝突により、抵抗力を受ける。分子流領域においては、気体分子による抵抗力は気体の圧力Pに正比例する。気体の圧力が低くなるに従い、振動体4が気体分子から受ける抵抗力が低下するため、振動体のQ値(共振の鋭さ)は高くなる。ただし、振動体4は固有のQ値QEを持っており、固有のQ値QE以上になることはない。すなわち、振動体4が測定することが可能な気体の圧力の下限は、固有のQ値QEによって制限されることを意味する。
【0032】
振動体4のQ値と気体の圧力Pは、frを振動体4の固有周波数、mを錘の質量、Sを気体の抵抗力を受ける面積、Rを気体定数、Tを温度、Mを気体分子1molあたりの質量とすると、振動体のQ値は以下の式2のように、
【0033】
【数2】

【0034】
と表すことができる。なお、上記式2は、f=ω/2πという関係にあることから上述した式1と実質的に同じ内容である。
図3は、本発明の実施形態に係る振動体の設計値の一例を示す図であり、図4は、図3に示した振動体の設計値におけるQ値と気体の圧力Pとの関係を示す図である。図3の下部に示す表には、設計例として設計(a)と設計(b)とが示されている。図4に示すように、設計(a)の場合に測定することができる気体の圧力は約0.1Paから約100Paであり、また設計(b)の場合に測定することができる気体の圧力は約3Paから約3000Paである。すなわち、振動体の形状によって測定することができる気体の圧力範囲を任意に設計することができる。なお、図3に示される設計(a)および設計(b)の各振動体の固有周波数は、例えば、各振動体の材質をシリコンとした場合、それぞれ、約320Hzおよび約16.5kHzとなる。
【0035】
次に、本発明の実施形態に係る真空計の回路構成について説明する。図5は、本発明の第1の実施形態に係る真空計の回路構成を示すブロック図であり、1つの真空計内に二つの振動体を含む例のため図を上下に分けて示している。図5において本発明の第1の実施形態に係る真空計は、錘21、梁22および振動体固定部23からなる振動体24、錘25、梁26および振動体固定部27からなる振動体28、加振電極29および30、振動体24および28の振動を検出する振動検出電極31および32、錘21と振動検出電極31との間の静電容量の変化に応じた電圧を出力する容量電圧変換回路33、錘25と振動検出電極32との間の静電容量の変化に応じた電圧を出力する容量電圧変換回路34、容量電圧変換回路33および34から出力された信号の位相を変化させる位相シフト回路35および36、位相シフト回路35および36の出力を増幅する増幅器37および38、振動体24および28の振幅に応じて接続を切り替えるスイッチ回路39および40、振動体24および28の初期加振用信号源41および42からなる。
【0036】
次に、本発明の第1の実施形態に係る真空計の回路構成の動作について説明する。図5において、振動体24および28を初期加振する場合、スイッチ回路39および40はそれぞれAとB、DとEが接続された状態にされており、初期加振用信号源41および42から出力された振動体24および28の固有振動数に対応した周波数の信号が加振電極29および30に印加され、振動体24および28が加振される。初期加振用信号源41および42は初期駆動するときのみ使用され、振動体24および28が振動し始めた後はスイッチ回路39および40が切り替えられ、それぞれAとC、DとFが接続される。容量電圧変換回路33、34から出力された信号の位相を位相シフト回路35、36でシフトし、増幅器37、38を経て、加振電極29、30に印加され、共振状態を保つ。なお、スイッチ回路39および40は、上述のように、それぞれ振動体24および28の振幅に応じて接続を切り替えるように動作するものであり、例えば、振動体24および28の振幅、すなわち、振動体24および28の変位に応じて出力される容量電圧変換回路33および34の出力信号の各大きさが予め設定した値に到達したことを図示されないスイッチ回路用制御部で検出し、その検出タイミングで前記スイッチ回路用制御部からスイッチ回路39および40にB側からC側への切替信号およびE側からF側への切替信号をそれぞれ与えることにより行うことができる。
【0037】
加振電極29および30に印加する駆動信号の電圧が一定となるように増幅器37および38のゲインをそれぞれ調整する構成とした場合、振動体24および28の各Q値に対応して振動体24および28の振幅、つまり、容量電圧変換回路33および34から出力される信号の大きさが変化する。したがって、容量電圧変換回路33および34から出力される信号をそれぞれ各Q値に変換し、さらにそれぞれ気体の圧力Pに変換することで、気体の圧力を測定することが可能である。振動体24および28に図3に示した設計例である設計(a)および(b)を使用した場合、0.1Paから100Paの領域では容量電圧変換回路33の出力から、3Paから3000Paの領域では容量電圧変換回路34の出力の大きさから気体の圧力を測定することで、0.1Paから3000Paの気体の圧力を測定することが可能となる。また、容量電圧変換回路33および34の各出力信号(振動体の振幅)から各圧力P値への変換は、Q値を介さないで直接的に変換するようにしてもよい。
【0038】
ここで、例えば振動体28が図6に示される設計値であって材質がシリコンの振動体である場合、錘1の幅広面に沿った振動方向においては、加振電極30に印加する駆動信号の電圧が一定となるように増幅器38のゲインを調整するときの、容量電圧変換回路34の出力信号の大きさ(振動体の振幅)と圧力P値との関係は、図7に示されるような、(約10Pa程度以上の)高圧領域では振幅が圧力にほぼ反比例するとともに低圧側では振幅がその最大限界値に向かって飽和していく特性となる。なお、図6は、本発明の実施形態に係る振動体の設計値の異なる一例を示すものである。
【0039】
そして、例えば、容量電圧変換回路33および34の各出力信号の大きさ(振動体の振幅)と各圧力P値との関係の特性データを取得し、この特性データのデータテーブルを格納した記憶部を備えた変換手段により、実測定時における上記各出力信号(振動体の振幅)から各圧力P値への変換を行う構成としてもよく、また、上記特性データの曲線から近似的に求められた関係式を格納した記憶部を備えた変換手段により、実測定時における上記各出力信号(振動体の振幅)から各圧力P値への変換を行う構成としてもよい。
【0040】
また、振動体24および28の振幅、すなわち、振動体24および28の変位に応じて出力される容量電圧変換回路33および34の出力信号の大きさ(振動体の振幅)が一定となるように増幅器37および38のゲインをそれぞれ調整する構成とすることもできる。この場合、振動体24および28の各Q値に対応して増幅器37および38から加振電極29および30に印加される各駆動信号の電圧が変化するので、各駆動信号をそれぞれ各Q値に変換し、さらにそれぞれ気体の圧力Pに変換することで、気体の圧力を測定することが可能である。また、各駆動信号から各圧力P値への変換は、Q値を介さないで直接的に変換するようにしてもよい。
【0041】
ここで、例えば振動体28が図6に示される設計値であって材質がシリコンの振動体である場合、錘1の幅広面に沿った振動方向においては、容量電圧変換回路34の出力信号の大きさ(振動体の振幅)が一定となるように増幅器38のゲインを調整するときの、駆動信号の大きさ(駆動電圧)と圧力P値との関係は、図8に示されるような、(約10Pa程度以上の)高圧領域では駆動電圧が圧力にほぼ比例するとともに低圧側では駆動電圧がその最小限界値に向かって飽和するように減少していく特性となる。
【0042】
そして、例えば、各駆動信号の大きさと各圧力P値との関係の特性データを取得し、この特性データのデータテーブルを格納した記憶部を備えた変換手段により、実測定時における各駆動信号から各圧力P値への変換を行う構成としてもよく、また、上記特性データの曲線から近似的に求められた関係式を格納した記憶部を備えた変換手段により、実測定時における各駆動信号から各圧力P値への変換を行う構成としてもよい。
【0043】
上記した本発明の第1の実施形態では、図3の表に示すように、振動体の厚さ又は梁の長さ若しくは振動体の材質又は面積の少なくとも1つが異なる2つの振動体を利用した場合の例を示したが、同じく、振動体の厚さ又は梁の長さ若しくは振動体の材質又は面積の少なくとも1つが異なる3つ以上の振動体を利用することでさらに広い領域の気体の圧力を測定することが可能となる。
[実施形態2]
図9は、本発明の第2の実施形態に係る真空計の回路構成を示すブロック図であり、1つの真空計内に二つの振動体を含む例のため図を上下に分けて示し、図5と同一符号は同一名称部分を示す。図9において、本発明の第2の実施形態に係る真空計の回路は、図5と比較してスイッチ回路43および44を追加した構成である。また、振動体4の構造については上記した本発明の第1の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0044】
図9において、振動体24および28に図3に示した設計例である設計(a)および(b)を使用し、気体の圧力が高圧(約3Pa以上)である場合には、スイッチ回路43はOFF、スイッチ回路44はONの状態にされる。初期加振用信号源42から出力された振動体28の固有振動数に対応した周波数の信号が加振電極30に印加され、振動体28のみが加振される。初期加振用信号源42は初期駆動するときのみ使用され、振動体28が振動し始めた後はスイッチ回路40が切り替えられ、それぞれDとFが接続される。容量電圧変換回路34から出力された信号の位相を位相シフト回路36でシフトし、増幅器38を経て、加振電極30に印加され、共振状態を保つ。なお、スイッチ回路39および40の切替制御は、実施形態1で説明したのと同様にして行うことができる。
【0045】
加振電極30に印加する駆動信号の電圧が一定となるように増幅器38のゲインを調整した場合、振動体28のQ値に対応して振動体28の振幅、つまり、容量電圧変換回路34から出力される信号の大きさが変化する。したがって、容量電圧変換回路34から出力される信号をQ値に変換し、さらに気体の圧力Pに変換することで、気体の圧力を測定することが可能である。また、実施形態1で述べたのと同様に、容量電圧変換回路34の出力信号(振動体の振幅)から圧力P値への変換は、Q値を介さないで直接的に変換するようにしてもよい。
【0046】
また、振動体28の振幅、すなわち、振動体28の変位に応じて出力される容量電圧変換回路34の出力信号の大きさ(振動体の振幅)が一定となるように増幅器38のゲインをそれぞれ調整する構成とすることもできる。この場合、振動体28のQ値に対応して増幅器38から加振電極30に印加される駆動信号の電圧が変化するので、駆動信号をQ値に変換し、さらに気体の圧力Pに変換することで、気体の圧力を測定することが可能である。また、実施形態1で述べたのと同様に、駆動信号から圧力P値への変換は、Q値を介さないで直接的に変換するようにしてもよい。
【0047】
また気体の圧力が低圧(約100Pa以下)になった場合には、スイッチ回路43をON、スイッチ回路44をOFFの状態に切り替えられる。スイッチ回路44がOFFに切り替えられることにより、振動体28の振動は止まり、またスイッチ回路43がONに切り替えられることにより、振動体24が振動体28の場合と同様に加振、共振状態となるので、高圧(約3Pa以上)の場合と同様に気体の圧力を測定する。気体の圧力が再び高圧(約3Pa以上)になった場合は、スイッチ回路43をOFF、スイッチ回路44をONの状態に切り替わり、振動体28が加振、共振状態となる。
【0048】
上記した本発明の第1の実施形態では、気体の圧力に関わらず常時全ての振動体を振動させているが、本発明の第2の実施形態では使用する振動体のみを振動させる。これにより、電力の消費を抑えることが可能となる。また、2つの振動体24および28が測定することができる気体の圧力がオーバーラップしている領域(例えば10Paから50Pa:図4参照)は2つの振動体24および28を両方振動させることで、振動体の切り替え時に測定が不連続になることを防ぐことができる。また、本発明の第2の実施形態では、図3の表に示すように、振動体の厚さ又は梁の長さ若しくは振動体の材質又は面積の少なくとも1つが異なる2つの振動体を利用した場合の例を示したが、同じく、振動体の厚さ又は梁の長さ若しくは振動体の材質又は面積の少なくとも1つが異なる3つ以上の振動体を利用することで気体の圧力を測定することができる領域を広げることができる。
[実施形態3]
図10は本発明の第3の実施形態に係る真空計の機構部分を成す構造体の平面図であり、図11は、図10に示す構造体の側面図である。図10および図11において真空計の機構部分を成す構造体は、錘1、梁2および振動体固定部3からなる振動体4、振動体4を加振するための加振電極5,7、振動体4の振動を検出するための振動検出電極6,8から構成される。
【0049】
図12は、本発明の第3の実施形態に係る真空計の回路構成を示すブロック図である。なお、図12は、1つの真空計内に振動体の厚さ又は梁の長さ若しくは振動体の材質又は面積の少なくとも1つが異なる複数(例えば2つ)の振動体を含む構成について、1つの振動体に対応する回路構成だけを示しており、他の振動体に対応する回路構成も同様である。
【0050】
図12において、1つの振動体に対応する回路が、振動体4と振動検出電極6、8との間の静電容量の変化に応じた電圧を出力する容量電圧変換回路53、52、容量電圧変換回路53と52との出力の差分を出力する差分回路55、差分回路55の出力の位相を変化させる位相シフト回路57、位相シフト回路57の出力を増幅する増幅器59、入力された信号の位相を180度反転させる反転回路61、振動体4を所定の振動方向に初期加振するための初期加振用信号源63、加振電極5および7に印加される信号を選択するスイッチ回路65から構成される。
【0051】
次に、図12を用いて本発明の第3の実施形態に係る真空計の回路構成の動作を説明する。図12において、振動体4が初期加振される場合、スイッチ回路65はAとBが接続された状態である。初期駆動用信号源63から振動体4の所定の振動方向の固有振動数に対応した周波数の信号が出力され、その位相が反転回路61で反転され、反転回路61の出力および初期駆動用信号源63の出力が加振電極7および加振電極5にそれぞれ印加される。初期加振用信号源63は初期駆動するときのみ使用され、振動体4が振動し始めた後はスイッチ回路65が切り替えられ、AとCが接続された状態となる。なお、スイッチ回路65の切替制御は、例えば、振動体4の振幅、すなわち、振動体4の変位に応じて出力される差分回路55の出力信号の大きさが予め設定した値に到達したことを図示されないスイッチ回路用制御部で検出し、その検出タイミングで前記スイッチ回路用制御部からスイッチ回路65にB側からC側への切替信号を与えることにより行うことができる。
【0052】
そして、スイッチ回路65でAとCとが接続された状態において、差分回路55の出力信号の位相を位相シフト回路57でシフトし、増幅器59で増幅し、さらに増幅器59の出力の位相を反転回路61で反転させる。反転回路61の出力および増幅器59の出力が加振電極7および加振電極5にそれぞれ印加され、振動体4の所定の振動方向の共振状態を保持する。
【0053】
加振電極7および5に印加する駆動信号の電圧が一定となるように増幅器59のゲインを調節する構成とした場合、振動体4の所定の振動方向におけるQ値に対応して振動体4の所定の振動方向における振幅、すなわち、振動体の変位量に応じて差分回路55から出力される信号の大きさが変化する。したがって、差分回路55の出力信号の大きさを所定の振動方向におけるQ値に変換し、さらに気体の圧力Pに変換することで、気体の圧力を測定することが可能である。また、差分回路55の出力信号(振動体の振幅)から圧力P値への変換は、Q値を介さないで直接的に変換するようにしてもよい。
【0054】
また、振動体4の所定の振動方向における振幅、すなわち、振動体4の変位に応じて出力される差分回路55の出力信号の大きさ(振動体の振幅)が一定となるように増幅器59のゲインを調整する構成とすることもできる。この場合、振動体4の所定の振動方向におけるQ値に対応して増幅器59から加振電極7および5に印加される駆動信号の電圧が変化するので、駆動信号を所定の振動方向におけるQ値に変換し、さらに気体の圧力Pに変換することで、気体の圧力を測定することが可能である。また、駆動信号から圧力P値への変換は、Q値を介さないで直接的に変換するようにしてもよい。
【0055】
このように本発明の第3の実施形態に係る真空計では、1つの真空計内に振動体の厚さ又は梁の長さ若しくは振動体の材質又は面積の少なくとも1つが異なる複数の振動体を含む構成において、各振動体に対応するそれぞれの圧力測定系が、振動体と、振動体の両側に振動方向に沿って設置された1組の加振電極からなる加振電極部と、振動体の振動を検出する振動検出部とを有し、振動検出部の検出信号の位相を変化させる位相シフト回路と、該位相シフト回路の出力信号を増幅させる増幅器と、該増幅器の出力信号の位相を反転させる反転回路とからなる駆動信号生成部を備え、振動検出部の検出信号に基づく逆相の駆動信号として、反転回路および増幅器の各出力信号を1組の加振電極にそれぞれ印加することで振動体の共振状態を保持するように構成されている。
【0056】
なお、本発明の第3の実施形態に係る真空計では、上記した本発明の第1の実施形態のように、気体の圧力に関わらず常時全ての振動体を振動させる構成としてもよく、また、本発明の第2の実施形態におけるようなスイッチ回路43および44(図9参照)を設けて、使用する振動体のみを振動させる構成としてもよい。
[具体例1]
図13は、本発明の第3の実施形態に係る振動体の設計値の一例を示す図である。図13の設計(I)および設計(II)は具体例1における振動体4の設計値の一例であり、設計(I)と設計(II)とでは振動体の厚さ(=梁厚)(C値)が異なる。図14は図13に示した振動体の設計値の具体例1における気体の圧力Pと振動体のQ値との関係である。ただし、振動体固有のQ値を100000、温度Tを300K、評価対象の気体を空気とした場合であり、以下の具体例についても同様である。図14より、振動体の厚さが異なる2つの振動体を利用することで、1つの振動体の場合と比較して約1桁測定可能な圧力範囲を広くすることが可能であることがわかる。
[具体例2]
図13の設計(III)および設計(IV)は具体例2における振動体4の設計値の一例であり、設計(III)と設計(IV)とでは振動体の梁の長さ(D値)が異なる。図15は振動体の設計値の具体例2における気体の圧力Pと振動体のQ値との関係である。図15より、梁の長さが異なる2つの振動体を利用することで、1つの振動体の場合と比較して0.5桁程度測定可能な圧力範囲を広くすることが可能であることがわかる。
[具体例3]
図13の設計(V)および設計(VI)は具体例3における振動体4の設計値の一例であり、設計(V)と設計(VI)とでは振動体の材質(ヤング率)が異なる(シリコン:130Gpa、アルミニウム:70GPa)。図16は振動体の設計値の具体例3おける気体の圧力Pと振動体のQ値との関係である。図16より、振動体の材質が異なる2つの振動体を利用することで、1つの振動体の場合と比較して若干測定可能な圧力範囲を広くすることが可能であることがわかる。
[具体例4]
図13の設計(VII)および設計(VIII)は具体例4における振動体4の設計値の一例であり、設計(VII)と設計(VIII)とでは振動体の錘の面積(A×B値)が異なる。図17は振動体の設計値の具体例4における気体の圧力Pと振動体のQ値との関係である。図17より、錘の面積が異なる2つの振動体を利用することで、1つの振動体の場合と比較して1桁弱測定可能な圧力範囲を広くすることが可能であることがわかる。
[具体例5]
上記した式1より、1/Pの係数部分aは、以下の式3のように表される。
【0057】
【数3】

【0058】
この式3から分かることは、係数が大きく異なる、すなわち差が大きい2つの振動体を使用することで、測定することが可能な測定範囲を大きく変化させることが可能であることがわかった。
【0059】
図13の設計(IX)および設計(X)は具体例5における振動体4の設計値の一例であり、設計(IX)と設計(X)とでは振動体の梁の長さ(D値)、面積(A×B値)および梁厚(C値)が異なる。図18は振動体の設計値の具体例5における気体の圧力Pと振動体のQ値との関係である。図18より、上記した式3の係数が大きく異なる2つの振動体を利用することで、1つの振動体の場合と比較して3桁程度測定可能な圧力範囲を広くすることが可能であることがわかる。
【0060】
なお、上述した全ての具体例について2つの振動体を利用する場合について説明したが、3つ以上の振動体を利用することも可能である。
[実施形態4]
図19は本発明の第4の実施形態に係る真空計の回路構成を示すブロック図である。図19は、1つの真空計内に振動体の厚さ又は梁の長さ若しくは振動体の材質又は面積の少なくとも1つが異なる複数(例えば2つ)の振動体を含む構成について、1つの振動体に対応する回路構成だけを示しており、他の振動体に対応する回路構成も同様である。
【0061】
図19に示す本発明の第4の実施形態に係る真空計の回路は、図12に示した本発明の第3の実施形態に係る真空計の回路と比較して、駆動信号生成部の構成が異なっているが、それ以外の点では、図12の回路と同様である。また、振動体4の構造については上記した本発明の第3の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0062】
図19において、1つの振動体に対応する回路が、振動体4と振動検出電極6、8との間の静電容量の変化に応じた電圧を出力する容量電圧変換回路53、52、容量電圧変換回路53と52との出力の差分を出力する差分回路55、駆動用信号源73、駆動用信号源73の出力を増幅する増幅器59、入力された信号の位相を180度反転させる反転回路61から構成される。図19の回路構成は、図12の回路構成におけるような位相シフト回路57、初期加振用信号源63、スイッチ回路65を備えておらず、代わりに、振動体4の初期駆動だけでなく定常的な圧力測定状態での駆動にも用いられる駆動用信号源73を備えている。
【0063】
次に、図19を用いて本発明の第4の実施形態に係る真空計の回路構成の動作を説明する。図19において、駆動用信号源73から出力された信号は増幅器59によって増幅され、さらに、増幅器73の出力の位相は反転回路61で反転される。反転回路61の出力および増幅器59の出力がそれぞれ加振電極5および7に印加されることで、振動体4が所定の振動方向に加振される。振動体4が所定の振動方向に振動することで振動体4と振動検出電極6および8との間の静電容量が変化するので、この静電容量の変化を容量電圧変換回路53および52で静電容量の変化、すなわち、振動体4の所定の振動方向における振幅に応じた電圧に変換する。容量電圧変換回路52および53の出力電圧は逆位相であるので、差分回路55で出力電圧の差分をとることで振動体4の所定の振動方向に振幅に応じた最終的な出力電圧を得る。
【0064】
加振電極5および7に印加する駆動信号の電圧が一定となるように増幅器59のゲインを調節する構成とした場合、振動体4の所定の振動方向におけるQ値に対応して振動体4の所定の振動方向における振幅、すなわち、振動体4の変位量に応じて差分回路55から出力される信号の大きさが変化する。したがって、差分回路55から出力される信号を所定の振動方向におけるQ値に変換し、さらに気体の圧力Pに変換することで、気体の圧力を測定することが可能である。また、差分回路55の出力信号(振動体の振幅)から圧力P値への変換は、Q値を介さないで直接的に変換するようにしてもよい。
【0065】
また、振動体4の所定の振動方向における振幅、すなわち、振動体4の変位に応じて出力される差分回路55の出力信号の大きさ(振動体の振幅)が一定となるように増幅器59のゲインを調整する構成とすることもできる。この場合、振動体4の所定の振動方向におけるQ値に対応して増幅器59から加振電極5および7に印加される駆動信号の電圧が変化するので、駆動信号を所定の振動方向におけるQ値に変換し、さらに気体の圧力Pに変換することで、気体の圧力を測定することが可能である。また、駆動信号から圧力P値への変換は、Q値を介さないで直接的に変換するようにしてもよい。
【0066】
なお、本発明の第4の実施形態に係る真空計では、上記した本発明の第1の実施形態のように、気体の圧力に関わらず常時全ての振動体を振動させる構成としてもよく、また、本発明の第2の実施形態におけるようなスイッチ回路43および44(図9参照)を設けて、使用する振動体のみを振動させる構成としてもよい。
【0067】
また、上記した本発明の第3の実施形態における具体例1〜5で説明した各設計値(I)〜(X)の振動体4は、いずれも、第1、2、4の各実施形態に係る真空計にも適用可能なものである。
【符号の説明】
【0068】
1、21、25 錘
2、22、26 梁
3、23、27 振動体固定部
4、24、28 振動体
5、7、29、30 加振電極
6、8、31、32 振動検出電極
33、34、52、53 容量電圧変換回路
35、36、57 位相シフト回路
37、38、59 増幅器
39、40、43、44、65 スイッチ回路
41、42、63 初期駆動用信号源
55 差分回路
61 反転回路
73 駆動用信号源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動体と、該振動体を静電力により駆動する加振電極部と、前記振動体を加振する駆動信号を生成する駆動信号生成部とを有し、前記駆動信号を前記加振電極部に印加して前記振動体を共振状態に保持して、前記振動体の振動特性から雰囲気の圧力を測定する圧力測定部を備えた真空計であって、
前記振動体を前記真空計における共通の雰囲気内に複数個備え、
前記各振動体により測定することができる圧力範囲をそれぞれ異ならせた、
ことを特徴とする真空計。
【請求項2】
請求項1に記載の真空計において、
前記各振動体は、厚さ、梁の長さ、材質もしくは面積の少なくとも1つが異なることにより測定できる圧力範囲が異なることを特徴とする真空計。
【請求項3】
請求項1または2に記載の真空計において、
前記各振動体により測定することができる圧力範囲を一部オーバーラップさせて構成したことを特徴とする真空計。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の真空計において、
真空計内の気体の圧力によって圧力の測定に使用する前記振動体を切り替えることを特徴とする真空計。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の真空計において、
真空計内の気体の圧力に関わらず常時すべての振動体を動作させることを特徴とする真空計。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の真空計において、
前記圧力測定部は、前記振動体の振動を検出する振動検出部を有するものであり、
前記駆動信号生成部は、前記振動検出部の検出信号に基づき、この検出信号の位相を変えて増幅することにより前記振動体を加振する駆動信号を生成するものであることを特徴とする真空計。
【請求項7】
請求項6に記載の真空計において、
前記圧力測定部は、振動体の両側に振動方向に沿って設置された1組の加振電極からなる加振電極部を備えるとともに、振動検出部の検出信号の位相を変化させる位相シフト回路と、該位相シフト回路の出力信号を増幅させる増幅器と、該増幅器の出力信号の位相を反転させる反転回路とからなる駆動信号生成部を備え、振動検出部の検出信号に基づく逆相の駆動信号として、前記反転回路および前記増幅器の各出力信号を前記1組の加振電極にそれぞれ印加することで振動体の共振状態を保持することを特徴とする真空計。
【請求項8】
請求項6または7に記載の真空計において、
前記駆動信号生成部は、前記駆動信号の電圧が一定となるように、前記振動検出部の検出信号の位相を変えた信号に対する増幅のゲインを調整するものであり、
前記圧力測定部は、前記振動検出部の検出信号の大きさに基づいて圧力を測定することを特徴とする真空計。
【請求項9】
請求項6または7に記載の真空計において、
前記駆動信号生成部は、前記振動検出部の検出信号の大きさが一定となるように、前記振動検出部の検出信号の位相を変えた信号に対する増幅のゲインを調整するものであり、
前記圧力測定部は、前記駆動信号の電圧に基づいて圧力を測定することを特徴とする真空計。
【請求項10】
請求項6ないし9のいずれか1項に記載の真空計において、
前記振動体の固有周波数に対応した周波数の初期励振信号を出力する初期励振用信号源を備え、
振動体の初期駆動時には、振動検出部の検出信号に基づく駆動信号の代わりに、前記初期励振信号に基づく初期駆動信号を前記加振電極部に印加することを特徴とする真空計。
【請求項11】
請求項6ないし10のいずれか1項に記載の真空計において、
前記振動検出部は、前記振動体と検出電極との間の静電容量を検知することにより前記振動体の振動を検出するものであることを特徴とする真空計。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の真空計において、
前記各振動体に対応させて前記圧力測定部を複数個設けることを特徴とする真空計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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