説明

瞬断を回避する金属端子構造を有するボタン電池搭載装置

【課題】 本発明は、ボタン電池と圧接する金属端子の構造を有するボタン電池搭載装置に関し、強い衝撃が加わった場合でも、ボタン電池からの給電の瞬断が発生しにくい構造を有するボタン電池搭載装置を提供する。
【解決手段】 ボタン電池41の底部と接する第1の金属端子と、ボタン電池41の側面部と接する第2の金属端子31と、前記第2の金属端子と異なる位置で前記ボタン電池の側面部と接する第3の金属端子32を有し、第2の金属端子31および第3の金属端子32はボタン電池41に圧接する構造となっており、かつボタン電池41を挟んでお互いに対向する部位でボタン電池41と圧接し、衝撃による振動に対して第2の金属端子31と第3の金属端子32の少なくとも一方はボタン電池41に圧接した状態を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタン電池と接触する金属端子構造を有するボタン電池搭載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ボタン電池を搭載する装置は、装置内にプラス及びマイナスの金属端子1組でボタン電池に圧接するのが一般的であり、その場合、ボタン電池の側面側(プラス極)は1方向から圧接する(例えば特許文献1)。また、電池や装置の製造上生じる外形寸法のバラツキを吸収するためにボタン電池の収容部にクリアランスを設けていることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−21936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記構造では落下などの衝撃で装置に強い振動が加わった場合、クリアランス内でのボタン電池の振動と筐体全体の振動に同期する金属端子の振動の位相と振幅が異なり、ボタン電池と金属端子が一時的に離れて装置への給電状態が停止し(瞬断)、装置の異常動作や記憶しているデータの消失等の不具合が発生する可能性があった。
そこで、本発明の課題は、装置に衝撃が加わった場合でも、瞬断が発生しにくい端子構造を有するボタン電池搭載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、ボタン電池を搭載する装置において、ボタン電池と接触する金属端子構造の前記ボタン電池の底部と接する第1の金属端子と、前記ボタン電池の側面部と接する第2の金属端子と、前記第2の金属端子と異なる位置で前記ボタン電池の側面部と接する第3の金属端子を有し、前記第2の金属端子および第3の金属端子は前記ボタン電池に圧接する構造となっており、かつ前記ボタン電池を挟んでお互いに対向する部位で前記ボタン電池と圧接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、装置に衝撃が加わった場合でも瞬断が発生しにくいボタン電池搭載装置を提供できる。これにより、瞬断に伴う装置の異常動作や記憶しているデータの消失等を防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明による一実施例の全体構成を示す断面図
【図2】本発明による一実施例の全体構成を示す正面図
【図3】従来構造の一実施例を示す断面図
【図4】従来構造の一実施例で電池に衝撃が加わった状態を示す断面図
【図5】従来構造の一実施例で電池に図4と逆方向の衝撃が加わった状態を示す断面図
【図6】電池の側面図
【図7】本発明による一実施例でフタと電池を除いた状態を示す断面図
【図8】本発明による一実施例で装置に衝撃が加わり電池が動いた状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細を説明する。
図1は本発明による一実施例の全体構成を示す断面図である。11は装置上ケース、12は装置下ケース、21は装置の電池を挿抜する時に開閉できるフタ、22はフタ21に固着した突起である。30はボタン電池41の底部(マイナス極)と接する第1の金属端子、31,32はボタン電池41の側面部(プラス極)と接する第2,第3の金属端子(以下端子と略すこともある)である。ボタン電池(以下電池と略すこともある)41はフタ21を閉めることで突起22に押されて底部の電極とマイナス端子30が触れて導通する。またボタン電池41は端子31,32に挟まれる位置で搭載され、電池41の側面の電極とプラス端子31,32が触れて導通する。端子30,31,32は基板51に半田付けなどで導通している。
【0009】
図2は図1の正面図で、ボタン電池41と金属端子31,32の位置関係は本図に示すとおり、ボタン電池41を挟んで対向している。
【0010】
以下、従来の端子と対比して、本発明の作用と効果を説明する。
図3は従来の端子構成例の断面図である。111は装置上ケース、112は装置下ケース、113は装置下ケース112の内部構造でボタン電池141が収納できるように形成された壁である。121は装置のボタン電池141を挿抜する時に開閉できるフタであり、122はフタ121に固着した突起である。130は金属製端子である。電池141はフタ121を閉めることで突起122に押されて底部の電極とマイナス端子130が触れて導通する。131は金属製端子でボタン電池141を搭載したときに側面の電極に触れて導通する。端子130,131は基板151に半田付けなどで導通している。
端子130について、フタ121が装置下ケース112に対して例えば螺入する等で強固に固定しているので突起122がボタン電池141を強く押し、電池141と端子130を強く圧接することで装置に衝撃が加わっても瞬断が発生しにくい構造となっている。
しかし端子131は、電池141と強く圧接する構造にすると電池141を挿入できなくなる為、柔軟性を有する形状となる。
【0011】
図4は、図3の装置に対して振動等で上方向に荷重が加わる衝撃が加わり、端子131が柔軟であるがゆえにその衝撃でボタン電池141が上方向に動き金属端子131を押している状態を示す。ボタン電池141がボタン収容部とのクリアランス分動いたことで壁113とボタン電池141の間に隙間が生じる。図中の寸法Dはこの隙間を示すものである。
【0012】
図5は、図4の状態から逆位相の振動が加わり、その衝撃でボタン電池141がボタン電池収容部とのクリアランス分下方向に動き金属端子131との圧接が離れた状態を示す。図中の寸法Eは、ボタン電池141と金属端子131の間に生じた隙間を示す。このように、地震や装置の輸送等で上下方向に連続的な衝撃が加わると、ボタン電池141と金属端子131においては振動の位相と振幅が異なるために、ボタン電池141と金属端子131との圧接が離れる状態になる可能性が有り、従来の構造では瞬断が回避できない構造となっていた。
【0013】
以上説明した従来の構造に対し、本発明では、第2、第3の端子でボタン電池41の側面を圧接するので、瞬断が発生しにくい構造となっている。
図6はボタン電池41を示し、寸法Aはボタン電池の幅方向の径を示す。
また図7はフタ21及びボタン電池41を取り除いた状態の装置を示し、寸法Bはこの図で示すようにボタン電池41が搭載されていない状態における金属端子31,32の間隔を示す寸法である。
ここで、寸法をA>Bとすることでボタン電池41を装置に搭載した時に2つの金属端子31,32の間隔がA寸法からB寸法に広がり、その為に金属端子に反力が生じることでボタン電池を押さえつけ圧接した状態になる。
【0014】
図8は装置に対して衝撃による振動が加わり、金属端子31に向かう方向の荷重がボタン電池41に加わったことでボタン電池41の位置が動いた状態を示す。この時ボタン電池41は金属端子31に圧接しており、逆位相の衝撃が加わる時にはボタン電池41は端子32に接圧することから、ボタン電池41からの給電が瞬間的にも停止(瞬断)することが発生しにくい構造となっている。
従って、衝撃による振動に対して第2の金属端子31と第3の金属端子32の少なくとも一方はボタン電池41に圧接した状態を維持する。
【0015】
以上説明した通り、本発明によれば、瞬断が発生しにくいボタン電池搭載装置を提供できる。例えば、ボタン電池搭載装置が、首からぶら下げるペンダント型の緊急通報装置であった場合、このペンダント型緊急通報装置を落とした、または、首からぶら下げられた状態のまま周辺の壁にぶつかった等の強い衝撃を受けた場合でも、内部回路の給電が瞬断する可能性が低く、給電の瞬断に伴う誤動作や設定データの消失等を免れる可能性が高い。
【符号の説明】
【0016】
11 装置上ケース
12 装置下ケース
21 フタ
22 フタ21に固着した突起
30 本発明における第1の金属端子
31 本発明における第2の金属端子
32 本発明における第3の金属端子
41 ボタン電池
51 基板
111 装置上ケース
112 装置下ケース
121 フタ
121 フタ121に固着した突起
130 従来の構造における金属端子
131 従来の構造における金属端子
141 ボタン電池
151 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボタン電池を搭載する装置において、
ボタン電池と接触する金属端子構造の前記ボタン電池の底部と接する第1の金属端子と、前記ボタン電池の側面部と接する第2の金属端子と、前記第2の金属端子と異なる位置で前記ボタン電池の側面部と接する第3の金属端子とを有し、
前記第2の金属端子および第3の金属端子は前記ボタン電池に圧接する構造となっており、かつ前記ボタン電池を挟んでお互いに対向する部位で前記ボタン電池と圧接することを特徴とする瞬断を回避する金属端子構造を有するボタン電池搭載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−34926(P2011−34926A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182933(P2009−182933)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【出願人】(399040405)東日本電信電話株式会社 (286)
【Fターム(参考)】