説明

研削式竪型精穀機

【課題】上下方向への機体寸法を縮小し、除糠室全体を均等に吸引して除糠することのできる研削式竪型精穀機を提供する。
【解決手段】上下方向に立設された除糠金網筒28と、除糠金網筒28内に回転可能に設けられた主軸19と、主軸19に多数の研削式精白ロール26を軸着して除糠金網筒28との間を精白室30に形成した一体的な研削式精白ロール体と、除糠金網筒28の外周側に形成される除糠室31と、除糠室31の下部に連通して糠を機外に排出する糠排出管45とを備え、除糠室31と糠排出管45との連通部には、研削式精白ロール26が軸着された主軸19を回転駆動させる機能と、研削精白ロール26の精白作用により生じた糠を除糠室31側から糠排出管45側へ移送する除糠風を起風させる機能とを有するファン兼用型プーリ47を介装した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立設した主軸に研削式ロールを軸装した研削式竪型精穀機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の研削式竪型精穀機として、特許文献1及び特許文献2に記載されたものがある。これらの精穀機について図面を参照しながら説明する。図6は特許文献1に記載された精穀機の縦断面図である。下端を開口した中空主軸103を上部軸受部105及び下部軸受部104によって本体ベース102のほぼ中央に立設する。そして、上部軸受部105の直上に多数の研削式精白ロール107を載置して一体的な精白ロール体に構成する。研削式精白ロール107の周囲には間隙を介して除糠金網筒119を立設し、該除糠金網筒119の周囲には間隙を介して除糠カバー125を取り付け、除糠金網筒119と除糠カバー125との間隙の空間を除糠室126に形成する。そして、除糠室126の下方に環状の集糠室150を形成し、該集糠室150の底面に糠排出口153を設けて集糠室150の底面を摺動する複数のかき出し羽根152によって集糠室150底面に堆積した糠を糠排出口153に向けて移送する構成となっている。そして、糠排出口153からは排風管154を経て集糠用ファン155へ向けて吸引・排出するようになっている。
【0003】
しかしながら、上記構成の研削式竪型精穀機にあっては、中空主軸103を上部軸受部105及び下部軸受部104によって本体ベース102のほぼ中央に立設する構成と、除糠室126の下方に環状の集糠室150を形成する構成とにより、上下方向への機体寸法が大きくなってしまう問題があった。また、かき出し羽根152によって集糠室150底面に堆積した糠を糠排出口153に向けて移送する構成では、部品点数が多くなり、構成が複雑化するという問題があった。
【0004】
一方で、特許文献2に記載された研削式竪型精穀機では、かき出し羽根を用いることなく、除糠が可能な構成となっている。すなわち、図7を参照して説明すると、この竪型精穀機は、除糠筒114の外周側に、水平方向に対して傾斜していて糠粉を吸引ダクト部132にまで案内する案内板139を配置するとともに、除糠室124を上下方向に沿って区画し、下端が案内板139の上面から所定間隔離れている少なくとも一枚の仕切板143を設けたものであり、これにより、吸引ダクト部132からの吸引風量を少なくしても、精米室から除糠室124に排出された糠粉を吸引ダクト部132まで案内して、吸引ダクト部132から糠粉を排出することができ、除糠室124内に糠粉が溜まることを回避することができるという作用・効果がある。
【0005】
しかし、上記図7の竪型精穀機であっても、仕切板143を設けて除糠室124全体の吸引力を均一化する手段を講じているが、仕切板143の設置場所によっては吸引力が変化してしまうという懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3201496号公報
【特許文献2】特許第4481269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題点にかんがみ、上下方向への機体寸法を縮小するとともに、除糠室全体を均等に吸引して除糠することのできる研削式竪型精穀機を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明は、上下方向に立設された除糠金網筒と、該除糠金網筒内に回転可能に設けられた主軸と、該主軸に多数の研削式精白ロールを軸着して前記除糠金網筒との間を精白室に形成した一体的な研削式精白ロール体と、前記除糠金網筒の外周側に形成される除糠室と、該除糠室の下部に連通して糠を機外に排出する糠排出管とを備えた研削式竪型精穀機であって、前記除糠室と前記糠排出管との連通部には、前記研削式精白ロールが軸着された主軸を回転駆動させる機能と、前記研削精白ロールの精白作用により生じた糠を前記除糠室側から前記糠排出管側へ移送する除糠風を起風させる機能とを有するファン兼用型プーリを介装する、という技術的手段を講じた。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、前記ファン兼用型プーリは、前記研削式精白ロールが軸着された主軸に嵌装するボス部と、回転駆動用の伝導ベルトが装着されるリム部と、前記ボス部と前記リム部との間に連結され、水平方向から傾斜していて軸流ファンの羽根形状に形成された複数のアーム部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明によれば、前記ファン兼用型プーリのリム部下部には、該リム部の内周側を下方に突出させた内縁部を形成するとともに、前記リム部上部には、該リム部の外周側を上方に突出させた外縁部を形成し、さらに、前記糠排出管側には、前記内縁部を外側から収容するよう外受フランジ部を形成する一方、前記除糠室側には、前記外縁部により内側に収容される内受フランジを形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明によれば、前記ファン兼用型プーリは、直径が600mm〜800mm、回転数が500〜700rpmの範囲に設定されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明によれば、前記精白室の一端側に連設される穀粒供給部が、取り外し可能に形成されることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明によれば、前記主軸下方には、該主軸を支持する本体ベース部と駆動源となるモータを支持するモータベースとを配設する一方、前記モータにはモータプーリを軸着して、該モータプーリと前記ファン兼用型プーリとの間に伝導ベルトを巻装し、さらに、前記本体ベース部には、該本体ベース部に対して前記モータベースを水平方向に相対的に移動させて前記モータプーリと前記ファン兼用型プーリとの軸間距離を調節する移動装置を付設することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、除糠室と糠排出管との連通部に、研削式精白ロールが軸着された主軸を回転駆動させる機能と、研削精白ロールの精白作用により生じた糠を除糠室側から糠排出管側へ移送する除糠風を起風させる機能とを有するファン兼用型プーリを介装した構成である。これにより、従来の除糠室下方に設けた環状集糠室及び環状集糠室の底面を摺動する複数のかき出し羽根といった部品が不要となり、上下方向への機体寸法を縮小することが可能となる。すなわち、ファン兼用型プーリを設けることで、駆動源から主軸へ回転が伝達されるとともに、除糠風が起風されるから、従来糠排出専用に設けていたかき出し羽根が削減され、設置スペースも不要となるためである。
【0015】
また、請求項2記載の発明によれば、ファン兼用型プーリが、研削式精白ロールが軸着される主軸に嵌装するボス部と、駆動用の伝導ベルトが装着されるリム部と、ボス部とリム部との間に連結され、水平方向から傾斜していて軸流ファンの羽根形状に形成された複数のアーム部とを備えた構造であるから、従来の糠排出用のかき出し羽根に代えて除糠風を起風させる軸流ファンの羽根形状に形成されたアーム部を設けたものであるから、除糠室全体を下方に均等に吸引して除糠室側から糠排出管側へ向けての糠の排出が極めて効率よく行われるようになる。
【0016】
そして、請求項3記載の発明は、前記ファン兼用型プーリのリム部下部には、該リム部の内周側を下方に突出させた内縁部を形成するとともに、前記リム部上部には、該リム部の外周側を上方に突出させた外縁部を形成し、さらに、前記糠排出管側には、前記内縁部を外側から収容するよう外受フランジ部を形成する一方、前記除糠室側には、前記外縁部により内側に収容される内受フランジを形成してあるから、糠が除糠室側からファン兼用型プーリ内に流入する際は、プーリが回転中であっても糠がプーリの外にこぼれ落ちるのを防ぐことができる。また、糠がファン兼用型プーリから糠排出管内に流入する際は、プーリが回転中であっても、糠が糠排出管の外にこぼれ落ちるのを防ぐことができる。
【0017】
さらに、請求項4記載の発明は、前記ファン兼用型プーリが、直径が600mm〜800mm、回転数が500〜700rpmの範囲に設定されているから、精穀機周辺に塵埃を撒き散らすことなく、微弱な除糠風を起風させて糠の排出促進に寄与させることができる。
【0018】
また、請求項5記載の発明は、前記精白室の一端側に連設される穀粒供給部が、取り外し可能に形成されているから、例えば、研削式精白ロールなどを交換する際は、ボルトなどを螺脱して穀粒供給部を上方へ引き抜くと簡単に分解されるので、メンテナンス作業が非常に容易となり、作業時間も短縮されるようになる。
【0019】
請求項6記載の発明は、前記主軸下方に、該主軸を支持する本体ベース部と駆動源となるモータを支持するモータベースとを配設する一方、前記モータにはモータプーリを軸着して、該モータプーリと前記ファン兼用型プーリとの間に伝導ベルトを巻装し、さらに、前記本体ベース部には、該本体ベース部に対して前記モータベースを水平方向に相対的に移動させて前記モータプーリと前記ファン兼用型プーリとの軸間距離を調節する移動装置を付設してあるから、簡単に伝導ベルトの張力の調整を行うことができる。
ができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の研削式竪型精穀機の縦断面図である。
【図2】図1の上部分を示す要部拡大断面図である。
【図3】図1の横断面図である。
【図4】図1の下部分を示す要部拡大断面図である。
【図5】ファン兼用型プーリの拡大斜視図である。
【図6】従来の研削式竪型精穀機の縦断面図である。
【図7】従来の研削式竪型精穀機の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための形態を図面を参照しながら説明する。図1は本発明の研削式竪型精穀機の縦断面図であり、図2は図1の上部分を示す要部拡大断面図であり、図3は図1の横断面図であり、図4は図1の下部分を示す要部拡大断面図である。
【0022】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る研削式竪型精穀機1は、精穀すべき穀粒を供給する穀粒供給部2と、該穀粒供給部2より受け入れられた穀粒を下方の穀粒排出部4へ移送しながら精穀する研削精穀部3と、該研削精穀部3で精穀された穀粒を排出する穀粒排出部4と、前記研削精穀部3において精白穀粒から分離された糠を集糠する集糠部5と、機体及び駆動源となるモータを支持するための本体ベース部6と、を主な構成要素として構成してある。
【0023】
(穀粒供給部)
前記穀粒供給部2は、原料タンク(図示せず)などから供給される穀粒を受け入れる穀粒供給筒8と、該穀粒供給筒8に設けられて穀粒の受け入れを選択的に開放又は遮断するシャッター機構7と、前記穀粒供給筒8から受け入れた穀粒を円周方向へ放射状に分散させる円錐形状の案内体9と、該案内体9内方に配設された上部軸受部10と、穀粒の供給流量を調節するための流量調節装置11と、前記案内体9、上部軸受部10及び流量調節装置11を収容するカバー体12と、前記流量調節装置11から前記研削精穀部3へ穀粒を送り込むための搬送螺旋13と、を備えている。
【0024】
前記シャッター機構7は供給口14に設けられた開閉弁15と、前記穀粒供給筒8の外部に設けられ、前記開閉弁15を開閉駆動させるエアーシリンダなどの開閉駆動部16とを有している。
前記案内体9はその頂部が前記穀粒供給筒8直下に配設されており、該案内体9に落下した穀粒が、そのまま円錐部に沿って流下して放射状に均等に分散させる構造となっている。
前記上部軸受部10は、軸受カバー17と、該軸受カバー17内に配設した軸受18とで構成され、縦方向に立設した主軸19の上部を回転可能に支持する。このとき、主軸19と軸受18との間には、キー20によって嵌装されるカラー21が設けられており、前記穀粒供給部2と研削精穀部3とを容易に分解できる構成となっている。すなわち、図2に示すように、研削精穀部3のケーシング22から穀粒供給部2のカバー体12を上方へ引き抜くと、主軸19からカラー21が抜脱し、穀粒供給部2と研削精穀部3とが分解される。これにより、研削精穀部3に設けられる精白ロールなどを交換する際はメンテナンス作業が非常に容易となり、作業時間も短縮されるようになる。
【0025】
前記流量調節装置11は、複数の開口部を有する固定板23と、複数の開口部を有し、調節レバー25によって回動する回動板24とを備えている(図2参照)。そして、前記流量調節装置11の下方には、前記研削精穀部3へ穀粒を送り込むため、前記主軸19に軸着された搬送螺旋13が回転可能に配設されている。
【0026】
前記カバー体12には(図2参照)、その周壁に複数の外気取入口62が設けられるとともに、流量調節装置11には前記外気取入口62と連通する開口63が設けられ、さらに、前記搬送螺旋13の上面には、前記外気取入口62及び開口63から取り入れた外気を前記研削精穀部3内部に流通させる通風口64が設けられている。
【0027】
(研削精穀部)
前記研削精穀部3は、主軸19に取り付けられた複数の研削式精白ロール26と、該複数の研削式精白ロール26相互の間に介挿したスペーサー27と、該複数の研削式精白ロール26を一体的な研削式精白ロール体となし、該研削式精白ロール体の周方向にわずかな間隙を介して立設された多孔壁部からなる除糠金網筒28と、該除糠金網筒28の周方向にさらに間隙を介して立設した除糠カバー29と、を備え、前記除糠金網筒28と前記研削式精白ロール26との間に精白室30を、前記除糠金網筒28と前記除糠カバーとの間に除糠室31をそれぞれ形成して主要部が構成される。
【0028】
前記研削式精白ロール26は横断面が同心円状で、外周の表面に研削用砥石の砥粒が全周に埋め込まれている。研削式精白ロール26の研削部26a(図4参照)はアーム部26bを介してボス部26cに連結する。複数の研削式精白ロール26相互の間にはスペーサー27が介挿されるが、スペーサー27の存在しない空間部は、噴風口32として精白室30に臨ませてある(図3参照)。
【0029】
除糠金網筒28は縦割れ状に4分割に形成されており(図3参照)、研削式精白ロール26の周囲に立設された4本の支柱33によって除糠金網筒の各両側縁が固定される。さらに、各支柱33にコ字状の支柱カバー34を設けるとともに、各支柱カバー34間に弧状に前記除糠室カバー29が取り付けられる。
【0030】
前記各支柱33の精白室30側の長手方向には、精白室30の長手方向の空間を狭める抵抗体35が設けられる。該抵抗体35は各支柱33に取り付けた複数のノブボルト36により外部から出入調節可能に形成されている。
【0031】
(穀粒排出部)
前記精白室30の下端には、前記研削精穀部3により精穀された穀粒を排出する穀粒排出部4が配設される。該穀粒排出部4は、除糠金網筒28の一部を開口して形成した排出口37と、該排出口37に接続した排出樋38と、該排出樋38に横架した軸39に固着した分銅レバー40と、該分銅レバー40の一端側に枢着して前記排出口37を閉鎖可能に対峙した抵抗板41と、前記分銅レバー40の他端側に移動可能に装着した分銅42とを備えている。
【0032】
(集糠部)
前記穀粒排出部4下方には、前記研削精穀部3において精白穀粒から分離された糠を集糠する集糠部5が配設される。該集糠部5は、前記除糠室31下端部と連通する糠排出筒43と、該糠排出筒43からの糠を外部の糠吸引ファン44へ移送する糠排出管45とを備えている。そして、前記糠排出筒43と前記糠排出管45との連通部には、回転によって除糠風を発生させるファン46の機能を有するプーリ47が配設されている。このプーリ47は、図5に示すように、軸心部となって前記主軸19下端に嵌装されるボス部48と、Vベルト49が装着されるリム部50と、前記ボス部48とリム部50との間を連結し、水平方向から傾斜していて軸流ファンの羽根形状に形成された複数のアーム部51a,51b,51c,51dとを備えている。そして、プーリ47が回転することで、前記羽根形状のアーム部51によって下方向への除糠風が発生し、糠は、ボス部48とリム部50とアーム部とで囲まれる空間部65を通過し、前記糠排出筒43から糠排出管45へ向けて糠排出が促進されるようになる。
【0033】
前記プーリ47の上部には、前記主軸19を支持するための下部軸受部52が配設される。該下部軸受部52は、前記ケーシング22に固設された軸受ケース53に内装されており、前記プーリ47の回転により主軸19が回転可能となる構成である。符号54は前記主軸19に軸着した穀粒排出ロールであり、該穀粒排出ロール54の上には、前述したように、多段状に複数の研削式精白ロール26を積み重ねて研削精穀部3を形成することになる。
【0034】
(本体ベース部)
機体下部の本体ベース部6の側部には、モータベース55が付設してあり、該モータベース55に駆動用のモータ56を固定するとともに、モータプーリ57と前記プーリ47との間にVベルト49を連動・連結してモータ56の回転を主軸19に伝達できる構成である。また、本体ベース部6には、本体ベース部6に対してモータベース55を水平方向に相対的に移動させて、モータプーリ57とプーリ47との軸間距離を調節する移動装置58が付設されている。
【0035】
移動装置58は、モータベース55を水平方向に移動させるネジを引っ掛けるフック部59と、外周にネジが切られた雄ネジ部60と、該雄ネジ部60と螺合する内ネジを本体ベース部2側に固設した雌ネジ部61とによって構成される。そして、雄ネジ部60の先端部60aをフック部59に固定する一方、雄ネジ部60の頭部近傍を雌ネジ部61に螺合させることにより、モータプーリ57とプーリ47間に巻装されたVベルト49の長さが変わっても、その変化に応じた量だけ、雄ネジ部60を回転させると、本体ベース部6とモータベース55とが相対的に移動されるので、Vベルト49を緩み無く、かつ適当な張力に保つことができる。
【0036】
本体ベース部6の内部には、前記プーリ47、モータプーリ57及びVベルト49と干渉しないように前記糠排出管45が横設される。
【0037】
(作用)
以下、上記構成における作用、効果を説明する。
【0038】
まず、駆動部であるモータ56を作動させてプーリ47、主軸19及び研削式精白ロール26を回転させた状態で、開閉駆動部16により開閉弁15を開放することにより、図示しない原料タンクなどに貯留されている穀粒が供給口14から下方に落下する。落下した穀粒は、その下方にある案内体9によって円周方向に均等に分散されながら流下し、調整レバー25によって適度な供給流量に調整されて搬送螺旋13に送り込まれる。
【0039】
搬送螺旋13では、穀粒を順次精白室30に送り込み、精白室30では、穀粒は低圧力のもとで活発な流動作用(公転や自転)を受けながら、研削式精白ロール26の周面に接触することにより穀粒の表面層が削られることになる。このとき、主軸19に軸着したプーリ47は、該プーリ47の複数のアーム部51が羽根形状に形成されており、下方向への除糠風を起風させるファン兼用型のプーリとなっている。このファン兼用型のプーリ47の作動による吸引作用、及び外部の糠吸引ファン44の作動による吸引作用によって、外気取入口62から外気が吸い込まれ、開口63、通風口64を介して搬送螺旋13の内部に送り込まれることになる。そして、搬送螺旋13内部からは研削式精白ロール26の内部に向かって外気が送り込まれ、研削式精白ロール26の噴風口32から精白室30に向かって噴風が行われる。この精白室30に噴風された風によって糠が除糠金網筒28を通過して除糠室31に至る。除糠室31に至った糠は、ファン兼用型のプーリ47の回転による除糠風により、均等に吸引され、糠排出管45側へ向けての排出が行われる。このとき、ファン兼用型プーリ47が軸流ファンの羽根形状の様相であるから、除糠室全体を下方に向けて均等に吸引して糠の排出が極めて効率よく行われるようになっている。
【0040】
なお、一般的にファンの性能は、回転数、直径、ファンの厚みや形状によって決定され、回転数が高く、かつ口径が大きいほど風量が増え、ファンの厚みがあるほど吸排気できる面積が増えることになる。本実施形態のファン兼用型のプーリ47にあっては、設計次第では強力な除糠風を起風させることも可能であるが、精穀機周辺に塵埃を撒き散らす問題が生じる。このため、本実施形態では直径が600mm〜800mm、好ましくは710mm程度、回転数は500〜700rpm、好ましくは600rpm程度に設計してある。これにより、微弱な除糠風を起風させて糠の排出促進に寄与させることを想定している。
【0041】
以上のように、複数の研削精白ロール26による精白作用を受けた穀粒は、最下段の研削精白ロール26から穀粒排出ロール54に至り、該穀粒排出ロール54によるけり出し作用を受けながら抵抗板41に抗して排出口37及び排出樋38を経て精白穀粒として機外から取り出される。
【0042】
次に、図4を参照して、前記糠排出筒43と糠排出管45との連通部に設けられる、ファン兼用型のプーリ47の糠漏れ防止構造について説明する。
【0043】
図4に示すように、前記プーリ47のリム部50下部にはリム部の内周側を下方に突出させた内縁部50aを形成するとともに、前記プーリ47のリム部50上部にはリム部の外周側を上方に突出させた外縁部47bを形成する。そして、前記糠排出管45側には前記リム部50の内縁部50aを外側から収容する外受フランジ45aを形成する。一方で、前記除糠室31側の前記糠排出筒43には、前記リム部50の外縁部50bにより収容される内受フランジ43aを形成する。これにより、糠が糠排出筒43からファン兼用型のプーリ47内に流入する際は、内受フランジ43aがプーリ47の外縁部50bにより収容された形態となっているから、プーリ47が回転中であっても、糠がプーリ47の外にこぼれ落ちるのを防ぐことができる。また、糠がファン兼用型のプーリ47から糠排出管45内に流入する際は、プーリ47の内縁部50aが外受フランジ45aにより収容された形態となっているから、プーリ47が回転中であっても、糠が糠排出管45の外にこぼれ落ちるのを防ぐことができる。
【0044】
以上説明したように、本発明の実施形態の研削式竪型精穀機によれば、除糠室と糠排出管との連通部に、研削式精白ロールが軸着された主軸を回転駆動させる機能と、研削精白ロールの精白作用により生じた糠を除糠室側から糠排出管側へ移送する除糠風を起風させる機能とを有するファン兼用型プーリを介装してあるから、従来の除糠室下方に設けた環状集糠室及び環状集糠室の底面を摺動する複数のかき出し羽根といった部品が不要となり、上下方向への機体寸法を縮小することが可能となる。また、ファン兼用型プーリを設けることで、駆動源から主軸へ回転が伝達されるとともに、除糠風が起風されるから、従来糠排出専用に設けていたかき出し羽根が削減され、設置スペースも不要となるという優れた作用、効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、主軸の回転機能と、主軸の回転による起風機能との両機能を必要とする各種穀粒調製機械に適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 研削式竪型精穀機
2 穀粒供給部
3 研削精穀部
4 穀粒排出部
5 集糠部
6 本体ベース部
7 シャッター機構
8 穀粒供給筒
9 案内体
10 上部軸受部
11 流量調節装置
12 カバー体
13 搬送螺旋
14 供給口
15 開閉弁
16 開閉駆動部
17 軸受カバー
18 軸受
19 主軸
20 キー
21 カラー
22 ケーシング
23 固定板
24 回動板
25 調節レバー
26 研削式精白ロール
27 スペーサー
28 除糠金網筒
29 除糠カバー
30 精白室
31 除糠室
32 噴風口
33 支柱
34 支柱カバー
35 抵抗体
36 ノブボルト
37 排出口
38 排出樋
39 軸
40 分銅レバー
41 抵抗板
42 分銅
43 糠排出筒
44 糠吸引ファン
45 糠排出管
46 ファン
47 プーリ
48 ボス部
49 Vベルト
50 リム部
51 アーム部
52 下部軸受
53 軸受ケース
54 穀粒排出ロール
55 モータベース
56 モータ
57 モータプーリ
58 移動装置
59 フック部
60 雄ネジ部
61 雌ネジ部
62 外気取入口
63 開口
64 通風口
65 空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に立設された除糠金網筒と、該除糠金網筒内に回転可能に設けられた主軸と、該主軸に多数の研削式精白ロールを軸着して前記除糠金網筒との間を精白室に形成した一体的な研削式精白ロール体と、前記除糠金網筒の外周側に形成される除糠室と、該除糠室の下部に連通して糠を機外に排出する糠排出管とを備えた研削式竪型精穀機であって、
前記除糠室と前記糠排出管との連通部には、前記研削式精白ロールが軸着された主軸を回転駆動させる機能と、前記研削精白ロールの精白作用により生じた糠を前記除糠室側から前記糠排出管側へ移送する除糠風を起風させる機能とを有するファン兼用型プーリを介装したことを特徴とする研削式竪型精穀機。
【請求項2】
前記ファン兼用型プーリは、前記研削式精白ロールが軸着された主軸に嵌装するボス部と、回転駆動用の伝導ベルトが装着されるリム部と、前記ボス部と前記リム部との間に連結され、水平方向から傾斜していて軸流ファンの羽根形状に形成された複数のアーム部とを備えてなる請求項1記載の研削式竪型精穀機。
【請求項3】
前記ファン兼用型プーリのリム部下部には、該リム部の内周側を下方に突出させた内縁部を形成するとともに、前記リム部上部には、該リム部の外周側を上方に突出させた外縁部を形成し、さらに、前記糠排出管側には、前記内縁部を外側から収容するよう外受フランジ部を形成する一方、前記除糠室側には、前記外縁部により内側に収容される内受フランジを形成してなる請求項2記載の研削式竪型精穀機。
【請求項4】
前記ファン兼用型プーリは、直径が600mm〜800mm、回転数が500〜700rpmの範囲に設定されてなる請求項1から3のいずれかに記載の研削式竪型精穀機。
【請求項5】
前記精白室の一端側に連設される穀粒供給部が、取り外し可能に形成されてなる請求項1から4のいずれかに記載の研削式竪型精穀機。
【請求項6】
前記主軸下方には、該主軸を支持する本体ベース部と駆動源となるモータを支持するモータベースとを配設する一方、前記モータにはモータプーリを軸着して、該モータプーリと前記ファン兼用型プーリとの間に伝導ベルトを巻装し、さらに、前記本体ベース部には、該本体ベース部に対して前記モータベースを水平方向に相対的に移動させて前記モータプーリと前記ファン兼用型プーリとの軸間距離を調節する移動装置を付設してなる請求項1から5のいずれかに記載の研削式竪型精穀機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−61453(P2012−61453A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209921(P2010−209921)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【Fターム(参考)】