説明

着色樹脂組成物

【課題】 真珠光沢顔料の配合に伴う縮合型熱可塑性樹脂の分子量低下が抑制され、かつ黄変が小さくて色調の変化が抑制され、外観や耐衝撃性等の機械的物性に優れた成形品を得ることができる着色樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 1次粒径が5〜100μmであり、マイカに酸化チタン及び/又は酸化亜鉛を表面処理した真珠光沢顔料(A)0.01〜40重量%と、反応性シリコーンオイル0.001〜10重量%(B)と、縮合型熱可塑性樹脂(C)50〜99.989重量%とを含む着色樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縮合型熱可塑性樹脂用着色樹脂組成物に関する。さらに詳しくは真珠光沢顔料の配合に伴う縮合型熱可塑性樹脂の分子量低下が抑制され、かつ黄変が小さくて色調の変化が抑制され、外観や耐衝撃性等の機械的物性に優れた成形品を得ることができる着色樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエステルやポリカーボネート等、縮合型の熱可塑性樹脂は、比較的耐熱性の高い樹脂として、フィルム、シート、繊維、容器などに汎用される他、屋内外の建材用途に用いられている。これらの成形品は、高温下や屋外等の過酷な環境下で使用され、また、成形工程で溶融混練が行われることなどから、紫外線、熱、アルカリ、水分により経時的に酸化・加水分解等の劣化が起こり易いのが現状である。また、この劣化は無機充填材、金属、金属酸化物、染料、顔料等の存在下で特に促進され、変色、分子量低下、機械的物性の低下等を引き起こし、各種成形品の商品的価値を大いに損失させるという問題があった。
【0003】
上記の問題に対して、二価炭化水素基を介してケイ素原子に結合のオルガノキシシリル基を含有するオルガノポリシロキサンを添加することで、無機顔料の配合に伴うポリカーボネートの分子量低下、黄変を抑制する技術がある。(特許文献1参照)
【0004】
一方、真珠光沢顔料ではマイカ及びマイカ表面を被覆しているチタンの影響で樹脂の黄変を強く促進するという問題点がある。
【0005】
この問題に対して、シランカップリング剤あるいは鎖状のメチルハイドロジェンポリシロキサンを添加することで、真珠光沢顔料の配合に伴うポリオレフィン樹脂の黄変を抑制する技術がある。(特許文献2、3参照)
【0006】
しかしながら、縮合型熱可塑性樹脂に真珠光沢顔料を配合した系においては、上記の技術を用いても、十分に黄変を抑制することができなかった。
【0007】
【特許文献1】特開平6−322250号公報
【特許文献2】特許第2787889号公報
【特許文献3】特許第2817127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、真珠光沢顔料の配合に伴う縮合型熱可塑性樹脂の分子量低下が抑制され、かつ黄変が小さくて色調の変化が抑制され、外観や耐衝撃性等の機械的物性に優れた成形品を得ることができる着色樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の発明は、1次粒径が5〜100μmであり、マイカに酸化チタン及び/又は酸化亜鉛を表面処理した真珠光沢顔料(A)と、シリコーンオイル(B)と、縮合型熱可塑性樹脂(C)とを含む着色樹脂組成物である。
【0010】
第2の発明は、シリコーンオイル(B)がカルボキシ変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、メタクリレート変性シリコーンオイルの群から選ばれる1種以上である第1又は第2の発明に記載の着色樹脂組成物である。
【0011】
第3の発明は、縮合型熱可塑性樹脂(C)がポリカーボネート樹脂又はポリエステル樹脂であるである第1〜第12の発明いずれかに記載の着色樹脂組成物である。
【0012】
第4の発明は、第1〜第13の発明いずれかに記載の着色樹脂組成物をもちいてなることを特徴とする着色樹脂成形品である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の着色樹脂組成物は、1次粒径が5〜100μmであり、マイカに酸化チタン及び/又は酸化亜鉛を表面処理した真珠光沢顔料(A)と、シリコーンオイル(B)と、縮合型熱可塑性樹脂(C)とを含むので、縮合型熱可塑性樹脂の分子量低下が抑制され、かつ黄変が小さくて色調の変化が抑制され、外観や耐衝撃性等の機械的物性に優れた成形品を得ることができる。
【0014】
また、シリコーンオイル(B)がカルボキシ変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、メタクリレート変性シリコーンオイルからなる群から選ばれる1種以上であるので、耐黄変性、外観、機械物性に優れる。
【0015】
また、縮合型熱可塑性樹脂(C)がポリカーボネート樹脂又はポリエステル樹脂であるので、これらの樹脂の分子量低下が抑制され、かつ黄変が小さくて色調の変化が抑制され、外観や耐衝撃性等の機械的物性に優れた成形品を得ることができる。
【0016】
本発明の着色樹脂成形品は、上記の着色樹脂組成物を用いて得られるので、縮合型熱可塑性樹脂の分子量低下が抑制され、かつ黄変が小さくて色調の変化が抑制され、外観や耐衝撃性等の機械的物性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<真珠光沢顔料(A)>
本発明で用いられる真珠光沢顔料(A)とは、人工的にパール光沢を発現させるようにしたパール顔料である。すなわち、パール顔料は、天然のマイカの表面を屈折率の高い金属酸化物である酸化チタン,酸化鉄あるいは酸化チタンと酸化鉄を混合して処理、被覆したものである。被覆される金属酸化物の膜厚を変えることによって、虹彩色の特定な色を強調させることができる。このパール顔料は、平均粒子径が1〜200μm程度のものであり、かかるパール顔料は、市場から容易に入手して本発明で使用することができる。
【0018】
本発明の着色樹脂組成物における真珠光沢顔料(A)の含有量は、0.01〜30重量%が好ましく、0.1〜20%が特に好ましい。上記範囲より少ないと成形品製造の際、着色樹脂組成物を多量に使用しないと着色効果が得られず、逆に上記範囲より多いと顔料の分散不良が生じる傾向がある。
【0019】
<シリコーンオイル(B)>
本発明で用いられるシリコーンオイル(B)は、真珠光沢顔料(A)の表面を被覆して分散性を向上したり、樹脂を架橋して樹脂の物性低下を抑制する。
シリコーンオイル(B)とは、官能基で変性されたシリコーン(官能基を有するオルガノポリシロキサン)のことであり、具体例としてカルボキシ変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、メタクリレート変性シリコーンオイルが挙げられる。
【0020】
シリコーンオイル(B)は樹脂毎に最適なものを選択することが好ましい。また、1の官能基変性の他、2以上の異種官能基で変性されたシリコーンオイル(B)も使用できる。更に、(A)の表面被覆用、(C)の物性保持用として、異種のシリコーンオイル(B)を併用することもできる。
これらのシリコーンオイル(B)の官能基は、分子内の主鎖、側鎖、両末端あるいは側鎖と末端両末端の双方に付随するものが挙げられるが、いずれも好ましく使用できる。
【0021】
シリコーンオイル(B)の粘度としては、スピンドル型回転粘度計にて25℃における測定値が10〜1000mm/sのものが均一に混合できる観点から好ましい。粘度が10mm/s未満であると成形時に未反応シリコーンがガス化し成形品のフラッシュの原因となる場合がある。また粘度が1000mm/sを超えると金属酸化物(A)表面への均一な被覆が困難となり、分散性の向上が好ましくない傾向がある。
【0022】
上記のシリコーンオイル(B)は、市場から容易に入手して本発明で使用することができる。本発明の着色樹脂組成物におけるシリコーンオイル(B)の含有量は、0.001〜10重量%が好ましく、0.01〜5%が特に好ましい。上記範囲より少ないと本発明の目的とする成形物の黄変を防止することができず、逆に上記範囲より多いと成形加工が容易ではなく、また、真珠光沢顔料(A)の分散を阻害し、真珠光沢顔料(A)の凝集物を多発させ、成形物が外観不良を引き起こす。
【0023】
<縮合型熱可塑性樹脂(C)>
本発明で用いられる縮合型熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリオレフィン共重合ポリエステル、熱可塑性ポリエステル等のポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン系樹脂等の縮合型熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの1種、又は併用が可能である。なかでもポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂が好適に用いられる。
【0024】
<着色樹脂組成物>
本発明の着色樹脂組成物は、前記の各成分(A)(B)(C)を配合し、混練することによって得ることができる。そして、該配合及び混練には、通常用いられている方法、例えば、リボンブレンダー,ヘンシェルミキサー,バンバリーミキサー,ドラムタンブラー,単軸スクリュー押出機,2軸スクリュー押出機,コニーダ,多軸スクリュー押出機等を用いて行うことができる。なお、混練に際しての加熱温度は、通常200〜300℃の範囲で選ばれる。かくして得られる着色樹脂組成物は、既知の種々の成形方法、例えば、射出成形,中空成形,押出成形,圧縮成形,カレンダー成形,回転成形等を適用することができ、各種成形品を製造するのに供することができる。
【0025】
本発明の着色樹脂組成物は、真珠光沢顔料(A)を高濃度に含有し、成形時に成形用(希釈用)熱可塑性樹脂で希釈されるマスターバッチ(MB)であってもよいし、あるいは真珠光沢顔料(A)濃度が比較的低く成形品と同じ濃度であり、成形用熱可塑性樹脂で希釈せずにそのまま成形に供される成形ペレット(CP)であってもよい。そして真珠光沢顔料(A)の他、シリコーンオイル(B)を配合することが可能である。
【0026】
着色樹脂組成物の形態は粉体状、顆粒状、ビーズ状、又はストランドカットやホットカットによるペレット状等が挙げられるが限定されない。また、2種以上の熱可塑性樹脂を用いる場合には、互いに相溶性の良いものを選択することが好ましい。
【0027】
<着色樹脂成形品>
本発明の成形品は、上記着色樹脂組成物(マスターバッチ)と縮合型熱可塑性樹脂、又は着色樹脂組成物(成形ペレット)からなるものを成形加工して得られる。
【0028】
成形用樹脂としては上記の縮合型熱可塑性樹脂組成物において用いられる樹脂と同じ樹脂を用いることができる。特にポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂が好ましく用いられる。
【0029】
また、本発明の成形品には、本発明の効果を発揮する範囲において縮合型熱可塑性樹脂以外の他の熱可塑性樹脂を含むこともできる。例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、HIPS樹脂、ポリアクリルスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、SMA樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂などに代表される汎用プラスチックス、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂(非晶性ポリアリレート、液晶性ポリアリレート)等に代表されるエンジニアリングプラスチックス、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイドなどのいわゆるスーパーエンジニアリングプラスチックスと呼ばれるものを挙げることができる。更にスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーも使用することができる。
【0030】
<その他の成分>
また、本発明の着色樹脂組成物、着色樹脂成形品には、本発明の効果を阻害しない範囲で、各目的に応じて各種添加剤及び色材を使用することができる。
一般的な分散剤としては、縮合型熱可塑性樹脂(C)との相溶性が良好であり、縮合型熱可塑性樹脂(C)に影響を及ぼさないものであれば特に制限されない。
例えばステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、エチレンビスアマイド、低分子量ポリエステル、低分子量ポリアミド、低分子量ポリカーボネート、モンタン酸エステル、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体樹脂、αオレフィン/無水マレイン酸共重合体樹脂、酸化ワックス、グリセリンワックス、ポリスチレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス及びこれらの誘導体、酸変性体や水酸基変性体からなるワックス等が挙げられる。これら任意のものを1種で、または併用ができる。
ここで、低分子量とはJIS K 7199で規定されているキャピラリー型粘度計にて、220℃条件下、10kg加重にて、1000Pa・s以下のものを示す。
【0031】
また、補強剤(タルク、マイカ、クレー、ワラストナイト、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ミルドファイバー、ガラスフレーク、炭素繊維、炭素フレーク、カーボンビーズ、カーボンミルドファイバー、金属フレーク、金属繊維、金属コートガラス繊維、金属コート炭素繊維、金属コートガラスフレーク、シリカ、セラミック粒子、セラミック繊維、アラミド粒子、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、グラファイト、導電性カーボンブラック、各種ウイスカーなど)、有機アルカリ金属塩及び有機アルカリ土類金属塩以外の難燃剤(ハロゲン系、リン酸エステル系、金属塩系、赤リン、金属水和物系など)、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、滑剤、摺動剤(PTFE粒子など)、光拡散剤(アクリル架橋粒子、シリコーン架橋粒子、極薄ガラスフレーク、炭酸カルシウム粒子など)、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、帯電防止剤、流動改質剤、結晶核剤、無機及び有機の抗菌剤、グラフトゴムに代表される衝撃改質剤、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤が挙げられる。
【0032】
色材は、成形用樹脂との相溶性が良好であり、成形用樹脂に影響を与えないものであれば公知の染料、有機顔料及び無機顔料が特に制限なく使用できる。例えば、染料としては、構造的分類によるとスチリル系染料、ピリドンアゾ系染料、ピラゾールアゾ系染料、アントラキノン系染料、ヘテロアゾ系染料、ベンゼンアゾ系染料、ナフトキノン系染料、インドアニリン系、シアニン系染料等が挙げられる。また、用途的分類によれば分散染料、建染染料、油溶性染料等が挙げられる。
【0033】
また、顔料としては有機顔料と無機顔料に大別され、有機顔料としては、アゾレーキ、ハンザ系、ベンズイミダゾロン系、ジアリライド系、ピラゾロン系、ベンジジンイエロー系、ジスアゾ系のアゾ系顔料;フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、ペリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、イソインドリノン系等の縮合多環系顔料及びアニリンブラック等を挙げることができる。
【0034】
無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、チタンイエロー、酸化鉄、黄色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、酸化クロムグリーン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、鉄黒等の無機顔料及びカーボンブラック顔料を挙げることができる。
【実施例1】
【0035】
以下に、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の技術思想を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下「重量部」は単に「部」、「重量%」は単に「%」と記載する。
【0036】
1. マスターバッチの製造
(実施例1)
一次粒径5〜20μmでマイカに酸化チタンおよび酸化亜鉛を表面処理した真珠光沢顔料(A)とカルボキシ変性シリコーンオイル(B)と、パウダー状のポリカーボネート樹脂(C)とを、(A)/(B)/(C)=10%/0.3%/89.7%の比率でヘンシェルミキサーでプレミックスした後、スクリュー直径30mm、L/D(スクリュー径/スクリュー長さ)=38〜42の押出機に供給し、回転数250rpm、設定温度250〜300℃の条件で溶融混錬、押し出して、マスターバッチを得た。
【0037】
(実施例2)
(B)をアルキル変性シリコーンオイルに変更した以外は実施例1と同じ条件でマスターバッチを得た。
【0038】
(実施例3)
(B)をアルコール変性シリコーンオイルに変更した以外は実施例1と同じ条件でマスターバッチを得た。
【0039】
(実施例4)
(B)をフッ素変性シリコーンオイルに変更した以外は実施例1と同じ条件でマスターバッチを得た。
【0040】
(実施例5)
(B)をポリエーテル変性シリコーンオイルに変更した以外は実施例1と同じ条件でマスターバッチを得た。
【0041】
(実施例6)
(B)をアミノ変性シリコーンオイルに変更した以外は実施例1と同じ条件でマスターバッチを得た。
【0042】
(実施例7)
(B)をエポキシ変性シリコーンオイルに変更した以外は実施例1と同じ条件でマスターバッチを得た。
【0043】
(実施例8)
(B)をフェノール変性シリコーンオイルに変更した以外は実施例1と同じ条件でマスターバッチを得た。
【0044】
(実施例9)
(B)を、メルカプト変性シリコーンオイルに変更した以外は実施例1と同じ条件でマスターバッチを得た。
【0045】
(実施例10)
(B)をメタクリレート変性シリコーンオイルに変更した以外は実施例1と同じ条件でマスターバッチを得た。
【0046】
(実施例11)
(A)を一次粒径10〜60μmでマイカに酸化チタンおよび酸化亜鉛を表面処理した真珠光沢顔料に変更した以外は実施例1と同じ条件でマスターバッチを得た。
【0047】
(実施例12)
(A)を一次粒径30〜100μmでマイカに酸化チタンを表面処理した真珠光沢顔料に変更した以外は実施例1と同じ条件でマスターバッチを得た。
【0048】
(実施例13)
(C)をパウダー状のポリエチレンテレフタレート樹脂に変更した以外は実施例1と同じ条件でマスターバッチを得た。
【0049】
(比較例1)
一次粒径5〜20μmでマイカに酸化チタンおよび酸化亜鉛を表面処理した真珠光沢顔料(A)とパウダー状のポリカーボネート樹脂(C)とを、(A)/(C)=10%/90%の比率で配合し、実施例1と同じ条件でマスターバッチを得た。
【0050】
(比較例2)
一次粒径10〜60μmでマイカに酸化チタンおよび酸化亜鉛を表面処理した真珠光沢顔料(A)とパウダー状のポリカーボネート樹脂(C)とを、(A)/(C)=10%/90%の比率で配合し、実施例1と同じ条件でマスターバッチを得た。
【0051】
(比較例3)
一次粒径30〜100μmでマイカに酸化チタンを表面処理した真珠光沢顔料(A)とパウダー状のポリカーボネート樹脂(C)とを、(A)/(C)=10%/90%の比率で配合し、実施例1と同じ条件でマスターバッチを得た。
【0052】
(比較例4)
一次粒径5〜20μmでマイカに酸化チタンおよび酸化亜鉛を表面処理した真珠光沢顔料(A)とカルボキシ変性シリコーンオイル(B)と、パウダー状のポリカーボネート樹脂(C)とを、(A)/(B)/(C)=40%/0.3%/59.7%の比率で配合し、実施例1と同じ条件でマスターバッチを得た。
【0053】
(比較例5)
一次粒径5〜20μmでマイカに酸化チタンおよび酸化亜鉛を表面処理した真珠光沢顔料(A)とカルボキシ変性シリコーンオイル(B)と、パウダー状のポリカーボネート樹脂(C)とを、(A)/(B)/(C)=10%/15%/75%の比率で配合し、実施例1と同じ条件でマスターバッチを得た。
【0054】
(比較例6)
一次粒径5〜20μmでマイカに酸化チタンおよび酸化亜鉛を表面処理した真珠光沢顔料(A)とアルコキシシリル変性ポリジメチルシロキサン(B)と、パウダー状のポリカーボネート樹脂(C)とを、(A)/(B)/(C)=10%/0.3%/89.7%の比率で配合し、実施例1と同じ条件でマスターバッチを得た。
【0055】
(比較例7)
一次粒径5〜20μmでマイカに酸化チタンおよび酸化亜鉛を表面処理した真珠光沢顔料(A)とメチルハイドロジェンポリシロキサン(B)と、パウダー状のポリカーボネート樹脂(C)とを、(A)/(B)/(C)=10%/0.3%/89.7%の比率で配合し、実施例1と同じ条件でマスターバッチを得た。
【0056】
(比較例8)
一次粒径5〜20μmでマイカに酸化チタンおよび酸化亜鉛を表面処理した真珠光沢顔料(A)とγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(B)と、パウダー状のポリカーボネート樹脂(C)とを、(A)/(B)/(C)=10%/0.3%/89.7%の比率で配合し、実施例1と同じ条件でマスターバッチを得た。
【0057】
(比較例9)
一次粒径5〜20μmでマイカに酸化チタンおよび酸化亜鉛を表面処理した真珠光沢顔料(A)とパウダー状のポリエチレンテレフタレート樹脂(C)とを、(A)/(C)=10%/90%の比率で配合し、実施例1と同じ条件でマスターバッチを得た。
【0058】
2. 成形品の作製
実施例及び比較例で得られたマスターバッチおよび各々のマスターバッチ作製の際に使用した熱可塑性樹脂を120℃で5時間乾燥後、マスターバッチ10部と、各々のマスターバッチ作製の際に使用した熱可塑性樹脂100部とを混合し、射出成形機により1mm厚のインジェクションプレート及びアイゾット試験片を得た。
【0059】
3. 評価方法
(YI(イエローインデックス)の評価)
1mm厚インジェクションプレートのYI値を測定した。
【0060】
(機械物性の評価)
実施例及び比較例のアイゾット試験片のアイゾット衝撃強度(ASTM D256)の物性保持率を求めた。保持率とは、熱可塑性樹脂単独のアイゾット衝撃強度値を100%としたときの各衝撃強度値の保持率である。
○:96%以上の保持率
△:90〜96%未満の保持率
×:90%未満の保持率
【0061】
(成形品外観の評価)
1mm厚インジェクションプレート各10枚の表面を目視にて観察し、揮発成分による成形品表面の荒れ(フラッシュ)について以下のように評価した。
○:全くフラッシュが観察されなかった。
△:1枚以上にフラッシュが観察された。
×:全てにフラッシュが観察された。
【0062】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次粒径が5〜100μmであり、マイカに酸化チタン及び/又は酸化亜鉛を表面処理した真珠光沢顔料(A)0.01〜40重量%と、反応性シリコーンオイル0.001〜10重量%(B)と、縮合型熱可塑性樹脂(C)50〜99.989重量%とを含む着色樹脂組成物。
【請求項2】
反応性シリコーンオイル(B)が、カルボキシ変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイルおよびメタクリレート変性シリコーンオイルからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の着色樹脂組成物。
【請求項3】
縮合型熱可塑性樹脂(C)がポリカーボネート樹脂又はポリエステル樹脂である請求項1又は2記載の着色樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3いずれかに記載の着色樹脂組成物をもちいてなることを特徴とする着色樹脂成形品。

【公開番号】特開2007−191608(P2007−191608A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12081(P2006−12081)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】