説明

眼科用レンズモノマー混合物の脱気方法

径方向液体流路脱気装置を使用した、シリコーンヒドロゲルレンズ配合物の脱気方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2007年4月6日出願の米国特許出願第60/910,473号の本出願である。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、眼科用レンズ、特にシリコーンヒドロゲル配合物から形成されるレンズの製造に関する。
【背景技術】
【0003】
眼科用レンズ、特にソフトコンタクトレンズは、重合して硬い物質を形成するモノマーの混合物から形成され、この物質は水によって膨潤し得る。当初、眼科用レンズは、シリコーンを含有しないヒドロゲル配合物から形成されていた。最近の進歩により、シリコーンモノマー及びマクロマーを含有するヒドロゲル類が生み出されている。これらの材料から形成された眼科用レンズは、その高い酸素透過性及び他の要因により非常に人気がある。しかしながら、これらの材料の製造は、シリコーンを含有しないヒドロゲル類の製造とは異なっている。
【0004】
重合してシリコーンヒドロゲルを形成する配合物は、重合に先立って脱気される必要がある。これらの材料が脱気されない場合、製造されたレンズは多数の欠け、穴(chips holes)、気泡及び裂け目を含む。この問題を回避するために、多くの場合、生産ラインに組み込まれていない様々な技術(ロータリーエバポレーター、窒素パージ等)を用いてシリコーンヒドロゲル配合物を脱気する。シリコーンヒドロゲル配合物の脱気方法を、生産ラインに組み込むことができれば最も有益であろう。このことは、シリコーンヒドロゲルとシリコーン非含有ヒドロゲルとが共有する問題である。その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,435,943号は、シリコーン非含有ヒドロゲルに関するこの問題に対処している。この脱気装置が生産ラインに組み込まれて、シリコーン非含有ヒドロゲル中に溶解した気体を適切に減少させる。しかしながら、この特許の脱気装置は、シリコーンヒドロゲルには効果がない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、製造ラインに組み込むことができ、シリコーンヒドロゲル(silicone hydrogels silicone hydrogels)を脱気する脱気装置を見出すことは有用であろう。以下の発明は、この必要性に対処する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第60/910,473号
【特許文献2】米国特許第5,435,943号
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、液体モノマー配合物の脱気方法であって、径方向液体流路脱気装置(radial liquid flow path degasser)を使用してこの配合物を処理すること、を含む、方法を含む。
【0008】
本明細書で使用されるように、「液体モノマー配合物」は、眼科用レンズ、例えばソフトコンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイ・レンズ(overlay lense)、眼内インサート(ocular insert)、涙点プラグ及び光学インサート(optical inserts)等の形成に使用される成分の混合物を指す。本発明の好ましい液体モノマー配合物は、ソフトコンタクトレンズの調製に使用される、シリコーンエラストマー、ヒドロゲル、シリコーンヒドロゲル及びフッ素ヒドロゲルのようなものである。ソフトコンタクトレンズ配合物は、米国特許第5,710,302号、国際公開第9421698号、欧州特許第406161号、特開2000016905号、米国特許第5,998,498号、同第6,087,415号、同第5,760,100号、同第5,776,999号、同第5,789,461号、同第5,849,811号及び同第5,965,631号に開示されている。上述の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。特に好ましい液体モノマー配合物は、米国一般名(United States Approved Names)のアコフィルコン(acofilcon)A、アロフィルコン(alofilcon)A、アルファフィルコン(alphafilcon)A、アミフィルコン(amifilcon)A、アスティフィルコン(astifilcon)A、アタラフィルコン(atalafilcon)A、バラフィルコン(balafilcon)A、ビスフィルコン(bisfilcon)A、ブフィルコン(bufilcon)A、コムフィルコン(comfilcon)、クロフィルコン(crofilcon)A、シクロフィルコン(cyclofilcon)A、ダーフィルコン(darfilcon)A、デルタフィルコン(deltafilcon)A、デルタフィルコンB、ジメフィルコン(dimefilcon)A、ドロオキシフィルコン(drooxifilcon)A、エプシフィルコン(epsifilcon)A、エステリフィルコン(esterifilcon)A、エタフィルコン(etafilcon)A、フォコフィルコン(focofilcon)A、ガリフィルコン(galyfilcon)A、ゲンフィルコン(genfilcon)A、ゴバフィルコン(govafilcon)A、ヘフィルコン(hefilcon)A、ヘフィルコンB、ヘフィルコンD、ヒラフィルコン(hilafilcon)A、ヒラフィルコンB、ヒオキシフィルコン(hioxifilcon)B、ヒオキシフィルコンC、ヒクソイフィルコン(hixoifilcon)A、ヒドロフィルコン(hydrofilcon)A、レネフィルコン(lenefilcon)A、リクリフィルコン(licryfilcon)A、リクリフィルコンB、リドフィルコン(lidofilcon)A、リドフィルコンB、ロトラフィルコン(lotrafilcon)A、ロトラフィルコンB、マフィルコン(mafilcon)A、メシフィルコン(mesifilcon)A、メタフィルコン(methafilcon)B、ミパフィルコン(mipafilcon)A、ネルフィルコン(nelfilcon)A、ネトラフィルコン(netrafilcon)A、オクフィルコン(ocufilcon)A、オクフィルコンB、オクフィルコンC、オクフィルコンD、オクフィルコンE、オフィルコン(ofilcon)A、オマフィルコン(omafilcon)A、オキシフィルコン(oxyfilcon)A、ペンタフィルコン(pentafilcon)A、パーフィルコン(perfilcon)A、ペバフィルコン(pevafilcon)A、フェムフィルコン(phemfilcon)A、ポリマコン(polymacon)、セノフィルコン(senofilcon)A、シラフィルコン(silafilcon)A、シロキシフィルコン(siloxyfilcon)A、テフィルコン(tefilcon)A、テトラフィルコン(tetrafilcon)A、トリフィルコン(trifilcon)A、バスルフィルコン(vasurfilcon)、ビフィルコン(vifilcon)及びキシロフィルコン(xylofilcon)Aによって周知のソフトコンタクトレンズの調製に使用されるものである。本発明の特により好ましい眼科用デバイスは、ガリフィルコンA、セノフィルコンA、ゲンフィルコンA、レネフィルコンA、コムフィルコン、ロトラフィルコンA、ロトラフィルコンB及びバラフィルコンAである。より好ましいレンズは、コムフィルコン、ガリフィルコンA及びセノフィルコンAを含む。最も好ましいレンズは、ガリフィルコンA及びセノフィルコンAを含む。
【0009】
用語「径方向液体流路脱気装置」は、気体を含有する液体が中空膜を横切って流れるようにする装置を指す。溶解した気体を、中空膜が液体から除去する。好ましい径方向液体流路脱気装置は、2×6ラジアルフロー・スーパーフォビック(2X6 Radial Flow SuperPhobic)(http://www.liqui-cel.com/uploads/documents/D82#Rev9#8-07#2x6%20SP%20Radial%20Flow3.pdf参照)及びリキセル(Liqui-Cel)(登録商標)製のリキセル6×28 NB(Liqui-Cel 6x28 NB)(商標)であり、特に好ましい径方向脱気装置は、2×6ラジアルフロー・スーパーフォビックである。
【0010】
本明細書で使用されるように、「処理」は、液体モノマー混合物を径方向液体流路脱気装置に接触させる物理的方法を意味する。眼科用デバイスは、それらが重合された後、任意の時間に、抗アレルギー剤で処理され得る。コンタクトレンズを調製する自動工程は、液体モノマー配合物を重合し、2つの半分の鋳型を使用して円盤を形成する工程と、スピン成形又は静的成形して重合する工程と、を含む。米国特許第4,495,313号、同第4,680,336号、同第4,889,664号、同第3,408,429号、同第3,660,545号、同第4,113,224号及び同第4,197,266号(これら全ては、その全体が参照により本明細書に組み入れられる)を参照されたい。これらの工程のいずれかの後、一般に、鋳型表面からの取り出し、水和、検査及び包装が行われる。本発明の方法は、生産ラインに直接組み込むことができ、時間及び廃棄モノマー材料を節約できるため、特に有用である。
【0011】
本発明の上述した方法は、本発明を説明し、本発明を具体化する方法及び装置を示唆することを意図するものである。ソフトコンタクトレンズの製造、並びに他の専門分野に精通した者は、本発明を実行する他の方法を見出すことができる。しかしながら、それらの方法は、本発明の範囲内に含まれると見なされる。
【0012】
(1)液体モノマー配合物を脱気する方法において、
径方向液体流路脱気装置を使用して前記配合物を処理すること、
を含む、方法。
【0013】
(2) 実施態様1に記載の方法において、
前記液体モノマー配合物が、シリコーンを含有する、方法。
【0014】
(3) 実施態様1に記載の方法において、
前記液体モノマー配合物が、アコフィルコンA、アロフィルコンA、アルファフィルコンA、アミフィルコンA、アスティフィルコンA、アタラフィルコンA、バラフィルコンA、ビスフィルコンA、ブフィルコンA、コムフィルコン、クロフィルコンA、シクロフィルコンA、ダーフィルコンA、デルタフィルコンA、デルタフィルコンB、ジメフィルコンA、ドロオキシフィルコンA、エプシフィルコンA、エステリフィルコンA、エタフィルコンA、フォコフィルコンA、ガリフィルコンA、ゲンフィルコンA、ゴバフィルコンA、ヘフィルコンA、ヘフィルコンB、ヘフィルコンD、ヒラフィルコンA、ヒラフィルコンB、ヒオキシフィルコンB、ヒオキシフィルコンC、ヒクソイフィルコンA、ヒドロフィルコンA、レネフィルコンA、リクリフィルコンA、リクリフィルコンB、リドフィルコンA、リドフィルコンB、ロトラフィルコンA、ロトラフィルコンB、マフィルコンA、メシフィルコンA、メタフィルコンB、ミパフィルコンA、ネルフィルコンA、ネトラフィルコンA、オクフィルコンA、オクフィルコンB、オクフィルコンC、オクフィルコンD、オクフィルコンE、オフィルコンA、オマフィルコンA、オキシフィルコンA、ペンタフィルコンA、パーフィルコンA、ペバフィルコンA、フェムフィルコンA、ポリマコン、セノフィルコンA、シラフィルコンA、シロキシフィルコンA、テフィルコンA、テトラフィルコンA、トリフィルコンA、バスルフィルコン、ビフィルコン及びキシロフィルコンAの配合物からなる群から選択される、方法。
【0015】
(4) 実施態様1に記載の方法において、
前記液体モノマー配合物が、ガリフィルコンA、セノフィルコンA、ゲンフィルコンA、レネフィルコンA、コムフィルコン、ロトラフィルコンA、ロトラフィルコンB及びバラフィルコンAの配合物からなる群から選択される、方法。
【0016】
(5) 実施態様1に記載の方法において、
眼科用デバイスが、コムフィルコン、エタフィルコンA、ガリフィルコンA及びセノフィルコンAからなる群から選択される、方法。
【0017】
(6) 実施態様1に記載の方法において、
前記径方向液体流路脱気装置が、リキセル6×28NBである、方法。
【0018】
(7) 実施態様1に記載の方法において、
前記脱気が、ソフトコンタクトレンズ自動製造ラインの一部として実施される、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体モノマー配合物を脱気する方法において、
径方向液体流路脱気装置を使用して前記配合物を処理すること、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記液体モノマー配合物が、シリコーンを含有する、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記液体モノマー配合物が、アコフィルコンA、アロフィルコンA、アルファフィルコンA、アミフィルコンA、アスティフィルコンA、アタラフィルコンA、バラフィルコンA、ビスフィルコンA、ブフィルコンA、コムフィルコン、クロフィルコンA、シクロフィルコンA、ダーフィルコンA、デルタフィルコンA、デルタフィルコンB、ジメフィルコンA、ドロオキシフィルコンA、エプシフィルコンA、エステリフィルコンA、エタフィルコンA、フォコフィルコンA、ガリフィルコンA、ゲンフィルコンA、ゴバフィルコンA、ヘフィルコンA、ヘフィルコンB、ヘフィルコンD、ヒラフィルコンA、ヒラフィルコンB、ヒオキシフィルコンB、ヒオキシフィルコンC、ヒクソイフィルコンA、ヒドロフィルコンA、レネフィルコンA、リクリフィルコンA、リクリフィルコンB、リドフィルコンA、リドフィルコンB、ロトラフィルコンA、ロトラフィルコンB、マフィルコンA、メシフィルコンA、メタフィルコンB、ミパフィルコンA、ネルフィルコンA、ネトラフィルコンA、オクフィルコンA、オクフィルコンB、オクフィルコンC、オクフィルコンD、オクフィルコンE、オフィルコンA、オマフィルコンA、オキシフィルコンA、ペンタフィルコンA、パーフィルコンA、ペバフィルコンA、フェムフィルコンA、ポリマコン、セノフィルコンA、シラフィルコンA、シロキシフィルコンA、テフィルコンA、テトラフィルコンA、トリフィルコンA、バスルフィルコン、ビフィルコン及びキシロフィルコンAの配合物からなる群から選択される、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
前記液体モノマー配合物が、ガリフィルコンA、セノフィルコンA、ゲンフィルコンA、レネフィルコンA、コムフィルコン、ロトラフィルコンA、ロトラフィルコンB及びバラフィルコンAの配合物からなる群から選択される、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、
眼科用デバイスが、コムフィルコン、エタフィルコンA、ガリフィルコンA及びセノフィルコンAからなる群から選択される、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
前記径方向液体流路脱気装置が、リキセル6×28NBである、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
前記脱気が、ソフトコンタクトレンズ自動製造ラインの一部として実施される、方法。

【公表番号】特表2010−523763(P2010−523763A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502184(P2010−502184)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/057305
【国際公開番号】WO2008/124256
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(500092561)ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド (153)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【Fターム(参考)】