説明

着脱自在な輸送用グリップ

段ボールなどの輸送箱(30)の上面を構成する板状部材(31)にスリット(SL,SR)を開口し、このスリットに、輸送用グリップの両端を挿入して取り付ける。この輸送用グリップは、スリットに挿通させることが可能な幅を有する紙製の細長い帯状部材(20)と、この帯状部材の一部分に包み込ませるようにして接着された左補強板(10L)および右補強板(10R)によって構成される。各補強板は、厚手のボール紙の一片によって構成されている。片手で握り締められるグリップ本体部は、上下二層構造をなし、帯状部材(20)の中央部分は、グリップ本体部の上層を構成し、帯状部材(20)の両端部分は、グリップ本体部の下層を構成するように貼り合わされる。すべてが紙製品から構成されているため、廃棄時には段ボールなどとともに再生処理や焼却処理が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、着脱自在な輸送用グリップに関し、特に、輸送箱の上面2ケ所に形成されたスリットに両端を挿通させて取り付け、ハンドルとして利用することにより、輸送箱を持ち上げて輸送の用に供することができるグリップに関する。
【背景技術】
段ボール箱などを持ち運ぶ際に、片手で持ち上げることができるように、着脱自在な輸送用グリップが広く利用されている。一般的には、段ボール箱の上面部分の2ケ所にスリットを開口し、このスリットに両端を挿通させて固定するタイプのグリップが普及している。このグリップの両端部分には、段ボール箱の運搬時に両端部分をスリット近傍に固定するためのストッパが形成されており、このストッパをスリットから抜き差しすることにより、グリップ本体を着脱することが可能になる。
従来、この種の輸送用グリップは、樹脂によって構成されていた。材料として樹脂を用いれば、ストッパ部分を含めて一体成形することができるので、量産に適し、コストダウンを図ることができる。また、樹脂は、ある程度の弾力性を備えるとともに、ある程度の剛性も兼ね備えているため、スリットからの抜き差しを行うことができ、しかも輸送時には十分な堅牢性を発揮することができる。
しかしながら、近年、エコロジーの重要さが提唱されてきており、ごみ処理上の問題を有する合成樹脂製品は敬遠されつつある。特に、段ボール箱などの輸送用に利用されるグリップは、本来、段ボール箱とともに再生利用したり焼却したりできる材料で作られるのが好ましい。そこで本発明は、再生利用や焼却処理が可能な輸送用グリップを提供することを目的とする。
【発明の開示】
(1)本発明の第1の態様は、所定の2ケ所にスリットが形成された板状部材を上面に有する輸送箱に対して、両端をスリットに挿通させて固定することにより取り付けることが可能であり、この輸送箱の上面に取り付けた状態で把持することにより、輸送箱全体を持ち上げて輸送の用に供することができる着脱自在な輸送用グリップにおいて、
スリットに挿通させることが可能なサイズを有し、板状部材の下面のスリットの周囲部分を支持するのに十分な剛性を有するボール紙からなる左補強板および右補強板と、
平面上に展開した場合に左端から右端に向って、左本体下層部、左内側上面包装部、左下面包装部、左外側上面包装部、本体上層部、右外側上面包装部、右下面包装部、右内側上面包装部、右本体下層部の順に配置された各部分から構成されており、スリットに挿通させることが可能な幅を有する紙製の細長い帯状部材と、
によって当該輸送用グリップを構成し、
本体上層部は把持に適した長さとし、
左内側上面包装部、左下面包装部、左外側上面包装部によって、左補強板の上下両面が包み込まれた状態となり、
右内側上面包装部、右下面包装部、右外側上面包装部によって、右補強板の上下両面が包み込まれた状態となり、
左補強板および右補強板は、帯状部材の一部分によって包み込まれた状態のままスリットに挿通させることができるようにし、
左本体下層部の少なくとも一部分および右本体下層部の少なくとも一部分は、それぞれ本体上層部の下面に接着されており、左補強板の少なくとも一部分および右補強板の少なくとも一部分は、それぞれ帯状部材の所定箇所に接着されているようにしたものである。
(2)本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係る輸送用グリップにおいて、
左本体下層部の上面全体および右本体下層部の上面全体が、それぞれ本体上層部の下面に接着されており、左補強板の上下両面および右補強板の上下両面が、それぞれ帯状部材の包み込み部分に接着されているようにしたものである。
(3)本発明の第3の態様は、所定の2ケ所にスリットが形成された板状部材を上面に有する輸送箱に対して、両端をスリットに挿通させて固定することにより取り付けることが可能であり、この輸送箱の上面に取り付けた状態で把持することにより、輸送箱全体を持ち上げて輸送の用に供することができる着脱自在な輸送用グリップにおいて、
スリットに挿通させることが可能なサイズを有し、板状部材の下面のスリットの周囲部分を支持するのに十分な剛性を有するボール紙からなる左補強板および右補強板と、
平面上に展開した場合に左端から右端に向って、左本体上層部、左外側上面包装部、左下面包装部、左内側上面包装部、本体下層部、右内側上面包装部、右下面包装部、右外側上面包装部、右本体上層部の順に配置された各部分から構成されており、スリットに挿通させることが可能な幅を有する紙製の細長い帯状部材と、
によって当該輸送用グリップを構成し、
本体下層部は把持に適した長さとし、
左外側上面包装部、左下面包装部、左内側上面包装部によって、左補強板の上下両面が包み込まれた状態となり、
右外側上面包装部、右下面包装部、右内側上面包装部によって、右補強板の上下両面が包み込まれた状態となり、
左補強板および右補強板は、帯状部材の一部分によって包み込まれた状態のままスリットに挿通させることができるようにし、
左本体上層部の少なくとも一部分および右本体上層部の少なくとも一部分は、それぞれ本体下層部の上面に接着されており、左補強板の少なくとも一部分および右補強板の少なくとも一部分は、それぞれ帯状部材の所定箇所に接着されているようにしたものである。
(4)本発明の第4の態様は、上述の第3の態様に係る輸送用グリップにおいて、
左本体上層部の下面全体および右本体上層部の下面全体が、それぞれ本体下層部の上面に接着されており、左補強板の上下両面および右補強板の上下両面が、それぞれ帯状部材の包み込み部分に接着されているようにしたものである。
(5)本発明の第5の態様は、上述の第1〜第4の態様に係る輸送用グリップにおいて、
帯状部材を構成する各部が、その長手方向の中心位置に関して対称となるように配置されるようにしたものである。
(6)本発明の第6の態様は、上述の第1〜第5の態様に係る輸送用グリップにおいて、
帯状部材が、複数の紙製の紐を平面的に並べて接着したリボン状部材によって構成されるようにしたものである。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の基本的な実施例に係る輸送用グリップと、その取り付け対象となる輸送箱とを示す斜視図である。
図2は、図1に示す輸送用グリップの側面図である。
図3は、図1に示す輸送用グリップを輸送箱の上面に取り付けた状態を示す断面図である。
図4は、図1に示す輸送用グリップの構成要素となる補強板の斜視図である。
図5は、図1に示す輸送用グリップの全構成要素を示す平面図である。
図6は、図1に示す輸送用グリップの帯状部材の構成例を示す部分平面図である。
図7は、本発明の変形例に係る輸送用グリップの側面図である。
図8は、図7に示す変形例の全構成要素を示す平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
まず、本発明の基本的な実施例を、図1の斜視図を参照して説明する。図1には、本発明に係る輸送用グリップを、段ボールからなる輸送箱に取り付ける前の状態が示されている。本発明に係る輸送用グリップは、左補強板10L、右補強板10R、帯状部材20という3つの部品により構成されている。左補強板10Lおよび右補強板10Rは、それぞれ厚手のボール紙の一片から構成されており、その上下両面が、帯状部材20の一部分によって包み込まれた状態になっている。一方、輸送箱30は、この例では一般的な段ボール箱であり、その上面部分は、段ボールからなる板状部材31によって構成されている。図示のとおり、この板状部材31の所定の2ケ所には、スリットSL,SRが形成されている。
この輸送用グリップの左端部分は、左補強板10Lとその周囲を包んでいる帯状部材20の一部によって構成され、左端ストッパを形成している。同様に、この輸送用グリップの右端部分は、右補強板10Rとその周囲を包んでいる帯状部材20の一部によって構成され、右端ストッパを形成している。左端ストッパを左側のスリットSLに挿通し、右端ストッパを右側のスリットSRに挿通すれば、この輸送用グリップを輸送箱30の上面に取り付けることができ、片手でこの輸送用グリップを掴むことにより、輸送箱30を持ち上げて輸送することができる。
図2は、図1に示す輸送用グリップの側面図であり、この輸送用グリップが、左補強板10L、右補強板10R、帯状部材20なる3つの部品によって構成されている点が明瞭に示されている。ただ、帯状部材20は、後述するように紙製の細長い部材であり、部分的に折り曲げられているため、ここでは便宜上、複数の部分に分けて説明する。すなわち、この帯状部材20は、図2に示すとおり、本体上層部21と、その両側に連なる左外側上面包装部22Lおよび右外側上面包装部22Rと、これらに連なる左下面包装部23Lおよび右下面包装部23Rと、これらに連なる左内側上面包装部24Lおよび右内側上面包装部24Rと、これらに連なる左本体下層部25Lおよび右本体下層部25Rと、の各部分によって構成されている。別言すれば、帯状部材20は、左本体下層部25Lを一端とし、右本体下層部25Rを他端とする、テープ状の細長い紙製部材ということになる。
左補強板10Lは、上面の外側部分が左外側上面包装部22Lによって覆われており、上面の内側部分が左内側上面包装部24Lによって覆われており、下面が左下面包装部23Lによって覆われている。同様に、右補強板10Rは、上面の外側部分が右外側上面包装部22Rによって覆われており、上面の内側部分が右内側上面包装部24Rによって覆われており、下面が右下面包装部23Rによって覆われている。このように、左補強板10Lおよび右補強板10Rは、それぞれ帯状部材20の一部によって包み込まれた状態になっており、しかもその上下両面は、この帯状部材20の包み込み部分に接着されている。また、左本体下層部25Lの上面および右本体下層部25Rの上面は、それぞれ本体上層部21の下面に接着されている。
結局、この輸送用グリップは、図2の側面図に示す状態で各部が接着されており、このままの形状を保つことになる。帯状部材20は、紙製品であるため、ある程度の可撓性を有している。しかしながら、輸送用グリップとして機能させるためには、その両端に十分な剛性を有するストッパが必要になる。左補強板10Lおよび右補強板10Rは、ストッパとしての剛性を与えるための構成要素である。
図3は、図2に示す輸送用グリップを、輸送箱30の上面を構成する板状部材31に取り付けた状態を示す縦断面図である。このように、本発明に係る輸送用グリップは、両端をスリットSL,SRに挿通させて固定することにより、輸送箱30に取り付けることが可能である。
左補強板10Lおよび右補強板10Rは、スリットSL,SRに挿通させることが可能なサイズを有し、板状部材31の下面のスリットSL,SRの周囲部分を支持するのに十分な剛性を有するボール紙から構成されている。しかも、帯状部材20は、スリットSL,SRに挿通させることが可能な幅を有しているため、左補強板10Lおよび右補強板10Rは、帯状部材20の一部分によって包み込まれた状態のまま、スリットSL,SRに挿通させることができ、ストッパとしての機能を果たすことになる。したがって、この輸送用グリップは、輸送箱30に対して着脱自在になる。
一方、本体上層部21は、片手もしくは両手で把持するのに適した長さを有しており、この輸送用グリップを、輸送箱30の上面に取り付けた状態で把持することにより、輸送箱全体を持ち上げて輸送の用に供することができる。図3の縦断面図に示されているとおり、このような把持状態では、十分な剛性を有する左補強板10Lおよび右補強板10Rが、板状部材31に対してほぼ平行な状態でストッパとしての役割を果たすため、輸送箱30内に重量物が収容されていた場合であっても、従来の樹脂製の輸送用グリップと同程度の堅牢性が維持される。
図4は、左補強板10Lおよび右補強板10Rの斜視図である。図示のとおり、これらの補強板は、厚手のボール紙の一片であるが、この補強板を芯に入れて、その周囲を帯状部材20の一部で包み込むようにしてストッパ部を構成することにより、従来の樹脂製のものと同等の強度をもった輸送用グリップを実現することができる。このように十分な強度が得られる理由は、図3の縦断面図に示されているように、グリップ本体からの把持力が、左補強板10Lおよび右補強板10Rの中心部分に集中して作用し、厚手のボール紙製の各補強板に対して、折り曲げ力を加えることになるものの、このような折り曲げ力に対しては、各補強板が十分に耐えられるためと考えられる。
図5は、この基本的な実施例に係る輸送用グリップの全構成要素を示す平面図である。図示のとおり、左補強板10Lおよび右補強板10Rが、比較的小さな厚手のボール紙の一片であるのに対し、帯状部材20は、平面上に展開すると、かなり細長い紙製のテープ状の部材である。図示のとおり、この帯状部材20には、平面上に展開した場合に左端から右端に向って、左本体下層部25L、左内側上面包装部24L、左下面包装部23L、左外側上面包装部22L、本体上層部21、右外側上面包装部22R、右下面包装部23R、右内側上面包装部24R、右本体下層部25Rの各部分が順に配置されている。
これらの各部品は、いずれも紙製品であるため、この輸送用グリップを廃棄する際には、再生利用や焼却処分が可能であり、従来の樹脂製のグリップのような環境上の問題は発生しない。また、材料費も比較的安価であり、製造プロセスでは、図5に示す各部品を接着剤で貼り合わせる加工を行うだけで済むので、量産に適し、製品コストも比較的安価に抑えることが可能になる。
なお、帯状部材20は、このグリップの主要部を占める構成要素であり、人間が手で握りしめた状態で、ある程度の荷重に耐えられる必要がある。紙製の細長いテープ状の材料でありながら、このような荷重に十分に耐えられる材料としては、複数の紙製の紐を平面的に並べて接着したリボン状部材を用いると便利である。図6は、このようなリボン状部材によって帯状部材20を構成した例を示す平面図である。この例では、合計10本の紙製の紐201〜210を平面的に並べて接着することにより、帯状部材20が構成されている。このような紙製の紐201〜210は、その長手方向に作用する張力に対して十分な耐久性を有しているため、本発明における帯状部材20として用いるには最適である。
また、輸送箱30の荷重を左右均等に支える上では、帯状部材20を構成する各部は、その長手方向の中心位置に関して対称となるように配置するのが好ましい。たとえば、図5に示す帯状部材20では、その中央部分に本体上層部21が配置されており、中心位置に関して左右対称となるように各部が定義されている。このように、左右対称の構成を採ることにより、機能的にもデザイン的にも優れた輸送用グリップが実現できる。
図7は、本発明の変形例に係る輸送用グリップの側面図であり、図8は、この変形例の全構成要素を示す平面図である。図8に示す各部品と、図5に示す各部品とを比較すると、左補強板10Lと右補強板10Rについては全く同じであることがわかる。また、図5に示す帯状部材20と、図8に示す帯状部材40とは、各部の符号は異なるものの、実質的には全く同一の部材である。
図2に示す基本的な実施例と、図7に示す変形例との差は、帯状部材の両端を下にもってくるか、上にもってくるかの違いだけである。すなわち、図2に示す基本的な実施例では、帯状部材20の両端がグリップ本体部の下側に位置しているのに対し、図7に示す変形例では、帯状部材40の両端がグリップ本体部の上側に位置している。そのため、図2に示す基本的な実施例では、帯状部材の両端がグリップ本体部の下面に隠れているのに対し、図7に示す変形例では、帯状部材の両端がグリップ本体部の上面に現れている。両端の繋ぎ目を目立たなくさせる、という観点からは、図2に示す基本的な実施例が好ましいが、繋ぎ目をデザインとして取り入れて積極的に見えるようにする、という観点では、変形例も十分に実用的である。
図8に示すとおり、帯状部材40には、平面上に展開した場合に左端から右端に向って、左本体上層部45L、左外側上面包装部44L、左下面包装部43L、左内側上面包装部42L、本体下層部41、右内側上面包装部42R、右下面包装部43R、右外側上面包装部44R、右本体上層部45Rの各部分が順に配置されている。そして、図7に示されているとおり、この変形例では、左外側上面包装部44L、左下面包装部43L、左内側上面包装部42Lによって、左補強板10Lの上下両面が包み込まれた状態となっており、右外側上面包装部44R、右下面包装部43R、右内側上面包装部42Rによって、右補強板10Rの上下両面が包み込まれた状態となっている。その他の特徴は、基本的な実施例と変形例との間に差はない。
以上、本発明を基本的な実施例および変形例について説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではなく、この他にも種々の態様で実施可能である。
たとえば、上述の図2の例では、左本体下層部25Lおよび右本体下層部25Rの全面を本体上層部21の下面に接着しているが、必ずしも全面を接着する必要はなく、左本体下層部25Lの少なくとも一部分および右本体下層部25Rの少なくとも一部分が、それぞれ本体上層部21の下面に接着されていればよい。同様に、図7の例では、左本体上層部45Lおよび右本体上層部45Rの全面を本体下層部41の上面に接着しているが、必ずしも全面を接着する必要はなく、左本体上層部45Lの少なくとも一部分および右本体上層部45Rの少なくとも一部分が、それぞれ本体下層部41の上面に接着されていればよい。また、上述の各例では、左補強板10Lおよび右補強板10Rの上下全面を、帯状部材20あるいは帯状部材40の包み込み部分に接着しているが、必ずしも全面接着を行う必要はなく、これらが脱落しないように、少なくとも一部分が帯状部材20あるいは帯状部材40の所定箇所に接着されているようにすればよい。もっとも、実用上は、いずれの場合も全面を接着した方が、強度を高める上で好ましい。
更に、これまでの例では、帯状部材20あるいは帯状部材40の両端は、一ケ所で接続されていたが、この両端は必ずしも接続する必要はない。たとえば、図2に示す例では、左本体下層部25Lの右端と右本体下層部25Rの左端は、本体上層部21の中央位置において接続されているが、左本体下層部25Lおよび右本体下層部25Rの長手方向の長さを若干短くし、両端が接続されないようにしてもかまわない。あるいは逆に、左本体下層部25Lおよび右本体下層部25Rの長手方向の長さを若干長くし、両端付近が部分的に重なり合うようにして接続してもかまわない。図7に示す変形例についても同様である。
【産業上の利用可能性】
本発明に係る着脱自在な輸送用グリップは、段ボール箱などに取り付けるための運搬補助器具として広く利用することができ、しかも廃棄時には段ボール箱と一緒に処分することができる。すなわち、従来の合成樹脂製の輸送用グリップの場合、段ボール箱とは材質が異なるため、廃棄時には段ボール箱から取り外し、段ボール箱とは別個に処理をする必要があったが、本発明に係る輸送用グリップは、段ボール箱と同様に紙製品から構成されているため、段ボール箱と一緒に再生処理に送ったり、焼却処分したりすることが可能になる。しかも、ボール紙からなる左右の補強板を付加することにより堅牢な構造を実現できるため、電化製品などの比較的重量のある製品を収容した段ボール箱に利用しても、輸送用グリップとして十分な機能を果たすことができる。したがって、本発明に係る輸送用グリップは、様々な産業において、環境に配慮した運搬補助器具として利用が可能である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の2ケ所にスリット(SL,SR)が形成された板状部材(31)を上面に有する輸送箱(30)に対して、両端を前記スリット(SL,SR)に挿通させて固定することにより取り付けることが可能であり、前記輸送箱(30)の上面に取り付けた状態で把持することにより、前記輸送箱(30)全体を持ち上げて輸送の用に供することができる着脱自在な輸送用グリップであって、
前記スリット(SL,SR)に挿通させることが可能なサイズを有し、前記板状部材(31)の下面の前記スリット(SL,SR)の周囲部分を支持するのに十分な剛性を有するボール紙からなる左補強板(10L)および右補強板(10R)と、
平面上に展開した場合に左端から右端に向って、左本体下層部(25L)、左内側上面包装部(24L)、左下面包装部(23L)、左外側上面包装部(22L)、本体上層部(21)、右外側上面包装部(22R)、右下面包装部(23R)、右内側上面包装部(24R)、右本体下層部(25R)の順に配置された各部分から構成されており、前記スリット(SL,SR)に挿通させることが可能な幅を有する紙製の細長い帯状部材(20)と、
を備え、
前記本体上層部(21)は把持に適した長さを有しており、
前記左内側上面包装部(24L)、前記左下面包装部(23L)、前記左外側上面包装部(22L)によって、前記左補強板(10L)の上下両面が包み込まれた状態となっており、
前記右内側上面包装部(24R)、前記右下面包装部(23R)、前記右外側上面包装部(22R)によって、前記右補強板(10R)の上下両面が包み込まれた状態となっており、
前記左補強板(10L)および前記右補強板(10R)は、前記帯状部材(20)の一部分によって包み込まれた状態のまま前記スリットに挿通させることができるように構成されており、
前記左本体下層部(25L)の少なくとも一部分および前記右本体下層部(25R)の少なくとも一部分は、それぞれ前記本体上層部(21)の下面に接着されており、前記左補強板(10L)の少なくとも一部分および前記右補強板(10R)の少なくとも一部分は、それぞれ前記帯状部材(20)の所定箇所に接着されていることを特徴とする着脱自在な輸送用グリップ。
【請求項2】
請求項1に記載の輸送用グリップにおいて、
左本体下層部(25L)の上面全体および右本体下層部(25R)の上面全体が、それぞれ本体上層部(21)の下面に接着されており、左補強板(10L)の上下両面および右補強板(10R)の上下両面が、それぞれ帯状部材(20)の包み込み部分に接着されていることを特徴とする着脱自在な輸送用グリップ。
【請求項3】
所定の2ケ所にスリット(SL,SR)が形成された板状部材(31)を上面に有する輸送箱(30)に対して、両端を前記スリット(SL,SR)に挿通させて固定することにより取り付けることが可能であり、前記輸送箱(30)の上面に取り付けた状態で把持することにより、前記輸送箱(30)全体を持ち上げて輸送の用に供することができる着脱自在な輸送用グリップであって、
前記スリット(SL,SR)に挿通させることが可能なサイズを有し、前記板状部材(31)の下面の前記スリット(SL,SR)の周囲部分を支持するのに十分な剛性を有するボール紙からなる左補強板(10L)および右補強板(10R)と、
平面上に展開した場合に左端から右端に向って、左本体上層部(45L)、左外側上面包装部(44L)、左下面包装部(43L)、左内側上面包装部(42L)、本体下層部(41)、右内側上面包装部(42R)、右下面包装部(43R)、右外側上面包装部(44R)、右本体上層部(45R)の順に配置された各部分から構成されており、前記スリット(SL,SR)に挿通させることが可能な幅を有する紙製の細長い帯状部材(40)と、
を備え、
前記本体下層部(41)は把持に適した長さを有しており、
前記左外側上面包装部(44L)、前記左下面包装部(43L)、前記左内側上面包装部(42L)によって、前記左補強板(10L)の上下両面が包み込まれた状態となっており、
前記右外側上面包装部(44R)、前記右下面包装部(43R)、前記右内側上面包装部(42R)によって、前記右補強板(10R)の上下両面が包み込まれた状態となっており、
前記左補強板(10L)および前記右補強板(10R)は、前記帯状部材(40)の一部分によって包み込まれた状態のまま前記スリットに挿通させることができるように構成されており、
前記左本体上層部(45L)の少なくとも一部分および前記右本体上層部(45R)の少なくとも一部分は、それぞれ前記本体下層部(41)の上面に接着されており、前記左補強板(10L)の少なくとも一部分および前記右補強板(10R)の少なくとも一部分は、それぞれ前記帯状部材(40)の所定箇所に接着されていることを特徴とする着脱自在な輸送用グリップ。
【請求項4】
請求項3に記載の輸送用グリップにおいて、
左本体上層部(45L)の下面全体および右本体上層部(45R)の下面全体が、それぞれ本体下層部(41)の上面に接着されており、左補強板(10L)の上下両面および右補強板(10R)の上下両面が、それぞれ帯状部材(40)の包み込み部分に接着されていることを特徴とする着脱自在な輸送用グリップ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の輸送用グリップにおいて、
帯状部材(20,40)を構成する各部が、その長手方向の中心位置に関して対称となるように配置されていることを特徴とする着脱自在な輸送用グリップ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の輸送用グリップにおいて、
帯状部材(20,40)が、複数の紙製の紐(201〜210)を平面的に並べて接着したリボン状部材によって構成されていることを特徴とする着脱自在な輸送用グリップ。

【国際公開番号】WO2004/060757
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【発行日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564439(P2004−564439)
【国際出願番号】PCT/JP2002/013778
【国際出願日】平成14年12月27日(2002.12.27)
【特許番号】特許第3670275号(P3670275)
【特許公報発行日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【出願人】(591050899)大幸紙工株式会社 (1)
【Fターム(参考)】