説明

知識ネット可視化システムおよび知識ネット可視化方法ならびにそのプログラム

【課題】コンピュータ支援教育において、学習ルートおよび学習進度(学習履歴)を知識ネット図として可視化する知識ネット可視化システムおよび知識ネット可視化方法とそのプログラムを提供する。
【解決手段】知識ネット可視化システムは知識ネット図を表示する。知識ネット図は、問題ユニット枝領域を対応する問題ユニットの所定分類に従って配置した立体的な脳血管モデルである知識フレーム図に、知識フレーム図の一部または全部を立体的な系統樹モデルとして淡色で着色表示した学習ルート図と、学習ルート図における学習済の問題ユニットの問題ユニット枝領域を濃色で着色表示した学習進度図とを重ね合わせて表示する。知識ネット図上の問題ユニット枝領域をクリックすると、問題ユニット枝領域に埋め込まれた番地情報に基づいて設問DBから設問、解答DBから解答、解説DBから解説がそれぞれ読み出されて問題ユニットカードとして表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は知識ネット可視化システムおよび知識ネット可視化方法ならびにそのプログラムに関し、より詳しくはコンピュータ支援教育(CAI;Computer−Aided Instruction)において学習ルートおよび学習進度(学習履歴)を知識ネット図として可視化する知識ネット可視化システムおよび知識ネット可視化方法ならびにそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、学習科目を体系化した系統図上を習熟度色処理部の行う色分け処理によって表示された成績一覧表示部の誘導により、学習指導者ないし学習者本人が学習する章や単元を決定し、指定部において指定できるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−65411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、系統図上にそのまま個人対応型成績の色表示部を重ね合わせた学習系統対応成績一覧によって学習指導者ないし学習者本人が学習科目の系統図上を目的地まで行くように効率よく学習を進めることができるが、体系化されている知識が学習科目にすぎず、学習科目を超えた既存または新規の学問体系までも自由に行き来して系統的に学習を進めることができるものではないという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、上述の点に鑑み、問題ユニット枝領域を対応する問題ユニットの所定分類に従って配置した知識ネット図を使用して、学習者自らが興味のある問題ユニットを自由に探索しながら既存あるいは新規の学問体系を系統的に学習できるようにした知識ネット可視化システムを提供することにある。
【0006】
また、本発明の他の目的は、上記知識ネット可視化システムを実現する知識ネット可視化方法およびそのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の知識ネット可視化システムは、少なくとも科目名、単元名、学習要素名およびキーワードからなるコーパス情報を蓄積するコーパス情報データベースと、学習要素に対応して設問を蓄積する設問データベースと、前記設問に対応する解答を蓄積する解答データベースと、前記設問に対応する解説を蓄積する解説データベースと、問題ユニット枝領域を対応する問題ユニットの所定分類に従って配置した立体的な脳血管モデルである知識フレーム図に、前記知識フレーム図の一部または全部を学習ルートとして表示する学習ルート図と、前記学習ルート図における学習済の問題ユニットの問題ユニット枝領域の集まりを学習進度として表示する学習進度図とを重ね合わせて表示されている知識ネット図を学習者毎に管理する個別学習履歴データベースと、前記個別学習履歴データベースから学習者の知識ネット図を読み出して表示し、前記コーパス情報データベースから学習要素名を読み出し、当該学習要素名に基づいて前記設問データベースを検索して設問を読み出し、前記設問に対する学習者の解答で前記解答データベースを検索して解答が正答であるか誤答であるかを判定し、正答であれば前記知識ネット図の該当問題ユニット枝領域の表示を学習済を表す表示に変更する処理手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の知識ネット可視化システムは、請求項1に記載の知識ネット可視化システムにおいて、前記問題ユニット枝領域を、枝を輪切りにした円板体に見立て、前記知識フレーム図を、前記問題ユニット枝領域を積み重ねて形成される立体的な系統樹モデルとして表示し、さらに同一または類似する問題ユニットの問題ユニット枝領域間を連結線で結ぶことにより立体的な脳血管モデルとして表示することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の知識ネット可視化システムは、請求項1または2に記載の知識ネット可視化システムにおいて、前記問題ユニット枝領域が、前記知識ネット図の先端方向から根元方向になるほど対応する問題ユニットの学習優先度が高く、逆に前記知識ネット図の根元方向から先端方向になるほど対応する問題ユニットの学習難易度が高くなっていることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の知識ネット可視化システムは、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の知識ネット可視化システムにおいて、前記学習ルート図の問題ユニット枝領域を淡色で着色表示し、前記問題ユニットの学習後に濃色の着色表示に変更することにより、前記学習進度図を表示することを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の知識ネット可視化システムは、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の知識ネット可視化システムにおいて、前記問題ユニットを、設問アイコン、解答アイコンおよび解説アイコンを含む問題ユニットカードとして表示し、前記設問アイコンが選択されたときに設問ウィンドウが表示され、前記解答アイコンが選択されたときに解答ウィンドウが表示され、前記解説アイコンが選択されたときに解説ウィンドウが表示されることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の知識ネット可視化システムは、請求項5に記載の知識ネット可視化システムにおいて、前記問題ユニット枝領域に、対応する問題ユニットへの番地情報が埋め込まれていて、前記問題ユニット枝領域が選択されたときに前記問題ユニットカードを表示することを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の知識ネット可視化システムは、請求項5に記載の知識ネット可視化システムにおいて、検索キーワードが入力されたときに当該検索キーワードに対応する問題ユニットの問題ユニットカードを表示することを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の知識ネット可視化システムは、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の知識ネット可視化システムにおいて、前記問題ユニット枝領域に、対応する問題ユニットの学習要素名および問題ユニット名が埋め込まれていて、前記問題ユニット枝領域がポインティングデバイスによってポイントされたときに前記学習要素名および問題ユニット名が補助情報として表示されることを特徴とする。
【0015】
請求項9記載の知識ネット可視化システムは、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の知識ネット可視化システムにおいて、前記設問に対する学習者の解答が正答ならば学習者に次の問題ユニットに移行するか前記設問に対応する解説を表示するかを選択させ、前記設問に対する学習者の解答が誤答ならば前記解説ウィンドウが開かれて自動的に前記設問の解説を表示することを特徴とする。
【0016】
請求項10記載の知識ネット可視化方法は、問題ユニット枝領域を対応する問題ユニットの所定分類に従って配置した立体的な脳血管モデルである知識フレーム図に、前記知識フレーム図の一部または全部を学習ルートとして表示する学習ルート図と、前記学習ルート図における学習済の問題ユニットの問題ユニット枝領域の集まりを学習進度として表示する学習進度図とを重ね合わせて表示されている知識ネット図を学習者毎に管理する個別学習履歴データベースから学習者の知識ネット図を読み出して表示する工程と、少なくとも科目名、単元名、学習要素名およびキーワードからなるコーパス情報を蓄積するコーパス情報データベースから学習要素名を読み出す工程と、当該学習要素名に基づいて前記学習要素に対応して設問を蓄積する設問データベースを検索して設問を読み出す工程と、前記設問に対する学習者の解答で前記設問に対応する解答を蓄積する解答データベースを検索して解答が正答であるか誤答であるかを判定する工程と、前記解答が正答であれば前記知識ネット図の該当問題ユニット枝領域の表示を学習済を表す表示に変更する工程とを含むことを特徴とする。
【0017】
請求項11記載の知識ネット可視化方法は、請求項10に記載の知識ネット可視化方法において、前記問題ユニット枝領域を、枝を輪切りにした円板体に見立て、前記知識フレーム図を、前記問題ユニット枝領域を積み重ねて形成される立体的な系統樹モデルとして表示し、さらに同一または類似する問題ユニットの問題ユニット枝領域間を連結線で結ぶことにより立体的な脳血管モデルとして表示することを特徴とする。
【0018】
請求項12記載の知識ネット可視化方法は、請求項10または11に記載の知識ネット可視化方法において、前記問題ユニット枝領域が、前記知識ネット図の先端方向から根元方向になるほど対応する問題ユニットの学習優先度が高く、逆に前記知識ネット図の根元方向から先端方向になるほど対応する問題ユニットの学習難易度が高くなっていることを特徴とする。
【0019】
請求項13記載の知識ネット可視化方法は、請求項10ないし12のいずれか1項に記載の知識ネット可視化方法において、前記学習ルート図の問題ユニット枝領域を淡色で着色表示し、前記問題ユニットの学習後に濃色の着色表示に変更することにより、前記学習進度図を表示することを特徴とする。
【0020】
請求項14記載の知識ネット可視化方法は、請求項10ないし13のいずれか1項に記載の知識ネット可視化方法において、前記問題ユニットを、設問アイコン、解答アイコンおよび解説アイコンを含む問題ユニットカードとして表示し、前記設問アイコンが選択されたときに設問ウィンドウが表示され、前記解答アイコンが選択されたときに解答ウィンドウが表示され、前記解説アイコンが選択されたときに解説ウィンドウが表示されることを特徴とする。
【0021】
請求項15記載の知識ネット可視化方法は、請求項14に記載の知識ネット可視化方法において、前記問題ユニット枝領域に、対応する問題ユニットへの番地情報が埋め込まれていて、前記問題ユニット枝領域が選択されたときに前記問題ユニットカードを表示することを特徴とする。
【0022】
請求項16記載の知識ネット可視化方法は、請求項14に記載の知識ネット可視化方法において、検索キーワードが入力されたときに当該検索キーワードに対応する問題ユニットの問題ユニットカードを表示することを特徴とする。
【0023】
請求項17記載の知識ネット可視化方法は、請求項16に記載の知識ネット可視化方法において、前記問題ユニットカードが、前記問題ユニットの学習優先度が高く、かつ前記問題ユニットの学習難易度が低い順に表示されることを特徴とする。
【0024】
請求項18記載の知識ネット可視化方法は、請求項10ないし17のいずれか1項に記載の知識ネット可視化方法において、前記問題ユニット枝領域に、対応する問題ユニットの学習要素名および問題ユニット名が埋め込まれていて、前記問題ユニット枝領域がポインティングデバイスによってポイントされたときに前記学習要素名および問題ユニット名が補助情報として表示されることを特徴とする。
【0025】
請求項19記載の知識ネット可視化方法は、請求項10ないし18のいずれか1項に記載の知識ネット可視化方法において、前記設問に対する学習者の解答が正答ならば学習者に次の問題ユニットに移行するか前記設問に対応する解説を表示するかを選択させ、前記設問に対する学習者の解答が誤答ならば前記解説ウィンドウが開かれて自動的に前記設問の解説を表示することを特徴とする。
【0026】
請求項20記載のプログラムは、前記請求項10ないし19のいずれか1項に記載された方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
請求項1記載の知識ネット可視化システムによれば、少なくとも科目名、単元名、学習要素名およびキーワードからなるコーパス情報を蓄積するコーパス情報データベースと、学習要素に対応して設問を蓄積する設問データベースと、設問に対応する解答を蓄積する解答データベースと、設問に対応する解説を蓄積する解説データベースと、問題ユニット枝領域を対応する問題ユニットの所定分類に従って配置した立体的な脳血管モデルである知識フレーム図に、知識フレーム図の一部または全部を学習ルートとして表示する学習ルート図と、学習ルート図における学習済の問題ユニットの問題ユニット枝領域の集まりを学習進度として表示する学習進度図とを重ね合わせて表示されている知識ネット図を学習者毎に管理する個別学習履歴データベースと、個別学習履歴データベースから学習者の知識ネット図を読み出して表示し、コーパス情報データベースから学習要素名を読み出し、当該学習要素名に基づいて設問データベースを検索して設問を読み出し、設問に対する学習者の解答で解答データベースを検索して解答が正答であるか誤答であるかを判定し、正答であれば知識ネット図の該当問題ユニット枝領域の表示を学習済を表す表示に変更する処理手段とを備えることにより、学習者自らが興味のある問題ユニットを自由に探索しながら既存あるいは新規の学問体系を系統的に学習することができる。
【0028】
請求項2記載の知識ネット可視化システムによれば、問題ユニット枝領域を、枝を輪切りにした円板体に見立て、知識フレーム図を、問題ユニット枝領域を積み重ねて形成される立体的な系統樹モデルとして表示し、さらに同一または類似する問題ユニットの問題ユニット枝領域間を連結線で結ぶことにより立体的な脳血管モデルとして表示するので、学習者は知識ネット図上の学習ルートおよび学習進度を視覚を通じて直感的に辿りながら体系的な学習科目の目的地まで行くように効率よく学習を進めることができる。
【0029】
請求項3記載の知識ネット可視化システムによれば、知識ネット図の先端方向から根元方向になるほど対応する問題ユニットの学習優先度が高く、逆に知識ネット図の根元方向から先端方向になるほど対応する問題ユニットの学習難易度が高くなっているので、学習者は根元方向から先端方向に沿って学習ルートおよび学習進度が進行することを直感的に把握することができる。
【0030】
請求項4記載の知識ネット可視化システムによれば、学習ルート図の問題ユニット枝領域を淡色で着色表示し、問題ユニットの学習後に濃色の着色表示に変更することにより、学習進度図を表示するので、学習者は学習ルート図が短くなり、かつ学習進度図が長くなることを見ることによって目標に近づいていることを直感的に把握することができる。
【0031】
請求項5記載の知識ネット可視化システムによれば、問題ユニットを、設問アイコン、解答アイコンおよび解説アイコンを含む問題ユニットカードとして表示し、設問アイコンが選択されたときに設問ウィンドウが表示され、解答アイコンが選択されたときに解答ウィンドウが表示され、解説アイコンが選択されたときに解説ウィンドウが表示されるので、学習者は知識ネット図から問題ユニットカードを取り出して解答を書き込むような感覚で学習を進めることができる。
【0032】
請求項6記載の知識ネット可視化システムによれば、問題ユニット枝領域に、対応する問題ユニットへの番地情報が埋め込まれていて、問題ユニット枝領域が選択されたときに問題ユニットカードを表示するので、学習者は問題ユニット枝領域と問題ユニットとの関係を思案することなしに、直感的に問題ユニットカードを取り出すことができる。
【0033】
請求項7記載の知識ネット可視化システムによれば、検索キーワードが入力されたときに当該検索キーワードに対応する問題ユニットの問題ユニットカードを表示するので、学習者は検索キーワードを入力しながら、興味あるキーワード検索から関連する他の分野の問題ユニットへと気の向くままに飛びながら学習する探索型学習を行うことができる。
【0034】
請求項8記載の知識ネット可視化システムによれば、問題ユニット枝領域に、対応する問題ユニットの学習要素名および問題ユニット名が埋め込まれていて、問題ユニット枝領域がポインティングデバイスによってポイントされたときに学習要素名および問題ユニット名が補助情報として表示されるので、学習者は迷うことなしに所望する問題ユニットカードを表示することができる。
【0035】
請求項9記載の知識ネット可視化システムによれば、設問に対する学習者の解答が正答ならば学習者に次の問題ユニットに移行するか設問に対応する解説を表示するかを選択させ、設問に対する学習者の解答が誤答ならば解説ウィンドウが開かれて自動的に設問の解説を表示するので、知識ネット図上における学習者の未学習の問題ユニットに絞り込んだ反復学習を自動的に実施することができ、時間効率の高い学習が可能となる。また、学習者が誤答した問題ユニットを繰り返し学習することになるので、学習者の忘却に対する再記憶の機会を適宜与えることになり、知識の定着をより確かなものにすることができる。
【0036】
請求項10記載の知識ネット可視化方法によれば、問題ユニット枝領域を対応する問題ユニットの所定分類に従って配置した立体的な脳血管モデルである知識フレーム図に、知識フレーム図の一部または全部を学習ルートとして表示する学習ルート図と、学習ルート図における学習済の問題ユニットの問題ユニット枝領域の集まりを学習進度として表示する学習進度図とを重ね合わせて表示されている知識ネット図を学習者毎に管理する個別学習履歴データベースから学習者の知識ネット図を読み出して表示する工程と、少なくとも科目名、単元名、学習要素名およびキーワードからなるコーパス情報を蓄積するコーパス情報データベースから学習要素名を読み出す工程と、当該学習要素名に基づいて学習要素に対応して設問を蓄積する設問データベースを検索して設問を読み出す工程と、設問に対する学習者の解答で設問に対応する解答を蓄積する解答データベースを検索して解答が正答であるか誤答であるかを判定する工程と、解答が正答であれば知識ネット図の該当問題ユニット枝領域の表示を学習済を表す表示に変更する工程とを含むことにより、学習者自らが興味のある問題ユニットを自由に探索しながら既存あるいは新規の学問体系を系統的に学習することができる。
【0037】
請求項11記載の知識ネット可視化方法によれば、問題ユニット枝領域を、枝を輪切りにした円板体に見立て、知識フレーム図を、問題ユニット枝領域を積み重ねて形成される立体的な系統樹モデルとして表示し、さらに同一または類似する問題ユニットの問題ユニット枝領域間を連結線で結ぶことで立体的な脳血管モデルとして表示することにより、学習者は知識ネット図上の学習ルートおよび学習進度を視覚を通じて直感的に辿りながら体系的な学習科目の目的地まで行くように効率よく学習を進めることができる。
【0038】
請求項12記載の知識ネット可視化方法によれば、問題ユニット枝領域が、知識ネット図の先端方向から根元方向になるほど対応する問題ユニットの学習優先度が高く、逆に知識ネット図の根元方向から先端方向になるほど対応する問題ユニットの学習難易度が高くなっているので、学習者は根元方向から先端方向に沿って学習ルートおよび学習進度が進行することを直感的に把握することができる。
【0039】
請求項13記載の知識ネット可視化方法によれば、学習ルート図の問題ユニット枝領域を淡色で着色表示し、問題ユニットの学習後に濃色の着色表示に変更することにより、学習進度図を表示するので、学習者は学習ルート図が短くなり、かつ学習進度図が長くなることを見ることによって目標に近づいていることを直感的に把握することができる。
【0040】
請求項14記載の知識ネット可視化方法によれば、問題ユニットを、設問アイコン、解答アイコンおよび解説アイコンを含む問題ユニットカードとして表示し、設問アイコンが選択されたときに設問ウィンドウが表示され、解答アイコンが選択されたときに解答ウィンドウが表示され、解説アイコンが選択されたときに解説ウィンドウが表示されるので、学習者は知識ネット図から問題ユニットカードを取り出して解答を書き込むような感覚で学習を進めることができる。
【0041】
請求項15記載の知識ネット可視化方法によれば、問題ユニット枝領域に、対応する問題ユニットへの番地情報が埋め込まれていて、問題ユニット枝領域が選択されたときに問題ユニットカードを表示するので、学習者は問題ユニット枝領域と問題ユニットとの関係を思案することなしに、直感的に問題ユニットカードを取り出すことができる。
【0042】
請求項16記載の知識ネット可視化方法によれば、検索キーワードが入力されたときに当該検索キーワードに対応する問題ユニットの問題ユニットカードを表示するので、学習者は検索キーワードを入力しながら、興味あるキーワード検索から関連する他の分野の問題ユニットへと気の向くままに飛びながら学習する探索型学習を行うことができる。
【0043】
請求項17記載の知識ネット可視化方法は、請求項16に記載の知識ネット可視化方法において、前記問題ユニットカードが、前記問題ユニットの学習優先度が高く、かつ前記問題ユニットの学習難易度が低い順に表示されることを特徴とする。
【0044】
請求項18記載の知識ネット可視化方法によれば、問題ユニット枝領域に、対応する問題ユニットの学習要素名および問題ユニット名が埋め込まれていて、問題ユニット枝領域がポインティングデバイスによってポイントされたときに学習要素名および問題ユニット名が補助情報として表示されるので、学習者は迷うことなしに所望する問題ユニットカードを表示することができる。
【0045】
請求項19記載の知識ネット可視化方法によれば、設問に対する学習者の解答が正答ならば学習者に次の問題ユニットに移行するか設問に対応する解説を表示するかを選択させ、設問に対する学習者の解答が誤答ならば解説ウィンドウが開かれて自動的に設問の解説を表示するので、知識ネット図上における学習者の未学習の問題ユニットに絞り込んだ反復学習を自動的に実施することができ、時間効率の高い学習が可能となる。また、学習者が誤答した問題ユニットを繰り返し学習することになるので、学習者の忘却に対する再記憶の機会を適宜与えることになり、知識の定着をより確かなものにすることができる。
【0046】
請求項20記載のプログラムによれば、請求項10ないし請求項19のいずれか1項に記載された方法をコンピュータに実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例1に係る知識ネット可視化システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】図1中のコーパス情報データベースの構造を説明する図。
【図3】図1中の設問データベースの構造を説明する図。
【図4】図1中の個別学習履歴データベースの構造を説明する図。
【図5】知識ネット図を例示する図。
【図6】キーワード検索を説明する図。
【図7】ビジュアル検索を説明する図。
【図8】問題ユニットをノードとして表した図。
【図9】知識ネット図をノードのリンクとして表した図。
【図10】本発明の実施例1に係る知識ネット可視化システムの具体的な構成を示すブロック図。
【図11】実施例1に係る知識ネット可視化方法のクライアント・サーバ間通信のフローチャート。
【図12】図11中の知識ネット図の取得ステップをより詳細に示すフローチャート。
【図13】図11中のキーワード検索処理をより詳細に示すフローチャート。
【図14】図11中のビジュアル検索処理をより詳細に示すフローチャート。
【図15】実施例1に係る知識ネット可視化方法の終了処理を示すフローチャート。
【図16】実施例1に係る知識ネット可視化方法における知識ネット描画処理を示すフローチャート。
【図17】実施例1に係る知識ネット可視化方法の学習ルート図作成処理を示すフローチャート。
【図18】図書分類の一例として日本十進分類法を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0049】
図1は、本発明の実施例1に係る知識ネット可視化システムの概略構成を示すブロック図である。本実施例1に係る知識ネット可視化システムは、処理装置10と、コーパス情報データベース(コーパス情報DB)20と、設問データベース(設問DB)30と、解答データベース(解答DB)40と、解説データベース(解説DB)50と、個別学習履歴データベース(個別学習履歴DB)60と、入力装置70と、出力装置80とから、その主要部が構成されている。
【0050】
処理装置10は、個別学習履歴DB60と交信して学習者の学習ルートおよび学習進度(学習履歴)を表す知識ネット図があれば、読み出して出力装置80に出力する知識ネット図表示手段101と、コーパス情報DB20と交信して検索キーワードを該当するコーパス情報と照合するコーパス情報照合手段102と、設問DB30と交信して該当する設問を取得して出力装置80に表示する設問表示手段103と、解答DB40と交信して設問に対する解答が正答であるか誤答であるかを判定する解答正誤判定手段104と、解説DB50と交信して設問に対する解説を取得し出力装置80に表示する解説表示手段105とを含んで構成されている。
【0051】
図2を参照すると、コーパス情報DB20は、科目名(または資格名)、単元名、学習要素名(章名、目次名)、キーワード等からなるコーパス情報を蓄積する。ここでは、科目名として、「数学III・C」、「診療放射線技師」、「管理栄養士」等が蓄積されている。なお、コーパス情報DB20には、後から単元名、学習要素名、キーワード等を任意に追加することができる。
【0052】
図3を参照すると、設問DB30は、設問を蓄積する。設問のデータ形式は、主に、静止画、または文字情報(+音声)である。具体的には、設問DB30は、「00:総記」から分岐し、「人文科学」、「40:自然科学」、「30:社会科学」の分野(大分類)を示す項目と、「830:英語」、「410:数学」、「国語」、「理科」、「社会」のような中分類を示す項目と、「中学数学」、「数IA」、「数IIB」、「数IIIC」のような既存の科目を示す項目と、「不定詞」(英語)、「2次関数」(数学)のような単元を示す項目と、「名詞用法」(不定詞)、「グラフ」(2次関数)のような学習要素を示す項目と、学習要素内で学習優先度が高くかつ学習難易度が低い順で配列(小分類)されている問題ユニットを示す項目とからなる。
【0053】
例えば、図3では、中分類「410:数学」の科目「数IIB」に、単元「数と式」、「2次関数」、「個数の処理」、「確率」、「三角比」、「微分積分」、「式と曲線」等が属しており、単元「2次関数」には、学習要素「2次のグラフ」、「最大・最小」、「関数と方程式」、「関数と不等式」等が属しており、学習要素「関数と不等式」には、10個の問題ユニットが属しており、学習優先度が高くかつ学習難易度が低い順に配列されている。
【0054】
解答DB40は、設問DB30の設問に対応する解答を蓄積する。解答のデータ形式は、主に、静止画または文字情報(+音声)である。解答DB40については、公知の技術で実現可能であるので、その詳しい説明を省略する。
【0055】
解説DB50は、設問DB30の設問に対応する解説を蓄積する。解説のデータ形式は、主に、動画+音声である。解説DB50については、公知の技術で実現可能であるので、その詳しい説明を省略する。
【0056】
図4を参照すると、個別学習履歴DB60には、学習者の個別学習履歴情報としての知識ネット図が蓄積されていて、学習者の個別学習履歴管理および学習ルート管理が行われている。知識ネット図の設定は、後から保守および追加ができるようになっている。新しい学習者の知識ネット図は、個別学習履歴DB60と連携して追加できる。また、個別学習履歴DB60は、学習者の個別ID(IDentification)・パスワード管理を行う。
【0057】
図5を参照すると、知識ネット図は、問題ユニット枝領域を対応する問題ユニットの図書分類(本発明の所定分類の一例に相当する)に従って配置した立体的な脳血管モデルである無色透明または枠線(ワイヤーフレーム)のみの知識フレーム図(破線参照)と、知識フレーム図の一部または全部を立体的な系統樹モデルとして淡色(比較的に濃度が低い色をいう)で着色表示した学習ルート図と、学習ルート図における学習済の問題ユニットの問題ユニット枝領域を濃色(比較的に濃度が高い色をいう)で着色表示した学習進度図とを重ね合わせて表示するものである。問題ユニット枝領域には、コーパス情報BD20に格納されているヘッダーインデックス(学習要素名および問題ユニット名)や、設問、解答および解説の番地情報が埋め込まれている。問題ユニットは、設問DB30における図、表、設問文章(動画、音声でも可)等でなる設問と、解答DB40における図、表、解答文章等でなる解答と、解説DB50における動画や音声(図、表、解説文章でも可)等でなる解説とからなる。なお、既存の問題ユニットの保守、および新しい問題ユニットの追加は、簡単な管理画面から可能である。新しい問題ユニットも、設問DB30以降と連携して追加できる。
【0058】
知識ネット図では、問題ユニットを図書分類に基づき立体的な脳血管モデルである知識フレーム図に分類して配置し、知識フレーム図から学習者が学習すべき問題ユニットに対応する問題ユニット枝領域の一連の連なりである学習ルート図と、学習者がすでに学習して正答した問題ユニットの問題ユニット枝領域の集まりを示す学習進度図とを重ね合わせて表示して可視化されている。ここで、図書分類は、例えば、図18に示すような日本十進分類法(NDC:Nippon Decimal Classification)等の図書の分類方法をいう。なお、本発明で使用する図書分類は、日本十進分類法(NDC)に限られず、デューイ十進分類法(DDC;Dewey Decimal Classification)、国際十進分類法(UDC;Universal Decimal Classification)等の他の分類方法であってもよいことはいうまでもない。
【0059】
知識フレーム図は、根元の主幹が図書分類の「00:総記」に対応し、そこから「人文科学」、「30:社会科学」および「40:自然科学」が3方向の主枝に分岐している。知識フレーム図の主幹および主枝の部分は、問題ユニット枝領域に対応してはおらず、常に学習済として濃色で着色表示されている。知識フレーム図の主枝の先端から、さらに日本十進分類法(NDC)等の図書分類に従って、科目(中分類)を示す枝や、単元および学習要素を示す小枝が細分化されて延出されている。知識フレーム図の枝や小枝の部分は、問題ユニット枝領域に対応しており、初期状態では無色透明または枠線(ワイヤーフレーム)のみで表示されている(図5中の破線参照)。なお、中分類以下の分岐構造の問題ユニット枝領域は、先端方向から根元方向になるほど対応する問題ユニットの学習優先度が高く、逆に知識ネット図の根元方向から先端方向になるほど対応する問題ユニットの学習難易度が高い順となるように並べられている。問題ユニット枝領域は、問題ユニットが格納されているカードボックスのような役目をする。
【0060】
学習ルート図は、図書分類に基づく知識フレーム図において、学習者が学習すべきものとして設定された問題ユニット枝領域の一連の繋がりを淡色で着色表示する図である。換言すれば、学習ルート図は、知識フレーム図における未学習の問題ユニットに対応する問題ユニット枝領域を学習ルートとして淡色で着色表示するものである。
【0061】
また、学習ルート図では、同一または類似する問題ユニットが2つ以上の図書分類に分類される場合には、対応する2つ以上の問題ユニット枝領域間が連結線で結ばれて表示される。ただし、連結線が常時表示された場合には、多数の連結線で学習ルート図の枝や小枝が見えなくなる可能性があるので、ポインティングデバイスによってポイントされた問題ユニット枝領域に、同一または類似する問題ユニット枝領域があるときに限って、それらの問題ユニット枝領域間を結ぶ連結線が表示されるようになっている。これにより、図書分類(枝、小枝)が異なる同一または類似の問題ユニット枝領域間には、新たなネット状の連携が見える状態になる。したがって、学習者は、連結線を辿れば、学習していた図書分類の問題ユニットから異なる図書分類の他の問題ユニットへ飛んで学習する複線学習が可能になる。すなわち、コーパス情報DB20から最初に学習が必要な問題ユニットを選択し(目標とする学習ルートを設定)、目標とする学習ルートの問題ユニット枝領域群の学習を目指す目的学習と、興味ある図書分類の問題ユニットから関連する他の図書分類の問題ユニットへと気の向くままに飛びながら学習する探索型学習との2種類の学習が可能となる。
【0062】
学習進度図は、学習者がすでに解答して正答した学習済の問題ユニットに対応する問題ユニット枝領域の集まりを示す図であり、濃色で着色表示されて示される。なお、探索型学習により学習済の問題ユニットに対応する問題ユニット枝領域が飛び飛びに存在することができる。問題ユニットの設問に対して解答して正答であると、対応する問題ユニット枝領域の表示色が淡色から濃色に変化する。これにより、学習進度(学習履歴)が可視化される。図5の立体的な脳血管モデルの知識ネット図では、学習ルートおよび学習進度(学習履歴)は、まさに脳血管内を流れる血液の濃淡で可視化されることになる。
【0063】
このため、設問に解答して正答であると、知識ネット図の問題ユニット枝領域が学習済の問題ユニットとして濃色の着色表示に変わり、学習進度(学習履歴)が視覚的に確認できるとともに、未学習の問題ユニットに対する問題ユニット枝領域の一連の繋がりを未学習の学習ルート図として見ることができる。これにより、目標とする学習ルート、興味のある学習ルート、学習進度(学習履歴)、未学習の学習ルート等が数値表やグラフでない知識ネット図上で一目瞭然となる。
【0064】
例えば、「410:数学」の応用問題の設問に対する誤答原因が、単語の意味に起因するものであれば、「80:言語」の分野の問題ユニットに対応する問題ユニット枝領域に問題ユニットへの番地情報が埋め込まれる。「新技術発見」という問題ユニットは、「20:歴史」および「50:技術工学」の両分類の問題ユニット枝領域に配置し、これらの問題ユニット枝領域は同色で着色表示されるとともに、問題ユニット枝領域間を結ぶ連結線が表示される。このため、学習者が主学習ルートの問題ユニットから連結線を辿って異なる分野の問題ユニットへと飛んで学習する探索型学習(複線学習)が可能になる。もちろん、異なる分野の問題ユニットの設問に対しても「同一」または「同レベル以下」の設問であれば解答して正答した場合にも、対応する問題ユニット枝領域が濃色で着色表示されるので、副学習ルートの学習進度(学習履歴)も残ることになる。
【0065】
なお、知識ネット図は、図5に示す立体的な脳血管モデルによる3次元表示が有効であるが、平面的な脳血管モデルによる2次元表示でも、180°、90°、−90°の配置で知識ネット図を見やすい方向に回転できるようにすればよい。
【0066】
図6は、キーワード検索を説明する図である。図6を参照すると、検索画面のキーワード入力フィールドに検索キーワードを入力すると、検索キーワードがコーパス情報DB20と照合され、検索キーワードが単元名であれば(例えば、「2次関数」)、上位の対応する科目名(例えば、「数IIB」)がポップアップ表示されると同時に、対応する学習要素名のアイコン群(例えば、「2次のグラフ」、「最大・最小」、「関数と方程式」、「関数と不等式」)がプルダウンメニューとして表示される。ここで、単元名を選択して学習を開始すると、単元中の学習要素に属する問題ユニット群の中から学習優先度が高く、かつ学習難易度の低い順に問題ユニットカードが出力装置80に出力される。また、プルダウンメニューから学習要素名のアイコンを選択して学習を開始すると、その学習要素に属する問題ユニット群の中から学習優先度が高く、かつ学習難易度の低い順に問題ユニットカードが出力装置80に出力される。また、図2の「キーワード」等、下位の検索ワードを入力した場合、ポップアップされた上位の「学習要素名」から選択実行する。出力装置80に出力される問題ユニットカードは、具体的には、学習要素名および問題ユニット名を表示するヘッダーインデックスを持つウィンドウとして開かれる。また、問題カードユニットには、次問題アイコン、新規検索アイコンおよび終了アイコンが併設するように表示される。すなわち、問題ユニットカードは、少なくとも設問アイコン、解答アイコンおよび解説アイコンを含んで構成されており、問題ユニットカードのヘッダーインデックスは、単元名、学習要素名や学習優先度、学習難易度で区別されている。なお、問題ユニットカードでは、当初表示画面は解答アイコンのみがブラインド表示となっている。このため、学習者は、問題ユニットカードの当初表示画面では、設問アイコンか解説アイコンかを選択して、設問ウィンドウまたは解説ウィンドウを表示する。
【0067】
図7は、ビジュアル検索を説明する図である。図7を参照すると、検索画面は、知識ネット図を表示する。ビジュアル検索では、知識ネット図上で中分類以下の問題ユニット枝領域をクリックすると、問題ユニット枝領域に埋め込まれた番地情報に基づいて設問DB30から設問が、解答DB40から解答が、解説DB50から解説がそれぞれ読み出されて、対応する問題ユニットの問題ユニットカードがウインドウとして表示される。例えば、問題ユニット枝領域にHTML(Hyper Text Markup Language)のハイパーリンクによって設問、解答および解説の番地情報を埋め込むことにより、このような仕組みを容易に実現できることはいうまでもない。図7では、例えば、学習要素「三角関数のグラフ」の「基礎問題1」の問題ユニットカードが表示されている。
【0068】
なお、図7の知識ネット図上の問題ユニット枝領域をポインティングデバイスによってポイントすると、該当する問題ユニット枝領域に対応する問題ユニットのヘッダーインデックス(学習要素名および問題ユニット名)が補助情報(ヘルプ)として表示される。例えば、問題ユニット枝領域にHTMLのtitle属性を付与することにより、このような仕組みを容易に実現できることはいうまでもない。
【0069】
学習の開始にあたり、学習者は、ビジュアル検索またはキーワード検索の2種の検索で問題ユニットカードを表示させて開始する。設問ウィンドウ、解答ウィンドウおよび解説ウィンドウの順にたどっても、解説ウィンドウ、設問(確認テスト)ウィンドウおよび解答ウィンドウの順にたどっても、どちらでもよい。そして、次問題アイコン、新規検索アイコンまたは終了アイコンの選択を繰り返すことにより、学習を進めたり学習を終了したりすることができる。
【0070】
図8は、学習ルート図を2分木で構成する場合の問題ユニット枝領域に対応するノードを例示するデータ構造図である。図8を参照すると、学習ルート図の問題ユニット枝領域に対応するノードは、前ノードポインタと、コーパス情報ポインタと、設問ポインタおよびその学習済フラグと、解答ポインタおよびその解答済フラグと、解説ポインタおよびその解説済フラグと、関連ポインタおよびその関連済フラグと、次ノードポインタおよびその次ノード描画済フラグと、分岐次ノードポインタおよびその分岐次ノード描画済フラグとを含んで構成されている。前ノードポインタは、根元方向に1つ前に位置するノードの次ノードポインタを示している。学習ルート図の根元となる問題ユニット枝領域のノードでは、前ノードポインタに無効値「NULL」が設定されている(図9参照)。コーパス情報ポインタは、対応するコーパス情報DB20のコーパス情報のアドレスを示している。設問ポインタは、対応する設問DB30の設問のアドレスを示している。学習済フラグは、学習者が当該設問についてすでに正答しているかどうかを示す。解答ポインタは、対応する解答DB40の解答のアドレスを示している。解答済フラグは、学習者が当該解答についてすでに参照しているかどうかを示す。解説ポインタは、対応する解説DB50の解説のアドレスを示している。解説済フラグは、学習者が当該解説についてすでに視聴しているかどうかを示す。関連ポインタは、当該ノードが表す問題ユニット枝領域と同一または類似する問題ユニットの問題ユニット枝領域のノードを示している。関連済フラグは、問題ユニット枝領域が同一または類似する問題ユニットの問題ユニット枝領域に連結線で結ばれているかどうかを示す。次ノードポインタは、学習ルート図上で当該問題ユニット枝領域の次に隣接して表示されるべき問題ユニット枝領域に対応するノード(次ノード)を示している。次ノードがない場合(先端の問題ユニット枝領域の場合)には、次ノードポインタには無効値「NULL」が設定されている(図9参照)。次ノード描画済フラグは、次ノードの問題ユニット枝領域がすでに描画されているかどうかを示す。分岐次ノードポインタは、学習ルート図上で当該問題ユニット枝領域から分岐して表示されるべき問題ユニット枝領域に対応するノード(分岐次ノード)を示している。例えば、ある単元に含まれる複数の学習要素に属する問題ユニットが終了し、次の単元に含まれる複数の学習要素に属する問題ユニットに移る場合等に、分岐次ノードが生じる。分岐次ノードがない場合には、分岐次ノードポインタには無効値「NULL」が設定されている(図9参照)。分岐次ノード描画済フラグは、分岐次ノードの問題ユニット枝領域がすでに描画されているかどうかを示す。
【0071】
図9は、図8の問題ユニット枝領域に対応するノードをリンクして構成された学習ルート図の一例を示す図である。なお、図9中の実線矢印は、ノード間を前ノードポインタおよび次ノードポインタでリンクするリンク線を示し、図9中の破線矢印は、同一または類似する問題ユニットの問題ユニット枝領域のノード間を関連ポインタで結ぶ連結線を示す。図9を参照すると、学習ルート図では、最上位のノードが学習ルート図の主枝の先端に接続される根元の問題ユニット枝領域に対応し、根元の問題ユニット枝領域に対応する最上位のノードから次ノードポインタおよび分岐次ノードポインタによってリンクされ得る2つのノードが、次ノードポインタおよび分岐次ノードポインタによってさらに2つのノードにそれぞれリンクされ得るようになっている。当該ノードが分岐のないノードの場合には、次ノードポインタが先端方向に1つ次に位置する問題ユニット枝領域を表すノードを示し、分岐次ノードポインタに無効値「NULL」が設定されている。当該ノードが分岐のあるノードの場合には、次ノードポインタが先端方向に次に位置する問題ユニット枝領域を表すノードを示し、分岐次ノードポインタが分岐して次に位置する問題ユニット枝領域を表すノードを示している。ただし、当該ノードが先端の問題ユニット枝領域を表す場合には、次ノードポインタおよび分岐次ノードポインタのいずれにも無効値「NULL」が設定されている。なお、図8および図9では、学習ルート図を2分木で構成する場合を例示したが、問題ユニット枝領域に対応するノードを他のデータ構造によって実現してもよいことはいうまでもない。
【0072】
図10は、図1に示した本実施例1に係る知識ネット可視化システムをさらに詳細に示すブロック図である。ここでは、図1中の処理装置10が、インターネット、LAN(Local Area Network)等でなる通信網110と、通信網110に接続されたクライアント120と、同じく通信網110に接続されたサーバ130とから構成されている。また、図1中の入力装置70が、キーボード71と、ポインティングデバイスであるマウス72とから構成されている。さらに、図1中の出力装置80が、表示装置81で構成されている。
【0073】
図11は、図10に示した知識ネット可視化システムにおけるクライアント・サーバ間通信の詳細を示すフローチャートである。
【0074】
図12は、図11中の知識ネット図の取得ステップをより詳細に示すフローチャートである。
【0075】
図13は、図11中のキーワード検索処理をより詳細に示すフローチャートである。
【0076】
図14は、図11中のビジュアル検索処理をより詳細に示すフローチャートである。
【0077】
図15は、実施例1に係る知識ネット可視化方法の終了処理を示すフローチャートである。
【0078】
図16は、実施例1に係る知識ネット可視化方法における知識ネット描画処理を示すフローチャートである。
【0079】
図17は、実施例1に係る知識ネット可視化方法の学習ルート図作成処理を示すフローチャートである。
【0080】
次に、図10に示すサーバ・クライアント構成を採用する知識ネット可視化システムの動作について、本実施例1に係る知識ネット可視化方法とともに説明する。
【0081】
あらかじめ学習者に固有に付与されたIDおよびパスワードを学習者がキーボード71から入力して、図1中に示す知識ネット図表示手段101、コーパス情報照合手段102、設問表示手段103、解答正誤判定手段104および解説表示手段105を含んで成る知識ネット可視化プログラム(図示せず)を起動すると、クライアント120は、IDおよびパスワードをサーバ130に送信する(図11のステップS201)。
【0082】
サーバ130は、クライアント120からIDおよびパスワードを受信すると(図11のステップS301)、個別学習履歴DB60に学習者のIDおよびパスワードが登録されているかどうかに基づいてIDおよびパスワードの認証を行う(図11のステップS302)。なお、IDおよびパスワードが認証されなかった場合には、以下の処理は行われず、認証できないことがクライアント120に通知される。
【0083】
IDおよびパスワードが認証されると、サーバ130は、個別学習履歴DB60から学習者の学習ルートおよび学習進度(学習履歴)を表す知識ネット図を取得する(図11のステップS303)。詳しくは、サーバ130は、学習者の知識ネット図が個別学習履歴DB60に保存されているかどうかを判断する(図12のステップS321)。学習者の初回アクセスでまだ知識ネット図が保存されていない場合には(図12のステップS321:No)、サーバ130は、既存の知識フレーム図(プロトタイプ)を個別学習履歴DB60から読み出し(図12のステップS322)、クライアント120に学習者が学習の目標とする科目名(目標科目名)または学習者が取得の目標とする資格名(目標資格名)を要求する(図12のステップS323)。
【0084】
クライアント120は、サーバ130から目標科目名または目標資格名の要求を受信すると(図12のステップS221)、学習者に目標科目名または目標資格名の入力を促す。本発明の特徴は、学習者自らが興味のある学習要素の検索キーワードで探索しながら既存あるいは新規の学問体系を系統的に学習ができるという点にある。ここで、既存の学問体系とは、例えば数学I・A、物理、化学等の既存の高校等レベルでの科目分野である。また、既存の学問体系以外に、目標に応じた新規の学問体系の学習ルートの設定も可能である。ここで、新規の学問体系とは、例えば「放射線技師を目指すには数IIIC、化学、物理の必要部分」、「管理栄養士を目指すには化学、生物、の必要部分」等をいい、学習者は、この場合、点在する問題ユニット枝領域内の問題ユニットも類似する問題ユニットとして連結線で結ばれた新規の学問体系に沿った学習ルートを設定できる。
【0085】
学習者が目標科目名または目標資格名を入力すると、クライアント120は、目標科目名または目標資格名を受け付け(図12のステップS222)、目標科目名または目標資格名をサーバ130に返信する(図12のステップS223)。
【0086】
サーバ130は、クライアント120から目標科目名または目標資格名を受信すると(図12のステップS324)、目標科目名または目標資格名をキーとしてコーパス情報DB20を検索することにより、学習ルート図を作成する(図12のステップS325)。詳しくは、サーバ130は、目標科目名または目標資格名に基づいてコーパス情報DB20を検索して学習ルート図に含まれる学習要素名群を決定し、決定された各学習要素名をキーとして設問DB30を検索することにより、学習すべき問題ユニット群を決定する(図17のステップS501)。次に、サーバ130は、検索された各問題ユニットのノードを作成する(図17のステップS502)。続いて、サーバ130は、コーパス情報DB20におけるコーパス情報のアドレスを示すコーパス情報ポインタを各ノードに設定する(図17のステップS503)。次に、サーバ130は、各問題ユニットに対応する設問を設問DB30から検索して各設問のアドレスを示す設問ポインタを各ノードに設定し、対応する学習済フラグにOFF(初期値)を設定する(図17のステップS504)。続いて、サーバ130は、各問題ユニットに対応する解答を解答DB40から検索して各解答のアドレスを示す解答ポインタを各ノードに設定し、対応する解答済フラグにOFF(初期値)を設定する(図17のステップS505)。次に、サーバ130は、各問題ユニットに対応する解説を解説DB50から検索して各解説のアドレスを示す解説ポインタを各ノードに設定し、対応する解説済フラグにOFF(初期値)を設定する(図17のステップS506)。続いて、サーバ130は、各問題ユニットと同一または類似する問題ユニットをキーワード情報等の同一または類似に基づいてコーパス情報DB20から検索して、同一または類似する問題ユニットがあれば、同一または類似する問題ユニットのアドレスを示す関連ポインタを設定するとともに対応する関連済フラグにONを設定し、同一または類似する問題ユニットがなければ、無効値(例えば、「NULL」)を示す関連ポインタを設定するとともに対応する関連済フラグにOFF(初期値)を設定する(図17のステップS507)。次に、サーバ130は、各ノードの問題ユニットに次の問題ユニットがあれば、次の問題ユニットのノードのアドレスを示す次ノードポインタを各ノードに設定するとともに対応する次ノード描画済フラグにOFF(初期値)を設定する(図17のステップS508)。続いて、サーバ130は、各ノードの問題ユニットに分岐する次の問題ユニットがあれば、分岐する次の問題ユニットのノードのアドレスを示す分岐次ノードポインタを各ノードに設定するとともに対応する分岐次ノード描画済フラグにOFF(初期値)を設定する(図17のステップS509)。このようにして、図9に示すような2分木で成る学習ルート図を作成する。
【0087】
次に、サーバ130は、学習進度図を初期化する(図12のステップS326)。詳しくは、サーバ130は、学習者による学習がいまだ行われていないので、学習ルート図上の問題ユニット枝領域のすべてを淡色の着色表示のままとして、学習進度図を未学習の状態に初期化する。
【0088】
続いて、サーバ130は、知識フレーム図、学習ルート図および学習進度図を重ね合わせて表示することにより、知識ネット図を作成する(図12のステップS327)。
【0089】
そして、サーバ130は、知識ネット図を学習者のIDおよびパスワードをキーとして個別学習履歴DB60に一旦保存して(図12のステップS328)、学習者のIDおよびパスワードをキーとして知識ネット図を個別学習履歴DB60から再び読み出し(図12のステップS329)、知識ネット図を図11のステップS303を終了する。
【0090】
一方、学習者の2回目以降のアクセスで知識ネット図がすでに個別学習履歴DB60に保存されているならば(図12のステップS321:Yes)、サーバ130は、IDおよびパスワードをキーとして学習者の知識ネット図を個別学習履歴DB60から読み出し(図12のステップS329)、図11のステップS303を終了する。
【0091】
知識ネット図を取得すると(図11のステップS303)、サーバ130は、クライアント120に知識ネット図を送信する(図11のステップS304)。
【0092】
クライアント120は、サーバ130から知識ネット図を受信すると(図11のステップS202)、表示装置81に知識ネット図を含む検索画面を表示する(図11のステップS203)。具体的には、クライアント120は、図7に示すような検索画面をウィンドウとして開き、その中に知識ネット図を描画する。詳しくは、検索画面の表示における知識ネット図描画処理では、クライアント120は、まず、プロトタイプの知識フレーム図をワイヤーフレーム形式で描画する(図16のステップS401)。次に、クライアント120は、知識フレーム図の主幹および主枝を濃色に着色して表示する(図16のステップS402)。続いて、クライアント120は、2分木で成る学習ルート図から先頭ノードを取得し(図16のステップS403)、前ノードポインタが値「NULL」であるかどうかを判定する(図16のステップS404)。前ノードポインタが値「NULL」であれば、クライアント120は、当該ノードの問題ユニット枝領域を主枝の先端に連結するように表示し(図16のステップS405)、前ノードポインタが値「NULL」でなければ、当該ノードの問題ユニット枝領域を前ノードポインタが示す問題ユニット枝領域の次に連結するように表示する(図16のステップS406)。なお、知識ネット図が3次元表示であるので、3次元グラフィック技術を使用して陰線処理等の必要な処理を行う。次に、クライアント120は、当該ノードの学習済フラグがONであるかOFFであるかを判定し(図16のステップS407)、学習済フラグがOFFであれば、未学習であることを示す学習ルート図の一部として当該ノードの問題ユニット枝領域を淡色に着色して表示し(図16のステップS408)、学習済フラグがONであれば、すでに学習済であることを示す学習進度図の一部として当該ノードの問題ユニット枝領域を濃色に着色して表示する(図16のステップS409)。続いて、クライアント120は、当該ノードの関連済フラグがONであるかOFFであるかを判定し(図16のステップS410)、関連済フラグがONであれば、当該ノードの問題ユニット枝領域と、関連ポインタでリンクされるノードの問題ユニット枝領域とを結ぶ連結線を隠れ表示する(図16のステップS411)。ここで、連結線を隠れ表示としたのは、既述したように、連結線が常時表示された場合には、多数の連結線で学習ルート図の枝や小枝が見えなくなる可能性があるので、ポインティングデバイスによってポイントされた問題ユニット枝領域に、同一または類似する問題ユニット枝領域があるときに限って、それらの問題ユニット枝領域間を結ぶ連結線が表示されるようにするためである。次に、クライアント120は、次ノードポインタが値「NULL」であるかどうかを判定し(図16のステップS412)、次ノードポインタが値「NULL」でなければ、次ノード描画済フラグをONにし(図16のステップS413)、次ノードポインタを辿って学習ルート図の次ノードを取得し(図16のステップS414)、ステップS404に制御を戻して、同様の処理を繰り返す。次ノードポインタが値「NULL」であれば、分岐次ノードポインタが値「NULL」であるかどうかを判定し(図16のステップS415)、分岐次ノードポインタが値「NULL」でなければ、分岐次ノード描画済フラグをONにし(図16のステップS416)、分岐次ノードポインタを辿って学習ルート図の分岐次ノードを取得し(図16のステップS417)、ステップS404に制御を戻して、同様の処理を繰り返す。分岐次ノードポインタが値「NULL」であれば、クライアント120は、前ノードポインタを辿って学習ルート図の前ノードを取得し(図16のステップS418)、次ノード描画済フラグがONであるかどうかを判定し(図16のステップS419)、次ノード描画済フラグがONでなければ、次ノード描画済フラグをONにし(図16のステップS413)、次ノードポインタを辿って学習ルート図の次ノードを取得し(図16のステップS414)、ステップS404に制御を戻して、同様の処理を繰り返す。次ノード描画済フラグがONであれば(図16のステップS419:Yes)、クライアント120は、分岐次ノードポインタが値「NULL」であるかどうかを判定し(図16のステップS420)、分岐次ノードポインタが値「NULL」でなければ、分岐次ノード描画済フラグがONであるかどうかを判定する(図16のステップS421)。分岐次ノード描画済フラグがONでなければ(図16のステップS421:No)、クライアント120は、分岐次ノード描画済フラグをONにし(図16のステップS416)、分岐次ノードポインタを辿って学習ルート図の分岐次ノードを取得し(図16のステップS417)、ステップS404に制御を戻して、同様の処理を繰り返す。分岐次ノード描画済フラグがONであれば(図16のステップS421:Yes)、クライアント120は、前ノードポインタが値「NULL」であるかどうかを判定し(図16のステップS422)、前ノードポインタが値「NULL」でなければ、ステップS418に制御を戻して、同様の処理を繰り返す。前ノードポインタが値「NULL」であれば(図16のステップS422:Yes)、根元のノードであるので、クライアント120は、知識ネット図描画処理を終了する。なお、学習ルート図が複数の2分木から成る場合には、各2分木に対してステップS403〜S422が繰り返される。このようにして、検索画面には、知識ネット図が表示されるとともに、キーワード入力フィールドに検索キーワードの入力が可能になる(図6参照)。
【0093】
キーワード検索処理(図11のステップS204)では、学習者が検索画面のキーワード入力フィールドに検索キーワードを入力すると、クライアント120は、検索キーワードを受け付けて(図13のステップS241)、検索キーワードをサーバ130に送信する(図13のステップS242)。例えば、学習要素「関数と不等式」を検索キーワードとして送信する。
【0094】
サーバ130は、クライアント120から検索キーワードを受信すると(図13のステップS341)、検索キーワードをキーとしてコーパス情報DB20を検索して対応する科目名、単元名および学習要素名を決定し(図13のステップS342)、設問DB30から学習要素に対応する設問を取得する(図13のステップS343)。なお、学習要素に対応する設問は、学習要素に属する問題ユニット群から学習優先度が高くかつ学習難易度が低い順に取得される。
【0095】
次に、サーバ130は、解答DB40から設問に対する解答を取得する(図13のステップS344)。
【0096】
続いて、サーバ130は、解説DB50から設問に対する解説を取得する(図13のステップS345)。
【0097】
そして、サーバ130は、設問、解答および解説を併せた問題ユニットを作成し(図13のステップS346)、問題ユニットをクライアント120に送信する(図13のステップS347)。
【0098】
クライアント120は、サーバ130から問題ユニットを受信する(図13のステップS243)。
【0099】
一方、ビジュアル検索処理(図11のステップS204)では、学習者が知識ネット図の問題ユニット枝領域にマウス72のカーソルをポイントすると、クライアント120は、ポイントされた問題ユニット枝領域に対応する問題ユニットのヘッダーインデックス(学習要素名および問題ユニット名)を補足情報(ヘルプ)として表示する。学習者が所望のヘッダーインデックス(学習要素名および問題ユニット名)が表示された問題ユニット枝領域をマウス72によりクリックすると、クライアント120は、問題ユニット枝領域のクリックを受け付けて(図14のステップS261)、ヘッダーインデックス(学習要素名および問題ユニット名)をサーバ130に送信する(図14のステップS262)。
【0100】
サーバ130は、ヘッダーインデックス(学習要素名および問題ユニット名)を受信すると(図14のステップS361)、設問DB30から当該学習要素名および問題ユニット名の設問を取得し(図14のステップS362)、解答DB40から設問に対応する解答を取得し(図14のステップS363)、解説DB50から当該解答に対応する解説を取得し(図14のステップS364)、設問、解答および解説からなる問題ユニットを作成し(図14のステップS365)、問題ユニットをクライアント120に送信する(図14のステップS366)。
【0101】
クライアント120は、サーバ130から問題ユニットを受信する(図14のステップS263)。
【0102】
キーワード検索処理またはビジュアル検索処理(図11中のステップS204)が終了すると、クライアント120は、サーバ130から受信した問題ユニットを含む問題ユニットカード(図6参照)を表示装置81に表示する(図11のステップS205)。ここでは、例えば、学習要素「関数と不等式」に属する問題ユニット「基礎問題1」が問題ユニットカードとして表示されている。
【0103】
学習者が問題ユニットカードにおける設問アイコンをクリックすると、クライアント120は、該当ノードの設問ポインタを辿って設問DB30から該当する問題ユニットを取得して設問ウィンドウを開く(図11のステップS206)。
【0104】
学習者が設問ウィンドウにおける設問に対して「記号選択」または「5択」程度の解答をキーボード71またはマウス72から入力すると、クライアント120は、該当ノードの解答済フラグをONにするとともに解答を受け付けて(図11のステップS207)、解答をサーバ130に送信する(図11のステップS208)。
【0105】
サーバ130は、クライアント120から解答を受信すると(図11のステップS305)、解答DB40を検索して解答が正答であるか誤答であるかを判定する(図11のステップS306)。
【0106】
次に、サーバ130は、正誤判定結果をクライアント120に送信する(図11のステップS307)。
【0107】
クライアント120は、サーバ130から正誤判定結果を受信すると(図11のステップS209)、
問題ユニットカードの解答ウィンドウを開いて正誤判定結果を解答とともに表示する(図11のステップS210)。
【0108】
次に、クライアント120は、解答が正答であるか誤答であるかを判定し(図11のステップS211)、正答である場合には、学習ルート図の対応する問題ユニット枝領域の着色表示を淡色から濃色に変更し、対応する問題ユニットが学習済であることを表示する(図11のステップS212)。これにより、学習者の学習進度(学習履歴)を学習ルートとの着色表示の違いとして可視化することができる。すなわち、検索画面には、知識ネット図と、学習ルート図と、学習者がすでに学習した問題ユニット枝領域群を表す学習進度図とが、いつでも可視化されている。このように、知識ネット図に学習ルート図および学習進度図を可視化することで、「現状の学力不足の学習要素の強化」だけでなく、「得意分野から想定目標への学習誘導」、「当初の段階で設定した目標とする学習ルートへの確実な学習誘導」等が可能になる。
【0109】
続いて、クライアント120は、学習者が次問題アイコンをクリックしたか、新規検索アイコンをクリックしたかに基づいて、学習科目等に属する問題ユニット群を継続的に学習する継続学習か、興味のある問題ユニット間を自由に行き来して学習する探索型学習かを判定する(図11のステップS213)。
【0110】
継続学習でなければ、すなわち探索型学習であれば、クライアント120は、ステップS203に制御を戻して、検索画面を再び表示し、ステップS203以下の実行を繰り返す。これにより、当初目標とする学習ルートがなくても、興味がある問題ユニットの学習から今後の進路を発見的に学習することが可能である。また、通常学習では、現在重要視されている無学年無科目、リベラルアーツ等の概念から興味分野や得意分野の発見により、進路決定が可能である。さらに、リメディアル学習では、目標とする学習ルートに対して学力不足の学習要素の基礎からの学習が可能である。さらにまた、学習者が自らの興味から誘導された学習要素への自己学習とともに、学習指導者は知識ネット可視化システムを利用して学習者の学習進度(学習履歴)から、その得意分野への学習指導が可能となる。
【0111】
継続学習であれば、学習者は、マウス72により次問題アイコンをクリックすることにより、次問題を要求する(図11のステップS214)。すると、クライアント120は、ステップS205に制御を戻して、同じ学習難易度の問題ユニットがあればその問題ユニットカードを、同じ学習難易度の問題ユニットがなければ次に学習優先度が高く、かつ学習難易度が低い問題ユニットカードを表示し(図11中のステップS205)、それ以下のステップを繰り返す。なお、解説ウィンドウを先に選択し、動画再生等による解説を視聴してから設問を解く手順もある。
【0112】
一方、ステップS211で解答が正答でなければ、すなわち誤答であれば、クライアント120は、該当ノードの解説済フラグをONにするとともに、解説ウィンドウを自動的に開いて動画再生等による解説を表示し(図11のステップS215)、ステップS211に制御を戻す。このように、誤答ならば、強制的に動画再生等による解説に誘導し、学習者に問題ユニットの同設問を再度正答するまで学習させ、次の問題では、学習難易度が同じ問題ユニットを確認のためにもう1度学習させるようになっている。
【0113】
なお、ステップS211で解答が正答であっても、学習者が検索画面上の解説アイコンをクリックした場合には、クライアント120は、該当ノードの解説済フラグをONにするとともに、割り込みにより解説ウィンドウを開いて動画再生等による解説を並列的に実行することができる。
【0114】
問題ユニットカード(図6参照)において、学習者が終了アイコンをクリックすると、クライアント120は、終了アイコンのクリックを受け付けて(図15のステップS281)、クライアント120上で最新状態の知識ネット図をサーバ130に返信する(図15のステップS282)。
【0115】
サーバ130は、クライアント120から知識ネット図を受信すると(図15のステップS381)、知識ネット図を個別学習履歴DB60に保存する(図15のステップS382)。この際、サーバ130は、知識ネット図中の学習ルート図を構成する各ノード(図8参照)における次ノード描画済フラグおよび分岐次ノード描画済フラグをOFFに初期化する。次に、サーバ130は、学習者の認証を取り消して(図15のステップS383)、認証取消通知をクライアント120に送信する(図15のステップS384)。
【0116】
クライアント120は、サーバ130から認証取消通知を受信すると(図15のステップS283)、知識ネット可視化プログラム(図示せず)の処理を終了する。
【0117】
以上、本発明の実施例1を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0118】
例えば、本実施例1に係る知識ネット可視化システムでは、図10に示すクライアント・サーバ構成である知識ネット可視化システムを例にとって動作を説明したが、図1に示す知識ネット可視化システムのように、全システムを単一のパーソナルコンピュータ上に実現することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の知識ネット可視化システムおよび知識ネット可視化方法ならびにそのプログラムは、問題ユニット枝領域を対応する問題ユニットの所定分類に従って配置した立体的な脳血管モデルである知識フレーム図に、知識フレーム図の一部または全部である学習ルートを示す淡色で着色表示した学習ルート図と、学習ルート図上の学習済の問題ユニット枝領域を濃色で着色表示した学習進度図とを重ねて知識ネット図として表示するようにしたことにより、学習ルートの可視化や学習進度(学習履歴)の可視化ばかりでなく、学習した知識を立体的に配置して全体像として示す全ての知識表示システムに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0120】
10 処理装置
20 コーパス情報データベース
30 設問データベース
40 解答データベース
50 解説データベース
60 個別学習履歴データベース
70 入力装置
71 キーボード
72 マウス
80 出力装置
81 表示装置
101 知識ネット図表示手段
102 コーパス情報照合手段
103 設問表示手段
104 解答正誤判定手段
105 解説表示手段
110 通信網
120 クライアント
130 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも科目名、単元名、学習要素名およびキーワードからなるコーパス情報を蓄積するコーパス情報データベースと、
学習要素に対応して設問を蓄積する設問データベースと、
前記設問に対応する解答を蓄積する解答データベースと、
前記設問に対応する解説を蓄積する解説データベースと、
問題ユニット枝領域を対応する問題ユニットの所定分類に従って配置した立体的な脳血管モデルである知識フレーム図に、前記知識フレーム図の一部または全部を学習ルートとして表示する学習ルート図と、前記学習ルート図における学習済の問題ユニットの問題ユニット枝領域の集まりを学習進度として表示する学習進度図とを重ね合わせて表示されている知識ネット図を学習者毎に管理する個別学習履歴データベースと、
前記個別学習履歴データベースから学習者の知識ネット図を読み出して表示し、前記コーパス情報データベースから学習要素名を読み出し、当該学習要素名に基づいて前記設問データベースを検索して設問を読み出し、前記設問に対する学習者の解答で前記解答データベースを検索して解答が正答であるか誤答であるかを判定し、正答であれば前記知識ネット図の該当問題ユニット枝領域の表示を学習済を表す表示に変更する処理手段と
を備えることを特徴とする知識ネット可視化システム。
【請求項2】
前記問題ユニット枝領域を、枝を輪切りにした円板体に見立て、前記知識フレーム図を、前記問題ユニット枝領域を積み重ねて形成される立体的な系統樹モデルとして表示し、さらに同一または類似する問題ユニットの問題ユニット枝領域間を連結線で結ぶことにより立体的な脳血管モデルとして表示する請求項1に記載の知識ネット可視化システム。
【請求項3】
前記問題ユニット枝領域が、前記知識ネット図の先端方向から根元方向になるほど対応する問題ユニットの学習優先度が高く、逆に前記知識ネット図の根元方向から先端方向になるほど対応する問題ユニットの学習難易度が高くなっている請求項1または2に記載の知識ネット可視化システム。
【請求項4】
前記学習ルート図の問題ユニット枝領域を淡色で着色表示し、前記問題ユニットの学習後に濃色の着色表示に変更することにより、前記学習進度図を表示する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の知識ネット可視化システム。
【請求項5】
前記問題ユニットを、設問アイコン、解答アイコンおよび解説アイコンを含む問題ユニットカードとして表示し、前記設問アイコンが選択されたときに設問ウィンドウが表示され、前記解答アイコンが選択されたときに解答ウィンドウが表示され、前記解説アイコンが選択されたときに解説ウィンドウが表示される請求項1ないし4のいずれか1項に記載の知識ネット可視化システム。
【請求項6】
前記問題ユニット枝領域に、対応する問題ユニットへの番地情報が埋め込まれていて、前記問題ユニット枝領域が選択されたときに前記問題ユニットカードを表示する請求項5に記載の知識ネット可視化システム。
【請求項7】
検索キーワードが入力されたときに当該検索キーワードに対応する問題ユニットの問題ユニットカードを表示する請求項5に記載の知識ネット可視化システム。
【請求項8】
前記問題ユニット枝領域に、対応する問題ユニットの学習要素名および問題ユニット名が埋め込まれていて、前記問題ユニット枝領域がポインティングデバイスによってポイントされたときに前記学習要素名および問題ユニット名が補助情報として表示される請求項1ないし7のいずれか1項に記載の知識ネット可視化システム。
【請求項9】
前記設問に対する学習者の解答が正答ならば学習者に次の問題ユニットに移行するか前記設問に対応する解説を表示するかを選択させ、前記設問に対する学習者の解答が誤答ならば前記解説ウィンドウが開かれて自動的に前記設問の解説を表示する請求項1ないし8のいずれか1項に記載の知識ネット可視化システム。
【請求項10】
問題ユニット枝領域を対応する問題ユニットの所定分類に従って配置した立体的な脳血管モデルである知識フレーム図に、前記知識フレーム図の一部または全部を学習ルートとして表示する学習ルート図と、前記学習ルート図における学習済の問題ユニットの問題ユニット枝領域の集まりを学習進度として表示する学習進度図とを重ね合わせて表示されている知識ネット図を学習者毎に管理する個別学習履歴データベースから学習者の知識ネット図を読み出して表示する工程と、
少なくとも科目名、単元名、学習要素名およびキーワードからなるコーパス情報を蓄積するコーパス情報データベースから学習要素名を読み出す工程と、
当該学習要素名に基づいて前記学習要素に対応して設問を蓄積する設問データベースを検索して設問を読み出す工程と、
前記設問に対する学習者の解答で前記設問に対応する解答を蓄積する解答データベースを検索して解答が正答であるか誤答であるかを判定する工程と、
前記解答が正答であれば前記知識ネット図の該当問題ユニット枝領域の表示を学習済を表す表示に変更する工程と
を含むことを特徴とする知識ネット可視化方法。
【請求項11】
前記問題ユニット枝領域を、枝を輪切りにした円板体に見立て、前記知識フレーム図を、前記問題ユニット枝領域を積み重ねて形成される立体的な系統樹モデルとして表示し、さらに同一または類似する問題ユニットの問題ユニット枝領域間を連結線で結ぶことにより立体的な脳血管モデルとして表示する請求項10に記載の知識ネット可視化方法。
【請求項12】
前記問題ユニット枝領域が、前記知識ネット図の先端方向から根元方向になるほど対応する問題ユニットの学習優先度が高く、逆に前記知識ネット図の根元方向から先端方向になるほど対応する問題ユニットの学習難易度が高くなっている請求項10または11に記載の知識ネット可視化方法。
【請求項13】
前記学習ルート図の問題ユニット枝領域を淡色で着色表示し、前記問題ユニットの学習後に濃色の着色表示に変更することにより、前記学習進度図を表示する請求項10ないし12のいずれか1項に記載の知識ネット可視化方法。
【請求項14】
前記問題ユニットを、設問アイコン、解答アイコンおよび解説アイコンを含む問題ユニットカードとして表示し、前記設問アイコンが選択されたときに設問ウィンドウが表示され、前記解答アイコンが選択されたときに解答ウィンドウが表示され、前記解説アイコンが選択されたときに解説ウィンドウが表示される請求項10ないし13のいずれか1項に記載の知識ネット可視化方法。
【請求項15】
前記問題ユニット枝領域に、対応する問題ユニットへの番地情報が埋め込まれていて、前記問題ユニット枝領域が選択されたときに前記問題ユニットカードを表示する請求項14に記載の知識ネット可視化方法。
【請求項16】
検索キーワードが入力されたときに当該検索キーワードに対応する問題ユニットの問題ユニットカードを表示する請求項15に記載の知識ネット可視化方法。
【請求項17】
前記問題ユニットカードが、前記問題ユニットの学習優先度が高く、かつ前記問題ユニットの学習難易度が低い順に表示されることを特徴とする請求項16に記載の知識ネット可視化方法。
【請求項18】
前記問題ユニット枝領域に、対応する問題ユニットの学習要素名および問題ユニット名が埋め込まれていて、前記問題ユニット枝領域がポインティングデバイスによってポイントされたときに前記学習要素名および問題ユニット名が補助情報として表示される請求項10ないし17のいずれか1項に記載の知識ネット可視化方法。
【請求項19】
前記設問に対する学習者の解答が正答ならば学習者に次の問題ユニットに移行するか前記設問に対応する解説を表示するかを選択させ、前記設問に対する学習者の解答が誤答ならば前記解説ウィンドウが開かれて自動的に前記設問の解説を表示する請求項10ないし18のいずれか1項に記載の知識ネット可視化方法。
【請求項20】
前記請求項10ないし請求項19のいずれか1項に記載された方法をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−81275(P2011−81275A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234709(P2009−234709)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(505249702)
【Fターム(参考)】