説明

着脱ボデー車のコンテナロック装置

【課題】着脱ボデー車の、車体に対するコンテナのロック装置の互換性を確保するために、コンテナの爪の位置を標準位置に維持したまま、アームフックの大型化等、車体側の仕様変更を可能とする。
【解決手段】車体側の一対の爪受け32は、(a)、(b)に示されるコンテナの積み込み状態で、コンテナロック装置の、コンテナの一対の爪と嵌合する位置に配置され、又、アームフック18の揺動動作に連動して、(c)から(f)に示されるように、一対の爪受け32は車幅方向へと互いに離間、接近するものである。アームフック18の揺動の際に、カム機構(受け面32b、カムプレート46)によって、アームフック18の揺動動作が、一対の爪受け32の回動動作に変換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱ボデー車のコンテナロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダンプ車や清掃車等のいわゆる特装車は、基本構造を共通とした車体に、目的別に種々の構造を備えるボデーをぎ装して製作されるものが一般的である。更に、特装車の車体に汎用性を与えたものとして、機能別の複数種類のコンテナを適宜選択して、車体に装着することが可能な、アームロール(登録商標)等の着脱ボデー車も広く用いられている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
図8には、着脱ボデー車10の一例として、ダンプ機能付き車が示されている。このダンプ機能付き車は、車体12に対し着脱可能なボデーとして、土砂等を積載する無蓋のコンテナ14を備えるものである。着脱ボデー車10の車体12の特徴としては、車体12の強度保持部材であるメーンフレーム16が、コンテナ14の載置手段及び積み下ろし時の案内手段としても機能するものである。又、前端部が上下に回動可能となるように、メーンフレーム16の後端部に軸着されたリヤフレーム20と、リヤフレーム20に軸着され、リヤフレーム20の間を車体前後方向へと伸縮可能、かつ、リヤフレーム20と独立してメーンフレーム16の上方回りに前後方向へと回動自在な、アームフック18とを備えている。アームフック18は、全体としてL字状をなしている。そして、リヤフレーム20に軸着されたミドルフレーム17(図5参照)と、ミドルフレーム17に対して出没自在なスライディングアーム19とからなり、ミドルフレーム17とスライディングアーム19とが、サブシリンダ29によって伸縮自在に連結されている。そして、スライディングアーム19の先端部にはフック18b(図1参照)が設けられている。
又、コンテナ14には、図9(a)にも示されるように、その前端部にアームフック18と係合するフックバー22が設けられ、かつ、少なくともその後端部には、車体に対する積み込み、積み降ろし時に接地する、接地用ローラ24が設けられている。なお、図示の例では、コンテナ14の前端部にも、接地用ローラ26が設けられている。
【0004】
そして、車体12に対するコンテナ14の積み込み時には、メーンフレーム16とアームフック18とを連結するメーンシリンダ28を伸張させて、図8(a)に示されるように、アームフック18先端のフック18b(図1参照)を、コンテナ14のフックバー22に掛け、図8(b)に示されるようにメーンシリンダ28を縮めて、アームフック18を前方へと回動動作させる。そして、コンテナ14の前方を持上げながら車体12のメーンフレーム16の後端部へと引寄せ、コンテナ14が水平になるまで回動動作を継続する。続いて、サブシリンダ29(図5参照)を伸張させて、図8(c)に示されるように、アームフック18を前方へと伸張させ、コンテナ14を、図8(d)に示される車体12のメーンフレーム16上の固定位置へと引き込む。なお、図8の着脱ボデー車10はダンプ機能付き車であることから、コンテナ14がメーンフレーム16上の固定位置にある図8(d)の状態で、図8(e)に示されるように、メーンシリンダ28を伸張させて、メーンフレーム16に対して、アームフック18と共にリヤフレーム20の前端部を上昇させ、コンテナ14を後傾斜させることで、いわゆるダンプ動作を行うことが出来る。
一方、車体12に対するコンテナ14の積み降ろし時には、コンテナ14を車体12のメーンフレーム16上の固定位置(図8(d))から、サブシリンダ29(図5参照)の短縮によるアームフック18の後方への短縮により、コンテナ14をメーンフレーム16後端部へと押出す(図8(c))。そして、メーンシリンダ28の伸張によるアームフック18の回動動作により(図8(b))、コンテナ14を後傾斜させて設置用ローラ24を接地させる。更にアームフック18を回転させ、コンテナ14を後方へと押出して、設置用ローラ24と共にコンテナ14前端部の接地用ローラ26を接地させる(図8(a))。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】新明和工業株式会社、事業と製品、製品紹介、特装車、着脱ボデー車、[online]、[平成22年5月10日検索]、インターネット〈URL:http://www.shinmaywa.co.jp/truck/products/detaching/index.htm〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、着脱ボデー車10は、図8(d)に示されるように、コンテナ14を車体12のメーンフレーム16上の固定位置へと引き込んだ状態で、アームフック18先端のフック18b(図1参照)と、コンテナ14のフックバー22との係合状態が維持されているが、更に、車体12に対してコンテナ14を確実に固定するための固定手段として、コンテナロック装置を備えている。コンテナロック装置は、図9に示されるように、コンテナ14の下側に、後方から前方へと向けて突出するように設けられた、左右一対の爪30と、車体12側に配置された、コンテナ14の積み込み状態で一対の爪30と嵌合する、一対の爪受けとからなるものである。
【0007】
そして、コンテナ14の一対の爪30の形状や取付位置は、車体12に対するコンテナ14の互換性を考慮して標準化されているが、このことが、アームフック18の許容荷重を増大させる等、車体12側の仕様変更(大型化)の必要が生じた場合に、不具合を生じる一因となっている。例えば、アームフック18の大型化の要請に対しては、コンテナ14の積み込み状態で一対の爪30と嵌合可能な位置に設けられた一対の爪受けが、アームフック18の揺動軌跡を塞ぐこととなってしまう、といった問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、着脱ボデー車の、車体に対するコンテナのロック装置の互換性を確保するために、コンテナの爪の位置を標準位置に維持したまま、アームフックの大型化等、車体側の仕様変更(大型化)を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。又、各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。よって、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0009】
(1)車体と、選択的に使用される機能別の複数種類のコンテナとを含み、前記車体には、前記コンテナの案内及び載置手段としても機能するメーンフレームと、前端部が上下に回動可能となるように、前記メーンフレームの後端部に軸着されたリヤフレームと、該リヤフレームに軸着され、該リヤフレームの間を車体前後方向へと伸縮可能、かつ、該リヤフレームと独立して前記メーンフレーム上方回りに前後方向へと回動自在なアームフックとが設けられ、前記コンテナには、その前端部に前記アームフックと係合するフックバーが、少なくともその後端部には、前記車体に対する積み込み、積み降ろし時に接地する接地用ローラが設けられ、前記コンテナの積み込み時には、前記アームフックを前記コンテナのフックバーに掛け、前記アームフックの回動動作により、前記コンテナの前方を持上げながら前記車体のメーンフレーム後端部へと引寄せ、コンテナが水平になるまで回動動作を継続した後、前記アームフックの前方への伸張動作により、前記コンテナを車体のメーンフレーム上の固定位置へと引き込み、前記コンテナの積み降ろし時には、前記アームフックの後方への短縮動作により、前記コンテナを前記車体のメーンフレーム上の固定位置からメーンフレーム後端部へと押出した後、前記アームフックの回動動作により、前記コンテナを後傾斜させて前記設置用ローラを接地させ、更に後方へと押出して前記コンテナ前端部を接地させることが可能な、着脱ボデー車のコンテナロック装置であって、前記コンテナ下側に、後方から前方へと向けて突出するように設けられた、左右一対の爪と、前記リヤフレームの、前記コンテナの積み込み状態で前記一対の爪と嵌合する位置に配置された一対の爪受けと、前記アームフックの揺動動作に連動して、前記一対の爪受けを車幅方向へと互いに離間、接近させるための、爪受け作動機構とを備える着脱ボデー車のコンテナロック装置(請求項1)。
【0010】
本項に記載の着脱ボデー車のコンテナロック装置は、爪受け作動機構によって、アームフックの揺動動作に連動して、一対の爪受けを車幅方向へと互いに離間、接近させることにより、コンテナの積み込み状態で、車体側の一対の爪受けが、コンテナロック装置の、コンテナの一対の爪と嵌合する位置に配置される。一方、アームフックを揺動動作させ、コンテナロックの爪と、爪受けとの係合が解除される状態では、一対の爪受けを車幅方向へと互いに離間させることで、車体側の一対の爪受けが、コンテナの一対の爪と一致しない場所へと退避させる。
【0011】
(2)上記(1)項において、前記アームフックは、前記リヤフレームに軸着されたミドルフレームと、該ミドルフレームに対して出没自在なスライディングアームとからなり、前記一対の爪受けは、前記リヤフレーム上の、前記アームフックの揺動軌跡を塞ぐ位置に設けられており、前記爪受け作動機構は、前記アームフックの前方から後方への揺動動作を受けて前記アームフックを避けるように前記爪受けを離間させる構成を有する着脱ボデー車のコンテナロック装置(請求項2)。
本項に記載の着脱ボデー車のコンテナロック装置は、コンテナの爪の位置を、コンテナロック装置の互換性を確保する必要性から、車体側の一対の爪受けが、コンテナの一対の爪と嵌合する位置に配置される。その結果、リヤフレーム上の、アームフックの揺動軌跡を塞ぐ位置に設けられた爪受けが、爪受け作動機構によって、アームフックの前方から後方への揺動動作を受けてアームフックを避けるように、互いに車幅方向へと離間することにより、一対の爪受けがアームフックの揺動動作を阻害することを、回避するものである。
【0012】
(3)上記(2)項において、前記一対の爪受けは、各々、前後方向に延びる回転軸により、前記リヤフレームに軸着されている着脱ボデー車のコンテナロック装置。
本項に記載の着脱ボデー車のコンテナロック装置は、一対の爪受けが、前後方向に延びる回転軸により、リヤフレームに軸着されることで、アームフックの作動軌跡を避ける方向へと回動するものである。
(4)上記(3)項において、前記一対の爪受けを、前記アームフックの作動軌跡を塞ぐ位置に固定するための付勢手段と、前記アームフックの揺動動作を前記一対の爪受けの回動動作に変換するカム機構とを備える着脱ボデー車のコンテナロック装置(請求項3)。
本項に記載の着脱ボデー車のコンテナロック装置は、一対の爪受けが、前後方向に延びる回転軸により、アームフックの作動軌跡を避ける方向へと回動可能に、リヤフレームに軸着されており、かつ、一対の爪受けが、付勢手段によってアームフックの作動軌跡を塞ぐ位置に固定される。一方、アームフックの揺動の際には、カム機構によって、アームフックの揺動動作が一対の爪受けの回動動作に変換され、一対の爪受けが互いに離間することにより、一対の爪受けがアームフックの揺動動作を阻害することを、回避するものである。
【0013】
(5)上記(2)項において、前記一対の爪受けは、各々、車幅方向に延びるリニアスライドにより、前記アームフックの作動軌跡を避ける方向へと摺動可能に支持されている着脱ボデー車のコンテナロック装置。
本項に記載の着脱ボデー車のコンテナロック装置は、一対の爪受けが、車幅方向に延びるリニアスライドにより支持されることで、アームフックの作動軌跡を避ける方向へと摺動するものである。
(6)上記(5)項において、前記一対の爪受けを、前記アームフックの作動軌跡を塞ぐ位置に固定するための付勢手段と、前記アームフックの揺動動作を前記一対の爪受けの摺動動作に変換するカム機構とを備える着脱ボデー車のコンテナロック装置。
本項に記載の着脱ボデー車のコンテナロック装置は、一対の爪受けが、車幅方向に延びるリニアスライドにより、アームフックの作動軌跡を避ける方向へと摺動可能に指示されており、かつ、一対の爪受けが、付勢手段によってアームフックの作動軌跡を塞ぐ位置に固定される。一方、アームフックの揺動の際には、カム機構によって、アームフックの揺動動作が一対の爪受けの摺動動作に変換され、一対の爪受けが互いに離間することにより、一対の爪受けがアームフックの揺動動作を阻害することを、回避するものである。
【0014】
(7)上記(3)から(6)項において、前記付勢手段としてばねが用いられている着脱ボデー車のコンテナロック装置。
本項に記載の着脱ボデー車のコンテナロック装置は、リヤフレーム上に設けられた一対の爪受けが、付勢手段であるばねによって、アームフックの作動軌跡を塞ぐ位置に固定されるものである。
【0015】
(8)上記(7)項において、前記カム機構には、前記爪受けの車幅方向中央側の受け面と、前記アームフックに固定された、前記爪受けの車幅方向中央側壁面に当接して、前記アームフックの作動軌跡を避ける方向へと押し出すカムプレートとが含まれる着脱ボデー車のコンテナロック装置(請求項4)。
本項に記載の着脱ボデー車のコンテナロック装置は、アームフックの揺動動作に連動して、カム機構の、アームフックに固定されたカムプレートが、爪受けの車幅方向中央側の受け面に当接することで、一対の爪受けが互いに離間する方向へと押し出される。そして、一対の爪受けは、アームフックの作動軌跡を避ける位置へと退避することとなる。
(9)上記(8)項において、前記アームフックには、その回動時において前記爪受けが前記アームフックの作動軌跡を退避した状態を維持するための、ガイドプレートが設けられている着脱ボデー車のコンテナロック装置(請求項5)。
本項に記載の着脱ボデー車のコンテナロック装置は、ガイドプレートによって、アームフックの回動時において、爪受けが不用意にアームフックの作動軌跡を塞ぐ位置へと戻ることなく、退避した状態を維持するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明はこのように構成したので、着脱ボデー車の、車体に対するコンテナのロック装置の互換性を確保するために、コンテナの爪の位置を標準位置に維持したまま、アームフックの大型化等、車体側の仕様変更(大型化)が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係るコンテナロック装置を備える着脱ボデー車の、アームフックの動作を示す側面図である。
【図2】図1に示される着脱ボデー車の車体構造を示すものであり。(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るコンテナロック装置を備える着脱ボデー車の、リヤフレームを示すものであり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【図4】図1のC部を拡大したものであり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るコンテナロック装置を備える着脱ボデー車の、アームフックの基端部を示す拡大図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る着脱ボデー車の、コンテナロック装置のロック状態を示す説明図であり、(a)は側面図、(b)は(a)のB部拡大図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る着脱ボデー車のコンテナロック装置の、爪受けの退避動作を示す説明図であり、(a)は爪受けが爪との係合位置にあるときの側面図、(b)同正面図、(c)は爪受けの退避作動中の側面図、(d)は同正面図、(e)は爪受けの退避完了時の側面図、(f)は同正面図である。
【図8】従来の着脱ボデー車の一例としてダンプ機能付き車を示すものであり、(a)から(d)はコンテナの着脱手順を、(e)はダンプ動作時を示す側面図である。
【図9】従来の着脱ボデー車のコンテナの要部を示すものであり、(a)は側面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(b)に示される爪の正面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、同一符号で示し、詳しい説明を省略する。
なお、本発明の実施の形態に係る着脱ボデー車の基本構成は、図8に示される従来のダンプ機能付き車と同様であり、コンテナ14についても、図8、図9に示される従来のダンプ機能付き車に用いられるものと同様であることから、適宜、図8、図9も参照の上、以下に説明する。
【0019】
本発明の実施の形態に係る着脱ボデー車は、図1、図2に示されるように、車体12には、コンテナ14の案内及び載置手段としても機能するメーンフレーム16と、前端部が上下に回動可能となるように、メーンフレーム16の後端部に軸着されたリヤフレーム20と、リヤフレーム20に軸着され、リヤフレーム20の間を車体前後方向へと伸縮可能、かつ、リヤフレーム20と独立してメーンフレーム16の上方回りに前後方向へと回動自在な、アームフック18とを備えている。アームフック18は、全体としてL字状をなし、先端部にはフック18bが設けられている。又、その基端部を構成するミドルフレーム17がリヤフレーム20に対し、車幅方向に延びる水平軸によって軸着されている。又、ミドルフレーム17に対して出没自在なスライディングアーム19を備え、ミドルフレーム17とスライディングアーム19とが、サブシリンダ29(図5参照)によって伸縮自在に連結されている。したがって、アームフック18は、リヤフレーム20間を、車体前後方向へと伸縮可能、かつ、リヤフレーム20と独立してメーンフレーム16の上方回りに、前後方向へとメーンシリンダ28の伸縮により回動自在となっている。
なお、図3(c)にリヤフレーム20の軸受穴20aが、図5、図7にアームフック18の基端部(ミドルフレーム17)に設けられた軸受ボス18aが示されており、これらにアームフック18の回転軸(図支省略)が挿通されることで、アームフック18は、リヤフレーム20に対して軸着される。
【0020】
又、図3、図4に示される様に、リヤフレーム20には、一対の爪受け32が、図6に示されるように、コンテナ14の積み込み状態で、コンテナ14の一対の爪30と嵌合する位置に配置されている。より具体的には、一対の爪受け32は、車体12の前後方向に貫通する穴32aが形成される環状部分を備えており、一対の爪30は、車体後方から前方に向けて、この穴32aに係合することで、リヤフレーム20に対するコンテナ14の固定が、より強固に行われることとなる。そして、図8(e)に示されるダンプ動作時には、メーンシリンダ28を伸張させると、コンテナ14の一対の爪30と、リヤフレーム20の一対の爪受け32との係合により、アームフック18及びコンテナ14と共に、リヤフレーム20が後傾斜することとなる。
【0021】
又、一対の爪受け32は、リヤフレーム20上のアームフック18の揺動軌跡を塞ぐ位置に設けられており、かつ、前後方向に延びる回転軸34により、リヤフレーム20に軸着され、図中矢印Dで示される、アームフック18の作動軌跡を避ける方向へと回動可能となっている。
【0022】
又、一対の爪受け32を、アームフック18の作動軌跡を塞ぐ位置に固定するための付勢手段として、ばね(図示の例では、ねじりコイルばね)36が用いられている。そして、一対の軸受32の車幅方向中央側の受け面32bが、鉛直面となるように、ストッパ38を備えている。このストッパ38は、図4に示されるように、リヤフレーム20に固定され回転軸34を軸支する支持ブラケット40と、爪受け32に固定された調整ねじ固定ブラケット42と、調整ねじ44とからなる。そして、調整ねじ44の軸部の先端が、支持ブラケット40に当接することで、一対の軸受32の停止位置の位置決めがなされるものである。又、固定ブラケット42からの調整ねじ44の軸部の突出量を調整することで、一対の軸受32の停止位置の調整が可能となっている。
【0023】
更に、アームフック18の揺動動作に連動して、一対の爪受け32を車幅方向へと互いに離間、接近させるための、爪受け作動機構として、アームフック18の前方から後方への揺動動作を受けて、アームフック18を避けるように爪受け32を離間させる、カム機構を備えている。このカム機構は、アームフック18の揺動動作を一対の爪受け32の回動動作に変換するものであり、爪受けの車幅方向中央側の受け面32bと、図5に示されるように、アームフック18の基端部に固定されたカムプレート46とで構成されている。カムプレート46は、図示の例では、アームフック18の前方から後方への回転方向に向けて突出する、三角形の突出部46aを有している。
【0024】
そして、図7(a)、(b)に示されるように、カムプレート46の突出部46aが、爪受け32の車幅方向中央側壁面32bに当接すると、爪受け32は、突出部46aの傾斜面に案内されるようにして、図7(c)、(d)に示されるように、アームフック18の作動軌跡を避ける方向Dへと押し出され、図7(e)、(f)に示されるように、一対の爪受け32は、アームフック18の作動軌跡を避ける位置へと退避する。
なお、図5、図7に符号48で示される部品は、アームフック18の前方から後方への回転時に、カムプレート46に続いて爪受け32の車幅方向中央側壁面32bが摺接することで、アームフック18の後方への回動時において、爪受け32がアームフック18の作動軌跡を退避した状態を維持し、かつ、メーンシリンダ28に対する爪受け32の衝突を防止するための、ガイドプレートである。
【0025】
一方、図7(e)、(f)に示されるように、一対の爪受け32が、アームフック18の作動軌跡を避ける位置へと退避した状態で、アームフック18が後方から前方へと回動すると、一対の爪受け32の車幅方向中央側壁面32bは、図7(c)、(d)に示されるように、カムプレート46の突出部46aの傾斜面へと案内されて、互いに車幅方向中央寄りに接近して行く。そして、最終的に、図7(a)、(b)に示されるように、カムプレート46の突出部46aが、爪受け32の車幅方向中央側壁面32bから離間して、アームフック18の揺動軌跡を塞ぐ位置へと復帰する。
【0026】
なお、図示は省略するが、一対の爪受け32が、リヤフレーム20に設けられた、車幅方向に延びるリニアスライドにより、アームフック18の作動軌跡を避ける方向へと摺動可能に支持された構造を採用することも可能である。
この場合においても、車幅方向に延びるリニアスライドにより、アームフック18の作動軌跡を避ける方向へと摺動可能に支持された一対の爪受け32が、圧縮コイルばね等の付勢手段によって、アームフック18の作動軌跡を塞ぐ位置に固定される。一方、アームフック18の揺動の際には、同様に、爪受け32の車幅方向中央側の受け面32bと、アームフック18の基端部に固定されたカムプレート46とで構成されているカム機構によって、アームフック18の揺動動作が一対の爪受けの摺動動作に変換され、一対の爪受け32が互いに離間することにより、一対の爪受け32がアームフック18の揺動動作を阻害することを、回避するものとなる。
【0027】
又、アームフック18の揺動動作に連動して、一対の爪受け32を車幅方向へと互いに離間、接近させるための、爪受け作動機構として、上記のごとく爪受け32を受動的に作動させるカム機構に換えて、アームフック18の角度を検知して作動するアクチュエータを用い、一対の爪受け32の退避、復帰動作を、能動的に行うこととしても良い。
【0028】
上記構成をなす、本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。
まず、本発明の実施の形態に係る、着脱ボデー車のコンテナロック装置は、コンテナ14の積み込み状態で、コンテナロック装置の、コンテナ14の一対の爪30と嵌合する位置に配置される、車体12側の一対の爪受け32が、爪受け32の作動機構によって、アームフック18の揺動動作に連動して、一対の爪受け32を車幅方向へと互いに離間、接近するものである。そして、アームフック18を揺動動作させることで、コンテナロックの爪30と、爪受け32との係合が解除される際には、一対の爪受け32を車幅方向へと互いに離間させるものである。
かかる爪受け32のレイアウトは、例えば、アームフック18の許容荷重を増大させるために、アームフック18や、アームフック18の回動動作に係るメーンシリンダ28を補強、大型化する等、車体12側の仕様変更(大型化)を行う場合において、採用されるものである。
【0029】
又、コンテナ14の爪30の位置を、コンテナロック装置の互換性を確保する必要性から、車体12側の一対の爪受け32が、コンテナ14の一対の爪30と嵌合する位置に配置される。その結果、リヤフレーム20上の、アームフック18の揺動軌跡を塞ぐ位置に設けられた一対の爪受け32が、爪受け作動機構によって、アームフック18の前方から後方への揺動動作を受けてアームフック18を避けるように、一対の爪受け32が互いに車幅方向に離間することにより、一対の爪受け32がアームフック18の揺動動作を阻害することを、回避することができる。
【0030】
しかも、一対の爪受け32が、前後方向に延びる回転軸34により、アームフック18の作動軌跡を避ける方向へと回動可能に、リヤフレーム20に軸着されており、かつ、一対の爪受け32が、付勢手段であるばね36によってアームフック18の作動軌跡を塞ぐ位置に固定される。一方、アームフック18の揺動の際には、カム機構(受け面32b、カムプレート46)によって、アームフック18の揺動動作が一対の爪受け32の回動動作に変換され、一対の爪受け32が互いに離間することにより、一対の爪受け32がアームフック18の揺動動作を阻害することを、回避することができる。
【0031】
又、リヤフレーム20に軸着された一対の爪受け32が、付勢手段であるばね36によって、アームフック18の作動軌跡を塞ぐ位置に固定され、アームフック18に固定されたカムプレート46が、爪受け32の車幅方向中央側の受け面32bに当接することで、一対の爪受け32が互いに離間する方向へと押し出され、アームフック18の揺動動作に連動して、一対の爪受け32は、アームフック18の作動軌跡を避ける位置へと退避することができるものである。
【符号の説明】
【0032】
10:着脱ボデー車、12:車体、14:コンテナ、16:メーンフレーム、17:ミドルフレーム、18:アームフック、19:スライディングアーム、20:リヤフレーム、22:フックバー、 24、26:接地用ローラ、28:メーンシリンダ、29:スライディングシリンダ(サブシリンダ)、30:爪、32:爪受け、32b:受け面、34:回転軸、36:ばね、46:カムプレート、46a:突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、選択的に使用される機能別の複数種類のコンテナとを含み、前記車体には、前記コンテナの案内及び載置手段としても機能するメーンフレームと、前端部が上下に回動可能となるように、前記メーンフレームの後端部に軸着されたリヤフレームと、該リヤフレームに軸着され、該リヤフレームの間を車体前後方向へと伸縮可能、かつ、該リヤフレームと独立して前記メーンフレーム上方回りに前後方向へと回動自在なアームフックとが設けられ、前記コンテナには、その前端部に前記アームフックと係合するフックバーが、少なくともその後端部には、前記車体に対する積み込み、積み降ろし時に接地する接地用ローラが設けられ、
前記コンテナの積み込み時には、前記アームフックを前記コンテナのフックバーに掛け、前記アームフックの回動動作により、前記コンテナの前方を持上げながら前記車体のメーンフレーム後端部へと引寄せ、前記コンテナが水平になるまで回動動作を継続した後、前記アームフックの前方への伸張動作により、前記コンテナを車体のメーンフレーム上の固定位置へと引き込み、
前記コンテナの積み降ろし時には、前記アームフックの後方への短縮動作により、前記コンテナを前記車体のメーンフレーム上の固定位置からメーンフレーム後端部へと押出した後、前記アームフックの回動動作により、前記コンテナを後傾斜させて前記設置用ローラを接地させ、更に後方へと押出して前記コンテナ前端部を接地させることが可能な、着脱ボデー車のコンテナロック装置であって、
前記コンテナ下側に、後方から前方へと向けて突出するように設けられた、左右一対の爪と、
前記リヤフレームの、前記コンテナの積み込み状態で前記一対の爪と嵌合する位置に配置された一対の爪受けと、
前記アームフックの揺動動作に連動して、前記一対の爪受けを車幅方向へと互いに離間、接近させるための、爪受け作動機構とを備えることを特徴とする着脱ボデー車のコンテナロック装置。
【請求項2】
前記アームフックは、前記リヤフレームに軸着されたミドルフレームと、該ミドルフレームに対して出没自在なスライディングアームとからなり、前記一対の爪受けは、前記リヤフレーム上の、前記アームフックの揺動軌跡を塞ぐ位置に設けられており、前記爪受け作動機構は、前記アームフックの前方から後方への揺動動作を受けて前記アームフックを避けるように前記爪受けを離間させる構成を有することを特徴とする請求項1記載の着脱ボデー車のコンテナロック装置。
【請求項3】
前記一対の爪受けは、各々、前後方向に延びる回転軸により、前記リヤフレームに軸着されており、なおかつ、該一対の爪受けを、前記アームフックの作動軌跡を塞ぐ位置に固定するための付勢手段と、前記アームフックの揺動動作を前記一対の爪受けの回動動作に変換するカム機構とを備えることを特徴とする請求項2記載の着脱ボデー車のコンテナロック装置。
【請求項4】
前記付勢手段としてばねが用いられ、前記カム機構には、前記爪受けの車幅方向中央側の受け面と、前記アームフックに固定された、前記爪受けの車幅方向中央側壁面に当接して、前記アームフックの作動軌跡を避ける方向へと押し出すカムプレートとが含まれることを特徴とする請求項3記載の着脱ボデー車のコンテナロック装置。
【請求項5】
前記アームフックには、その回動時において前記爪受けが前記アームフックの作動軌跡を退避した状態を維持するための、ガイドプレートが設けられていることを特徴とする請求項4記載の着脱ボデー車のコンテナロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−255740(P2011−255740A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130317(P2010−130317)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(510158967)ヒアブ株式会社 (1)