説明

瞬間給湯式のシャワートイレの温度制御装置

【課題】温度検知手段のバラツキによる温水の温度の不適切化を防止できる瞬間給湯式のシャワートイレの温度制御装置を提供する。
【解決手段】補正手段は、ヒータが加熱作動していないとき、ヒータ入口温度検知手段により計測温度Tinを検知すると共にヒータ出口温度検知手段により計測温度Toutを検知する。ヒータが加熱作動していないとき、計測温度Toutと計測温度Tinとの間に差ΔTが存在するとき、計測温度Toutと計測温度Tinとの間の仮想真値Tvirに計測温度Toutが近づくように補正用定数τ1を設定し、ヒータ出口温度検知手段の計測温度に補正用定数τ1を加算した値を、ヒータ出口温度検知手段の補正温度T’outとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は局部洗浄用の水を迅速に加熱する方式を採用する瞬間給湯式のシャワートイレの温度制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャワートイレでは、ノズルから吐出させて局部を洗浄する水を温水として温水タンクに貯留する方式が採用されている。しかしこの方式では、容積が大きな温水タンクが設けられているため、省スペース化、省エネルギ化を図るには限界がある。
【0003】
そこで、近年、局部を洗浄するときに、ノズルから吐出する水を迅速に加熱する瞬間給湯式のシャワートイレの温度制御装置が知られている(特許文献1)。この場合、温水タンクを廃止または小型化でき、省スペース化、省エネルギ化を図るのに有利である。このような温度制御装置として、局部を洗浄するための水が存在する給水部の水を加熱するヒータと、ヒータで加熱される水を局部に向けて吐出するノズルと、ヒータで加熱した後の水の温度を検知するヒータ出口温度検知手段と、ノズルから吐出される水の目標温度を設定する温水温度設定手段と、ノズルから吐出される単位時間あたりの水の水量を設定するユーザ水量設定手段とを備えているものが知られている。
【0004】
また、蓄熱槽と、蓄熱槽の温水と水道水とを混合するミキシングユニットと、ミキシングユニットを通過した温水を加熱する熱源機と、ミキシングユニットの下流側の温度を検知する混合水サーミスタと、熱源機の下流側の温度を検知する給湯サーミスタとを備えるコージェネレーションシステムやソーラーシステムの給湯システムが開示されている(特許文献3)。このものによれば、熱源機の非運転状態では、混合水サーミスタが検知する温度に応じてミキシングユニットを制御して、温水の温度が設定温度に一致するように温度制御する。また、熱源機の運転状態では、給湯サーミスタが検知する温度に応じて熱源機を制御して温水の温度が設定温度に一致するように温度制御する。
【0005】
このシステムによれば、混合水サーミスタおよび給湯サーミスタは同一経路上に設けられているため、熱源機が未作動のときには、混合水サーミスタによる計測温度と給湯サーミスタによる計測温度とが本来的には同一であるはずである。しかし同一の温度の温水を計測していたとしても、双方の計測温度に差があることがある。この場合、熱源機の非運転状態から熱源機の運転状態に移行するとき、熱源機の非運転状態においては混合水サーミスタを基準として温水の温度が設定されていたにもかかわらず、熱源機の運転状態においては給湯サーミスタを基準として温水の温度が設定されることになる。このため熱源機の非運転状態と熱源機の運転状態とにおいて、温水の温度に差が生じてしまう。そこで特許文献3に係る技術によれば、熱源機が未作動のときには、混合水サーミスタによる計測温度と給湯サーミスタによる計測温度との差hを求め、この差を考慮する。即ち、熱源機が未作動のとき、混合水サーミスタによる計測温度が40℃であり、給湯サーミスタによる計測温度が40.8℃のときには、その差h(0.8℃)を求める。熱源機の非運転状態のときには、混合水サーミスタによる計測温度が基準であるため、温水は40℃に設定される。しかし熱源機の非運転状態から熱源機の運転状態に移行するとき、温水の実際の温度が40℃であるにもかかわらず、温度を高めに検知する給湯サーミスタによる計測温度が基準であるため、温水の温度が0.8℃低下するように制御され、結果として、実際の温水の温度は39.2℃されてしまう問題がある。そこで特許文献2に係る技術によれば、熱源機の非運転状態から熱源機の運転状態に移行するとき、給湯サーミスタによる実際の計測温度に、前記した差(h)を加算し、その加算した温度に温水の温度を維持するように制御することにしている。
【0006】
更に、A/D変換回路で変換されたデジタルの電圧値に対して補正演算を行い、補正演算後の電圧値を用いて温度制御する給湯温度制御装置が開示されている(特許文献3)。
【特許文献1】特開2001−132061号公報
【特許文献2】特開2005−114258号公報
【特許文献3】特開2005−030666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、温度センサには精度の公差が存在する。例えば、温水の温度の真値に対して一般的にはプラスマイナス2%程度の公差が存在する。従って温水の目標温度に対して、温水の温度がプラス2℃〜マイナス2℃の範囲でずれるおそれがある。このため温水で局部を洗浄するとき、使用者の意図と相違する温度の温水が吐出されるおそれがあり、洗浄処理の快適性の更なる向上には限界がある。そこで、製造工程において、温度センサのうちバラツキが少ないものを選別し、バラツキが少ない温度センサを組み付けているが、この方策ではコストアップの要因となる。
【0008】
本発明は上記した実情に鑑みてなされるものであり、温度検知手段のバラツキによる温水の温度の不適切化を防止するのに有利な瞬間給湯式のシャワートイレの温度制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る瞬間給湯式のシャワートイレの温度制御装置は、人体の局部を洗浄するために給水路を流れる水を加熱するヒータと、
ヒータで加熱された水を人体の局部に向けて吐出する温水吐出部と、
温水吐出部から吐出される温水の目標温度Tsetを設定する温水温度設定手段と、
ヒータで加熱される前の水の温度を検知するヒータ入口温度検知手段と、
ヒータで加熱された後の温水の温度を検知するヒータ出口温度検知手段と、
ヒータを制御する制御手段とを具備するシャワートイレの温度制御装置において、
制御手段は、
ヒータが加熱作動していないとき、ヒータ入口温度検知手段により計測温度Tinを検知すると共にヒータ出口温度検知手段により計測温度Toutを検知し、計測温度Toutと計測温度Tinとの間に差ΔTが存在するとき、計測温度Toutと計測温度Tinとの間の仮想真値Tvirに計測温度Toutが近づくように前記ヒータ出口温度検知手段用の補正用定数τ1を設定する補正用定数設定手段と、
ヒータ出口温度検知手段の計測温度Toutに補正用定数τ1を加算した値を、ヒータ出口温度検知手段の補正温度とする補正処理を実行する補正手段と、
温水温度設定手段で設定された温水の目標温度Tsetと、補正手段で補正された前記ヒータ出口温度検知手段の補正温度とが対応するように、ヒータに対する制御量を設定する制御量設定手段とを具備することを特徴とするものである。
【0010】
本発明によれば、補正定数設定手段は、ヒータが加熱作動していないとき、ヒータ入口温度検知手段により計測温度Tinを検知すると共にヒータ出口温度検知手段により計測温度Toutを検知する。更に補正定数設定手段は、計測温度Toutと計測温度Tinとの間に差ΔTが存在するとき、計測温度Toutと計測温度Tinとの間の仮想真値Tvirに計測温度Toutが近づくように、ヒータ出口温度検知手段用の補正用定数τ1を設定する。
【0011】
補正手段は、ヒータ出口温度検知手段の計測温度に補正用定数τ1を加算した値を、ヒータ出口温度検知手段の補正温度とする補正処理を実行する。これにより温度検知手段のバラツキによる温水の温度の不適切化を防止できる。上記した補正用定数設定処理は、製造時に行っても良いし、使用段階において定期的または不定期的に行ってもよい。使用段階において補正用定数設定処理を定期的または不定期的に行えば、温度検知手段が経年劣化するときであっても、温度検知手段の経年劣化に起因するバラツキに対処でき、バラツキによる温水の温度の不適切化を防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、温度検知手段のバラツキによる温水の温度の不適切化を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明によれば、制御手段は、ヒータに通電するヒータ電力物理量を制御する手段である。本発明によれば、ヒータは交流用でも直流用でも良い。ヒータ電力物理量は、ヒータに通電する電流のデューティ値または電流値である形態を例示することができる。デューティ値は{オン時間/(オン時間+オフ時間)}と定義される。
【0014】
本発明によれば、補正用定数設定手段は、ヒータが加熱作動していないとき、ヒータ入口温度検知手段の計測温度Tinとヒータ出口温度検知手段の計測温度Toutとの間に仮想真値Tvirを設定し、仮想真値Tvirからヒータ出口温度検知手段の計測温度Toutを差し引いた値に所定の比率k(kは0.1〜1.3の任意の数で、主として1を用いる)を乗算した値を、ヒータ出口温度検知手段用の補正用定数τ1とする形態が例示される。仮想真値Tvirについては、計測温度Tinと計測温度Toutとの加算値を温度検知手段の数(例えば2個)で除算して仮想真値Tvirを求めることができる。
【0015】
補正手段は、ヒータが加熱作動しているとき、ヒータ出口温度検知手段の計測温度Toutに補正用定数τ1を加算した値を、ヒータ出口温度検知手段の補正温度T’outとする。これによりヒータ出口温度検知手段の計測温度の適切化が図られる。
【0016】
また本発明によれば、補正用定数設定手段は、仮想真値Tvirからヒータ入口温度検知手段の計測温度Tinを差し引いた値に比率k(kは0.1〜1.3の任意の数で、主として1を用いる)を乗算した値を、ヒータ入口温度検知手段用の補正用定数τ2として設定する形態が例示される。補正手段は、ヒータが加熱作動しているとき、ヒータ入口温度検知手段の計測温度Tinに補正用定数τ2を加算した値を、ヒータ入口温度検知手段の補正温度T’inとする。これによりヒータ入口温度検知手段の計測温度の適切化が図られる。前記した比率としては、0.7〜1.3倍は、0.8〜1.2の任意値、0.9〜1.1の任意値、0.95〜1.05の任意値、0.98〜1.02の任意値が例示される。
【0017】
本発明によれば、差ΔTが所定値よりも大きいときには、ヒータ入口温度検知手段および/またはヒータ出口温度検知手段が経年劣化等により機能低下しているおそれが高い。そこで本発明によれば、ΔTが所定値よりも大きいとき、温度検知手段が機能低下している警報信号を出力するか、あるいは、ヒータの発熱を制限する警報手段を有する形態が例示される。これによりヒータの発熱が適正化し、不適切な温度の温水が局部に向けて吐出されることが抑制される。
【0018】
本発明によれば、ヒータが発熱していないときに、補正用定数設定手段は、ユーザが温水吐出部から吐出する温水で局部を洗浄する洗浄処理の直前、洗浄処理の直後、ユーザが便座に着座しているとき、ユーザが便座に着座していないとき、夜間であるときのうちの少なくとも一つの条件が満たされるとき、ヒータを発熱させない条件の下で、補正用定数設定処理を実行する形態が例示される。これらの条件が満足されるときには、局部を洗浄する洗浄処理に直接影響を与えない。
【0019】
本発明によれば、温水吐出部から吐出される温水の目標温度Tsetをユーザが設定する温水温度設定手段が設けられている形態が例示される。
【0020】
本発明によれば、制御手段は、温水温度設定手段で設定される温水の目標温度Tsetと前記ヒータ出口温度検知手段で検知される温水の補正温度T’outとの間の温度偏差εを求めると共に、ユーザ水量設定手段で設定される水の設定水量および/または前記温度偏差εに応じて制御定数を設定し、設定水量と温度偏差と制御定数とに応じてヒータに対する制御量を設定すると共に、且つ、ヒータ入口温度検知手段で検知される加熱される前の水の温度に応じて、制御量または制御定数を調整する形態が例示される。ここで、制御定数は、比例要素の比例ゲインと、積分要素の積分ゲインである形態が例示される。比例要素は、温水の目標温度Tsetとヒータ出口温度検知手段の補正温度T’outとの差である温度偏差εに比例した操作量を与える要素である。比例ゲインは比例要素で用いられる定数である。積分要素は、温水の目標温度Tsetとヒータ出口温度検知手段の補正温度T’outとの差である温度偏差ε(Tset−T’out)の時間による積分値に比例した大きさで操作量を変化させる要素である。積分ゲインは、積分要素で用いられる定数である。ここで、ユーザ水量設定手段で設定される設定水量が増加すると、比例ゲインおよび積分ゲインは増加するように設定されている形態が例示される。これにより水の設定水量が増加するとしても、水の設定水量の増加に対処できる。
【0021】
本発明によれば、制御手段は、ヒータ入口温度検知手段で検知される加熱される前の水の温度が低温になると比例ゲインを増加し、加熱される前の水の温度が高温になると比例ゲインを減少する形態が例示される。これにより加熱される前の水の温度が低温になっても、比例ゲインが増加されるので、ヒータによる加熱量が増加し、加熱される前の水の温度の変化に対処できる。また、加熱される前の水の温度が高温になっても、比例ゲインが減少するので、ヒータによる加熱量が減少し、加熱された温水の温度オーバーが抑えられる。
【0022】
制御手段は、ヒータ入口温度検知手段で検知される加熱される前の水の温度が低温になると積分ゲインを増加し、加熱される前の水の温度が高温になると積分ゲインを減少する形態が例示される。
【0023】
本発明によれば、ヒータに通電するヒータ電力物理量を記憶する第1記憶要素が設けられており、制御手段は、所定時間毎にヒータ電力物理量を更新しており、温水温度設定手段で設定される温水の目標温度とヒータ出口温度検知手段で検知される温水の温度との温度偏差を求め、今回求めた温度偏差に関する物理量と制御定数とに基づく合計操作量を求め、第1記憶要素に記憶されている前回のヒータ電力物理量を基礎とし、前回のヒータ電力物理量と今回求めた合計操作量とを加算して今回のヒータ電力物理量を更新する形態が例示される。この場合、第1記憶要素に記憶されている前回のヒータ電力物理量を基礎として用いるため、制御手段の制御時間が短縮される。
【0024】
合計操作量は、温度偏差に関する物理量と比例要素の比例ゲインとに基づく第1操作量と、温度偏差に関する物理量と積分要素の積分ゲインとに基づく第2操作量との合計から求められる形態が例示される。比例要素と積分要素とにより制御されるので、加熱後の温水の温度の応答性が向上する。
【0025】
本発明によれば、温度偏差を記憶する第2記憶要素が設けられており、制御手段は、第2記憶要素に記憶されている前回の温度偏差と今回求めた温度偏差との差を求め、この差と比例要素の比例ゲインとに応じて操作量を求める形態が例示される。この場合、第2記憶要素に記憶されている前回の温度偏差を基礎として用いるため、制御手段の制御時間が短縮される。
【実施例1】
【0026】
以下、本発明の実施例1について図1〜図9を参照しつつ具体的に説明する。洋式の便器100に装備されているシャワートイレ(人体局部洗浄装置)は、便器100に搭載される操作盤101を有する基部102と、基部102に装備される第1ノズル103fと、基部102に装備される第2ノズル103sと、基部102に上下方向に回動可能に装備される便座104と、基部102に上下方向に回動可能に装備される便蓋105とを有する。基部102の内部に温度制御装置が設けられている。第1ノズル103fは排便局部および女性局部のうちの一方を洗浄するものである。第2ノズル103sは排便局部および女性局部のうちの他方を洗浄するものである。温度制御装置のヒータ3で加熱される水は、操作盤101の洗浄スイッチ20の操作に応じて、第1ノズル103fおよび第2ノズル103sのいずれか一方に適宜切り替えられて吐出されるため、以下、第1ノズル103fおよび第2ノズル103sを含めて単にノズル103(温水吐出部に相当)という。
【0027】
図2はシャワートイレの温度制御装置に関するブロック図を示す。図2に示すように、温度制御装置は、人体の局部を洗浄するために水源1a(一般的には水道管)とノズル103とを接続すると共に水源の水を流す給水部としての給水路1と、給水路1を開閉する給水要素としてのバルブ1vと、給水路1を流れる水の水量を検知する水量センサ2と、給水路1を流れる水を加熱して温水とするヒータ材料(一般的にはセラミックスまたは金属)を基材とするヒータ3と、給水路1の先端に設けられヒータ3で加熱される水を局部に向けて吐出するノズル103(第1ノズル103f、第2ノズル103s)と、給水路1に設けられノズル103から吐出する水量を変更する水量変更器4と、ヒータ3に過電流が流れるときヒータ3に通電する電流を遮断する温度ヒューズ5と、ヒータ3で加熱される前の水の温度を計測するヒータ入口温度検知手段としてのヒータ入口温度センサ6と、ヒータ3で加熱された後の水の温度を計測するヒータ出口温度検知手段としてのヒータ出口温度センサ7と、ノズル103から吐出される水の目標温度を設定するユーザ温度設定手段8(温水温度設定手段)と、ノズル103から吐出される単位時間あたりの水の水量を設定するユーザ水量設定手段9と、制御回路10と、制御回路10からの信号に応じてデューティ値Dを発生させるデューティ値発生回路11とを備えている。デューティ値発生回路11はPWM制御回路により構成でき、ヒータ3供給電源回路12に接続されている。
【0028】
給水路1は長い導管で形成されている。制御回路10は、各信号が入力される入力処理回路13と、CPU14と、制御信号を出力する出力処理回路15と、記憶要素としてのメモリ16とを有する。制御回路10およびデューティ値発生回路11は制御手段を構成する。更に、図2に示すように、水量変更器4を作動させるモータ等の第1駆動部4m、ノズル103を作動させるモータ等の第2駆動部103mが設けられている。制御回路10は第1駆動部4m及び第2駆動部103mの作動、警報器17の作動を制御する信号を出力する。
【0029】
図2に示すように、ユーザ温度設定手段8、ユーザ水量設定手段9、洗浄スイッチ20が操作盤101には装備されている。ユーザ温度設定手段8の信号、ユーザ水量設定手段9の信号、洗浄スイッチ20の信号、ヒータ入口温度センサ6の信号、ヒータ出口温度センサ7の信号は、それぞれ制御回路10の入力処理回路13に入力される。ユーザがユーザ水量設定手段9を操作して設定水量Qを切り替えると、ユーザ水量設定手段9からの信号により第1駆動部4mは水量変更器4を作動させ、これによりノズル103から吐出する単位時間の水量を制御する。
【0030】
デューティ値発生回路11で発生したデューティ値Dに応じてパルス状の電流が温度ヒューズ5を介してヒータ3に通電され、デューティ値Dに応じてヒータ3が発熱する。デューティ値Dが大きいとき、ヒータ3による加熱量は増加する。デューティ値Dが小さいとき、ヒータ3による加熱量は減少する。デューティ値D[%]は{オン時間/(オン時間+オフ時間)×100%}と定義される。
【0031】
ユーザがユーザ温度設定手段8を操作して水の目標温度Tsetを変更すると、ユーザ温度設定手段8からの信号に応じて、デューティ値発生回路11から出力される電流のデューティ値Dが変更され、ひいては単位時間当たりのヒータ3の加熱量が変更される。これによりノズル103から吐出する水の温度が適温化される。
【0032】
このように求めたデューティ値Dで電流がヒータ3に通電され、ヒータ3が加熱し、給水路1の水を加熱する。これにより加熱される水がノズル103から吐出され、人体の局部の洗浄に使用される。このように変更されるデューティ値Dで電流がヒータ3に通電され、ヒータ3が加熱し、給水路1の水を加熱する。これにより加熱される水がノズル103から吐出され、局部の洗浄に使用される。この結果、ユーザ水量設定手段9で水の設定水量Qが変更されることに伴い、ノズル103から吐出される単位時間あたりの水の設定水量Qの変更があったとしても、設定水量Qの変更に対してデューティ値Dを迅速に応答させることができ、ヒータ3の加熱量を迅速に応答させることができる。故に、ノズル103から吐出される水の温度の変動を抑制するのに有利となり、人体の局部の洗浄時において、ユーザが水温変動の違和感を感じるおそれが改善される。
【0033】
さて、本実施例によれば、制御回路10(制御手段)は、ヒータ3が加熱作動していないとき、補正用定数設定処理を実行する。補正用定数設定処理は、製造時に実行でき、また、便座が便器に据え付けられている状態では、定期的または不定期的に実行する。補正用定数設定処理は、ヒータ入口温度センサ6とヒータ出口温度センサ7とで同一の温度の水の温度を計測することが前提とされる。このため、補正用定数設定処理は、ヒータ3が加熱作動していないときに実行される。
【0034】
補正用定数設定処理では、制御回路10は、ヒータ入口温度センサ6の計測温度Tinの信号を検知すると共に、ヒータ出口温度センサ7の計測温度Toutの信号を検知する。そして、ヒータ3が発熱しておらず、給水路1のうちヒータ3の前後の水の温度が本来的には同一であるときであっても、ヒータ出口温度センサ7で検知される計測温度Toutと温度ヒータ入口温度センサ6により検知したTinとの間に差ΔTが存在するときがある。これは、ヒータ出口温度センサ7および温度ヒータ入口温度センサ6により個体バラツキに起因するものと推察される。この場合、制御回路10は、温度ヒータ出口温度センサ7用の補正用定数としてτ1を設定し、温度ヒータ入口温度センサ6用の補正用定数としてτ2を設定し、メモリ16のエリアに格納しておく。
【0035】
補正用定数設定処理について更に説明を加える。例えば、10.0℃の水が給水路1を流れるときを考える(図3参照)。この場合、水温をヒータ入口温度センサ6が10.5℃として検知し、ヒータ出口温度センサ7が8.5℃として検知すると仮定する。この場合、個体バラツキにより、ヒータ入口温度センサ6は真値(10℃)に対して+0.5℃を出力することになる。ヒータ出口温度センサ7は真値(10℃)に対してー1.5℃を出力することになる。
【0036】
ここで補正用定数設定処理では、ヒータ入口温度センサ6の計測温度Tin(10.5℃)と、ヒータ出口温度センサ7の計測温度Tout(8.5℃)とを加算し、加算値をセンサの数(2)で除算して平均値(9.5℃,(10.5℃+8.5℃)/2=9.5℃)を求め、この平均値を仮想真値Tvirとして設定する。このように仮想真値Tvirは、計測温度Tinと計測温度Toutとの間に存在する。
【0037】
出口側については、仮想真値Tvir(9.5℃)から、ヒータ出口温度センサ7の計測温度Tout(8.5℃)を差し引いた値(9.5℃−8.5℃=プラス1℃)を、ヒータ出口温度センサ7の補正用定数τ1とする。この場合、補正用定数τ1はプラス1℃となる。
【0038】
また入口側については、仮想真値Tvir(9.5℃)から、ヒータ入口温度センサ6の計測温度Tin(10.5℃)を差し引いた値(9.5℃−10.5℃=マイマス1℃)を、ヒータ入口温度センサ6の補正用定数τ2とする。この場合、補正用定数τ2はマイマス1℃となる。ここで、所定の比率は1とされているため、特に比率を除算しない。
【0039】
ここで、ヒータ出口温度センサ7の補正後の温度は、ヒータ出口温度センサ7の計測温度Tout(8.5℃)と補正値τ1(プラス1℃)とを加算して9.5℃(8.5℃+(+1℃)=9.5℃)となる。これをヒータ出口温度センサ7の補正温度T’outとする。また、ヒータ入口温度センサ6の水の補正後の温度は、ヒータ入口温度センサ6の計測温度Tin(10.5℃)と補正用定数τ2(マイマス1℃)とを加算して9.5℃(10.5℃+(−1℃)=9.5℃)となる。これをヒータ入口温度センサ6の補正温度T’inとする。
【0040】
図4は、給水路1を流れる10.0℃の水をヒータ3により加熱し、目標温度が39.5℃の温水が生成される例を示す。制御回路10(制御手段)は、ヒータ入口温度センサ6の計測温度Tinの信号を検知すると共に、ヒータ出口温度センサ7の計測温度Toutの信号を検知する。この場合、前述したように、計測温度Toutが39.5℃として実際に計測(補正前)されたと考える。この場合、ヒータ出口温度センサ7は前述したように真値(10℃)に対してー1.5℃を出力するセンサであるため、ヒータ3により加熱された後の温水の温度の真値は、41.0℃(39.5℃+1.5℃=41.0℃)であると考えられる。従って、補正処理が実行されないときには、目標温度39.5℃であるにもかかわらず、温水の実際の温度は41.0℃となり、目標温度よりもかなり高温の温水で局部を洗浄することになる。
【0041】
これに対して制御回路10(制御手段)が補正処理を実行する場合には、制御回路10は、ヒータ出口温度センサ7の実際の計測温度を補正した後の温水の温度T’outが目標温度39.5℃となるように制御する。この場合、ヒータ出口温度センサ7の補正温度T’outは、これの実際の計測温度Toutと補正用定数τ1(プラス1℃)とを加算したものであり、39.5℃である。従って、ヒータ出口温度センサ7の実際の計測温度は38.5℃(39.5℃−1℃=38.5℃)である。この場合、ヒータ出口温度センサ7は前述したように真値に対してー1.5℃を出力するセンサであるため、ヒータ3で加熱された後の温水の真値は40.0℃(38.5+1.5℃=40.0℃)である。従って補正処理が実行されるときには、温水の目標温度が39.5℃のとき、温水の実際の温度は40.0℃となり、温水の目標温度と、温水の実際の温度とが接近し、制御の精度が向上する。故に、補正処理が実行されるときには、ヒータ入口温度センサ6およびヒータ出口温度センサ7に個体バラツキが存在するときであっても、温水の実際の温度は目標温度にかなり近くなり、適温化され、局部が温水により良好に洗浄される。表1はこれをまとめたものである。
【0042】
【表1】

【0043】
さて、上記したように本実施例に係る補正用定数設定処理では、ヒータ入口温度センサ6のセンサ出力値と、ヒータ出口温度センサ7のセンサ出力値との間の仮想真値Tvirを求め、そして、センサ出力値と仮想真値Tvirとの差を補正用定数τ1,τ2として設定する。この場合、それぞれのセンサ出力値を2で除算し、その後、二つの値を加算しても同様な結果が得られる。
【0044】
図6の横軸は温度センサの出力値のバラツキを示し、縦軸は頻度を示す。(a)は、1個の温度センサの出力値のバラツキ分布を示す。(a)に示すように、温度センサは、平均値に対してプラス2℃〜マイナス2℃のバラツキがあると仮定し、標準偏差をσとする。(b)は、センサ出力値を2で除算するときにおける出力値のバラツキ分布を示す。この場合、標準偏差はσn(σn=1/2・σ)となる。
【0045】
本実施例によれば、ヒータ入口温度センサ6とヒータ出口温度センサ7とが合計2個用いられるので、図7に示すように、2つのバラツキ分布が加算される。2つのバラツキ分布を加算した分布における標準偏差をσzとする。この場合、次の式(1)〜(5)が成立する。
【0046】
σz2=σn2+σn2…(1)
=1/4・σ2+1/4・σ2…(2)
=1/2・σ2…(3)
=0.5・σ2…(4)
σz≒0.7σ…(5)
従って、2個の温度センサが用いられる場合には、1個の温度センサが用いられる場合に比較して、センサ出力値のバラツキを考慮すると、公差を約70%にでき、3割低減させることができる。
【0047】
図8は制御回路10のCPU14が実行する補正用定数設定処理(補正用定数τ1、τ2を求める処理)のフローチャートを示す。先ず、補正用定数設定処理を開始する条件を読み込む(ステップS2)。補正用定数設定処理を開始する条件が満足されているか否か判定する(ステップS4)。補正用定数設定処理は、ヒータ3が発熱していない状態で行うことが好ましい。ここで、ユーザがノズル103から吐出する温水で局部を洗浄する洗浄処理の直前、洗浄処理の直後、ユーザが便座104に着座しているとき、ユーザが便座104に着座していないとき、夜間であるときには、ヒータ3が発熱していないので、補正用定数設定処理が実行される。
【0048】
即ち、洗浄処理時にはヒータ3が発熱する。このため、洗浄処理の直前であれば、ヒータがまだ発熱していないため、補正用定数設定処理を実行するにあたり、都合が良い。洗浄処理の直後であれば、ヒータ3で暖められた温水を給水路1から排出させているため、給水路1のうちヒータ3の前後の通路には冷水が存在しており、補正用定数設定処理を実行するにあたり、都合が良い。また、深夜等の夜間であれば、洗浄処理によりヒータ3が発熱している頻度が少ないため、補正用定数設定処理を実行するにあたり、都合が良い。また、ユーザが便座104に着座しているときであれば、ヒータ3が発熱する洗浄処理が行われていない限り、補正用定数設定処理を実行するにあたり、都合が良い。また、ユーザが便座104に着座していないときであれば、洗浄処理が実行されておらず、ヒータ3が発熱していないため、補正用定数設定処理を実行するにあたり、都合が良い。
【0049】
そして、補正処理を開始する条件が満足されていれば、ヒータ3をオフとする信号を出力する(ステップS6)。更に、給水路1のバルブ1v(給水要素)を開放させることにより、給水路1のうちヒータ3前後の水を排出させ、ヒータ3前後の水を、ヒータ3で加熱されていない冷水(非加熱水)とする(ステップS8)。給水路1に温水が残留していると、検知誤差が発生するためである。この場合、ヒータ3前後の水を排出させるために、水をノズル103から排出させる。次に、ヒータ入口温度センサ6の計測温度Tinの信号を検知すると共に、ヒータ出口温度センサ7の計測温度Toutの信号を読み込む(ステップS10)。次に、一定時間(例えば100ミリ秒)において、計測温度Tinおよび計測温度Toutが変化しないか判定する(ステップS12)。変化していれば、変化しなくなるまで、待機する。従ってステップS10、S12は、計測温度Tinおよび計測温度Toutが安定化するまで待機する待機手段として機能する。
【0050】
変化しなくなれば、計測温度Toutと計測温度Tinとの差ΔTを求める(ステップS14)。差ΔTと所定値TXとを比較する(ステップS16)。差ΔTが所定値TXよりも大きいとき、ヒータ入口温度センサ6またはヒータ出口温度センサ7が機能低下していると判定(ステップS18)する。そして、センサが機能低下している旨のセンサ警報信号を警報器17に出力する(ステップS20)と共に、ヒータ3を発熱させないように制限する(ステップS22)。これにより過剰に加熱された温水が吐出されることが未然に防止される。ステップS20,S22はセンサの機能低下を警報する警報手段として機能する。
【0051】
ここで、差ΔTが所定値TX以内であれば、差ΔTが許容範囲内であるため、補正用定数設定処理を実行する(ステップS26)。ステップS26は補正用定数設定手段として機能する。即ち、前述したように、補正用定数設定処理では、ヒータ入口温度センサ6の計測温度Tinと、ヒータ出口温度センサ7の計測温度Toutとを加算し、センサの数(2)で除算し、仮想真値Tvirを求める。仮想真値Tvirは計測温度Tinと計測温度Toutとの間に設定される。なお、仮想真値Tvirを求めるにあたり、ヒータ出口温度センサ7の重み係数β1:ヒータ入口温度センサ6の重み係数β2=1:1とされている。
【0052】
図3を参照すれば、仮想真値Tvir(9.5℃)から、ヒータ出口温度センサ7の計測温度Tout(8.5℃)を差し引いた値(9.5℃−8.5℃=プラス1℃)を、ヒータ出口温度センサ7の補正用定数τ1とする。また、仮想真値Tvir(9.5℃)から、ヒータ入口温度センサ6の計測温度Tin(10.5℃)を差し引いた値(9.5℃−10.5℃=マイマス1℃)を、ヒータ入口温度センサ6の補正用定数τ2とする。補正用定数τ1,τ2を求めるにあたり、所定の比率は1とする。次に、補正用定数τ1,τ2をメモリ16のエリアに格納する(ステップS28)。
【0053】
図9は、制御回路10のCPU14が実行する温水生成処理のフローチャートを示す。人体の局部を温水で洗浄する洗浄スイッチ20が操作されているとき、制御回路10のCPU14は所定時間ごとにプログラムのルーチンを繰り返して実行する。所定時間は一般的にはミリ秒のオーダーである。先ず、CPU14は、ユーザ水量設定手段9で設定されるノズル103から吐出される単位時間あたりのユーザ設定水量Qの信号と、ユーザ温度設定手段8で設定される温水の目標温度Tsetの信号、ヒータ入口温度センサ6による計測温度Tinの信号と、ヒータ出口温度センサ7の計測温度Toutの信号とを読み込む(ステップSB2)。次に、ヒータ入口温度センサ6による計測温度Tinに補正用定数τ2を加算して補正温度T’inを求めると共に、ヒータ出口温度センサ7の計測温度Toutに補正用定数τ1を加算して補正温度T’outを求める(ステップSB4)。次に、補正温度T’outと補正温度T’inとの間における温度偏差εを求める(ステップSB6)。更に、ユーザ設定水量Q、温度偏差ε、補正温度T’inに応じて、比例ゲインKPと積分ゲインKIとを設定する(ステップSB8)。次に、設定水量Qと、温度偏差εと、比例ゲインKPと、積分ゲインKIとに応じて、ヒータ3に通電するデューティ値Dを求める(ステップSB10)。次に、デューティ値Dをヒータ3に出力する(ステップSB12)。これによりヒータ3が発熱する。
【0054】
ここで本実施例によれば、ユーザ水量設定手段9で設定される設定水量Qが増加すると、比例ゲインKPは次第に増加するように設定されている。これによりヒータ加熱量は水量の増加にヒータ3の発熱は対処することができる。更に、設定水量Qが増加すると、積分ゲインKIは次第に増加するように設定されている。これにより設定水量Qの増加にヒータ3の発熱は対処することができる。
【実施例2】
【0055】
本発明の実施例2について具体的に説明する。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。本実施例においても、ヒータ入口温度センサ6による計測温度Tinに補正用定数τ2を加算することにより、計測温度Tinが補正されて補正温度T’inが求められる。またヒータ出口温度センサ7の計測温度Toutに補正用定数τ1を加算することにより、計測温度Toutが補正されて補正温度T’outが求められる。
【0056】
人体の局部を洗浄する温水の温度を精度良く検知するためには、ヒータ出口温度センサ7のコストが高くなるものの、ヒータ出口温度センサ7の温度バラツキが小さく設定されている方が好ましい。そこで本実施例によれば、ヒータ入口温度センサ6の温度バラツキよりもヒータ出口温度センサ7の温度バラツキが小さく設定されている。従ってヒータ出口温度センサ7の重み係数β1は相対的に大きく、ヒータ入口温度センサ6の重み係数β2は相対的に小さくされている。
【0057】
本実施例に係る補正定数設定処理では、ヒータ3が加熱作動していないときにおいて、給水路1に水を流し、ヒータ入口温度センサ6の計測温度Tinを計測すると共に、ヒータ出口温度センサ7の計測温度Toutを計測する。そして、ヒータ入口温度センサ6の計測温度Tinおよびヒータ出口温度センサ7の計測温度Toutにそれぞれの重み係数をつけつつ、入口温度検知センサ6の計測温度Tinとヒータ出口温度センサ7の計測温度Toutとの平均値を求め、この平均値を仮想真値Tvirとする。
【0058】
具体的には、ヒータ出口温度センサ7の重み係数β1が3であり、ヒータ入口温度センサ6の重み係数β2が1とする。この場合、次の式により仮想真値Tvirを求める。仮想真値Tvir=(Tout×β1+Tin×β2)/(β1+β2)
従って、例えば、計測温度Tinが12℃であり、計測温度Toutが10℃であるときには、仮想真値Tvir=(10℃×3+12℃×1)/(3+1)=42/4=10.5℃
この仮想真値Tvir(10.5℃)から計測温度Tout(10℃)を差し引いた値であるプラス0.5℃(10.5℃−10℃=+0.5℃)を、ヒータ出口温度センサ7用の補正用定数τ1とする。また、仮想真値Tvir(10.5℃)からヒータ入口温度センサ6の計測温度Tin(12℃)を差し引いた値であるマイナス1.5℃(10.5℃−12℃=−1.5℃)を、ヒータ入口温度センサ6用の補正用定数τ2とする。なお、所定の比率は1とされている。
【0059】
そして、10℃の水をヒータ3により加熱して温水を生成しているとき、ヒータ出口温度センサ7の計測温度Toutが39℃である場合には、計測温度Tout(39℃)と補正用定数τ1(プラス0.5℃)とを加算した値(39.5℃)を、ヒータ出口温度センサ7の補正温度T’outとする。
【0060】
また、ヒータ入口温度センサ6の計測温度Tin(12℃)に補正用定数τ2(マイナス1.5℃)を加算した値10.5℃(12℃+(−1.5℃)=10.5℃)を、ヒータ入口温度センサ6の補正温度T’inとする。
【0061】
なお、上記した重み係数β1、重み係数β2は上記した値に限定されるものではなく、センサ6,7の精度に応じて、重み係数β1:重み係数β2=W:1に設定でき、それ以外でも良い。Wは0.001〜1000までの値で、例えば1〜20までの値、1〜10までの値、1〜5までの値、または、2、4に設定できる。
【実施例3】
【0062】
本発明の実施例3について図10を参照しつつ具体的に説明する。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。本実施例においても、ヒータ入口温度センサ6による計測温度Tinに補正用定数τ2を加算することにより計測温度Tinが補正されて補正温度T’inが求められる。またヒータ出口温度センサ7の計測温度Toutに補正用定数τ1を加算することにより計測温度Toutが補正されて補正温度T’outが求められる。
【0063】
図10は本実施例の制御回路10が実行する制御内容のブロック図を示す。このブロック図は、速度型のPI制御を行うものである。図10に付記した(1)〜(15)の手順にしたがって説明する。
(1)ユーザ水量設定手段9で設定される設定水量Qに応じて、積分ゲイン設定部200により積分ゲインKIを設定する。
(2)ユーザ水量設定手段9で設定される設定水量Qに応じて、比例ゲイン設定部201により比例ゲインKPを設定する。ここで、比例ゲイン設定部201および積分ゲイン設定部200は、ユーザ水量設定手段9で設定される設定水量Qに応じて制御定数を変更する制御定数変更手段203を構成する。
(3)ヒータ入口温度センサ6で検知される加熱される前の水の補正温度T’inに応じて、積分ゲイン調整比率設定部204により、積分ゲインKIの調整比率α2を設定する。
(4)ヒータ入口温度センサ6で検知される加熱される前の水の補正温度T’inに応じて、比例ゲイン調整比率設定部205により、比例ゲインKPの調整比率α1を設定する。ここで、比例ゲイン調整比率設定部205および積分ゲイン調整比率設定部204は、ヒータ3で加熱される前の水の温度に応じて制御定数(比例ゲインKPおよび積分ゲインKI)を調整する制御定数調整比率設定部207を構成する。
(5)ユーザ温度設定手段8で設定される目標温度Tsetと、ヒータ出口温度センサ7で検知される水の補正温度T’outとの差である温度偏差εを、演算部110で求める。したがって本実施例によれば、ヒータ出口温度センサ7で検知される水の補正温度T’outはフィードバック制御される。
(6)今回の温度偏差εと積分ゲインKIとを演算部112により乗算することにより、演算量ε・KIを求める。
(7)今回の温度偏差εと、温度偏差の前回値ε’との変化量Δεを演算部114により求める。ここで、温度偏差の前回値ε’は第1記憶要素161(メモリ16の所定のエリア)に格納されている。温度偏差の前回値ε’とは、今回実行しているルーチンよりも前回のルーチンにおける温度偏差を意味する。なお、初回のルーチンでは温度偏差の前回値ε’は0とされる。
(8)温度偏差εの変化量Δεと比例要素の比例ゲインKPとを演算部118により乗算し、演算量Δε・KPを求める。
(9)(6)で求めた演算量ε・KIと、積分ゲインKIの調整比率α2とを演算部120により乗算し、第2操作量H2を求める。
(10)(8)で求めた演算量Δε・KPと、比例ゲインKPの調整比率α1とを演算部122により乗算し、第1操作量H1を求める。
(11)第1操作量H1と第2操作量H2とを演算部126で加算し、合計操作量Htを求める。ここで、第2記憶要素162(メモリ16の所定のエリア)にはデューティ値の前回値D’が格納されている。
【0064】
なお、初回のルーチンではデューティ値の前回値D’は0とされる。そして制御回路10は、第2記憶要素162に格納されているデューティ値の前回値D’を基礎とし、デューティ値の前回値D’と合計操作量Htとを演算部130により加算する。これにより制御回路10は、今回のデューティ値Dを求める。そして制御回路10は、今回のデューティ値Dをヒータ3に出力する。今回のデューティ値D は、設定水量Q、ヒータ出口温度センサ7で検知される水の補正温度T’out、ヒータ入口温度センサ6で検知される水の補正温度T’in、温度偏差ε、温度偏差εの変化量Δε、比例ゲインKP、積分ゲインの調整比率α1、積分ゲインKI、積分ゲインKIの調整比率α2を考慮している。この結果、前述したように、ユーザ水量設定手段9で水の設定水量Qが変更されるとしても、デューティ値Dを迅速に且つ適切に応答させることができる。
【0065】
更に、ヒータ入口温度センサ6で検知される加熱される前の水の補正温度T’inが変化するとき、補正温度T’inの変化に応じて、制御定数変更手段207は、比例ゲインKPに関する調整比率α1、積分ゲインKIに関する調整比率α2をそれぞれ求める。そして制御回路10は、調整比率α1および調整比率α2に応じてデューティ値D(制御量)を調整する。この結果、季節の変化等により加熱される前の水の補正温度T’inが変化するとしても、デューティ値Dを迅速に且つ適切に応答させることができ、温水の温度オーバーが抑制される。
【0066】
更に本実施例によれば、図10から理解できるように、制御回路10は、第2記憶要素162(メモリ16の所定のエリア)に格納されているデューティ値の前回値D’を基礎として用い、デューティ値の前回値D’と合計操作量Htとを加算して今回のデューティ値Dを求める。このため、デューティ値の前回値D’を用いない場合に比較して、制御回路10による演算時間が短縮される。故に、設定水量Qの変更、あるいは、加熱される前の水の補正温度T’inの変化があるとき、ヒータ3に通電する電流のデューティ値Dを一層迅速に応答させることができ、ヒータ3の応答性を高めることができる。
【0067】
また本実施例によれば、制御回路10は、図10から理解できるように、第1記憶要素161(メモリ16の所定のエリア)に格納されている温度偏差εの前回値ε’を基礎として用い、温度偏差εの今回値と温度偏差の前回値ε’との差Δεを演算部114で求める。そして、Δεと比例ゲインKPとの乗算に応じて、第1操作量H1を求めることにしている。このため、温度偏差εの前回値ε’を用いない場合に比較して、制御回路10による演算時間が短縮される。故に、設定水量Qの変更、あるいは、加熱される前の水の計測温度Tinの変化があるとき、ヒータ3に通電する電流のデューティ値Dを一層迅速に応答させることができ、ヒータ3の応答性を高めることができ、局部を洗浄する温水の温度が適切化される。
【実施例4】
【0068】
本発明の実施例4について具体的に説明する。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。本実施例によれば、ユーザ温度設定手段で設定された温水の目標温度をTset[℃]とし、ヒータ入口温度センサ6で検知された水の補正温度をT’in[℃]とし、ユーザ水量設定手段9で設定された水の設定水量をQset[ml/min]とし、γを設定値とするとき、制御回路10(制御手段)は、例えば、下記の式(A)に基づいてデューティ値D(ヒータ電力物理量)を求めることができる。
【0069】
{(Tset−T’in)×Qset]×γ}(但し、γは実数)……(A)
更に、ヒータ出口温度センサ7の補正温度T’outが温水の目標温度Tsetに一致するように、フィードバック制御されている。
【0070】
本実施例においても、ヒータ出口温度センサ7で計測された計測温度Toutに補正用定数τ1を加算することにより計測温度Toutが補正されて、補正温度T’outが求められている。また、ヒータ入口温度センサ6で計測された計測温度Tinに補正用定数τ2を加算することにより計測温度Tinが補正されて、補正温度T’inが求められている。設定値γとしては実験等に基づいて適宜設定でき、固定値でも良いし、変動値でも良く、整数、分数、少数点付き数字を含む。
【0071】
本実施例によれば、ヒータ入口温度センサ6で計測された計測温度Tinに補正用定数τ2を加算することにより計測温度Tinが補正されて補正温度T’inが求められているため、上記した式(A)に基づいてデューティ値Dが適正化され、局部を洗浄する温水の温度が適切化される。
【0072】
(他の実施例)
その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。例えば、上記した各実施例によれば、ヒータ3に電流をパルス的に通電し、電流のデューティ値Dを変更することにより、ヒータ3に通電するヒータ電力物理量を変更することにしているが、これに限らず、直流電流をヒータ3に連続的に通電しつつ、その電流値を適宜増加または減少させる形態としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は人体等の局部を洗浄するシャワートイレにおいて、局部の洗浄に使用する水を迅速に加熱する瞬間給湯式の温度制御装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】実施例1に係り、温度制御装置を搭載するシャワートイレの斜視図である。
【図2】実施例1に係り、温度制御装置のブロック図である。
【図3】給水路に10℃の水を供給すると共に、ヒータ入口温度センサおよびヒータ出口温度センサで水温を計測している状態(補正処理なしと補正処理有り)を示す構成図である。
【図4】給水路に10℃の水を供給すると共に水をヒータで加熱し、ヒータ入口温度センサおよびヒータ出口温度センサで水温を計測している状態(補正処理なし)を示す構成図である。
【図5】給水路に10℃の水を供給すると共に水をヒータで加熱し、ヒータ入口温度センサおよびヒータ出口温度センサで水温を計測している状態(補正処理有り)を示す構成図である。
【図6】温度センサの計測温度のバラツキを説明するグラフである。
【図7】2つの温度センサが用いられているときにおける計測温度のバラツキを説明するグラフである。
【図8】実施例1に係り、制御回路が実行する補正用定数設定処理のフローチャートである。
【図9】実施例1に係り、制御回路が実行する温水生成処理のフローチャートである。
【図10】実施例3に係り、制御回路が実行する制御内容を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0075】
100は便器、101は操作盤、102は基部、103はノズル(温水吐出部)、104は便座、105は便蓋、1は給水路、3はヒータ、4は水量変更器、6はヒータ入口温度センサ(ヒータ入口温度検知手段)、7はヒータ出口温度センサ(ヒータ出口温度検知手段)、8はユーザ温度設定手段(温水温度設定手段)、9はユーザ水量設定手段、10は制御回路(制御手段)、11はデューティ値発生回路、14はCPU、16はメモリ(記憶要素)、161は第1記憶要素、162は第2記憶要素を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の局部を洗浄するために給水路を流れる水を加熱するヒータと、
前記ヒータで加熱された水を人体の局部に向けて吐出する温水吐出部と、
前記温水吐出部から吐出される温水の目標温度Tsetを設定する温水温度設定手段と、
前記ヒータで加熱される前の水の温度を検知するヒータ入口温度検知手段と、
前記ヒータで加熱された後の温水の温度を検知するヒータ出口温度検知手段と、
前記ヒータを制御する制御手段とを具備するシャワートイレの温度制御装置において、
前記制御手段は、
前記ヒータが加熱作動していないとき、前記ヒータ入口温度検知手段により計測温度Tinを検知すると共に前記ヒータ出口温度検知手段により計測温度Toutを検知し、
計測温度Toutと計測温度Tinとの間に差ΔTが存在するとき、計測温度Toutと計測温度Tinとの間の仮想真値Tvirに計測温度Toutが近づくように前記ヒータ出口温度検知手段用の補正用定数τ1を設定する補正用定数設定手段と、
前記ヒータ出口温度検知手段の計測温度Toutに補正用定数τ1を加算した値を、前記ヒータ出口温度検知手段の補正温度とする補正処理を実行する補正手段と、
前記温水温度設定手段で設定された温水の目標温度Tsetと、前記補正手段で補正された前記ヒータ出口温度検知手段の補正温度とが対応するように、前記ヒータに対する制御量を設定する制御量設定手段とを具備することを特徴とする瞬間給湯式のシャワートイレの温度制御装置。
【請求項2】
請求項1において、前記補正用定数設定手段は、前記ヒータが加熱作動していないときにおける前記ヒータ入口温度検知手段の計測温度Tinと前記ヒータ出口温度検知手段の計測温度Toutとの間に仮想真値Tvirを求め、且つ、
仮想真値Tvirから前記ヒータ出口温度検知手段の計測温度Toutを差し引いた値に所定の比率を乗算した値を、前記ヒータ出口温度検知手段用の補正用定数τ1とすることを特徴とする瞬間給湯式のシャワートイレの温度制御装置。
【請求項3】
請求項2において、前記補正用定数設定手段は、前記仮想真値Tvirから前記ヒータ入口温度検知手段の計測温度Tinを差し引いた値に所定の比率を乗算した値を、前記ヒータ入口温度検知手段用の補正用定数τ2とし、
前記補正手段は、前記ヒータが加熱作動しているとき、前記ヒータ入口温度検知手段の計測温度Tinに補正用定数τ2を加算した値を、前記ヒータ入口温度検知手段の補正温度とすることを特徴とする瞬間給湯式のシャワートイレの温度制御装置。
【請求項4】
請求項1において、前記ヒータ入口温度の温度バラツキよりも前記ヒータ出口温度の温度バラツキが小さく設定されており、
前記補正用定数設定手段は、前記ヒータが加熱作動していないときにおける前記ヒータ出口温度検知手段の計測温度Toutに計測温度Tinよりも重みをつけつつ、前記入口温度検知手段の計測温度Tinと前記ヒータ出口温度検知手段の計測温度Toutとの間に存在する仮想真値Tvirを求め、且つ、
仮想真値Tvirから前記ヒータ出口温度検知手段の計測温度Toutを差し引いた値に所定の比率を乗算した値を、前記ヒータ出口温度検知手段用の補正用定数τ1とすることを特徴とする瞬間給湯式のシャワートイレの温度制御装置。
【請求項5】
請求項4において、前記補正用定数設定手段は、前記仮想真値Tvirから前記ヒータ入口温度検知手段の計測温度Tinを差し引いた値に所定の比率を乗算した値を、前記ヒータ入口温度検知手段用の補正用定数τ2とし、
前記補正手段は、前記ヒータが加熱作動しているとき、前記ヒータ入口温度検知手段の計測温度Tinに補正用定数τ2を加算した値を、前記ヒータ入口温度検知手段の補正温度とすることを特徴とする瞬間給湯式のシャワートイレの温度制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか一項において、前記制御手段は、前記ヒータが加熱作動していないとき、前記ヒータ入口温度検知手段の計測温度Tinと前記ヒータ出口温度検知手段の計測温度Toutとの差ΔTを求め、差ΔTが所定値よりも大きいとき、警報信号を出力するかあるいは前記ヒータの発熱を制限する警報手段を有することを特徴とする瞬間給湯式のシャワートイレの温度制御装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちのいずれか一項において、前記補正用定数設定手段は、ユーザが前記温水吐出部から吐出する温水で局部を洗浄する洗浄処理の直前、前記洗浄処理の直後、ユーザが便座に着座しているとき、ユーザが便座に着座していないとき、夜間であるときのうちの少なくとも一つの条件が満たされるとき、
前記ヒータを発熱させない条件の下で、前記補正用定数を設定する補正用定数設定処理を実行することを特徴とする瞬間給湯式のシャワートイレの温度制御装置。
【請求項8】
請求項1〜7のうちのいずれか一項において、前記温水吐出部から吐出される温水の目標温度Tsetをユーザまたは前記制御手段が設定する温水温度設定手段が設けられていることを特徴とする瞬間給湯式のシャワートイレの温度制御装置。
【請求項9】
請求項1〜8のうちのいずれか一項において、前記制御手段は、
前記温水温度設定手段で設定される温水の目標温度Tsetと前記ヒータ出口温度検知手段で検知される温水の補正温度T’outとの温度偏差εを求めると共に、前記ユーザ水量設定手段で設定される水の設定水量および/または前記温度偏差εに応じて制御定数を設定し、前記設定水量と前記温度偏差と前記制御定数とに応じて前記ヒータに対する制御量を設定すると共に、且つ、
前記ヒータ入口温度検知手段で検知される加熱される前の水の補正温度に応じて、前記制御量または前記制御定数を調整することを特徴とする瞬間給湯式のシャワートイレの温度制御装置。
【請求項10】
請求項9において、前記制御定数は比例ゲインおよび積分ゲインであることを特徴とする瞬間給湯式のシャワートイレの温度制御装置。
【請求項11】
請求項10において、前記ユーザ水量設定手段で設定される設定水量が増加すると、前記比例ゲインおよび前記積分ゲインは増加するように設定されていることを特徴とする瞬間給湯式のシャワートイレの温度制御装置。
【請求項12】
請求項10または11において、前記制御手段は、前記ヒータ入口温度検知手段で検知される加熱される前の水の温度が低温になると前記比例ゲインを増加し、加熱される前の水の温度が高温になると前記比例ゲインを減少することを特徴とする瞬間給湯式のシャワートイレの温度制御装置。
【請求項13】
請求項10〜12のうちのいずれか一項において、前記制御手段は、前記ヒータ入口温度検知手段で検知される加熱される前の水の温度が低温になると前記積分ゲインを増加し、加熱される前の水の温度が高温になると前記積分ゲインを減少することを特徴とする瞬間給湯式のシャワートイレの温度制御装置。
【請求項14】
請求項9〜13のうちのいずれか一項において、前記ヒータに通電するヒータ電力物理量を記憶する第1記憶要素が設けられており、
前記制御手段は、所定時間毎にヒータ電力物理量を更新しており、
前記温水温度設定手段で設定される温水の目標温度と前記ヒータ出口温度検知手段で検知される温水の温度との温度偏差を求め、
今回求めた温度偏差に関する物理量と前記制御定数とに基づく合計操作量を求め、前記第1記憶要素に記憶されている前回のヒータ電力物理量を基礎とし、前回のヒータ電力物理量と今回求めた合計操作量とを加算して今回のヒータ電力物理量を更新することを特徴とする瞬間給湯式のシャワートイレの温度制御装置。
【請求項15】
請求項10〜14のうちのいずれか一項において、前記温度偏差を記憶する第2記憶要素が設けられており、
前記制御手段は、前記第2記憶要素に記憶されている前回の温度偏差と今回求めた温度偏差との差を求め、この差と比例要素の比例ゲインとに応じて操作量を求めることを特徴とする瞬間給湯式のシャワートイレの温度制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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