説明

着色物質透明チップで表面処理された人造石用着色物質及びこれらの製造方法、ならびに人造石およびこれらの製造方法

【課題】着色物質で表面処理されて天然の金属の質感およびパターンを有する人造石用のチップを提供する。
【解決手段】シリカ成分を含む透明チップを高透明樹脂と共に金属粉末の着色物質で表面処理して天然の金属質感を有する透明チップをである。前記高透明樹脂は、ASTM D4890試験法を適用して測定したAPHA色相インデックスが10〜70であることが好ましい。人造石用のチップにベース樹脂として高分子マトリックス樹脂と無機充填材とを混合して人造大理石を製造する。人造石用のチップは、比重が2.0〜2.65の範囲であり、モース硬度が5〜9の範囲であることが好ましい。前記金属粉末の着色物質で表面処理された金属質感を有する人造石用のチップの比重は2.0〜2.65の範囲であり、マトリックス樹脂の比重は2.2〜2.8の範囲であるが、前記チップの比重がマトリックス樹脂の比重より小さいか同一でなければならない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人造石に関する。より具体的には、本発明は、天然の金属質感と外観とを有する人造石及びこれを製造するためにシリカ含有透明チップを金属粉末の着色物質で表面処理して製造される金属質感を有する人造石用のチップに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、人造石とは、天然石の質感と外観とを備えている人造的に合成されるものである、または樹脂に天然鉱物を混合することにより調製されるものである。代表的な人造石としては、不飽和ポリエステル系人造大理石及びアクリル系人造大理石の2つが挙げられる。
【0003】
このような人造石は、立ち流しの床板、洗面化粧台の床板、商業用の売り場のカウンタの床板、建物の内部床材及び内部壁材等の様々な種類の床板及び床材並びにインテリア関連素材に使用されておりその需要が増加し続けている。
【0004】
人造石は、単色に製造されたり、互いに異なる色相の顔料がそれぞれ添加されて互いに異なる色相を有する樹脂混合物をミキサーで混合することによって多色トーンを有するように製造されたり、又は多様な材料で表面処理されたチップを用いて天然石のような質感と外観とを有するように製造されている。
したがって、人造石技術の最終到達点は、天然大理石が有する質感および外観に、如何に高品質で消費者の欲求を満たせるレベルまで模倣できるのかにつきる。このような理由で、人造石分野においては、天然石に近いパターンや質感を具現して高品質な製品を製造しようと多くの努力を傾けてきた。
韓国特開2009−59901号(LG化学株式会社)では、顔料を含む着色樹脂組成物でガラスチップや鏡チップを製造し、これを利用して製造した人造大理石を開示している。この特許出願では、着色樹脂組成物や人造大理石のベース樹脂としてエポキシ樹脂を用いている。
【0005】
韓国特開2009−88147号(HANWHA L&C株式会社)では、シリカおよび/又は無機質材料に水性パール顔料を含む液状の顔料をコーティングさせたゴールドチップを不飽和ポリエステル系樹脂と混合して製造される人造大理石を開示している。
しかしながら、上記二つの公開特許では、天然石に近いパターンや質感を具現できるような高品質の人造大理石を製造できていない。人造石が天然石に近いパターンや質感を具現することができない理由の一つ目は、天然石のような透明チップを製造することが非常に困難であり、また、2つ目は、母材である樹脂と透明チップとが均一に分散できないことにより透明チップとマトリックス樹脂との間に割れ現象が表れるためである。
上記のような問題点を解決するため、本発明者らは、天然石のような透明チップを製造するために、当該チップ材料としてシリカ含有の透明チップを用い、ベース樹脂として高透明度を有する樹脂を用い、金属粉末のような着色物質を用いることで、表面処理された金属質感を有する人造石用のチップの比重及び硬度を特定範囲内に維持し、さらにマトリックス樹脂と金属質感を有する人造石用のチップとが均一に分布されるようにするために、前記チップの比重をマトリックス樹脂の比重より小さくすることによって、本発明を開発するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、着色物質で表面処理されて天然の金属の質感およびパターンを有する人造石用のチップを提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、金属粉末の着色物質で表面処理されて天然の金属質感を有する人造石用のチップを利用して天然の金属質感とパターンとを有する人造大理石を提供することである。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、マトリックス樹脂と金属質感を有する人造石用のチップとが均一に分布されるようにすることによって、金属質感を有する人造石用のチップとマトリックス樹脂との間に割れ現象が生じない天然の金属質感とパターンとを有する人造石を提供することである。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、金属粉末の着色物質で表面処理されて天然の金属質感を有する人造石用のチップを製造するための新たな方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、天然の金属質感とパターンとを有する人造石を製造するための新たな方法を提供することである。
【0010】
本発明の上記及びその他の目的は、以下に説明する本発明によって全て達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の技術的課題を成すために、本発明は、シリカ成分を含む透明チップ(以下、「シリカ含有透明チップ」と呼ぶ。)を高透明樹脂と共に金属粉末の着色物質で表面処理して天然の金属質感を有する人造石用のチップを製造することである。
前記シリカ含有透明チップは、キーストーンチップ、水晶(quartz)、クオーツ−シリカ(quartz−silica)チップ、シリカ系石粉、石英ガラス(quartz glass)、合成石英(synthetic quartz)、シリカ(silica)、二酸化ケイ素(silicon dioxide)、シリカガラス(silica glass)及びガラスからなる群から選択される。
【0012】
前記金属粉末の着色物質としては、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル粉末などがあり、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記高透明樹脂は、ASTM D4890試験法を適用して測定したAPHA色相インデックスが10〜70であることが好ましい。この高透明樹脂としては、ウレタンアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステルポリオール樹脂などがあり、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0013】
前記着色物質で表面処理された金属の質感を有する人造石用のチップの製造には、硬化剤が用いられ、この硬化剤としてはペルオキシエステル、ポリイソシアネート、過酸化物などがある。
【0014】
本発明に係る金属粉末の着色物質で表面処理された金属質感を有する人造石用のチップは、高透明樹脂1重量部を基準として、シリカ含有透明チップ80〜500重量部、着色物質0.1〜5.0重量部及び硬化剤0.01〜2.5重量部を混合し、この混合された混合物を乾燥容器に盛ってオーブンで硬化し、この硬化された樹脂混合物を常温で乾燥する段階によって製造する。
【0015】
本発明で製造された表面処理された金属の質感を有する人造石用のチップは、比重が2.0〜2.65の範囲であり、モース硬度が5〜9の範囲であることが好ましい。
上記で製造された金属粉末の着色物質で表面処理された金属質感を有する人造石用のチップに、ベース樹脂として高分子マトリックス樹脂と無機充填材とを混合して、本発明に係る天然の金属質感とパターンとを有する人造石を製造する。ベース樹脂1重量部に対して、無機充填材4〜24重量部及び金属質感を有する人造石用のチップ0.1〜5.0重量部の含量比で混合する。この際、少量の硬化剤、架橋剤、粉末状の顔料、触媒剤などを添加することができる。
【0016】
本発明に係る天然の金属質感とパターンとを有する人造石は、マトリックス樹脂として不飽和ポリエステル樹脂1重量部に、無機充填材4〜24重量部、金属質感を有する人造石用のチップ0.1〜5.0重量部、硬化剤0.01〜0.05重量部、架橋剤0.01〜0.05重量部、粉末状の顔料0.01〜0.15重量部及び触媒剤0.001〜0.005重量部を混合し、この混合された樹脂混合物をモールドに盛って均一に製型し、このモールドに盛られた樹脂混合物を圧縮成形した後に硬化及び表面研磨処理する段階によって製造される。この際、前記金属粉末の着色物質で表面処理された金属質感を有する人造石用のチップの比重は2.0〜2.65の範囲であり、マトリックス樹脂の比重は2.2〜2.8の範囲であるが、上記チップの比重がマトリックス樹脂の比重より小さいか同一でなければならない。
以下、添付図面を参考して本発明の具体的な内容を下記により詳細に説明する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、金属粉末の着色物質で表面処理されて天然の金属質感を有する人造石用のチップを提供し、マトリックス樹脂と人造石用のチップとが均一に分散して、いることにより、上記チップとマトリックス樹脂との間に割れ現象が生じないことによって、天然の金属の質感とパターンとを有する人造石を提供する発明の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態により製造された人造石用の着色物質で表面処理された金属質感を有する人造石用のチップの写真である。
【図2】本発明の他の実施形態により製造された人造石用の着色物質で表面処理された金属質感を有する人造石用のチップを含む人造石の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、人造石に関し、天然の金属の質感および外観を有する人造大理石及びこれを製造するために、シリカ含有透明チップを着色物質でコーティングして製造される金属質感を有する人造石用のチップに関する。
【0020】
本発明では、まず、シリカ含有透明チップを高透明樹脂と共に、例えば金属粉末などの着色物質で表面処理して天然の金属質感を有する人造石用のチップを製造する。天然石の質感およびパターンのようなチップを製造するために、チップの材料としてシリカ含有透明チップを用い、ベース樹脂として高透明樹脂を用いる。
また、前記表面処理は、コーティング又は堆積であることが好ましい。
【0021】
本発明で用いられるシリカ含有透明チップとしては、砕石、キーストーンチップ、水晶(quartz)、クオーツ−シリカ(quartz−silica)チップ、シリカ系石粉、石英ガラス(quartz glass)、合成石英(synthetic quartz)、シリカ(silica)、二酸化ケイ素(silicon dioxide)、シリカガラス(silica glass)及びガラスなどがあり、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0022】
前記着色物質としては、金属が挙げられ、なかでも、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケルなどがあり、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、当該着色物質は、粉末状が好ましい。
【0023】
前記着色物質は、アルミニウムペースト、Hologram、およびこれらの混合物をさらに含んでもよい。
【0024】
前記高透明樹脂は、ベース樹脂であり、ASTM D4890試験法を適用して測定したAPHA色相インデックスが10〜70であることが好ましい。APHAは、American Public Health Associationの略語であって、色度の基準を表す色相インデックスである。本発明では、天然石の質感およびパターンのような透明チップを製造するために、ベース樹脂として高透明樹脂を用いるが、この高透明樹脂のAPHA色相インデックスが10〜70の範囲であることが好ましい。この範囲内のAPHA色相インデックスを有する樹脂を用いてこそ、天然石に近い質感とパターンとを有する高品質の透明チップを製造することができる。
【0025】
前記高透明樹脂としては、ウレタンアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステルポリオール樹脂などがあり、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0026】
本発明に係る人造石用の透明チップ、すなわち前記着色物質で表面処理された金属の質感の透明チップの製造には硬化剤が用いられるが、この硬化剤としてはペルオキシエステル、イソシアネート系、過酸化物(peroxyester)などがある。
本発明で用いられる高透明樹脂及び硬化剤は、次のような組み合わせで用いることもできる。これらの第1の例では、高透明樹脂がウレタンアクリレート樹脂20〜50wt%であり、硬化剤がイソシアネート類50〜80wt%である。第2の例では、高透明樹脂が不飽和ポリエステル系樹脂であり、硬化剤が過酸化物(peroxyester)である。この場合、不飽和ポリエステル系樹脂が20〜50wt%であり、ペルオキシエステル(過酸化物)が50〜80wt%である。
【0027】
前記高透明樹脂として用いられる不飽和ポリエステル系樹脂の好ましい例としては、少なくとも一つ以上のグリコール類を有し、飽和酸及び不飽和酸を含む不飽和ポリエステル40〜90wt%の溶液に、粘度調節のためのモノマーを10〜60wt%の濃度範囲となるように添加したものである。この際、粘度調節のためのモノマーは、SM(styrene monomer)又はDAP(diallyl phthalate)モノマー等の反応性モノマーを用いることができ、この反応性モノマーは高分子の不飽和ポリエステルを常温で液状化するための希釈剤としての役割及び重合反応時に反応に関与して高分子鎖を連結する役割を有する。
【0028】
前記不飽和ポリエステルのグリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール、グリセリン等の3価アルコール及びペンタエリトリトール(pentaerythrytol)等の4価アルコールのような多価アルコールを用いることができ、前記飽和酸としては、無水フタル酸(phathalic anhydride)、テレフタル酸(terephthalic acid)、イソフタル酸(isophthalic acid)などがあり、前記不飽和酸としては、マレイン酸(maleic acid)、フマル酸(fumaric acid)、イタコン酸(itaconic acid)などがある。
本発明に係る着色物質で表面処理された金属の質感を有する人造石用の透明チップは、高透明樹脂1重量部を基準として、シリカ含有透明チップ80〜500重量部、着色物質0.1〜5.0重量部及び硬化剤0.01〜2.5重量部を混合し、この混合された混合物を乾燥容器に盛ってオーブンで硬化し、この硬化された樹脂混合物を常温で乾燥する段階によって製造する。前記混合物の含量範囲である場合、硬化された樹脂混合物の表面は、粘り現象や表面コーティング面の剥がれ現象がない。本発明のある具体例で、前記樹脂混合物は約130℃で約60分間硬化されることができ、該硬化された樹脂混合物は常温(約25℃)まで乾燥されるのに約30分がかかることができる。
【0029】
上記製造方法によって、高透明樹脂に着色物質が分散された組成物が透明チップの表面をコーティングするが、この際に高透明樹脂は透明チップの表面で透明な面を形成することができるようになる。
【0030】
上記混合物を混合する段階では、高透明樹脂に例えば、金属粉末などの着色物質を添加して均一に分散した後、硬化剤を投入してミキシングした樹脂混合溶液をシリカ含有透明チップが盛られたコーティング容器に添加して当該透明チップの表面に樹脂混合溶液が均一にコーティングされるようにする。
【0031】
本発明に係る人造石用の透明チップは、比重が2.0〜2.65の範囲であり、モース硬度が5〜9の範囲であることが好ましい。この比重範囲は、透明チップを例えば金属粉末などの着色物質でコーティングすることによって得られる好ましい範囲の比重である。そして、人造石用の透明チップの強度は、シリカ系列のサンドやシリカチップと同様の表面強度を有することが好ましい。これらの強度が異なっている場合、人造石用の透明チップの表面研磨の際に研磨の程度が異なって硬度の弱い部分がさらに多く研磨されて他の部分との界面が差が出るようになる。したがって、人造石用の透明チップの硬度をシリカサンドやシリカチップと同じく有するようにすることが好ましい。ガラスはモース硬度が5であり、シリカチップはモース硬度が7であるため、本発明の人造石用のチップの硬度はモース硬度5〜9の範囲に維持することが好ましい。
【0032】
上記で製造された金属粉末の着色物質で表面処理された人造石用の透明チップに、ベース樹脂として高分子マトリックス樹脂と無機充填材とを混合して本発明に係る天然の金属の質感とパターンとを有する人造石を製造する。ベース樹脂1重量部に対して、無機充填材4〜24重量部及び金属粉末の着色物質で表面処理された人造石用の透明チップ0.1〜5.0重量部の含量比で混合する。
【0033】
この際、少量の硬化剤、架橋剤、粉末状の顔料及び触媒剤などを添加することができ、硬化剤、架橋剤、粉末状の顔料及び触媒剤の少なくともいずれか一つを添加することが好ましく、硬化剤、架橋剤、粉末状の顔料及び触媒剤を全て添加することがより好ましい。
前記無機充填材は、シリカ成分を含むことができる。前記硬化剤は0.01〜0.05重量部、架橋剤は0.01〜0.05重量部、粉末状の顔料は0.01〜0.15重量部及び触媒剤は0.001〜0.005重量部でさらに含むことができる。また、前記高分子マトリックス樹脂としては、ベース樹脂として、上記高透明樹脂及び/または硬化剤を使用することができる。
【0034】
本発明に係る人造石は、マトリックス樹脂として不飽和ポリエステル樹脂1重量部に、無機充填材4〜24重量部、金属粉末の着色物質で表面処理された金属質感を有する人造石用のチップ0.1〜5.0重量部、硬化剤0.01〜0.05重量部、架橋剤0.01〜0.05重量部、粉末状の顔料0.01〜0.15重量部及び触媒剤0.001〜0.005重量部を混合し、この混合された樹脂混合物をモールドに盛って均一に成形し、このモールドに盛られた樹脂混合物を圧縮成形した後に硬化及び表面研磨処理する段階によって製造される。
【0035】
本発明のある具体例において、前記硬化天然石は、前記の構成要素を混合し、該混合された樹脂混合物をモールドに入れて本発明の技術の分野の当業者によく知られた条件で圧縮し硬化して製造されることができるが、好ましくは前記混合物を4.0barのシリンダ圧力で約150秒間圧縮成形して、圧縮成形する際の温度は常温(25〜30℃)である。その後、前記圧縮成形された樹脂混合物は硬化炉に移動されて硬化され、硬化された結果物は本発明の技術の分野でよく知られた方法で表面研磨処理される。
【0036】
この際、前記金属粉末の着色物質で表面処理された人造石用の透明チップの比重は、2.0〜2.65の範囲であり、マトリックス樹脂の比重は、2.2〜2.8の範囲であるが、前記人造石用のチップの比重がマトリックス樹脂の比重より小さいか同一でなければならない。この条件であれば、マトリックス樹脂と人造石用の透明チップが均一に分布、分散されて前記チップとマトリックス樹脂との間に割れ現象が生じなく高級な天然石に近いパターン及び質感を具現することができる。
【0037】
前記無機充填材としては、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミニウムトリハイドレート、アルミン酸カルシウムなどを通常的に用い、好ましくはシリカサンド、シリカチップ、シリカパウダーのように主成分がシリカであるものが良く、人造石を製造するために優れた硬度及び研磨の際、割れ現象が起こらない。
【0038】
前記表面研磨処理段階を行った樹脂系人造石は、透明チップの表面にコーティングされた金属粉末、アルミニウムペースト、ホログラム等の着色物質が研磨によって剥がれた人造石の内部で金属質感を表すことによって、天然石の質感及び貴金属の感じを示すことができる。
【0039】
本発明に係る金属粉末の着色物質で表面処理された金属質感を有する人造石用のチップを含む人造石は、より高級でかつ天然石に近いパターン及び質感演出が可能である。具体的には、上記のような本発明に係る金属粉末の着色物質で表面処理された金属質感を有する人造石用のチップを含む人造石は、ビックギャラクシー(big galaxy)、ミディアムギャラクシー(medium galaxy)のような天然石のパターン及び質感を表現することができるようになる。
【0040】
本発明は下記実施例によってさらによく理解されることができ、下記実施例は本発明の例示目的ためのものであり、添付された特許請求の範囲によって限定される保護範囲を制限しようとするのではない。
【実施例】
【0041】
シリカ含有透明チップを着色物質でコーティングして天然の金属のような質感を有する人造石用の透明チップを製造する段階
ハイタン2液型アクリルウレタン樹脂(韓国のNORRUPPYO Paint&Coatings Co., Ltd.製)1重量部に対して、ハイタン2液型アクリルウレタン樹脂用硬化剤(韓国のNORRUPPYO Paint&Coatings Co., Ltd.製)2.0重量部、銅粉(韓国のJunsung Trading Co., Ltd.製)4.0重量部及び1.0〜5.0mmの大きさの透明ガラス(韓国のAJU INDUSTRY Co., Ltd.製)から製造された透明ガラスチップ300重量部を含む樹脂混合物をミキサーで混合した。この混合された樹脂混合物を乾燥容器に盛って80℃のオーブンで2時間硬化した後、硬化された樹脂混合物を常温で2時間以上乾燥した。図1は、上記のようにして得られた着色物質で表面処理された金属質感を有する樹脂人造石用の透明チップの写真である。
【0042】
着色物質でコーティングされた透明チップから人造石を製造する段階
市販の不飽ポリエステル樹脂であるCRAY VALLEY KOREAのCN−7640 1重量部に対して、無機充填材として0.1〜1.0mmの大きさのシリカサンド(ケイ砂)6.0重量部、上記で製造された着色物質でコーティングされた金属の質感を有する人造石用の透明チップ0.3重量部、硬化剤としてt−ブチルペルオキシベンゾエート(AKZO Chemical Co., Ltd.製)0.02重量部、シランカップリング剤(Hung Pai Chemical Co.製)0.01重量部、6%コバルトナフテネイト(韓国のJINYANG CHEMICAL Co., Ltd.製)0.002重量部及び粉末状の無機顔料318 M,B212(韓国のWOOSHIN Pigment Co.,Ltd.製)0.1重量部を含む樹脂混合物をミキサーで混合した。
【0043】
前記樹脂混合物をミキサーで混合した後、混合された樹脂混合物をモールドに盛って均一にした。このように当該樹脂混合物が盛られたモールドを振動させ及び圧縮を加えて、当該樹脂混合物がモールド全体に均一に分布されるようにすることによって、矩形の樹脂系人造石の形態が備えられるようにした。
【0044】
上記の段階を経て均一に分散された樹脂混合物をプレスを利用して圧縮成形した後に硬化及び表面研磨処理して、最終的に着色物質で表面処理された金属質感を有する人造石用のチップを含む人造石を製造した。
【0045】
図2は、上記のようにして得られた着色物質で表面処理された金属質感を有する人造石用のチップを含む人造石の写真である。
【0046】
本発明で製造された着色物質で表面処理された金属質感を有する人造石用のチップを含む人造石は、添付された図2の写真や肉眼で観察しても、天然石のパターン及び質感を具現することが分かる。
【0047】
本発明の単なる変形または変更は、この分野における通常の知識を有する者であれば容易に実施することができ、かかる変形や変更は全て本発明の保護範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカ含有透明チップを着色物質で表面処理し、比重が2.0〜2.65の範囲である、天然の金属の質感およびパターンを有する人造石用の透明チップ。
【請求項2】
前記シリカ含有透明チップは、砕石、キーストーンチップ、水晶(quartz)、クオーツ−シリカ(quartz−silica)チップ、シリカ系石粉、石英ガラス(quartz glass)、合成石英(synthetic quartz)、シリカ(silica)、二酸化ケイ素(silicon dioxide)、シリカガラス(silica glass)及びガラスからなる群から選択される一つ以上である、請求項1に記載の人造石用の透明チップ。
【請求項3】
前記着色物質としては、金、銀、銅、アルミニウム及びニッケルからなる群から選択される一つ以上の金属の粉末である、請求項1または2に記載の人造石用の透明チップ。
【請求項4】
前記着色物質がアルミニウムペースト、ホログラム又はこれらの混合物をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の人造石用の透明チップ。
【請求項5】
前記表面処理は、コーティング又は堆積である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の人造石用の透明チップ。
【請求項6】
モース硬度が5〜9の範囲である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の人造石用の透明チップ。
【請求項7】
高透明樹脂に着色物質、硬化剤及びシリカ含有透明チップを混合する段階と、この混合された混合物を乾燥容器に盛ってオーブンで硬化する段階と、この硬化された樹脂混合物を常温で乾燥する段階とによって製造され、
前記高透明樹脂は、ASTM D4890試験法を適用して測定したAPHA色相インデックスが10〜70の範囲であり、前記硬化された樹脂混合物は、比重が2.0〜2.65の範囲である、人造石用の透明チップの製造方法。
【請求項8】
前記混合された混合物は、高透明樹脂1重量部を基準として、着色物質0.1〜5.0重量部と、硬化剤0.01〜2.5重量部と、シリカ含有透明チップ80〜500重量部とを含む、請求項7に記載の人造石用の透明チップの製造方法。
【請求項9】
前記高透明樹脂は、ウレタンアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、およびポリエステルポリオール樹脂からなる群から選択される一つ以上である、請求項7または8に記載の人造石用の透明チップの製造方法。
【請求項10】
前記高透明樹脂は、好ましくはウレタンアクリレート樹脂である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の人造石用の透明チップの製造方法。
【請求項11】
前記硬化剤は、ペルオキシエステル、ポリイソシアネート、過酸化物又はこれらの混合物である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の人造石用の透明チップの製造方法。
【請求項12】
前記高透明樹脂は、ウレタンアクリレート樹脂であり、前記硬化剤は、イソシアネートである、請求項7〜11のいずれか1項に記載の人造石用の透明チップの製造方法。
【請求項13】
前記ウレタンアクリレート樹脂は、20〜50wt%であり、前記イソシアネート類は、50〜80wt%である、請求項12に記載の人造石用の透明チップの製造方法。
【請求項14】
前記高透明樹脂は、不飽和ポリエステル系樹脂であり、硬化剤は、過酸化物(peroxyester)である、請求項7〜11のいずれか1項に記載の人造石用の透明チップの製造方法。
【請求項15】
前記不飽和ポリエステル系樹脂は、一つ以上のグリコール類を有し、飽和酸及び不飽和酸を含む、請求項14に記載の人造石用の透明チップの製造方法。
【請求項16】
前記不飽和ポリエステルのグリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール、グリセリン等の3価アルコール及びペンタエリトリトール(pentaerythrytol)からなる群から選択される多価アルコールを用いることができ、
記飽和酸としては、無水フタル酸(phathalic anhydride)、テレフタル酸(terephthalic acid)、およびイソフタル酸(isophthalic acid)からなる群から選択される、
記不飽和酸は、マレイン酸(maleic acid)である、請求項15に記載の金属質感を有する人造石用の透明チップの製造方法。
【請求項17】
前記不飽和ポリエステル樹脂40〜90wt%溶液に、SM(styrene monomer)又はDAP(diallyl phthalate)モノマーから選択される一つ以上を添加し、かつ粘度調節のための当該モノマー濃度を10〜60wt%に調整する、請求項14に記載の人造石用の透明チップの製造方法。
【請求項18】
請求項1〜6に記載の人造石用の透明チップにベース樹脂として高分子マトリックス樹脂と無機充填材とを混合して製造される、天然の金属の質感とパターンとを有する人造石。
【請求項19】
前記高分子マトリックス樹脂1重量部に対して、前記無機充填材は4〜24重量部及び請求項1〜6に記載の人造石用の透明チップは0.1〜5.0重量部の含量比で混合される、請求項18に記載の人造石。
【請求項20】
前記高分子マトリックス樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、またはビニルエステル樹脂の少なくともいずれか一つである、請求項18または19に記載の人造石。
【請求項21】
硬化剤、架橋剤、粉末状の顔料または触媒剤の少なくともいずれか一つをさらに含む、請求項18〜20のいずれか1つに記載の人造石。
【請求項22】
請求項1〜6に記載の人造石用の透明チップの比重は2.0〜2.65の範囲であり、ベース樹脂の比重は2.2〜2.8の範囲であり、前記チップの比重がベース樹脂の比重以下である、請求項18〜21に記載の人造石。
【請求項23】
ベース樹脂として高分子マトリックス樹脂1重量部に、無機充填材4〜24重量部及び請求項1〜6に記載の人造石用のチップ0.1〜5.0重量部を混合する段階と、
この混合された樹脂混合物をモールドに盛って均一に製型する段階と、
このモールドに盛られた樹脂混合物を圧縮成形した後に硬化及び表面研磨処理する段階と、によって製造され、
請求項1〜6に記載の人造石用のチップの比重は2.0〜2.65の範囲であり、ベース樹脂の比重は2.2〜2.8の範囲であり、チップの比重がベース樹脂の比重以下である、人造石の製造方法。
【請求項24】
硬化剤、架橋剤、粉末状の顔料または触媒剤の少なくともいずれか一つをさらに含む、請求項23に記載の人造石の製造方法。

【図1】
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【図2】
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