説明

睡眠評価装置および睡眠評価方法

【課題】携帯端末を携帯して移動しているユーザが、移動先の画像処理装置を利用できるようにする。
【解決手段】計測装置では、体動センサから入力される信号に基づいて、被測定者の睡眠のレベルの判別がなされる。当該計測装置では、時刻T3で、入床ボタンに対する操作がなされると、時刻T3が入床時刻として記憶される。時刻T4で、おやすみボタンに対する操作がなされると、睡眠のレベルの判別が開始される。そして、時刻T5で、再度おやすみボタンに対する操作がなされると、睡眠のレベルの判別が終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は睡眠評価装置および睡眠評価方法に関し、特に、非侵襲で被測定者の睡眠状態を評価する睡眠評価装置および睡眠評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、睡眠を計測する装置に関し、種々の技術が開示されている。
たとえば、特許文献1(特開2009−160001号公報)には、寝具の下に配置されるセンサを用いて被測定者の体動の時間変化を計測し、当該計測結果に基づいて、被測定者の睡眠状態やその質等を判断する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−160001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、当該装置によれば、被測定者が寝具の上に移動した後のすべての計測結果が睡眠状態やその質等の判断の材料として利用される。このことから、たとえば、被測定者が、寝床の上で、入眠前に読書やストレッチなどの軽い運動をした場合、被測定者は自発的に睡眠状態に入らないでいるにもかかわらず、当該装置は、入眠困難である旨の判断結果を出してしまう等、被測定者の睡眠状態を誤って評価する事態が想定される。
【0005】
本発明は、睡眠評価装置における被測定者の睡眠状態の評価の精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従った睡眠評価装置は、寝床上の被測定者の身体の動きを検出するための体動検出手段と、体動検出手段の検出結果に基づいて、被測定者の睡眠状態を判別するための判別手段と、被測定者の入眠前の情報を入力する入力手段とを備え、入眠前の情報と体動検出結果に基づいて、睡眠状態を判別する。
【0007】
好ましくは、体動検出手段は、定常的に、寝床上の被測定者の身体の動きを検出し、入眠前の情報は、被測定者が睡眠前の状態を終了する意思を持ったタイミングを特定する情報を含み、判別手段は、特定したタイミングから、判別を開始する。
【0008】
好ましくは、体動検出手段が検出した体動情報を記憶する体動情報記憶手段をさらに備え、体動情報記憶手段に記憶された体動情報に基づいて、睡眠状態を判別し、入力手段は、体動情報記憶手段から体動情報の記憶を削除する対象となる期間を特定する情報の入力をさらに受付け、体動情報記憶手段は、削除対象期間に対応する身体の動きを特定する情報の記憶を削除する。
【0009】
好ましくは、判別手段による判別を行なう期間を特定する情報を記憶するための期間情報記憶手段をさらに備え、判別手段は、期間情報記憶手段に記憶された情報によって特定される期間において、判別を実行する。
【0010】
好ましくは、体動検出手段が検出した体動情報を記憶するための体動情報記憶手段をさらに備え、入力手段は、体動検出手段による検出の中断を指示する情報の入力をさらに受付け、体動検出手段は、入力手段に対して検出の中断を指示する情報が入力されたことに応じて、体動の検出を中断し、体動情報記憶手段は、入力手段に対して検出の中断を指示する情報が入力されたことに応じて、当該情報の入力以前の体動情報の記憶を削除する。
【0011】
好ましくは、入眠前の情報は、被測定者が寝床に位置した第1のタイミングを特定する情報と、被測定者が睡眠前の状態を終了する意思を持った第2のタイミングを特定する情報とを含み、第1のタイミングから第2のタイミングまでの時間である第1の時間を算出する演算手段をさらに備える。
【0012】
好ましくは、体動検出手段による検出結果に基づいて、第1のタイミングを特定する。
好ましくは、判別手段は、睡眠状態における睡眠のレベルをさらに判別し、演算手段は、第2のタイミングから睡眠のレベルが特定のレベルに達するまでの時間である第2の時間をさらに算出し、第1の時間と第2の時間を表示装置に表示させる表示制御手段をさらに備える。
【0013】
好ましくは、入力手段は、第1のタイミングから第2のタイミングまでの期間の被測定者の行動の種類を特定するための情報の入力をさらに受付け、表示制御手段は、第1の時間と第2の時間とともに、行動の種類を、表示装置に表示させる。
【0014】
本発明に従った睡眠評価方法は、寝床上の被測定者の身体の動きを検出するための体動検出手段を備えた睡眠評価装置において実行される睡眠評価方法であって、体動検出手段によって寝床上の被測定者の身体の動きを検出するステップと、被測定者の入眠前の情報の入力を受け付けるステップと、入眠前の情報と、体動検出手段による体動の検出結果とに基づいて、被測定者の睡眠状態を判別するステップとを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、判別手段は、入力手段に入力された被験者の入眠前の情報に基づいて、被測定者の睡眠状態を判別する。
【0016】
これにより、判別手段が、被測定者が睡眠状態の評価の対象とすることを希望する期間以外の期間を当該評価の対象とする事態を極力回避でき、これにより、睡眠評価装置による睡眠状態の評価の精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態にかかる睡眠評価装置(以下、評価装置と略する)の外観の具体例を示す図である。
【図2】評価装置の側面を表わした概略図である。
【図3】評価装置の斜め上方から見た外観の概略図である。
【図4】評価装置のハードウェア構成の具体例を示すブロック図である。
【図5】評価装置の使用例を説明する図である。
【図6】評価装置において睡眠のレベルを判別するための機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図7】ドップラーセンサを利用した体動センサからのセンサ信号の具体例を示す図である。
【図8】(A)は、図7に表わされた波形から分離された呼吸波形の具体例を示す図であり、(B)は、図7に表わされた波形から分離された体動波形の具体例を示す図である。
【図9】(A)は、図6の判別部での判別結果の具体例を示す図であり、(B)は、(A)の判別結果の補正の具体例を示す図である。
【図10】睡眠のレベルの表示の第1の具体例を示す図である。
【図11】睡眠のレベルの表示の第2の具体例を示す図である。
【図12】就寝前時間、睡眠潜時時間、および、入眠前行動の種類の表示の具体例を示す図である。
【図13】睡眠のレベルに対応した、象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例を示す図である。
【図14】睡眠のレベルに対応した、象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例を示す図である。
【図15】睡眠のレベルに対応した、象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例を示す図である。
【図16】睡眠のレベルに対応した、象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例を示す図である。
【図17】睡眠のレベルに対応した、象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例を示す図である。
【図18】睡眠のレベルに対応した、象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例を示す図である。
【図19】睡眠のレベルに対応した、象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例を示す図である。
【図20】図1の評価装置におけるボタン群に対する操作に基づく制御内容を説明するための図である。
【図21】睡眠判別処理のフローチャートである。
【図22】ボタン操作処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0019】
<外観>
図1は、本実施の形態にかかる睡眠レベル評価装置(以下、評価装置と略する)100の外観の具体例を示す図である。また、図2は評価装置100の側面を表わした概略図であり、図3は、斜め上方から見た外観の概略図である。
【0020】
図1〜図3を参照して、評価装置100は、一例として、台座に対して直方体またはその角が丸みを帯びて処理された縦長の形状の筐体が立てられた外観を有する。
【0021】
図1を参照して、台座表面には操作用のボタン群10が配備され、台座に立てられた筐体の表面には表示部20とが配備される。また、その筐体内部には、センサ30と、制御部40とが内包される。
【0022】
ボタン群10は、削除ボタン10Aと、入床ボタン10Bと、おやすみボタン10Cと、中断ボタン10Dと、データ処理ボタン10Eとを含む。各ボタンの機能については、後述する。
【0023】
以降の説明において、筐体の表示部20が設けられた面を評価装置100の正面とも称する。
【0024】
評価装置100は無線または有線での通信を行なうための通信部50を有する。通信部50は、一例として、筐体の、台座と逆側の端部よりに設けられる。そして、通信部50を用いて、パーソナルコンピュータ(以下、PC)や携帯電話機などの表示装置200に接続されて、表示装置200に対して表示データを出力する。
【0025】
<ハードウェア構成>
図4は、評価装置100のハードウェア構成の具体例を示すブロック図である。
【0026】
図4を参照して、ボタン群10、センサ30、表示部20、および通信部50は、いずれも、制御部40に接続される。
【0027】
ボタン群10は被測定者に操作されることによる操作信号を制御部40に対して出力する。
【0028】
センサ30は体動センサ31を含み、センサ信号を制御部40に対して出力する。体動センサ31としては、好適にはドップラーセンサが用いられる。以降の説明では、体動センサ31がドップラーセンサであるものとする。他には、超音波センサが用いられてもよい。
【0029】
ドップラーセンサである体動センサ31は、図示しない、測定用の電波を出力するための出力部と、受信部とを有する。受信部は、出力部から出力した電波のうち被測定体表面から反射した電波を受信し、出力した電波からの周波数の変化に応じたセンサ信号を出力する。
【0030】
なお、体動検出手段として体動センサ31に替えてカメラを備えて、制御部40において画像解析を行なうことで体動を検出してもよい。
【0031】
制御部40は、全体制御を行なうためのCPU41と、CPU41で実行されるプログラムなどを記憶するためのメモリ42とを含む。
【0032】
制御部40は、CPU41がメモリ42に記憶されている表示用のプログラムを実行し、入力された操作信号およびセンサ信号を用いて演算を実行することで、後述する睡眠のレベルを判別し、睡眠のレベルを表示するための表示データを生成する。また、制御部40は、後述する睡眠潜時時間の算出等の種々の処理を実行する。
【0033】
制御部40は、表示データに基づく画面表示を表示部20に行なうための表示制御を実行する。さらに、表示データを通信部50から表示装置200に対して送信するための通信制御を実行する。
【0034】
通信部50は、たとえば赤外線通信やBluetooth(登録商標)を利用した通信などの無線通信で、直接、表示装置200と通信するものであってもよいし、インターネット接続機能を有して、インターネットを介して表示装置200と通信するものであってもよい。
【0035】
さらに、通信部50は無線LAN(Local Area Network)のサーバ機能を有して、無線LAN接続でアクセスした表示装置200に対して、たとえばHTML(Hyper Text Markup Language)などのマークアップ言語で表現された後述の表示データを送信するようにしてもよい。
【0036】
また、評価装置100には、タイマ60が備えられている。タイマ60は、制御部40に接続されている。CPU41は、タイマ60から時刻情報を取得して、後述する入床時刻等の各時刻を特定し、メモリ41に記憶する。
【0037】
<使用例>
図5は、評価装置100の使用例を説明する図である。
【0038】
図5を参照して、評価装置100は、一例として就寝中の被測定者の近傍(たとえば枕元)に設置される。その状態で測定動作が行なわれることで、ドップラーセンサである体動センサ31から電波が出力される。
【0039】
体動センサ31から出力された電波は就寝中の被測定者の主に胸元、肩、などの辺りに到達し、そこからの反射波の周波数の変化がセンサ信号として制御部40に出力される。制御部40は、この周波数の変化に基づいて、就寝中の被測定者の胸の動きや寝返りなどの体動を検出し、その検出結果に基づいて睡眠状態として、睡眠のレベルを判別する。
【0040】
<機能構成>
図6は、評価装置100において睡眠のレベルを判別するための機能構成の具体例を示すブロック図である。図6に表わされる各機能は、主に、CPU41がメモリ42に記憶されるプログラムを実行することによってCPU41上に形成されるものであるが、少なくとも一部が電気回路などのハードウェア構成によって形成されてもよい。
【0041】
図6を参照して、評価装置100は、センサ30からのセンサ信号の入力を受付けるための入力部401と、そのセンサ信号に基づいて単位期間の睡眠状態を判別するための第1判別部402と、単位期間ごとの判別結果に基づいて、当該単位期間が所定数連続してなる一定期間の睡眠状態のレベルを判別するための第2判別部409と、睡眠状態のレベルに基づいて当該一定期間の表示態様を決定するための決定部403と、決定された表示態様に基づいて睡眠のレベルを表示する表示データを生成するための生成部404と、表示データをメモリ42に格納する処理を実行するための格納部405と、メモリ42から表示データを読み出すための読出部406と、読み出された表示データを表示部20に表示させる処理を実行するための表示制御部407と、通信部50で表示装置200に対して送信する処理を実行するための通信制御部408とを含む。
【0042】
また、評価装置100は、ボタン群10に含まれる各種ボタンからの入力情報を処理するための入力情報処理部410を含む。
【0043】
図6の例では、入力部401が、センサ30からのセンサ信号を直接受け取るものとしているが、センサ信号はメモリ42の所定領域に一時的に記憶され、入力部401は表示のための動作を行なう際にそこから読み出すようにしてもよい。
【0044】
<睡眠のレベルの判別方法>
ここで、第2判別部409での睡眠のレベルの判別方法について説明する。
【0045】
図7は、ドップラーセンサである体動センサ31からのセンサ信号の具体例を示す図である。図7は、被測定者の表面からの反射波の周波数の変化量であるセンサ信号で表わされる波長の時間変化を表わしている。
【0046】
図7を参照して、センサ信号で表わされる波形は、被測定者の呼吸に伴う体動(胸の動き)を表わす波形(以下、呼吸波形とも称する)と、寝返りなどの呼吸以外の体動(身体の動き)を表わす波形(以下、体動波形とも称する)とを含む合成波である。
【0047】
図8および図9は、図7に表わされた波形から分離された呼吸波形および体動波形の具体例を示す図である。
【0048】
安定した睡眠状態であるときのヒトの呼吸波形は周期性を有する。従って、呼吸波形の周期性が所定範囲内である場合、すなわち、その周期のばらつきが所定範囲内であるときには、概ね、安定した睡眠状態であると言える。
【0049】
また、安定した睡眠状態であるとき、寝返りなどの呼吸以外の体動は生じ難い。従って、体動波形の振幅が所定範囲内であるときには概ね安定した睡眠状態であると言え、所定範囲以上となった場合には体動が生じているために安定した睡眠状態ではないと言える。
【0050】
従って、ある期間については、その期間における呼吸波形の周期性や呼吸以外の体動の大きさに基づいて被測定者が安定した睡眠状態にあるか否かを判別することができる。なお、この例では、呼吸波形と体動波形との両波形を用いて判別するものとしているが、少なくとも一方の波形のみを用いてもよい。
【0051】
図6に示されるように、第1判別部402は、判別部4021と補正部4022とを含む。
【0052】
判別部4021は、図7に示された入力されたセンサ信号に基づく波形を、図8および図9に示される呼吸波形と体動波形とに分離する。そして、それぞれの波形に基づいて、予め規定された単位期間(図7の期間t1,t2,t3,t4,t5)ごとに、被測定者が安定した睡眠状態にあるか否かを判別する。ここでの単位期間は、たとえば30秒や1分程度が挙げられる。すなわち、呼吸波形の単位期間t1における周期のばらつきが予め設定されているしきい値よりも小さい場合には、単位期間t1における呼吸波形に周期性が見られると判断する。また、体動波形の単位期間t1における振幅が予め設定されているしきい値よりも大きいか小さいかを判断する。
【0053】
そして、判別部4021は、単位期間t1における呼吸波形に周期性があり、かつ体動波形の振幅がしきい値よりも小さい場合に、単位期間t1の当該被測定者の睡眠状態を睡眠状態(S)であると判別する。一方、判別部4021は、単位期間t1における呼吸波形に周期性がなく、かつ体動波形の振幅がしきい値よりも大きい場合に、単位期間t1の当該被測定者の睡眠状態を覚醒状態(W)であると判別する。なお、いずれか一方の条件のみが満たされている場合、つまり、単位期間t1における呼吸波形に周期性があるか、または、体動波形の振幅がしきい値よりも小さい場合に、覚醒状態と判別するようにしてもよい。
【0054】
また、判別部4021は、体動センサ31から出力された電波が届く範囲における被測定者の有無を判別しても良い。
【0055】
このような判別は、たとえば、センサ信号に基づく波形を上記したように呼吸波形と体動波形に分離した後、呼吸波形または体動波形のいずれかにおいて、当該波形の振幅が特定の値よりも小さい状態が特定の時間(たとえば、30秒間)継続した場合に、判別部4021は、上記範囲に被測定者が存在しないと判断する。そして、それ以外の場合には、上記範囲に被測定者が存在していると判断する。なお、判別部4021は、被測定者の有無の状態を、被測定者が存在すると判断した場合には状態(E)と判別し、被測定者が存在しないと判断した場合には状態(N)と判別する。
【0056】
図9(A)は、判別部4021での判別結果の具体例を示す図である。図9(A)に示されるように、判別部4021は、入力されたセンサ信号に基づく波形の単位期間ごとに、安定した睡眠状態であるか覚醒状態であるかを判別する。
【0057】
しかしながら、睡眠状態において体動が生じたり、覚醒状態において体動がなく呼吸が安定していたりする単位期間が生じる場合もある。また、被測定者以外の移動物からの反射波を受信して、その結果、体動波形にノイズが生じる場合もある。そこで、好ましくは、補正部4022は、隣接する単位期間の判別結果に応じて、当該単位期間の判別結果を補正する。
【0058】
一例として、図9(B)に、図9(A)に示された判別結果の補正の具体例を示す、図9(A)および図9(B)を参照して、補正部4022は、同一の判別結果である単位期間の連続数が所定数以下であり、かつ、当該判別結果と反対の判別結果である単位期間がこの連続した単位期間の前後に所定数以上連続している場合、その連続した単位期間の判別結果を、反対の判別結果となるように補正する。
【0059】
具体的には、判別部4021は図9(A)の単位期間t7について覚醒状態(W)と判別しているが、覚醒状態(W)と判別された単位期間は単位期間t7に対して連続しておらず(すなわち、連続数が1であり)、かつ、単位期間t7の前後において睡眠状態(S)と判別された単位期間がある程度連続している。判別結果が逆の同様の状態は単位期間t13についても見られる。
【0060】
仮に、対象とする単位期間の判別結果の連続数のしきい値(第1のしきい値)を2、その前後の単位期間の判別結果の連続数のしきい値(第2のしきい値)を2とすると、単位期間t7については、覚醒状態(W)と判別された単位期間の連続数1が上記第1のしきい値よりも小さく、かつ、単位期間t7の前後の判別結果の逆の単位期間の連続数3が上記第2のしきい値よりも大きい、という条件を満たしている。従って、補正部4022は、単位期間t7の単位期間の判別結果を、反対の判別結果である睡眠状態(S)となるように補正する。
【0061】
同様にして、補正部4022は、単位期間t13の単位期間の判別結果も、反対の判別結果である覚醒状態(W)となるように補正する。
【0062】
次に、第2判別部409は、上記単位期間が連続してなる一定期間について、各単位期間の判別結果に基づいて、睡眠のレベルを判別する。ここでの単位期間は、たとえば5分や10分程度が挙げられる。
【0063】
ここで、睡眠のレベルとは、呼吸の安定具合と、体動の有無、連続性とから定義される睡眠の深さのレベルを指す。具体例として、
レベル1:体動がなく、呼吸が安定している睡眠状態、
レベル2:単発的な体動がある睡眠状態、
レベル3:連続的な体動がある睡眠状態、
レベル4:連続的な体動が続く覚醒状態、
レベル5:完全な覚醒状態、
などが挙げられる。
【0064】
第2判別部409は、各レベルの判別値として、一定期間を構成する各単位期間の判別結果の連続数や、比率を記憶しておく。一例として、図13は上記レベル1の象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例、図14は上記レベル2の象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例、図15および図16は上記レベル3の象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例、図17は上記レベル4の象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例、図18は上記レベル5の象徴的なセンサ信号の示す波形であって特に入床時のセンサ信号の示す波形、および図19は上記レベル5の象徴的なセンサ信号の示す波形であって特に離床時のセンサ信号の示す波形を表わす図である。第2判別部409は、これらセンサ信号の示す波形に表わされた判別結果の連続数や、比率を、各レベルの判別値として予め記憶しておく。そして、図9(C)は、各一定期間ごとの睡眠のレベルの判別結果の具体例を表わす図である。すなわち、図9(B)および図9(C)を参照して、第2判別部409は、上記一定期間を構成する単位期間の連続について、判別結果の連続数と記憶している判別値とを比較すること、および、判別結果の比率と判別値とを比較すること、によって、当該一定期間の睡眠のレベルを判別する。
【0065】
<睡眠のレベルの表示例>
評価装置100では、ある時間帯について、その時間帯に属する上記一定期間ごとに、当該一定期間を表わすセグメントを睡眠のレベルに応じた表示態様とし、当該セグメントを時間経過に沿って並べて表示する。
【0066】
図10は、睡眠のレベルの表示の第1の具体例を示す図である。
図10を参照して、第1の例として、上記一定期間を表わすセグメントを時間経過に沿って並べ、それぞれのセグメントを当該一定期間の睡眠のレベルに応じた色で表示する例を示している、なお、図10においては、表示の都合上、睡眠のレベルに応じた表示色がハッチングの違いによって表現されている。これは、後述する第2の表示例でも同様である。
【0067】
第1の例による表示を行なうために、決定部403は睡眠のレベルに応じた表示色を予め記憶しておき、上記一定期間ごとに、判別された睡眠のレベルに応じた表示色を決定する。そして、生成部404は、その一定期間に対応したセグメントを決定された表示色とする表示データを生成する。
【0068】
この表示データに基づく表示処理が表示制御部407においてなされることで、または、通信制御部408の制御によって通信部50から送信された表示装置200においてなされることで、その表示部において、図10のような表示が実現される。
【0069】
図10においては、たとえば一日の時間帯に属する一定期間ごとに、当該一定期間における被測定者の睡眠のレベルが対応した色で表示される。そのため、ユーザは、被測定者の一定期間ごとの睡眠のレベルの、ある時間帯における推移を、一目で把握することができる。
【0070】
ここで、ユーザとは、被測定者と同一であっても良いし、被測定者の睡眠に関する情報を分析する医師等の被測定者と異なる者であっても良い。
【0071】
さらに、好ましくは、生成部404は、図10に示されるような表示画面を表示させるために、複数の連続した日における上記一定期間を表わすセグメントをその時間軸を同じとして日ごとに並べて表わした表示データを生成する。これにより、ユーザは、被測定者の一定期間ごとの睡眠のレベルの、ある時間帯における推移を、連続した日ごとに容易に比較することができる。これは、後述する第2の表示例でも同様である。
【0072】
なお、図10の例では、たとえば一週間などの連続した日の測定結果を並べて表示する例を表わしているが、連続した日に限定されず、たとえば毎週月曜など、特定の日の測定結果を並べて表示するようにしてもよい。これもまた、後述する第2の表示例でも同様である。
【0073】
図11は、睡眠のレベルの表示の第2の具体例を示す図である。
図11を参照して、第2の例として、上記一定期間を表わすセグメントを時間経過に沿って並べ、さらに、時間軸に直交する方向に睡眠のレベルを表わす軸を設定し、それぞれのセグメントを、少なくとも当該軸の睡眠のレベルに応じた位置に表示する例を示している。より好ましくは、図11に示されるように、さらに、各セグメントを、当該一定期間の睡眠のレベルに応じた色でも表示する。
【0074】
第2の例による表示を行なうために、睡眠のレベルを表わす軸上の当該セグメントの表示位置を決定する。そして、生成部404は、その一定期間に対応したセグメントを決定された表示位置とする表示データを生成する。表示色も併せて決定する場合には、第1の例と同様にして決定する。
【0075】
この表示データに基づく表示処理が表示制御部407においてなされることで、または、通信制御部408の制御によって通信部50から送信された表示装置200においてなされることで、その表示部において、図11のような表示が実現される。
【0076】
図11においては、たとえば一日の時間帯に属する一定期間ごとに、当該一定期間を表わすセグメントが、時間軸に直交する睡眠のレベルを示す軸に対して、被測定者の睡眠のレベルに応じた位置で表示される。そのため、ユーザは、被測定者の一定期間ごとの睡眠のレベルの、ある時間帯における推移を、一目で、かつ直感的に把握することができる。
【0077】
なお、図10、図11の例では、一定期間ごとにセグメントで表現し、当該セグメントを時間経過に沿って並べた表示を行なうものとしている。しかしながら、セグメントを用いた表示には限定されず、予め規定された時間帯全体を棒グラフとして、対応した時間を睡眠のレベルに応じた表示色とした表示、などの他の表示であってもよい。
【0078】
<動作の概要>
評価装置100は、図5を参照して説明したように、寝床(図5では「ベッド」が例示)において就寝中の被測定者の身体の動きを検出し、そして、検出した動きに基づいて、当該被測定者の睡眠のレベルを判別する。そして、判別結果は、図10または図11に示されたように、表示装置に表示される。
【0079】
ここで、被測定者は、必ずしも、寝床へと移動した直後に睡眠に入ることを予定していない場合がある。たとえば、被測定者は、寝床へと移動した後、所定の時間、読書などの行動をした後、睡眠に入ることを予定している場合がある。本明細書では、上記した「読書」のような、当該寝床に移動した後の睡眠以外の行動を「入眠前行動」という。そして、評価装置100は、さらに、入眠前行動を含めた、被測定者が寝床に移ってから就寝するまでの期間の情報についても、管理し、表示等をすることができる。
【0080】
以下に、入眠前行動を含めた情報の管理のための、評価装置100の動作について説明する。
【0081】
評価装置100では、被測定者は、寝床へと移動してきたときに、入床ボタン10Bを操作する。また、被測定者は、評価装置100に対して、入眠前行動の種類を入力する。また、被測定者は、寝床へ移動した後、入眠前行動を行なった後、睡眠に入る意思を持ったタイミングでおやすみボタン10Cを操作する。つまり、被測定者は、たとえば、寝床へ移動した後、読書等の入眠前行動を行なった後、「さぁ、寝よう。」と思った時点で、おやすみボタン10Cを操作する。
【0082】
CPU41は、各睡眠期間についての、入床ボタン10Bが操作された時刻(入床時刻)、および、おやすみボタン10Cが操作された時刻(計測開始時刻)を、メモリ42に記憶する。「睡眠期間」については、後述する。
【0083】
また、評価装置100では、被測定者は、起床時に再度おやすみボタン10Cを操作する。CPU41は、各睡眠期間についての、再度おやすみボタン10Cが操作された時刻(計測終了時刻)をメモリ42に記憶する。
【0084】
本実施の形態では、初めにおやすみボタン10Cが操作されてから再度おやすみボタン10Cが操作されるまでの期間、つまり、計測開始時刻から計測終了時刻までの期間を、睡眠期間という。
【0085】
表1は、各睡眠期間についての、入眠前行動に関する表示を行なうために記憶されている情報の一例を模式的に示す図である。
【0086】
【表1】

【0087】
表1を参照して、メモリ42には、入床時刻、計測開始時刻、および、計測終了時刻が記憶されている。なお、各時刻に関し、「/」の前は年月日を表し、後は時刻を表す。
【0088】
また、CPU41は、各入眠期間において初めて睡眠のレベルが「レベル3」に到達した時刻を、レベル3到達時刻としてメモリ42に記憶する。レベル3到達時刻においても、「/」の前は年月日を表し、後は時刻を表す。
【0089】
そして、CPU41は、計測開始時刻からレベル3到達時刻までの所要時間を算出し、睡眠潜時時間としてメモリ42に記憶する。
【0090】
また、CPU41は、入床時刻から計測開始時刻までの所要時間を算出し、就寝前時間としてメモリ42に記憶する。
【0091】
さらに、CPU41は、各入眠期間について、ボタン群10等の操作を受け付けることにより、入眠前行動の種類を特定する情報の入力を受け付けて、入眠前行動種類情報としてメモリ42に記憶する。
【0092】
<入眠前情報の表示>
CPU41は、表1を参照して説明したような情報に基づいて、各睡眠期間について、就寝前時間および睡眠潜時時間を、入眠前行動の種類とともに、表示装置に表示させる。図12は、このような表示がなされる画面の一例を示す図である。
【0093】
図12に示されるように、各睡眠期間について、入眠前行動の種類(ヨガ、読書、等)と、就寝前時間と、睡眠潜時時間とが、関連付けられて記憶されている。なお、図12の表示において、日付とは、たとえば計測開始時刻が属する日である。
【0094】
図12に示されるような表示により、被測定者は、入眠前行動と睡眠潜時時間との関係や、就寝前時間と睡眠潜時時間との関係を、容易に理解でき、理想の態様で睡眠がとれるように自己の行動(たとえば、入眠前行動の種類)を選択することができる。
【0095】
なお、睡眠潜時時間とともに表示されるのは、入眠前行動の種類または就寝前時間の少なくとも一方であればよい。
【0096】
<睡眠判別処理の動作フロー>
図21は、評価装置100における、被測定者の睡眠状態を判別するための処理(睡眠判別処理)のフローチャートである。当該処理は、たとえば、評価装置100における電源投入時に開始される。なお、当該処理における動作は、CPU41がメモリ42に記憶される表示用のプログラムを読み出して実行し、図6に示された各機能を発揮することによって実現される。
【0097】
睡眠判別処理では、CPU41において、計測フラグ、信号取得停止フラグの各フラグのON/OFFが設定される。評価装置100の初期状態では、計測フラグ、信号取得停止フラグの状態は、いずれもOFFに設定される。各フラグの機能については、後述する。
【0098】
図21を参照して、評価装置100に電源が投入されると、CPU41は、ステップS10で、評価装置100の初期化を行ない、ステップS20へ処理を進める。
【0099】
ステップS20では、CPU41は、信号取得停止フラグの状態がOFFであるか否かを判断し、OFFであると判断するとステップS30へ処理を進める。一方、ONであれば、OFFにされるまでステップS20で待機する。
【0100】
ステップS30では、CPU41は、体動センサ31を用いたセンサ信号の取得を開始して、ステップS40へ処理を進める。
【0101】
ステップS40では、CPU41は、計測フラグの状態がONであるか否かを判断し、ONであると判断するとステップS50へ処理を進める。なお、OFFであれば、ONにされるまでステップS40で待機する。
【0102】
ステップS50では、CPU41は、計測対象が体動センサ31の検出範囲内に存在するか否か、つまり、体動センサ31から出力された電波が届く範囲に被測定者が居るか否かを判別する。この判別は、たとえば、上記したように、体動センサ31から出力される信号の波形を呼吸波形と体動波形に分離した後、呼吸波形または体動波形のいずれかにおいて、当該波形の振幅が特定の値よりも小さい状態が特定の時間(たとえば、30秒間)継続したか否かに基づいて実現される。そして、被測定者が存在すると判断した場合、つまり、状態(E)と判別した場合には、CPU41は、ステップS60へ処理を進める。なお、被測定者が存在しないと判断した場合、つまり、状態(N)と判別した場合には、ステップS60の処理を行なうことなく、ステップS70へ処理を進める。
【0103】
ステップS60では、CPU41は、睡眠のレベルを判別して、ステップS70へ処理を進める。なお、ステップS60では、CPU41は、たとえば、ステップS50で得られた呼吸波形と体動波形とのそれぞれについて、予め設定された単位期間ごとの呼吸波形の周期性および/または体動波形における振幅の大きさに基づいて、単位期間ごとに、その期間における睡眠状態を判別する。さらに、当該判別結果を、隣接する単位期間の判別結果に応じて補正する。さらに、上記単位期間が連続してなる一定期間について、各単位期間の判別結果に基づいて、睡眠のレベルを判別する。そして、得られた睡眠のレベルを、当該睡眠のレベルが対応する時刻情報とともに、メモリ42に記憶する。
【0104】
ステップS70では、CPU41は、信号取得停止フラグの状態がONであるか否かを判断し、ONであると判断するとステップS80へ処理を進める。一方、OFFであると判断すると、ステップS90へ処理を進める。
【0105】
ステップS80では、CPU41は、体動センサ31を用いたセンサ信号の取得を停止させて、ステップS20へ処理を戻す。
【0106】
ステップS90では、CPU41は、計測フラグの状態がOFFであるか否かを判断し、OFFであると判断するとステップS40へ処理を戻す。一方、ONであると判断すると、ステップS50へ処理を進める。
【0107】
以上説明した睡眠判別処理では、信号取得停止フラグの状態がOFFであることを条件として、体動センサ31を用いてセンサ信号が取得される(ステップS20,30,70,80)。当該フラグの状態がOFFである場合には、当該センサ信号の取得がなされない。なお、体動センサ31は、たとえば、センサ信号の取得がなされる期間中のみ、測定の電波を出力するように制御されることが好ましい。
【0108】
また、睡眠判別処理では、計測フラグの状態がONであることを条件として、睡眠のレベルの判別が行なわれる(ステップS40,60,90)。当該フラグの状態がOFFである場合には、睡眠のレベルの判別は行なわれない。
【0109】
<ボタン操作処理の動作フロー>
評価装置100では、睡眠判別処理等の各種の処理と並行して、ボタン群10を構成する各種ボタンに対する操作を受け付ける。図22は、ボタン群10に対する操作に対応して動作するための処理(ボタン操作処理)のフローチャートである。以下、図22を参照して、当該処理の内容を説明する。
【0110】
ボタン操作処理において、CPU41は、まずステップSA10で、ボタン群10の中のいずれかのボタンについて操作がなされたか否かを判断し、操作がなされたと判断すると、ステップSA20へ処理を進める。
【0111】
ステップSA20では、CPU41は、操作されたボタンの種類に対応した処理内容を実行して、ステップSA10へ処理を戻す。
【0112】
ここで、ステップSA20において実行される、ボタンごとの処理内容を説明する。
操作されたボタンが入床ボタン10Bであった場合には、CPU41は、その時点でのタイマ60の計時時刻を、入床時刻としてメモリ42に記憶する。
【0113】
操作されたボタンがおやすみボタン10Cであった場合には、CPU41は、計測フラグの状態のON/OFFを入れ替える。つまり、当該フラグの状態がONであるときにおやすみボタン10Cが操作されると、CPU41は、当該フラグの状態をOFFにする。一方、当該フラグの状態がOFFであるときにおやすみボタン10Cが操作されると、CPU41は、当該フラグの状態をONにする。
【0114】
操作されたボタンがデータ処理ボタン10Eであった場合には、CPU41は、入眠前行動の種類を特定する情報の入力を受け付ける。この場合、たとえば、データ処理ボタン10Eが操作されたことに応じて、予めメモリ42に記憶された入眠前行動の種類の候補を表示部20に表示させる。
【0115】
候補としては、たとえば、「読書」「音楽鑑賞」「ストレッチ」「ヨガ」「その他」が挙げられる。そして、CPU41は、ボタン群10に含まれる各種ボタンの操作に基づき、当該候補の中から入眠前行動の種類を特定する情報の入力を受け付ける。
【0116】
操作されたボタンが削除ボタン10Aであった場合には、CPU41は、メモリ42に記憶された体動センサ31から出力される信号波形の中の、前回計測フラグの状態がOFFにされた時点から削除ボタン10Aが操作された時点までの期間に対応する信号波形の記憶を削除する。
【0117】
操作されたボタンが中断ボタン10Dであった場合には、削除ボタン10Aが操作されたときと同様に、メモリ42中の上記信号波形の中の、前回計測フラグの状態がOFFにされた時点から中断ボタン10Dが操作された時点までの期間に対応する信号波形の記憶を削除するとともに、さらに、信号取得停止フラグの状態をONにする。
【0118】
<動作フローのまとめ>
評価装置100では、睡眠判別処理と並行してボタン操作処理が実行される。
【0119】
これにより、おやすみボタン10Cに対する1回目の操作に応じて、睡眠のレベルの判別が開始される(ステップS40〜60)。そして、おやすみボタン10Cに対する2回目の操作に応じて、睡眠のレベルの判別が終了する(ステップS90,40)。おやすみボタン10Cに対する2回目の操作により、睡眠期間が終了する。これにより、さらにおやすみボタン10Cが操作された場合には、1回目の操作として取り扱われる。
【0120】
また、評価装置100では、削除ボタン10Aが操作されると、最新の睡眠期間が終了してから当該操作がなされた時点までの、体動センサ31によって検出された信号波形の記憶が消去される。なお、評価装置100では、ステップS30において体動センサ31が検出する信号波形の取得が開始されてからステップS80において当該信号の取得が停止されるまで、取得された波形はメモリ42に記憶されるものとする。そして、上記のような削除ボタン10Aの操作に対して記憶を消去する処理が実行されることにより、被測定者が評価装置100に記憶を残すことを希望しない期間についての信号波形の記憶を、被測定者の自発的な操作によって、消去することができる。
【0121】
さらに、評価装置100では、中断ボタン10Dが操作されると、最新の睡眠期間が終了してから当該操作がなされた時点までの、体動センサ31によって検出された信号波形の記憶が消去されるとともに、体動センサ31による信号の検出も停止される(ステップS80)。この場合、体動センサ31による信号の検出は、再度中断ボタン10Dが操作されて信号取得停止フラグの状態がOFFにされるか(ステップS20でYES)、または、評価装置100が初期化されて当該フラグの状態がOFFされる(ステップS10)まで、再開されない。
【0122】
<実施例の効果>
以上の動作が評価装置100において行なわれることにより、睡眠状態の評価の対象とすることを希望される期間以外の期間が当該評価の対象とされる事態を極力回避でき、これにより、睡眠評価装置による睡眠状態の評価の精度を向上できる。
【0123】
また、評価装置100では、CPU41は、ボタン群10に含まれる各種のボタンへの操作に基づき、上記したように、睡眠のレベルの判別や体動センサ31による信号の検出について、制御を実行した。
【0124】
当該制御の内容を、図20を参照してより具体的に説明する。
図20(A)および図20(B)は、体動センサ31から制御部40に入力される信号の時間変化を、ボタン群10の各種ボタンに対する操作のタイミングとともに示す図である。
【0125】
まず、図20(A)を参照して、評価装置100に対する電源投入の開始後、時刻T1で1回目の中断ボタン10Dに対する操作がなされると、信号停止フラグの状態がONとされ、体動センサ31から制御部40への信号の入力(メモリ42への記憶)が停止される。
【0126】
そして、時刻T2で、再度中断ボタン10Dに対する操作がなされると、信号停止フラグの状態がOFFとされ、体動センサ31から制御部40への信号の入力(メモリ42への記憶)が再開する。
【0127】
つまり、評価装置100では、中断ボタン10Dに対する操作がなされなければ、定常的に(ステップS10(図21)の後、中断されることなく)、体動センサ31から制御部40に信号が入力され、入力された信号はメモリ42に記憶される。
【0128】
そして、時刻T3で、入床ボタン10Bに対する操作がなされると、時刻T3が入床時刻としてメモリ42に記憶される。
【0129】
そして、時刻T4で、おやすみボタン10Cに対する操作がなされると、計測フラグの状態がONとされ、睡眠のレベルの判別が開始される。
【0130】
そして、時刻T5で、再度おやすみボタン10Cに対する操作がなされると、計測フラグの状態がOFFとされ、睡眠のレベルの判別が終了する。
【0131】
そして、時刻T6で、中断ボタン10Dに対する操作がなされると、信号取得停止フラグの状態がONとされ、信号停止フラグの状態がONとされ、体動センサ31から制御部40への信号の入力(メモリ42への記憶)が停止される。
【0132】
さらに、中断ボタン10Dに対する操作がなされたことにより、直前に計測フラグがOFFされた時点(図20(A)の時刻T5)から中断ボタン10Dに対する操作がなされた時点(図20(A)の時刻T6)までの、メモリ42における体動センサ31の検出信号が削除される。
【0133】
なお、本実施の形態では、信号停止フラグの状態がONとされると、体動センサ31によって検出された信号のメモリ42への記憶だけでなく、制御部40への当該信号の入力が停止されていたが、少なくとも、メモリ42に記憶されることが停止されれば良い。
【0134】
図20(B)を参照して、信号取得停止フラグの状態がOFFであり、かつ、計測フラグの状態がONである状態で、時刻T11でおやすみボタン10Cに対する操作がなされると、計測フラグの状態がOFFとされ、睡眠のレベルの検出が終了する。
【0135】
その後、時刻T12で削除ボタン10Aに対する操作がなされると、直前に計測フラグがOFFとされた時点(図20(B)中の時刻T11)から削除ボタン10Aに対する操作がなされた時点(時刻T12)までの、メモリ42における体動センサ31の検出信号の記憶が削除される。
【0136】
以上説明したように、本実施の形態では、中断ボタン10Dまたは削除ボタン10Aが操作されると、直前の計測フラグがOFFされた時点から各ボタンに対する操作がなされる時点までの、メモリ42における体動センサ31の検出信号の記憶が削除される。ここで、直前の計測フラグがOFFされた時点からではなく、各ボタンが操作される前のすべて期間に対応する検出信号の記憶が削除されても良い。
【0137】
また、本実施の形態における、睡眠のレベルの判別は、体動センサ31の検出信号の取得と同時に行なわれても良いし、または、図10〜図12等に示された各種の表示をする旨の指示がなされた時点で行なわれても良い。さらに、メモリ42における体動センサ31の検出信号が他のコンピュータに送信され、当該他のコンピュータによって処理されることによって睡眠のレベルの判別が行なわれても良い。
【0138】
また、本実施の形態では、CPU41は、データ処理ボタン10Eを含むボタン群10内のボタンが操作されることにより、入眠前行動の種類を特定する情報の入力を受け付けた。
【0139】
なお、入眠前行動の種類を特定する情報は、評価装置100に接続された入力装置に対する操作に基づいて入力されるなど、他の装置から入力されても良い。
【0140】
そして、評価装置100では、CPU41は、おやすみボタン10Cが操作されることに応じて、被測定者の睡眠のレベルを判別する。この例では、被測定者は、おやすみボタン10Cを操作することにより、判別手段による状態の判別を開始するタイミングを特定するための情報(タイミング特定用情報)として、睡眠前の状態を終了させる意思が発生した旨の情報を、入力する。また、CPU41は、被測定者の睡眠のレベルを判別することにより、被測定者の睡眠状態および覚醒状態の別の判別する。なお、たとえば、上記したレベル4またはレベル5と判別することは、被測定者の状態を覚醒状態と判別することに相当する。また、上記したレベル1〜レベル3のいずれかであると判別することは、被測定者の状態を睡眠状態と判別することに相当する。これにより、被測定者は、寝床の上に移動した後、自発的に睡眠状態に入ろうとする時点で入力手段に指示を入力し、判別手段による判別を開始させることができる。したがって、評価装置100では、被測定者が睡眠状態の評価(つまり、睡眠レベルの判別)の対象とすることを希望する期間以外の期間を当該評価の対象とする事態を極力回避でき、これにより、評価装置100による睡眠状態の評価の精度を向上できる。
【0141】
また、評価装置100では、ボタン群10の各種のボタンは、必ずしも被測定者に操作されなくとも良い。
【0142】
また、評価装置100では、おやすみボタン10Cに対する操作のタイミングに応じて、睡眠のレベルの判別の開始/停止のタイミングが調整された。なお、睡眠のレベルの判別の開始または停止の少なくとも一方のタイミング(開始時刻、停止時刻)は、それぞれメモリ42に予め記憶されていてもよい。そして、CPU41は、メモリ42に記憶された各時刻が到来すると、計測フラグの状態のON/OFFを切り替えて、睡眠のレベルの判別を開始/停止する。
【0143】
ただし、メモリ42に記憶される「開始時刻」が到来すると、CPU41は、計測フラグの状態をONに切り替えるものとする。つまり、開始時刻が到来したときにすでに計測フラグの状態がONであれば、このタイミングではCPU41は、当該フラグの状態の切替を行なわない。
【0144】
また、メモリ42に記憶される「停止時刻」が到来すると、CPU41は、計測フラグの状態をOFFに切り替えるものとする。つまり、停止時刻が到来したときにすでに計測フラグの状態がOFFであれば、このタイミングではCPU41は、当該フラグの状態の切替を行なわない。
【0145】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0146】
10 ボタン群、10A 削除ボタン、10B 入床ボタン、10C おやすみボタン、10D 中断ボタン、10E データ処理ボタン、20 表示部、30 センサ、31 体動センサ、40 制御部、41 CPU、42 メモリ、50 通信部、100 評価装置、200 表示装置、401 入力部、402 第1判別部、403 決定部、404 生成部、405 格納部、406 読出部、407 表示制御部、408 通信制御部、409 第2判別部、4021 判別部、4022 補正部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝床上の被測定者の身体の動きを検出するための体動検出手段と、
前記体動検出手段の検出結果に基づいて、被測定者の睡眠状態を判別するための判別手段と、
前記被測定者の入眠前の情報を入力する入力手段とを備え、
前記入眠前の情報と前記体動検出結果に基づいて、睡眠状態を判別する、睡眠評価装置。
【請求項2】
前記体動検出手段は、定常的に、前記寝床上の被測定者の身体の動きを検出し、
前記入眠前の情報は、被測定者が睡眠前の状態を終了する意思を持ったタイミングを特定する情報を含み、
前記判別手段は、特定した前記タイミングから、前記判別を開始する、請求項1記載の睡眠評価装置。
【請求項3】
前記体動検出手段が検出した体動情報を記憶する体動情報記憶手段をさらに備え、
前記体動情報記憶手段に記憶された前記体動情報に基づいて、睡眠状態を判別し、
前記入力手段は、前記体動情報記憶手段から前記体動情報の記憶を削除する対象となる期間を特定する情報の入力をさらに受付け、
前記体動情報記憶手段は、前記削除対象期間に対応する前記身体の動きを特定する情報の記憶を削除する、請求項1または請求項2に記載の睡眠評価装置。
【請求項4】
前記判別手段による前記判別を行なう期間を特定する情報を記憶するための期間情報記憶手段をさらに備え、
前記判別手段は、前記期間情報記憶手段に記憶された情報によって特定される期間において、前記判別を実行する、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の睡眠評価装置。
【請求項5】
前記体動検出手段が検出した体動情報を記憶するための体動情報記憶手段をさらに備え、
前記入力手段は、前記体動検出手段による検出の中断を指示する情報の入力をさらに受付け、
前記体動検出手段は、前記入力手段に対して前記検出の中断を指示する情報が入力されたことに応じて、体動の検出を中断し、
前記体動情報記憶手段は、前記入力手段に対して前記検出の中断を指示する情報が入力されたことに応じて、当該情報の入力以前の前記体動情報の記憶を削除する、請求項1に記載の睡眠評価装置。
【請求項6】
前記入眠前の情報は、
被測定者が前記寝床に位置した第1のタイミングを特定する情報と、
被測定者が睡眠前の状態を終了する意思を持った第2のタイミングを特定する情報とを含み、
前記第1のタイミングから前記第2のタイミングまでの時間である第1の時間を算出する演算手段をさらに備える、請求項1または請求項2に記載の睡眠評価装置。
【請求項7】
前記体動検出手段による前記検出結果に基づいて、前記第1のタイミングを特定する、請求項6に記載の睡眠評価装置。
【請求項8】
前記判別手段は、前記睡眠状態における睡眠のレベルをさらに判別し、
前記演算手段は、前記第2のタイミングから前記睡眠のレベルが特定のレベルに達するまでの時間である第2の時間をさらに算出し、
前記第1の時間と前記第2の時間を表示装置に表示させる表示制御手段をさらに備える、請求項7に記載の睡眠評価装置。
【請求項9】
前記入力手段は、前記第1のタイミングから前記第2のタイミングまでの期間の被測定者の行動の種類を特定するための情報の入力をさらに受付け、
前記表示制御手段は、前記第1の時間と前記第2の時間とともに、前記行動の種類を、前記表示装置に表示させる、請求項8に記載の睡眠評価装置。
【請求項10】
寝床上の被測定者の身体の動きを検出するための体動検出手段を備えた睡眠評価装置において実行される睡眠評価方法であって、
前記体動検出手段によって寝床上の被測定者の身体の動きを検出するステップと、
前記被測定者の入眠前の情報の入力を受け付けるステップと、
前記入眠前の情報と、前記体動検出手段による体動の検出結果とに基づいて、被測定者の睡眠状態を判別するステップとを備えた、睡眠評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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