説明

睡眠用レッグウェア

【課題】足を温めると共に、睡眠時の深部体温の低下を補助することが可能な睡眠用レッグウェアを提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る睡眠用レッグウェア1は、睡眠時に着用するためのレッグウェアであって、着用者の足を締め付けない内側部材20と外側部材10とを重ねた二重構造であり、内側部材20の表面は起毛状をなし、外側部材10は、内側部材20より高いドレープ性を有し、かつ、内側部材20より滑らかな表面を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠時に着用するためのレッグウェアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
睡眠は、疲労の回復や免疫細胞の活性化、自律神経のコントロールなど人間の生活において重要な役割を果たしていると言われている。それゆえ、睡眠の阻害は人体にとって様々な悪影響があるが、逆に快適な睡眠は健康に大きく寄与することが知られている。一方、女性においては、冷え性で悩む人が多く、特に足の冷えが睡眠の阻害要因となっていることも少なくない。この点について、足の冷えを抑えるために靴下を着用して睡眠する人もいるが、締め付けにより不快感を覚えたり、血行を阻害して逆効果を招いたりする。締付けのゆるい靴下を着用すると寝具の中でズレたり脱げ易くなってしまう。
【0003】
これらの点に関し、特許文献1には、足を締め付けることなく、かつ、ずれ落ち難い構造を有する靴下が開示されている。具体的には、足の立体形状に合わせて裁断した複数枚の布地を縫合し、特に踵上に縫合部を配置することにより、締め付けなくてもずれ落ち難くなるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−68588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、靴下は元来、日中の生活における皮膚の保護や保温を目的とする着用物であって、快適な睡眠を得るためものではないため、冷え性予防などのために日常履くような靴下や保温性のみを高めた靴下を履いたとしても快適な睡眠は得られないことが多い。すなわち、快眠を得るためには、脳に休息を与え、エネルギーの消費を防ぐために深部体温を低下させる必要があると一般的に言われているが、これらの靴下ではこの深部体温の低下が阻害されることがある。
【0006】
そこで、本発明は、足を温めると共に、睡眠時の深部体温の低下を補助することが可能な睡眠用レッグウェアを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
人体は、動静脈吻合(Arteriovenous Anastomoses:AVA)という血管を開大させることによって、効率よく深部体温を低下させられることが分かっている。この動静脈吻合は、細動脈と細静脈を短絡させるバイパスの役割を果たしており、睡眠時に開大させることによって、動脈血の流量の増加とともに皮膚温度が上昇し、皮膚表面から放熱することにより深部体温が低下する。本願発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、動静脈吻合の開大を促進させることが可能であることを見出した。足部の動静脈吻合を開大させるためには、体表面の約20%を占める下腿部の平均皮膚温を上げることに加えて、リラックス状態にあること、すなわち、副交感神経の活動を高めることが重要であった。副交感神経の活動を高めるには、締め付け感や肌への刺激等のストレスを排除し、ゆったり感や快適な肌触りを与えることが効果的であるとされている。
【0008】
そこで、本発明の睡眠用レッグウェアは、睡眠時に着用するための睡眠用レッグウェアであって、着用者の足を締め付けない内側部材と外側部材とを重ねた二重構造であり、内側部材の表面は起毛状をなし、外側部材は、内側部材より高いドレープ性を有し、かつ、内側部材より滑らかな表面を有することを特徴とする。
【0009】
この睡眠用レッグウェアによれば、内側部材の表面が起毛状をなしているので、着用時に冷たさを感じることなく、足を温めることができるとともに、快適な肌触りを得ることができる。
【0010】
また、足を締め付けない部材であるので、着用したまま就寝しても不快感がない。更に、外側部材のドレープ性が高く、かつ、表面が滑らかであるので、しなやかで柔らかく、滑らかな肌触りを得ることができる。その結果、この睡眠用レッグウェアを手に取り着用するまで、すなわち睡眠前から、快適な肌触りを手に感じることにより、副交感神経の活動を高めることができる。
【0011】
このように、内側部材により平均皮膚温を上昇させ、外側部材により睡眠前より副交感神経の活動を高めるので、動静脈吻合の開大を促進させ、深部体温の低下を補助することができる。その結果、快眠を得ることができる。
【0012】
上記した外側部材は、0.7デニール以下のマイクロファイバー繊維からなることが好ましい。これによれば、外側部材のドレープ性を高くし、かつ、表面を滑らかにすることができる。すなわち、しなやかで柔らかく、滑らかな肌触りを有する外側部材を得ることができる。その結果、この睡眠用レッグウェアを手に取り着用するまで、すなわち睡眠前から、快適な肌触りを手に感じることにより、副交感神経の活動を高めることができる。
【0013】
上記した内側部材の起毛は、毛足が10mm〜70mmのマイクロファイバー繊維からなり、内側部材の起毛密度は、概ね200g/m〜500g/mであることが好ましい。これによれば、着用時の冷たさを低減し、温かさを得ることができる。また、内側部材の基布と着用者の肌との間に空気層を形成することができ、保温性を高めることができる。更には、締め付けを抑えるとともに、快適な肌触りを得ることができる。
【0014】
上記した睡眠用レッグウェアは、着用者の脚から脱げることを防止するための係止部材であって、非伸縮性を有する当該係止部材を更に備えることが好ましい。これによれば、睡眠中の寝返り等でも脱げたりズレたりすることなく、効果を持続することができる上、当該係止部材が非伸縮性であることにより、結ぶ位置等で締め付け具合を自ら調節することができるため好適である。
【0015】
上記した睡眠用レッグウェアは、足底部は滑り止め機能を有することが好ましい。これによれば、足底部が滑り止め機能を有しているので、睡眠時以外に着用しても、着用したまま室内を比較的安全に歩くことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、睡眠用レッグウェアにおいて、足を温めると共に副交感神経の活動を高めることにより、動静脈吻合を開大させることができ、睡眠時の深部体温の低下を補助することができる。その結果、快眠を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る睡眠用レッグウェアを示す斜視図である。
【図2】図1に示すつま先部を拡大して示す側面図である。
【図3】図1に示す足底部を裏側から示す図である。
【図4】図1のIV-IV線に沿う断面の一部を示す部分断面図である。
【図5】人の深部体温(直腸温)の平均的な周期を示す図である。
【図6】動静脈吻合の模式図である。
【図7】接触温冷感の評価結果を示す図である。
【図8】睡眠時の着用者の皮膚温度及び血流量の評価結果を示す図である(被験者A)。
【図9】睡眠時の着用者の皮膚温度及び血流量の評価結果を示す図である(被験者B)。
【図10】睡眠時の着用者の皮膚温度及び血流量の評価結果を示す図である(被験者C)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る睡眠用レッグウェアを示す斜視図で有り、図2は、図1に示すつま先部を拡大して示す側面図である。また、図3は、図1に示す足底部を裏側から示す図であり、図4は、図1のIV-IV線に沿う断面の一部を示す部分断面図である。この睡眠用レッグウェア1は、足の冷えを抑え、快眠を得るために睡眠時に着用するためのものであって、外側部材10と内側部材20とを重ねた二重構造となっている。
【0020】
外側部材10は、足の脛部及び足の甲部を覆う脛・甲部材11と、足の脹脛部を覆う脹脛部材12と、足の裏部を覆う足底部材13とから成る。脛・甲部材11と脹脛部材12とは足の側部における縫着部14で縫着されており、脛・甲部材11と足底部材13とは足の側部における縫着部15で縫着されている。また、脹脛部材12と足底部材13とは、踵部における縫着部16で縫着されている。靴下編機等で筒状に編み立てることによってレッグウェアとして編成可能であるが、前述の通り不要な締め付け感が生じるため好適ではない。
【0021】
同様に、内側部材20は、足の脛部及び足の甲部を覆う脛・甲部材21と、足の脹脛部を覆う脹脛部材22と、足の裏部を覆う足底部材23とから成る。脛・甲部材21と脹脛部材22とは足の側部における縫着部24で縫着されており、脛・甲部材21と足底部材23とは足の側部における縫着部25で縫着されている。また、脹脛部材22と足底部材23とは、踵部における縫着部26で縫着されている。また、内側部材20は、足の挿入口部において折り返してなる折返部27を有しており、折返部27と外側部材10とは、縫着部17で縫着されている。
【0022】
縫着部14〜16,17,24〜26の縫着方法としては、肌触りがよいM字縫い等が用いられることが好ましい。また、縫着しやすくするため、外側部材10と内側部材20とは、全面又は部分的に接着されていることが好ましい。
【0023】
これらの外側部材10及び内側部材20は、着用者の足を締め付けないように伸縮性の低いものを使用し、適度にゆとりのある着用感が得られるよう裁断・縫製を行っている。
【0024】
本実施形態では、図2に示すように、足底部材13は、いせ込み手法を用いて、足底部30がつま先部32に突出するように立体的に形成されている。これにより、縫着部15が足底部30の接地面より上方に位置するので、歩行時の着用者のつまずき等を防止することができる。
【0025】
また、図3に示すように、足底部30にはすべり止め34が設けられている。本実施形態では、すべり止め34は、ゴム部材であり、足底部30に複数設けられている。これにより、睡眠時以外に着用しても、着用したまま室内を比較的安全に歩くことができる。
【0026】
次に、外側部材10及び内側部材20について詳細に説明する。
【0027】
図4に示すように、内側部材20における脛・甲部材21、脹脛部材22、及び、足底部材23は、基布28と、基布28から起毛する起毛29からなっている。なお、この内側部材20は、毛布のように基布の所要の点位置より繊維の束が放出する構造のボア調の生地を使用している。このようにして、内側部材20における足が接触する側の表面及び折返部27の表面は起毛状をなすこととなる。
【0028】
内側部材20の起毛29は、毛足が約10mm〜70mmのマイクロファイバーポリエステル繊維からなり、その起毛密度は概ね200g/m〜500g/mである。マイクロファイバー繊維は、他の素材で代用することも可能である。但し、合成繊維についてはアクリルやナイロン等が考えられるが、接触温感の点でポリエステルが有用である。また、天然繊維について、ウール等の動物繊維は繊度が太く着用時にチクチク感があるので好適ではなく、綿などの植物繊維は速乾性に乏しいため好適ではない。加えて、内側部材20の起毛29の毛足は約15mm〜30mmであると更に好ましく、その起毛密度は約300g/m〜400g/mであると更に好ましい。
【0029】
起毛29の毛足が約10mm以上であり、その起毛密度が概ね200g/10以上であることにより、着用時の冷たさを低減し、温かさを得ることができる。また、基布28と着用者の肌との間に空気層を形成することができ、保温性を高めることができる。更には、マイクロファイバー繊維を用いることにより、肌触りを向上することができる。なお、起毛29の毛足が約70mmを超えると、好ましくは約30mmを超えると、ごそごそするなど着用感に影響が出るおそれがあり、起毛密度が約500g/mを超えると、好ましくは約400g/mを超えると、肌触りが硬く感じるおそれがある。
【0030】
一方、外側部材10は、約0.7デニール以下の超極細マイクロファイバーアクリルにより編成されている。外側部材10には、約0.4デニール以下の超極細マイクロファイバーアクリルが用いられることが更に好ましい。このようにして、外側部材10は、内側部材20より高いドレープ性及び柔軟性を有し、かつ、内側部材20より滑らかな表面を有することとなる。これにより、しなやかで柔らかく、滑らかな肌触りを得ることができる。なお、外部部材10も、内部部材20と同様に他の素材で代用することが可能であるが、同じ問題が生じる可能性がある。
【0031】
この外側部材10の表面又は繊維には、外観を損なわないよう抗ピル機能が備わっていることが好ましい。
【0032】
また、足の挿入口部には、着用者の脚から脱げたりズレたりすることを防止するための係止部材40が設けられている。係止部材40は、着用者が自ら締め付け具合を調整することができる非伸縮性のものが好ましく、本実施形態では梵天紐であり、内側部材20の折返部27に設けられている。
【0033】
ここで、図5に、人の深部体温(直腸温)の平均的な周期を示す。図5では、横軸を時間(時)、縦軸を深部体温(℃)とし、昼の12時から翌日の起床までの深部体温の推移を連続2日間、実線で表わしている。この図5から分かるように、深部体温は、入睡前後から下がり始め、午前4時頃に最も低くなり、目覚める前に上昇し始める。睡眠時の深部体温の低下は、脳に休息を与え、エネルギーの消費を防ぐために行われるものであると一般的に考えられており、これが妨げられると快眠が阻害されることとなる。
【0034】
また、入眠直後約3時間において深い眠りに入り易く、その後は眠りが浅くなる傾向がある。この入眠直後約3時間まで、すなわち快眠につながる深い眠りの間の深部体温の低下が快眠にとって重要とされている。
【0035】
人体は、動静脈吻合(Arteriovenous Anastomoses:AVA)という血管を開大させることによって、効率よく深部体温を低下させられることが分かっている。図6は、動静脈吻合の模式図である。この図6における矢印は血流を示す。動静脈吻合は、手、足、顔にのみ局在するものであり、毛細血管の手前において動脈と静脈との間にバイパスの役割を果たすものである。動静脈吻合の直径は、毛細血管の直径の約10倍であり、動静脈吻合の血流は毛細血管の血流の約1万倍となるといわれている。この動静脈吻合を開くことによって、動脈血の流量の増加とともに皮膚温度が上昇し、放熱することにより深部体温が低下する。
【0036】
この動静脈吻合を開くための条件は、第1に平均皮膚温を上昇させること、第2にリラックス状態にあること、すなわち、副交感神経の活動を高めることである。なお、平均皮膚温の上昇は、脳への温熱入力を経て動静脈吻合の開大へと繋がると考えられている。
【0037】
本実施形態の睡眠用レッグウェア1によれば、内側部材20の内表面が起毛状をなしているので、着用時に冷たさを感じることなく、足を温めることができる。更に、不要な締め付けを抑え、快適な触感とともに快眠を得ることができる。
【0038】
また、部材10,20は、足を締め付けない伸縮性の低い部材であるので、着用したまま就寝しても不快感がない。更に、外側部材10のドレープ性及び柔軟性が高く、かつ、表面が滑らかであるので、しなやかで柔らかく、滑らかな肌触りを得ることができる。その結果、この睡眠用レッグウェアを手に取り着用するまで、すなわち睡眠前から、快適な肌触りを手に感じることにより、副交感神経の活動を高めることができる。
【0039】
このように、内側部材20により平均皮膚温を上昇させ、外側部材10により睡眠前より副交感神経の活動を高めるので、入眠後の早いタイミングから動静脈吻合の開大を促進させ、深部体温の低下を補助することができる。その結果、入眠直後約3時間において深い眠りに入り易く、快眠を得ることができる。
【0040】
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。
【0041】
本実施形態では、脛及び脹脛を覆う長さの睡眠用レッグウェアを例示したが、睡眠用レッグウェアの長さはこれに限定されるものではない。例えば、着用者の好みに応じて踝近傍までのショートタイプであってもよいし、膝上までのロングタイプであってもよい。
【0042】
また、本実施形態では、係止部材として梵天紐を例示したが、係止部材はこれに限定されるものではない。例えば、マジックテープやベルトなど、伸縮性を有さず足を締め付けないものであれば様々な態様が適用可能である。
【実施例】
【0043】
図1に示す本発明の実施形態の睡眠用レッグウェア1を実施例として製作し、以下の評価を行った。なお、本実施例では、上記した睡眠用レッグウェア1において、内側部材20の起毛は毛足約15mmのマイクロファイバーとし、起毛密度を約300g/mとした。また、外側部材10には、約0.4デニールの超極細マイクロファイバーを使用した。
<接触温冷感>
【0044】
この評価では、着用した瞬間に温かさを感じる度合いを検証するために接触温冷感について、実施例と比較例との対比評価を行った。
【0045】
ここで、本実施例に対して対比を行った比較例は、出願人の商品であって、靴下として用いられるものである。比較例1は、綿及びアクリルを含む合成繊維によって一般的な靴下用編機で編成された一重構造の靴下であり、比較例2は、カシミヤを含む糸によって同じく一般的な靴下用編機で編成された一重構造の靴下である。
【0046】
評価結果を図7に示す。縦軸に接触温冷感(w/cm)とし、各サンプルの値の大きさを棒グラフの高さで示した。図7における接触温冷感の値が小さいほど、接触時に冷たさを感じることなく、温かいと感じることとなる。図7によれば、本実施例は、比較例1,2に比べ、接触時に冷たさを感じることなく、温かいと感じることがわかる。これは、内側部材20の表面を起毛状とし、起毛として毛足約15mmのマイクロファイバーポリエステル繊維を用い、起毛密度を約300g/mとしたことによるものと考えられる。
<睡眠時の着用者の皮膚温度及び血流量>
【0047】
この評価では、睡眠時の着用者の皮膚温度及び血流量の推移について、被験者3名による試着評価を行った。この評価では、実施例又は上記比較例1を試着したとき、並びに裸足のときの比較評価を行った。
【0048】
被験者Aは、25歳女性で中度の冷え性であり、被験者Bは、24歳女性で中度の冷え性である。被験者Cは、30歳男性で低度の冷え性である。
【0049】
被験者A〜Cの評価結果を図8〜10にそれぞれ示す。図8〜10は、ともに横軸を時間(0分は就床)、左縦軸を皮膚温度、右縦軸を血流量とし、睡眠中の皮膚温度と血流量の変化を計測した。また、皮膚温度・血流量ともに母指部を計測した。図8〜10において、曲線51a,51bがそれぞれ本実施例を着用したときの皮膚温度、血流を示し、曲線52a,52bがそれぞれ比較例1を着用したときの皮膚温度、血流を示し、曲線53a,53bがそれぞれ裸足のときの皮膚温度、血流を示す。
【0050】
図8〜10によれば、本実施例では、比較例1及び裸足に比べ、入睡から約90分の間に血流量を増大させるとともに、比較的早くに皮膚温度を高めること、すなわち放熱させられることがわかる。この結果から、本実施例では、比較例1及び裸足に比べ、動静脈吻合の開大を促進させ、深部体温の低下をより効果的に補助することができることがわかる。この要因は、内部部材20による平均皮膚温の上昇、並びに外側部材10のドレープ性が高く、かつ、表面が滑らかであるので、比較例1及び裸足に比べ、よりしなやかで柔らかく、滑らかな肌触りを得ることができ、その結果、手に取り着用するまで、すなわち睡眠前から、快適な肌触りを手に感じることにより、より効果的に副交感神経の活動を高めることができたことによるものと考えられる。また、血流量の増大は、足の冷えが抑えられたことを示すものとも考えられる。
<モニタの感想>
【0051】
また、本実施例について、モニタ129名による睡眠時の試着評価を行い、感想を問うた。以下に感想の一例を示す。
・柔らかい温かさで足を包んでくれて、今までよりよく寝られた。
・違和感なく朝まで履いて寝ることができた。
・温かくて気持ちがリラックスできた。
・とにかく肌触りがよく、冷えない。
・履くと冷えた足が温まるのが早い。
・指先まで毛布にくるまっている感じが心地よい。
・本当に足が冷えることが全くなかった。
・足がとことん冷えると足がぬくもるまで寝付けないが、これは直ぐ温かくなってよく眠れた。
・一度こんな靴下に出会うと手放せない。
これらの結果から、本発明による睡眠レッグウェア1は、足の冷え抑制や快眠などを実感できるものであることを実証することができた。
【符号の説明】
【0052】
1…睡眠用レッグウェア、10…外側部材、11…脛・甲部材、12…脹脛部材、13…足底部材、14〜16,17…縫着部、20…内側部材、21…脛・甲部材、22…脹脛部材、23…足底部材、24〜26…縫着部、27…折返部、28…基布、29…起毛、30…足底部、32…つま先部、40…係止部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠時に着用するための睡眠用レッグウェアであって、
着用者の足を締め付けない内側部材と外側部材とを重ねた二重構造であり、
前記内側部材の表面は起毛状をなし、
前記外側部材は、前記内側部材より高いドレープ性を有し、かつ、前記内側部材より滑らかな表面を有する、
ことを特徴とする、睡眠用レッグウェア。
【請求項2】
前記外側部材は、0.7デニール以下のマイクロファイバー繊維からなることを特徴とする、請求項1に記載の睡眠用レッグウェア。
【請求項3】
前記内側部材の起毛は、毛足10mm〜70mmのマイクロファイバー繊維からなり、
前記内側部材の起毛密度は、200g/m〜500g/mである、
ことを特徴とする、請求項1に記載の睡眠用レッグウェア。
【請求項4】
着用者の脚から脱げることを防止するための係止部材であって、非伸縮性を有する当該係止部材を更に備える、請求項1に記載の睡眠用レッグウェア。
【請求項5】
足底部は滑り止め機能を有する、請求項1に記載の睡眠用レッグウェア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−32616(P2011−32616A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182733(P2009−182733)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(592154411)岡本株式会社 (29)
【Fターム(参考)】