説明

砂分級搬送脱水装置

【課題】分級後の砂をそのまま連続的に脱水処理に供することが可能であって作業効率を大幅に向上させることができ、装置の設置に要するスペースを大幅に減少させることが可能である砂分級搬送脱水装置を提供すること。
【解決手段】水と砂との混合物からなる被処理物の中から砂を回収するための装置であって、前記被処理物の中から砂を上流側から下流側へと移送する分級部100と、前記砂に含まれる水分を除去する脱水部300と、前記分級部から移送されてきた砂を前記脱水部へと搬送する搬送部200とからなり、前記分級部と搬送部と脱水部とが、上流側から下流側に向けてこの順に一体に連設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水と砂との混合物からなる被処理物の中から脱水された砂を連続的に回収することができる砂分級搬送脱水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水と砂との混合物の中から砂のみを一定方向に移送するための装置としては、例えば下記特許文献1に記載されたような分級機が知られている。
しかしながら、特許文献1に開示された分級機は、スパイラル羽根を回転させたときの水の抵抗が大きいために、羽根の回転に伴って沈降タンク内の水面が大きく変動し、沈降タンクから砂を含む水がオーバーフローしてしまい、砂の回収効率が低下するという問題があった。
この問題は、スパイラル羽根の回転速度を低くすることにより、若干改善されるものの、回転速度を低くすると処理効率が大きく低下してしまうという問題があった。
【0003】
また、特許文献1に開示された分級機は、スパイラル羽根がリボン形に形成されているため、スパイラル羽根の回転によって水中に拡散した砂の多くが、スパイラル羽根の中心孔を通って下流側へと流れてしまい、このことも砂の回収効率を低下させる大きな要因となっていた。
【0004】
一方、下記特許文献2には、スクリュー羽根に水切り孔を設けたスクリューコンベアからなる沈砂等の搬出装置が記載されている。
しかし、この特許文献2に開示された装置によれば、小さい水切り孔からしか水を逃がすことができないことから、スクリュー回転時における水の抵抗を大きく減らすことはできない。
従って、仮に特許文献2に開示されたスクリューを特許文献1に開示された分級機に適用したとしても、水の抵抗が大きいために、沈降タンクからのオーバーフローが発生するという問題は解消されず、処理効率の低下の問題も解決できない。
【0005】
上記した実状に鑑みて、本願出願人は、特願2008−58590号において新規なスパイラルスクリュー分級機を提案している。
この本願出願人が提案しているスパイラルスクリュー分級機は、上記したような従来の分級機が有する問題点を解決することが可能である点で非常に優れた装置である。
【0006】
ところで、分級機により分級された後の砂は水分を多量に含んでいるために脱水処理が必要である。
しかしながら、本願出願人が提案した装置も含めて従来の分級機は、分級後の砂を分級機から一旦取り出して別に設置された脱水装置へと移送して脱水処理する必要があるため、作業効率が非常に悪かった。しかも、分級機と、脱水装置と、分級機から脱水装置へと砂を搬送する搬送装置を設置するためには、非常に広い設置スペースを必要としていた。
【0007】
【特許文献1】実公平4−17236号公報
【特許文献2】実開昭60−63460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記した問題点を解決すべくなされたものであって、分級後の砂をそのまま連続的に脱水処理に供することが可能であって作業効率を大幅に向上させることができ、装置の設置に要するスペースを大幅に減少させることが可能である砂分級搬送脱水装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、水と砂との混合物からなる被処理物の中から砂を回収するための装置であって、前記被処理物の中から砂を上流側から下流側へと移送する分級部と、前記砂に含まれる水分を除去する脱水部と、前記分級部から移送されてきた砂を前記脱水部へと搬送する搬送部とからなり、前記分級部と搬送部と脱水部とが、上流側から下流側に向けてこの順に一体に連設されていることを特徴とする砂分級搬送脱水装置に関する。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記分級部は、前記被処理物が収容される収容槽と、該収容槽の内部に、該収容槽の長さ方向に沿って配設された回転可能な中心軸と、該中心軸の外周面に沿って螺旋状に設けられたスクリュー羽根とを備えており、前記スクリュー羽根は、前記中心軸の外周面との間に空間を形成するように設けられた中心孔と、該中心孔よりも小径であって被処理物と接する面に形成された多数の小孔とを有しており、前記中心軸の外周面に、該中心軸の長さ方向に沿って所定間隔で且つ該中心軸に対して直角に有孔板が設けられていることを特徴とする請求項1記載の砂分級搬送脱水装置に関する。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記有孔板の配設ピッチが、前記スクリュー羽根の配設ピッチに比べて大きく、前記有孔板の直径が、前記中心孔の直径以下とされていることを特徴とする請求項2記載の砂分級搬送脱水装置に関する。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記中心軸の外周面に、放射状に延びる複数本のアームからなる支持部材が設けられ、該支持部材は、前記中心軸の長さ方向に沿って所定間隔で複数設けられてなるとともに、各支持部材における複数本のアーム先端部はリング状部材により連結されており、前記リング状部材同士は、前記中心軸の長さ方向に沿って延びる複数本の連結部材により連結されているとともに、該連結部材は前記スクリュー羽根の隣り合う羽根同士をも連結しており、前記有孔板は、前記放射状に延びる複数本のアームの間に跨って配設されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の砂分級搬送脱水装置に関する。
【0013】
請求項5に係る発明は、前記搬送部は、前記分級部の収容槽と連続する底面を有する搬送槽と、該搬送槽内に配設されて回転動作により砂を下流方向へと搬送する回転体を有しており、前記搬送槽の底面は下流方向に向けて下向きに傾斜しており、前記回転体は、被処理物の搬送方向と直角方向に配設された回転軸と、前記回転軸の周囲に配設された複数の攪拌羽根とを備えていることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の砂分級搬送脱水装置に関する。
【0014】
請求項6に係る発明は、前記攪拌羽根は、前記回転軸の周囲において該回転軸と略平行な方向に延設されており、前記回転軸と前記攪拌羽根との間には空間が形成されていることを特徴とする請求項5記載の砂分級搬送脱水装置に関する。
【0015】
請求項7に係る発明は、前記攪拌羽根は、前記回転軸と略平行な方向において、前記搬送槽の底面の形状に略沿う形状を有していることを特徴とする請求項6記載の砂分級搬送脱水装置に関する。
【0016】
請求項8に係る発明は、前記回転軸を中心として放射状に延びる複数の支持部材と、該支持部材の先端に夫々固定された羽根取付フレームを有しており、前記攪拌羽根は前記羽根取付フレームに固定されており、前記回転軸を中心とした円周方向において隣り合う羽根取付フレーム同士は、円弧状に湾曲された帯状板により互いに連結されていることを特徴とする請求項7記載の砂分級搬送脱水装置に関する。
【0017】
請求項9に係る発明は、前記脱水部は、前記搬送方向と同方向に延設された回転軸と、該回転軸を中心として放射状に延びるアームの先端に取り付けられて、該回転軸の回転に伴って前記搬送部から搬送されてきた砂を掬い上げる複数のバケットと、該複数のバケット内に掬い上げられた砂から水分を除去する脱水機構を備えており、該脱水機構は、前記バケットの底部より上方に設けられて掬い上げられた砂の水を切る水切り網と、前記バケットに付設されて前記水切り網を通過して該バケット底部に貯留した水分を受け入れる排水タンクと、該排水タンク内を吸引して負圧とする吸引装置とを備えていることを特徴とする請求項5乃至8いずれかに記載の砂分級搬送脱水装置に関する。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によれば、被処理物の中から砂を上流側から下流側へと移送する分級部と、砂に含まれる水分を除去する脱水部と、分級部から移送されてきた砂を脱水部へと搬送する搬送部とが、上流側から下流側に向けてこの順に一体に連設されていることにより、分級から脱水までの処理工程を一つの装置で連続的に行わせることができ、従来に比べて処理効率を格段に向上させることが可能となる。しかも、従来別々に設置されていた分級装置、搬送装置、脱水装置を、1台の装置として設置することができるため、設置に要するスペースを大幅に減少させることが可能となる。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、スクリュー羽根が、被処理物と接する面に形成された多数の小孔と、中心軸の外周面との間に空間を形成するように設けられた中心孔とを有していることにより、スクリュー羽根を回転させたときに、小孔と中心孔の両方から水を逃がすことができるため、水の抵抗を大幅に低減することが可能となる。そのため、収容槽内の水面の変動を小さく抑えることができ、収容槽から砂を含む水がオーバーフローすることが防がれ、砂の回収効率を大幅に向上させることが可能となる。
また、水の抵抗が小さいことから、スクリューの回転速度を速くしたり、羽根の外径を大きくしたりすることができ、処理効率を大幅に向上させることが可能となる。
更に、中心軸の外周面に、該中心軸の長さ方向に沿って所定間隔で有孔板が設けられていることにより、中心孔を通って下流側へと逃げる水中に含まれる砂を有孔板にて捕捉して再度上流へと移送することが可能となり、砂の回収効率を向上させることができる。また、水は、有孔板の孔を通って逃がすことができるのに加えて、螺旋状のスクリュー羽根と中心軸に直角な有孔板との間に形成される隙間を通っても逃がすことができるため、有孔板を設けることによって水の抵抗は殆ど増加しない。つまり、水の抵抗を低く抑えながら、砂の回収効率を更に向上させることが可能となる。
【0020】
請求項3に係る発明によれば、有孔板の配設ピッチが、スクリュー羽根の配設ピッチに比べて大きいことにより、スクリュー羽根の中心孔を通る水の流れが有孔板によって抑制される現象を最小限に抑えながら、砂の回収効率を向上させることが可能となる。
また、有孔板の直径がスクリュー羽根の中心孔の直径以下とされていることにより、スクリューを分断することなく有孔板を設けることができ、スクリューによる砂の移送が有孔板の存在により阻害されることがない。
【0021】
請求項4に係る発明によれば、スクリュー羽根をアーム、リング状部材、連結部材からなる固定手段を介して回転軸に対して確実に固定することができるとともに、同じ固定手段を利用して有孔板を固定することから、有孔板を取り付けるための部材を別途設ける必要がなく、有孔板を設けることによる水の抵抗の増加を最小限に抑えることができる。また、有孔板がアーム間に跨って配設されているため、有孔板を確実且つ強固に固定することができる。
【0022】
請求項5に係る発明によれば、搬送槽の底面が下流方向に向けて下向きに傾斜しており、且つ搬送槽内に回転動作により砂を下流方向へと搬送する複数の攪拌羽根とを備えた回転体を有していることにより、分級部より移送されてきた砂に対して、重力の作用と攪拌羽根の攪拌作用を協働して作用させることができ、砂を効率良く確実に脱水部へと搬送することが可能となる。
また、回転体が、被処理物の搬送方向と直角方向に配設された回転軸と、回転軸の周囲に配設された複数の攪拌羽根とを備えているため、攪拌羽根の回転方向が分級部の回転軸の回転方向と直角となる。そのため、回転体の回転軸と分級部の回転軸とを同期させずとも円滑な流れを得ることができ、砂の搬送効率を向上させることが可能となるとともに、搬送部のスペースを小さくし、装置全体を小型化することが可能である。
【0023】
請求項6に係る発明によれば、攪拌羽根が、回転軸の周囲において該回転軸と略平行な方向に延設されているため、分級部から移送されてきた流れを、攪拌羽根の延設方向(長さ方向)の面で受けて更に下流側へと送ることができ、優れた搬送効率が得られる。
また、回転軸と攪拌羽根との間には空間が形成されていることにより、回転体の回転時に水を空間を通して逃がすことができ、水の抵抗が非常に小さく抑えられ、砂のみを効率良く脱水部へと搬送することが可能となる。
【0024】
請求項7に係る発明によれば、攪拌羽根が、回転軸と略平行な方向において、搬送槽の底面の形状に略沿う形状を有していることにより、攪拌羽根の回転によって、搬送槽の底面に沈殿した砂に対して回転により生じる推進力を効率良く与えることができ、砂を非常に効率良く搬送することが可能となる。
【0025】
請求項8に係る発明によれば、攪拌羽根が羽根取付フレームに固定されており、回転軸を中心とした円周方向において隣り合う羽根取付フレーム同士が、円弧状に湾曲された帯状板により互いに連結されているため、回転時において攪拌羽根が水の抵抗や遠心力によりぶれることが防がれる。そのため、回転体を高速回転することが可能となり、搬送効率を高めることができる。
【0026】
請求項9に係る発明によれば、脱水部において、バケットに掬い上げられた砂に含まれる水分を、水切り網と吸引装置の二段階で除去することができるため、短時間で効率良く脱水処理を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る砂分級搬送脱水装置の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る砂分級搬送脱水装置の平面図、図2は本発明に係る砂分級搬送脱水装置の正面図、図3は本発明に係る砂分級搬送脱水装置の右側面図、図4は図1のA−A矢視図、図5は図1のB−B矢視図、図6(a)は図1のC−C矢視図、(b)は(a)のA−A矢視図である。尚、図6(b)では槽は省略されている。
【0028】
本発明に係る装置は、水と砂との混合物からなる被処理物の中から砂を脱水して回収するための装置であって、被処理物の中から砂を上流側から下流側へと移送する分級部(100)と、砂に含まれる水分を除去する脱水部(300)と、分級部(100)から移送されてきた砂を脱水部(300)へと搬送する搬送部(200)とから構成されている。
【0029】
分級部(100)と搬送部(200)と脱水部(300)は、被処理物の流れ方向の上流側から下流側に向けてこの順に一体に連設されている。
つまり、分級部(100)と搬送部(200)と脱水部(300)とは、一体となって1つの装置を構成しており、被処理物が分級部(100)から搬送部(200)を経て脱水部(300)へと連続的に流れることが可能となっている。
【0030】
先ず、分級部(100)の構成について説明する。
分級部(100)は、水と砂との混合物からなる被処理物が収容される収容槽(1)と、収容槽(1)の内部に配設されたスパイラルスクリューとを備えている。
スパイラルスクリューは、収容槽(1)の長さ方向に沿って配設された回転可能な中心軸(2)と、中心軸(2)の外周面に沿って螺旋状に設けられたスクリュー羽根(3)とから構成されている。
【0031】
収容槽(1)は平面視長方形状の槽であって、底面は水平に配置され、上面は開放されている。
前後の側壁(4)は、上方に向けて次第に広がるテーパ状に形成されている。そして、側壁(4)の上端部の高さは、中心軸(2)の軸芯よりも若干低くなっている(図4及び図5参照)。
【0032】
また、収容槽(1)は、被処理物を槽内に供給するための供給口(5)と、被処理物から分離された水を槽外に排出するための排水口(6)を備えている。
供給口(5)は、収容槽(1)の長さ方向の一端側の近傍位置において、一方の側壁(4)の外方に突出するように設けられており、上方に向けて開口している。そして、供給口(5)から供給された被処理物は、収容槽(1)の側壁(4)に設けられた開口部を通って収容槽(1)の底部付近に供給される。
排水口(6)は、収容槽(1)の長さ方向の他端側に設けられており、側壁(4)の上端部よりも低い位置において上方に向けて開口している。そして、収容槽(1)のスパイラルスクリューが配設された部分(プール)からオーバーフローした水は、排水口(6)から外部に排出される。
【0033】
スパイラルスクリューの中心軸(2)は、収容槽(1)の他端側に配置されたモータ(7)とプーリやベルト等の公知の連結手段を介して連結されており、モータ(7)の駆動に伴って回転する。
モータ(7)はインバータモータであり、中心軸(2)が受ける負荷に応じて回転速度を変化させることができるように構成されている。
これにより、スクリュー羽根(3)の回転時において、受ける水の負荷が大きい時には回転速度を下げて、負荷が小さい時には回転速度を上げることができ、処理効率及び回収効率を最大化することが可能となる。
【0034】
スクリュー羽根(3)は、中心軸(2)の回転に伴って、収容槽(1)の他端側(下流側)から一端側(上流側)(排水口(6)側から供給口(5)側)に向けて被処理物中に含まれる砂を移送することができるように螺旋状に形成されている。
【0035】
スクリュー羽根(3)は、中心軸(2)の長さ方向に沿って螺旋状に設けられた一定幅の帯状板からなり、中心軸(2)の外周面との間に空間を形成するように設けられた中心孔(8)を有している(図4参照)。
中心孔(8)は、スクリューの回転時において、中心軸(2)周辺に存在する水を下流側へと逃がす役割を果たす。被処理物中に含まれる砂の大部分は収容槽(1)の底部付近に沈降しているため、中心孔(8)から下流側へと逃げる水中には砂は殆ど含まれない。
従って、中心孔(8)を設けることで、砂の回収効率を殆ど低下させることなく、水の抵抗を大きく減少させることが可能となる。
中心孔(8)の直径は、小さすぎると水を逃がす作用が十分に発揮されず、大きすぎると砂の移送効率が大きく低下するため、適当な範囲に設定する必要があり、例えばスクリュー羽根(3)の直径の50〜60%に設定することが好ましい。
【0036】
スクリュー羽根(3)の被処理物と接する面(中心軸(2)と略直角な面)には、概ね全面に亘って多数の小孔(9)が形成されている(図4参照)。
小孔(9)は、スクリューの回転時において、スクリュー羽根(3)に接触する被処理物中に含まれる水を下流側へと逃がすことにより、水の抵抗を減少させる役割を果たす。
上述した中心孔(8)は、砂が殆ど含まれていない中心軸付近から水を逃がすのに対し、小孔(9)は砂が堆積している収容槽底面に近い部分から水を逃がすため、砂が逃げるのを抑制するために中心孔(8)に比べて小さい径(例えば1/10〜1/15)とされている。
また、被処理物中に含まれている微小な成分は、水と共に小孔(9)から逃げるため、所定粒径以上の砂のみを効率的に移送することができる。
【0037】
小孔(9)の形状は、図示例では円形とされているが、三角形や四角形などの他の形状としてもよい。
小孔(9)の大きさは、製品として回収すべき砂の粒径に応じて適宜設定することができる。例えば、回収すべき砂が粒径1.5mm以下の細目砂の場合には、直径10mmに設定される。この場合、中心孔(8)の直径は1500mm程度に設定される。
【0038】
上記したように、スクリュー羽根(3)には、中心軸(2)の周囲に設けられた直径が大きい中心孔(8)と、中心軸(2)から離れた位置に設けられた直径が小さい小孔(9)とが形成されている。
本発明では、このような位置及び大きさが異なる2種類の孔を設ける構成を採用したことによって、砂の移送効率を低下させることなく水の抵抗を大幅に減少させるという、相反する課題を同時に解決することが可能となった。
【0039】
スクリュー羽根(3)の裏面側(下流側)には、図4に示すように、半径方向に延びるリブ(10)が周方向に一定間隔で突設されている。
これらのリブ(10)は、スクリュー羽根(3)を補強する役割を果たすとともに、スクリュー羽根(3)の回転に伴って収容槽(1)の底面に堆積した砂の塊をほぐして移送を円滑に行わせる作用を発揮する。
リブ(10)をスクリュー羽根(3)の表面側(上流側)に設けると、スクリュー羽根の表面に沿って移送される砂の動きがリブによって妨げられるが、裏面側に設けることにより移送が妨げられずにほぐし作用のみが発揮され、砂の移送がより円滑に行われることとなる。
【0040】
リブ(10)の回転方向前方側には、小孔(9)が設けられていない無孔部(11)が若干の幅をもって設けられている。
このような無孔部(11)が設けられていることにより、リブ(10)の回転方向前方側において小孔(9)を通過する水の流れが弱くなるため、上述したリブによるほぐし作用が水流によって妨げられることがない。
【0041】
スクリュー羽根(3)の配設ピッチは、図1及び図2に示すように、収容槽(1)への被処理物の供給口(5)付近(移送方向上流側)において、他の部分(移送方向下流側)に比べて小さく形成されている。
より詳しくは、供給口付近におけるピッチは他の部分のピッチの1/2以下に設定されている。具体的には、供給口付近においては250mmピッチ、他の部分においては500mmピッチに設定することができる。
【0042】
このように、スクリュー羽根(3)の配設ピッチが、収容槽(1)の供給口付近において、他の部分に比べて小さく形成されていることにより、供給口から供給された被処理物中に含まれる砂を狭いピッチで配設された羽根で効率良く移送することができるとともに、その他の部分においては羽根が広いピッチで配設されていることにより、水の抵抗を小さく抑えることができる。
つまり、砂の移送効率の向上と水の抵抗の低減という相反する課題を同時に解決することが可能となる。
【0043】
中心軸(2)の外周面には、当該外周面に対して直角に且つ放射状に延びる複数本のアームからなる支持部材(12)が設けられている。尚、本発明においては、放射状に配置された複数本のアームの集合体を支持部材(12)と称している。
支持部材(12)は、中心軸(2)の長さ方向に沿って所定間隔で複数設けられている。そして、各支持部材(12)における複数本のアーム先端部はリング状部材(13)により連結されている(図5参照)。
【0044】
各支持部材(12)のアームを連結しているリング状部材(13)同士は、中心軸(2)の長さ方向に沿って延びる複数本の連結部材(14)により連結されている。
連結部材(14)は、各アームの先端部分においてリング状部材(13)同士を接続しており、従って連結部材(14)の本数とアームの本数は同数(図示例では12本)となっている。
【0045】
連結部材(14)は、中心軸(2)と同じ長さを有して該中心軸と平行に配設されており、リング状部材(13)同士を連結していると同時に、スクリュー羽根(3)同士も連結している。
これにより、スクリュー羽根(3)は、連結部材(14)、リング状部材(13)、支持部材(12)を介して中心軸(2)に対して固定されている。
【0046】
中心軸(2)の外周面には、該中心軸の長さ方向に沿って所定間隔で且つ該中心軸に対して直角に有孔板(15)が設けられている。
有孔板(15)は、全体として円環状をなしており、図5に示すように放射状に延びる複数本のアームの間に跨って配設されている。つまり、有孔板(15)はアームとアームの間の空間を塞ぐように取り付けられている。
これにより、有孔板(15)が確実且つ強固に固定され、駆動時に被処理物から受ける力により損傷することが防がれる。
【0047】
また、有孔板(15)がスクリュー羽根(3)を中心軸(2)に固定するための支持部材(12)を利用して固定されていることによって、有孔板(15)を取り付けるための部材を別途設ける必要がなく、部品点数を削減することができるとともに、有孔板(15)を設けることによる水の抵抗の増加を最小限に抑えることができる。
【0048】
有孔板(15)の孔の形状は、図示例では円形とされているが、三角形や四角形などの他の形状としてもよい。
また、有孔板(15)の孔径は、スクリュー羽根(3)に形成された小孔(9)と同じ径、例えば直径10mmに設定される。
【0049】
有孔板(15)は、中心孔(8)を通って下流側へと逃げる水中に含まれる砂を捕捉し、これをスクリュー羽根(3)の回転によって再度上流へと移送させる役割を果たし、これによって砂の回収効率を大幅に向上させることが可能となる。
また、有孔板(15)の孔を通して水を逃がすことができるため、有孔板(15)を設けることによって水の抵抗は殆ど増加しない。
従って、水の抵抗を低く抑えながら、砂の回収効率を向上させることが可能となる。
また、スクリュー羽根(3)が中心軸(2)に対して傾斜しているのに対して、有孔板(15)は中心軸(2)に対して直角に配設されている。そのため、中心孔(8)と有孔板(15)との間には必ず隙間が形成されることとなり、この隙間を利用して水を逃がすことが可能となり、これによっても有孔板(15)を設けることによる水の抵抗の増加を抑制することができる。
【0050】
有孔板(15)の配設ピッチ(支持部材(12)の配設ピッチと同じ)は、図1及び図2に示すように、スクリュー羽根(3)の配設ピッチに比べて大きく設定されている。
より詳しくは、上述したスクリュー羽根(3)の供給口付近におけるピッチの約5〜6倍、他の部分におけるピッチの約3〜4倍に設定されている。具体的には、例えば、スクリュー羽根(3)の供給口付近におけるピッチが250mm、他の部分におけるピッチが500mmのとき、有孔板(15)のピッチを1500mmに設定することができる。
【0051】
このように、有孔板(15)の配設ピッチが、スクリュー羽根(3)の配設ピッチに比べて大きく設定されていることにより、スクリュー羽根(3)の中心孔(8)を通過する水の流れが有孔板(15)によって阻害される現象を最小限に抑えることができると同時に、砂の回収効率を向上させることが可能となる。
【0052】
有孔板(15)の直径は、中心孔(8)の直径以下に設定されている。
これにより、有孔板(15)の配設位置においてスクリューが分断されることがなく、スクリューの回転に伴う砂の移送が有孔板(15)によって阻害されることが防がれる。
図示例では、有孔板(15)の直径は、リング状部材(13)の幅の分だけ中心孔(8)の直径よりも小さく設定されている。
【0053】
上記したように、分級部(100)は、水の抵抗を減少させると同時に砂の回収効率を向上させることを可能とする構成を複数有している。そして、これらの構成は、夫々が単独で作用するのではなく、スクリューの回転に伴って相乗的に作用を発揮することができるものである。
【0054】
次に、搬送部(200)の構成について説明する。
搬送部(200)は、分級部(100)の収容槽(1)と連続する底面を有する搬送槽(21)と、搬送槽(21)内に配設されて回転動作により砂を下流方向へと搬送する回転体(22)を有している。
【0055】
搬送槽(21)の底面は、図2に示すように下流方向に向けて下向きに傾斜しており、その底面の高さは、上流端においては分級部(100)の収容槽(1)の底面と一致し、下流端においては脱水部(300)の脱水槽(31)の底面と一致している。
この搬送槽(21)の底面の傾斜は、分級部(100)より移送されてきた砂を、重力の作用を利用して脱水部(300)へと送る機能を有しており、後述する攪拌羽根(24)による作用と協働して作用することによって、砂を非常に効率良く確実に脱水部(300)へと搬送することが可能となる。
【0056】
以下、図6に基づいて、回転体(22)の構成について説明する。
回転体(22)は、被処理物の搬送方向と直角方向(搬送槽(21)の幅方向)に延びるように配設されてモータ(図示せず)の駆動により回転する回転軸(23)と、回転軸(23)の周囲に配設された複数の攪拌羽根(24)とを備えている。
攪拌羽根(24)は、断面L字状のアングル材からなり、回転軸(23)の周囲において該回転軸と略平行な方向に、搬送槽(21)の底面幅の略全長に亘って延設されている。そして、回転軸(23)を中心として放射状に延びる複数(図示例では8つ)の支持部材(25)の先端に、羽根取付フレーム(27)を介して夫々取り付けられている。
より具体的には、回転軸(23)の長さ方向中央に支持部材(25)が取り付けられ、回転軸(23)の長さ方向両端に補助支持部材(26)が取り付けられ、これら支持部材(25)及び補助支持部材(26)を繋ぐように直線棒状の羽根取付フレーム(27)が取り付けられている。そして、夫々の羽根取付フレーム(27)の長さ方向に沿うように攪拌羽根(24)が取り付けられている。
【0057】
回転体(22)は、図2において半時計回り方向に回転し、これにより搬送槽(21)の底面近傍において上流側(分級部側)から下流側(脱水部側)へと向かう水流を作り出す。
分級部(100)より移送されてきた砂は、その自重により搬送槽(21)底面に向けて沈降するため、回転体(22)により底面近傍に作り出された水流によって効率良く脱水部(300)へと送られる。
また、上記したように、搬送槽(21)の底面が下流方向に向けて下向きに傾斜しているため、水流と重力の作用が協働して作用することで、脱水部(300)への砂の搬送が非常に効率良く行われる。
【0058】
回転軸(23)と攪拌羽根(24)との間、より具体的には回転軸(23)と攪拌羽根(24)が取り付けられた羽根取付フレーム(26)との間には空間(28)が形成されている。
このような空間(28)が形成されていることにより、回転体(22)の回転時において、水を空間(28)を通して逃がすことができる。そのため、水の抵抗が非常に小さく抑えられ、砂のみを効率良く脱水部(300)へと搬送することが可能となる。
【0059】
また、攪拌羽根(24)は、回転軸(23)と略平行な方向において、搬送槽(21)の底面の形状に略沿うような形状を有している。
図示例では、搬送槽(21)の底面が回転軸(23)と略平行な方向において直線状となっているため、攪拌羽根(24)の同方向における形状も直線状となっている。つまり、図6における線(L1)と線(L2)とが平行になっている。
これにより、攪拌羽根(23)の回転時に、搬送槽(21)の底面に沈殿した砂に対して回転により生じる水流による推進力を満遍なく均一に作用させることができ、砂を非常に効率良く搬送することが可能となる。
【0060】
本発明においては、回転体(22)及び搬送槽(21)の形状は上記したものに限定されず、例えば図7に示すような形状とすることができる。
図7は、回転体(22)及び搬送槽(21)の形状変更例を示す図であって、(a)は図1のC−C矢視図に相当し、(b)は(a)のA−A矢視図である。
この変更例においても、攪拌羽根(24)は、回転軸(23)の周囲において該回転軸と略平行な方向に延設されている。
また、攪拌羽根(24)は、回転軸(23)と略平行な方向において、搬送槽(21)の底面の形状に略沿うような形状を有している。
具体的には、攪拌羽根(24)は、回転軸(23)と略平行な方向において、回転軸(23)から離れる方向に凸の円弧状に形成されている。そして、搬送槽(21)の底面は、回転軸(23)と略平行な方向において下方に凸の円弧状に形成されている。
この変更例においても、攪拌羽根(23)の回転時に、搬送槽(21)の底面に沈殿した砂に対して回転により生じる水流による推進力を満遍なく均一に作用させることができ、砂を非常に効率良く搬送することが可能となる。
また、この変更例では、回転軸(23)と攪拌羽根(24)との間により大きな空間(28)が形成されるため、水の抵抗をより低く抑えることができる。
【0061】
図6及び図7に示す回転体(22)において、回転軸(23)を中心とした円周方向において隣り合う羽根取付フレーム(27)同士は、円弧状に湾曲された帯状板(29)により互いに連結されている。そして、帯状板(29)は全体として、回転軸(23)を中心とした円状となっている。
このように、支持部材(25)の先端に設けられた羽根取付フレーム(27)同士が、帯状板(29)で連結されていることにより、回転時において攪拌羽根(24)が水の抵抗や遠心力によりぶれることが防がれる。そのため、回転体を高速回転することが可能となり、搬送効率を高めることができる。
【0062】
また、攪拌羽根(24)が取り付けられた回転軸(23)の回転方向は、分級部(100)の回転軸(2)の回転方向と直角となっている。
両方の回転軸の回転方向が同じ(回転面が互いに平行)である場合、両方の回転軸の回転を同期させないと円滑な流れを形成することができないが、両方の回転軸の回転方向を直角(回転面が互いに直角)とすることにより、同期させずとも円滑な流れを得ることができる。その結果、回転軸(23)の回転速度を回転軸(2)と独立して調整することが可能となるため、砂の搬送効率を向上させることが可能となる。
加えて、搬送部(200)のスペースを小さくし、装置全体を小型化することも可能である。
【0063】
また、攪拌羽根(24)が、回転軸(23)の周囲において該回転軸と略平行な方向に延設されていることから、分級部(100)から移送されてきた流れを、攪拌羽根(24)の延設方向(長さ方向)の面で受けて脱水部(300)へと送ることができ、優れた搬送効率が得られる。
【0064】
最後に、脱水部(300)の構成について説明する。
脱水部(300)は、搬送部(200)の搬送槽(21)と連続する底面を有する脱水槽(31)と、脱水槽(31)内に配設されて搬送部(200)から搬送されてきた砂を掬い上げる複数のバケット(32)と、複数のバケット(32)内に掬い上げられた砂から水分を除去する脱水機構を備えている。尚、脱水機構は図1,2では省略している。
複数のバケット(32)は、搬送方向と同方向に延びる回転軸(33)から放射状に延びる複数本(図示例では8本)のアーム(34)の先端に取り付けられている。
【0065】
以下、脱水部(300)のより詳細な構成について、図8乃至図15を参照しながら説明する。
脱水槽(31)の上部には回転筒(35)が支持されており、回転筒(35)は後部に備えたモータ(36)により回転する回転軸(33)に固着されて回転する。
回転筒(35)の軸方向中央には円盤状の取付体(38)が固着されており、該取付体(38)には半径方向に伸びる複数本のアーム(34)を介して夫々排水タンク(39)が先端に連結されていると共に、夫々排水タンク(39)の前面にはバケット(32)が連結されている。
即ち、アーム(34)の先端側の後部に排水タンク(39)を固着し、排水タンク(39)の先端に前部にバケット(32)の下部に固着してバケット(32)を側面からみて前方に突出配置させている。
【0066】
バケット(32)は、上面が開口されており、内部は水切り網(41)により上下に仕切られている。水切り網(41)の上部は沈殿してきた砂(沈殿物)の載置部となり、水切り網(41)から下部は水切りされた分離水の落下部となっている。
また、バケット(32)の先端形状は掬い易いように傾斜している。
【0067】
排水タンク(39)は、後部下端に排水孔(40)を有しており、バケット(32)の水切り網の下の排出口(42)に連結させることで水切り網(41)を通過した分離水を受けて排水孔(40)から脱水槽(21)に戻して排水するものである。なお、排水タンク(39)は、水切り網(41)を通過した分離水を通過させ易いように少し下げて傾斜させた状態でバケット(32)に固着されている。
【0068】
(43)は排水孔(40)の蓋開閉部材であり、アーム(34)の突出軸(341)にはシーソー材(44)が取り付けられている。シーソー材(44)の一端には、排水タンクの排水孔(40)を閉塞するゴム製の蓋体(45)が設けられており、シーソー材(44)の他端に蓋体(45)より重い錘(46)が取り付けられている。
【0069】
吸引装置(47)は、夫々のバケット(32)がほぼ水平状態から垂直状態までの上向きに回転変位する範囲内において排水タンク(39)内を吸引するものである。
即ち、真空吸引作用を発揮し得るブロア(48)の吸引側に接続した吸引管(49)を、回転軸(33)を収容した固定筒(50)に連結し、これにより固定筒(50)に固着して不動の吸引板(51)の導通溝(52)を真空状態とすることができる。
導通溝(52)は、吸引板(51)内でほぼ水平状態から垂直状態までの位置に欠設され、前端面に開口している。
【0070】
回転筒(35)の後端には制御板(53)が固着されており、周方向に等間隔な通孔(54)が制御板(53)に貫通して吸引板(51)と接面している。
吸引ホース(55)は、制御板(53)の前面で夫々の通孔(54)に連通接続されており、排水タンク(39)の後端部に開口接続されている。
(56)は中央上部に設置した排送シュートであり、上昇し反転するバケット(32)の下に位置している。
【0071】
以下、脱水部(300)の作用について説明する。
先ず、搬送部(200)の搬送槽(21)から脱水槽(21)に砂が搬送されてくると、砂(S)が脱水槽(31)の底部に沈殿する。
次いで、モータ(36)の駆動で回転筒(35)がゆっくりと回転し、図3に示すように夫々のバケット(32)が底部に沈降した砂(S)を掬い、図14のように分離された水は水切り網(41)を落下して排水タンク(39)の排水孔(40)から排水される。この際、錘(46)の下降により蓋体(45)が排水孔(40)を塞ごうとするが、重い排水圧によって蓋体(45)が開けられて排水される。
【0072】
ここで、ブロア(48)の作動により吸引管(49)に導通させた吸引板(51)の導通溝(52)が常時真空状態となっているため、バケット(35)がほぼ水平から上向きまでの図3で示す矢印範囲(L)の回転変位範囲内においては、吸引ホース(55)によって制御板(53)の通孔(54)が導通溝(51)と連通する。即ち、吸引板(51)に接面しながら制御板(53)が回転筒(35)と一体に回転して通孔(54)が導通溝(51)と連通する。
【0073】
これにより排水タンク(39)内が吸引され、排水タンク(39)内が負圧状態となるためバケット(32)で保持した砂(S)の間を外からの空気が通過し、砂(S)間に残留した水が払拭されて排水タンク(39)に導かれて砂(S)が強制脱水される。
【0074】
このとき、吸引作用範囲である図9の矢印範囲(L)の回転変位範囲は、図15のように、排水が少なくなり弱まった排水圧に抗して錘(46)の重力によって蓋体(45)が上方向に移動させられ且つ吸引力によって強く蓋体(45)が排水タンク(39)の排水孔(40)を閉塞することから、外気が入ることがなく、良好な吸引脱水が図れる。なお、真空吸引によって脱水された分離水は排水タンク(39)内に溜まる。
【0075】
真空吸引による強制脱水が終了して反転を始めると、図10に示すように、砂(S)が排送シュート(56)に落下し、この際、排水タンク(39)内に残った水は、排水孔(40)が蓋体(45)で閉塞されているため脱水槽(21)に落下することはないが、仮に水圧で蓋体(45)が開いて落下してもよく、排送シュート(56)に落下することがない。
【0076】
以上説明したように、本発明に係る装置によれば、水と砂との混合物からなる被処理物を分級部(100)に供給することにより、分級部(100)の作用により一定粒径以上の砂が搬送部(200)へと移送された後、搬送部(200)の作用により脱水部(300)へと搬送され、最後に脱水部(300)の作用により脱水されて回収されることとなる。
従って、1台の装置にて分級から脱水までの工程を連続的に行わせることが可能となり、分級装置と脱水装置が別々であった従来のものに比べて、作業効率を約2〜3倍にも向上させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係る砂分級搬送脱水装置は、水と砂との混合物の中から砂のみを効率良く回収するために利用される装置である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係る砂分級搬送脱水装置の平面図である。
【図2】本発明に係る砂分級搬送脱水装置の正面図である。
【図3】本発明に係る砂分級搬送脱水装置の右側面図である。
【図4】図1のA−A矢視図である。
【図5】図1のB−B矢視図である。
【図6】(a)は図1のC−C矢視図であり、(b)は(a)のA−A矢視図である。
【図7】回転体及び搬送槽の形状変更例を示す図であって、(a)は図1のC−C矢視図に相当し、(b)は(a)のA−A矢視図である。
【図8】脱水部の一部縦断側面図である。
【図9】脱水部のバケット及び排水タンク部の拡大斜視図である。
【図10】脱水部の吸引装置の一部切欠斜視図である。
【図11】脱水部の蓋開閉手段部の一部切欠正面図である。
【図12】バケットが脱水槽に入る直前の一部切欠正面図である。
【図13】バケットが砂を掬う状態の一部切欠正面図である。
【図14】バケットが脱水槽の水面から出た状態の一部切欠正面図である。
【図15】真空吸引によって強制脱水している状態の一部切欠正面図である。
【符号の説明】
【0079】
100 分級部
200 搬送部
300 脱水部
1 収容槽
2 中心軸
3 スクリュー羽根
7 インバータモータ
8 中心孔
9 小孔
12 支持部材
13 リング状部材
14 連結部材
15 有孔板
21 搬送槽
22 回転体
23 回転軸
24 攪拌羽根
32 バケット
33 回転軸
34 アーム
39 排水タンク
41 水切り網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と砂との混合物からなる被処理物の中から砂を回収するための装置であって、
前記被処理物の中から砂を上流側から下流側へと移送する分級部と、
前記砂に含まれる水分を除去する脱水部と、
前記分級部から移送されてきた砂を前記脱水部へと搬送する搬送部とからなり、
前記分級部と搬送部と脱水部とが、上流側から下流側に向けてこの順に一体に連設されていることを特徴とする砂分級搬送脱水装置。
【請求項2】
前記分級部は、
前記被処理物が収容される収容槽と、
該収容槽の内部に、該収容槽の長さ方向に沿って配設された回転可能な中心軸と、
該中心軸の外周面に沿って螺旋状に設けられたスクリュー羽根とを備えており、
前記スクリュー羽根は、前記中心軸の外周面との間に空間を形成するように設けられた中心孔と、該中心孔よりも小径であって被処理物と接する面に形成された多数の小孔とを有しており、
前記中心軸の外周面に、該中心軸の長さ方向に沿って所定間隔で且つ該中心軸に対して直角に有孔板が設けられていることを特徴とする請求項1記載の砂分級搬送脱水装置。
【請求項3】
前記有孔板の配設ピッチが、前記スクリュー羽根の配設ピッチに比べて大きく、
前記有孔板の直径が、前記中心孔の直径以下とされていることを特徴とする請求項2記載の砂分級搬送脱水装置。
【請求項4】
前記中心軸の外周面に、放射状に延びる複数本のアームからなる支持部材が設けられ、
該支持部材は、前記中心軸の長さ方向に沿って所定間隔で複数設けられてなるとともに、各支持部材における複数本のアーム先端部はリング状部材により連結されており、
前記リング状部材同士は、前記中心軸の長さ方向に沿って延びる複数本の連結部材により連結されているとともに、該連結部材は前記スクリュー羽根の隣り合う羽根同士をも連結しており、
前記有孔板は、前記放射状に延びる複数本のアームの間に跨って配設されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の砂分級搬送脱水装置。
【請求項5】
前記搬送部は、前記分級部の収容槽と連続する底面を有する搬送槽と、該搬送槽内に配設されて回転動作により砂を下流方向へと搬送する回転体を有しており、
前記搬送槽の底面は下流方向に向けて下向きに傾斜しており、
前記回転体は、被処理物の搬送方向と直角方向に配設された回転軸と、前記回転軸の周囲に配設された複数の攪拌羽根とを備えていることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の砂分級搬送脱水装置。
【請求項6】
前記攪拌羽根は、前記回転軸の周囲において該回転軸と略平行な方向に延設されており、
前記回転軸と前記攪拌羽根との間には空間が形成されていることを特徴とする請求項5記載の砂分級搬送脱水装置。
【請求項7】
前記攪拌羽根は、前記回転軸と略平行な方向において、前記搬送槽の底面の形状に略沿う形状を有していることを特徴とする請求項6記載の砂分級搬送脱水装置。
【請求項8】
前記回転軸を中心として放射状に延びる複数の支持部材と、
該支持部材の先端に夫々固定された羽根取付フレームを有しており、
前記攪拌羽根は前記羽根取付フレームに固定されており、
前記回転軸を中心とした円周方向において隣り合う羽根取付フレーム同士は、円弧状に湾曲された帯状板により互いに連結されていることを特徴とする請求項7記載の砂分級搬送脱水装置。
【請求項9】
前記脱水部は、
前記搬送方向と同方向に延設された回転軸と、
該回転軸を中心として放射状に延びるアームの先端に取り付けられて、該回転軸の回転に伴って前記搬送部から搬送されてきた砂を掬い上げる複数のバケットと、
該複数のバケット内に掬い上げられた砂から水分を除去する脱水機構を備えており、
該脱水機構は、前記バケットの底部より上方に設けられて掬い上げられた砂の水を切る水切り網と、前記バケットに付設されて前記水切り網を通過して該バケット底部に貯留した水分を受け入れる排水タンクと、該排水タンク内を吸引して負圧とする吸引装置とを備えていることを特徴とする請求項5乃至8いずれかに記載の砂分級搬送脱水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−94582(P2010−94582A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265649(P2008−265649)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【特許番号】特許第4386957号(P4386957)
【特許公報発行日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(591079650)有限会社大東土木 (12)
【Fターム(参考)】