説明

着色感光性樹脂組成物、着色樹脂パターンの製造方法、カラーフィルター、および液晶表示装置

【課題】現像時のパターニング性がよく、微細パターンが形成可能な着色感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】着色感光性樹脂組成物を、黒色材を含む着色剤と、アルカリ可溶性樹脂と、重合性基を3つ以上有する重合性化合物と、重合開始剤または重合開始系と、溶剤と、を含んで構成し、透明基板上に光学濃度が4.0の着色感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層を形成し、感光性樹脂層の透明基板側とは反対の面側から、マスクを介して感光性樹脂層を露光・現像処理して形成される第1のパターンの線幅W1のマスクの線幅W2に対する比W1/W2が0.7から1.5の範囲となる露光・現像条件で得られる第1のパターンの膜厚d2と、感光性樹脂層の透明基板側の面側から、マスクと前記透明基板とを介して、前記露光・現像条件で、感光性樹脂層を露光・現像処理して得られる第2のパターンの膜厚d1との比d1/d2を0.3以上とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色感光性樹脂組成物、着色樹脂パターンの製造方法、カラーフィルター、および液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に表示装置用カラーフィルターは、ガラス等の基板上に赤色、緑色、青色のドット状画像をそれぞれマトリックス状に配置し、その境界をブラックマトリックス等の濃色離画壁で区分した構造である。このようなカラーフィルターの製造方法としては、従来、支持体としてガラス等の基板を用い、1)染色法、2)印刷法、3)着色した感光性樹脂液の塗布と露光及び現像の繰り返しによる着色感光性樹脂液法(着色レジスト法)、4)仮支持体上に形成した画像を順次、最終又は仮の支持体上に転写する方法、5)予め着色した感光性樹脂液を仮支持体上に塗布することにより着色層を形成し、順次直接、基板上にこの感光性着色層を転写し、露光して現像することを色の数だけ繰り返す方法等により多色画像を形成する方法(転写方式)が知られている。またインクジェット法を用いる方法も知られている。
【0003】
これらの方法のうち、着色レジスト法は位置精度高くカラーフィルターを作製できるものの、感光層樹脂液の塗布にロスが多くコスト的には有利とは言えない。一方インクジェット法は樹脂液のロスが少なくコスト的に有利ではあるものの、画素の位置精度が悪いという問題がある。これらを克服すべく、ブラックマトリックスを着色レジスト法で形成し、RGB画素をインクジェット法で作製するカラーフィルター製造法も提案されている。
【0004】
上記に関連して、側鎖(メタ)アクリロイル基含有スチレンを含む感放射線性組成物が知られており、低露光量でもパターンエッジの欠けおよびアンダーカットを生じることがなく、且つ現像時に未溶解物が残存したりパターンエッジにスカムを生じたりすることがなく、微細パターンの形成が可能とされている(例えば、特許文献1参照)。
また、アセトフェノン系重合開始剤を含む着色感光性組成物が知られており、着色物質を用いているにも関わらず、光に対して高感度で、かつガラス基板への密着性が高いブラックマトリックスが形成できるとされている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−181095号公報
【特許文献2】特開2006−276173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の感光性組成物では、ブラックマトリックス形成時に画素欠けを生じる場合があり、RGB画素形成後に混色や画素抜けの欠陥修正をする必要があるため、生産効率が低下する場合があった。
本発明は、現像時のパターニング性がよく、微細パターンの形成が可能な着色感光性樹脂組成物、およびこれを用いる着色樹脂パターンの製造方法、該着色感光性樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルター、ならびに該カラーフィルターを備える液晶表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 黒色の色材を含む着色剤と、アルカリ可溶性樹脂と、重合性基を3つ以上有する重合性化合物と、重合開始剤または重合開始系と、溶剤と、を含む着色感光性樹脂組成物であって、透明基板上に光学濃度が4.0となるように前記着色感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂層を形成し、前記感光性樹脂層の前記透明基板に対向する面とは反対の面側から、マスクを介して前記感光性樹脂層を露光・現像処理して形成される第1のパターンの線幅W1の前記マスクの線幅W2に対する比W1/W2が0.7から1.5の範囲となる露光・現像条件で得られる前記第1のパターンの膜厚d2と、前記感光性樹脂層の前記透明基板に対向する面側から、マスクと前記透明基板とを介して、前記比W1/W2が0.7から1.5の範囲となる露光・現像条件で、前記感光性樹脂層を露光・現像処理して得られる第2のパターンの膜厚d1との比d1/d2が0.3以上である着色感光性樹脂組成物。
<2> 前記比W1/W2が0.8から1.2の範囲となる露光・現像条件における前記比d1/d2が、0.3から0.7の範囲である前記<1>に記載の着色感光性樹脂組成物。
【0008】
<3> 前記着色剤は、少なくともカーボンブラックを含有する前記<1>または<2>に記載の着色感光性樹脂組成物。
<4> 前記重合開始剤または重合開始系は、少なくとも1種のアシルホスフィンオキサイド系開始剤を含有する前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物。
<5> 前記重合性基を3つ以上有する重合性化合物は、3官能のアクリルモノマーおよび4官能のアクリルモノマーの少なくとも1種である前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物。
【0009】
<6> 前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物を用いて形成された感光性樹脂層が仮支持体上に設けられた感光性転写材料。
【0010】
<7> 基板上に、前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂層を設ける工程と、線幅W2のマスクを介して前記感光性樹脂層を露光処理することと、前記露光された感光性樹脂層を現像処理して着色樹脂パターンを形成することとを含み、前記着色樹脂パターンの線幅W1の前記マスクの線幅W2に対する比W1/W2が0.7〜1.5の範囲であるパターン形成工程と、を含む着色樹脂パターンの製造方法。
<8> 前記<7>に記載の着色樹脂パターンの製造方法で製造された着色樹脂パターン。
【0011】
<9> 基板と、前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物を用いて形成されると共に前記基板上に配置された遮光部と、を備えるカラーフィルター。
<10> 前記遮光部は、前記<6>に記載の感光性転写材料を用いて形成された前記<9>に記載のカラーフィルター。
<11> 前記遮光部の光学濃度が3.5以上である前記<9>または<10>に記載のカラーフィルター。
<12> 前記遮光部の膜厚が1.5ミクロン以上である前記<9>〜<11>のいずれか1項に記載のカラーフィルター。
<13> 前記<9>〜<12>のいずれか1項に記載のカラーフィルターを備える液晶表示装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、現像時のパターニング性がよく、微細パターンの形成が可能な着色感光性樹脂組成物、およびこれを用いる着色樹脂パターンの製造方法、該着色感光性樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルター、ならびに該カラーフィルターを備える液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<着色感光性樹脂組成物>
本発明の着色感光性樹脂組成物は、黒色の色材を少なくとも含む着色剤と、アルカリ可溶性樹脂と、重合性基を3つ以上有する重合性化合物と、重合開始剤または重合開始系と、溶剤と、を含む着色感光性樹脂組成物であって、下記所定の露光・現像条件で、透明基板上に配置された前記着色感光性樹脂組成物を用いて形成された感光性樹脂層を、前記感光性樹脂層の前記透明基板に対向する面とは反対の面側から、マスクを介して前記感光性樹脂層を露光・現像処理して形成される第1のパターンの膜厚d2と、前記感光性樹脂層の前記透明基板に対向する面側から、マスクと前記透明基板とを介して前記感光性樹脂層を露光・現像処理して得られる第2のパターンの膜厚d1との比d1/d2が0.3以上となる着色感光性樹脂組成物である。
前記比d1/d2が0.3未満では、現像時の現像時のパターニング性が不充分になり、微細パターンを形成できない場合がある。また例えば、前記着色感光性樹脂組成物を用いてブラックマトリックス(離画壁)を形成するときに画素欠けが発生する場合がある。
【0014】
前記所定の露光・現像条件は、透明基板上に光学濃度が4.0となるように前記着色感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂層を形成し、前記感光性樹脂層の前記透明基板に対向する面とは反対の面側から、マスクを介して、前記感光性樹脂層を露光・現像処理して形成されるパターンの線幅W1の、前記マスクの線幅W2に対する比W1/W2が0.7から1.5の範囲となるように設定された露光・現像条件である。
また、所定の露光・現像条件を設定する際に用いる前記透明基板としては、350nm以上の光に対する透過率が70%以上であるガラス、合成樹脂フィルム等を使用することができる。
【0015】
本発明において前記比d1/d2は0.3以上であるが、0.3から0.7であることが好ましく、さらに前記比W1/W2が0.8から1.2となる露光・現像条件で比d1/d2が0.3から0.7であることがより好ましい。前記比W1/W2および比d1/d2がかかる範囲であることで、現像時のパターニング性がより向上し、微細パターンの形成が可能で、パターン形成時の画素かけの発生がより効果的に抑制される。
【0016】
一般に、透明基板上に形成された感光性樹脂層を、透明基板に対向する面とは反対の面側から、マスクを介して露光・現像して得られる第1のパターンの膜厚d2は、ある露光量以上ではほぼ一定となり、感光性樹脂層を形成した際の設定膜厚とほぼ等しくなる。一方、透明基板に対向する面側からマスクと透明基板を介して、透明基板上に形成された感光性樹脂層を露光・現像して得られる第2のパターンの膜厚d1は、露光量による変動が大きく、露光量が小さい場合はd1が小さく、露光量が大きい場合にはd1が大きくなる。特に光学濃度が4.0となるような遮蔽性の高い材料で感光性樹脂層が形成されている場合には、露光光源の発光波長域での遮蔽能も高いため、同一の露光・現像条件で処理した場合、d1はd2に比べて小さい値となる。
【0017】
一方、パターンを形成するときの露光量を所定の露光量よりも大きくすることにより、d2がほぼ一定の値に、またd1は露光量に応じて大きくなるため、本発明で規定している比d1/d2も大きくなる。この場合、厚み方向の硬化の進行だけではなく、幅方向の硬化も進行するため、このような露光条件ではパターンの線幅W1が大きくなる。結果として、感光性組成物の透明基板に対向する面とは反対の面側からマスクを介して露光・現像してパターンを形成した後の、パターンの線幅W1とマスク線幅W2の比W1/W2が1.5よりも大きくなってしまい、所望のパターンが得られない。
【0018】
またパターンの線幅W1はマスク線幅W2及び露光量だけではなく、現像条件の影響も受け、現像条件を緩和することによりW1を大きく、また現像条件を強化することによりW1を小さくすることもできるが、調整の幅が小さいのに加えて、パターン周辺の残渣、及び得られるパターンの欠け、形状への影響が大きい。従って現像条件のみを変化させて、所望の比W1/W2および比d1/d2を達成することは困難である。
一方、着色感光性樹脂組成物中の素材濃度を調整すること(具体的には例えば、開始剤濃度を高くするなど)により、比d1/d2を大きくすることができるが、上記同様にW1が大きくなる傾向にあるのに加えて、パターン形成後のベーク時の膜減りが大きく、基板汚染を生じやすくなるため、着色感光性樹脂組成物中の素材濃度を調整だけで、所望の比W1/W2および比d1/d2を達成することは困難である。
【0019】
本発明においては、パターンの線幅W1とマスク線幅W2の比W1/W2が所定の範囲にあるときに、比d1/d2が所定の値よりも大きいことが望ましい。そこで比W1/W2が0.7から1.5の範囲となるような露光・現像条件を規定して、その際の、透明基板側とは反対の面側からマスクを介して露光した後に現像して得られる第1のパターンの膜厚d2に対する、透明基板側からマスクを介して露光した後に現像して得られる第2のパターンの膜厚d1の比d1/d2を所定の範囲となるように着色感光性樹脂組成物の成分を調整することで、現像時のパターニング性がよく、微細パターンの形成が可能な着色感光性樹脂組成物が構成される。
【0020】
(着色剤)
本発明の着色硬化性組成物は、着色剤の少なくとも1種を含む。本発明に用いる着色剤としては、公知の着色剤(有機顔料、無機顔料、染料等)を好適に用いることができる。具体的には、特開2005−17716号公報の段落番号[0038]〜[0054]に記載の顔料及び染料、特開2004−361447号公報の段落番号[0068]〜[0072]に記載の顔料、特開2005−17521号公報の段落番号[0080]〜[0088]に記載の着色剤等を好適に用いることができる。
【0021】
本発明においては、光学濃度の観点から、黒色着色剤を含むことが好ましい。黒色着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタンカーボン、酸化鉄、酸化チタン、黒鉛などが挙げられ、中でも、カーボンブラックが好ましい。
尚、本発明においては、黒色着色剤の他に、赤、青、緑色等の顔料の混合物等を用いることができる。
【0022】
上記着色剤(好ましくは顔料、より好ましくはカーボンブラック)は、分散液として使用することが望ましい。この分散液は、前記着色剤と顔料分散剤とを予め混合して得られる組成物を、後述する有機溶媒(又はビヒクル)に添加して分散させることによって調製することができる。前記ビビクルとは、塗料が液体状態にある時に顔料を分散させている媒質の部分をいい、液状であって前記顔料と結合して塗膜を形成する成分(バインダー)と、これを溶解希釈する成分(有機溶媒)とを含む。
前記顔料を分散させる際に使用する分散機としては、特に制限はなく、例えば、朝倉邦造著、「顔料の事典」、第一版、朝倉書店、2000年、438項に記載されているニーダー、ロールミル、アトライダー、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機が挙げられる。更に該文献310頁記載の機械的摩砕により、摩擦力を利用し微粉砕してもよい。
【0023】
本発明で用いる着色剤は、分散安定性の観点から、数平均粒径0.001μm〜0.1μmのものが好ましく、更に0.01μm〜0.08μmのものが好ましい。尚、ここで言う「粒径」とは粒子の電子顕微鏡写真画像を同面積の円とした時の直径を言い、また「数平均粒径」とは多数の粒子について上記の粒径を求め、この100個平均値をいう。
【0024】
本発明における着色感光性樹脂組成物の固形分中の着色剤の含有率としては、特に制限はないが、十分に現像時間を短縮する観点から、15〜70質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましく、25〜50質量%であることが更に好ましい。
尚、本明細書でいう全固形分とは着色感光性樹脂組成物から溶剤等を除いた不揮発成分の総質量を意味する。
【0025】
(アルカリ可溶性樹脂)
本発明の着色感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂の少なくとも1種を含むことが好ましい。これによりアルカリ現像性がより良好になる。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂(以下、単に「バインダー」ということがある)としては、主鎖または側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーが好ましい。その例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げることができ、またこの他にも、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用することができる。
また、特に好ましい例として、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体や、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。これらの極性基を有するバインダーポリマーは、単独で用いてもよく、あるいは通常の膜形成性のポリマーと併用する組成物の状態で使用してもよく、着色感光性樹脂組成物の全固形分に対する含有量は20〜50質量%が一般的であり、25〜45質量%が好ましい。
【0026】
(重合性化合物)
本発明の着色感光性樹脂組成物は、重合性基を3つ以上有する重合性化合物(以下、単に「重合性化合物」ということがある)の少なくとも1種を含有する。
前記重合性化合物は、重合性基を3つ以上有する化合物であれば特に制限なく通常用いられる重合性化合物を用いることができ、重合性基を3〜6つ有する化合物であることが好ましい。中でも、エチレン性不飽和二重結合を3つ以上有し、沸点が常圧で100℃以上の化合物であり、光の照射によって付加重合するモノマー又はオリゴマーであることが好ましい。
【0027】
そのようなモノマー及びオリゴマーとしては、トリメチロールエタン(メタ)トリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリス((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリス((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス((メタ)アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリメチロールプロパンやグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加した後(メタ)アクリレート化したもの等の多官能アクリレートや多官能メタクリレートを挙げることができる。また、特公昭53−11314号公報に一般式(1)および(2)として記載されている、多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化した化合物も好適なものとして挙げられる。
更に特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報に記載されている重合性基を3つ以上有するウレタンアクリレート類;特公昭53−24989号公報、及び特公昭52−30490号公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレー卜やメタクリレートを挙げることができる。
【0028】
これらの中で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートが好ましい。また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「3官能以上の(メタ)アクリレート」も好適なものとして挙げることができる。
【0029】
前記モノマー又はオリゴマーとしては、分子量200〜1000のものが好ましい。これらの好ましい化合物の中でも、3〜6官能のアクリレートモノマーの少なくとも1種を含むことが好ましく、3官能または4官能のアクリレートモノマーの少なくとも1種を含むことがより好ましい。
具体的には、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、およびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、およびペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
これらのモノマー又はオリゴマーは、1種単独でも、2種類以上を混合して用いてもよい。また、重合性基を1つ有する重合性化合物および2つ有する重合性化合物の少なくとも1種をさらに併用してもよい。
【0030】
本発明の着色感光性樹脂組成物の全固形分に対する重合性基を3つ以上有する重合性化合物の含有量は5〜80質量%が一般的であり、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%がより好ましい。前記好ましい範囲内であると、現像性の制御がより容易になる。さらに前記含有量が、5質量%以上であると、組成物の露光部におけるアルカリ現像液への耐性がより良好になる。さらに80質量%以下であると、着色感光性樹脂組成物としたときのタッキネスの増加が抑制され、取扱い性がより良好になる。
【0031】
(重合開始剤または重合開始系)
本発明の着色感光性樹脂組成物は、重合開始剤および重合開始系の少なくとも1種を含む。前記本発明に用いる重合開始剤および重合開始系としては、熱重合開始剤を用いる熱重合開始系および光重合開始剤を用いる光重合開始系のいずれであってもよいが、本発明では硬化後のパターン形状の観点から、光重合開始剤を用いる光重合開始系を用いることが好ましい。
【0032】
ここで用いる光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の照射(露光ともいう)により、前述の重合性基を3つ以上有する重合性化合物の重合を開始する活性種を発生し得る化合物であり、公知の光重合開始剤もしくは光重合開始剤系の中から適宜選択することができる。具体的には例えば、トリハロメチル基含有化合物、アクリジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、ジアゾ系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、等を挙げることができる。
【0033】
上記のうち、トリハロメチル基含有化合物、アクリジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物、オキシムエステル系化合物から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、トリハロメチル基含有化合物およびアシルホスフィンオキサイド系化合物から選択される少なくとも1種を含有することがより好ましく、アシルホスフィンオキサイド系化合物から選択される少なくとも1種を含有することがさらに好ましい。トリハロメチル基含有化合物およびアシルホスフィンオキサイド系化合物は、汎用性がありかつ安価である点でも有用である。
【0034】
トリハロメチル基含有化合物およびアシルホスフィンオキサイド系化合物として、具体的には、特開2001−117230公報に記載の、トリハロメチル基が置換したトリハロメチルオキサゾール誘導体又はs−トリアジン誘導体、米国特許第4239850号明細書に記載のトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載のトリハロメチルオキサジアゾール化合物などのトリハロメチル基含有化合物;特開昭55−13794号公報、特開昭55−15471号公報等に記載のアシルホスフィンオキサイド化合物が挙げられる。特に好ましい化合物として、トリハロメチル基含有化合物としては、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、アシルホスフィンオキサイド系化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0035】
前記重合開始剤または重合開始系は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。前記重合開始剤または重合開始系の着色感光性樹脂組成物における総含有率としては、着色感光性樹脂組成物の全固形分(質量)の0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。前記総含有率が、0.1質量%以上であると、組成物の光硬化の効率が高くなり、露光時間を短くすることができる。また20質量%以下とすると、現像する際に、形成された画像パターンの欠落や、パターン表面の荒れの発生を抑制することができる。
【0036】
前記重合開始剤は、水素供与体を併用して構成されてもよい。該水素供与体としては、感度をより良化することができる点で、以下で定義するメルカプタン系化合物、アミン系化合物等が好ましい。ここでの「水素供与体」とは、露光により前記光重合開始剤から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物をいう。
【0037】
前記メルカプタン系化合物は、ベンゼン環あるいは複素環を母核とし、該母核に直接結合したメルカプト基を1個以上、好ましくは1〜3個、更に好ましくは1〜2個有する化合物(以下、「メルカプタン系水素供与体」という)である。また、前記アミン系化合物は、ベンゼン環あるいは複素環を母核とし、該母核に直接結合したアミノ基を1個以上、好ましくは1〜3個、更に好ましくは1〜2個有する化合物(以下、「アミン系水素供与体」という)である。尚、これらの水素供与体は、メルカプト基とアミノ基とを同時に有していてもよい。
【0038】
上記のメルカプタン系水素供与体の具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール等が挙げられる。これらのうち、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾールが好ましく、特に2−メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
【0039】
上記のアミン系水素供与体の具体例としては、4、4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノベンゾニトリル等が挙げられる。これらのうち、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましく、特に4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
【0040】
前記水素供与体は、1種単独で、または2種以上を混合して使用することができ、形成された画像が現像時に永久支持体上から脱落し難く、かつ強度及び感度も向上させ得る点で、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組合せて使用することが好ましい。
【0041】
前記メルカプタン系水素供与体とアミン系水素供与体との組合せの具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。より好ましい組合せは、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンであり、特に好ましい組合せは、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンである。
【0042】
前記メルカプタン系水素供与体とアミン系水素供与体とを組合せた場合の、メルカプタン系水素供与体(M)とアミン系水素供与体(A)との質量比(M:A)は、通常1:1〜1:4が好ましく、1:1〜1:3がより好ましい。
また前記水素供与体の着色感光性樹脂組成物における総量としては、着色感光性樹脂組成物の全固形分(質量)の0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。
【0043】
(溶剤)
本発明の着色感光性樹脂組成物は、溶剤の少なくとも1種を含む。前記溶剤としては、通常用いられる溶剤を特に制限なく用いることができる。具体的には例えば、エステル類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類等が挙げられる。
また、US2005/282073A1号明細書の段落番号[0054][0055]に記載のSolventと同様のメチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、及び乳酸メチル等も本発明においても好適に用いることができる。
これら溶剤のうち、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(エチルカルビトールアセテート)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ブチルカルビトールアセテート)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、及びメチルエチルケトン等が本発明における溶剤として好ましく用いられる。これらの溶剤は、1種単独でもあるいは2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0044】
また本発明においては、必要に応じて沸点が180℃〜250℃である有機溶剤を使用することができる。これらの高沸点溶剤としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−n−プロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、2−エチルヘキシルアセテート、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、γ−ブチロラクトン、トリプロピレングリコールメチルエチルアセテート、ジプロピレングリコール−n−ブチルアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテルアセテート、1,3−ブタンジオールジアセテート等が挙げられる。
【0045】
本発明の着色感光性樹脂組成物における溶剤の含有量は、着色感光性樹脂組成物全量に対して10〜95質量%が好ましく、15〜90質量%がより好ましく、20〜85質量%が特に好ましい。前記溶剤の含有量の範囲とすることにより、感光性組成物を安定に塗布することができる点で好ましい。
【0046】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、上記した着色剤、アルカリ可溶性樹脂、重合性基を3つ以上有する重合性化合物、重合開始剤または重合開始系、溶剤以外に、必要に応じて更に公知の添加剤、例えば、可塑剤、充填剤、安定化剤、重合禁止剤、界面活性剤、密着促進剤等を含有することができる。
また前記着色感光性樹脂組成物は少なくとも150℃以下の温度で軟化もしくは粘着性になることが好ましく、熱可塑性であることがより好ましい。かかる観点からは、相溶性の良い可塑剤をさらに含有することが好ましい。
【0047】
本発明の着色感光性樹脂組成物としては、着色剤としてカーボンブラックを20〜60質量%と、重合性化合物として(メタ)アクリレート基を3つ以上含む化合物を10〜40質量%と、重合開始剤としてトリハロメチル基含有化合物またはアシルホスフィンオキサイド系化合物を0.1〜20質量%と、を含むことが好ましく、着色剤としてカーボンブラックを25〜50質量%と、重合性化合物としてペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートおよびトリメチロールプロパントリアクリレートから選ばれる少なくとも1種を10〜40質量%と、重合開始剤としてトリハロメチル基含有化合物またはアシルホスフィンオキサイド系化合物を0.5〜10質量%と、を含むことがより好ましい。
【0048】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、カラーフィルターを構成するパターンを形成することに好適に用いられる。中でもカラーフィルターを構成する離画壁(遮光部、ブラックマトリクス)を形成するのに好適である。
【0049】
<カラーフィルター>
本発明のカラーフィルターは、基板(以下、「永久支持体」ということがある)と、前記着色感光性樹脂組成物を用いて形成され、前記基板上に配置された遮光部とを備える。本発明において前記遮光部は、その光学濃度が3.5以上であることが好ましく、4.0以上であることがより好ましい。また前記遮光部は、その膜厚が1.5μm以上であることが好ましく、1.7〜2.5μmであることがより好ましい。かかる遮光部を備えることにより、良好な特性を有するカラーフィルターを構成することができる。
本発明において前記遮光部は、例えばカラーフィルターの離画壁を構成する。
【0050】
(離画壁)
RGB画素をインクジェット法で作製するカラーフィルター製造におけるカラーフィルター各画素の離画壁は、前記着色感光性樹脂組成物を用いて形成されることが好ましい。離画壁は、2以上の画素群を離画するものであり、一般には黒であることが多いが、黒に限定されるものではない。
離画壁は、前記着色感光性樹脂組成物を用いて形成した感光性樹脂層を貧酸素雰囲気下にて露光し、その後現像することにより形成することが好ましい。
【0051】
感光性樹脂層の形成方法には特に制限はなく、前記着色感光性樹脂組成物を基板上に、塗布して形成してもよく、また、後述する感光性転写材料を用いて形成してもよい。
前記着色感光性樹脂組成物を塗布する方法としては、通常用いられる塗布方法を特に制限なく用いることができる。例えば、スリットノズルを備えた塗布装置やスピンコーターを用いて感光性樹脂層を形成することができる。
【0052】
また前記着色感光性樹脂組成物を用いて形成した感光性樹脂層を光硬化させる際の貧酸素雰囲気下とは、不活性ガス下、減圧下、および酸素を遮断しうる保護層下のことを指しており、これらは詳しくは以下の通りである。
【0053】
前記不活性ガスとは、N、H、COなどの一般的な気体や、He、Ne、Arなどの希ガス類をいう。この中でも、安全性や入手の容易さ、コストの問題から、Nが好適に利用される。
前記減圧下とは500hPa以下、好ましくは100hPa以下の状態を指す。
また、前記酸素を遮断しうる保護層とは、例えば、特開昭46−2121号や特公昭56−40824号の各公報に記載の、ポリビニルエーテル/無水マレイン酸重合体、カルボキシアルキルセルロースの水溶性塩、水溶性セルロースエーテル類、カルボキシアルキル澱粉の水溶性塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、各種のポリアクリルアミド類、各種の水溶性ポリアミド、ポリアクリル酸の水溶性塩、ゼラチン、エチレンオキサイド重合体、各種の澱粉およびその類似物からなる群の水溶性塩、スチレン/マレイン酸の共重合体、マレイネート樹脂、及びこれらの2種以上の組合せ等を含む樹脂層が挙げられる。
これらの中でも特に好ましいのは、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンの組合せである。さらにポリビニルアルコールは鹸化率が80%以上であるものが好ましく、ポリビニルピロリドンの含有量は樹脂層固形分の1〜75質量%が好ましく、より好ましくは1〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。
【0054】
また、酸素を遮断しうる保護層としては各種フィルムを用いることもできる。例えば、PETをはじめとするポリエステル類、ナイロンをはじめとするポリアミド類、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA類)も好適に用いることができる。これらフィルムは必要に応じて延伸されたものでもよく、厚みは5〜300μmが適当であり、好ましくは20〜150μmである。
また、離画壁を下記感光性転写材料を用いて作製する場合、下記に記載の仮支持体上に設けられた酸素を遮断しうる層として好適に用いることも可能である。
【0055】
このようにして作製された酸素を遮断しうる保護層の酸素透過係数は2000cm/(m・day・atm)以下が好ましいが、100cm/(m・day・atm)以下であることがより好ましく、もっとも好ましくは50cm/(m・day・atm)以下である。酸素透過率が2000cm/(m・day・atm)より多い場合は効率的に酸素を遮断することができないため、離画壁の形状を制御することが困難となることがある。
【0056】
(感光性転写材料)
かかる離画壁を容易且つ低コストで実現するものとして、仮支持体上に少なくとも酸素遮断層と着色感光性樹脂組成物からなる層とを、この順に有してなる感光性転写材料を永久支持体上に転写して、永久支持体、着色感光性樹脂組成物からなる層、酸素遮断層をこの順に形成して使用するという手法がある。このような材料を用いた場合、着色感光性樹脂組成物からなる層は酸素遮断層に保護されるため自動的に貧酸素雰囲気下となる。そのため露光工程を不活性ガス下や減圧下で行う必要がないため、現状の工程をそのまま利用できる利点がある。また、仮支持体上に少なくとも着色感光性樹脂組成物からなる層を有する感光性転写材料を永久支持体上に転写して、永久支持体、着色感光性樹脂組成物からなる層、仮支持体をこの順に形成して、該仮支持体を「酸素を遮断しうる保護層」として用いてもよい。この場合は、上記酸素遮断層を設ける必要がなく、工程数を削減することが可能である。
【0057】
上記の感光性転写材料は、必要に応じて熱可塑性樹脂層を有していてもよい。かかる熱可塑性樹脂層とは、アルカリ可溶性であって、少なくとも樹脂成分を含んで構成される。該樹脂成分は、実質的な軟化点が80℃以下のアルカリ可溶性の熱可塑性樹脂であることが好ましい。このような熱可塑性樹脂層が設けられることにより、後述する離画壁形成方法において、永久支持体との良好な密着性を発揮することができる。
【0058】
軟化点が80℃以下のアルカリ可溶性の熱可塑性樹脂としては、エチレンとアクリル酸エステル共重合体のケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのケン化物、等が挙げられる。
【0059】
熱可塑性樹脂層には、上記の熱可塑性樹脂の少なくとも1種を適宜選択して用いることができ、更に「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会発行、1968年10月25日発行)による、軟化点が約80℃以下の有機高分子のうちアルカリ水溶液に可溶なものを使用することができる。
【0060】
また、軟化点が80℃以上の有機高分子物質についても、その有機高分子物質中に該高分子物質と相溶性のある各種可塑剤を添加することで、実質的な軟化点を80℃以下に下げて用いることもできる。また、これらの有機高分子物質には、仮支持体との接着力を調節する目的で、実質的な軟化点が80℃を越えない範囲で、各種ポリマーや過冷却物質、密着改良剤あるいは界面活性剤、離型剤、等を加えることもできる。
【0061】
好ましい可塑剤の具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェートを挙げることができる。
【0062】
上記の感光性転写材料における仮支持体としては、化学的及び熱的に安定であって、可撓性の物質で構成されるものから適宜選択することができる。具体的には、テフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等、薄いシート若しくはこれらの積層体が好ましい。前記仮支持体の厚みとしては、5〜300μmが適当であり、好ましくは20〜150μmである。この厚みが5μm未満では、仮支持体を剥離する際に破れやすくなる傾向があり、また、仮支持体を介して露光する場合は、300μmを超えると解像度が低下する傾向がある。上記具体例の中でも2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
【0063】
(基板)
本発明のカラーフィルターを構成する基板(永久支持体)としては、金属性支持体、金属張り合わせ支持体、ガラス、セラミック、合成樹脂フィルム等を使用することができる。特に好ましくは、透明性で寸度安定性の良好なガラスや合成樹脂フィルムが挙げられる。
【0064】
(離画壁形成方法)
以下、前記感光性転写材料を用いて基板上に離画壁を形成する場合の一例について説明する。
仮支持体上に、酸素遮断層、着色感光性組成物層、更に該着色感光性組成物層上にカバーシートが設けられた感光性転写材料を用意する。
まず、カバーシートを剥離除去した後、露出した着色感光性組成物層の表面を永久支持体(基板)上に貼り合わせ、ラミネーター等を通して加熱、加圧して積層する(積層体)。ラミネーターには、従来公知のラミネーター、真空ラミネーター等の中から適宜選択したものが使用でき、より生産性を高めるには、オートカットラミネーターも使用可能である。
【0065】
次いで、仮支持体と酸素遮断層との間で剥離し、仮支持体を除去する。
続いて、仮支持体除去後の除去面の上方に所望のフォトマスク(例えば、石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該酸素遮断層の間の距離を適宜(例えば、200μm)に設定し、露光する。
次いで、露光後、所定の処理液を用いて現像処理して、パターニング画像を得て、引き続き必要に応じて、水洗処理して、離画壁を得る。
また、仮支持体を酸素を遮断しうる保護層として用いる場合は、仮支持体を残したまま(剥離せずに)、該仮支持体の上方に所望のフォトマスク(例えば、石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該仮支持体の間の距離を適宜(例えば、200μm)に設定し、露光する。
次いで、仮支持体を除去し、所定の処理液を用いて現像処理して、パターニング画像を得て、引き続き必要に応じて、水洗処理して、離画壁を得る。
【0066】
光照射(露光)に用いる光源としては、中圧〜超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。具体的には例えば、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(例えば、日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)等で行い、露光量としては適宜(例えば、300mJ/cm)選択することができる。
【0067】
本発明においては、前記着色感光性樹脂組成物を用いて、膜厚1.5〜2.5μmの感光性樹脂層を形成し、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機で、貧酸素雰囲気下、40〜300mJ/cmで露光処理することが好ましく、膜厚1.7〜2.5μmの感光性樹脂層を形成し、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機で、貧酸素雰囲気下、50〜150mJ/cmで露光処理することがより好ましい。
【0068】
露光後、所定の処理液(現像液)を用いて現像処理する。現像処理に用いる現像液としては、アルカリ性物質の希薄水溶液が用いられるが、更に水と混和性の有機溶剤を少量添加したものでもよい。
また前記現像の前には、純水をシャワーノズル等にて噴霧して、該着色感光性組成物層の表面を均一に湿らせることが好ましい。
【0069】
処理液に含まれるアルカリ性物質としては、アルカリ金属水酸化物類(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩類(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属重炭酸塩類(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、アルカリ金属ケイ酸塩類(例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)、アルカリ金属メタケイ酸塩類(例えば、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム)、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、テトラアルキルアンモンニウムヒドロキシド類(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)、燐酸三ナトリウム、等が挙げられる。
アルカリ性物質の濃度は、0.01〜30質量%が好ましく、pHは8〜14が好ましい。
【0070】
前記「水と混和性の有機溶剤」としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が好適に挙げられる。
水と混和性の有機溶剤の処理液中の濃度は0.1〜30質量%が好ましい。
更に処理液には、公知の界面活性剤を添加することもでき、該界面活性剤の濃度としては0.01〜10質量%が好ましい。
【0071】
前記現像液は、浴液としても、あるいは噴霧液としても用いることができる。
感光性樹脂層の未硬化部分を除去する場合、現像液中で回転ブラシや湿潤スポンジで擦るなどの方法を組合わせることができる。
また現像液の液温度は、通常室温付近から40℃が好ましい。
現像時間は、感光性樹脂層の組成、現像液のアルカリ性や温度、有機溶剤を添加する場合にはその種類と濃度等に依るが、通常10秒〜2分程度である。短すぎると非露光部の現像が不充分となることがあり、長すぎると露光部もエッチングされることがある。いずれの場合にも、離画壁形状を好適なものとすることが困難となる。
現像処理の後に水洗工程を入れることも可能である。
【0072】
(後硬化工程)
本発明においては、上記のようにして離画壁を形成した後、離画壁の形状をさらに固定化する後硬化処理を行うことが好ましい。離画壁の形状を固定化する手段としては特に限定されないが、以下のようなものが挙げられる。
1)現像処理後、再露光(以下、「ポスト露光」と呼ぶことがある)を行う。
2)現像後、比較的低い温度で加熱処理(以下、「ポストベーク」ということがある)を行う。
本発明においては、ポスト露光およびポストベークの少なくとも一方を行うことが好ましく、両方を順次行うことがより好ましい。
【0073】
ここで、前記ポスト露光を行う場合、その露光量は、大気下であれば500〜8000mJ/cm、好ましくは1000〜5000mJ/cmであり、貧酸素雰囲気下である場合にはそれより低い露光量で露光することも可能である。また、前記ポスト露光は前記感光性樹脂層の前記透明基板に対向する面とは反対の面側から行ってもよいし、前記感光性樹脂層の前記透明基板に対向する面側から行ってもよいし、さらに両面から行ってもよい。
【0074】
また前記加熱処理とは、離画壁が形成された基板を電気炉、乾燥器等の中で加熱する、あるいは赤外線ランプを照射するということをさす。加熱温度は120〜250℃で10分〜120分間加熱することが好ましい。
温度を120℃以上とすることで離画壁の硬化が効果的に進行し、充分な耐溶剤性、耐アルカリ性、を付与することができる。
【0075】
(撥水処理)
本発明においては、上記のようにして形成した離画壁に撥水処理を施す事で該離画壁の少なくとも一部が撥水性を帯びた状態とすることが好ましい。これにより、その後にインクジェットなどの方法で、着色液体組成物の液滴を該離画壁間に付与した時に、インクが該離画壁を乗り越えて、隣の色と混色するなどの不都合を抑制することができる。
【0076】
撥水処理としては、離画壁上面に撥水材料を塗布する方法や、撥水層を新たに設ける方法、プラズマ処理により撥水性を付与する方法、撥水性物質を離画壁に練りこむ方法、光触媒により撥水性を付与する方法などが挙げられる。
該撥水処理の前、または後に、支持体上のブラックマトリックス開口部でのインクの濡れ広がり性を上げるために酸素アッシング等の親インク処理を施しても良い。
尚、撥水処理の詳細については、特開2006−154804号公報等に記載の事項を本発明においても好適に適用することができる。
【0077】
(画素の形成)
ついで、上記現像工程にて形成された離画壁間の凹部に対し、RGB各画素を形成する為の着色液体組成物を付与する。着色液体組成物を離画壁空隙に付与する方法としては、インクジェット法やストライプギーサー塗布法など公知のものを使用することができ、インクジェット法が生産性の点から好ましい。インクジェット法については後述する。
【0078】
離画壁間の凹部に付与された着色液体組成物は着色層を形成する。この着色層は、カラーフィルターを構成する黄色(Y)、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)等の色画素となるものである。
着色層の形成は、既述のようにして基板上に形成された離画壁で取り囲まれた凹部に、着色画素(例えばYRGB4色の画素パターン)を形成するためのインクジェットインクを付与して、2色以上の複数の画素で構成されるように形成することができる。
カラーフィルタパターンの形状については、特に限定はなく、ブラックマトリックス形状として一般的なストライプ状であっても、格子状であっても、さらにはデルタ配列状であってもよい。
【0079】
前記着色液体組成物は、着色液体組成物を熱硬化または光硬化させる方法、あらかじめ基板上に透明な受像層を形成しておいてから着色液体組成物を付与する方法など、公知の方法により着色層とすることができる。
【0080】
本発明において好ましくは、離画壁間の凹部に着色液体組成物を付与して各画素を形成した後、加熱処理(いわゆるベーク処理)する加熱工程を設ける。すなわち、着色液体組成物が付与された基板を電気炉、乾燥器等の中で加熱する、あるいは赤外線ランプで赤外線を照射する。
加熱の温度及び時間は、着色液体組成物の組成や形成された層の厚みに依存するが、一般に充分な耐溶剤性、耐アルカリ性、及び紫外線吸光度を獲得する観点から、約120℃〜約250℃で約10分〜約120分間加熱することが好ましい。
【0081】
(インクジェット法)
本発明に用いるインクジェット法としては、帯電したインクを連続的に噴射し電場によって制御する方法、圧電素子を用いて間欠的にインクを噴射する方法、インクを加熱しその発泡を利用して間欠的に噴射する方法等、各種の方法を採用できる。
用いるインクは油性、水性であっても使用できる。
また、そのインクに含まれる着色材は染料、顔料ともに使用でき、耐久性の面からは顔料の使用がより好ましい。
また、公知のカラーフィルター作製に用いる、塗布方式の着色インク(着色樹脂組成物、例えば、特開2005−3861号公報[0034]〜[0063]記載)や、特開平10−195358号公報[0009]〜[0026]に記載のインクジェット用組成物を使用することもできる。
【0082】
本発明におけるインクには、着色後の工程を考慮し、加熱によって硬化する、又は紫外線などのエネルギー線によって硬化する成分を添加することもできる。
加熱によって硬化する成分としては各種の熱硬化性樹脂を特に制限なく用いることができる。本発明においては、熱硬化性樹脂に加えて、少なくともバインダー、及び、2官能ないし3官能のエポキシ基含有モノマーを含有するカラーフィルター用熱硬化性インクも好適なものとして用いることができる。
またエネルギー線によって硬化する成分としては例えばアクリレート誘導体又はメタクリレート誘導体に光反応開始剤を添加したものを例示できる。特に耐熱性を考慮してアクリロイル基、メタクリロイル基を分子内に複数有するものがより好ましい。これらのアクリレート誘導体、メタクリレート誘導体は水溶性のものが好ましく使用でき、水に難溶性のものでもエマルション化するなどして使用できる。この場合、上記着色感光性樹脂組成物の項で挙げた、顔料などの着色剤を含有させた着色感光性樹脂組成物を、好適なものとして用いることができる。
【0083】
本発明におけるカラーフィルターは、インクジェット方式で画素形成されたカラーフィルターであることが好ましく、RGB3色のインクを付与して3色のカラーフィルターを形成することが好ましい。
このカラーフィルターは、液晶表示素子、電気泳動表示素子、エレクトロクロミック表示素子、PLZT等と組合せて表示素子として用いられる。
またカラーカメラやその他のカラーフィルターを用いる用途にも使用できる。
【0084】
(オーバーコート層)
カラーフィルターの作製後、カラーフィルター上の全面に耐性向上のためにオーバーコート層を設けることもできる。オーバーコート層は、各画素(例えば、R、G、B)の固化層を保護するとともに、表面を平坦にすることができるが、工程数が増えるという観点から、設けないことが好ましい。
【0085】
オーバーコート層を形成する樹脂(OC剤)としては、アクリル系樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物などが挙げられる。
中でも、可視光領域での透明性で優れており、また、カラーフィルター用光硬化性組成物の樹脂成分が通常アクリル系樹脂を主成分としており、密着性に優れていることからアクリル系樹脂組成物が望ましい。
オーバーコート層の例として、特開2003−287618号公報の段落番号0018〜0028に記載のものや、オーバーコート剤の市販品として、JSR社製「オプトマーSS6699G」)が挙げられる。
【0086】
[表示装置]
本発明の表示装置としては液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置などを言う。
表示装置の定義や各表示装置の説明は例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。
本発明の表示装置のうち、液晶表示装置は特に好ましい。液晶表示装置については例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。
本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
本発明はこれらのなかで特にカラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。
さらに本発明はもちろんIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置にも適用できる。これらの方式については例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ-技術と市場の最新動向-(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページに記載されている。
【0087】
液晶表示装置はカラーフィルター以外に電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサー、視野角保障フィルムなどさまざまな部材から構成される。本発明のカラーフィルターはこれらの公知の部材で構成される液晶表示装置に適用することができる。これらの部材については例えば「’94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表 良吉 (株)富士キメラ総研 2003年発行)」に記載されている。
【0088】
[対象用途]
本発明のカラーフィルターはテレビ、パーソナルコンピュータ、液晶プロジェクター、ゲーム機、携帯電話などの携帯端末、デジタルカメラ、カーナビなどの用途に特に制限なく適用できる。
【実施例】
【0089】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、機器、操作等は本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例において、特に断りのない限り「%」および「部」は、「質量%」および「質量部」を表し、分子量とは重量平均分子量のことを示す。
【0090】
<実施例1>
[着色感光性樹脂組成物の調製]
(K顔料分散物1の調製)
下記K顔料分散物1の組成となるようにカーボンブラック、分散剤、ポリマー及び溶剤を混合し、3本ロールとビーズミルを用いてK顔料分散物1を得た。
【0091】
黒色組成物K1(着色感光性樹脂組成物)は、まず表1に記載された量のK顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(MMPGAc)をはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150RPMで10分間攪拌し、次いで、表1に記載された量のメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、バインダー2、フェノチアジン、モノマー1液、重合開始剤1、界面活性剤1をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度24℃(±2℃)のもと、150RPMで30分間攪拌することによって得られた。
なお、表1に記載された量は質量基準の部数である。また各成分は詳しくは以下の組成となっている。
【0092】
(K顔料分散物1)
・カーボンブラック(デグッサ社製 Nipex35) : 13.1質量%
・下記分散剤1 : 0.65質量%
・ポリマー : 6.72質量%
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物、重量平均分子量3.7万)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート : 79.53質量%
【0093】
【化1】

【0094】
(バインダー2)
・ポリマー : 27質量%
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比のランダム共重合物、重量平均分子量3.8万)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート : 73質量%
【0095】
(モノマー1液)
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート : 75質量%
(NKエステル A−TMMT、新中村化学工業製)
・メチルエチルケトン : 25質量%
【0096】
(重合開始剤1)
・2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン
: 100質量%
【0097】
(界面活性剤1)
商品名:メガファック F−780F(大日本インキ製)
・下記構造物1 : 30質量%
・メチルエチルケトン : 70質量%
【0098】
【化2】

【0099】
無アルカリガラス基板を、UV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、更に超純水で超音波洗浄した。基板を120℃3分熱処理して表面状態を安定化させた。基板を冷却し23℃に温調後、スリット状ノズルを有するガラス基板用コーター(エフ・エー・エス・ジャパン社製、商品名:MH−1600)にて、上記で得られた黒色組成物K1を塗布した。引き続きVCD(真空乾燥装置、東京応化工業社製)で30秒間、溶媒の一部を乾燥して塗布層の流動性を無くした後、EBR(エッジ・ビード・リムーバー)にて基板周囲の不要な塗布液を除去し、120℃3分間プリベークして膜厚2.33μm、光学濃度4.0の黒色感光性樹脂層(以下、「黒色感光層」ということがある)K1を得た。
超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と黒色感光層K1の間の距離を200μmに設定し、窒素雰囲気下、黒色感光層K1側から露光量300mJ/cmでパターン露光した。
【0100】
次に、純水をシャワーノズルにて噴霧して、黒色感光層K1の表面を均一に湿らせた後、KOH系現像液(KOH、ノニオン界面活性剤含有、商品名:CDK−1、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を100倍希釈したものにて23℃80秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し、さらに、超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で超純水を噴射して残渣除去を行い、パターニング画像を得た。
【0101】
マスク線幅12.0μm(W2)に対するパターン線幅(W1)は微小線幅測定装置(CP−30;ソフトワークス製)で測定の結果、13.7μmであった。
また、触針式膜厚計(P−10;Tencor Instrument製)で測定した膜厚d2は2.33μmであった。
【0102】
引き続き、大気下にて、前記黒色感光層K1の基板に対向する面とは反対の面側と、前記黒色感光層K1の基板に対向する面側との、両面から露光量2500mJ/cmにてポスト露光を行い、さらに240℃50分間のポストベーク処理を行って、光学濃度3.9、膜厚(d2)2.0μmの離画壁が形成された基板を得た。
【0103】
一方、上記と同様にして2.33μmの黒色感光層K1を形成した後、基板側から黒色感光層K1に露光されるように基板をセットした以外は上記と同様にして、露光、現像した後に、得られたパターニング画像の膜厚d1を測定した結果、0.71μmであった。
以上より、W1/W2=1.14、d1/d2=0.305であった。
【0104】
[塗布法による撥水化処理]
上記で得られた離画壁が形成された基板上に、予めフッ素系界面活性剤(住友3M社製、フロラードFC−430)が0.5質量%(感光性樹脂の固形分に対して)内添してあるアルカリ可溶の感光性樹脂(ヘキストシャパン社製、ポジ型フォトレジストAZP4210)を膜厚2μmとなるようにスリット状ノズルを用いて塗布し、温風循環乾燥機中で90℃、30分間の熱処理を行った。次いで、110mJ/cm(38mW/cm×2.9秒)の露光量で離画壁の形成された基板の裏面(離画壁が形成されていない面)から、基板と離画壁を介して露光した。無機アルカリ現像液(ヘキストジャパン社製、AZ400Kデベロッパー、1:4)中に80秒間浸漬揺動した後、純水中で30〜60秒間リンス処理を行った。次いで離画壁上に撥水性樹脂層を形成した。これにより画素内外(離画壁に囲まれた凹部と離画壁)に表面エネルギー差を設けた。
撥水性樹脂層形成後の画素内外の表面エネルギーは、画素外(樹脂層上)が10〜15dyne/cm、画素内(ガラス基板上、離画壁に囲まれた凹部)は55dyne/cm前後であった。
【0105】
[画素用着色液体組成物の調製]
下記の成分のうち、先ず、下記組成となるように顔料、高分子分散剤及び溶剤を混合し、3本ロールとビーズミルを用いて顔料分散液を得た。その顔料分散液をディソルバー等で十分攪拌しながら、その他の材料を少量ずつ添加し、赤色(R)画素用着色液体組成物(以下、「画素用着色インク組成物」ということがある)を調製した。
〈赤色画素用着色液体組成物の組成〉
・顔料(C.I.ピグメントレッド254) : 5質量部
・高分子分散剤(AVECIA社製ソルスパース24000) : 1質量部
・バインダー(グリシジルメタクリレート−スチレン共重合体) : 3質量部
・第一エポキシ樹脂 : 2質量部
(ノボラック型エポキシ樹脂、油化シェル社製エピコート154)
・第二エポキシ樹脂 : 5質量部
(ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル)
・硬化剤(トリメリット酸) : 4質量部
・溶剤:3−エトキシプロピオン酸エチル : 80質量部
【0106】
また上記組成中のC.I.ピグメントレッド254に代えてC.I.ピグメントグリーン36を同量用いるほかは赤色画素用着色インク組成物の場合と同様にして緑色(G)画素用着色インク組成物を調製した。
さらに上記組成中のC.I.ピグメントレッド254に代えてC.I.ピグメントブルー15:6を同量用いるほかは赤色画素用着色インク組成物の場合と同様にして青色(B)画素用着色インク組成物を調製した。
【0107】
次に上記記載のR、G、Bの画素用着色インク組成物を用いて、上記で得られたカラーフィルター基板の離画壁で区分された領域内(凸部に囲まれた凹部)に、インクジェット方式の記録装置を用いて所望の濃度になるまでインク組成物の吐出を行い、R、G、Bのパターンからなるカラーフィルターを作製した。画像着色後のカラーフィルターを240℃オーブン中で60分ベークすることでブラックマトリックス、各画素ともに完全に硬化させた。
【0108】
得られたカラーフィルターにおける画素欠陥を以下のようにして評価した。カラーフィルターのRGB各1画素ずつの計3画素を1絵素とした2500絵素について、にじみ、はみ出し、隣接画素との混色などの欠陥の有無を光学顕微鏡により観察して欠陥絵素数を算出し、下記評価基準に従って評価した。結果を表1に示した。
〜評価基準〜
A : 欠陥数0〜2個
B : 欠陥数3〜5個
C : 欠陥数6〜10個
D : 欠陥数11〜25個
E : 欠陥数26個以上
【0109】
上記より得たカラーフィルター基板のR画素、G画素、及びB画素並びにブラックマトリクスの上に更に、ITO(IndiumTinOxide)の透明電極をスパッタリングにより形成した。別途、対向基板としてガラス基板を用意し、カラーフィルター基板の透明電極上及び対向基板上にそれぞれPVAモード用にパターニングを施した。このカラーフィルターのITO抵抗を測定した(三菱化学(株)製「ロレスタ」;四探針法でシート抵抗を測定)ところ、12Ω/□という非常に低い値を示した。
【0110】
前記ITOの透明電極上の離画壁の上部に相当する部分にフォトスペーサーを設け、その上に更にポリイミドよりなる配向膜を設けた。その後、カラーフィルターの画素群を取り囲むように周囲に設けられたブラックマトリックス外枠に相当する位置にエポキシ樹脂のシール剤を印刷すると共に、PVAモード用液晶を滴下し、対向基板と貼り合わせた後、貼り合わされた基板を熱処理してシール剤を硬化させた。このようにして得た液晶セルの両面に、(株)サンリッツ製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。次いで、冷陰極管のバックライトを構成し、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し、液晶表示装置を構成した。得られた液晶表示装置は明るさも問題なく、表示特性に優れるものであった。
得られた液晶表示装置について、色彩輝度計BM−5A(トプコン社製)を用いてその輝度(Y)を測定し、明るさを下記評価基準に従って評価した。
〜評価基準〜
A : 875cd/m以上
B : 850cd/m以上875cd/m未満
C : 825cd/m以上850cd/m未満
D : 800cd/m以上825cd/m未満
E : 800cd/m未満
【0111】
<実施例2>
[黒色感光性転写材料K1の調製]
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させた。次に、下記処方P1からなる中間層用塗布液を塗布、乾燥させた。更に、前記黒色組成物K1を塗布、乾燥させた。このようにして仮支持体の上に乾燥膜厚が15.1μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜厚が1.6μmの中間層と、光学濃度が4.0となるように乾燥膜厚が2.2μmの黒色感光層を設け、最後に保護フイルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。こうして仮支持体と熱可塑性樹脂層と中間層(酸素遮断膜)とブラック(K)の黒色感光層とが一体となった転写材料を作製し、サンプル名を黒色感光性転写材料K1とした。
【0112】
(熱可塑性樹脂層用塗布液:処方H1)
・メタノール : 11.1質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート : 6.36質量部
・メチルエチルケトン : 52.4質量部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=55/11.7/4.5/28.8、分子量=10万、Tg≒70℃) : 5.83質量部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=63/37、重量平均分子量=1万、Tg≒100℃) : 13.6質量部
・2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(新中村化学工業(株)製) : 9.1質量部
・フッ素系ポリマー : 0.54質量部
(C13CHCHOCOCH=CH 40部と H(OCH(CH)CHOCOCH=CH 55部と H(OCHCHOCOCH=CH 5部との共重合体、重量平均分子量3万、メチルエチルケトン30質量%溶液、大日本インキ化学工業製、商品名:メガファックF780F)
【0113】
(中間層用塗布液:処方P1)
・PVA205 : 32.2質量部
(ポリビニルアルコール、(株)クラレ製、鹸化度=88%、重合度550)
・ポリビニルピロリドン : 14.9質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、K−30)
・蒸留水 : 524質量部
・メタノール : 429質量部
【0114】
無アルカリガラス基板を、25℃に調整したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%水溶液、商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄した。この基板を基板予備加熱装置で100℃2分加熱した。得られたシランカップリング処理ガラス基板に、上記の製法にて作製された黒色感光性転写材料K1からカバーフィルムを除去し、除去後に露出した黒色感光層の表面と前記シランカップリング処理ガラス基板の表面とが接するように重ね合わせ、ラミネーター(株式会社日立インダストリイズ製(LamicII型))を用いて、前記100℃で2分間加熱した基板に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分でラミネートした。続いてポリエチレンテレフタレートの仮支持体を、熱可塑性樹脂層との界面で剥離し、仮支持体を除去した。仮支持体を剥離後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該黒色感光性樹脂組成物層の間の距離を200μmに設定し、露光量70mJ/cmでパターン露光した。
【0115】
次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30質量%含有、商品名:T−PD2(富士フイルム(株)製)を純水で12倍(T−PD2を1部と純水11部の割合で混合)に希釈した液)を30℃で20秒間、フラットノズル圧力0.1MPaでシャワー現像し、熱可塑性樹脂層と中間層とを除去した。引き続き、このガラス基板の上面にエアを吹きかけて液切りした後、純水をシャワーにより10秒間吹き付け、純水シャワー洗浄し、エアを吹きかけて基板上の液だまりを減らした。
【0116】
その後、炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム系現像液(商品名:T−CD1(富士フイルム(株)製)を純水で5倍(T−CD1を1部と純水4部の割合で混合)に希釈した液)を用いて30℃でシャワー圧を0.1MPaに設定して、30秒現像し、純水で洗浄した。
【0117】
引き続き、界面活性剤含有洗浄液(商品名:T−SD3(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を用いて33℃で20秒間、コーン型ノズル圧力0.1MPaにてシャワーで吹きかけ、更にやわらかいナイロン毛を有する回転ブラシにより、形成されたパターン像を擦って残渣除去を行た。さらに、超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で超純水を噴射して残渣除去を行い、所望のブラックマトリクスを得た。
【0118】
マスク線幅12.0μm(W2)に対するパターン線幅(W1)は微小線幅測定装置(CP−30;ソフトワークス製)で測定の結果、13.3μmであった。
また、触針式膜厚計(P−10;Tencor Instrument製)で測定した膜厚d2は2.33μmであった。
【0119】
次いで大気下にて露光量2000mJ/cmにてポスト露光を行い、さらに240℃50分間のポストベーク処理を行って、光学濃度3.9、膜厚2.0μmの離画壁が形成された基板を得た。
【0120】
一方、上記と同様にして2.33μmの黒色感光層K1を形成した後、基板側から黒色感光層K1に露光されるように基板をセットした以外は上記と同様にして、露光、現像した後に、得られたパターニング画像の膜厚d1を測定した結果、0.71μmであった。
【0121】
[プラズマ撥水化処理]
離画壁を形成した基板に、カソードカップリング方式平行平板型プラズマ処理装置を用いて、以下の条件にてプラズマ撥水化処理を行った。
使用ガス:CFガス、流量:80sccm、圧力:40Pa、RFパワー:50W、処理時間:30sec
【0122】
以上のようにして得られた離画壁が形成された基板を用いたこと以外は、実施例1と同様にR、G、B画素をインクジェット方式で形成したのち、そのカラーフィルターを240℃オーブン中で60分ベークすることで、ブラックマトリックス、各画素共に完全に硬化させた。
【0123】
こうして得られたカラーフィルターを顕微鏡観察したところ、各画素を構成するインクは離画壁間隙にぴったり収まり、にじみ、はみ出し、隣接画素との混色および白抜けなどの欠陥となる不良は見つからず、良好なカラーフィルターが得られた。また実施例1と同様にしてカラーフィルターの画素欠陥を評価した。
【0124】
さらに実施例1と同様にして、R画素、G画素、及びB画素並びにブラックマトリクスの上に、ITOの透明電極を形成し、フォトスペーサー、ポリイミドよりなる配向膜を設けた。その後、シール剤を印刷し、液晶を滴下し、対向基板と貼り合わせ、熱処理して液晶セルを作製し、両面に偏光板を貼り付け、バックライトを構成し、液晶表示装置を構成した。得られた液晶表示装置は明るさも問題なく、表示特性に優れるものであった。
また、得られた液晶表示装置について、実施例1と同様にして明るさを評価した。
【0125】
<実施例3〜6>
実施例2において黒色組成物K1の代わりに、表1の実施例3〜6に記載の組成となるように黒色組成物K3〜K6をそれぞれ調製した。これを用いて実施例2と同様にして黒色転写材料K3〜K6をそれぞれ作製し、これを用いたこと以外は実施例2と同様にして、基板上に離画壁を形成するとともに、それぞれのW1、d1、d2を求めた。
さらに、上記で得られた基板を用いたこと以外は実施例2と同様にしてカラーフィルターを作製し、引き続き液晶表示装置を作製した。
実施例1と同様にして評価したカラーフィルターの画素欠陥、液晶表示装置の明るさの評価結果を表1中に併せて示した。
【0126】
<実施例7、8>
実施例6において、離画壁作製時の露光量70mJ/cmの代わりに、露光量を40mJ/cm、150mJ/cmとした以外は実施例6と同様にして基板上に離画壁を形成するとともに、それぞれのW1、d1、d2を求めた。
さらに、上記で得られた基板を用いたこと以外は実施例6と同様にしてカラーフィルターを作製し、引き続き液晶表示装置を作製した。
実施例1と同様にして評価したカラーフィルターの画素欠陥、液晶表示装置の明るさの評価結果を表1中に併せて示した。
【0127】
<実施例9〜11>
実施例2において黒色組成物K1の代わりに、表1の実施例9〜11に記載の組成となるように黒色組成物K9〜K11をそれぞれ調製した。これを用いて実施例2と同様にして黒色転写材料K9〜K11をそれぞれ作製し、これを用いたこと以外は実施例2と同様にして、基板上に離画壁を形成するとともに、それぞれのW1、d1、d2を求めた。
さらに、上記で得られた基板を用いたこと以外は実施例2と同様にしてカラーフィルターを作製し、引き続き液晶表示装置を作製した。
実施例1と同様にして評価したカラーフィルターの画素欠陥、液晶表示装置の明るさの評価結果を表1中に併せて示した。
【0128】
<実施例12、13>
実施例2において黒色組成物K1の代わりに、表1の実施例12〜13に記載の組成となるように黒色組成物K12〜K13をそれぞれ調製した。これを用いて実施例2と同様にして黒色転写材料K12〜K13をそれぞれ作製し、これを用いたこと以外は実施例2と同様にして、基板上に離画壁を形成するとともに、それぞれのW1、d1、d2を求めた。このときのポストベーク処理後の膜厚は各々2.5μmであった。
さらに、上記で得られた基板を用いたこと以外は実施例2と同様にしてカラーフィルターを作製し、引き続き液晶表示装置を作製した。
実施例1と同様にして評価したカラーフィルターの画素欠陥、液晶表示装置の明るさの評価結果を表1中に示した。
【0129】
尚、表1におけるR顔料分散物1は、下記組成となるように顔料、ポリマー及び溶剤を混合し、3本ロールとビーズミルを用いて調製した。
〈R顔料分散物1の組成〉
・顔料(C.I.ピグメントレッド177) : 18質量%
・ポリマー : 12質量%
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物、重量平均分子量3.7万)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート : 70質量%
【0130】
<比較例1>
実施例2の黒色組成物K1の代わりに、表1の比較例1に記載の組成となるように黒色組成物K21を調製した。これを用いて実施例2と同様にして黒色転写材料K21を作製した。
実施例2の離画壁作製時の露光量70mJ/cmの代わりに、露光量を150mJ/cmとした以外は実施例2と同様にして基板上に離画壁を形成するとともに、W1、d1、d2を求めた。
さらに、上記で得られた基板を用いたこと以外は実施例2と同様にしてカラーフィルターを作製し、引き続き液晶表示装置を作製した。
実施例1と同様にして評価したカラーフィルターの画素欠陥、液晶表示装置の明るさの評価結果を表1中に併せて示した。
【0131】
<比較例2>
比較例1における黒色組成物K21を用い、比較例1の離画壁作製時の露光量150mJ/cmの代わりに、露光量を400mJ/cmとした以外は比較例1と同様にして基板上に離画壁を形成するとともに、W1、d1、d2を求めた。
さらに、上記で得られた基板を用いたこと以外は実施例2と同様にしてカラーフィルターを作製し、引き続き液晶表示装置を作製した。
実施例1と同様にして評価したカラーフィルターの画素欠陥、液晶表示装置の明るさの評価結果を表1中に併せて示した。
【0132】
<比較例3、4>
比較例1において黒色組成物K21の代わりに、表1の比較例3、4に記載の組成となるように黒色組成物K23、K24をそれぞれ調製した。これを用いて比較例1と同様にして黒色転写材料K23、K24を作製し、比較例1と同様にして基板上に離画壁を形成するとともに、W1、d1、d2を求めた。
さらに、上記で得られた基板を用いたこと以外は実施例2と同様にしてカラーフィルターを作製し、引き続き液晶表示装置を作製した。
実施例1と同様にして評価したカラーフィルターの画素欠陥、液晶表示装置の明るさの評価結果を表1中に併せて示した。
【0133】
【表1】



【0134】
表1中、MMPGAcは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを表す。
モノマー液2は、DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬(株)製)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(76%)である。
重合開始剤2は、Irgacure819(チバ・ジャパン社製)を、重合開始剤3はIrgacure379(チバ・ジャパン社製)を、重合開始剤4はIrgacureOXE01(チバ・ジャパン社製)をそれぞれ表す。
また、添加剤1は、NBCA(10−n−ブチル−2−クロロアクリドン、黒金化成社製)を、添加剤2は、EAB−F(光重合開始助剤、保土谷化学工業(株)製))をそれぞれ意味する。
【0135】
以上のように本発明の着色感光性樹脂組成物を用いることにより、位置精度よく混色等のない画素を形成し、かつ高効率にカラーフィルター、液晶表示装置を製造することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒色の色材を含む着色剤と、アルカリ可溶性樹脂と、重合性基を3つ以上有する重合性化合物と、重合開始剤または重合開始系と、溶剤と、を含む着色感光性樹脂組成物であって、
透明基板上に光学濃度が4.0となるように前記着色感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂層を形成し、
前記感光性樹脂層の前記透明基板に対向する面とは反対の面側から、マスクを介して前記感光性樹脂層を露光・現像処理して形成される第1のパターンの線幅W1の前記マスクの線幅W2に対する比W1/W2が0.7から1.5の範囲となる露光・現像条件で得られる前記第1のパターンの膜厚d2と、
前記感光性樹脂層の前記透明基板に対向する面側から、マスクと前記透明基板とを介して、前記比W1/W2が0.7から1.5の範囲となる露光・現像条件で、前記感光性樹脂層を露光・現像処理して得られる第2のパターンの膜厚d1との比d1/d2が0.3以上である着色感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記比W1/W2が0.8から1.2の範囲となる露光・現像条件における前記比d1/d2が0.3から0.7の範囲である請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記着色剤は、少なくともカーボンブラックを含有する請求項1または請求項2に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記重合開始剤または重合開始系は、少なくとも1種のアシルホスフィンオキサイド系開始剤を含有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記重合性基を3つ以上有する重合性化合物は、3官能のアクリルモノマーおよび4官能のアクリルモノマーの少なくとも1種である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物を用いて形成された感光性樹脂層が仮支持体上に設けられた感光性転写材料。
【請求項7】
基板上に、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂層を設ける工程と、
線幅W2のマスクを介して前記感光性樹脂層を露光処理することと、前記露光された感光性樹脂層を現像処理して着色樹脂パターンを形成することとを含み、前記着色樹脂パターンの線幅W1の前記マスクの線幅W2に対する比W1/W2が0.7から1.5の範囲であるパターン形成工程と、
を含む着色樹脂パターンの製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の着色樹脂パターンの製造方法で製造された着色樹脂パターン。
【請求項9】
基板と、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物を用いて形成されると共に前記基板上に配置された遮光部と、を備えるカラーフィルター。
【請求項10】
前記遮光部は、請求項6に記載の感光性転写材料を用いて形成された請求項9に記載のカラーフィルター。
【請求項11】
前記遮光部の光学濃度が3.5以上である請求項9または請求項10に記載のカラーフィルター。
【請求項12】
前記遮光部の膜厚が1.5μm以上である請求項9〜請求項11のいずれか1項に記載のカラーフィルター。
【請求項13】
請求項9〜請求項12のいずれか1項に記載のカラーフィルターを備える液晶表示装置。

【公開番号】特開2011−95716(P2011−95716A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136522(P2010−136522)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】