説明

着色シリコーン製眼科用デバイス、その調製に用いられるプロセス及びポリマー

安定な着色ヒドロゲル眼科用デバイス、及び(a)少なくとも1種の非架橋バインディングコポリマーを含む第1の着色剤組成物、少なくとも1種の色素、染料又はそれらの混合物、及び少なくとも1種の印刷溶媒を、眼科用デバイス成形型の表面に適用する工程、(b)眼科用デバイスを調製するために必要な量まで、工程(b)の非架橋バインディングコポリマー上に、未硬化ヒドロゲル製剤を加える工程であって、ヒドロゲル製剤が、硬化時に、約50バーラー以上の酸素透過性を有する工程、並びに(c)安定な着色眼科用デバイスを形成するためにヒドロゲル製剤を硬化する工程、を含む、着色眼科用装置製造プロセス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、本明細書にその全体を参考として組み込まれる米国仮出願番号61/040,880の優先性を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、着色眼科用デバイス、特にそのような眼科用デバイスを調製するための非架橋ポリマーの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
虹彩の自然な色を変えるために着色ヒドロゲルコンタクトレンズの使用が知られている。一般に、レンズの着色部分は、レンズの中心に位置し、レンズの部分は、レンズ装着者の瞳孔及び虹彩のどちらか又は両方をオーバーレイする。同様に、ヒドロゲルコンタクトレンズの着色では、レンズ全体が少し視認性又は位置表示着色として着色されていることが知られている。COLORANTS FOR USE IN TINTED CONTACT LENSES AND METHODS OF THEIR PRODUCTION、及びPHOTOCHROMIC CONTACT LENSES AND METHODS FOR THEIR PRODUCTIONとそれぞれ題された米国特許出願第10/027,579号及び同第11/102,320号を参照し、それらの全体を参照によって本明細書に引用する。
【0004】
着色ヒドロゲルコンタクトレンズを製造するために使用される着色剤組成物は、一般に、バインディングポリマー、溶媒、及び色素からなる。着色が、にじんだり、浸出しない着色レンズを形成するために、幾つかの着色剤は、レンズ材料とバインディングポリマーとの間の共有結合を形成するために架橋剤の使用を必要とする。加えて、着色レンズを形成する幾つかの方法では、レンズ上への着色剤の導入に先立って、レンズ本体を形成する必要がある。他のプロセス及び着色剤は、単独使用又は着色剤からレンズの外側部分を保護するために特別なリングと関係する複数のステップを必要とする。
【0005】
シリコーンヒドロゲルから形成されるコンタクトレンズが開示されている。これらのコンタクトレンズは、従来のヒドロゲルよりも優れた酸素透過性を有する。これらのレンズの改善された酸素透過性は、それらを装着しているコンタクトレンズ使用者の低酸素症状を緩和する。残念ながら、従来のヒドロゲルレンズ製造に使用されるプロセスは、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを連続して製造するためには働かない。そのようなプロセスの1つの例が、着色シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造である。
【0006】
エタフィルコンAから作られる従来のヒドロゲルレンズは、約20(ポーラログラフィック、エッジ修正済み)の酸素透過性及び約60°の前進動的接触角を有する。ガリフィルコンAから作られるシリコーンヒドロゲルレンズは、約60の酸素透過性(ポーラログラフィック測定、エッジ修正済み)及び、約60°の前進動的接触角を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
着色エタフィルコンAコンタクトレンズを製造するために開示されたプロセスは、着色のにじみ、浸出又は傷のない着色シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造しない。米国特許出願第10/027,579号参照。したがって、着色のにじみ、浸出、又は傷のない着色シリコーンヒドロゲルレンズを製造するプロセスを見つけることは有用である。以下にそのようなプロセス及びその構成要素を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例21〜24で作られた印刷レンズの写真。
【図2】実施例21〜24で作られた印刷レンズの写真。
【図3】実施例21〜24で作られた印刷レンズの写真。
【図4】実施例21〜24で作られた印刷レンズの写真。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、少なくとも約50バーラー(約50×10−10cm(STP)・cm/(s・cm・cmHg))の酸素透過性を有する、目に使用するのに好適なヒドロゲルを含む安定な着色眼科用デバイスを製造するプロセスを含み、そのプロセスは以下の工程
(a)非架橋バインディングコポリマー、色素、染料又はそれらの混合物、及び印刷用溶媒を含む着色剤組成物を、眼科用デバイスの成形型の成形表面の少なくとも1つの部分に適用する工程、
(b)その着色剤組成物に存在する揮発性成分を減らすために工程(a)の成形型を処理する工程、
(c)工程(b)のその処理成形型に、かつレンズ形成量の未硬化ヒドロゲル製剤であるその着色剤組成物の上に施す工程、及び
(d)少なくとも約50バーラーの酸素透過性を有する安定な着色眼科用デバイスを形成するためにそのヒドロゲル製剤を硬化する工程、を含む。
【0010】
ここで使われる用語「眼科用デバイス」は、目の中又は上に入れるデバイスである。これらのデバイスは、視覚的な矯正、美容の増強、UV防護、可視光線又はまぶしさの軽減、創傷治癒、薬や栄養補助食品のデリバリーを含む治療的効果、診断評価若しくは監視、又はそれらの任意の組み合わせを提供できる。用語レンズには、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼内挿入物、及び光学挿入物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
ここで使われる「安定な着色デバイス」は、保管又は使用中に、着色剤組成物から何らかの構成要素がにじんだり、デバイスから又はデバイスの一部分から別の部分に浸出したりしないことを意味する。
【0012】
ここで使われる「表面改質することなく眼科使用に好適な」は、ヒドロゲル製剤が、視覚的効果を付与するために本出願で開示されるコーティング工程を経ずに成形型内で重合される場合に、約80°以下、約70°以下、又は約60°以下の前進接触角を表示する眼科用デバイスを形成することを意味する。表面改質することなく眼科使用に好適なヒドロゲル製剤の例には、ガリフィルコン、センフィルコン、ナラフィルコン及びコムフィルコンが挙げられる。
【0013】
ここで使われる「色素」は、色又は他の視覚効果を別の物質又は混合物に付与する不溶性の有機又は無機の物質を意味する。有機色素の例には、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、カルバゾールバイオレット、バットオレンジ#1等、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。有用な無機色素の例には、酸化鉄(褐色、黄色、黒又は赤)、酸化チタンなど、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。これらの色素に加えて、可溶性及び不溶性染料のジクロロトリアジン及びビニルスルホン系染料が挙げられるが、これらに限定されない。色素の例にはまた、輝きを付与するHelicones(登録商標)のようなコレステリック液晶、及びその組み合わせなどが挙げられる。ここで使われる「染料」は、反応性又は非反応性である可溶性有機及び無機の着色化合物を意味する。多種多様な色素及び染料が、米国食品医薬品局(USFDA)によって承認され、当業者に知られている。
【0014】
ここで使われる「眼科用デバイス成形型」は、眼科用デバイスに光学的特徴、又は形を付与する固体表面を意味する。成形型の凹部表面は、眼科用デバイスの前面を形成し、成形型の凸面は、眼科用デバイスの裏面を形成するために使用される。
【0015】
ここで使われる着色剤組成物は、色又は他の視覚的効果を本発明の眼科用デバイスに付与するために使用されるバインディングポリマー、溶媒、色素、染料及び他の任意成分の混合物を意味する。
【0016】
レンズ成形量は、凹部成形型に加えられる反応性混合物の量である。この量は、成形型(1つ又は複数)の種類及びサイズ、並びに眼科用デバイスの所望の厚さと設計に依存して変化する。例えば、米国特許第4,565,348号を参照されたい。典型的には、凹状及び凸状の成形型半分ずつを使用する2つの成形型プロセスが、ソフトコンタクトレンズの調製に使用される場合には、デバイスを調製するために必要とされる量は、約10mg〜約100mgである。
【0017】
ここで使用される、用語「(メタ)」は、任意のメチル置換を指す。したがって、「(メタ)アクリレート」のような用語はメタクリル及びアクリルラジカルの両方を意味する。
【0018】
ここで使用される「反応性基」は、フリーラジカル及び/又はカチオン重合を受け得る基である。フリーラジカル反応性基の非限定例には、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニル、ビニルエーテル、C1〜6アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、C1〜6アルキル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、C2〜12アルケニル、C2〜12アルケニルフェニル、C2〜12アルケニルナフチル、C2〜6アルケニルフェニルC1〜6アルキル、O−ビニルカルバメート及びO−ビニルカルボネートが挙げられる。カチオン反応性基の非限定例には、ビニルエーテル又はエポキシド基及びこれらの混合物が挙げられる。1つの実施形態では、フリーラジカル反応基には、(メタ)アクリレート、アクリルオキシ、(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0019】
ここで使用される「反応性混合物」は、ポリマーを形成するポリマー形成条件に従って、反応性構成成分、(使用されるならば)希釈剤、反応開始剤、架橋剤及び添加剤を含む混合構成成分である。反応性構成成分は、重合時、ポリマーマトリックス内の化学結合又はエントラップメント、若しくはエンタングルメントのいずれかによって、ポリマーの恒久的部分となる反応性混合物中の構成成分である。例えば、反応性モノマーは、重合を経てポリマー部分となる一方、PVPのような非反応性ポリマー性内部湿潤剤は、エンラップメントを経てポリマー部分となる。希釈剤(使用されるならば)及びデブロッキング剤のような任意の付加プロセス助剤は、ポリマーの構造部分とはならず、反応性構成成分部分ではない。
【0020】
ここで使用される「揮発性構成成分」には、溶媒、未反応モノマー、約1.66×10−20g(約10,000ダルトン)以下の分子量のオリゴマー、及び約250℃以下の沸点を有する構成成分が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
ここで使用される「非架橋バインディングコポリマー」は、1つ以上の従来のモノマー、及び1つ以上の酸素透過性強化モノマーを含むコポリマーを意味する。
【0022】
ここで使用される「従来のモノマー」は、ポーラログラフの方法によって測定される約50バーラー以下の酸素透過性を有するヒドロゲルレンズを製造するために硬化、加工及び水和されるモノマーを意味する。従来のモノマーの例には、重合可能基を含むモノマーが挙げられ、重合可能基は、
アクリル基;CH=CR−CX−(O)−、
(式中、Rは、H又はCH3、Xは、OR又はNR、及びR及びRは、独立して、H又はC1〜10アルキル)、及び
ビニル基;RC=CR、式中、R、及びRは、独立して、C1〜10アルキル、水素又はラクタムである。
【0023】
具体的な従来のモノマーの例には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルアルコール、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、プロピルエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸、アクリル酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、n−ビニルホルムアミド、米国特許第7、249、848号に開示の式II、IV、VI及びVII
【化1】

(式中、n=25〜500、Rは、H又はCH
の反応性親水性ポリメリック内部湿潤剤、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、従来のモノマーは、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、モノメタクリレート、メチルアクリル酸、アクリル酸及びこれらの混合物である。別の実施形態において、従来のモノマーは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジメチルアクリルアミド、及びN−ビニルピロリドンである。1つの実施形態において、従来のモノマーは、汚染物質及び副産物を除いて、1つ以上の反応性基を含まない。
【0024】
ここで使用される「酸素透過性強化」構成成分(又は「OPE」構成成分)は、反応性混合物中に含まれ、硬化され、加工され、水和される場合に、約50バーラー以上の酸素透過性を有するヒドロゲルレンズを製造する構成成分を含む。シリコーン含有構成成分は、このようなOPE構成成分の一例である。
【0025】
シリコーン含有構成成分は、モノマー、マクロマー、又はプレポリマー中に少なくとも1つの[−Si−O−Si]基を含むものである。1つの実施例では、Si及び付帯するOは、シリコーン含有構成成分中に、シリコーン含有構成成分の総分子量の約20重量%より大きい量で、別の実施形態では30重量%より大きい量で存在する。1つの実施形態において、シリコーン含有構成成分は、汚染物質及び副生産物を除く、1つの反応性基を含む。本発明で有用なシリコーン含有成分の例は、米国特許第3,808,178号、同第4,120,570号、同第4,136,250号、同第4,153,641号、同第4,740,533号、同第5,034,461号及び同第5,070,215号、並びに欧州特許第080539号に認めることができる。これらの参照は、オレフィン性シリコーン含有構成成分の多くの例を開示している。
【0026】
1つの実施形態において、好適なシリコーン含有構成成分には、式I
【化2】

式中、
は、独立して、一価の反応基、一価アルキル基、又は一価アリール基から選択され、前述のいずれかは、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから選択される官能性を更に含んでよく、1〜100のSi−Oの反復単位を含む一価シロキサン鎖は、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロゲン又はこれらの組み合わせから選択される官能性を更に含んでよく、
式中、b=0〜500、ここで、bが0以外のときに、bは、表示値と同等のモードを有する分配であると理解され、
少なくとも1つのRは、一価の反応基を含み、幾つかの実施形態では、1と3のRの間に、一価の反応基を含む、の化合物が挙げられる。
【0027】
好適な一価アルキル基及びアリール基には、置換及び非置換のメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−ヒドロキシプロピル、プロポキシプロピル、ポリエチレンオキシプロピル、これらの組み合わせ等の非置換の一価C〜C16アルキル基、C〜C14アリール基が挙げられる。
【0028】
1つの実施形態では、bは、ゼロであり、1個のRは、一価の反応性基であり、少なくとも3個のRは、1〜16個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択され、別の実施形態では、1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。この実施形態のシリコーンモノマーの非限定例としては、2−メチル−,2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル(SiGMA」)、
2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルオキシプロピル−トリ(トリメチルシロキシ)シラン、
3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(「TRIS」)、
3−メタクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、及び
3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサンが挙げられる。
【0029】
別の実施形態では、bは、2〜20、3〜15、又は幾つかの実施形態では、3〜10であり、少なくとも1つの末端Rは、一価の反応基を含み、残りのRは、1〜16個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択され、別の実施形態では、1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。更に、別の実施形態では、bは、3〜15であり、1つの末端Rは、一価の反応基を含み、他方の末端Rは、1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基を含み、残りのRは、1〜3個の炭素原子を有する一価アルキル基を含む。本発明のシリコーン成分の非限定例には、(モノ−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピル)−プロピルエーテル末端のポリジメチルシロキサン(400〜1000MW))(「OH−mPDMS])、モノメタクリルオキシプロピル末端のモノ−n−ブチル末端のポリジメチルシロキサン(800〜1000MW)、(「mPDMS」)が挙げられる。
【0030】
別の実施形態では、bは、5〜400、又は10〜300であり、両方の末端Rは、一価の反応基を含み、残りのRは、独立して、炭素原子間のエーテル結合を有することもあり、ハロゲンを更に含んでよく、1〜18個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。
【0031】
他の実施形態では、1〜4個のRが、下式のビニルカーボネート又はビニルカルバメートを含む:
【化3】

式中、Yは、O−、S−又はNH−を意味する。
Rは、水素又はメチルを意味し、qは、0又は1である。
【0032】
シリコーン含有ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマーには、具体的には、1,3−ビス[4−(ビニルオキシカルボニルオキシ)ブト−1−イル]テトラメチル−ジシロキサン、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルメチルビニルカーボネートが挙げられ、
【化4】

【0033】
約200以下の係数を有する生物医学的デバイスが所望される場合、1個のRのみが一価の反応性基を含むものとし、残りのR基のうちの2個以下は、一価シロキサン基を含む。
【0034】
シリコーン含有構成成分の別のクラスは、式IV〜のVIポリウレタンマクロマーを含む。
G)
E(A)又は
E(G)
式中、
Dは、炭素原子を6〜30個有するアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アリールジラジカル又はアルキルアリールジラジカルを意味し、
Gは、炭素原子を1〜40個有するアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、アリールジラジカル又はアルキルアリールジラジカルを意味し、これらは、主鎖中にエーテル、チオ又はアミン結合を含有してよい。
は、ウレタン又はウレイド結合を意味し、
は、少なくとも1であり、
Aは、次の式の2価重合ラジカルを意味する。
【化5】

11は、独立して、アルキル又は1〜10の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル基を意味し、これは炭素原子間にエーテル結合を含んでよく、yは、少なくとも1であり、pは、400〜10,000の部分重量を提供し、E及びEは、それぞれ独立して、次の式に示される重合性不飽和有機ラジカルを意味する。
【化6】

式中、R12は、水素又はメチルであり、R13は、水素、炭素原子を1〜6個有するアルキルラジカル、又は−CO−Y−R15ラジカルで、Yは、−O−、Y−S−又は−NH−であり、R14は、1〜12個の炭素原子を有する二価ラジカルであり、Xは、−CO−又は−OCO−を意味し、Zは、−O−又は−NH−を意味し、Arは、6〜30個の炭素原子を有する芳香族ラジカルを意味し、xは、0又は1であり、yは、0又は1であり、zは、0又は1である。
【0035】
1つの実施形態において、シリコーン含有構成成分は、次の式で表されるポリウレタンマクロマーを含む。
【化7】

16は、イソホロンジイソシアネートのジラジカルなどのイソシアネート基除去後のジイソシアネートのジラジカルである。別の好適なシリコーン含有マクロマーは、フルオロエーテル、ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、イソホロンジイソシアネート及びイソシアネートエチルメタクリレートの反応によって形成される式X
【化8】

(式中、x+yは、10〜30の範囲の数である)の化合物である。
【0036】
本発明での使用に好適な他のシリコーン含有成分には、ポリシロキサン、ポリアルキレンエーテル、ジイソシアネート、ポリフッ化炭化水素、ポリフッ化エーテル及びポリサッカライド基を含有するマクロマーなど、国際公開第96/31792号に記述されているものが挙げられる。好適なシリコーン含有構成成分の別のクラスには、米国特許第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,244,981号、同第5,371,147号及び同第6,367,929号に開示されるようなGTPを経て作られるシリコーン含有マクロマーが挙げられる。米国特許第5,321,108号、同第5,387,662号、同第5,539,016号は、末端ジフルオロ置換炭素原子に結合した水素原子を有する極性フッ素化グラフト又は側基を有するポリシロキサンについて記述している。米国特許公開第2002/0016383号は、エーテル並びにポリエーテル及びポリシロキサニル基を含有するシロキサニルリンケージ及び架橋可能なモノマーを含有する親水性のシロキサニルメタクリレートを記載している。前述のポリシロキサンのいずれもまた、本発明のシリコーン含有成分として使用することができる。
【0037】
シリコーンモノマーのさらなる例には、米国特許第4,711,943号に記載されるような親水性のシロキサン含有モノマー、米国特許第5,070,215号に記載されるようなビニルカルバメート又はカーボネート類縁体、及び米国特許第6,020,445号に含まれる単官能性モノマーが挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、OPE構成成分は、3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、3−メタクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン(3-methacrylxoypropylbis(trimethylsiloxy)methylsilane)、メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン、モノ−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、及びこれらの混合物から選択されるもののうちの少なくとも1つを含む。
【0038】
シリコーンモノマーとは別に、OPEモノマーは、重合したときに、緩く互いに結合し、鎖の間にある程度の遊離ボリューム有するモノマーを含む。そのようなモノマーは、典型的には嵩高であり、鎖の間の遊離ボリュームを増大させる。この立体効果のサイズは、パーマコール(Permachor)(Polym./Plast.Technol.Eng.8(2)「BarrierPolymer」(1977))として作られた経験的ポリマー力定数を使って評価できる。このタイプのモノマーは、約30に同等又はそれ以下のパーマコール値を有する。そのような非従来型ポリマーの例には、1,4−ジメチレンシクロヘキサン、及びシスイソプロペンが挙げられる。
【0039】
本発明の非架橋バインディングコポリマーは、少なくとも1つの従来のモノマー及びOPE構成成分の反応から形成される。非架橋バインディングコポリマーは、約1.66×10−20g〜約1.66×10−18g(約10kD〜約1000kD)の分子量を有し、幾つかの実施形態では、約4.15×10−20g〜約8.30×10−19g(約25〜約500kD)である。非架橋バインディングコポリマーは、実質的に未反応反応性基が無く、1つの実施形態においては、未反応反応性基が無い。非架橋バインディングコポリマーは、約10〜約90重量%のOPE構成成分に由来する残留物を含んでよく、幾つかの実施形態では、約20〜約60重量%のOPE構成成分に由来する残留物を含んでもよい。
【0040】
非架橋バインディングコポリマー中の従来型及びOPEモノマーの割合は、バインディングコポリマー及び反応性混合物が適合性である実施形態においては、反応性混合物中のそれらの構成成分の割合に整合する必要はない。しかしながら、1つの実施形態において、バインディングポリマーは、反応性混合物と適合性でなく、非架橋バインディングコポリマー中のOPEモノマーに対する従来型の割合は、ヒドロゲル製剤中のそれらの構成成分の相対比に似ている。例えば、もし、ヒドロゲル製剤が、非架橋バインディングコポリマー中に、20:80の割合で、従来型とOPEモノマー(2−ヒドロキシエチルメタクリレートとモノ−メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン)を含むならば、それらの従来型のOPEモノマーに対する重量パーセントの割合は、約10:90及び約30:70になるであろう。
【0041】
従来のモノマー及びOPE構成成分に加えて、非架橋バインディングコポリマーから作られる混合物は、UV吸収剤、医薬品剤、抗菌性化合物、反応性着色剤、共重合可能染料、連鎖移動剤、湿潤剤、それらの組み合わせ等のような追加の反応性及び非反応性構成成分を含んでもよい。非反応性構成成分が加えられる場合には、それらは、非架橋バインディングコポリマーから作られる反応性混合物に加えられてよく、バインディングコポリマーが形成された後に、バインディングコポリマーに組み込まれてもよい。バインディングポリマーが形成された後に、追加の構成成分が加えられる場合には、追加の構成成分は、バインディングポリマー中に機械的に混合されてよい。
【0042】
一般に、少なくとも1つの溶媒が、着色剤組成物を形成するために使われる。1つの実施形態において、着色剤組成物が眼科用デバイス内又は上に組み込まれる場合には、溶媒は、約120℃〜約150℃に沸点を有する少なくとも1つの「中沸点溶媒」を含む。中沸点溶媒は、着色剤組成物の十分な乾燥と前側曲線への移動を可能にする。中沸点溶媒の例には、1−エトキシ−2−プロパノール(1E2P)、1,2−オクタンジオール、3−メチル−3−ペンタノール、1−ペンタノール、メチルラクテート、1−メトキシ−2−プロパノール、それらの混合物等が挙げられる。1つの実施形態において、着色剤組成物は1E2Pを含む。溶媒は、バインディングポリマー及び着色剤組成物に含まれる(色素以外の)任意の追加の構成成分を溶解するべきものである。例えば、少なくとも1つの湿潤剤が着色剤組成物に加えられる1つの実施形態において、中沸点溶媒は、所望の溶媒和を提供できない。この実施形態においては、追加の極性溶媒を着色剤組成物中に含んでよい。好適な極性溶媒の例には、メタノール、エタノール、t−アミルアルコール、プロパノール、ブタノール、それらの混合物等が挙げられる。
【0043】
幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの極性溶媒の組み込みは、眼科用デバイスによるタンパク質、ムチン、及びリポカリン摂取を減少させる結果をもたらした。少なくとも1つの極性溶媒を伴わない着色剤組成物から作られるレンズと比べて、タンパク質、ムチン又はリポカリンのうちの少なくとも1つの、少なくとも約5%、幾つかの実施形態では、少なくとも約10%の摂取減少が達成され得る。中沸点(120〜150℃)溶媒を有する低沸点(<120℃)の極性溶媒の混合物は、人の涙の構成成分のために所望の適合性を有する眼科用デバイスを提供し、しかも、従来の中沸点(120〜150℃)溶媒単独と比べて同一パッド印刷プロセスの容易さを提供する。
【0044】
一般に、溶媒は、印刷有効量で、着色剤組成物に加えられる。印刷有効量は、使用される印刷プロセスに好適な粘度を有する着色剤組成物を製造するために所望される量である。例えば、パッド印刷が使用される場合には、着色剤組成物は、約500〜約2500cps、幾つかの実施形態においては、約500〜約1500cps、他の実施形態では約500〜約1000cpsの粘度を有する。幾つかの実施形態では、約1000cpsの粘度を有する着色剤組成物は、着色剤組成物中の全ての構成成分を基準にして、約20〜約80重量%の溶媒、幾つかの実施形態においては、約30〜約70重量%の溶媒を含む。極性溶媒が含まれる場合には、着色剤組成物中に使用される溶媒の総量を基準にして、それらは、約20〜約80重量%の量、及び約30〜約70重量%含まれてよい。
【0045】
非架橋バインディングコポリマーを調製するために、溶媒中のモノマーは、少なくとも1つの熱フリーラジカル反応開始剤のような反応開始剤とともに組み合わされなくてはならない。熱反応開始剤は、中程度の高温でフリーラジカルを生成する。好適な熱反応開始剤の例には、ラウロイルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、イソプロピル過炭酸塩、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル及び2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルが挙げられる。反応開始剤の好適な量は、約0.2〜約10重量%、幾つかの実施形態においては、約0.2重量%〜約5重量%を含む。非架橋バインディングコポリマーは、同様に、光重合されてもよい。すなわち、熱反応開始剤の代わりに光反応開始剤が用いられてよい。重合条件の選択は、好ましくは約1.66×10−20g〜約1.66×10−18g(約10kD〜約1000kD)、より好ましくは約4.15×10−20g〜約8.30×10−19g(約25〜500kD)の分子量を有する非架橋バインディングコポリマーを製造するために選択される。
【0046】
一般に、非架橋バインディングコポリマーを形成するための反応条件は、それらの反応温度、約30℃〜約180℃、幾つかの実施形態においては、約50℃〜約100℃、及び約4〜約24時間の反応時間を含む。反応は周囲気圧で行ってよい。
【0047】
連鎖移動剤はまた、分子量の制御が所望される場合に含まれてもよい。幾つかの実施形態において、約1〜約10の多分散性が望ましく、他の場合には、約1〜約3の多分散性が望ましい。
【0048】
非架橋バインディングコポリマーは、有機試薬,適当な溶媒中での沈殿,各種のクロマトグラフ方法、透析、それらの組み合わせ等のような既知の方法であるが、それらには限定されない方法によって使用に先立って精製されてよい。
【0049】
形成された時点で、非架橋バインディングコポリマーは、本発明のプロセスでの使用に好適な粘度を有する着色剤組成物を得るために「印刷溶媒」で希釈されてよい。この印刷溶媒は、非架橋バインディングコポリマーを形成するために使用された溶媒と同一又は異なっていてもよい。1つの実施形態において、好適な印刷溶媒には、1−エトキシ−2−プロパノール、エタノール、ヘプタン、又は印刷溶媒中で、非架橋バインディングポリマーが可溶であるならば、これらの溶媒のうちの少なくとも1つを含む混合物が挙げられる。着色剤組成物は、パッド印刷プロセスのためには、約500〜約8000cps(センチポアズ)の粘度、別の実施形態においては、添加色素の有無に関係なく約500〜約2500cpsを有し、インクジェットプロセスのためには約500cps以下の粘度を有する。着色剤組成物の粘度は、プロセスに合わせて調整されてよい。粘度は、S82又はS31スピンドルを装備したブルックフィールド粘度計を用いて、23℃、100rpm回転で測定される。
【0050】
粘度は直接固形成分に関連している。約500〜約2500cpsの粘度範囲に対して、着色剤組成物は、一般に、約20重量%〜約60重量%、幾つかの実施形態においては、約35〜約55重量%、及び幾つかの実施形態においては約43重量%の固形成分を有する。粘度/固形成分の関係は、選択された印刷プロセスに合わせてよい。
【0051】
驚くことに、約60℃以上、幾つかの実施形態においては約70℃以上、及び他では約80℃以上のガラス転移温度Tgを有する非架橋バインディングコポリマーは、改善された印刷品質を示す着色剤組成物を形成することが見つかった。たとえ着色剤組成物中に添加剤が使われているとしても、非架橋バインディングコポリマーのTgは、添加剤を追加することなく測定される。
【0052】
着色剤組成物は、少なくとも1つの色素、染料又はそれらの組み合わせを更に含む。当業者は、それぞれの使用された色素は、選択された溶媒のために臨界色素量を有することを認識するであろう。臨界色素量は、任意の既知の手段によって決定されてよく、例えば、Patton、Temple C.,Paint Flow and Dispersion,2nd ed.,pp 126〜300(1993)に記載されるように、一般には、色素粒子を懸濁するための溶媒とバインディングポリマーの効率を基準とする量である。
【0053】
着色剤の不透明度は、色素濃度及び使用される色素粒子サイズを変化させることによって制御されてよい。別の方法としては、白濁剤が使用されもよい。例えば二酸化チタン又は酸化亜鉛のような好適な白濁剤が、市販されている。
【0054】
1つの実施形態において、約0.2〜約25重量パーセントの色素、約30〜約45重量パーセントのバインディングポリマー、約40〜約70重量パーセントの溶媒、約0〜約25重量パーセントの二酸化チタン、及び約0.2〜約7重量パーセントの可塑剤を含む着色剤組成物が使用される。重量パーセントは、着色剤混合物の総重量を基準にしている。
【0055】
バインディングポリマーは、有機色素用の着色剤の重量を基準にして約0.2〜約25重量パーセント、及び無機色素に対しては約0.2〜約50重量パーセントとともに加えられてよい。しかしながら、高い色素濃度は、非常に暗い色相を付与する。したがって、好ましくは約0.2〜約7重量パーセントの有機色素、及び約0〜約20重量パーセントの無機色素が使用される。色素の組み合わせは、色、影、及び所望の色相に依存する割合で使用されてよい。
【0056】
1つの実施形態において、非架橋バインディングコポリマーは、色又は視覚効果を付与しない溶媒及び構成成分とともに混ぜられる。このコーティング組成物は、色組成物の適用の前に、眼科用デバイス成形型上に透明層を形成するために使用されてよい。色素を含まない組成物は、「無色コーティング組成物」と呼ばれる。
【0057】
着色剤組成物は、少なくとも1つの眼科用デバイス成形型表面の少なくとも一部分に適用される。1つの実施形態において、着色剤組成物は、凹部成形型表面の少なくとも一部分に適用される。別の実施形態において、無色コーティング組成物は、凹部成形型表面の少なくとも一部分に適用され、更に着色剤組成物が無色コーティング組成物上に適用される。
【0058】
着色剤組成物は、当業者に知られる任意の手段によって、成形型表面に適用されてよい。好適な方法には、パッド印刷及びインクジェット印刷が挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、米国特許第5,637,265号に記載されるようなパッドプリンターは、レンズ成形型に着色剤組成物を適用するために使用される。本プロセスの1つの実施形態においては、パッドプリンターがレンズ成形型の表面にタッチする前に、パッドプリンターを着色剤組成物部分に浸け、約0.5秒〜約60分間、空気乾燥する。着色剤組成物は、一回パス又は複数回パスで適用されてよい。
【0059】
着色剤組成物は、製造されるレンズに所望の着色度を付与するために十分な量(「着色有効量」)で適用される。1つの実施形態において、レンズ当たり約0.5mg〜約4.0mgの着色剤が使用される。
【0060】
着色剤組成物は、成形型表面に適用された後に、揮発性構成成分除去するために処理されてよい。そのような方法は、チャンバー中に成形型を避難させること、室温で周囲気体又は任意の以下のガス、N又はO雰囲気下で成形型を熟成すること、ほぼ常温〜約75℃で少なくとも2分間〜約1週間、約2分〜約24時間あるいは約2分〜約6分間、又はそのような工程の組み合わせで成形型を熟成することを含む。この工程は、成形型に適用する着色剤組成物のそれぞれの層について繰り返されてよい。
【0061】
眼科用デバイス成形型は、数多くの材料から作られる。成形型部分の材料には、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレートのうちの1つ以上のポリオレフィン、及び修飾ポリオレフィンを挙げることができる。
【0062】
好ましい脂環式コポリマーは、2種の異なる脂環式ポリマーを含み、Zeon Chemicals L.P.によってZEONORの商品名で販売されている。ZEONORには、複数の異なる等級がある。種々の等級は、105℃〜160℃の範囲のガラス転移温度を有してもよい。特に好ましい材料は、ZEONOR 1060Rである。
【0063】
1つ以上の添加剤と組み合わせて、眼科用レンズの成形型を形成し得る他の成形型材料には、例えば、Zieglar−Nattaポリプロピレン樹脂(しばしばznPPと称される)が含まれる。代表的なZieglar−Nattaポリプロピレン樹脂は、PP 9544 MEDの名称で入手可能である。PP 9544 MEDは、FDA regulation 21CFR(c)3.2により清浄成形に対する透明化ランダム共重合体であり、ExxonMobile Chemical Companyにより入手可能である。PP 9544 MEDは、エチレン基を有するランダムコポリマー(znPP)である(以下、9544MED)。他の代表的なZieglar−Nattaポリプロピレン樹脂としては、Atofinaポリプロピレン3761及びAtofinaポリプロピレン3620WZが挙げられる。
【0064】
なお更に、成形型は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、主鎖に脂環式部分及び環状ポリオレフィンを含有する修飾ポリオレフィンのようなポリマーを含んでよい。このブレンドを、成形型半片の一方又は両方の上で用いることができ、このブレンドを後側湾曲部上で用いて前側湾曲部は脂環式コポリマーからなることが好ましい。好ましい材料は、Zeonor、1060R、ポリプロピレン、及び旭化成化学、日本から入手可能なスチレン、エチレン、ブタジエン(SEBS)のポリマー配合物であるTuftec H1051を配合したZeonorである。
【0065】
成形型は、別々に作られても、眼科用デバイスを形成するのと同じプロセスで作られてもよい。
【0066】
着色剤組成物が、成形型に適用された時点で、もし処理が必要であれば、反応性混合物の眼科用デバイス形成量が凸部成形型空洞に拡散される.1つの実施形態において、反応性混合物は、少なくとも1つのOPE構成成分、及び少なくとも1つの親水性構成成分を含む。上述の任意のOPE構成成分をヒドロゲル製剤を作成するために使用してよい。好適な親水性構成成分には、米国特許第6、367、929号、同第6、822、016号及び同第2008/0045612号に記載されるような上述の高分子量親水性ポリマーと同様に親水性モノマーが挙げられる。
【0067】
好適な高分子量親水性ポリマーは、硬化シリコーンヒドロゲルの湿潤性を増大させ、8.30×10−20g(50,000ダルトン)以下、幾つかの実施形態においては、約1.66×10−19〜8.30×10−19g(約100,000〜500,000ダルトン)、4.98×10−19〜約6.64×10−19g(300,000〜約400,000ダルトン)、他の実施形態では、約5.31×10−19〜6.14×10−19g(約320,000〜約370,000ダルトン)の平均分子量を有する。
【0068】
別の方法としては、本発明の親水性ポリマーの分子量は、N−ビニルアミドポリマー、E.S.Barabas、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Second edition,Vol 17,pgs.198〜257,John Wiley & Sons Inc.に記載されるように、運動学的粘土測定を基準にしたK値によって表されることができる。この態様で表現される場合には、46〜100のK−値を有する親水性ポリマーが使用される。含まれる場合には、高分子量親水性ポリマーは、約1〜約20重量パーセントの量、幾つかの実施形態においては、約3〜約15パーセント、他では約5〜約15パーセントで製剤中に存在する。
【0069】
高分子量親水性ポリマーの例には、ポリアミド、ポリラクトン、ポリイミド及びポリラクタムが挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態では、高分子量の親水性ポリマーは、それらの骨格内に環状アミド又は環状イミドのような環状部分を含むものである。他の実施形態では、高分子量親水性ポリマーは、非環式のポリアミドである。高分子量親水性ポリマーには、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N−ビニル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、及びポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、ポリビニル−N−メチルアセトアミド、ポリビニルアセトアミド、ポリビニル−N−メチルプロピオンアミド、ポリ−ビニル−N−メチル−2−メチルプロピオンアミド、ポリビニル−2−メチルプロピオンアミド、ポリビニル−N、N’−ジメチルウレア、ポリビニルイミダゾール、ポリ−N−N−ジメチルアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ポリエチレンオキサイド、ポリー2ーオキサゾリン、ヘパリンポリサッカライド及びポリサッカライドのポリマー及びコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、高分子量親水性ポリマーは、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリビニル−N−メチルアセトアミド、ポリ−N−N−ジメチルアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、それらの混合物等のポリマー又はコポリマーを含む。
【0070】
本発明のヒドロゲル製剤は、同様に少なくとも1つの適合性の構成成分を含んでよい。好適な適合性の構成成分は、約8.30×10−21g(約5000ダルトン)以下、幾つかの実施形態では、約4.98×10−21g(約3000ダルトン)以下の数平均分子量、少なくとも1つのヒドロキシ基及び少なくとも1つの重合可能基を有する。マクロマー(約8.30×10−21〜約2.49×10−20g(約5000〜約15,000ダルトン)の数平均分子量)がまた、ここで説明されるような適合性の官能性を有する限り、使用されてもよい。もし適合性のマクロマーが使用されるならば、作製される眼科用デバイスの所望の湿潤性のレベルを得るために追加の適合性の構成成分を加えることがなおも必要となる可能性がある。
【0071】
1つの実施形態において、本発明の適合性の構成成分は、少なくとも1つのヒドロキシル基及び少なくとも1つの「−Si−O−Si−」基を含む。幾つかの実施形態において、シリコーン及びその結合酸素は、その適合性の構成成分の約10重量パーセント以上、幾つかの実施形態においては、約20重量パーセント以上の割合を占める。適合性の構成成分中のSi対OHの割合は、約15:1以下、好ましくは約1:1〜約10:1である。幾つかの実施形態においては、第1級アルコールは、第2級アルコールと比較して、改善された相溶性を呈している。
【0072】
適合性の構成成分の例には、米国特許第6、822、016号に開示されている式I及びIIのモノマーが挙げられる。具体的な例としては、(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビス−3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン、モノ(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノブチル末端ポリジメチルシロキサン、それらの混合物等が挙げられる。
【0073】
好適なマクロマーの1つのクラスには、基移動重合(GTP)によって作られるヒドロキシル官能化マクロマー、又はヒドロキシル官能メタクリレート及びシリコーンメタクリレートのスチレン官能化プレポリマーが挙げられ、ここに参照として組み込まれている米国特許第6,367,929号に開示されている。
【0074】
本発明の適合性の構成成分の「有効量」は、高分子量の親水性ポリマー及びポリマー製剤の他の構成成分を適合性にし、溶解するために必要とされる量である。したがって、適合性の構成成分の量は、高濃度の高分子量親水性ポリマーを適合性にするために必要とされるより多くの適合性の構成成分とともに使用される親水性ポリマーの量に部分的に依存するであろう。ポリマー製剤中の適合性の構成成分の有効量には、約5%(反応構成成分の総量を基準とした重量パーセント)〜約90%、好ましくは約10%〜約80%、最も好ましくは、約20%〜約50%が挙げられる。
【0075】
ヒドロゲル製剤はまた、架橋化合物、光反応開始剤、希釈剤、及び上述の任意の追加の構成成分を含んでもよい。
【0076】
本発明の眼科用デバイスは、境界及びエッジ矯正済みポーラログラフィック法によって測定される、約50バーラー以上の酸素透過性(「Dk」)を有する眼科用デバイスを形成するために硬化され、加工され、水和されることのできるシリコーンエラストマー、シリコーンヒドロゲル、及びフルオロヒドロゲル(「ヒドロゲル製剤」)から作られるソフトコンタクトレンズを含む。1つの実施形態において、本発明の眼科用デバイスは、約60以上、別の実施形態では、約80以上の酸素透過性を有する。
【0077】
一般に、反応性混合物は、硬化され、続いて水和される。コンタクトレンズの生産における反応混合物型に入れて作成するために、スピンキャスティング及び静的一体成形法を含めた、さまざまなプロセスが周知である。スピンキャスティング方法は、米国特許第3,408,429及び同第3,660,545号に、静的一体成形法方法は、米国特許第4,113,224号及び同第4,197,266号に開示されており、これらの特許の内容全体を参照によって本明細書に引用する。
【0078】
次に、レンズ材料を含む成形型をレンズを形成するための好適な条件に晒す。正確な条件は、選択されたレンズ材料の構成成分に依存し、当業者の技能の範囲で決定される。硬化は、熱又は光の組み合わせの使用によって効果的に行うことができる。1つの実施形態において、反応性混合物は、UV又は可視光線の照射に晒すことで硬化される。1つの実施形態において、主として可視光線が使用される。硬化が完了した時点で、レンズが、成形型から開放され、(使用されていれば)希釈剤又は任意の微量の未反応の構成成分を取り除くために処理されてよい。レンズは、次にヒドロゲルレンズを形成するために水和される。
【0079】
ヒドロゲル製剤例が、米国特許第5,710,302号、WO 9421698、EP 406161、JP 2000016905、米国特許第5,998,498号、同第6,367,929号、同第6,822,016号、米国特許第6,087,415号、同第5,760,100号、米国特許第5,776,999号、米国特許第5,789,461号、米国特許第5、849,811号、及び米国特許第5,965,631号及び米国特許第5,070,166号に開示されている。本発明の眼科用デバイスは、ガリフィルコンA、セノフィルコンA、ゲンフィルコンA、レノフィルコンA、コムフィルコンA、アクアフィルコンA、バラフィルコンA、ロトラフィルコンA、ナラフィルコンAを含むソフトコンタクトレンズを含む。1つの実施形態において,本発明の医療用デバイスは、ガリフィルコンA、セノフィルコンA、アクアフィルコンA、及びナラフィルコンAから作られるソフトコンタクトレンズである。前述は、米国一般名(「USAN」)によるポリマー製剤のリストである。それぞれのUSANは、製剤用の反応性混合物に含まれる構成成分を記載している。文字に意味のないUSAN名の開示、例えば、「セノフィルコン」は、同じ構成成分を有する全ての製剤含むが、いかなる量でもよい。
【0080】
硬化眼科用デバイスは、プラズマ処理、グラフィティング、コーティング等を含む表面処理又はコーティングを更に行ってよい。別の方法としては、硬化眼科用デバイスは、米国特許第6,689,480号又は同第6,428,839号に開示されているようなポリアクリル酸のような非反応性ポリマーに接触させてよく、米国特許第6,827,966号、同第6,451,871号、同第6,896,926号、同第6,793,973号に開示される「層から層」コーティングプロセスのような交互に電荷を有するポリマーと接触させてよい。非反応性ポリマーが使用される場合には、それらは、眼科用デバイスと強固に結合できるに十分な分子量を有するべきである。少なくとも約5,000の重量平均分子量、幾つかの実施形態においては、少なくとも約20,000が好ましい。表面処理は、レンズの湿潤性又は潤滑性を改善しても、抗菌活性又は任意の他の機能性を付与してもよい。
【0081】
別の方法として、又は上述の表面処理に加えて、作成した眼科用デバイスの特性を修飾するために追加の構成成分が、非架橋バインディングコポリマー加えられてよい。そのような構成成分は、内部湿潤剤、製薬学的成分又は栄養補助構成成分及び人の涙の構成成分と関連してレンズの親和性を修飾すると思われる構成成分を含んでよい。上述のように、これらの構成成分は、バインディングポリマーの重合中に加えられても、形成後に、バインディングポリマーに混ぜられても又は挿入されてもよい。
【0082】
「内部湿潤剤」は、硬化シリコーンヒドロゲル製剤の湿潤性を改善するポリメリック物質であるが、上で議論したような表面処理ではない。任意の上述の高分子量親水性ポリマーと同様に、それらは、ホモポリマーであっても、ブロックコポリマー、及び(米国特許第7、247、692号に開示されるような)両親媒性ブロックコポリマー、及び(米国特許第7、473、738号に開示されるような)ラクタムポリマー誘導体であってもよい。
【0083】
そのような内部湿潤剤は、本質的に、重合不可である。ここで使われる、本質的に、重合不可は、内部湿潤剤が、他の重合可能構成成分とともに重合される場合に、内部湿潤剤がシリコーンヒドロゲル又は非架橋コポリマーに意味のある共有結合をもたないで、シリコーンヒドロゲル製剤又は非架橋バインディングコポリマーに組み込まれることを意味する。意味のある共有結合が不在であるとは、共有結合が僅かに存在することがあっても、それはシリコーンヒドロゲルマトリックス中の内部湿潤剤の保持に偶発的であることを意味する。偶発的共有結合が存在することができるとしても、それ自体は、ヒドロゲルマトリックス中に内部湿潤剤を保持するには十分でないと思われる。代わりに、シリコーンヒドロゲルに結合して内部湿潤剤を保持する非常に支配的な効果は、エントラップメントである。シリコーンヒドロゲルマトリックス内に物理的に保持される場合、内部湿潤剤は、この規定に従えば、「エントラップ」される。これは、シリコーンヒドロゲルポリマーマトリックス内の内部湿潤のポリマー鎖のエンタングルメントによって行われる。しかし、ファンデルワールス力、双極子間相互作用、静電引力及び水素結合もこのエントラップメントに同様に寄与することは注意すべきである。
【0084】
内部湿潤剤は、約3.32×10−21〜約3.32×10−18g(約2000ダルトン〜約2,000,000ダルトン)の重量平均分子量、約8.30×10−21g(約5,000ダルトン)以上の分子量を有し、より好ましくは約8.30×10−21〜約3.32×10−18g(約5,000〜約2,000,000ダルトン)が好適である。幾つかの実施形態において、約8.30×10−21〜約2.99×10−19g(約5,000〜約180,000ダルトン)の低分子量が好ましく、最も好ましくは約8.30×10−21〜約2.49×10−19g(約5,000〜約150,000ダルトン)であり、一方、他の高分子量範囲は、約9.96×10−20〜約3.32×10−18g(約60,000〜約2,000,000ダルトン)、好ましくは約1.66×10−19〜約2.99×10−18g(約100,000〜約1,800,000ダルトン)、より好ましくは約2.99×10−19〜約2.49×10−18g(約180,000〜約1,500,000ダルトン)、最も好ましくは約180,000〜約1,000,000(全重量平均分子量)が使われてよい。約3.32×10−21g(約2000ダルトン)以上の分子量を有するポリマーの分子量は、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって、ポリ(2−ビニルピリジン)検量標準に関連して、他に説明がなければ、決定されることができる(他の方法の参照、Journal of Liquid Chromatography,10(),1127〜1150(1987))。
【0085】
内部湿潤剤には、上述の高分子量親水性ポリマーが挙げられるが、これに限定されない。1つの実施形態において、湿潤剤は、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ−2−エチル−2−オキサゾリン、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、及びポリビニルアルコールから選択される。好ましい内部湿潤剤は、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ−2−エチル−2−オキサゾリン、ポリビニルメチルアセトアミド(polyvinylmethlacetamide)、及びこれらの混合物である。特に好ましい内部湿潤剤は、約9.96×10−20g〜約3.32×10−18g(約60kD〜約2000kD)以上の重量平均分子量を有するポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)である。内部湿潤剤が、非架橋バインディングポリマーに加えられる場合には、内部湿潤剤は、非架橋バインディングポリマーに加えられるこれらの剤の重量%で約1%〜約30%、好ましくは約12〜約26%である。例えば、もし、PVP K30が使用されるならば、非架橋バインディングポリマーのグラム当たり約0.12〜約0.26gの物質が加えられる。
【0086】
作成する眼科用デバイスの湿潤性を増大させる、そのような剤の効果は、動的接触角又はDCAを測定することによって評価されてよい。
【0087】
プロセスは、追加の工程を含んでよい。例えば、プロセスは、着色剤組成物、無色コーティング組成物、及びそれらの組み合わせの複数の層を印刷する工程を含んでよい。着色剤組成物の複数層は、色の現実的な深さ及び変化を有する眼科用デバイスを製造するために異なる色又は色の混合物をそれぞれ含むことが適用されてよい。別の方法としては、着色剤組成物の複数層は、層が、色、輝き、UV吸収、光ブロッキング等のような異なる視覚効果を提供するように適用されてよい。別の方法としては、無色コーティング組成物の層及び着色剤組成物が使用されてよい。例えば、無色コーティング組成物は、最初にトップコート、続いて、同一又は異なる着色剤組成物の1つ又は複数の適用によって適用してよい。無色コーティング組成物及び着色剤組成物はまた、任意の順序又は組み合わせにおいて、変更され、適用されてもよい。
【0088】
本発明のプロセスは、所望により、着色剤組成物膨潤工程を含んでよい。プロセス中に含まれるならば、膨潤は、乾燥時の厚さの約1〜約4倍となるように着色剤を膨潤させるために好適な条件下で実施される。典型的には、そのような膨潤は、約1〜約30分、約40〜約68℃で達成されてよい。
【0089】
例えば、1つの実施形態において、本発明は、約50以上の酸素透過性を有するヒドロゲルを含む安定な着色眼科用デバイスを製造するプロセスを含み、そのプロセスは、
(a)少なくとも1つの非架橋バインディングコポリマー、少なくとも1つの色素、染料又はそれらの組み合わせ、及び少なくとも1つの印刷溶媒を含む少なくとも1つの着色剤組成物を、少なくとも1つの眼科用デバイス成形型の表面の少なくとも部分に適用する工程、
(b)少なくとも1つの非架橋バインディングコポリマー及び少なくとも1つの印刷溶媒を含む無色コーティング組成物を、工程(a)の着色剤組成物の少なくとも一部分の上に適用する工程、
(c)着色剤又は無色コーティング組成物中に存在する揮発性構成成分の量を減らすために工程(b)の成形型を処理する工程、
(d)工程(b)の無色コーティング組成物の上に、眼科用デバイスを調製するために必要な量で、ヒドロゲル製剤が、硬化時に、約50以上の酸素透過性を有する未硬化ヒドロゲル製剤を加える工程、及び
(e)安定な着色眼科用デバイス形成するためにヒドロゲル製剤を硬化する工程、を含む。
【0090】
更に加えて、本発明は、約50以上の酸素透過性を有するヒドロゲルを含む安定な着色眼科用デバイス製造する以下のプロセスを含み、そのプロセスは、
(a)少なくとも1つの非架橋バインディングコポリマー及び少なくとも1つの印刷溶媒を含む少なくとも1つの無色のコーティング組成物を眼科用デバイス成形型の表面の少なくとも一部分に適用する工程、
(b)少なくとも1つの非架橋バインディングコポリマー、少なくとも1つの色素、染料又はそれらの組み合わせを含む少なくとも1つの着色剤組成物、及び少なくとも1つの印刷溶媒を、工程(a)の無色コーティング組成物の上に適用する工程、
(c)着色剤又は無色コーティング組成物中に存在する揮発性構成成分を減らすために、工程(b)の成形型を処理する工程、
(d)眼科用デバイスを調製するために必要とされる量までの量で、反応性混合物を工程(b)で適用された着色剤組成物の上に加える工程であって、その反応性混合物が、硬化時に、約50以上の酸素透過性を有する工程、
(e)安定な着色眼科用デバイスを形成するために反応物を硬化する工程、を含む。
【0091】
加えて、本発明は、表面改質することなく、ヒドロゲル製剤が目に使用するときに好適である、上述のようなプロセスを含む。
【0092】
加えて、本発明は、少なくとも1つの非架橋バインディングコポリマー、少なくとも1つの印刷溶媒、及び少なくとも1つの色素、染料又はそれらの混合物を含む、約50以上の酸素透過性を有する安定な着色ヒドロゲル眼科用デバイスの製造に使用する組成物を含む。組成物は、少なくとも1つの内部湿潤剤を、更に含んでよい。1つの実施形態において、非架橋バインディングコポリマーは約60℃のTgを有する。
【0093】
しかもなお更に、本発明は、非架橋バインディングコポリマーを含む、約50バーラー/mm以上の酸素伝達性を有する安定な着色ヒドロゲル眼科用デバイスを含む。
【0094】
本発明は、以下のプロセスによって調製される、約50以上の酸素透過性を有する、目での使用に好適なヒドロゲルを含む安定な着色眼科用デバイスを更に含む。
(a)少なくとも1つの非架橋バインディングコポリマー、少なくとも1つの色素、染料又はそれらの混合物、及び少なくとも1つの印刷溶媒を含む少なくとも1つの着色剤組成物を眼科用デバイス成形型の表面に適用する工程、
(b)着色剤組成物中に存在する揮発性構成成分の量を減らすために工程(a)の後で成形型を処理する工程、
(c)工程(b)の処理された成形型の上及び眼科用デバイスを調製するために必要な量までの量で、反応性混合物を加える工程であって、その反応性混合物が、硬化時に、約50以上の酸素透過性を有する工程、及び
(d)安定な着色眼科用デバイスを形成するためにヒドロゲル製剤を硬化する工程。
【0095】
しかもなお更に、本発明は、以下のプロセスによって調製される、約50以上の酸素透過性を有する、目での使用に好適なヒドロゲルを含む安定な着色眼科用デバイスを含む。
(a)少なくとも1つの非架橋バインディングコポリマー及び少なくとも1つの印刷溶媒を含む少なくとも1つの無色のコーティング組成物を眼科用デバイス成形型の表面の少なくとも一部分に適用する工程、
(b)少なくとも1つの非架橋バインディングコポリマー、少なくとも1つの色素、染料又はそれらの混合物、及び少なくとも1つの印刷溶媒を含む少なくとも1つの着色剤組成物を、工程(a)のコーティング組成物の上に適用する工程、
(c)工程(b)中で適用された着色剤組成物の少なくとも一部分の上に、少なくとも1つの非架橋バインディングコポリマー及び少なくとも1つの印刷溶媒を含む組成物を適応する工程、
(d)無色コーティング組成物、着色剤組成物のいずれか又は両方の中に含まれる揮発性構成成分の量を減らすために、工程(b)の成形型を処理する工程、
(e)眼科用デバイスを調製するために必要な量までヒドロゲル製剤の量で、工程(c)で適用された着色剤組成物の上に、未硬化ヒドロゲル製剤を加える工程であって、そのヒドロゲル製剤が、硬化時に、約50以上の酸素透過性を有する工程、及び
(f)安定な着色眼科用デバイスを形成するためにヒドロゲル製剤を硬化する工程。
【0096】
用語、非架橋バインディングコポリマー、色素、染料、安定な着色デバイス、眼科用デバイス成形型、眼科用デバイス、適用、揮発構成成分の処理、必要な量、印刷溶媒、及びヒドロゲル製剤は、前述の意味及び好ましい種類を有する。内部湿潤剤は、本発明のプロセスの1つ以上の工程に加えられることでき、もしそうであれば、加えられた内部湿潤は、異なる工程で、異なってよい。好ましくは、内部湿潤剤がプロセスの1つ以上の工程に加えられるならば、同一の内部湿潤剤がその1つ以上の工程に加えられる。
【0097】
酸素透過度(DK)は、以下の変数を除いて、ISO 9913−1:1996(E)に、一般に、説明されているポーラログラフィー法によって決定されてよい。測定は、2.1%酸素含有環境で実施する。この環境は、被験チャンバーを配備し、適切な比率、例えば窒素1800mL/分と空気200mL/分、に設定した窒素及び空気注入によって作り出す。t/Dkは、調整酸素濃度を使用して計算される。ホウ酸緩衝生理食塩水を使用した。暗電流は、MMAレンズを適用する代わりに、純粋加湿窒素環境を使って測定される。レンズは、測定前に拭き取らない。様々な厚さのレンズを使用する代わりに、4個のレンズを重ねる。フラットセンサーの代わりにカーブセンサーを使用する。得られたDK値をバーラーで報告する。
【0098】
動的接触角又はDCAは、ホウ酸塩緩衝食塩水及びウィルヘルミバランスを使用して、23±3℃、及び相対湿度45±5%で測定してよい。レンズ表面とホウ酸塩緩衝食塩水との間の湿潤力はウィルへルミ微量天秤を使用して測定され、レンズの中心部から切り取られたサンプル細片は、100μm/秒の速度でこの生理食塩水中に浸漬され、引き出される。以下の方程式を使用する。
F=2γpcosθ又はθ=cos−1(F/2γp)
式中、Fは、湿潤力、γは、プローブ液の表面張力、pは、メニスカスでのサンプルの周長、及びθは、接触角である。動的湿潤試験から、典型的には、前進接触角及び後退接触角の2つの接触角が得られる。前進接触角は、サンプルがプローブ液中に浸漬されつつあるときの湿潤試験部分から得られ、以下にこれらの値について報告する。それぞれの組成物について少なくとも4つのレンズが測定され、その平均値が報告されている。本発明のプロセスは、約89以下の湿潤性を有する眼科用デバイスを製造することが好ましい。
【0099】
DSC実験は、温度の関数及び以下のパラメーターとして、バインディングコポリマーへの入出熱流量を、TA Instrument Model DSCQ100−1040で測定して、実施された。
熱流量選択:熱流量T4(mW)
冷却器タイプ−RCS
開始温度−25℃
加熱速度−10.000℃
上限温度−200.00℃
冷却速度−10.000℃
下限温度−−70.000℃
【0100】
DSC加熱/冷却/加熱は、以前の温度履歴を消すために実施され、再加熱する前に直線的速度で冷却した。これは、ASTM方法E793−85及びD3417−83に基づくものであった。
【0101】
DSC方法は、次の通りである。
1)25℃で平衡化
2)10.000℃/分の傾斜で200.00℃へ
3)サイクル0の末端をマーク
4)10.000℃/分の傾斜で−70.000℃へ
5)サイクル0の末端をマーク
6)10.000℃/minの傾斜で200.00℃へ
7)サイクル0の末端をマーク
前進パラメーター:データサンプリング間隔0.20s/pt
マス流量:N流量50mL/分
【0102】
本発明を説明するために以下の実施例を記載する。これらの実施例は本発明を限定するものではない。これらの実施例は本発明を実施する方法を提案することのみを目的としたものである。コンタクトレンズ及び他の専門分野の当業者であれば、本発明を実施する他の方法を見出すことが可能である。しかしながら、それらの方法は本発明の範囲内に含まれるものと見なされる。
【実施例】
【0103】
実施例では以下の略称を使用する。
PVP:ポリビニルピロリジノン
HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート
AMBN:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
AIBN:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル
DMA:N,N−ジメチルアクリルアミド
EtOH:エタノール
ブルーHEMA:米国特許第5,944,853号の実施例4に記述される反応性ブルー4号とHEMAの反応生成物
Norbloc:2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール
THF:テトラヒドロフラン
OH−mPDMS:モノ−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノブチル末端ポリジメチルシロキサン
【0104】
次の溶液は実施例29及び30において使用した。
【0105】
TLF溶液:
涙様液体緩衝溶液(TLF緩衝液)は、カルシウム及びマグネシウム(Sigma、D8662)を含むリン酸緩衝生理食塩水に重炭酸ナトリウム0.137g(Sigma、S8875)及びD−ブドウ糖0.01g(Sigma、G5400)を加えて調製した。TLF緩衝液は、構成成分が完全に溶解するまで(約5分)室温で攪拌した。
【0106】
脂質原液は、TLF緩衝液中に以下の脂質を混合し、透明となるまで約1時間、約60℃で攪拌を続けることによって調製した。
【表1】

【0107】
脂質原液(0.1mL)は、ムチン(ウシ顎下腺ムチン(Sigma、M3895、タイプ1−S))0.015gとともに混合した。TLF緩衝液の3つの1mL分液を、脂質ムチン混合物に加えた。溶液は、全ての構成成分が溶液となるまで(約1時間)攪拌した。TLF緩衝液は、100mLとなるように適量加え、十分に混合した。
【0108】
以下の構成成分は、リストの順序にしたがって、1つずつ、上で調製した脂質ムチン混合物100mLに加えた。全加算時間は、約1時間であった。
【表2】

【0109】
作成した溶液は一晩、4℃に放置した。pHは、1N塩酸で7.4に調整した。溶液は、ろ過し、使用に先立って、−20℃で貯蔵した。
【0110】
リポカリン溶液
ウシ乳の乳リポカリン(β−ラクトグロブリン)(Sigma、L3908)(2mg/ml)は、TLF緩衝液溶液に加えられ、溶液中に完全に溶解するまで熱を加えないようにして(合計時間約30分)攪拌した。
【0111】
ムチン溶液
ウシ顎下腺ムチン(Sigma、M3895、タイプ1−S)(2mg/mL)は、TLF緩衝液溶液に加えられ、溶液中に完全に溶解するまで熱を加えないようにして(合計時間約2時間)攪拌した。
【0112】
実施例1 ポリマーをともなったミリング色素
PVP K30の溶液は、1−エトキシ−2−プロパノール108.5g中にPVP K30(BASF)27.9gを溶解することによって調製した。室温で一晩、軌道振とう器(100rpm)で溶解させた。次に、黒色色素100g(Sicovit Schwartz 85 E172、BASF製、CAS番号:12227−89−3、化学式FeO・Fe、MW 231.54)は、ガラススパチュラを使って、溶液に配合した。引き続き、前混合は、40mmの拡散ディスクを備えたHeidolphミキサーで10分間、2回行った。アイガーミリングは、最初に3500rpmで10分間、次に4000rpmで30分間、実施した。アイガーミルの冷却水は、両方の場合で、60℃の平衡温度になるように調節した。引き続き、サンプルを取り除き、10マイクロメートル以上の粒子は、グラインドメーター試験で測定しなかった。(「NPIRIによる印刷インクのグラインドの粗さのための標準試験方法」)
【0113】
実施例2 粘稠溶液の固形成分の測定
1枚のガラスペトリ皿の風袋重量を化学てんびんで測定した。実施例1の粉砕組成物の約2グラム(重量A)を、皿に置いて、真空オーブン中で、最低40時間、150℃に加熱した。皿(重量B)の重量を、重量減少を求めるために再度測定した。実施例1の粉砕組成物の固形成分を、下記の表1に示されるように、次式[(重量B−風袋)/重量A]×100重量%又は55.1重量%、によって計算した。
【表3】

【0114】
実施例3 「バインディングコポリマー」の調製
100mLのビーカーに、AMBN、0.462g、ヘプタン、54g、エタノール、18g及び磁気攪拌子を仕込んだ。混合物は、AMBNが溶解するまで、約0.5時間攪拌した。
【0115】
3つの開口部を備えた500mLのガラス反応器に、次のDMA、7.0g、ブルーHEMA、0.024g、AMBN、0.462g、及び磁気攪拌子を仕込んだ。混合物は、全てが溶液となるまで、約15分間攪拌した。
【0116】
150mLのビーカーにDMA、25.4g、norbloc、2.64g及び磁気攪拌子を仕込んだ。混合物は、全てが溶液となるまで、約15分間攪拌した。構成成分の溶解時に、HEMA、13.8g、及びOH−mPDMS、71.2gをビーカーに加えて、短時間混合した。この混合物の9.0gをエタノール、42g及びヘプタン、126gとともに500mLのガラス反応器に移した。
【0117】
反応器の3つの開口部は、次のものを装置した。
ゴム栓
還流コンデンサー
反応器内に2本のシリコーンチューブを入れるための穴あき栓
【0118】
攪拌を維持している間、反応器の温度は、引き続き、混合物の沸点まで上昇させた。温度が約70℃であることに注意した。
【0119】
ワトソンーマーロー(Watson-Marlow)ポンプの第1の容器と第2の容器は、それぞれ上述の100mLのビーカーの内容物及び上述の150mLのビーカー中の液体の残余部分を仕込んだ。ポンプは、反応器中に挿入された2つのシリコーンチューブに接続し、ポンプの速度を調節して、2つの混合物を、4時間以上にわたって、絶え間なく加えた。完全に加え終わった後、シリコーンチューブを備える栓をゴム栓と交換し、反応を、還流条件下、一晩続けた。
【0120】
続いて、反応フラスコを熱源から外し、サンプルは、実施例2に記載するように固形成分(33%)、実施例4に記載するように分子量(M=4.82×10−20g(29kD)、M=9.30×10−20g(56kD)、ポリ(スチレン)ユニット中で測定)、及び実施例5に記載するように粘度を分析した。
【0121】
実施例4 「バインディングコポリマー」の分子量測定
実施例3のバインディングコポリマー溶液の1グラムをバインディングコポリマー溶液濃度が20mg/gになるようにTHFで希釈した。Polymerlab(Mixed C及びMixed D)からの2つのカラムからなるクロマトグラフィーセットアップを、溶離液としてのTHFとともに使用した。狭い範囲のポリ(スチレン)標準は、Polymerlabから購入し、検量曲線を作成するために使用した。実施例3のバインディングコポリマーに対して次の値が測定された:M=4.82×10−20g(29kD)、M=9.30×10−20g(56kD)ポリ(スチレン)ユニット中の測定。
【0122】
実施例5 粘稠溶液の粘度測定
実施例3のバインディングコポリマー溶液の5グラムをアルミニウムカップに移し、S82スピンドルを装着したブルックフィールド粘度計に置いた。100rpmの回転時、測定粘度は、23℃で、50cPsであった。
【0123】
実施例6 透明着色インクの調製
1Lの丸底フラスコに、実施例3のバインディングコポリマー溶液の300gを仕込み、1−エトキシ−2−プロパノール150gを加えた。フラスコを、秤量(重量C)し、以下の設定のロートバップに取り付けた。
水浴温度:85℃
真空設定:30mbar
【0124】
バインディングコポリマー溶液及び1−エトキシ−2−プロパノールをロートバップに放置した。約1時間後、フラスコをロートバップから外し、秤量した(重量D)。フラスコの重量減少は、下記の表2に示すように、約40%固形成分となったことを示唆していた。
【表4】

(固形成分は、重量Dを重量Cで除したものに100%を掛けた数字に等しい)混合物中に溶解するため。溶解は、粘稠溶液を室温まで冷却させるため、約1時間を要した。
【0125】
次に、粘稠溶液は、透明部分を得るため、及び着色インクを調製するための両方のために分割した。粘稠溶液100gは、実施例1に記載する方法を用いて、黒色色素、55.5gとともに粉砕した(BASFからの、Sicovit Schwartz 85 E172)。結果は、以下の特性を備える黒色インクであった。
・63.5重量%の固形成分(実施例2によって測定)
・粘度1600cP(実施例5を参照)
残りは、次の特性を備える透明インクとして直接使用した。
・固形成分43.2重量%(実施例2によって測定)
・粘度1700cP(実施例5を参照)
【0126】
実施例7 凹部成形型部分上のパッド印刷
Toshパッドプリンター(Model Logical mi.micro 2EA)のカップを、透明インクの20g、及び実施例6の黒色インクの20gで満たした。12マイクロメートルのエッチングを備えた円錘シリコーンパッド及びクリシェを、凹部プラスチック成形型の上に両方のパターンを印刷するために使用した。第1の透明層は、フルサークルのクリシェ、第2の着色層はリングタイプのパターンであった。ピックアップと印刷との間で、シリコーンパッドは、0.5秒間、乾燥空気流(約22℃、相対湿度40%)に晒した。
【0127】
実施例8 着色のレンズの調製
乾燥窒素充満下、次の操作を行った。凹部及び凸部成形型の両方の部品は、使用に先立って乾燥窒素中に一晩放置した。実施例7の凹部成形型部品は、反応性混合物の50mgとともに仕込まれた。凸部成形型部品は、表3に示す投与反応性混合物の最上部に置かれ、密封組立品は、温度制御(70℃)及び光強度(1mW/cm)の硬化ボックスに、約0.5時間、放置した。
【表5】

【0128】
密封組立品を型から取り出し、続いて、硬化レンズをイオン交換水≧90℃中に凹部曲線を浸すことによって成形型部品から取り外した。レンズを温水から取り除き、その上にクリシェと同じような黒いパターンを有することを認めた。黒いパターンは、レンズを指でこすっても取り除かれなかった。
【0129】
実施例9 内部湿潤剤を備えた非架橋バインディングコポリマーの調製
100mLのビーカーを、AMBN、0.4656g、エタノール、72g及び磁気攪拌子とともに仕込み、完全にAMBNを溶解させるために、約0.5時間、攪拌した。
【0130】
3つの開口部を備えた500mLのガラス反応器に、以下のDMA、8.2g、ブルーHEMA、0.024g、AMBN、0.4592g及び磁気攪拌子を仕込み、DMA中にブルーHEMA及びAMBNを完全に溶解させるために、約15分間、攪拌した。混合物は、次に、エタノール、168gで希釈し、PVP K30、14.4gは、ゆっくりと加え、混合物は、PVPパウダーを完全に溶解するために、約0.25時間、攪拌した。
【0131】
150mLのビーカーは、DMA、24.34g、norbloc、2.641g及び磁気攪拌子を仕込み、DMA中にnorblocを完全に溶解するために、約0.25時間、攪拌した。次に、HEMA、13.88g及びOH−mPDMS、71.2gを加え、混合物を短時間攪拌し、この混合物の9.1gを500mLのガラス反応器に移した。
【0132】
500mLのガラス反応器の3つの開口部には次のものを装着した。
ゴム栓
還流コンデンサー
反応器内に2本のシリコーンチューブを入れるための穴あき栓
【0133】
攪拌を維持している間、反応器の温度は、引き続き、混合物の沸点まで上昇させ、温度は約79℃であるように注意した。
【0134】
ワトソンーマーロー(Watson-Marlow)ポンプの第1の容器と第2の容器は、それぞれ上述の100mLのビーカーの内容物及び上述の150mLのビーカー中の残余部分を仕込んだ。ポンプは、2本のシリコーンチューブによってガラス反応器に接続され、ポンプの速度を調節して、2つの混合物を、4時間以上にわたって、絶え間なく加えた。完全に加え終わった後、2本のシリコーンチューブを備える栓は、ゴム栓と交換し、反応を、還流条件下、一晩続けた。
【0135】
実施例10:添加剤を追加しない非架橋バインディングコポリマーの調製
バインディングポリマーは、表4に示す構成成分から作られた。250mLの三角フラスコ(1)は、AIBN0、125g、EtOH、67mLを仕込み、溶解するまで攪拌した。三角フラスコは、次に、密封し、少なくとも10分間、窒素ガスでパージした。
【0136】
1Lの3つ首ジャケットフラスコには、還流コンデンサー、機械的撹拌機、及び(ポンプに接続したチューブ用の)2つの開口部を備えるゴム栓を装着した。1Lの3つ首ジャケット反応器に、EtOH、67mL、DMA、2.77g及びAIBN、0.125gを加えた。混合物が溶解するまで攪拌した。
【0137】
250mLのビーカーは、DMA、9.84g、HEMA、6.87g、及びOH−mPDMS、30.72gを仕込み、均一溶液を形成するために、5分間攪拌し、このモノマー混合物の4.48gを1Lのジャケット反応器に移した。反応器は、窒素ガスで45分間パージした。
【0138】
250mLのビーカー中の残余モノマー混合物は、第2の250mLの三角フラスコ(2)に加えた。250mLのビーカーは、1回15mLですすぎ、すすぎ液を三角フラスコ(2)に移した。三角フラスコ(2)の最終容量を、67mLになるように調整した。フラスコは、次に密封して、少なくとも10分間、窒素ガスでパージした。
【0139】
三角フラスコ(1)及び(2)は、ワトソンーマーローポンプを経て、(ポンプ上の2つの容器が効果的になるように、ゴム栓を貫通するチューブ接続によって結合するようにして)1Lの反応フラスコに結合した。反応混合物の温度を、70℃に上昇させ、18時間の攪拌を開始した。反応は、全反応中、連続して窒素ガス流の下で行った。次に、ポンプの速度を調節して、三角フラスコ(1)及び(2)の成分を4時間以上、絶え間なく反応器に加えた。4時間後、ゴム栓を取り除いて、ガラス栓と交換した。反応は、一晩、還流条件下で完了できるようにした。
【0140】
18時間後、材料の5gを抽出し、ロータリーエバポレータ(約60分間、50℃水浴、減圧下)で濃縮した。調製したバインディングポリマーは、次に、DSC実験を実施する前に真空オーブンで50℃、72時間、乾燥した。表4にTgを示す。
【0141】
実施例11〜15:添加剤を追加しない非架橋バインディングコポリマーの調製
異なるTg値を有する非架橋バインディングコポリマーを製造するために、構成成分の総量が変更される以外、実施例10を繰り返した。表4は、実施例11〜15で使用した構成成分の総量をリストしている。1Lのジャケットフラスコに加えた構成成分の濃度、250mLビーカー、250mLビーカーからジャケットフラスコ移した量、及び三角フラスコ(2)に移された250mLビーカー中の残量は、所望の非架橋バインディングコポリマーを形成するために調整された。表5は、1Lのジャケットフラスコに仕込んだ量をリストしている。表6は、250mLのビーカー中の量、及び250mLのビーカーから移した量をリストしている。250mLのビーカー中の残余量を、三角フラスコ(2)に移した。
【0142】
18時間後、材料の5gを抽出して、ロータリーエバポレータ(約60分間、50℃の水浴、減圧下)で濃縮した。調製したバインディングポリマーは、次に、DSC実験を実施する前に真空オーブンで50℃、72時間、乾燥した。表4にTgを示す。
【表6】

【表7】

【表8】

【0143】
実施例16:非架橋バインディングコポリマー及び染料としてブルーHEMAを含む着色剤製剤の調製
非架橋バインディングコポリマーは、表7にリストした構成成分から作成した。1Lの三角フラスコ(1)に、AIBN、0.375g、EtOH、200mLを仕込み、溶解するまで攪拌した。三角フラスコ(1)は、密封し、最低45分間、窒素ガスでパージした。
【0144】
3Lの3つ首ジャケットフラスコに、還流コンデンサー、機械的撹拌機、及び(ポンプに接続するチューブ用の)2つの開口部を備えたゴム栓を装着した。3Lの3つ首ジャケット反応器に、EtOH、200mL、DMA、8.75g、PVP(K30)、18g及びAIBN、0.375gを加えた。混合物が溶解するまで攪拌した。
【0145】
1Lのビーカーに、DMA、18.23g、HEMA、12g、Norbloc、3.4g、ブルーHEMA、8g、OH−mPDMS、81gを仕込み、均一な溶液が形成するまで攪拌した。このモノマー混合物の9.5gを3Lのジャケット反応器に移した。反応器は、窒素ガスで45分間パージした。
【0146】
1Lのビーカー中の残余モノマー混合物を1Lの第2の三角フラスコ(2)に加えた。1Lのビーカーは、30mLで2回すすぎ、すすぎ液を三角フラスコ(2)に移した。三角フラスコ(2)の最終容量を200mLに調整した。フラスコは、次に、密封し、少なくとも45分間、窒素でパージした。
【0147】
三角フラスコ(1)及び(2)は、(ポンプ上の2つの容器が効果的になるように、ゴム栓を貫通してチューブ接続によって結合した)ワトソンーマーローポンプを経て3Lの反応フラスコに接続した。反応混合物の温度を、70℃に上昇させ、18時間の攪拌を開始した。反応は、全反応中、連続して窒素ガス流の下で行った。次に、ポンプの速度を調節して、三角フラスコ(1)及び(2)の成分を4時間以上、絶え間なく反応器に加えた。4時間後、ゴム栓を取り除き、ガラス栓と交換した。反応は、一晩、還流条件下で完了できるようにした。
【0148】
反応混合物を、次に、2Lの丸底フラスコに移し、溶媒を、ロータリーエバポレーション(50℃、減圧、約2時間)によって蒸留除去した。1−エトキシ−2−プロパノールとエタノールの50:50溶液の約100mLは、丸底に加え戻し、攪拌、次に、溶液を1Lの褐色ジャーに移した。ジャーは、回転させ、ブルックフィールドデジタル粘度計(スピンドル数18、25℃、1.5rpm)を用いて粘度1000cpsになるまで、1−エトキシ−2−プロパノールとエタノールの50:50溶液を加えた。
【0149】
(実施例17〜19)
実施例16を、構成成分の総量、3Lのジャケットフラスコ中の量、1Lのビーカー中の量、1Lのビーカーからジャケットフラスコに移した量、及び1Lの三角フラスコ(2)に移した1Lのビーカー中の残余量が、異なることを除いて繰り返した。表7は、構成成分の総量をリストする。表8は、3Lのジャケットフラスコに仕込んだ量をリストする。表9は、1Lのビーカー中の量及び1Lのビーカーから移した量をリストする。1Lのビーカー中の残余量を1Lの三角フラスコ(2)に移した。
【表9】

【表10】

【表11】

【0150】
実施例20:無色コーティング組成物
バインディングポリマーは、表7にリストした構成成分から作成した。1Lの三角フラスコ(1)は、AIBN、1.125g、EtOH、600mLを仕込み、溶解するまで攪拌した。三角フラスコ(1)は、密封し、少なくとも45分間、窒素ガスでパージした。
【0151】
3Lの3つ首ジャケットフラスコに、還流コンデンサー、機械的撹拌機、及び(ポンプに接続するチューブ用の)2つの開口部を備えたゴム栓を装着した。3Lの3つ首ジャケット反応器に、EtOH、600mL、DMA、20.25g、PVP(K30)、54g及びAIBN、1.125gを加えた。混合物が溶解するまで攪拌した。
【0152】
1Lのビーカーは、DMA、72g、HEMA、40.5g、Norbloc、10.13g、及びOH−mPDMS、251.25gを仕込み、均一な溶液が形成するまで攪拌した。このモノマー混合物の29.45gを3Lのジャケット反応器に移した。反応器は、窒素ガスで45分間パージした。
【0153】
1Lのビーカー中の残余モノマー混合物を1Lの第2の三角フラスコ(2)に加えた。1Lのビーカーは、30mLで2回すすぎ、すすぎ液を三角フラスコ(2)に移した。三角フラスコ(2)の最終容量が、600mLになるように調整した。フラスコは、次に、密封し、少なくとも45分間、窒素でパージした。
【0154】
三角フラスコ(1)及び(2)は、(ポンプ上の2つの容器が効果的になるように、ゴム栓を貫通してチューブ接続によって結合した)ワトソンーマーローポンプを経て3Lの反応フラスコに接続した。反応混合物の温度を、70℃に上昇させ、18時間の攪拌を開始した。反応は、全反応中、連続して窒素ガス流の下で行った。次に、ポンプの速度を調節して、三角フラスコ(1)及び(2)の成分を4時間以上、絶え間なく反応器に加えた。4時間後、ゴム栓を取り除いて、ガラス栓と交換した。反応は、一晩、還流条件下で完了できるようにした。次に、反応混合物(2バッチ)を2Lの丸底フラスコに移し、溶媒をロータリーエバポレーション(50℃、減圧下、約2時間)によって蒸留除去した。
【0155】
無色コーティング組成物を、約200mlの1−エトキシ−2−プロパノールとエタノールの50:50溶液で、丸底フラスコに加え戻し、攪拌して作成し、更に溶液を2Lの褐色ジャーに移した。ジャーを回転させ、ブルックフィールドデジタル粘度計(スピンドル数18、25℃で1.5rpm)を用いて、粘度1000cpsとなるまで、1−エトキシ−2−プロパノールとエタノールの50:50溶液を加えた。
【0156】
実施例21〜24−レンズの作製
実施例20で作成したような透明コート組成物を、凹部成形型の上にパッド印刷した。実施例16〜19の着色剤組成物は、それぞれ実施例21〜24用の凹部成形型の上にパッド印刷した。
【0157】
これらのパッド印刷した凹部成形型部品及び非印刷凸部成形型部品は、更なる使用に先立って、一晩、2.8%の酸素中に保存した。
【0158】
酸素を2.8%含む乾燥窒素の充満下、凹部成形型部品は、表3に開示する反応性混合物の70mgを仕込んだ。凸部成形型部品は、投与された反応性モノマーミックスの最上部に配置し、密封組立品は、適当な成形型密閉部を確保するために重量(〜200グラム)を前硬化に晒した。密封、秤量した組立品は、4分間、50℃の遮光前硬化トンネル内に放置した。前硬化の重りを取り除き、組立品は、制御温度70℃で、約4分間、1.5mW/cm、次に追加の4分間、7.0mW/cmの光強度を有する硬化トンネル内に放置した。
【0159】
密封組立品は、型から取り出し、続いて、硬化レンズは、(20分間)2℃のイオン交換水、次に(60分間)90℃のパッキング溶液中に凹部曲線を浸すことによって成形型部品から取り外した。90℃のパッキング溶液から取り外されたレンズは、クリシェのそれと類似のパターンを有することが分かった。傷は、レンズを指で擦ること(レンズを擦っていないものには傷がない)及び目視観察によって評価した(表10)。図1〜4は、観察の代表的写真である。
【表12】

【0160】
(実施例25〜28)
実施例21〜24を、密封、秤量組立品を遮光して4分間、50℃、前硬化トンネルに置く代わりに直接、硬化トンネルに置いたこと以外は繰り返した。硬化後、密封組立品を型から取り出し、硬化レンズを実施例21〜24で説明したように成形型部品から取り外した。温水から取り出したレンズは、クリシェのそれと類似のパターンをその上に有することが分かった。傷は、レンズを指で擦ること(レンズを擦っていないものには傷がない)及び目視観察によって評価した(表10)。
【0161】
実施例29:非架橋バインディングポリマー組成物及び溶媒として1E2Pをともなうレンズの調製
1Lの三角フラスコ(1)は、AIBN、0.300g、EtOH、400mLを仕込み、溶解するまで攪拌した。三角フラスコ(1)は、次に、密封し、少なくとも45分間、窒素ガスでパージした。
【0162】
3Lの3つ首ジャケットフラスコに、還流コンデンサー、機械的撹拌機、及び(ポンプに接続するチューブ用の)2つの開口部を備えたゴム栓を装着した。3Lの3つ首ジャケット反応器に、EtOH、400mL、DMA、14g、PVP(K90)、32.25g及びAIBN0.07gを加えた。混合物が溶解するまで攪拌した。
【0163】
1Lのビーカーは、DMA、50.8g、HEMA、27.6g、Norbloc、5.3g、OH−mPDMS、142.2gを仕込み、均一な溶液が形成するまで攪拌した。このモノマー混合物の18gを3Lのジャケット反応器に移した。反応器は、窒素ガスで45分間パージした。
【0164】
1Lのビーカー中の残余モノマー混合物を1Lの第2の三角フラスコ(2)に加えた。1Lのビーカーを30mLで2回すすぎ、すすぎ液を三角フラスコ(2)に移した。三角フラスコ(2)の最終容量が400mLになるように調整した。フラスコは、次に、密封し、少なくとも45分間、窒素でパージした。
【0165】
三角フラスコ(1)及び(2)は、(ポンプ上の2つの容器が効果的になるように、ゴム栓を貫通してチューブ接続によって結合した)ワトソンーマーローポンプを経て3Lの反応フラスコに接続した。反応混合物の温度を、70℃に上昇させ、18時間の攪拌を開始した。反応は、全反応中、連続して窒素ガス流の下で行った。次に、ポンプの速度を調節して、三角フラスコ(1)及び(2)の成分を4時間以上、絶え間なく反応器に加えた。4時間後、ゴム栓を取り除いて、ガラス栓と交換した。反応は、一晩、還流条件下で完了できるようにした。
【0166】
反応混合物を、次に、2Lの丸底フラスコに移し、溶媒をロータリーエバポレーション(50℃、減圧、約2時間)によって蒸留除去した。1−エトキシ−2−プロパノールの約200mLを、丸底フラスコに加え戻し、攪拌し、溶液を1Lの褐色ジャーに移した。ジャーは、回転させ、1−エトキシ−2−プロパノールを、ブルックフィールドデジタル粘度計(スピンドル数18、25℃で1.5rpm)を用いて、粘度1000cpsになるまで加えた。
【0167】
コンタクトレンズは、レンズ作成に着色剤組成物を使用しなかったこと以外、実施例21のようにしてこの無色コーティング組成物から作成した。タンパク質、ムチン、及びリポカリン摂取は、次のように測定した。
【0168】
レンズを、(それぞれの試験レンズについて6回繰り返し)パッキング溶液を除去し、無菌鉗子を使い(1ウエルに1レンズ)24ウエルの細胞培養クラスタに無菌的に移すため、ブロットした。それぞれのウエルは、1mLのTLFを有し、それぞれのレンズは、十分に溶液中に沈められた。細胞培養トレイは、はねや蒸発による溶液の減少を防ぐために、パラフィルムで覆った。
【0169】
レンズは、TLF、1mL中、35℃、72時間、回転攪拌(100rpm)して、培養した。TLF溶液は、24時間毎に交換した。培養期間の最後に、タンパク質摂取を、リン酸緩衝生理食塩水溶液を含む3つの別々のバイアル瓶中、試験レンズを3回すすいだ後に測定した。
【0170】
タンパク質摂取は、メーカーが提供する説明書に従って、ビシンクロニニック酸法(bicinchroninic acid)法(QQP−BCAキット、Sigma)を使用して行った。標準曲線は、QP−BCAキットに含まれるアルブミン溶液を使用して作成した。
【0171】
24ウエルプレートを標識して、アルブミン標準は、下の表11に示すように、アルブミン原液をPBSに加えることによって調製した。
【表13】

【0172】
QP−BCA試薬は、Sigma QP−BCAキット説明書に示されるように、QA試薬25部をQB試薬25部及びQC試薬(硫酸第2銅)1部とともに混合することで新たに調製した。サンプル/標準中のPBSのそれぞれの量に対して等量のQP−BCA試薬が必要とされるので、標準サンプルに加えて、全てのコントロール及び試験レンズサンプルに、提供するために十分な試薬を調製した。
【0173】
等量のQP−BCA試薬(PBS、1mL中のレンズに対して1mL)をそれぞれのサンプルに加えた。
【0174】
標準、レンズ、及び溶液サンプルは、60℃で1時間インキュベートし、サンプルを5〜10分間冷却した。溶液の562nmにおける吸光度を分光光度計を使用して測定した。
【0175】
ムチン及びリポカリン摂取は、溶液1mLの代わりに2mLのアリコート溶液に、インキュベーション期間をそれぞれ、1日及び3日にしたこと以外は、タンパク質摂取に説明したように測定した。結果を表12にリストする。
【0176】
(実施例30)
1−エトキシ−2−プロパノールとエタノール50:50溶液を無色コーティング組成物を作成する溶媒として使用した以外は、実施例29を繰り返した。コンタクトレンズは、実施例21の透明コート組成物から作成した。タンパク質、ムチン、及びリポカリン摂取のデータを表12にリストする。
【表14】

【0177】
実施例31:NVPをともなう非架橋バインディングポリマー組成物
1Lの三角フラスコ(1)は、AIBN、0.300g、EtOH、200mLを仕込み、溶解するまで攪拌した。三角フラスコ(1)は、次に、密封し、少なくとも45分間、窒素ガスでパージした。
【0178】
3Lの3つ首ジャケットフラスコに、還流コンデンサー、機械的撹拌機、及び(ポンプに接続するチューブ用の)2つの開口部を備えたゴム栓を装着した。3Lの3つ首ジャケット反応器にEtOH、200mL、NVP、15.75g、DMA、5.67g及びAIBN、0.300gを加えた。混合物が溶解するまで攪拌した。
【0179】
1Lのビーカーは、DMA、20.08g、HEMA、11.80g、NVP、15.75g、OH−mPDMS、50.17gを仕込み、均一な溶液を形成するまで攪拌した。このモノマー混合物の12.23gを3Lのジャケット反応器に移した。反応器を窒素ガスで45分間パージした。
【0180】
1Lのビーカー中の残余モノマー混合物を1Lの第2の三角フラスコ(2)に加えた。1Lのビーカーを30mLで2回すすぎ、すすぎ液を三角フラスコ(2)に移した。三角フラスコ(2)の最終容量を200mLに調整した。フラスコは、次に、密封し、少なくとも45分間、窒素でパージした。
【0181】
三角フラスコ(1)及び(2)は、(ポンプ上の2つの容器が効果的になるように、ゴム栓を貫通してチューブ接続によって結合した)ワトソンーマーローポンプを経て3Lの反応フラスコに接続した。反応混合物の温度を、70℃に上昇させ、18時間の攪拌を開始した。反応は、全反応中、連続して窒素ガス流の下で行った。次に、ポンプの速度を調節して、三角フラスコ(1)及び(2)の成分を4時間以上、絶え間なく反応器に加えた。4時間後、ゴム栓を取り除いて、ガラス栓と交換した。反応は、一晩、還流条件下で完了できるようにした。
【0182】
反応混合物を、次に、2Lの丸底フラスコに移し、溶媒をロータリーエバポレーション(50℃、減圧、約2時間)によって蒸留除去した。1−エトキシ−2−プロパノールとエタノール50:50溶液約100mLを丸底フラスコに戻し加えて、攪拌し、溶液を1Lの褐色ジャーに移した。ジャーは、回転させ、ブルックフィールドデジタル粘度計(スピンドル数18、25℃で1.5rpm)を用いて、粘度1000cpsとなるまで1−エトキシ−2−プロパノールとエタノールの50:50溶液を加えた。
【0183】
〔実施の態様〕
(1) (a)少なくとも1種の非架橋バインディングコポリマー、少なくとも1種の色素、染料又はそれらの混合物及び少なくとも1種の印刷溶媒を含む第1の着色剤組成物を眼科用デバイス成形型の表面に適用する工程、
(b)眼科用デバイスを調製するために必要な量まで、工程(b)の前記非架橋バインディングコポリマーの上に、未硬化ヒドロゲル製剤を加える工程であって、前記ヒドロゲル製剤が硬化時に約50バーラー以上の酸素透過性を有する、工程、及び
(c)安定な着色眼科用デバイスを形成するために前記ヒドロゲル製剤を硬化する工程、を含む、プロセス。
(2) 前記非架橋バインディングコポリマーが、少なくとも1つの酸素透過性強化構成成分を含む、実施態様1に記載のプロセス。
(3) 前記少なくとも1つの酸素透過性強化構成成分が、式I
【化9】

の化合物から選択され、
式中、
は、独立して、一価の反応基、一価アルキル基、又は一価アリール基から選択され、前記のいずれかは、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロゲン又はこれらの組み合わせから選択される官能性を更に含んでよく、1〜100のSi−Oの反復単位を含む一価シロキサン鎖は、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロゲン又はこれらの組み合わせから選択される官能性を更に含んでよく、
b=0〜500であり、bが0以外のときに、bは、表示値と同等のモードを有する分配であると理解され、
少なくとも1つのRは、一価の反応基を含み、幾つかの実施形態では、1個〜3個のRは、一価の反応基を含む、実施態様2に記載のプロセス。
(4) 前記酸素透過性強化構成成分が、3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、3−メタクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン及びそれらの組み合わせを含む、実施態様2に記載のプロセス。
(5) 前記酸素透過性強化構成成分が、モノ−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサンを含む、実施態様2に記載のプロセス。
(6) 前記非架橋バインディングコポリマーが、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタアクリレートプロピルエチレングリコールモノメチルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、n−ビニルホルムアミド及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノマーを含む、実施態様1に記載のプロセス。
(7) 前記非架橋バインディングコポリマーが、式II、IV、VI及びVIIのモノマー
【化10】

(式中、n=25〜500、Rは、H又はCH
及び、これらの混合物からなる群から選択されるモノマーを含む、実施態様1に記載のプロセス。
(8) 前記非架橋バインディングコポリマーが、ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノマーを含む、実施態様1に記載のプロセス。
(9) 工程(a)が、第2の着色剤組成物を使用して繰り返される、実施態様1に記載のプロセス。
(10) 第2の着色剤組成物が、前記第1の着色剤組成物と異なる、実施態様9に記載のプロセス。
【0184】
(11) 前記第1の着色剤組成物又は第2の着色剤組成物のうち少なくとも1つが、少なくとも1つの内部湿潤剤を含む、実施態様1又は10に記載のプロセス。
(12) 前記内部湿潤剤が、約4.98×10−20g〜約1.66×10−18g(約30kD〜約1000kD)の平均分子量を有するポリビニルピロリドンを含む、実施態様11に記載のプロセス。
(13) 前記内部湿潤剤が、ポリビニルピロリドン、ポリ−2−エチル−2−オキサゾリン、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、及びポリビニルアルコールからなる群から選択される、実施態様11に記載のプロセス。
(14) 前記内部湿潤剤が、ポリビニルピロリドンである、実施態様11に記載のプロセス。
(15) 前記バインディングポリマーが、少なくとも約60℃のガラス転移温度を有する、実施態様1に記載のプロセス。
(16) 前記バインディングポリマーが、少なくとも約70℃のガラス転移温度を有する、実施態様1に記載のプロセス。
(17) 前記バインディングポリマーが、少なくとも約75℃のガラス転移温度を有する、実施態様1に記載のプロセス。
(18) 前記着色剤組成物が、少なくとも1つの中沸点溶媒を更に含む、実施態様1に記載のプロセス。
(19) 前記中沸点溶媒が、1−エトキシ−2−プロパノール、1,2−オクタンジオール、3−メチル−3−ペンタノール、1−ペンタノール、メチルラクテート、1−メトキシ−2−プロパノール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様18に記載のプロセス。
(20) 前記中沸点溶媒が、1−エトキシ−2−プロパノールを含む、実施態様18に記載のプロセス。
【0185】
(21) 前記着色剤組成物が、少なくとも1つの極性溶媒を更に含む、実施態様18に記載のプロセス。
(22) 前記少なくとも1つの極性溶媒が、メタノール、エタノール、t−アミルアルコール、プロパノール、ブタノール及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様21に記載のプロセス。
(23) (a)少なくとも1種の非架橋バインディングコポリマー及び少なくとも1種の印刷溶媒を含む無色コーティング組成物を眼科用デバイス成形型の少なくとも1つの表面に適用する工程、
(b)少なくとも1種の非架橋バインディングコポリマー、少なくとも1種の色素、染料又はそれらの混合物、及び少なくとも1種の印刷溶媒を含む第1の着色剤組成物を、工程(a)で適用された前記無色コーティング組成物の上に適用する工程、
(c)眼科用デバイスを調製するために必要な量まで、工程(b)の前記非架橋バインディングコポリマーの上に未硬化ヒドロゲル製剤を加える工程であって、前記ヒドロゲル製剤が硬化時に約50バーラー以上の酸素透過性を有する、工程、及び
(d)安定な着色眼科用デバイスを形成するために前記ヒドロゲル製剤を硬化する工程、を含む、プロセス。
(24) 工程(b)が第2の着色剤組成物を使用して繰り返される、実施態様23に記載のプロセス。
(25) 第2の着色剤組成物が、前記第1の着色剤組成物と異なる、実施態様24に記載のプロセス。
(26) 前記無色コーティング組成物及び前記第1の着色剤組成物並びに第2の着色剤組成物のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの内部湿潤剤を含む、実施態様23〜24に記載のプロセス。
(27) 前記内部湿潤剤が、ポリビニルピロリドン、ポリ−2−エチル−2−オキサゾリン、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、及びポリビニルアルコールからなる群から選択される、実施態様26に記載のプロセス。
(28) 前記無色コーティング組成物及び前記第1の着色剤組成物が、同一又は異なってもよい、少なくとも1つの内部湿潤剤を更に含む、実施態様26に記載のプロセス。
(29) 前記無色コーティング組成物及び前記第1の着色剤組成物並びに第2の着色剤組成物が、同一又は異なってもよい、少なくとも1つの内部湿潤剤を更に含む、実施態様26に記載のプロセス。
(30) 前記内部湿潤剤が、ポリビニルピロリドンである、実施態様26に記載のプロセス。
【0186】
(31) 前記少なくとも1つのバインディングポリマーが、少なくとも約60℃のガラス転移温度を有する、実施態様23に記載のプロセス。
(32) 前記少なくとも1つのバインディングポリマーが、少なくとも約70℃のガラス転移温度を有する、実施態様23に記載のプロセス。
(33) 前記少なくとも1つのバインディングポリマーが、少なくとも約75℃のガラス転移温度を有する、実施態様23に記載のプロセス。
(34) 前記着色剤組成物が、少なくとも1つの中沸点溶媒を更に含む、実施態様23に記載のプロセス。
(35) 前記中沸点溶媒が、1−エトキシ−2−プロパノール、1,2−オクタンジオール、3−メチル−3−ペンタノール、1−ペンタノール、メチルラクテート、1−メトキシ−2−プロパノール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様34に記載のプロセス。
(36) 前記中沸点溶媒が、1−エトキシ−2−プロパノールを含む、実施態様34に記載のプロセス。
(37) 前記着色剤組成物が、少なくとも1つの極性溶媒を更に含む、実施態様34に記載のプロセス。
(38) 前記少なくとも1つの極性溶媒が、メタノール、エタノール、t−アミルアルコール、プロパノール、ブタノール及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様36に記載のプロセス。
(39) 前記ヒドロゲル製剤が、表面改質することなく眼科用使用に好適である、実施態様1又は23に記載のプロセス。
(40) 少なくとも1種の印刷溶媒、及び少なくとも1種の色素、染料又はそれらの混合物、及び少なくとも1つの酸素透過性強化構成成分を含む構成成分の反応から形成される少なくとも1つの非架橋バインディングコポリマーを含む、約50以上の酸素伝達性を有する安定な着色ヒドロゲル眼科用デバイスの生成に使用する組成物。
【0187】
(41) 前記非架橋バインディングコポリマーが、少なくとも1つの従来のモノマーを更に含む、実施態様40に記載の組成物。
(42) 内部湿潤剤を更に含む、実施態様40に記載の組成物。
(43) 約500cps〜約2500cpsの粘度を有する、実施態様40に記載の組成物。
(44) 前記少なくとも1つの従来のモノマーが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様41に記載の組成物。
(45) 前記少なくとも1つの酸素透過性強化構成成分が、3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、3−メタクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン、モノ−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様40に記載の組成物。
(46) 前記少なくとも1つの非架橋バインディングコポリマーが、少なくとも約60℃のガラス転移温度を有する、実施態様40に記載の組成物。
(47) 約50バーラー/mm以上の酸素伝達性を有するシリコーンヒドロゲルから形成される主要部を含む、安定な着色ヒドロゲル眼科用デバイスであって、前記シリコーンヒドロゲルの少なくとも1つの表面又はその近くで巻き込まれた少なくとも1つの非架橋バインディングコポリマーを含む、安定な着色ヒドロゲル眼科用デバイス。
(48) 前記非架橋バインディングコポリマーが、内部湿潤剤を含む、実施態様47に記載の眼科用デバイス。
(49) 前記デバイスが、湿潤性である、実施態様47に記載の眼科用デバイス。
(50) 前記デバイスが、約24〜約90の前進動的接触角を有する、実施態様47に記載の眼科用デバイス。
【0188】
(51) 前記シリコーンヒドロゲルが、表面改質することなく眼科用使用に好適である、実施態様47に記載の眼科用デバイス。
(52) 前記少なくとも1つのバインディングポリマーが、少なくとも約60℃のガラス転移温度を有する、実施態様47に記載の眼科用デバイス。
(53) 実施態様1〜10、15〜25及び30〜38の任意のプロセスから作られる眼科用デバイス。
(54) 前記無色組成物、前記第1の着色剤組成物又は第2の着色剤組成物のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの内部湿潤剤を含む、実施態様53に記載の眼科用デバイス。
(55) 前記未硬化ヒドロゲル製剤が、ガリフィルコン、セノフィルコン、ジェニフィルコン、レネフィルコン、コムフィルコン、アクアフィルコン、バラフィルコン、及びロトラフィルコン、並びにナラフィルコンからなる群から選択される、実施態様53に記載の眼科用デバイス。
(56) 揮発構成成分を少なくとも部分的に除去するために前記着色剤組成物を適用した後に、前記成形型を処理する工程を更に含む、実施態様1又は23に記載のプロセス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の非架橋バインディングコポリマー、少なくとも1種の色素、染料又はそれらの混合物及び少なくとも1種の印刷溶媒を含む第1の着色剤組成物を眼科用デバイス成形型の表面に適用する工程、
(b)眼科用デバイスを調製するために必要な量まで、工程(b)の前記非架橋バインディングコポリマーの上に、未硬化ヒドロゲル製剤を加える工程であって、前記ヒドロゲル製剤が硬化時に約50バーラー以上の酸素透過性を有する、工程、及び
(c)安定な着色眼科用デバイスを形成するために前記ヒドロゲル製剤を硬化する工程、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記非架橋バインディングコポリマーが、少なくとも1つの酸素透過性強化構成成分を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの酸素透過性強化構成成分が、式I
【化1】

の化合物から選択され、
式中、
は、独立して、一価の反応基、一価アルキル基、又は一価アリール基から選択され、前記のいずれかは、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロゲン又はこれらの組み合わせから選択される官能性を更に含んでよく、1〜100のSi−Oの反復単位を含む一価シロキサン鎖は、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロゲン又はこれらの組み合わせから選択される官能性を更に含んでよく、
b=0〜500であり、bが0以外のときに、bは、表示値と同等のモードを有する分配であると理解され、
少なくとも1つのRは、一価の反応基を含み、幾つかの実施形態では、1個〜3個のRは、一価の反応基を含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記酸素透過性強化構成成分が、3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、3−メタクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン及びそれらの組み合わせを含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項5】
前記酸素透過性強化構成成分が、モノ−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサンを含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項6】
前記非架橋バインディングコポリマーが、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタアクリレートプロピルエチレングリコールモノメチルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、n−ビニルホルムアミド及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノマーを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記非架橋バインディングコポリマーが、式II、IV、VI及びVIIのモノマー
【化2】

(式中、n=25〜500、Rは、H又はCH
及び、これらの混合物からなる群から選択されるモノマーを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記非架橋バインディングコポリマーが、ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノマーを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
工程(a)が、第2の着色剤組成物を使用して繰り返される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
第2の着色剤組成物が、前記第1の着色剤組成物と異なる、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記第1の着色剤組成物又は第2の着色剤組成物のうち少なくとも1つが、少なくとも1つの内部湿潤剤を含む、請求項1又は10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記内部湿潤剤が、約4.98×10−20g〜約1.66×10−18g(約30kD〜約1000kD)の平均分子量を有するポリビニルピロリドンを含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記内部湿潤剤が、ポリビニルピロリドン、ポリ−2−エチル−2−オキサゾリン、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、及びポリビニルアルコールからなる群から選択される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項14】
前記内部湿潤剤が、ポリビニルピロリドンである、請求項11に記載のプロセス。
【請求項15】
前記バインディングポリマーが、少なくとも約60℃のガラス転移温度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
前記バインディングポリマーが、少なくとも約70℃のガラス転移温度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
前記バインディングポリマーが、少なくとも約75℃のガラス転移温度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項18】
前記着色剤組成物が、少なくとも1つの中沸点溶媒を更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項19】
前記中沸点溶媒が、1−エトキシ−2−プロパノール、1,2−オクタンジオール、3−メチル−3−ペンタノール、1−ペンタノール、メチルラクテート、1−メトキシ−2−プロパノール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記中沸点溶媒が、1−エトキシ−2−プロパノールを含む、請求項18に記載のプロセス。
【請求項21】
前記着色剤組成物が、少なくとも1つの極性溶媒を更に含む、請求項18に記載のプロセス。
【請求項22】
前記少なくとも1つの極性溶媒が、メタノール、エタノール、t−アミルアルコール、プロパノール、ブタノール及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
(a)少なくとも1種の非架橋バインディングコポリマー及び少なくとも1種の印刷溶媒を含む無色コーティング組成物を眼科用デバイス成形型の少なくとも1つの表面に適用する工程、
(b)少なくとも1種の非架橋バインディングコポリマー、少なくとも1種の色素、染料又はそれらの混合物、及び少なくとも1種の印刷溶媒を含む第1の着色剤組成物を、工程(a)で適用された前記無色コーティング組成物の上に適用する工程、
(c)眼科用デバイスを調製するために必要な量まで、工程(b)の前記非架橋バインディングコポリマーの上に未硬化ヒドロゲル製剤を加える工程であって、前記ヒドロゲル製剤が硬化時に約50バーラー以上の酸素透過性を有する、工程、及び
(d)安定な着色眼科用デバイスを形成するために前記ヒドロゲル製剤を硬化する工程、を含む、プロセス。
【請求項24】
工程(b)が第2の着色剤組成物を使用して繰り返される、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
第2の着色剤組成物が、前記第1の着色剤組成物と異なる、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
前記無色コーティング組成物及び前記第1の着色剤組成物並びに第2の着色剤組成物のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの内部湿潤剤を含む、請求項23〜24に記載のプロセス。
【請求項27】
前記内部湿潤剤が、ポリビニルピロリドン、ポリ−2−エチル−2−オキサゾリン、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、及びポリビニルアルコールからなる群から選択される、請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
前記無色コーティング組成物及び前記第1の着色剤組成物が、同一又は異なってもよい、少なくとも1つの内部湿潤剤を更に含む、請求項26に記載のプロセス。
【請求項29】
前記無色コーティング組成物及び前記第1の着色剤組成物並びに第2の着色剤組成物が、同一又は異なってもよい、少なくとも1つの内部湿潤剤を更に含む、請求項26に記載のプロセス。
【請求項30】
前記内部湿潤剤が、ポリビニルピロリドンである、請求項26に記載のプロセス。
【請求項31】
前記少なくとも1つのバインディングポリマーが、少なくとも約60℃のガラス転移温度を有する、請求項23に記載のプロセス。
【請求項32】
前記少なくとも1つのバインディングポリマーが、少なくとも約70℃のガラス転移温度を有する、請求項23に記載のプロセス。
【請求項33】
前記少なくとも1つのバインディングポリマーが、少なくとも約75℃のガラス転移温度を有する、請求項23に記載のプロセス。
【請求項34】
前記着色剤組成物が、少なくとも1つの中沸点溶媒を更に含む、請求項23に記載のプロセス。
【請求項35】
前記中沸点溶媒が、1−エトキシ−2−プロパノール、1,2−オクタンジオール、3−メチル−3−ペンタノール、1−ペンタノール、メチルラクテート、1−メトキシ−2−プロパノール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
前記中沸点溶媒が、1−エトキシ−2−プロパノールを含む、請求項34に記載のプロセス。
【請求項37】
前記着色剤組成物が、少なくとも1つの極性溶媒を更に含む、請求項34に記載のプロセス。
【請求項38】
前記少なくとも1つの極性溶媒が、メタノール、エタノール、t−アミルアルコール、プロパノール、ブタノール及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項36に記載のプロセス。
【請求項39】
前記ヒドロゲル製剤が、表面改質することなく眼科用使用に好適である、請求項1又は23に記載のプロセス。
【請求項40】
少なくとも1種の印刷溶媒、及び少なくとも1種の色素、染料又はそれらの混合物、及び少なくとも1つの酸素透過性強化構成成分を含む構成成分の反応から形成される少なくとも1つの非架橋バインディングコポリマーを含む、約50以上の酸素伝達性を有する安定な着色ヒドロゲル眼科用デバイスの生成に使用する組成物。
【請求項41】
前記非架橋バインディングコポリマーが、少なくとも1つの従来のモノマーを更に含む、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
内部湿潤剤を更に含む、請求項40に記載の組成物。
【請求項43】
約500cps〜約2500cpsの粘度を有する、請求項40に記載の組成物。
【請求項44】
前記少なくとも1つの従来のモノマーが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項41に記載の組成物。
【請求項45】
前記少なくとも1つの酸素透過性強化構成成分が、3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、3−メタクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン、モノ−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項40に記載の組成物。
【請求項46】
前記少なくとも1つの非架橋バインディングコポリマーが、少なくとも約60℃のガラス転移温度を有する、請求項40に記載の組成物。
【請求項47】
約50バーラー/mm以上の酸素伝達性を有するシリコーンヒドロゲルから形成される主要部を含む、安定な着色ヒドロゲル眼科用デバイスであって、前記シリコーンヒドロゲルの少なくとも1つの表面又はその近くで巻き込まれた少なくとも1つの非架橋バインディングコポリマーを含む、安定な着色ヒドロゲル眼科用デバイス。
【請求項48】
前記非架橋バインディングコポリマーが、内部湿潤剤を含む、請求項47に記載の眼科用デバイス。
【請求項49】
前記デバイスが、湿潤性である、請求項47に記載の眼科用デバイス。
【請求項50】
前記デバイスが、約24〜約90の前進動的接触角を有する、請求項47に記載の眼科用デバイス。
【請求項51】
前記シリコーンヒドロゲルが、表面改質することなく眼科用使用に好適である、請求項47に記載の眼科用デバイス。
【請求項52】
前記少なくとも1つのバインディングポリマーが、少なくとも約60℃のガラス転移温度を有する、請求項47に記載の眼科用デバイス。
【請求項53】
請求項1〜10、15〜25及び30〜38の任意のプロセスから作られる眼科用デバイス。
【請求項54】
前記無色組成物、前記第1の着色剤組成物又は第2の着色剤組成物のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの内部湿潤剤を含む、請求項53に記載の眼科用デバイス。
【請求項55】
前記未硬化ヒドロゲル製剤が、ガリフィルコン、セノフィルコン、ジェニフィルコン、レネフィルコン、コムフィルコン、アクアフィルコン、バラフィルコン、及びロトラフィルコン、並びにナラフィルコンからなる群から選択される、請求項53に記載の眼科用デバイス。
【請求項56】
揮発構成成分を少なくとも部分的に除去するために前記着色剤組成物を適用した後に、前記成形型を処理する工程を更に含む、請求項1又は23に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−519431(P2011−519431A)
【公表日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503098(P2011−503098)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2009/038952
【国際公開番号】WO2009/124048
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(500092561)ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド (153)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【Fターム(参考)】