説明

着用型薬剤拡散装置

【課題】モータ、電池を使用せずに多くの薬剤を揮散して大気に拡散できる着用型薬剤拡散装置とする。
【解決手段】着用具4で身体に着用され、取付本体10とカバー体11を有する装置本体1と、前記取付本体10に取付けられてカバー体11とで空気室12を形成する薬剤保持体3と、この空気室12内に、当該装置本体1の動作により回転するように取付けた回転体2と、前記回転体2と前記装置本体1とに取付けられた第1の磁石5、第2の磁石6を備え、前記薬剤保持体3は空気と触れると薬剤を揮散する薬剤含浸体3aを有すると共に、空気室12内の空気が撹拌されることで揮散した薬剤を大気に拡散し、前記回転体2の回転が第1・第2の磁石5,6によって複数回の往復回転に助長され、その薬剤含浸体3aから多くの薬剤を揮散して大気に拡散できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間、家畜やペット等の動物などの身体に着用して、殺虫剤、忌避剤、芳香剤、消臭剤、除菌剤などの揮散性の薬剤を身体の周囲に拡散し、人間などの身体の周りに寄る害虫を避けたり、香りでリラックスしたりする着用型薬剤拡散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に着用型の薬剤拡散装置が開示されている。
この装置は、本体内にモータでファンを回転する送風機と薬剤保持体と電池を設けて送風機を駆動することで吸込口から放出口に空気が流通し、その放出口から放出される空気とともに薬剤保持体の薬剤が大気に拡散される装置本体と、この装置本体に取付けた着用バンドを備え、その着用バンドによって装置本体を人体、動物の体などの身体に着用できる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−24161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の装置は、モータでファンを回転する送風機と、そのモータ用の電源となる電池を備えているので、そのモータ、電池のために重量が重く、装置本体が大きいから、身体に着用して使用する装置としては好ましくはない。
【0005】
また、電源として電池が使用され、電池は寿命がくると交換しなければならず、その交換作業の面倒さ、また費用もかかり経済的でない。また、寿命がきた電池はゴミとして廃棄処理問題がある。さらに電池は有害ゴミとなり環境問題を発生させる。
【0006】
前述のことを解決するには、送風機を使用せずに薬剤保持体から薬剤を自然揮散させ、モータ、電池を必要としないようにすれば良い。
しかし、前述のように薬剤保持体から薬剤を自然揮散するだけでは、その薬剤の揮散量が少なく、実用的ではない。
【0007】
そこで、前述の従来の装置において、モータ、電池を使用せずに、ファンを回転自在とし、身体の動きで装置本体を動作、例えば振るなどしてファンを回転させることが考えられるが、このようにしてファンを回転させるのでは、振る方向やタイミング等によって回転が弱いか、回転しないことがあり、ファンの回転の確実性に欠け、多くの薬剤を揮散できないことがある。
【0008】
本発明の目的は、モータ、電池を使用せずに多くの薬剤を確実に揮散することができる着用型薬剤拡散装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、取付本体10とカバー体11を有すると共に、着用具4で身体に装着される装置本体1と、
前記取付本体10に取付けられ、前記カバー体11とで空気室12を形成する薬剤保持体3を有し、
前記カバー体11の空気流通部13を通して前記空気室12内に外気が流通可能で、かつ前記空気室12内の空気が撹拌されることで前記薬剤保持体3の薬剤含浸体3aに空気が触れると共に、揮散した薬剤が大気に拡散するように構成し、
前記空気室12内における前記薬剤保持体3と前記カバー体11との間に、回転自在に設けられ、その装置本体1が動作することで回転し、前記空気室12内の空気を撹拌する回転体2と、
前記装置本体1と回転体2に取付けられ、当該回転体2の回転によって反発力が生じ、その回転体2が反対方向に回転して回転を助長する第1の磁石5と第2の磁石6を備えていることを特徴とする着用型薬剤拡散装置である。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、装置本体1を着用具4に、回転体2の回転方向に揺動可能に連結した着用型薬剤拡散装置である。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、取付本体10は薬剤取付部10cを有し、その薬剤取付部10cに薬剤保持体3を正面側より着脱自在に取付け、
前記取付本体10にカバー体11を着脱自在に取付け、そのカバー体11と薬剤保持体3で空気室12を形成し、
前記カバー体11に回転体2を、回転することで空気室12内の空気を撹拌し、かつ外気が流通するように回転自在に設けた着用型薬剤拡散装置である。
【0012】
第4の発明は、第1又は第2の発明において、取付本体10は薬剤取付部10cを有し、その薬剤取付部10cに薬剤保持体3を正面側より着脱自在に取付け、
前記取付本体10にカバー体11を着脱自在に取付け、そのカバー体11と薬剤保持体3で空気室12を形成し、
前記取付本体10に回転体2を、回転することで空気室12内の空気を撹拌し、かつ外気が流通するように回転かつ着脱自在に設けた着用型薬剤拡散装置である。
【0013】
第5の発明は、第1又は第2の発明において、取付本体10とカバー体11で空間部8を形成し、
前記取付本体10に薬剤保持体3を、前記空間部8に挿入、抜き出し自在に取付け、
この薬剤保持体3と前記カバー体11で空気室12を形成し、
前記カバー体11に回転体2を、回転することで空気室12内の空気を撹拌し、かつ外気が流通するように回転自在に設けた着用型薬剤拡散装置である。
【0014】
第6の発明は、第1又は第2の発明において、取付本体10は薬剤取付部10cを有し、この薬剤取付部10cに薬剤保持体3を背面側より着脱自在に取付け、
前記薬剤保持体3とカバー体11で空気室12を形成し、該カバー体11に、回転体2を、回転することで空気室12内の空気を撹拌し、かつ外気が流通するように回転自在に設けた着用型薬剤拡散装置である。
【0015】
第7の発明は、第1又は第2の発明において、取付本体10は薬剤取付部10cと回転体取付部50を有し、
その薬剤取付部10cに薬剤保持体3を背面側から着脱自在に取付け、
前記薬剤保持体3とカバー体11で空気室12を形成し、
前記取付本体10の回転体取付部50に回転体2を、回転することで空気室12内の空気を撹拌し、かつ外気が流通するように回転自在に設けた着用型薬剤拡散装置である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、身体を動かすことで装置本体1が動作し、それによって回転体2が回転することで薬剤保持体3の薬剤含浸体3aから薬剤が揮散し、大気に拡散する。
しかも、回転体2が一方向に回転すると第1の磁石5が第2の磁石6に接近して反発力が生じ、その反発力によって回転体2が他方向に回転し、再び第1の磁石5が第2の磁石6に接して反発力が生じて回転体2が一方向に回転する。
この動作を複数回繰り返すことで、回転体2は複数回往復回転する。
さらに、空気室12にはカバー体11の空気流通部13を通して外気が流通すると共に、薬剤保持体3は取付本体10に設けられ、この薬剤保持体3とカバー体11との間で回転体2が回転して空気室12内の空気を撹拌して外気が流通するから、薬剤保持体3が邪魔にならずに空気室12内に外気がスムーズに流通する。
【0017】
このように装置本体1の動作による回転体2の回転を、第1の磁石5と第2の磁石6とで複数回の往復回転に助長すると共に、空気室12に外気がスムーズに流通するので、モータ、電池を使用せずに薬剤含浸体3aから多くの薬剤を確実に揮散して大気に拡散できる。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、身体が動くことで装置本体1は着用具4に対して回転体2の回転方向に揺動するから、身体が動くだけで回転体2が必ず回転し、身体に着用して使用する薬剤拡散装置として好適である。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、取付本体10からカバー体11を取り外すことで、そのカバー体11とともに回転体2も取付本体10から取り外しされるので、取付本体10から薬剤保持体3を取り外し、取付けでき、その薬剤保持体3の交換が容易である。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、取付本体10からカバー体11を取り外した状態で、その取付本体10から回転体2を取り外すことで薬剤保持体3を交換することができる。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、空間部8に薬剤保持体3を挿入、抜き出し自在であるから、カバー体11、回転体2を取り外しせずに薬剤保持体3を交換できる。
【0022】
請求項6に係る発明によれば、取付本体10の背面側から薬剤保持体3を取付け、取り外しできるので、薬剤保持体3を容易に交換することができる。
【0023】
請求項7に係る発明によれば、取付本体10の背面側から薬剤保持体3を取付け、取り外しできるので、薬剤保持体3を容易に交換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の第1の実施の形態を図1と図2に基づいて説明する。
装置本体1と、この装置本体1に回転可能に設けた回転体2と、装置本体1に取付けた薬剤保持体3と、前記装置本体1に取付けた着用具4と、前記装置本体1と前記回転体2とに取付けられて当該回転体2の回転を助長する第1の磁石5、第2の磁石6を備えて着用型薬剤拡散装置としてある。
【0025】
前記装置本体1は着用具4で人間、動物などの身体に着用される。例えば、人間の腰に吊り下げて着用される。
この装置本体1は、取付本体10とカバー体11を有し、その取付本体10に薬剤保持体3が取付けられる。この薬剤保持体3とカバー体11とで空気室12を形成している。この空気室12内にはカバー体11を通して外気が流通可能としてある。
前記回転体2は、前記装置本体1、例えばカバー体11に回転可能に支持され、装置本体1を動作することで空気室12内において回転し、前記空気室12内の空気が撹拌されるようにしてある。
前記薬剤保持体3は、薬剤有効成分を主成分とする薬剤(薬剤組成物)を含浸した薬剤含浸体3aを有し、その薬剤含浸体3aに空気が触れることで前記薬剤が揮散する。
前記薬剤保持体3は、取付本体10に、前記空気室12内の空気が撹拌されることで、その薬剤含浸体3aに空気が触れると共に、揮散した薬剤が大気に拡散するように、着脱自在に取付けてある。
【0026】
前記第1の磁石5は回転体2に取付けてある。前記第2の磁石6は装置本体1、例えばカバー体11に取付けてあり、その回転体2が一方向に回転すると第1の磁石5が第2の磁石6に接近して反発力が生じるようにしてある。つまり、第1の磁石5と第2の磁石6の同極が対向することで反発力が生じる。
この反発力によって回転体2が他方向に回転し、再び第1の磁石5が第2の磁石6に接して反発力が生じて回転体2が一方向に回転する。
この動作を複数回繰り返しすることで、回転体2は複数回往復回転する。
【0027】
このように、回転体2が回転することで、空気室12内の空気が撹拌され、薬剤保持体3の薬剤含浸体3aに対して空気が相対的に流動することになるので、多くの薬剤が揮散する。
しかも、第1の磁石5と第2の磁石6とで回転体2の回転が助長されて複数回往復回転するので、装置本体1を僅かに動作することで回転体2が確実に回転する。
したがって、モータ、電池を用いずに薬剤保持体3の薬剤含浸体3aから多くの薬剤を確実に揮散することができる。
【0028】
さらに、カバー体11を通して空気室12に外気が流通可能で、薬剤保持体3は取付本体10に設けてあり、回転体2は薬剤保持体3とカバー体11との間で回転するから、その回転体2が回転することで空気室12内の空気が撹拌されると共に、薬剤保持体3が邪魔にならずに外気がスムーズに流通する。
したがって、薬剤保持体3の薬剤含浸体3aから揮散した薬剤をスムーズに大気に拡散することができる。
【0029】
次に、各部の好ましい形態を説明する。
前記装置本体1の取付本体10に着用具4が取付けてある。
前記着用具4は、フック4aである。
そして、人間の腰に装着したベルトや、衣服のポケットにフック4aを引っ掛けて装置本体1を腰に吊り下げて使用する。
前記着用具4は、バンド、紐や鎖などでも良く、ベルト等に吊り下げたり腰や首など身体の一部に巻き付け吊り下げて使用することができる。
【0030】
この実施の形態では、前記着用具4をフック4aとすると共に、この着用具4に装置本体1(取付本体10)を回転体2の回転方向に沿って揺動自在に吊り下げ連結する。例えば、ピン7で揺動自在(首振り自在)に連結する。
【0031】
このようにすることで、着用具4を人間の腰のベルトに引っ掛けて吊り下げるようにして着用することで、人間が歩行などすることによって着用具4に対して装置本体1が揺動するので、回転体2が回転する。
したがって、回転体2が確実に連続して回転するので、より多くの薬剤を揮散することができる。
【0032】
前記取付本体10は薬剤取付部を有している。
例えば、取付本体10は、プレート10aにリング状の突部10bを設けて正面側(カバー体11側)に開口した環状凹部を有し、その環状凹部を薬剤取付部10cとしてある。
前記薬剤保持体3が、取付本体10の薬剤取付部10cに正面側より着脱自在に取付けてある。
この薬剤保持体3とカバー体11で空気室12を形成している。なお、図2においては、取付本体10の突部10bの一部分と薬剤保持体3とカバー体11で空気室12を形成しているが、カバー体11の形状や薬剤保持体3の取付け方などによっては薬剤保持体3とカバー体11で空気室12を形成することができる。
【0033】
前記カバー体11に空気流通部13が形成してある。
この空気流通部13によって空気室12が外部に連通し、その空気室12に外気が流通する。
この実施の形態では、カバー体11の表面板11aに、複数の開口部13aが形成されていると共に、筒体11bにスリット状の開口部13bが複数形成され、この開口部13a,13bで空気流通部13としてある。
【0034】
前記カバー体11は取付本体10に着脱自在に取付けてある。
例えば、前記カバー体11を表面板11aと筒体11bを有する形状とし、その筒体11bを前記取付本体10の突部10bに嵌合して取付けられる。
【0035】
前記カバー体11を取付本体10から取り外すことで、そのカバー体11とともに回転体2が取付本体10から取り外しされるから、前記カバー体11を取付本体10から取り外すことで薬剤保持体3を容易に交換できる。
【0036】
前記回転体2は回転することで空気室12内の空気を撹拌し、空気室12内に空気が出入りするようにしてある。
例えば、前記回転体2は、円板状の中央プレート20とリング状の外周プレート21を放射状の複数のリブ22で一体的に連結した複数の通気用開口部23を有した円板形状で、その中央プレート20に回転軸24が取付けてあると共に、前記各リブ22に羽根片25が設けてある。
前記装置本体1のカバー体11の中央部(表面板11aの中央部)には孔14が形成してあり、この孔14に前記回転軸24を回転自在に挿入して支持することで回転体2をカバー体11に回転可能に取付けてある。
【0037】
前記第1の磁石5は回転体2の外周プレート21の表面(回転体2の表面)に、前記カバー体11と対向して固着してある。
前記第2の磁石6はカバー体11(表面板11a)に前記回転体2の外周プレート21と対向して固着してある。
この第1の磁石5と第2の磁石6は前記回転体2の回転中心(回転軸24)を中心とする同一の円形軌跡上に位置し、回転体2が図1で一方向(矢印a)に回転すると第1の磁石5が第2の磁石6に接近して反発力が生じ、その反発力で回転体2が他方向(矢印b)に回転する。
【0038】
各部材は、前述のものに限ることはなく、種々の異なるものとすることができる。
前記着用具4に取付本体10をボルト等で固着しても良いし、着用具4と取付本体10を一体としても良い。
前記着用具4にカバー体11を前述のように取付け、又は一体としても良い。
【0039】
また、薬剤は有効成分の他に、溶剤、揮散調整剤、分解防止剤などからなる液製剤である。
本発明の着用型薬剤拡散装置は、薬剤(有効成分)の拡散状況が着用者の動作状態及び使用の環境によって左右され不規則である。このことから、薬剤含浸体3aは有効成分の有無(効力の有無)を目視で確認できる製剤が好ましい。
製剤としては、薬剤として終点表示機能剤を添加した組成物とし、色変化などを目視する。
また、それ自体が表示機能を有する素材を用いることもできる。
製剤種として液剤に限定されず、ゲル化剤によるゲル製剤、昇華剤などからなる固体製剤などとして用いることもできる。製剤自体が減少、又は消滅し、目視で確認できる製剤が好ましい。
また、液剤と含浸物質を組み合わせ、液の減少を目視確認するようにしても良い。
また、薬剤(有効成分)の有無(効力の有無)を外部から目視で確認できるようにしても良い。例えば、前述の確認手段を有する薬剤保持体3をカバー体11の空気流通部13から目視できるようにすることが可能であるが、取付本体10を、例えば透視可能な素材を使用する、又は目視穴を設け確認するようにしても良い。
【0040】
前記第2の磁石6は取付本体10に取付けても良い。
また、前記回転体2の第1の磁石5の取付位置としては、その表面の外周寄り、又は回転体2の外周面、又は回転体2の表面の外周よりが好ましい。一方、取付本体10、又はカバー体11の第2の磁石6は、第1の磁石5に対向する取付本体10の表面の外周寄り、又は取付本体10の外周面内側、カバー体11内の外周面、又はカバー体11内の天面に取付ける。
【0041】
前記第1・第2の磁石5,6の取付け個数は、特に限定されない。
通常、回転体2が回転する往復距離(円周の長さ)が長くなるほど空気が撹拌されて多くの薬剤が揮散することから、磁石の取付け個数は各々1つが好ましい。また動作状態によるが、回転する往復距離が長くなると回転途中で反転することもあり、この場合、各々2つ取付ける、又は一方を1つ、他方を2つ取付けるようにしても良い。このことから回転する往復距離(回転体2の外径寸法)に応じて取付け個数を決めることが望ましい。
【0042】
前記回転体2は、その裏面に中央から四方に向けて複数の羽根片25(8枚)を有する形状であるが、この羽根片25は回転体2の裏面、外周面、又は裏面と表面などに取付けても良いし、この羽根片25の枚数は限定されない。また、羽根片25の形状は自由であり、垂直形状、斜めに傾いた形状や湾曲した形状、更には通常のファン形状とすることもできる。
例えば、円板の表面に複数の羽根片を放射状に設けた回転体、円板の外周面に複数の羽根片を放射状に設けた回転体、羽根片を中心から外周に向けて直線状ではなく湾曲させた回転体、回転体をプロペラファンとしたもの、回転体をシロッコファンとしたもの等、任意な形状の回転体とすることができる。
【0043】
前記薬剤含浸体3aは、薬剤有効成分を主成分とする薬剤(薬剤組成物)を含浸した不織布などの通気性のシートとしてある。
この実施の形態では、薬剤含浸体3aのみで板状の薬剤保持体3とし、取付本体10の環状凹部より成る薬剤取付部10cに着脱自在に嵌め込んであるが、これに限ることはない。
例えば、前記薬剤保持体3は、通気用開口を有した容器に薬剤含浸体3aを入れ、通気用開口を有した押えプレートを容器に嵌合したものでも良い。
この薬剤保持体3は、その容器を取付本体10の環状凹部である薬剤取付部10c内に正面側より嵌め込んで取付ける。
【0044】
前記薬剤保持体3は、図2に仮想線で示すように、カバー体11の筒体11bの内周面に沿ったリング形状部3bを有する形状としても良い。
この場合には、回転体2をシロッコファン形状とし、その回転体2が回転することで表面板11aの開口部13aと筒体11bの開口部13bとに外気が流れるようにすれば、より一層多量の薬剤を揮散してスムーズに大気に拡散できる。
【0045】
次に、本発明の第2の実施の形態を図3に基づいて説明する。
この実施の形態は、薬剤保持体3を取付本体10の背面側から着脱自在に取付けてあること、第2磁石6が取付本体10に設けてあることが、前述の第1の実施の形態と相違し、他の構成は同様である。
前記取付本体10のプレート10aに開口部15を形成すると共に、その開口部15に底蓋16を嵌め込んで着脱自在に設けることで薬剤取付部10cとする。この底蓋16はヒンジで開閉自在に取付けることもできる。
この底蓋16の凹部16aに薬剤保持体3(薬剤含浸体3a)を設け、その底蓋16を開口部15に取付け、取り外しすることで薬剤保持体3を装置本体1に取付けたり、取り外しできるようにする。
【0046】
このようにすれば、カバー体11や回転体2を取り外しせずに薬剤保持体3を交換できるので、そのカバー体11を取付本体10と一体とすることが可能である。
【0047】
前記回転体2はカバー体11に回転自在に設けてある。
前記取付本体10の開口部15が大きく、回転体2を挿入してカバー体11に取付けできればカバー体11を取付本体10と一体又は、取り外しできないように固着することができる。なお、回転体2を開口部15から挿入してカバー体11に取付けできない場合には、カバー体11を取付本体10と別体とし、取付けすれば良い。
【0048】
次に、本発明の第3の実施の形態を図4に基づいて説明する。
この実施の形態は、取付本体10の背面側から薬剤保持体3を取付け、取り外しできるようにしたことが第1の実施の形態と相違し、他の構成は同様である。
前記取付本体10を、プレート10aは大径の孔10dを有すると共に、その孔10dの開口縁に沿ってフランジ付きの筒体10eを正面側に向けて一体的を有して段付き孔形状の薬剤取付部10cを備えた形状とする。
前記薬剤保持体3は、薬剤容器38の凹部38aに薬剤含浸体3aを設けたもので、その薬剤容器38を取付本体10の背面側より薬剤取付部10cに嵌合して着脱自在に取付けられる。
前記薬剤含浸体3aがカバー体11と対向し、そのカバー体11とで空気室12を形成する。
【0049】
前記回転体2はカバー体11に回転自在に取付けてある。
例えば、前記フランジ付きの筒体10eを通してカバー体11内に挿入し、その回転体2を設けた回転軸24をカバー体11の孔14に嵌め込んで回転体2をカバー体11に取付ける。
前記第1磁石5は回転体2の外周面(外周プレート21の外周面)に設け、第2磁石6はカバー体11の筒体11bの内面に設ける。
【0050】
このようにすれば、取付本体10とカバー体11を一体として装置本体1とすることができる。例えば、取付本体10のフランジ付きの筒体10eのフランジに筒体11bを一体的に設ける。
【0051】
次に、本発明の第4の実施の形態を図5、図6に基づいて説明する。
この実施の形態は、薬剤保持体3の取付けかたが前述の第3の実施の形態と相違し、他の構成は同様である。
前記取付本体10のプレート10aは、孔10dを有すると共に、その孔10dの開口縁に筒体10eが正面側に向けて設けてある。この孔10dが前述の開口部15で、底蓋16が着脱自在に嵌合して取付けてある。
前記取付本体10とカバー体11で空間部8を形成している。
前記カバー体11の筒体11bが取付本体10の筒体10eと一体としてある。
【0052】
前記取付本体10の筒体10eに薬剤挿入口17を空間部8に開口して形成し、その薬剤挿入口17から薬剤保持体3を空間部8内に挿入して取付けることで、その薬剤保持体3とカバー体11とで空気室12を形成する。
前記薬剤保持体3は、通気用開口30を有した容器31に薬剤含浸体3aを入れ、通気用開口32を有した押えプレート33を容器31に嵌合してあると共に、容器31に手掛け兼のストッパ34を設けてある。
前記ストッパ34を手で持って図6に矢印cで示すように装置本体1の取付本体10の薬剤挿入口17から空間部8内に挿入し、そのストッパ34を取付本体10の筒体10eの外周面に接して取付ける。
【0053】
次に、本発明の第5の実施の形態を図7、図8に基づいて説明する。
この実施の形態は、回転体2を取付本体10に回転自在に設けたこと、着用具4を身体に巻きつけて着用するものとしたことが前述の第1の実施の形態と大きく相違する。
前記装置本体1の取付本体10に、回転体2を回転自在に取付けるための孔18を形成する。
前記孔18に回転体2に固定した回転軸24を回転可能で、かつ挿入、抜き出し自在に嵌め込んで、回転体2を取付本体10に回転自在で、かつ着脱自在に設けてある。
【0054】
このようであるから、カバー体11を取り外しすれば回転体2を取付本体10から取り外しできるので、取付本体10の薬剤取付部10cに設けた薬剤保持体3を、その回転体2が邪魔にならずに容易に交換できる。
【0055】
この実施の形態では、回転軸24が回転体2よりもカバー体11側に突出し、その突出端部がカバー体11の表面板11aに形成した凹部19に回転自在に嵌まり込んでいる。
これによって、回転体2の取付けが容易となると共に、回転体2を装置本体10とカバー体11(表面板11a)とで回転自在に支持するので、その回転体2はスムーズに回転する。
【0056】
回転体2はプロペラファン形状としてある。例えば、回転板26にプロペラ27を放射状に複数取付けた形状とし、その回転板26に回転軸24を取付ける。
この回転軸24を取付本体10の孔18に回転自在に支持する。
【0057】
前記着用具4は、身体に巻きつけて着用するものとしてある。
例えば、装置本体1の取付本体10に一側バンド40と他側バンド41を一体的に設け、その一側バンド40と他側バンド41に相互に係着、離脱する雄テープ片42、雌テープ片43を取付ける。
そして、一側バンド40と他側バンド41を身体(腕など)に巻きつけて雄テープ片42と雌テープ片43を係着することで取付する。
前記一側バンド40、他側バンド41は取付本体10に一体的に設けてあるが、別体としてピン等を利用して回動自在に連結するようにしても良い。
また、雄テープ片42、雌テープ片43の代わりにバックルタイプとしても良い。
【0058】
前記装置本体10は、プレート10aとリング状の突部10bと中央突部10fを有し、その突部10bと中央突部10fとで環状凹部を有し、その環状凹部を薬剤取付部10cとしていると共に、前記中央突部10fに前記孔18が形成してある。
前記薬剤保持体3は、中央部に孔3cを有した円板形状で、前記装置本体10の環状凹部より成る薬剤取付部10cに正面側(カバー体11側)から着脱自在に取付けてある。
【0059】
前記薬剤保持体3は図9(a),(b)に示すように、穴付きのプレート35に薬剤含浸体3aを設けたものでも良いし、図10(a),(b)に示すように、穴付きで環状凹部36を有するプレート37の環状凹部36に薬剤含浸体3aを設けたものでも良い。
【0060】
次に、本発明の第6の実施の形態を図11〜図13に基づいて説明する。
この実施の形態は、薬剤保持体3を取付本体10の背面側から取付けるようにして取付本体10とカバー体11を一体とし、回転体2を取付本体10に取付けたことが前述の第5の実施の形態と相違し、他の構成は第5の実施の形態と同様である。
【0061】
前記装置本体10に、回転体取付部50を残して複数の開口部51を形成し、その各開口部51で薬剤取付部10cとする。
前記薬剤保持体3の薬剤容器39を、前記回転体取付部50に嵌まり合う凹陥部39aと、この凹陥部39aを境として複数の閉塞部39bを有し、装置本体10の背面側から取付けることで複数の開口部51を閉塞できるようにしてある。
前記薬剤容器39の各閉塞部39bに薬剤含浸体3aをそれぞれ着脱自在に設ける。例えば、各閉塞部39bに凹部39cを形成し、その凹部39c内に薬剤含浸体3aを設ける。
【0062】
前記回転体取付部50に、回転体2の回転軸24を回転自在に支持し、回転体2を取付本体10に取付けてある。
前記カバー体11の筒体11bが取付本体10における開口部51の外周縁に沿って一体的に設けられ、取付本体10とカバー体11が一体となっている。
【0063】
このようにすれば、薬剤容器39を取付けることで開口部51を閉塞すると共に、薬剤保持体3(薬剤含浸体3a)がカバー体11と対向して空気室12を形成すると共に、取付本体10に薬剤保持体3を背面側から着脱自在に取付けできる。
【0064】
この実施の形態では、回転体取付部50に回転体2が取付けてあると共に、取付本体10とカバー体11が一体であるので、前記回転体取付部50を取付本体10とは別体として複数の開口部51が連続して1つの開口部となるようにし、前記回転体取付部50に回転体2を取付けた状態で、その回転体取付部50を1つの開口部に挿入して取付けるようにしてある。
なお、取付本体10とカバー体11が別体であれば、カバー体11を取り外して回転体2を回転体取付部50に取付けできるので、その回転体取付部50は取付本体10と一体とすることができる。
【0065】
前記回転体取付部50を直線状とし、開口部51を2つとしてあるが、回転体取付部50を3股形状として開口部51を3つとしても良い。この場合には薬剤容器39の凹陥部39aを3股形状として閉塞部39bを3つ有する形状とする。
【0066】
前述の各実施例の回転体2の形状、薬剤保持体3の取付け方、着用具4の形状は、図示の組み合わせに限ることはなく、任意に組み合わせることができる。
例えば、第1の実施の形態の回転体2を、シロッコファン形状、プロペラファン形状とする。
また、第1の実施の形態の着用具4を、バンドタイプとする。
【0067】
前述の各実施の形態において、回転体2をさらに効率良く回転させるために、ベアリングを介在させて回転軸24を孔14,18に支持するようにしても良い。
また、薬剤保持体3、装置本体1の形状について円形に限定されない。また、薬剤保持体3と装置本体1の形状を同形状でなく異形状にしても良い。異形状にすることで空気の撹拌を高めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す全体正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態を示す断面図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態を示す断面図である。
【図6】装置本体から薬剤保持体を取り出した状態の正面図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態を示す全体正面図である。
【図8】図7のB−B拡大断面図である。
【図9】薬剤保持体の他の実施の形態を示す説明図ある。
【図10】薬剤保持体の他の実施の形態を示す説明図ある。
【図11】本発明の第6の実施の形態を示す全体正面図である。
【図12】図11のC−C拡大断面図である。
【図13】装置本体と底蓋の斜視図である。
【符号の説明】
【0069】
1…装置本体、2…回転体、3…薬剤保持体、3a…薬剤含浸体、4…着用具、5…第1の磁石、6…第2の磁石、10…取付本体、10c…薬剤取付部、11…カバー体、12…空気室、13…空気流通部、50…回転体取付部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付本体10とカバー体11を有すると共に、着用具4で身体に装着される装置本体1と、
前記取付本体10に取付けられ、前記カバー体11とで空気室12を形成する薬剤保持体3を有し、
前記カバー体11の空気流通部13を通して前記空気室12内に外気が流通可能で、かつ前記空気室12内の空気が撹拌されることで前記薬剤保持体3の薬剤含浸体3aに空気が触れると共に、揮散した薬剤が大気に拡散するように構成し、
前記空気室12内における前記薬剤保持体3と前記カバー体11との間に、回転自在に設けられ、その装置本体1が動作することで回転し、前記空気室12内の空気を撹拌する回転体2と、
前記装置本体1と回転体2に取付けられ、当該回転体2の回転によって反発力が生じ、その回転体2が反対方向に回転して回転を助長する第1の磁石5と第2の磁石6を備えていることを特徴とする着用型薬剤拡散装置。
【請求項2】
装置本体1を着用具4に、回転体2の回転方向に揺動可能に連結した請求項1記載の着用型薬剤拡散装置。
【請求項3】
取付本体10は薬剤取付部10cを有し、その薬剤取付部10cに薬剤保持体3を正面側より着脱自在に取付け、
前記取付本体10にカバー体11を着脱自在に取付け、そのカバー体11と薬剤保持体3で空気室12を形成し、
前記カバー体11に回転体2を、回転することで空気室12内の空気を撹拌し、かつ外気が流通するように回転自在に設けた請求項1又は2記載の着用型薬剤拡散装置。
【請求項4】
取付本体10は薬剤取付部10cを有し、その薬剤取付部10cに薬剤保持体3を正面側より着脱自在に取付け、
前記取付本体10にカバー体11を着脱自在に取付け、そのカバー体11と薬剤保持体3で空気室12を形成し、
前記取付本体10に回転体2を、回転することで空気室12内の空気を撹拌し、かつ外気が流通するように回転かつ着脱自在に設けた請求項1又は2記載の着用型薬剤拡散装置。
【請求項5】
取付本体10とカバー体11で空間部8を形成し、
前記取付本体10に薬剤保持体3を、前記空間部8に挿入、抜き出し自在に取付け、
この薬剤保持体3と前記カバー体11で空気室12を形成し、
前記カバー体11に回転体2を、回転することで空気室12内の空気を撹拌し、かつ外気が流通するように回転自在に設けた請求項1又は2記載の着用型薬剤拡散装置。
【請求項6】
取付本体10は薬剤取付部10cを有し、この薬剤取付部10cに薬剤保持体3を背面側より着脱自在に取付け、
前記薬剤保持体3とカバー体11で空気室12を形成し、該カバー体11に、回転体2を、回転することで空気室12内の空気を撹拌し、かつ外気が流通するように回転自在に設けた請求項1又は2記載の着用型薬剤拡散装置。
【請求項7】
取付本体10は薬剤取付部10cと回転体取付部50を有し、
その薬剤取付部10cに薬剤保持体3を背面側から着脱自在に取付け、
前記薬剤保持体3とカバー体11で空気室12を形成し、
前記取付本体10の回転体取付部50に回転体2を、回転することで空気室12内の空気を撹拌し、かつ外気が流通するように回転自在に設けた請求項1又は2記載の着用型薬剤拡散装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−27930(P2009−27930A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191863(P2007−191863)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000112853)フマキラー株式会社 (155)
【Fターム(参考)】