説明

眼球用の二色性白色光照明器

第1の光を発する第1の単色光源、および、第2の光を発する第2の単色光源のみを有する眼球内照明器。上記第1および第2の光は色度グラフ上で表現可能な光色軸を定義する。上記第1および第2の光の内の少なくとも一方を平行化すべく構成された平行化要素。上記第1および第2の光を混合して単一の光線とすべく構成された光学的な混合デバイス。上記単一の光線を焦点合わせすべく構成されたレンズ。上記単一の光線を伝送すべく構成された光ファイバ。上記第1および第2の単色光源の少なくとも一方に対して結合されたコントローラ。該コントローラは、上記単一の光線が、上記色度グラフ上の上記光色軸に沿う一点における特定の色の光を表す如く、上記第1および第2の単色光源の少なくとも一方を調節すべく構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
眼球の手術において使用される眼球用照明器を改良する必要性は、存在し続けている。現在における眼球用照明器は、タングステン・フィラメント電球、ハロゲン電球の如き白色光源、および/または、金属ハライド・ランプおよびキセノン・ランプなどの高輝度放電(HID)ランプを利用している。しかし、現在の眼球用照明器を使用する上では多くの欠点が在る。
【背景技術】
【0002】
例えば、現在の眼球用照明器において使用される上記の各電球およびランプは、寿命が短い。上記電球およびランプは、30〜400時間毎に焼き切れるので、それらは手術処置の間において焼き切れることが多い。故に、斯かる障害によれば、患者に対する弊害のリスクが高まる、と言うのも、直ちに光が欠如して手術が中断されるからである。また、現在の眼内照明器においては、電球交換の負担も相当に大きい。
【0003】
更に、これらの電球およびランプは、現在の眼球内照明器が高温に耐え得る構成要素で構成されねばならない様に、相当な量の熱を発生する。現在の眼球用照明器において電球およびランプにより生成される熱の故に、照明器内には冷却ファンが導入され、このことは、製造/使用のコストを増加すると共に、照明器の嵩高さ/サイズを増大する。このファンはまた、手術室内で相当なレベルの騒音も生成する。使用に際し、これらの電球およびランプは(例えば、タングステン・フィラメントが熱平衡に至るために)一定の暖機時間を取り、その間においては、眼球用照明器により生成される色および明るさは変化する。
【0004】
現在、LED式の眼球内照明器は存在しないが、白色などの調節可能な色を有する光を照明器が生成する如く、少なくとも3個の単色光源を併用するというRGB方式が提案されている。3個以上の単色光源を併用して所定の光を生成するには、その3個以上の単色光源が適切に併用されるために複雑な光学的方式が必要である。これに加え、眼球用照明器が正しく動作させる必要がある単色光源が多くなるにつれ、各光源の内のひとつが作動を停止したときに生ずる問題の可能性は大きくなる。既存の眼内照明器と比較して、提案される一切のLED式の眼内照明器は、更に長いLED光源の寿命と、“即時作動開始”機能とを有さねばならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
故に、眼球手術の間において使用される眼球内照明器デバイスおよび方法であって、3個未満の単色光源を使用し、(明るさおよび/または色などの)照明の品質を向上させ、使用の間における熱および騒音の発生を低減し、手術処置の間における機器の信頼性を高め、且つ、光源の寿命を伸ばすことで電球交換に関する一切の問題を排除するという眼球内照明器デバイスおよび方法に対する要望が在る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のこれらのおよび他の見地、形態、目的、特徴および利点は、以下の詳細な図面および説明から明らかとなろう。
【0007】
第1の光を発する第1の単色光源、および、第2の光を発する第2の単色光源のみを有する眼球内照明器。上記第1および第2の光は色度グラフ上で表現可能な光色軸(light color axis)を定義する。付加的に、上記眼球内照明器は、上記第1および第2の光の内の少なくとも一方を平行化すべく構成された平行化要素を含む。これに加え、上記眼球内照明器は、上記第1および第2の光を混合して単一の光線とすべく構成された混合デバイスを含む。同様に、上記眼球内照明器は、上記単一の光線を焦点合わせすべく構成されたレンズを有する。更に、上記眼球内照明器は、上記単一の光線を伝送すべく構成された光ファイバを有する。更に、上記眼球内照明器は、上記第1および第2の単色光源の少なくとも一方に対して結合されたコントローラを有する。該コントローラは、上記単一の光線が、上記色度グラフ上の上記光色軸に沿う一点における特定の色の光を表す如く、上記第1および第2の単色光源の少なくとも一方を調節すべく構成される。
【0008】
第1の強度を有する第1の光を発する第1の単色光源、および、第2の強度を有する第2の光を発する第2の単色光源のみを有する光源を含む眼球内照明器。上記第1の強度は上記第2の強度とは異なる。付加的に、上記眼球内照明器は、上記第1および第2の光の内の少なくとも一方を平行化すべく作用し得る平行化要素を有する。これに加え、上記眼球内照明器は、上記第1および第2の光を整列させて単一の光線とすべく作用し得る混合デバイスを有する。同様に、上記眼球内照明器は、上記単一の光線を焦点合わせすべく作用し得るレンズを有する。更に、上記眼球内照明器は、上記単一の光線を伝送すべく作用し得る光ファイバを有する。更に、上記眼球内照明器は、上記単一の光線が特定の色を生成する如く上記第1および第2の強度を変化させるべく作用し得るコントローラを有する。
【0009】
眼球の内部に対して照明を提供する方法。上記方法は、第1の単色光源と第2の単色光源とを有する光源を配備する段階を含む。付加的に、上記方法は、上記第1および第2の単色光源に対して電流を提供し、該第1および第2の単色光源に夫々第1および第2の光を発せしめる段階を含む。これに加え、上記方法は、上記第1および第2の光を平行化する段階を含む。同様に、上記方法は、上記平行化された光を混合して単一の光線とする段階を含む。更に、上記方法は、上記単一の光線を焦点合わせする段階を含む。上記方法はまた、上記単一の光線を光ファイバ上で伝送する段階も含む。更に、上記方法は、上記単一の光線が特定の色の光を生成する如く上記第1および第2の単色光源を制御する段階を含む。
【0010】
取入れられて本願明細書の一部を構成する添付図面においては本発明の実施形態が例示され、これらの図面は、上記にて与えられた本発明の概略的な説明および以下に与えられる詳細な説明と協働し、本発明の実施形態を例証する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】本開示内容の実施形態に従う眼球内照明器において実現され得る二色性白色光照明器を形成する2個の単色光源の概略図である。
【図1B】本開示内容の実施形態に従う眼球内照明器において実現され得る二色性白色光照明器を形成する2個の単色光源の概略図である。
【図2】本開示内容の実施形態に従う眼球内照明器において実現された二色性白色光照明器において各単色光源を組み合わせることにより生成され得る白色光を示す色度図である。
【図3】本開示内容の実施形態に従う眼球内照明器において実現され得る二色性白色光照明器における2個の単色光源により発せられる波長(スペクトル)に対する光強度のグラフである。
【図4】本開示内容の実施形態に従う2個の単色光源を利用する眼球内照明器を示す図である。
【図5】本開示内容の実施形態に従う眼球内照明器を操作する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示内容は概略的に、眼球手術の分野に関し、より詳細には、眼球手術における照明のためのデバイスおよび方法に関する。本発明の原理の理解を促進するために、次に各図中に示された実施形態もしくは例が参照され、これらの例を記述するため特有の表現が使用される。但し、それにより本発明の有効範囲の制限が意図されないことは理解される。記述された実施形態における一切の変更および更なる改変、および、本明細書に記述された本発明の原理の一切の更なる応用は、本開示内容が関連する分野における当業者に対して通常的に想起されることが企図される。
【0013】
図1Aおよび図1Bは、本開示内容の実施形態に従う眼球内照明器において実現され得る二色性白色光照明器を形成する2個の単色光源の概略図を示している。先ず図1Aを参照すると、眼球内照明器において実現され得る二色性白色光照明器100が示される。二色性白色光照明器100は、第1の単色光源102、第2の単色光源104、および、二色性ミラー106を有している。単色光源102は第1の発光ダイオード(LED)であり、且つ、単色光源104は第2のLEDである。更に詳細には、二色性ミラー106の方向において、単色光源102は特定の波長(すなわち色)を有する光を発する一方、単色光源104は異なる特定の波長(すなわち色)を有する光を発する。ひとつの特定実施形態において、単色光源102は青緑色(turquoise color)を有する光を発する一方、単色光源104は赤色を有する光を発する。此処で、“単色光”とは、或る中央波長に中心合わせされた狭幅のスペクトル帯域を有する光として定義される。このスペクトル帯域のスペクトル幅は、レーザ光源に対しては非常に狭幅(<1nm)であり、LED光源に対しては(100nmなどまで)十分に広幅である。
【0014】
二色性ミラー106は、単色光源102により発せられつつある光(例えば青緑光)を透過し、且つ、単色光源104により発せられつつある光(例えば赤色光)を反射する。それに関し、二色性ミラー106は、単色光源102および104から発せられつつある光を混合して単一の光線とする。以下において相当に詳細に記述される如く、単色光源102により発せられつつある光は特定波長(例えば青緑色)であり且つ単色光源104により発せられつつある光は異なる特定波長(例えば赤色)であることから、これらの2つの光を混合すると、二色性白色光照明器100は白色光を生成し得る。換言すると、図2に関して以下に記述される如く、二色性白色光照明器100は色スペクトル(例えば色度グラフ)の白色領域の夫々の側上の色を混合することにより白色光の生成を許容する。
【0015】
図1Bは、別実施形態に従う眼球内照明器において実現され得る二色性白色光照明器100aを示している。二色性白色光照明器100aは、二色性白色光照明器100と同様であるが、異なる複数のLEDを備える。その点に関し、二色性白色光照明器100aは、第1の単色光源102a、第2の単色光源104a、および、二色性ミラー106aを有している。単色光源102aは第1波長を有する光(例えば紫色)を発する第1LEDであり、且つ、第2の単色光源104aは第2波長を有する光(例えば黄色)を発する第2LEDである。
【0016】
此処でも、単色光源102aおよび104aはそれらの光を、単色光源102aにより発せられつつある光(例えば紫色)を透過し且つ第2の単色光源104aにより発せられつつある光(例えば黄色)を反射する二色性ミラー106aに向けて導向する。二色性ミラー106aは、単色光源102および104から発せられつつある光を混合して単一の光線とする。換言すると、以下において相当に詳細に記述される如く、二色性白色光照明器100aは色スペクトル(例えば色度グラフ)の白色領域の夫々の側上の色を混合することにより白色光の生成を許容する。
【0017】
上記において夫々の二色性白色光照明器100および100aの単色光源に対しては特定の色が論じられたが、図2に関して以下に記述される如く他の色の組み合わせが使用され得ることを銘記すべきである。これに加え、二色性白色光照明器100および100aにおける各単色光源の特定の配置構成、および/または、二色性ミラーの特性は、例示目的で示されており、限定のためではない。その点に関し、各単色光源の一方は二色性ミラーに関して反射的である一方、他方の単色光源は二色性ミラーに関して透過的である如く、好適実施形態における各単色光源は任意の二色性ミラーに関して再位置決めされ得る。この混合は、例えば散乱プリズムなどの多くの他のデバイスにより行われ得る。
【0018】
更に、二色性白色光照明器100および100aに対して上記で論じられた単色光源は、適切な波長で光を生成し得る任意のエネルギ源であり得ることを銘記すべきである。特定例として、光源100および100aはレーザであり得る。指定された波長を発し得るレーザの種類の例としては、限定的なものとしてで無く例示的にのみ、レーザ・ダイオード、ダイオード励起式の固体レーザ、アルゴン・レーザ、および、ヘリウム・ネオン・レーザが挙げられる。換言すると、二色性白色光照明器100および100aは、夫々の波長の単色光を発する複数のレーザを利用し得る。図2に関して以下において相当に詳細に記述される如く、選択された各単色レーザが特定の波長の光を発する限り、その2つの単色レーザは白色光を生成すべく混合され得る。
【0019】
図2は、本開示内容の実施形態に従う眼球内照明器において実現された二色性白色光照明器により生成され得る白色光を表す、色度図200またはグラフである。例えば色度図200は、CIE1931色度グラフ、CIE1976色度グラフ、または、他の任意で適切な色度グラフと考えられ得る。色度図200は概略的に、人間の目で視認可能な色の範囲を表している。更に詳細には、上記図は、上述された光源102、102a、104および104aの如き単色光源により生成され得る色の範囲を表している。
【0020】
示された如く色度図200は、該図が左半域Lおよび右半域Rに分割される如く、分割線202により分割される。その点に関し、上記色度図の右半域および左半域は、LEDもしくはレーザの如き単色光源により生成され得る可能的な色を表している。故に、色度図200は、左半域Lは、約518nmより短い波長を有する光を発する第1の単色光源204を表し、且つ、右半域Rは、約518nmより長い波長を有する光を発する第2の単色光源206を表す如く、2つの半域に分割される。
【0021】
黒体曲線210の近傍には白色領域208が示される。示された如く、分割線202は白色領域208を分割する。白色領域208は、色度図200の左右の半域の各々からの単色光源を組み合わせることにより生成され得る白色光の領域を表している。更に詳細には、白色領域208は、第1および第2の単色光源204および206の混合および/または整列による、黒体曲線210に沿うもしくはその近傍の異なる色温度の白色光を包含している。故に分割線202は、白色領域208を通る基準点であって、左半域Lにおいて第1の単色光源204から発せられた光の波長を、右半域Rにおいて第2の単色光源206から発せられた光の波長と組み合わせることにより白色光の生成を許容するという基準点を定義している。
【0022】
単色光源204および206は、約400nm〜約700nmの波長を有する光を発し得る任意の単色光源とされ得る。換言すると、単色光源204および206は、可視光線のスペクトル内に収まる色を発し得る任意の光源と見做され得る。その点に関し、図2は、単色光源204は約518nmより短い波長を有する光を発し且つ単色光源206は約518nmより長い波長を有する光を発することを示している。例えば、限定的なものとしてで無く、単色光源204および206はLEDおよび/またはレーザとされ得る。
【0023】
その点に関し、単色光源204が左半域Lからの特定の波長を有する光を発し且つ単色光源206が右半域Rからの特定の波長を有する光を発するとき、混合により生成された結果的な光は、上記の2個の光源の間に延在する光色軸に沿う特定点として定義され得る。換言すると、単色光源204および206から発せられつつある光の色を混合すると、色度図200上の光色軸であって、単色光源204および206から発せられた光を混合することにより生成され得る可能的な色の範囲を定義するという光色軸に帰着する。更に、単色光源204および206から発せられた光の波長の組み合わせは、2個の単色光源の間に延在する結果的な光色軸が色度図200上で白色領域208と交差する如く選択され得る。故に、以下において相当に詳細に記述される如く、白色領域208と交差する光色軸を定義する波長の適切な組み合わせが与えられたなら、2個の光源の併用から生成されつつある光は、白色領域208内に配置された上記光色軸上の点を表す如く、夫々の単色光源204および206を調節する機能に帰着する。
【0024】
右半域Rにおいて第2の単色光源206から発せられた光の波長に対する、左半域Lにおいて第1の単色光源204から発せられた光の組み合わせは、白色光を生成すべく使用され得るが、白色光を生成する最適な有効性は、一定の範囲の波長同士を組み合わせたときに達成されることが確認されている。図2に示された如く、波長の領域CD(例えば、495nm〜405nm)および波長の領域AB(例えば575nm〜650nm)は、2個の単色光源を用いて白色光を生成するための最適な有効性のために選択される波長の最適な領域を表している。換言すると、単色光源204および206を併用して白色光を生成するときには、単色光源204は、領域CD内に収まる波長を有する光を該光源が発する如く構成され、且つ、単色光源206は、領域AB内に収まる波長を有する光を該光源が発する如く構成されることが最適である。
【0025】
図2に示された如く、例えば、光色軸212は単色光源204および206の間に延在する。その点に関し、光色軸212は、単色光源204から発せられた約492nm波長の光を、単色光源206から発せられた約635nm波長の光と組み合わせることで生成され得る可能的な色の範囲を定義する。示された如く、光色軸212は白色領域208と交差する。故に、以下において相当に詳細に記述される如く、単色光源204および206は、単色光源204から発せられた約492nm波長の光を、単色光源206から発せられた約635nm波長の光と組み合わせて、光色軸212に沿う点であって白色領域208内に配置されたという点における光を生成する如く調節され得る。
【0026】
これに加え、図2は、単色光源204および206間に延在する付加的な光軸であって白色領域208と交差するという付加的な光軸の例として、光軸214、216および218を示している。簡潔さのために、単色光源204および206から発せられつつある光の夫々の波長が変更されたことを除き、光色軸212に関する上記考察は光軸214、216および218に適用される。以下の表1は、単色光源204および206により生成されつつある光波長であって、色度図200に示された色スペクトルの白色領域208と交差する光軸212、214、216および218を定義するという光波長の種々の組み合わせを示している。
【0027】
【表1】

【0028】
上記の表1は白色領域208と交差する光軸を生成する光の波長の組み合わせの特定例を示しており、この表は、例示目的に対してのみ考慮されるが、使用され得る波長の可能的な組み合わせの何らかの明示的もしくは暗黙的な限定と解釈されてはならない。更に、各波長に対し、例示的な光源は表内に含まれている。更に、表1に示された波長の組み合わせは領域ABおよびCDから選択された波長を含むが、このことは、色度グラフ200の分割線202の各側から組み合わせ得る波長であって、白色領域208と交差する光色軸を定義すべく使用され得るという波長の可能的な範囲の限定を意味してはいない。
【0029】
上記で論じられた如く、単色光源204および206により発せられた光を混合するときには、その2個の単色光源の間に定義された光色軸に沿う一点に対応する色の光が生成される。単色光源204および206を調節することにより、その2個の単色光源の間に定義される光色軸に沿う一点に対応する特定の色が達成され得る。各単色光源の調節は、夫々の単色光源の強度(すなわち、実際の強度、または、知覚される強度)を変更することにより達成され得る。
【0030】
その点に関し、単色光源204および206の実際の強度の変更には、2個の単色光源の相互に対する相対強度の変更が伴う。単色光源206に対して単色光源204の強度を変化させることにより、またはその逆とすることにより、単色光源204および206間に延在する光色軸に沿う特定の色が生成され得る。概略的に、単色光源204および206の相対強度の変更は、例えば、パルス振幅変調、および、他の適切な技術の如き、種々の技術により達成され得る。斯かる技術を用いて単色光源204および206を駆動するためには、2個の単色光源が同時に光を発することが必要であるが、異なる強度振幅を有する別体的な電流により駆動される。故に、例えば単色光源204および206間の相対的な振幅強度を適合調整もしくは選択することにより、それらの単色光源間に延在する光色軸に沿う一点に対応する任意の色を生成することができる。
【0031】
単色光源204および206は色度グラフ200(図2参照)の分割線202の夫々の側上の波長の光を発し得ることから、波長の組み合わせは、単色光源204および206間に定義された光色軸が白色領域208と交差する如く選択され得る。例えば、上記に示された表1を使用することで、単色光源204および206の間の光色軸であって白色領域208と交差するという光色軸を定義する波長の組み合わせを選択することが可能である。故に、上記光色軸に沿う一点であって、其処においては、単色光源204および206から発せられた光を混合することで当該白色が生成されるという一点が、白色領域208内に配置された一点に対応するまで、単色光源204および206の夫々の強度を変化させることにより、白色光、または、白い色相の光が生成される。
【0032】
図3は、本開示内容の実施形態に従う眼球内照明器において実現され得る二色性白色光照明器における2個の単色光源により発せられる波長に対する光強度のグラフを示している。図3に示された如く、単色光源304は色が実質的に青である波長の光を発し、且つ、単色光源306は色が実質的に赤である波長の光を発する。例えば、単色光源304は実質的に青色のLEDもしくはレーザであり、且つ、単色光源306は実質的に赤色のLEDもしくはレーザである。故に、単色光源304および306は夫々、色度グラフ200(図2参照)のCD領域およびAB領域からの波長の光を発し得る。故に、一例として、上記光色軸に沿う一点であって、其処においては、単色光源304および306から発せられた光を混合することで当該白色が生成されるという一点が、白色領域208内に配置された一点に対応するまで、単色光源304および306の夫々の強度を変化させることにより、白色光、または、白い色相の光が生成される。
【0033】
図3において、指定された範囲内の波長を有する光を発し得る単色光源304および306の例証は、例示の目的に対してのみ示されることを銘記すべきである。その点に関し、本明細書においては、各単色光源が図2に示された分割線202の夫々の側上の波長の光を発し得る限りにおいて、約400nm〜約700nmの波長の光を発し得る複数の単色光源の任意の個数の異なる組み合わせが企図される。更に、単色光源304は概略的に青色のLEDもしくはレーザとして特定され且つ単色光源306は概略的に赤色のLEDもしくはレーザとして特定されるとしても、約400nm〜約700nmの範囲内の波長の光を発し得る任意数の他のLEDおよび/またはレーザが存在する。故に、本明細書においては、分割線202の夫々の側上における波長の光を発し得るLEDおよび/またはレーザの任意数の他の対が使用されることが企図される。
【0034】
これに加え、白色光の如き所定の色の光を生成するための単色光源204および206の調節は、これらの2個の単色光源の知覚強度を変更することにより達成され得る。単色光源204および206の知覚強度の変更は、単色光源204および206の間に延在する光色軸に沿う特定の色を生成すべく使用され得る。“LEDを時間的にディザリングして複数ビットの色分解能を達成する方法およびシステム”と称されると共に、言及したことにより全体的に本明細書中に援用されるという米国特許第7,286,146号に記述された如く、単色光源204および206の知覚強度は、各単色光源により発せられつつある光の波長を、(例えば60kHzより速い)十分な高速にて順次的に変化させて所望の色の光の視覚的な知覚を引き起こすことにより、変化せしめられ得る。概略的にこのことは、例えば、パルス幅変調、時間的ディザリング、および、他の適切な技術の如き、種々の技術により達成され得る。斯かる技術を用いて単色光源204および206を駆動する上では、特定の時的間隔にわたり夫々の単色光源204および206に対して実質的に一定の電流を供給する必要がある。実質的に一定の電流が単色光源204および206に対して供給される時的間隔が短いほど、単色光源204および206から発せられつつある光を観測者が観測する明るさ(すなわち知覚強度)は低い。故に、例えば、異なる周波数にて単色光源204および206を交互動作させることにより、各単色光源間に延在する光色軸に沿う一点に対応する任意の色を生成し得る。
【0035】
単色光源204および206は色度グラフ200(図2参照)の分割線202の夫々の側上の波長の光を発し得ることから、波長の組み合わせは、単色光源204および206間に定義された光色軸が白色領域208と交差する如く選択され得る。例えば、上記に示された表1を使用することで、単色光源204および206の間の光色軸であって白色領域208と交差するという光色軸を定義する波長の組み合わせを選択することが可能である。故に、上記光色軸に沿う一点であって、其処においては、単色光源204および206から発せられた光を混合することで当該白色が生成されるという一点が、白色領域208内に配置された一点に対応するという周波数にて単色光源204および206を交互動作させることにより、白色光、または、白い色相の光が生成される。
【0036】
単色光源204および206の夫々の強度および知覚強度を変化させることで白色光の如き特定の色を生成すべく、これらの単色光源を調節することは、相互に排他的ではないことが企図される。代わりに、光源の各相対強度を、夫々の知覚強度と組み合わせて変化させることにより、光色軸に沿う一点であって白色領域208と交差するという一点に配置された光を生成し得ることが企図される。
【0037】
図4は、本開示内容の実施形態に従う2個の単色光源を利用する眼球内照明器400を示す図である。更に詳細には、眼球内照明器400は、第1の単色光源402、第2の単色光源404、コントローラ406、コリメータレンズ408および410、二色性ミラー412、集光レンズ414、結合器416、光ファイバ418、ハンドピース420、および、プローブ422を含む。
【0038】
コントローラ406は、眼球内照明器400の種々の構成要素の動作を制御する。コントローラ406は典型的には、電力、入力および出力の各ピンを備えて論理機能を実施し得る集積回路である。更に、コントローラ406は、眼球内照明器400の任意の構成要素に対して電力を提供すべく構成され得る。これに加え、種々の実施形態においてコントローラ406は目標限定デバイスのコントローラである。斯かる場合、コントローラ406は、特定のデバイスもしくは構成要素に目標限定された特定の制御機能であって、単色光源402および404に対して電流もしくは電流パルスを導向する如き制御機能を実施する。他の実施形態において、コントローラ406はマイクロプロセッサである。斯かる場合にコントローラ406は、眼球内照明器400の単色光源402および404ならびに他の構成要素に対して供給されつつある電流を制御すべく該コントローラが機能し得る如く、プログラム可能である。上記マイクロプロセッサ内に取り込まれたソフトウェアは、コントローラ406により提供される制御機能を実現する。他の実施形態においてコントローラ406は、眼球内照明器400の種々の構成要素を制御すべく構成された専用のコントローラなどの、任意の種類のコントローラとされ得る。図4においてはひとつの構成要素として描かれるが、コントローラ406は、多くの異なる構成要素もしくは集積回路から作成され得る。
【0039】
コントローラ406は、単色光源402および404の動作を制御すべく機能する。その点に関し、単色光源402および404は、図2に関して上記で論じられた単色光源204および206と実質的に同様である。上記で論じられた如く、402および404の如き単色光源により発せられた光を混合するとき、色度グラフ(図2参照)上で2個の単色光源間に定義された光色軸に沿う一点に対応する光が生成される。単色光源204および206を調節することにより、2個の単色光源間に定義された上記光色軸に沿う一点に対応する特定の色が達成され得る。各単色光源の調節は、夫々の単色光源の強度または知覚強度を変化させることにより達成され得る。コントローラ406は、単色光源402および404の強度および/または知覚強度を変化させるなどして、夫々の単色光源の動作を制御することで、白色光の如き特定の色の光を生成し得る。
【0040】
その点に関し、コントローラ406は、単色光源402および404の強度および/または知覚強度を変化させるパルス幅変調、パルス振幅変調、時間的ディザリング、閃光発光(strobing)、および/または、他の適切な制御方式の如き種々の制御方式により、夫々の単色光源を調節し得る。更に、コントローラ406は、単色光源402および404を個別的にまたは一体的に駆動することで、異なる光出力を生成し得る。これに加え、コントローラ406は、単色光源402および404により発せられる必要がある適切な光の波長の組み合わせが、白色領域208と交差する光色軸を定義する如く、上記組み合わせを算出する制御方式によりプログラムされ得る。図2に関して上記で論じられた如く、各単色光源の適切な組み合わせが与えられると、2個の単色光源を併用することで生成されつつある光が、白色領域208内に配置された光色軸上の一点を表す如く、夫々の単色光源402および404を調節する機能に帰着する。
【0041】
本発明の一実施形態において、医師はコントローラ406と協働することで、特定の手術処置に対して必要とされる光の色相および/または温度色を選択する。例えば、上記で論じられた如く、単色光源204および206を調節することにより、2個の単色光源間に定義された光色軸に沿う一点に対応する特定の色が達成され得る。但し、他の実施形態において、コントローラ406は、数個の異なる色の光出力を提供する数個の異なる光モードによりプログラムされ得る。これらの出力は、ユーザが選択可能でも良く、そうでなくても良い。
【0042】
上記で論じられた如く、単色光源402および404は、単色光源204および206と実質的に同様である。故に、単色光源402および404は、約400nm〜約700nmの波長を有する光を発し得る任意の単色光源とされ得る。例えば、限定的なものとしてで無く、単色光源204および206はLEDおよび/またはレーザとされ得る。但し、図2に関して上記で論じられた如く、単色光源402および404が分割線202の夫々の側からの光を発することが最適である。更に、白色光を生成するとき、単色光源402および404は、白色領域208と交差する光色軸を定義する波長の光を発することが最適である(表1および図2を参照)。
【0043】
単色光源402および404からの光は夫々、コリメータレンズ408および410により平行化される。コリメータレンズ408および410による光の平行化は、単色光源402および404からの光線が平坦な波面と平行である如く、これらの光線を整列させる段階を伴う。更に、単色光源402および404からの光は、単色光源402および404により伝搬された色の光が相互から独立して平行化される様に、平行化される。夫々の平行化された光は、二色性ミラー412の如き整列デバイスにより結合されて単一の光線とされる。その点に関し、二色性ミラー412は、単色光源402から発せられて平行化された光に対しては透過的であり且つ単色光源404から発せられて平行化された光に対しては反射的である。他の実施形態においては、平行化された光を結合して単一の光線とする適切な構成において、二色性のビームスプリッタが使用され得る。
【0044】
図4に示された如く、二色性ミラー412からの単一の光線は集光レンズ414により焦点合わせされる。集光レンズ414は、上記単一の光線が小さな口径の光ファイバ上で伝送され得る様に、該光線を焦点合わせする。集光レンズ414は、眼球内照明器400に対して適切な構成のレンズである。集光レンズ414は典型的には、結果的に焦点合わせされた光線が光ファイバにより適切に伝送され得る様に設計される。集光レンズ414は、非球面とされ得ると共に、単一の光線を焦点合わせする役割を果たす。
【0045】
集光レンズ414は、眼内照明器アセンブリ424と協働する。眼内照明器アセンブリ424は、結合器416、光ファイバ418、ハンドピース420、および、プローブ422を含む。結合器416は、光ファイバ418を、集光レンズ414を出射する焦点合わせ光線に対して結合すべく設計される。詳細には結合器416は、光ファイバ418を、眼球426内へと送出されるべき焦点合わせ光線に対して適切に整列させる。集光レンズ414を出射して結合器416に進入する光線は、各々が自身の強度を有する異なる色の焦点合わせビームである。示されないが、集光レンズ414を出射して結合器416に進入する光線は、光ファイバ418とは別体的な別の光ファイバにより伝送されても良く、その場合に結合器416は光ファイバ418と、他の光ファイバとを接続する。
【0046】
光ファイバ418は、眼内照明器アセンブリ424の全長にわたり延在することで、眼球426内へと進行する光に対する連続的な経路を形成する。光ファイバ418は典型的には、勾配付きとされても良く、されなくても良いという小口径のファイバである。これに加え、光ファイバ418は一本の連続的な撚線で形成され得るか、またはそれは、光学的に結合された2本以上の撚線で形成され得る。
【0047】
光ファイバ418はまた、ハンドピース420およびプローブ422も踏破する。その点に関し、ハンドピース420は医師により保持されると共に、眼球426内におけるプローブ422の操作を許容する。図4に示された如く、プローブ422は、毛様体扁平部の領域における切開口を通して眼球426内に挿入される。例えばプローブ422は、硝子体網膜手術の間においては、眼球426の内側または硝子体領域428を照明すべく位置決めされ得る。眼内照明器アセンブリ424により伝送された焦点合わせビームが、照明されるべき眼球426の表面に衝当して後方散乱されたとき、結果的な色相が視認可能である。この様にして、単色光源402および404により発せられた夫々の色の光は、眼内照明器アセンブリ424を通るべく平行化されて集光されたビームにて眼球426内へと進行し、そこでその光は、底部から後方散乱されて、例えば橙色の光を生成する。故にプローブ422は、眼球426内への照明のためのインタフェースを提供する。
【0048】
図5は、本開示内容の実施形態に従う眼球内照明器を操作する方法を示す図である。段階502においては、混合されたときに、色度グラフの白色領域と交差する光色軸を協働して定義する特定波長の光を発する2個の単色光源が選択される。例えば、図2に関して上記で論じられた如く、表1は、色度グラフ200中に示された色スペクトルの白色領域208と交差する光軸212、214、216および218を定義すべく単色光源204および206により発せられつつある光の波長の種々の組み合わせを例証している。
【0049】
次の段階504において、選択された2個の単色光源に対して電流が提供されることで、それらは光を発する。段階506において、上記の2個の単色光源は、組み合わされたときに特定の白い色相の光の如き特定の色の光を生成すべく各単色光源が調節される如く制御される。例えば、図2に関して上記で論じられた如く、各単色光源は、該2個の単色光源の相対強度もしくは知覚強度を変化させることにより調節され得る。故に、各単色光源から発せられた光を混合して生成されている光の色が、色度グラフ200(図2参照)の白色領域208内に配置された一点に対応する如く各単色光源を調節することにより、白色光または白い色相の光が生成され得る。
【0050】
段階506は、ユーザ入力と共に、または、それなしで行われ得る。換言すると、方法500は、眼球内照明器により自動的に実施されることで所定の色の光を生成し得るか、または、ユーザ入力を許容することで特定の色の光を生成する。選択的な段階508は、段階506の間における2個の単色光源の制御に取入れられ得るユーザ入力を表している。一定の場合、青色−黄色ラインに沿い、潜在的に有害である青色光の量を減少させると共に、白色バランスを黄色に向けてシフトすることが好適であり得る。照明における青色成分を減少させることにより、医師は、強力な照明光に対して網膜を露出したときの陽光有害レベルに到達せずに、網膜を更に長く照明し得る。ユーザ入力は、上記眼球内照明器を用いる特定の手術処置に対して必要とされる光の色相および/または温度色の選択に関している。ユーザ入力は、2個の単色光源間に定義された光色軸に沿う一点に対応する特定の色を生成するための該2個の単色光源の調節に関する、技術的データ/情報、操作技術、制御方式、および、他の適切な技術を表し得る。故に、選択的な段階508は、上記眼球内照明器を用いる特定の手術処置に対して必要とされる光の色相および/または温度色の選択に対する入力を許容する。
【0051】
組み合わされたときに特定の色の光を生成すべく各単色光源が調節された後、段階510の間において、各単色光源から発せられた夫々の光は平行化される。各単色光源から発せられた光は、相互から独立して平行化される。平行化された光は次に、段階512にて、混合されて単一の光線とされ得る。例えば、段階512の間において、各単色光源からの平行化された夫々の光は、二色性ミラーにより結合されて単一の出力光線とされる。その点に関し、上記二色性ミラーは、各単色光源の一方から発せられて平行化された光に対しては透過的であり、且つ、各単色光源の他方から発せられて平行化された光に対しては反射的である。
【0052】
次に、上記単一の光線は、段階514の間に焦点合わせされ得る。その点に関し、上記二色性ミラーからの単一の光線は、集光レンズにより焦点合わせされる。上記集光レンズは、結果的に焦点合わせされた光線が光ファイバにより適切に伝送され得る様に、上記単一の光線を焦点合わせする。
【0053】
段階516は、光ファイバ上を伝送されつつある焦点合わせされた単一の光線の伝送を表している。例えば、上記光ファイバは、段階516の間において、該光ファイバ上の焦点合わせされた単一の光線の伝送が、眼球内への該単一の光線の送出を含む如く、図4に示された如き眼内照明器アセンブリ内に取入れられ得る。上記光ファイバにより伝送されて焦点合わせされた上記単一の光線は、照明されるべき眼球の表面に衝当して後方散乱され、結果的な色相が視認可能である。故に、方法500に従い眼球内照明器を操作すると、各単色光源により発せられた夫々の色の光は、平行化され、焦点合わせされて焦点合わせされた単一の光線として、上記光ファイバを通り進行して眼球内に至り、其処でその光は後方散乱されて、例えば白色光を生成する。
【0054】
本明細書中に開示された種々の単色光源は、LEDおよび/またはレーザの如き半導体照明(solid state lighting)と見做され得る。半導体照明は、タングステン・フィラメント電球、ハロゲン電球、および/または、高輝度放電(HID)ランプを用いる現在の眼球用照明器と比較して、多くの利点を提供する。例えば、LEDおよびレーザは、習用の眼球用照明器で使用される電球およびランプよりも、発生する熱が少なく且つ消費する電力が少ない。熱および電力が減少することから、冷却ファンは必要とされずに眼球用照明器はコンパクトな設計態様を有し得ると共に、使用するエネルギが少ないので操作コストが低減される。更に、LEDおよびレーザは、習用の眼球用照明器において使用される現在の電球およびランプよりも相当に長い寿命を有している。習用の眼球用照明器において使用される電球およびランプよりも長いLEDおよびレーザの寿命によれば、手術の間において発生する中断の可能性が低減されることから、手術処置の間における一定の時点において動作しない眼球用照明器からの患者に対する弊害のリスクが減少される。更に、現在の眼球用照明器と比べて、LEDおよび/またはレーザを用いる眼球用照明器を使用する操作コストは低い、と言うのも、LEDおよびレーザは、寿命が更に長く、保守を要することが少ないからである。
【0055】
これに加え、例えばレーザは、高度の平行化と、低いエタンデュ(etendue)とを達成する能力を有している。レーザの低いエタンデュに依れば、例えば、小さなコア径の光ファイバの如き低いエタンデュの光学システムとの結合が許容される。これに加え、LEDおよびレーザは、照明の明るさもしくは色の変化なしで、即時的なON投入およびOFF切断を行う能力を有している。ハロゲン電球の如き習用の電球およびランプは、熱平衡に到達するために数秒を要し、その時間の間に、色および明るさが変化する。故に、半導体照明は、タングステン・フィラメント電球、ハロゲン電球、および/または、高輝度放電(HID)ランプを使用する現在の眼球用照明器と比較して、多くの利点を提供する。
【0056】
更に、現在において提案されているLED式の眼球用照明器は3個以上の光源を使用することから、2個のみの単色光源を使用すると、相当に簡素な解決策が提供される。その点に関し、2つのみの波長の光を混合して白色光の如き特定の色を達成すると、3個以上の光源を併用して特定の色を達成することに比べて、相当に簡素な光学的方式が許容される。2個の単色光源の併用は、夫々の単色光源からの波長の光を反射かつ伝達すべく設計された二色性ミラーにより達成され得る。これに加え、代替実施形態において、上記の2個の単色光源として2個のレーザが使用されたとき、その2個のレーザは夫々、波長混合のための単純な偏光立方体(polarization cube)を使用して特定の色の光を生成すべく、SおよびP偏光へと回転され得る。故に、2個のみの単色光源を用いて特定の色の光を生成すると、3個の光源の使用と比較して相当に単純な解決策が提供される。
【0057】
上記から、本開示内容は、眼球の内側を照明する優れたシステムを提供することが理解され得る。本発明は、多くの異なる手法で駆動されて適切な光出力を提供し得る2個の単色光源を備える光源を提供する。光ファイバを収容するプローブは、上記光を眼球内へと伝送する。本明細書において本発明は例示的に示されたが、当業者によれば、種々の改変が為され得る。
【0058】
本発明は実施形態の上記記述により例示されると共に、各実施形態は一定の詳細さを以て記述されたが、発明の有効範囲を斯かる詳細に制限しまたは何らか限定することを出願人は意図していない。当業者であれば、付加的な利点および改変は容易に明らかであろう。故に、本発明はその最も広範囲な見地において、示されて記述された特定の詳細、代表的な装置および方法、および、図示例に限定されるものでない。故に、出願人の概略的なもしくは発明的な概念の精神もしくは有効範囲から逸脱せずに、斯かる詳細からの展開が為され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光を発する第1の単色光源、および、第2の光を発する第2の単色光源のみを有する光源であって、前記第1および第2の光は色度グラフ上で表現可能な光色軸を定義するという光源と、
前記第1および第2の光の内の少なくとも一方を平行化すべく構成された平行化要素と、
前記第1および第2の光を混合して単一の光線とすべく構成された混合デバイスと、
前記単一の光線を焦点合わせすべく構成されたレンズと、
前記単一の光線を伝送すべく構成された光ファイバと、
前記第1および第2の単色光源の少なくとも一方に対して結合されたコントローラであって、該コントローラは、前記単一の光線が、前記色度グラフ上の前記光色軸に沿う一点における特定の色の光を表す如く、前記第1および第2の単色光源の少なくとも一方を調節すべく構成されるというコントローラとを備える、眼球内照明器。
【請求項2】
前記光色軸は前記色度グラフの白色領域と交差し、該白色領域は、黒体曲線に沿いもしくはその近傍において異なる色温度を包囲する、請求項1に記載の眼球内照明器。
【請求項3】
前記一点は、前記色度グラフの白色領域内に配置される、請求項1に記載の眼球内照明器。
【請求項4】
前記色度グラフはCIE1931色度グラフである、請求項1に記載の眼球内照明器。
【請求項5】
前記第1の光は実質的に青緑色であり且つ前記第2の光は実質的に赤色である、請求項1に記載の眼球内照明器。
【請求項6】
前記第1の光は実質的に紫色であり且つ前記第2の光は実質的に黄色である、請求項1に記載の眼球内照明器。
【請求項7】
前記第1および第2の単色光源は、発光ダイオードおよびレーザから成る群から選択される、請求項1に記載の眼球内照明器。
【請求項8】
第1の強度を有する第1の光を発する第1の単色光源、および、第2の強度を有する第2の光を発する第2の単色光源のみを有する光源であって、前記第1の強度は前記第2の強度とは異なるという光源と、
前記第1および第2の光の内の少なくとも一方を平行化すべく作用し得る平行化要素と、
前記第1および第2の光を整列させて単一の光線とすべく作用し得る混合デバイスと、
前記単一の光線を焦点合わせすべく作用し得るレンズと、
前記単一の光線を伝送すべく作用し得る光ファイバと、
前記単一の光線が特定の色を生成する如く前記第1および第2の強度を変化させるべく作用し得るコントローラとを備える、眼球内照明器。
【請求項9】
前記コントローラは、前記第2の光の第2の振幅に対して前記第1の光の第1の振幅強度を変化させることにより前記第1および第2の強度を変化させて前記特定の色を生成すべく作用し得る、請求項8に記載の眼球内照明器。
【請求項10】
前記コントローラは、所定周波数にて前記第1の光および前記第2の光を順次的に交互生成することにより前記第1および第2の強度を変化させて前記特定の色を生成すべく作用し得る、請求項8に記載の眼球内照明器。
【請求項11】
前記周波数は1kHzより大きい、請求項10に記載の眼球内照明器。
【請求項12】
前記コントローラは、前記第1および第2の光を閃光発光させるためのアルゴリズム、パルス幅変調を行うアルゴリズム、振幅変調を行うアルゴリズム、および、時間的ディザリングを行うアルゴリズムから成る群から選択されたアルゴリズムを利用して、前記第1および第2の強度を変化させる、請求項8に記載の眼球内照明器。
【請求項13】
前記第1の単色光源から発せられた前記第1の光は約518nmより長い波長を有し、且つ、前記第2の単色光源から発せられた前記第2の光は約518nmより短い波長を有する、請求項8に記載の眼球内照明器。
【請求項14】
前記第1および第2の単色光源は発光ダイオードおよびレーザから成る群から選択される、請求項8に記載の眼球内照明器。
【請求項15】
前記第1および第2の光は色度グラフ上の白色領域と交差する光色軸を定義し、前記コントローラは、前記単一の光線が、前記白色領域内に配置された前記光色軸に沿う一点を表す如く前記第1および第2の強度を変化させるべく作用し得る、請求項8に記載の眼球内照明器。
【請求項16】
第1の単色光源と第2の単色光源とを有する光源を配備する段階と、
前記第1および第2の単色光源に対して電流を提供し、該第1および第2の単色光源に夫々第1および第2の光を発せしめる段階と、
前記第1および第2の光を平行化する段階と、
前記平行化された光を混合して単一の光線とする段階と、
前記単一の光線を焦点合わせする段階と、
前記単一の光線を光ファイバ上で伝送する段階と、
前記単一の光線が特定の色の光を生成する如く前記第1および第2の単色光源を制御する段階とを有する、眼球の内部に対して照明を提供する方法。
【請求項17】
前記光源を配備する段階は、色度グラフの白色領域と交差する光色軸を定義する前記第1および第2の単色光源を選択する段階を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1および第2の単色光源を制御する段階は、前記特定の色の光が、前記白色領域内に配置された前記光色軸に沿う一点を表す如く前記第1および第2の光の少なくとも一方の振幅強度を変化させる段階を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1および第2の単色光源を制御する段階は、前記特定の色の光が、前記白色領域内に配置された前記光色軸に沿う一点を表す如く、前記第1の光および前記第2の光を所定周波数にて交互生成する段階を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1および第2の単色光源を制御する段階は、発光ダイオードを閃光発光させるためのアルゴリズム、パルス幅変調を行うアルゴリズム、および、振幅変調を行うアルゴリズムから成る群から選択されたアルゴリズムを利用して、前記第1および第2の単色光源の少なくとも一方を制御する段階を含む、請求項16に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−514629(P2013−514629A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544533(P2012−544533)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/057001
【国際公開番号】WO2011/075262
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(508185074)アルコン リサーチ, リミテッド (160)
【Fターム(参考)】