説明

砕片直接衝突防止用のセンサ装置

温度センサ装置(100、300)は、センサ空隙(150)、センサ空隙(15)の中心線(140、340)に沿って配置されて、そこに流れる空気の温度を指示する信号を生成する、温度検知要素(330)、およびセンサ空隙(150)を包囲する、概して円筒状の外部ケーシング(105、305)を含む。一実施形態において、外部ケーシング(105)は、センサ空隙(150)内に温度検知要素(330)への空気流を可能にする流路(110)の配列を含み、流路(110)は、外部ケーシング(105)の外部から検知要素(330)への空気流の直接流線がないように、傾けられている。別の実施形態においては、流路(310)は、外部ケーシング(305)の外部から検知要素(330)への空気流の直接流線がないように、ハウジング空隙(150)の中心線(340)に対してオフセット配列で配設される。この流路は、浮遊砕片が温度検知要素に直接、衝突するのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその全文を本明細書に組み入れてある、2003年10月28日付け出願の米国特許仮出願第60/514688号の優先権を、35U.S.C.§119(e)の下に主張するものである。
【0002】
本発明は、温度センサに関し、より具体的には、センサ外部ケーシングが、温度検知要素への空気の流入を可能にするのと同時に、浮遊砕片(airborne debris)が温度検知要素に直接的に衝突するのを防止するように配設された、空気流路の配列を有する、温度センサ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
知られている温度センサ装置は、通路を流れる空気の温度を計測すると共に、検知要素が中心線に沿ってその中に配置されている、空隙を有する、概して円筒状のハウジングを含む。知られている1つのセンサ装置の外部ケーシングは、検知要素への空気の流入を可能にするために、中心線上に切り開かれたスロットを含む。そのような既知の温度検知装置の1つの実装形態は、航空機抽気(bleed air)システム内にあって、このシステムは、加圧、客室温度制御、および翼着氷防止システムのために、ガスタービンエンジンからの空気を搬送する。この既知の温度センサ装置のスロット配設は、大きな砕片からは検知要素を保護するが、本出願の発明者は、ガスタービンエンジンを通過する小さな砕片(例えば、砂)は、そのような砕片がセンサ要素に衝突することから、検知要素を損傷させる可能性があることを見出した。通常、設計制約によって、センサをより安全な場所に移動させること、センサを刻時(clocking)すること、またはセンサ時定数を、空圧システムコントローラ変更が必要となる点まで変更すること、は除外される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一態様において、本発明は、センサに衝突する砕片による損傷を実質的に低減または除去する流路配列を組み込み、それによって温度センサの信頼性を向上させると共に動作寿命を延長することによって、上述の温度センサの欠点に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一態様において、一連の空気流路を通過する温度検知要素への空気流入を可能にすると同時に、検知要素に衝突する砕片の影響を防止/軽減するように設計された、温度センサ装置である。一実施形態において、本発明は、センサ空隙;前記センサ空隙の中心線に沿って配置されて、そこに流れる空気の温度を指示する信号を生成する、温度検知要素;および前記センサ空隙を包囲する概して円筒状の外部ケーシングであって、前記センサ空隙内の前記温度検知要素への空気流を可能にするための、流路の配列を含む、前記外部ケーシング;を備え、前記流路は、前記外部ケーシングの外部から前記検知要素への空気流の直接流線がないように傾けられている、温度センサ装置である。
【0006】
一代替実施形態において、本発明は、センサ空隙;前記センサ空隙の中心線に沿って配置されて、そこに流れる空気の温度を指示する信号を生成する、温度検知要素;および前記センサ空隙を包囲する概して円筒状の外部ケーシングであって、前記センサ空隙内の前記温度検知要素への空気流を可能にするための、流路の配列を含む、前記外部ケーシング;を備え、前記流路は、前記外部ケーシングの外部から前記検知要素への空気流の直接流線がないように、ハウジング空隙の中心線に対してオフセットされている、温度センサ装置である。
【0007】
本発明のさらなる態様および利点は、添付の図面と合わせて、以下の詳細な説明を読めば明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
一態様において、本発明は、センサに衝突する砕片の影響を防止/軽減しながら、外部ケーシング内の一連の通路を経由する、温度検知要素への空気流入を可能にするように設計された、温度センサ装置である。本発明のさらなる態様は、添付の図面を参照して、以下の説明を読めば明白になるであろう。
【0009】
図1A〜1Dは、本発明の第1の実施形態による温度センサ装置を示す。第1の実施形態によれば、温度センサ装置100は、空隙150内の中心線上140に沿って位置する温度検知要素への空気流を可能にするための開口(この実施形態においては穴)110の配列を有する、概して円筒状の外部ケーシング105を含む。
【0010】
第1の実施形態の温度センサ装置100は、外部ケーシングが空気流に対して概して直角に配置されるように、空気ダクト内での使用のために実装することができる。このようにして、穴110の配列によって、中心線140上に配置された検知要素への空気流が可能となる。
【0011】
図1Aは、第1の実施形態による温度センサ装置100の等角、断面図である。図1Aは、線A−A(図1B)に沿った断面を示す。第1の実施形態において、穴110は、浮遊砕片が温度検知要素に直接、衝突するのを防止するように、傾けられている。言い換えると、傾斜穴を介しての検知要素への直接「見通し線(line of sight)」は存在せず、その結果、穴110に進入する破片は、ハウジング空隙150に進入する前に、少なくとも1つの表面に衝突することになり、したがって砕片粒子の運動エネルギーが逸散される。穴110に対する具体的な角度は、例えば、ケーシング105の厚さに応じて変えてもよい。一実装形態においては、穴110は、等間隔で配置され、45°の角度で穿孔されている。図1Aの等角図および図1Cの正面図に示すように、第1の実施形態による温度検知配設100は、また、砕片がハウジング空隙150から出ることを可能にするための、前面における複数の穴120を含む。温度検知センサ装置100の背面は、図1Dの背面図に示すような、温度計測値を出力するための標準電機接続175を含めてもよい。
【0012】
図2は、概して円筒状の外部ケーシング205、傾斜した空気流入穴210の配列、および砕片がハウジング空隙から出ることを可能にするための前面穴220を含む、本発明の第1の実施形態による温度センサ装置200のさらに別の等角図である。
【0013】
図3A〜3Bは、本発明の第2の実施形態による温度センサ装置300を示す。図3Aに示すように、第2の実施形態の温度センサ装置300は、(例えば、図1Aの空隙150と同じ)ハウジング空隙を中心とする、検知要素330に概して直角の一連の穴310を通過する空気流を可能にするように設計された、概して円筒状の外部ケーシング305を含み、穴310は、検知要素330の直径よりも大きい距離だけ、プローブの中心線340からオフセットされている。この配設によって、検知要素330への直接流れ衝突は、センサ方位に応じて、最小となるか、またはなくなる。図3Bは、ケース材料を網かけ表示で示す、図3Aに示す断面3B−3Bに沿った、断面図を示す。図3Bに示すように、穴310を介して検知要素330への直接見通し線は存在せず、その結果、浮遊砕片の温度検知要素への直接衝突は最小となる。第2の実施形態の温度センサ装置300は、図1D、1Cにそれぞれ示すもののような、後部構成および前部構成を有してもよい。上記の実施形態の態様の利点を以下に説明する。
【0014】
上記の実施形態は、センサの温度検知要素に対する衝突損傷を最小化または排除することによって、砕片を含む環境において、温度センサがより確実に動作することを可能にする。これらの概念についての設計変化量としては、流路穴直径およびセンサケーシング壁厚さがある。
【0015】
センサ外部ケーシングは、好ましくは、金属部品とする。温度センサのその他の下位構成要素と整合させるために、好ましい材料は、347ステンレス鋼である。その他の等級のステンレス鋼およびその他の金属も、高温(例えば、489℃(1200°F)まで)および高応力環境における動作に対するそれらの適合性、ならびにセンサのその他の構成要素との整合性に基づいて、使用してもよい。センサ外部ケーシングは、機械加工または鋳造品として製造することができる。
【0016】
1つの特定の実装形態においては、上記の実施形態は、航空機実装において見られるような高温抽気(high temperature bleed air)環境における砕片損傷から温度検知要素を保護することによって、温度センサの信頼性を向上し、動作寿命を延長するように設計される。本発明は、温度センサシステムの下位構成要素として設計してもよく、また(それに限定はされないが)商用機の空気抽気システムを含む、様々な応用における温度センサの使用に適用することができる。
【0017】
上述の実施形態は、機能するために、流量ストリーム(flow stream)(「刻時(clocking)」とも呼ばれる)の中での、固有または特定のセンサ方位を必要としない。これらの実施形態は、航空機ダクトにおける典型的なセンサ装着ボスのような、既存のダクトの側面の穴を介して流量ストリームの中に突出するように設計されている。これによって、既存の温度センサ施設に容易に後付け(retrofit)することができる。言い換えると、専用設計されたダクト施設を必要としない。
【0018】
ハウジングは、中心プローブを通過する十分な空気流を維持して、従来式にシールドされた、またはシールドなしの温度センサに匹敵する応答時間をもたらしながら、固体物質粒子のエネルギーを吸収するのに加えて、それらをセンサプローブから偏向させるように設計されている。固体物質粒子が、最終的に検知要素と接触したとしても、それらの粒子は、検知要素に損傷を与えるのに十分なエネルギーはない。本発明は、硬い粒子が、検知要素を損傷しない状態でハウジングに進入することを許容する。問題の粒子を排出する対策がとられている。
【0019】
本発明の態様による温度センサ装置は、航空機の抽気システムに設置してもよいが、その他の温度センサ装置の実装形態も可能であり、それは例えば次のものである:
氷衝突の危険がある場所(すなわち、空調パックの下流)での、航空機システム上の温度検知;
航空機上でのラム(ram)入口温度検知;
乗用車、戦車、およびリクリエーション車両などの車両上の空気取入口。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1Aは本発明の第1の実施形態による、温度センサ装置の等角、断面図である。図1Bは本発明の第1の実施形態による、温度センサ装置の側面図である。図1Cは本発明の第1の実施形態による、温度センサ装置の正面図である。図1Dは本発明の第1の実施形態による、温度センサ装置の背面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による、温度センサ装置の別の等角図である。
【図3】図3Aは本発明の第2の実施形態による、温度センサ装置の側面図である。図3Bは本発明の第2の実施形態による、温度センサ装置の断面図である。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ空隙(150);
前記センサ空隙(150)の中心線(140)に沿って配置されて、そこに流れる空気の温度を指示する信号を生成する、温度検知要素(330);および
前記センサ空隙(150)を包囲する概して円筒状の外部ケーシング(105)であって、前記センサ空隙(150)内の前記温度検知要素(330)への空気流を可能にするための、流路(110)の配列を含む、前記外部ケーシング(105);を備え、前記流路(110)は、前記外部ケーシング(105)の外部から前記検知要素(330)への空気流の直接流線がないように傾けられている、温度センサ装置(100)。
【請求項2】
前記傾けられた流路(110)は、浮遊破片が前記温度検知要素(330)に直接、衝突するのを防止する、請求項1に記載の温度センサ装置(100)。
【請求項3】
前記流路(110)は、概して円形の穴である、請求項1に記載の温度センサ装置(100)。
【請求項4】
前記概して円筒状の外部ケーシング(105)の一端の前面であって、前記センサ空隙から破片を排出するための開口(120)の配列含む、前面をさらに備える、請求項1に記載の温度センサ装置(100)。
【請求項5】
前記概して円筒状の外部ケーシング(105)内の前記流路(110)が等間隔に配置されている、請求項1に記載の温度センサ装置(100)。
【請求項6】
センサ空隙(150);
前記センサ空隙(150)の中心線(340)に沿って配置されて、そこに流れる空気の温度を指示する信号を生成する、温度検知要素(330);および
前記センサ空隙(150)を包囲する概して円筒状の外部ケーシング(305)であって、前記センサ空隙(150)内の前記温度検知要素(330)への空気流を可能にするための、流路(310)の配列を含む、前記外部ケーシング(305);を備え、前記流路(310)は、前記外部ケーシング(305)の外部から前記検知要素(330)への空気流の直接流線がないように、ハウジング空隙(150)の中心線(340)に対してオフセットされている、温度センサ装置(300)。
【請求項7】
前記オフセット流路(310)の配列は、浮遊砕片が前記温度検知要素(330)に直接、衝突するのを防止する、請求項6に記載の温度センサ装置(300)。
【請求項8】
前記流路(310)は、概して円形の穴である、請求項6に記載の温度センサ装置(300)。
【請求項9】
前記概して円筒状の外部ケーシング(305)の一端の前面であって、前記センサ空隙(150)からの砕片を排出するための開口(120)の配列を含む、前記前面をさらに備える、請求項6に記載の温度センサ装置(300)。
【請求項10】
前記概して円筒状の外部ケーシング(305)における前記流路(310)は、等間隔に配置されている、請求項6に記載の温度センサ装置(300)。

【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2007−511752(P2007−511752A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538179(P2006−538179)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/035493
【国際公開番号】WO2005/045382
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】