睡眠評価装置および睡眠評価装置における表示方法
【課題】非侵襲で被測定者の睡眠状態を測定し、わかりやすく提示する睡眠評価装置を提供する。
【解決手段】測定装置は、被験者の身体の動きを検出するためのセンサと、表示データを生成する処理を実行するためのCPU41とを備える。CPU41は、センサからのセンサ信号に基づいて、単位期間ごとの被験者の睡眠状態を判別するための第1判別部402と、単位期間ごとの睡眠状態に基づいて、単位期間が所定数連続してなる所定期間の睡眠状態のレベルを判別する第2判別部409と、所定期間の睡眠状態のレベルに応じて、当該所定期間ごとの表示態様を決定するための決定部403と、所定期間の被験者の睡眠状態のレベルを時間軸に沿ったグラフで表示装置に表示させる表示データを生成するための生成部404とを含む。
【解決手段】測定装置は、被験者の身体の動きを検出するためのセンサと、表示データを生成する処理を実行するためのCPU41とを備える。CPU41は、センサからのセンサ信号に基づいて、単位期間ごとの被験者の睡眠状態を判別するための第1判別部402と、単位期間ごとの睡眠状態に基づいて、単位期間が所定数連続してなる所定期間の睡眠状態のレベルを判別する第2判別部409と、所定期間の睡眠状態のレベルに応じて、当該所定期間ごとの表示態様を決定するための決定部403と、所定期間の被験者の睡眠状態のレベルを時間軸に沿ったグラフで表示装置に表示させる表示データを生成するための生成部404とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は睡眠評価装置および睡眠評価装置における表示方法に関し、特に、非侵襲で被測定者の睡眠状態を評価する睡眠評価装置および睡眠評価装置における表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
健康維持にとって睡眠は重要な要素であり、睡眠パターンを知ることは健康維持の観点から重要である。
【0003】
代表的な睡眠パターンの測定方法としては睡眠ポリグラフ(PSG)検査が挙げられる。睡眠ポリグラフ検査とは、睡眠障害の診断に用いられる検査の一つであって、被測定者の脳波を測定し、その変化に基づいて睡眠の深さを確認するものである。
【0004】
簡易な方法としては、たとえば特開2009−160001号公報(以下、特許文献1)や特許第4103925号公報(以下、特許文献2)に開示されているように、寝具の下に配置されるセンサを用いて被測定者の体動の時間変化を計測し、当該計測結果に基づいて、被測定者の睡眠状態やその質等を判断する方法が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−160001号公報
【特許文献2】特許第4103925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、睡眠ポリグラフ検査では電極や多数のセンサを被測定者の頭部に装着する必要があるために被測定者の負担が大きいばかりでなく、検査中に測定者が待機する必要もあることから測定者の負担も大きいという問題があった。
【0007】
一方で、特許文献1、2に開示されている方法は睡眠ポリグラフ検査よりも被測定者への侵襲性は低いために被測定者の負担は睡眠ポリグラフ検査よりは小さいと言えるが、寝具の下に配置されるセンサを用いるものであるために寝具の制約があり、やはり、被測定者の負担はある程度はあるという問題があった。
【0008】
さらに、特許文献1、2に開示されている方法では睡眠状態と覚醒状態との判別のみなされて、その結果が出力されるものであるため、専門知識を有しないユーザは睡眠の状態がどのような状態であったかを理解し難いという問題があった。
【0009】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、被測定者への負担を軽減して当該被測定者の睡眠状態のレベルを把握しやすく提示することのできる睡眠評価装置および睡眠評価装置における表示方法を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、睡眠評価装置は、被験者の身体の動きを検出するための体動検出手段と、体動検出手段の検出結果に基づいて、所定期間の被験者の睡眠状態のレベルを時間軸に沿ったグラフで表示装置に表示させる表示データを生成するための演算手段とを備える。演算手段は、体動検出手段の検出結果に基づいて、単位期間ごとの被験者の睡眠状態を判別するための第1の判別手段と、第1の判別手段で判別された単位期間ごとの睡眠状態に基づいて、単位期間が所定数連続してなる所定期間の睡眠状態のレベルを判別する第2の判別手段と、所定期間の睡眠状態のレベルに応じて、当該所定期間ごとの表示態様を決定するための決定手段と、所定期間の睡眠状態のレベルを表示態様で表わした表示データを生成するための生成手段とを含む。
【0011】
好ましくは、表示データは、時間軸に沿って所定期間を表わすセグメントを連続して表示させるデータであって、決定手段は、所定期間の睡眠状態のレベルに応じて、当該所定期間を表わすセグメントの表示態様を決定する。
【0012】
より好ましくは、決定手段は、所定期間を表わすセグメントの色を、睡眠状態のレベルに応じた色に決定する。
【0013】
より好ましくは、表示データは、時間軸に沿って、時間軸に交差する睡眠状態のレベルを表わす軸に応じて所定期間を表わすセグメントを連続して表示させるデータであって、決定手段は、所定期間を表わすセグメントの睡眠状態のレベルを表わす軸の方向の表示位置を、睡眠状態のレベルに応じた位置に決定する。
【0014】
好ましくは、第1の判別手段は、単位期間における体動の大きさおよび/または体動の周期性に基づいて単位期間の被験者の睡眠状態を判別する。
【0015】
好ましくは、第1の判別手段は、単位期間における体動の大きさおよび/または体動の周期性に基づいて単位期間の被験者の睡眠状態を判別するための判別手段と、単位期間の被験者の睡眠状態を、単位期間に隣接する単位期間の被験者の睡眠状態の判別結果に基づいて補正するための補正手段とを含む。
【0016】
好ましくは、所定期間は一日のうちの予め規定された時間帯の属する期間であって、生成手段は、複数日についての時間帯の被験者の睡眠状態のレベルを、同一時間軸で表示させる表示データを生成する。
【0017】
本発明の他の局面に従うと、表示方法は、センサからの、被験者の身体の動きを検出したセンサ信号に基づいて、所定期間の被験者の睡眠状態のレベルを時間軸に沿ったグラフで表示装置に表示させる、睡眠評価装置における表示方法であって、センサ信号の入力を受付けるステップと、センサ信号に基づいて、単位期間ごとの被験者の睡眠状態を判別するステップと、単位期間ごとの睡眠状態の判別結果に基づいて、単位期間が連続してなる所定期間の睡眠状態のレベルを判別するステップと、所定期間の睡眠状態のレベルに応じて、当該所定期間ごとの表示態様を決定するステップと、所定期間の睡眠状態のレベルを前記表示態様で表わした表示データを生成するステップとを備える。
【発明の効果】
【0018】
この発明によると、被測定者への負担を軽減して当該被測定者の睡眠状態のレベルを取得することができる。さらに、その睡眠状態のレベルを把握しやすく提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態にかかる睡眠レベル測定装置(以下、測定装置と略する)の外観の具体例を示す図である。
【図2】測定装置の側面を表わした概略図である。
【図3】測定装置の斜め上方から見た外観の概略図である。
【図4】測定装置のハードウェア構成の具体例を示すブロック図である。
【図5】測定装置の使用例を説明する図である。
【図6】測定装置において睡眠のレベルを判定するための機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図7】ドップラーセンサである体動センサからのセンサ信号の具体例を示す図である。
【図8】(A)は、図7に表わされた波形から分離された呼吸波形の具体例を示す図であり、(B)は、図7に表わされた波形から分離された体動波形の具体例を示す図である。
【図9】(A)は、図6の判別部での判別結果の具体例を示す図であり、(B)は、(A)の判別結果の補正の具体例を示す図である。
【図10】睡眠のレベルの表示の第1の具体例を示す図である。
【図11】睡眠のレベルの表示の第2の具体例を示す図である。
【図12】測定装置における表示のための動作の流れの具体例を示すフローチャートである。
【図13】睡眠のレベルに対応した、象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例を示す図である。
【図14】睡眠のレベルに対応した、象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例を示す図である。
【図15】睡眠のレベルに対応した、象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例を示す図である。
【図16】睡眠のレベルに対応した、象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例を示す図である。
【図17】睡眠のレベルに対応した、象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例を示す図である。
【図18】睡眠のレベルに対応した、象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例を示す図である。
【図19】睡眠のレベルに対応した、象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例を示す図である。
【図20】本願発明者らが、被測定者に対して測定装置を用いて測定を行なった結果と、当該被測定者の睡眠ポリグラフ(PSG)検査の睡眠経過図とを並べて表わした図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0021】
<外観>
図1は、本実施の形態にかかる睡眠レベル測定装置(以下、測定装置と略する)100の外観の具体例を示す図である。また、図2は測定装置100の側面を表わした概略図であり、図3は、斜め上方から見た外観の概略図である。
【0022】
図1〜図3を参照して、測定装置100は、一例として、台座に対して直方体またはその角が丸みを帯びて処理された縦長の形状の筐体が立てられた外観を有する。
【0023】
図1を参照して、台座表面には操作用のボタン(あるいはボタン群)10が配備され、台座に立てられた筐体の表面には表示部20とが配備される。また、その筐体内部には、センサ30と、制御部40とが内包される。
【0024】
以降の説明において、筐体の表示部20が設けられた面を測定装置100の正面とも称する。
【0025】
測定装置100は無線または有線での通信を行なうための通信部50を有する。通信部50は、一例として、筐体の、台座と逆側の端部よりに設けられる。そして、通信部50を用いて、パーソナルコンピュータ(以下、PC)や携帯電話機などの表示装置200に接続されて、表示装置200に対して表示データを出力する。
【0026】
<ハードウェア構成>
図4は、測定装置100のハードウェア構成の具体例を示すブロック図である。
【0027】
図4を参照して、ボタン10、センサ30、表示部20、および通信部50は、いずれも、制御部40に接続される。
【0028】
ボタン10はユーザに操作されることによる操作信号を制御部40に対して出力する。
センサ30は体動センサ31を含み、センサ信号を制御部40に対して出力する。体動センサ31としては、好適にはドップラーセンサが用いられる。以降の説明では、体動センサ31がドップラーセンサであるものとする。他には、超音波センサや赤外線センサが用いられてもよい。
【0029】
ドップラーセンサである体動センサ31は、図示しない、測定用の電波を出力するための出力部と、受信部とを有する。受信部は、出力部から出力した電波のうち被測定体表面から反射した電波を受信し、出力した電波からの周波数の変化に応じたセンサ信号を出力する。
【0030】
なお、体動を検出する機構として体動センサ31に替えてカメラを備えて、制御部40において画像解析を行なうことで体動を検出してもよい。
【0031】
制御部40は、全体制御を行なうためのCPU41と、CPU41で実行されるプログラムなどを記憶するためのメモリ42とを含む。制御部40は、CPU41がメモリ42に記憶されている表示用のプログラムを実行し、入力された操作信号およびセンサ信号を用いて演算を実行することで、後述する睡眠のレベルを算出し、睡眠のレベルを表示するための表示データを生成する。
【0032】
制御部40は、表示データに基づく画面表示を表示部20に行なうための表示制御を実行する。さらに、表示データを表示装置200に対して通信部50から送信するための通信制御を実行する。
【0033】
通信部50は、たとえば赤外線通信やBluetooth(登録商標)を利用した通信などの無線通信で、直接、表示装置200と通信するものであってもよいし、インターネット接続機能を有して、インターネットを介して表示装置200と通信するものであってもよい。
【0034】
さらに、通信部50は無線LAN(Local Area Network)のサーバ機能を有して、無線LAN接続でアクセスした表示装置200に対して、たとえばHTML(Hyper Text Markup Language)などのマークアップ言語で表現された後述の表示データを送信するようにしてもよい。
【0035】
<使用例>
図5は、測定装置100の使用例を説明する図である。
【0036】
図5を参照して、測定装置100は、一例として就寝中の被測定者の近傍(たとえば枕元)に設置される。その状態で測定動作が行なわれることで、ドップラーセンサである体動センサ31から電波が出力される。
【0037】
体動センサ31から出力された電波は就寝中の被測定者の主に胸元、肩、などの辺りに到達し、そこからの反射波の周波数の変化がセンサ信号として制御部40に出力される。制御部40は、この周波数の変化に基づいて、就寝中の被測定者の胸の動きや寝返りなどの体動を検出し、その検出結果に基づいて睡眠のレベルを判定する。
【0038】
<機能構成>
図6は、測定装置100において睡眠のレベルを判定するための機能構成の具体例を示すブロック図である。図6に表わされる各機能は、主に、CPU41がメモリ42に記憶されるプログラムを実行することによってCPU41上に形成されるものであるが、少なくとも一部が電気回路などのハードウェア構成によって形成されてもよい。
【0039】
図6を参照して、測定装置100は、センサ30からのセンサ信号の入力を受付けるための入力部401と、そのセンサ信号に基づいて単位期間の睡眠状態を判別するための第1判別部402と、単位期間ごとの判別結果に基づいて、当該単位期間が所定数連続してなる一定期間の睡眠状態のレベルを判別するための第2判別部409と、睡眠状態のレベルに基づいて当該一定期間の表示態様を決定するための決定部403と、決定された表示態様に基づいて睡眠のレベルを表示する表示データを生成するための生成部404と、表示データをメモリ42に格納する処理を実行するための格納部405と、メモリ42から表示データを読み出すための読出部406と、読み出された表示データを表示部20に表示させる処理を実行するための表示制御部407と、通信部50で表示装置200に対して送信する処理を実行するための通信制御部408とを含む。
【0040】
図6の例では、入力部401が、センサ30からのセンサ信号を直接受け取るものとしているが、センサ信号はメモリ42の所定領域に一時的に記憶され、入力部401は表示のための動作を行なう際にそこから読み出すようにしてもよい。
【0041】
<睡眠のレベルの判別方法>
ここで、第2判別部409での睡眠のレベルの判別方法について説明する。
【0042】
図7は、ドップラーセンサである体動センサ31からのセンサ信号の具体例を示す図である。図7は、体動センサからの搬送波と被測定者の表面からの反射波との位相の変位量に関係する電圧値の時間変化を表わしている。
【0043】
図7を参照して、センサ信号で表わされる波形は、被測定者の呼吸に伴う体動(胸の動き)を表わす波形(以下、呼吸波形とも称する)と、寝返りなどの呼吸以外の体動を表わす波形(以下、体動波形とも称する)とを含む合成波である。
【0044】
図8および図9は、図7に表わされた波形から分離された呼吸波形および体動波形の具体例を示す図である。
【0045】
安定した睡眠状態であるときのヒトの呼吸波形は周期性を有する。従って、呼吸波形の周期性が所定範囲内である場合、すなわち、その周期のばらつきが所定範囲内であるときには、概ね、安定した睡眠状態であると言える。
【0046】
また、安定した睡眠状態であるとき、寝返りなどの呼吸以外の体動は生じ難い。従って、体動波形の振幅が所定範囲内であるときには概ね安定した睡眠状態であると言え、所定範囲以上となった場合には体動が生じているために安定した睡眠状態ではないと言える。
【0047】
従って、ある期間については、その期間における呼吸波形の周期性や呼吸以外の体動の大きさに基づいて被測定者が安定した睡眠状態にあるか否かを判別することができる。なお、この例では、呼吸波形と体動波形との両波形を用いて判別するものとしているが、少なくとも一方の波形のみを用いてもよい。
【0048】
図6に示されるように、第1判別部402は、判別部4021と補正部4022とを含む。
【0049】
判別部4021は、図7に示された入力されたセンサ信号に基づく波形を、図8および図9に示される呼吸波形と体動波形とに分離する。そして、それぞれの波形に基づいて、予め規定された単位期間(図7の期間t1,t2,t3,t4,t5)ごとに、被測定者が安定した睡眠状態にあるか否かを判別する。ここでの単位期間は、たとえば30秒や1分程度が挙げられる。すなわち、呼吸波形の単位期間t1における周期のばらつきが予め設定されているしきい値よりも小さい場合には、単位期間t1における呼吸波形に周期性が見られると判断する。また、体動波形の単位期間t1における振幅が予め設定されているしきい値よりも大きいか小さいかを判断する。
【0050】
そして、判別部4021は、単位期間t1における呼吸波形に周期性があり、かつ体動波形の振幅がしきい値よりも小さい場合に、単位期間t1の当該被測定者の睡眠状態を睡眠状態(S)であると判別する。一方、判別部4021は、単位期間t1における呼吸波形に周期性がなく、かつ体動波形の振幅がしきい値よりも大きい場合に、単位期間t1の当該被測定者の睡眠状態を覚醒状態(W)であると判別する。なお、いずれか一方の条件のみが満たされている場合、つまり、単位期間t1における呼吸波形に周期性があるか、または、体動波形の振幅がしきい値よりも小さい場合に、覚醒状態と判別するようにしてもよい。
【0051】
図9(A)は、判別部4021での判別結果の具体例を示す図である。図9(A)に示されるように、判別部4021は、入力されたセンサ信号に基づく波形の単位期間ごとに、安定した睡眠状態であるか覚醒状態であるかを判別する。
【0052】
しかしながら、睡眠状態において体動が生じたり、覚醒状態において体動がなく呼吸が安定していたりする単位期間が生じる場合もある。また、被測定者以外の移動物からの反射波を受信して、その結果、体動波形にノイズが生じる場合もある。そこで、好ましくは、補正部4022は、隣接する単位期間の判別結果に応じて、当該単位期間の判別結果を補正する。
【0053】
一例として、図9(B)に、図9(A)に示された判別結果の補正の具体例を示す、図9(A)および図9(B)を参照して、補正部4022は、同一の判別結果である単位期間の連続数が所定数以下であり、かつ、当該判別結果と反対の判別結果である単位期間がこの連続した単位期間の前後に所定数以上連続している場合、その連続した単位期間の判別結果を、反対の判別結果となるように補正する。
【0054】
具体的には、判別部4021は図9(A)の単位期間t7について覚醒状態(W)と判別しているが、覚醒状態(W)と判別された単位期間は単位期間t7に対して連続しておらず(すなわち、連続数が1であり)、かつ、単位期間t7の前後において睡眠状態(S)と判別された単位期間がある程度連続している。判別結果が逆の同様の状態は単位期間t13についても見られる。
【0055】
仮に、対象とする単位期間の判別結果の連続数のしきい値(第1のしきい値)を2、その前後の単位期間の判別結果の連続数のしきい値(第2のしきい値)を2とすると、単位期間t7については、覚醒状態(W)と判別された単位期間の連続数1が上記第1のしきい値よりも小さく、かつ、単位期間t7の前後の判別結果の逆の単位期間の連続数3が上記第2のしきい値よりも大きい、という条件を満たしている。従って、補正部4022は、単位期間t7の単位期間の判別結果を、反対の判別結果である睡眠状態(S)となるように補正する。
【0056】
同様にして、補正部4022は、単位期間t13の単位期間の判別結果も、反対の判別結果である覚醒状態(W)となるように補正する。
【0057】
次に、第2判別部409は、上記単位期間が連続してなる一定期間について、各単位期間の判別結果に基づいて、睡眠のレベルを判別する。ここでの単位期間は、たとえば5分や10分程度が挙げられる。
【0058】
ここで、睡眠のレベルとは、呼吸の安定具合と、体動の有無、連続性とから定義される睡眠の状態のレベルを指す。具体例として、
レベル1:体動がなく、呼吸が安定している睡眠状態、
レベル2:単発的な体動がある睡眠状態、
レベル3:連続的な体動がある睡眠状態、
レベル4:連続的な体動が続く覚醒状態、
レベル5:完全な覚醒状態、
などが挙げられる。
【0059】
第2判別部409は、各レベルの判定値として、一定期間を構成する各単位期間の判別結果の連続数や、比率を記憶しておく。一例として、図13は上記レベル1の象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例、図14は上記レベル2の象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例、図15および図16は上記レベル3の象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例、図17は上記レベル4の象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例、図18は上記レベル5の象徴的なセンサ信号の示す波形であって特に入床時のセンサ信号の示す波形、および図19は上記レベル5の象徴的なセンサ信号の示す波形であって特に離床時のセンサ信号の示す波形を表わす図である。第2判別部409は、これらセンサ信号の示す波形に表わされた判別結果の連続数や、比率を、各レベルの判定値として予め記憶しておく。そして、図9(C)は、各一定期間ごとの睡眠のレベルの判定結果の具体例を表わす図である。すなわち、図9(B)および図9(C)を参照して、第2判別部409は、上記一定期間を構成する単位期間の連続について、判定結果の連続数と記憶している判定値とを比較すること、および、判定結果の比率と判定値とを比較すること、によって、当該一定期間の睡眠のレベルを判別する。
【0060】
<表示例>
測定装置100では、ある時間帯について、その時間帯に属する上記一定期間ごとに、当該一定期間を表わすセグメントを睡眠のレベルに応じた表示態様とし、当該セグメントを時間経過に沿って並べて表示する。
【0061】
図10は、睡眠のレベルの表示の第1の具体例を示す図である。
図10を参照して、第1の例として、上記一定期間を表わすセグメントを時間経過に沿って並べ、それぞれのセグメントを当該一定期間の睡眠のレベルに応じた色で表示する例を示している、なお、図10においては、表示の都合上、睡眠のレベルに応じた表示色がハッチングの違いによって表現されている。これは、後述する第2の表示例でも同様である。
【0062】
第1の例による表示を行なうために、決定部403は睡眠のレベルに応じた表示色を予め記憶しておき、上記一定期間ごとに、判別された睡眠のレベルに応じた表示色を決定する。そして、生成部404は、その一定期間に対応したセグメントを決定された表示色とする表示データを生成する。
【0063】
この表示データに基づく表示処理が表示制御部407においてなされることで、または、通信制御部408の制御によって通信部50から送信された表示装置200においてなされることで、その表示部において、図10のような表示が実現される。
【0064】
図10においては、たとえば一日の時間帯に属する一定期間ごとに、当該一定期間における被測定者の睡眠のレベルが対応した色で表示される。そのため、ユーザは、当該被測定者の一定期間ごとの睡眠のレベルの、ある時間帯における推移を、一目で把握することができる。
【0065】
さらに、好ましくは、生成部404は、図10に示されるような表示画面を表示させるために、複数の連続した日における上記一定期間を表わすセグメントをその時間軸を同じとして日ごとに並べて表わした表示データを生成する。これにより、ユーザは、当該被測定者の一定期間ごとの睡眠のレベルの、ある時間帯における推移を、連続した日ごとに容易に比較することができる。これは、後述する第2の表示例でも同様である。
【0066】
なお、図10の例では、たとえば一週間などの連続した日の測定結果を並べて表示する例を表わしているが、連続した日に限定されず、たとえば毎週月曜など、特定の日の測定結果を並べて表示するようにしてもよい。これもまた、後述する第2の表示例でも同様である。
【0067】
図11は、睡眠のレベルの表示の第2の具体例を示す図である。
図11を参照して、第2の例として、上記一定期間を表わすセグメントを時間経過に沿って並べ、さらに、時間軸に直交する方向に睡眠のレベルを表わす軸を設定し、それぞれのセグメントを、少なくとも当該軸の睡眠のレベルに応じた位置に表示する例を示している。より好ましくは、図11に示されるように、さらに、各セグメントを、当該一定期間の睡眠のレベルに応じた色でも表示する。
【0068】
第2の例による表示を行なうために、睡眠のレベルを表わす軸上の当該セグメントの表示位置を決定する。そして、生成部404は、その一定期間に対応したセグメントを決定された表示位置とする表示データを生成する。表示色も併せて決定する場合には、第1の例と同様にして決定する。
【0069】
この表示データに基づく表示処理が表示制御部407においてなされることで、または、通信制御部408の制御によって通信部50から送信された表示装置200においてなされることで、その表示部において、図11のような表示が実現される。
【0070】
図11においては、たとえば一日の時間帯に属する一定期間ごとに、当該一定期間を表わすセグメントが、時間軸に直交する睡眠のレベルを示す軸に対して、被測定者の睡眠のレベルに応じた位置で表示される。そのため、ユーザは、当該被測定者の一定期間ごとの睡眠のレベルの、ある時間帯における推移を、一目で、かつ直感的に把握することができる。
【0071】
なお、図10、図11の例では、一定期間ごとにセグメントで表現し、当該セグメントを時間経過に沿って並べた表示を行なうものとしている。しかしながら、セグメントを用いた表示には限定されず、予め規定された時間帯全体を棒グラフとして、対応した時間を睡眠のレベルに応じた表示色とした表示、などの他の表示であってもよい。
【0072】
<動作フロー>
図12は、測定装置100における表示のための動作の流れの具体例を示すフローチャートである。図12のフローチャートに示される動作は、たとえば、ボタン10に含まれる図示しない表示ボタンの押下を受付けることで開始されてもよいし、所定のタイミング(たとえば予め規定した時刻、など)に自動的に開始されるものでもよい。この動作は、CPU41がメモリ42に記憶される表示用のプログラムを読み出して実行し、図6に示された各機能を発揮することによって実現される。
【0073】
図12を参照して、表示のための動作が開始されると、ステップS101でCPU41は、メモリ42の所定記憶領域に記憶されたセンサ信号を読み出し、ステップS103でセンサ信号の表わす波形を呼吸波形と体動波形とに分離する。たとえばステップS101で読み出したセンサ信号の示す波形が図7の波形である場合、ステップS103では、たとえば図8に示された呼吸波形と図9に示された体動波形とに分離する。
【0074】
ステップS105でCPU41は、得られた呼吸波形と体動波形とのそれぞれについて、予め設定された単位期間ごとの呼吸波形の周期性および/または体動波形における振幅の大きさに基づいて、単位期間ごとに、その期間における睡眠状態を判別する。さらに、ステップS107でCPU41は、ステップS105での判別結果を、隣接する単位期間の判別結果に応じて補正する。さらに、ステップS109でCPU41は、上記単位期間が連続してなる一定期間について、各単位期間の判別結果に基づいて、睡眠のレベルを判別する。
【0075】
そして、ステップS111でCPU41は、ステップS109での判別結果に基づいて、当該一定期間についての表示態様を決定する。たとえば、図10に示された第1の例の表示を行なう場合、ステップS111でCPU41は、睡眠のレベルの判別結果に基づいて、当該一定期間の表示色を決定する。または、図11に示された第2の例の表示を行なう場合、ステップS111でCPU41は、睡眠のレベルの判別結果に基づいて、当該一定期間の表示色を決定すると共に、その一定期間を表わすセグメントの表示位置(睡眠のレベルを表わす軸上の高さ)を決定する。
【0076】
ステップS113でCPU41は、予め表示対象として規定されている時間帯について、属する上記一定期間を表わすセグメントを時間軸に沿って配置した表示データを生成し、ステップS115でその表示データを出力する。測定装置100に備えられる表示部20で表示する場合には、当該表示データを表示部20に対して出力する。表示装置200に表示する場合には、当該表示データを通信部50から表示装置200に対して出力する。
【0077】
<実施例の効果>
以上の動作が測定装置100において行なわれることで、非侵襲で被測定者の睡眠のレベルを測定することができる。さらに、たとえば図10や図11に示されたように測定結果が表示される。すなわち、睡眠のレベルが色や表示位置などの表示態様によって提示される。
【0078】
これにより、被測定者への負担を軽減して、一目で被測定者の睡眠のレベルを把握することができる。図20は、本願発明者らが、実際の被測定者に対して測定装置100を用いて測定を行なった結果と、当該被測定者の睡眠ポリグラフ(PSG)検査の睡眠経過図とを並べて表わした図である。図20に示されるように、測定装置100を用いた場合、睡眠ポリグラフ(PSG)検査の検査結果で表わされた睡眠深度と相関性のある睡眠のレベルが得られることがわかる。そのため、測定装置100を用いることで、非侵襲で被測定者への負担を軽減して、概ね睡眠深度と同様にとらえることのできる睡眠のレベルを得ることができる。
【0079】
さらに、図10や図11に示されたように、複数の測定期間について、時間軸をそろえて測定結果を表示することで、当該複数の測定期間について当該被測定者の睡眠のレベルを比較することができ、当該被測定者の睡眠のパターンを容易に確認することができる。
【0080】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
10 ボタン、20 表示部、30 センサ、31 体動センサ、40 制御部、41 CPU、42 メモリ、50 通信部、100 測定装置、200 表示装置、401 入力部、402 第1判別部、403 決定部、404 生成部、405 格納部、406 読出部、407 表示制御部、408 通信制御部、409 第2判別部、4021 判別部、4022 補正部。
【技術分野】
【0001】
この発明は睡眠評価装置および睡眠評価装置における表示方法に関し、特に、非侵襲で被測定者の睡眠状態を評価する睡眠評価装置および睡眠評価装置における表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
健康維持にとって睡眠は重要な要素であり、睡眠パターンを知ることは健康維持の観点から重要である。
【0003】
代表的な睡眠パターンの測定方法としては睡眠ポリグラフ(PSG)検査が挙げられる。睡眠ポリグラフ検査とは、睡眠障害の診断に用いられる検査の一つであって、被測定者の脳波を測定し、その変化に基づいて睡眠の深さを確認するものである。
【0004】
簡易な方法としては、たとえば特開2009−160001号公報(以下、特許文献1)や特許第4103925号公報(以下、特許文献2)に開示されているように、寝具の下に配置されるセンサを用いて被測定者の体動の時間変化を計測し、当該計測結果に基づいて、被測定者の睡眠状態やその質等を判断する方法が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−160001号公報
【特許文献2】特許第4103925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、睡眠ポリグラフ検査では電極や多数のセンサを被測定者の頭部に装着する必要があるために被測定者の負担が大きいばかりでなく、検査中に測定者が待機する必要もあることから測定者の負担も大きいという問題があった。
【0007】
一方で、特許文献1、2に開示されている方法は睡眠ポリグラフ検査よりも被測定者への侵襲性は低いために被測定者の負担は睡眠ポリグラフ検査よりは小さいと言えるが、寝具の下に配置されるセンサを用いるものであるために寝具の制約があり、やはり、被測定者の負担はある程度はあるという問題があった。
【0008】
さらに、特許文献1、2に開示されている方法では睡眠状態と覚醒状態との判別のみなされて、その結果が出力されるものであるため、専門知識を有しないユーザは睡眠の状態がどのような状態であったかを理解し難いという問題があった。
【0009】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、被測定者への負担を軽減して当該被測定者の睡眠状態のレベルを把握しやすく提示することのできる睡眠評価装置および睡眠評価装置における表示方法を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、睡眠評価装置は、被験者の身体の動きを検出するための体動検出手段と、体動検出手段の検出結果に基づいて、所定期間の被験者の睡眠状態のレベルを時間軸に沿ったグラフで表示装置に表示させる表示データを生成するための演算手段とを備える。演算手段は、体動検出手段の検出結果に基づいて、単位期間ごとの被験者の睡眠状態を判別するための第1の判別手段と、第1の判別手段で判別された単位期間ごとの睡眠状態に基づいて、単位期間が所定数連続してなる所定期間の睡眠状態のレベルを判別する第2の判別手段と、所定期間の睡眠状態のレベルに応じて、当該所定期間ごとの表示態様を決定するための決定手段と、所定期間の睡眠状態のレベルを表示態様で表わした表示データを生成するための生成手段とを含む。
【0011】
好ましくは、表示データは、時間軸に沿って所定期間を表わすセグメントを連続して表示させるデータであって、決定手段は、所定期間の睡眠状態のレベルに応じて、当該所定期間を表わすセグメントの表示態様を決定する。
【0012】
より好ましくは、決定手段は、所定期間を表わすセグメントの色を、睡眠状態のレベルに応じた色に決定する。
【0013】
より好ましくは、表示データは、時間軸に沿って、時間軸に交差する睡眠状態のレベルを表わす軸に応じて所定期間を表わすセグメントを連続して表示させるデータであって、決定手段は、所定期間を表わすセグメントの睡眠状態のレベルを表わす軸の方向の表示位置を、睡眠状態のレベルに応じた位置に決定する。
【0014】
好ましくは、第1の判別手段は、単位期間における体動の大きさおよび/または体動の周期性に基づいて単位期間の被験者の睡眠状態を判別する。
【0015】
好ましくは、第1の判別手段は、単位期間における体動の大きさおよび/または体動の周期性に基づいて単位期間の被験者の睡眠状態を判別するための判別手段と、単位期間の被験者の睡眠状態を、単位期間に隣接する単位期間の被験者の睡眠状態の判別結果に基づいて補正するための補正手段とを含む。
【0016】
好ましくは、所定期間は一日のうちの予め規定された時間帯の属する期間であって、生成手段は、複数日についての時間帯の被験者の睡眠状態のレベルを、同一時間軸で表示させる表示データを生成する。
【0017】
本発明の他の局面に従うと、表示方法は、センサからの、被験者の身体の動きを検出したセンサ信号に基づいて、所定期間の被験者の睡眠状態のレベルを時間軸に沿ったグラフで表示装置に表示させる、睡眠評価装置における表示方法であって、センサ信号の入力を受付けるステップと、センサ信号に基づいて、単位期間ごとの被験者の睡眠状態を判別するステップと、単位期間ごとの睡眠状態の判別結果に基づいて、単位期間が連続してなる所定期間の睡眠状態のレベルを判別するステップと、所定期間の睡眠状態のレベルに応じて、当該所定期間ごとの表示態様を決定するステップと、所定期間の睡眠状態のレベルを前記表示態様で表わした表示データを生成するステップとを備える。
【発明の効果】
【0018】
この発明によると、被測定者への負担を軽減して当該被測定者の睡眠状態のレベルを取得することができる。さらに、その睡眠状態のレベルを把握しやすく提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態にかかる睡眠レベル測定装置(以下、測定装置と略する)の外観の具体例を示す図である。
【図2】測定装置の側面を表わした概略図である。
【図3】測定装置の斜め上方から見た外観の概略図である。
【図4】測定装置のハードウェア構成の具体例を示すブロック図である。
【図5】測定装置の使用例を説明する図である。
【図6】測定装置において睡眠のレベルを判定するための機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図7】ドップラーセンサである体動センサからのセンサ信号の具体例を示す図である。
【図8】(A)は、図7に表わされた波形から分離された呼吸波形の具体例を示す図であり、(B)は、図7に表わされた波形から分離された体動波形の具体例を示す図である。
【図9】(A)は、図6の判別部での判別結果の具体例を示す図であり、(B)は、(A)の判別結果の補正の具体例を示す図である。
【図10】睡眠のレベルの表示の第1の具体例を示す図である。
【図11】睡眠のレベルの表示の第2の具体例を示す図である。
【図12】測定装置における表示のための動作の流れの具体例を示すフローチャートである。
【図13】睡眠のレベルに対応した、象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例を示す図である。
【図14】睡眠のレベルに対応した、象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例を示す図である。
【図15】睡眠のレベルに対応した、象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例を示す図である。
【図16】睡眠のレベルに対応した、象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例を示す図である。
【図17】睡眠のレベルに対応した、象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例を示す図である。
【図18】睡眠のレベルに対応した、象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例を示す図である。
【図19】睡眠のレベルに対応した、象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例を示す図である。
【図20】本願発明者らが、被測定者に対して測定装置を用いて測定を行なった結果と、当該被測定者の睡眠ポリグラフ(PSG)検査の睡眠経過図とを並べて表わした図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0021】
<外観>
図1は、本実施の形態にかかる睡眠レベル測定装置(以下、測定装置と略する)100の外観の具体例を示す図である。また、図2は測定装置100の側面を表わした概略図であり、図3は、斜め上方から見た外観の概略図である。
【0022】
図1〜図3を参照して、測定装置100は、一例として、台座に対して直方体またはその角が丸みを帯びて処理された縦長の形状の筐体が立てられた外観を有する。
【0023】
図1を参照して、台座表面には操作用のボタン(あるいはボタン群)10が配備され、台座に立てられた筐体の表面には表示部20とが配備される。また、その筐体内部には、センサ30と、制御部40とが内包される。
【0024】
以降の説明において、筐体の表示部20が設けられた面を測定装置100の正面とも称する。
【0025】
測定装置100は無線または有線での通信を行なうための通信部50を有する。通信部50は、一例として、筐体の、台座と逆側の端部よりに設けられる。そして、通信部50を用いて、パーソナルコンピュータ(以下、PC)や携帯電話機などの表示装置200に接続されて、表示装置200に対して表示データを出力する。
【0026】
<ハードウェア構成>
図4は、測定装置100のハードウェア構成の具体例を示すブロック図である。
【0027】
図4を参照して、ボタン10、センサ30、表示部20、および通信部50は、いずれも、制御部40に接続される。
【0028】
ボタン10はユーザに操作されることによる操作信号を制御部40に対して出力する。
センサ30は体動センサ31を含み、センサ信号を制御部40に対して出力する。体動センサ31としては、好適にはドップラーセンサが用いられる。以降の説明では、体動センサ31がドップラーセンサであるものとする。他には、超音波センサや赤外線センサが用いられてもよい。
【0029】
ドップラーセンサである体動センサ31は、図示しない、測定用の電波を出力するための出力部と、受信部とを有する。受信部は、出力部から出力した電波のうち被測定体表面から反射した電波を受信し、出力した電波からの周波数の変化に応じたセンサ信号を出力する。
【0030】
なお、体動を検出する機構として体動センサ31に替えてカメラを備えて、制御部40において画像解析を行なうことで体動を検出してもよい。
【0031】
制御部40は、全体制御を行なうためのCPU41と、CPU41で実行されるプログラムなどを記憶するためのメモリ42とを含む。制御部40は、CPU41がメモリ42に記憶されている表示用のプログラムを実行し、入力された操作信号およびセンサ信号を用いて演算を実行することで、後述する睡眠のレベルを算出し、睡眠のレベルを表示するための表示データを生成する。
【0032】
制御部40は、表示データに基づく画面表示を表示部20に行なうための表示制御を実行する。さらに、表示データを表示装置200に対して通信部50から送信するための通信制御を実行する。
【0033】
通信部50は、たとえば赤外線通信やBluetooth(登録商標)を利用した通信などの無線通信で、直接、表示装置200と通信するものであってもよいし、インターネット接続機能を有して、インターネットを介して表示装置200と通信するものであってもよい。
【0034】
さらに、通信部50は無線LAN(Local Area Network)のサーバ機能を有して、無線LAN接続でアクセスした表示装置200に対して、たとえばHTML(Hyper Text Markup Language)などのマークアップ言語で表現された後述の表示データを送信するようにしてもよい。
【0035】
<使用例>
図5は、測定装置100の使用例を説明する図である。
【0036】
図5を参照して、測定装置100は、一例として就寝中の被測定者の近傍(たとえば枕元)に設置される。その状態で測定動作が行なわれることで、ドップラーセンサである体動センサ31から電波が出力される。
【0037】
体動センサ31から出力された電波は就寝中の被測定者の主に胸元、肩、などの辺りに到達し、そこからの反射波の周波数の変化がセンサ信号として制御部40に出力される。制御部40は、この周波数の変化に基づいて、就寝中の被測定者の胸の動きや寝返りなどの体動を検出し、その検出結果に基づいて睡眠のレベルを判定する。
【0038】
<機能構成>
図6は、測定装置100において睡眠のレベルを判定するための機能構成の具体例を示すブロック図である。図6に表わされる各機能は、主に、CPU41がメモリ42に記憶されるプログラムを実行することによってCPU41上に形成されるものであるが、少なくとも一部が電気回路などのハードウェア構成によって形成されてもよい。
【0039】
図6を参照して、測定装置100は、センサ30からのセンサ信号の入力を受付けるための入力部401と、そのセンサ信号に基づいて単位期間の睡眠状態を判別するための第1判別部402と、単位期間ごとの判別結果に基づいて、当該単位期間が所定数連続してなる一定期間の睡眠状態のレベルを判別するための第2判別部409と、睡眠状態のレベルに基づいて当該一定期間の表示態様を決定するための決定部403と、決定された表示態様に基づいて睡眠のレベルを表示する表示データを生成するための生成部404と、表示データをメモリ42に格納する処理を実行するための格納部405と、メモリ42から表示データを読み出すための読出部406と、読み出された表示データを表示部20に表示させる処理を実行するための表示制御部407と、通信部50で表示装置200に対して送信する処理を実行するための通信制御部408とを含む。
【0040】
図6の例では、入力部401が、センサ30からのセンサ信号を直接受け取るものとしているが、センサ信号はメモリ42の所定領域に一時的に記憶され、入力部401は表示のための動作を行なう際にそこから読み出すようにしてもよい。
【0041】
<睡眠のレベルの判別方法>
ここで、第2判別部409での睡眠のレベルの判別方法について説明する。
【0042】
図7は、ドップラーセンサである体動センサ31からのセンサ信号の具体例を示す図である。図7は、体動センサからの搬送波と被測定者の表面からの反射波との位相の変位量に関係する電圧値の時間変化を表わしている。
【0043】
図7を参照して、センサ信号で表わされる波形は、被測定者の呼吸に伴う体動(胸の動き)を表わす波形(以下、呼吸波形とも称する)と、寝返りなどの呼吸以外の体動を表わす波形(以下、体動波形とも称する)とを含む合成波である。
【0044】
図8および図9は、図7に表わされた波形から分離された呼吸波形および体動波形の具体例を示す図である。
【0045】
安定した睡眠状態であるときのヒトの呼吸波形は周期性を有する。従って、呼吸波形の周期性が所定範囲内である場合、すなわち、その周期のばらつきが所定範囲内であるときには、概ね、安定した睡眠状態であると言える。
【0046】
また、安定した睡眠状態であるとき、寝返りなどの呼吸以外の体動は生じ難い。従って、体動波形の振幅が所定範囲内であるときには概ね安定した睡眠状態であると言え、所定範囲以上となった場合には体動が生じているために安定した睡眠状態ではないと言える。
【0047】
従って、ある期間については、その期間における呼吸波形の周期性や呼吸以外の体動の大きさに基づいて被測定者が安定した睡眠状態にあるか否かを判別することができる。なお、この例では、呼吸波形と体動波形との両波形を用いて判別するものとしているが、少なくとも一方の波形のみを用いてもよい。
【0048】
図6に示されるように、第1判別部402は、判別部4021と補正部4022とを含む。
【0049】
判別部4021は、図7に示された入力されたセンサ信号に基づく波形を、図8および図9に示される呼吸波形と体動波形とに分離する。そして、それぞれの波形に基づいて、予め規定された単位期間(図7の期間t1,t2,t3,t4,t5)ごとに、被測定者が安定した睡眠状態にあるか否かを判別する。ここでの単位期間は、たとえば30秒や1分程度が挙げられる。すなわち、呼吸波形の単位期間t1における周期のばらつきが予め設定されているしきい値よりも小さい場合には、単位期間t1における呼吸波形に周期性が見られると判断する。また、体動波形の単位期間t1における振幅が予め設定されているしきい値よりも大きいか小さいかを判断する。
【0050】
そして、判別部4021は、単位期間t1における呼吸波形に周期性があり、かつ体動波形の振幅がしきい値よりも小さい場合に、単位期間t1の当該被測定者の睡眠状態を睡眠状態(S)であると判別する。一方、判別部4021は、単位期間t1における呼吸波形に周期性がなく、かつ体動波形の振幅がしきい値よりも大きい場合に、単位期間t1の当該被測定者の睡眠状態を覚醒状態(W)であると判別する。なお、いずれか一方の条件のみが満たされている場合、つまり、単位期間t1における呼吸波形に周期性があるか、または、体動波形の振幅がしきい値よりも小さい場合に、覚醒状態と判別するようにしてもよい。
【0051】
図9(A)は、判別部4021での判別結果の具体例を示す図である。図9(A)に示されるように、判別部4021は、入力されたセンサ信号に基づく波形の単位期間ごとに、安定した睡眠状態であるか覚醒状態であるかを判別する。
【0052】
しかしながら、睡眠状態において体動が生じたり、覚醒状態において体動がなく呼吸が安定していたりする単位期間が生じる場合もある。また、被測定者以外の移動物からの反射波を受信して、その結果、体動波形にノイズが生じる場合もある。そこで、好ましくは、補正部4022は、隣接する単位期間の判別結果に応じて、当該単位期間の判別結果を補正する。
【0053】
一例として、図9(B)に、図9(A)に示された判別結果の補正の具体例を示す、図9(A)および図9(B)を参照して、補正部4022は、同一の判別結果である単位期間の連続数が所定数以下であり、かつ、当該判別結果と反対の判別結果である単位期間がこの連続した単位期間の前後に所定数以上連続している場合、その連続した単位期間の判別結果を、反対の判別結果となるように補正する。
【0054】
具体的には、判別部4021は図9(A)の単位期間t7について覚醒状態(W)と判別しているが、覚醒状態(W)と判別された単位期間は単位期間t7に対して連続しておらず(すなわち、連続数が1であり)、かつ、単位期間t7の前後において睡眠状態(S)と判別された単位期間がある程度連続している。判別結果が逆の同様の状態は単位期間t13についても見られる。
【0055】
仮に、対象とする単位期間の判別結果の連続数のしきい値(第1のしきい値)を2、その前後の単位期間の判別結果の連続数のしきい値(第2のしきい値)を2とすると、単位期間t7については、覚醒状態(W)と判別された単位期間の連続数1が上記第1のしきい値よりも小さく、かつ、単位期間t7の前後の判別結果の逆の単位期間の連続数3が上記第2のしきい値よりも大きい、という条件を満たしている。従って、補正部4022は、単位期間t7の単位期間の判別結果を、反対の判別結果である睡眠状態(S)となるように補正する。
【0056】
同様にして、補正部4022は、単位期間t13の単位期間の判別結果も、反対の判別結果である覚醒状態(W)となるように補正する。
【0057】
次に、第2判別部409は、上記単位期間が連続してなる一定期間について、各単位期間の判別結果に基づいて、睡眠のレベルを判別する。ここでの単位期間は、たとえば5分や10分程度が挙げられる。
【0058】
ここで、睡眠のレベルとは、呼吸の安定具合と、体動の有無、連続性とから定義される睡眠の状態のレベルを指す。具体例として、
レベル1:体動がなく、呼吸が安定している睡眠状態、
レベル2:単発的な体動がある睡眠状態、
レベル3:連続的な体動がある睡眠状態、
レベル4:連続的な体動が続く覚醒状態、
レベル5:完全な覚醒状態、
などが挙げられる。
【0059】
第2判別部409は、各レベルの判定値として、一定期間を構成する各単位期間の判別結果の連続数や、比率を記憶しておく。一例として、図13は上記レベル1の象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例、図14は上記レベル2の象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例、図15および図16は上記レベル3の象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例、図17は上記レベル4の象徴的なセンサ信号の示す波形の具体例、図18は上記レベル5の象徴的なセンサ信号の示す波形であって特に入床時のセンサ信号の示す波形、および図19は上記レベル5の象徴的なセンサ信号の示す波形であって特に離床時のセンサ信号の示す波形を表わす図である。第2判別部409は、これらセンサ信号の示す波形に表わされた判別結果の連続数や、比率を、各レベルの判定値として予め記憶しておく。そして、図9(C)は、各一定期間ごとの睡眠のレベルの判定結果の具体例を表わす図である。すなわち、図9(B)および図9(C)を参照して、第2判別部409は、上記一定期間を構成する単位期間の連続について、判定結果の連続数と記憶している判定値とを比較すること、および、判定結果の比率と判定値とを比較すること、によって、当該一定期間の睡眠のレベルを判別する。
【0060】
<表示例>
測定装置100では、ある時間帯について、その時間帯に属する上記一定期間ごとに、当該一定期間を表わすセグメントを睡眠のレベルに応じた表示態様とし、当該セグメントを時間経過に沿って並べて表示する。
【0061】
図10は、睡眠のレベルの表示の第1の具体例を示す図である。
図10を参照して、第1の例として、上記一定期間を表わすセグメントを時間経過に沿って並べ、それぞれのセグメントを当該一定期間の睡眠のレベルに応じた色で表示する例を示している、なお、図10においては、表示の都合上、睡眠のレベルに応じた表示色がハッチングの違いによって表現されている。これは、後述する第2の表示例でも同様である。
【0062】
第1の例による表示を行なうために、決定部403は睡眠のレベルに応じた表示色を予め記憶しておき、上記一定期間ごとに、判別された睡眠のレベルに応じた表示色を決定する。そして、生成部404は、その一定期間に対応したセグメントを決定された表示色とする表示データを生成する。
【0063】
この表示データに基づく表示処理が表示制御部407においてなされることで、または、通信制御部408の制御によって通信部50から送信された表示装置200においてなされることで、その表示部において、図10のような表示が実現される。
【0064】
図10においては、たとえば一日の時間帯に属する一定期間ごとに、当該一定期間における被測定者の睡眠のレベルが対応した色で表示される。そのため、ユーザは、当該被測定者の一定期間ごとの睡眠のレベルの、ある時間帯における推移を、一目で把握することができる。
【0065】
さらに、好ましくは、生成部404は、図10に示されるような表示画面を表示させるために、複数の連続した日における上記一定期間を表わすセグメントをその時間軸を同じとして日ごとに並べて表わした表示データを生成する。これにより、ユーザは、当該被測定者の一定期間ごとの睡眠のレベルの、ある時間帯における推移を、連続した日ごとに容易に比較することができる。これは、後述する第2の表示例でも同様である。
【0066】
なお、図10の例では、たとえば一週間などの連続した日の測定結果を並べて表示する例を表わしているが、連続した日に限定されず、たとえば毎週月曜など、特定の日の測定結果を並べて表示するようにしてもよい。これもまた、後述する第2の表示例でも同様である。
【0067】
図11は、睡眠のレベルの表示の第2の具体例を示す図である。
図11を参照して、第2の例として、上記一定期間を表わすセグメントを時間経過に沿って並べ、さらに、時間軸に直交する方向に睡眠のレベルを表わす軸を設定し、それぞれのセグメントを、少なくとも当該軸の睡眠のレベルに応じた位置に表示する例を示している。より好ましくは、図11に示されるように、さらに、各セグメントを、当該一定期間の睡眠のレベルに応じた色でも表示する。
【0068】
第2の例による表示を行なうために、睡眠のレベルを表わす軸上の当該セグメントの表示位置を決定する。そして、生成部404は、その一定期間に対応したセグメントを決定された表示位置とする表示データを生成する。表示色も併せて決定する場合には、第1の例と同様にして決定する。
【0069】
この表示データに基づく表示処理が表示制御部407においてなされることで、または、通信制御部408の制御によって通信部50から送信された表示装置200においてなされることで、その表示部において、図11のような表示が実現される。
【0070】
図11においては、たとえば一日の時間帯に属する一定期間ごとに、当該一定期間を表わすセグメントが、時間軸に直交する睡眠のレベルを示す軸に対して、被測定者の睡眠のレベルに応じた位置で表示される。そのため、ユーザは、当該被測定者の一定期間ごとの睡眠のレベルの、ある時間帯における推移を、一目で、かつ直感的に把握することができる。
【0071】
なお、図10、図11の例では、一定期間ごとにセグメントで表現し、当該セグメントを時間経過に沿って並べた表示を行なうものとしている。しかしながら、セグメントを用いた表示には限定されず、予め規定された時間帯全体を棒グラフとして、対応した時間を睡眠のレベルに応じた表示色とした表示、などの他の表示であってもよい。
【0072】
<動作フロー>
図12は、測定装置100における表示のための動作の流れの具体例を示すフローチャートである。図12のフローチャートに示される動作は、たとえば、ボタン10に含まれる図示しない表示ボタンの押下を受付けることで開始されてもよいし、所定のタイミング(たとえば予め規定した時刻、など)に自動的に開始されるものでもよい。この動作は、CPU41がメモリ42に記憶される表示用のプログラムを読み出して実行し、図6に示された各機能を発揮することによって実現される。
【0073】
図12を参照して、表示のための動作が開始されると、ステップS101でCPU41は、メモリ42の所定記憶領域に記憶されたセンサ信号を読み出し、ステップS103でセンサ信号の表わす波形を呼吸波形と体動波形とに分離する。たとえばステップS101で読み出したセンサ信号の示す波形が図7の波形である場合、ステップS103では、たとえば図8に示された呼吸波形と図9に示された体動波形とに分離する。
【0074】
ステップS105でCPU41は、得られた呼吸波形と体動波形とのそれぞれについて、予め設定された単位期間ごとの呼吸波形の周期性および/または体動波形における振幅の大きさに基づいて、単位期間ごとに、その期間における睡眠状態を判別する。さらに、ステップS107でCPU41は、ステップS105での判別結果を、隣接する単位期間の判別結果に応じて補正する。さらに、ステップS109でCPU41は、上記単位期間が連続してなる一定期間について、各単位期間の判別結果に基づいて、睡眠のレベルを判別する。
【0075】
そして、ステップS111でCPU41は、ステップS109での判別結果に基づいて、当該一定期間についての表示態様を決定する。たとえば、図10に示された第1の例の表示を行なう場合、ステップS111でCPU41は、睡眠のレベルの判別結果に基づいて、当該一定期間の表示色を決定する。または、図11に示された第2の例の表示を行なう場合、ステップS111でCPU41は、睡眠のレベルの判別結果に基づいて、当該一定期間の表示色を決定すると共に、その一定期間を表わすセグメントの表示位置(睡眠のレベルを表わす軸上の高さ)を決定する。
【0076】
ステップS113でCPU41は、予め表示対象として規定されている時間帯について、属する上記一定期間を表わすセグメントを時間軸に沿って配置した表示データを生成し、ステップS115でその表示データを出力する。測定装置100に備えられる表示部20で表示する場合には、当該表示データを表示部20に対して出力する。表示装置200に表示する場合には、当該表示データを通信部50から表示装置200に対して出力する。
【0077】
<実施例の効果>
以上の動作が測定装置100において行なわれることで、非侵襲で被測定者の睡眠のレベルを測定することができる。さらに、たとえば図10や図11に示されたように測定結果が表示される。すなわち、睡眠のレベルが色や表示位置などの表示態様によって提示される。
【0078】
これにより、被測定者への負担を軽減して、一目で被測定者の睡眠のレベルを把握することができる。図20は、本願発明者らが、実際の被測定者に対して測定装置100を用いて測定を行なった結果と、当該被測定者の睡眠ポリグラフ(PSG)検査の睡眠経過図とを並べて表わした図である。図20に示されるように、測定装置100を用いた場合、睡眠ポリグラフ(PSG)検査の検査結果で表わされた睡眠深度と相関性のある睡眠のレベルが得られることがわかる。そのため、測定装置100を用いることで、非侵襲で被測定者への負担を軽減して、概ね睡眠深度と同様にとらえることのできる睡眠のレベルを得ることができる。
【0079】
さらに、図10や図11に示されたように、複数の測定期間について、時間軸をそろえて測定結果を表示することで、当該複数の測定期間について当該被測定者の睡眠のレベルを比較することができ、当該被測定者の睡眠のパターンを容易に確認することができる。
【0080】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
10 ボタン、20 表示部、30 センサ、31 体動センサ、40 制御部、41 CPU、42 メモリ、50 通信部、100 測定装置、200 表示装置、401 入力部、402 第1判別部、403 決定部、404 生成部、405 格納部、406 読出部、407 表示制御部、408 通信制御部、409 第2判別部、4021 判別部、4022 補正部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の身体の動きを検出するための体動検出手段と、
前記体動検出手段の検出結果に基づいて、所定期間の前記被験者の睡眠状態のレベルを時間軸に沿ったグラフで表示装置に表示させる表示データを生成するための演算手段とを備え、
前記演算手段は、
前記体動検出手段の検出結果に基づいて、単位期間ごとの前記被験者の睡眠状態を判別するための第1の判別手段と、
前記第1の判別手段で判別された前記単位期間ごとの睡眠状態に基づいて、前記単位期間が所定数連続してなる前記所定期間の睡眠状態のレベルを判別する第2の判別手段と、
前記所定期間の睡眠状態のレベルに応じて、当該所定期間ごとの表示態様を決定するための決定手段と、
前記所定期間の睡眠状態のレベルを前記表示態様で表わした表示データを生成するための生成手段とを含む、睡眠評価装置。
【請求項2】
前記表示データは、前記時間軸に沿って前記所定期間を表わすセグメントを連続して表示させるデータであって、
前記決定手段は、前記所定期間の睡眠状態のレベルに応じて、当該所定期間を表わすセグメントの表示態様を決定する、請求項1に記載の睡眠評価装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記所定期間を表わすセグメントの色を、前記睡眠状態のレベルに応じた色に決定する、請求項2に記載の睡眠評価装置。
【請求項4】
前記表示データは、前記時間軸に沿って、前記時間軸に交差する睡眠状態のレベルを表わす軸に応じて前記所定期間を表わすセグメントを連続して表示させるデータであって、
前記決定手段は、前記所定期間を表わすセグメントの前記睡眠状態のレベルを表わす軸の方向の表示位置を、前記睡眠状態のレベルに応じた位置に決定する、請求項2または3に記載の睡眠評価装置。
【請求項5】
前記第1の判別手段は、前記単位期間における前記体動の大きさおよび/または前記体動の周期性に基づいて前記単位期間の前記被験者の睡眠状態を判別する、請求項1〜4のいずれかに記載の睡眠評価装置。
【請求項6】
前記第1の判別手段は、
前記単位期間における前記体動の大きさおよび/または前記体動の周期性に基づいて前記単位期間の前記被験者の睡眠状態を判別するための判別手段と、
前記単位期間の前記被験者の睡眠状態を、前記単位期間に隣接する単位期間の前記被験者の睡眠状態の判別結果に基づいて補正するための補正手段とを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の睡眠評価装置。
【請求項7】
前記所定期間は一日のうちの予め規定された時間帯の属する期間であって、
前記生成手段は、複数日についての前記時間帯の前記被験者の睡眠状態のレベルを、同一時間軸で表示させる表示データを生成する、請求項1〜6のいずれかに記載の睡眠評価装置。
【請求項8】
センサからの、被験者の身体の動きを検出したセンサ信号に基づいて、所定期間の前記被験者の睡眠状態のレベルを時間軸に沿ったグラフで表示装置に表示させる、睡眠評価装置における表示方法であって、
前記センサ信号の入力を受付けるステップと、
前記センサ信号に基づいて、単位期間ごとの前記被験者の睡眠状態を判別するステップと、
前記単位期間ごとの睡眠状態の判別結果に基づいて、前記単位期間が連続してなる前記所定期間の睡眠状態のレベルを判別するステップと、
前記所定期間の睡眠状態のレベルに応じて、当該所定期間ごとの表示態様を決定するステップと、
前記所定期間の睡眠状態のレベルを前記表示態様で表わした表示データを生成するステップとを備える、睡眠評価装置における表示方法。
【請求項1】
被験者の身体の動きを検出するための体動検出手段と、
前記体動検出手段の検出結果に基づいて、所定期間の前記被験者の睡眠状態のレベルを時間軸に沿ったグラフで表示装置に表示させる表示データを生成するための演算手段とを備え、
前記演算手段は、
前記体動検出手段の検出結果に基づいて、単位期間ごとの前記被験者の睡眠状態を判別するための第1の判別手段と、
前記第1の判別手段で判別された前記単位期間ごとの睡眠状態に基づいて、前記単位期間が所定数連続してなる前記所定期間の睡眠状態のレベルを判別する第2の判別手段と、
前記所定期間の睡眠状態のレベルに応じて、当該所定期間ごとの表示態様を決定するための決定手段と、
前記所定期間の睡眠状態のレベルを前記表示態様で表わした表示データを生成するための生成手段とを含む、睡眠評価装置。
【請求項2】
前記表示データは、前記時間軸に沿って前記所定期間を表わすセグメントを連続して表示させるデータであって、
前記決定手段は、前記所定期間の睡眠状態のレベルに応じて、当該所定期間を表わすセグメントの表示態様を決定する、請求項1に記載の睡眠評価装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記所定期間を表わすセグメントの色を、前記睡眠状態のレベルに応じた色に決定する、請求項2に記載の睡眠評価装置。
【請求項4】
前記表示データは、前記時間軸に沿って、前記時間軸に交差する睡眠状態のレベルを表わす軸に応じて前記所定期間を表わすセグメントを連続して表示させるデータであって、
前記決定手段は、前記所定期間を表わすセグメントの前記睡眠状態のレベルを表わす軸の方向の表示位置を、前記睡眠状態のレベルに応じた位置に決定する、請求項2または3に記載の睡眠評価装置。
【請求項5】
前記第1の判別手段は、前記単位期間における前記体動の大きさおよび/または前記体動の周期性に基づいて前記単位期間の前記被験者の睡眠状態を判別する、請求項1〜4のいずれかに記載の睡眠評価装置。
【請求項6】
前記第1の判別手段は、
前記単位期間における前記体動の大きさおよび/または前記体動の周期性に基づいて前記単位期間の前記被験者の睡眠状態を判別するための判別手段と、
前記単位期間の前記被験者の睡眠状態を、前記単位期間に隣接する単位期間の前記被験者の睡眠状態の判別結果に基づいて補正するための補正手段とを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の睡眠評価装置。
【請求項7】
前記所定期間は一日のうちの予め規定された時間帯の属する期間であって、
前記生成手段は、複数日についての前記時間帯の前記被験者の睡眠状態のレベルを、同一時間軸で表示させる表示データを生成する、請求項1〜6のいずれかに記載の睡眠評価装置。
【請求項8】
センサからの、被験者の身体の動きを検出したセンサ信号に基づいて、所定期間の前記被験者の睡眠状態のレベルを時間軸に沿ったグラフで表示装置に表示させる、睡眠評価装置における表示方法であって、
前記センサ信号の入力を受付けるステップと、
前記センサ信号に基づいて、単位期間ごとの前記被験者の睡眠状態を判別するステップと、
前記単位期間ごとの睡眠状態の判別結果に基づいて、前記単位期間が連続してなる前記所定期間の睡眠状態のレベルを判別するステップと、
前記所定期間の睡眠状態のレベルに応じて、当該所定期間ごとの表示態様を決定するステップと、
前記所定期間の睡眠状態のレベルを前記表示態様で表わした表示データを生成するステップとを備える、睡眠評価装置における表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−170624(P2012−170624A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35705(P2011−35705)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】
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