説明

破砕装置

【課題】 紙・書類・廃材・廃品物等の被破砕物に含まれている鋼製部品等の磁性体部材がこれらの紙等の破砕の支障にならないようにし、又紙等の破砕物に磁性体部材が一緒に含まれて排出されないようにし、且つ分離排除を容易にできる破砕装置を提供する。
【解決手段】 投入口1aと排出口1bを備えたドラム1を横向きに設置し、ドラム1中心に水平な回転軸2を横架し、同回転軸2をモータ4によって回動し、ドラム1内の回転軸2に複数列に放射状のリンクチェーン3を取付け、又回収軸2の排出側に移動制限用回転盤5と送風用羽根6を取付け、又ドラム1の下部内周壁にポケット7を設け、同ポケットに開閉自在な扉7aを取付け、同扉に電磁石8を取付けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に鋼製連結具で綴じられた書類・雑誌・資料あるいは釘・ボルトがある建築廃材、鋼製部材が入ったプラスチック廃材・ガラス廃棄物・コンクリート廃棄物を回転するチェーン・リンクチェーンの打撃で破砕・粉砕して細片状にする破砕装置であり、鋼製連結具・釘・ボルト等の磁性体破砕片を捕捉して他の破砕細片と分離して排除できる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、リンクチェーン・チェーンを用いて雑誌・紙・資料・建築廃材・ガラス瓶等のガラス廃品・プラスチック廃品をドラムに投入し、ドラム内で回転するチェーン・リンクチェーンで打撃して破砕・粉砕する破砕装置を開発してきた。その技術として特開平8−215591号公報記載のものが知られている。
【0003】
しかしながら、この装置は、厚手の雑誌・書類・廃木材・廃ガラス・廃プラスチック等をよく破砕・粉砕できるが、書類を綴じる連結具・ファイルの連結金具、廃木材の釘・ボルト等の鋼部材は破砕しにくく、ドラムの内に貯まるか、又は破砕・粉砕された細片と一緒に排出されていた。前者の場合は、破砕・粉砕力を低下させるばかりでなく、ドラム・チェーン・リンクチェーンを損傷させ、又後者の場合は、破砕・粉砕物の廃棄処理の前に選別分離処理を必要としていた。
【特許文献1】特開平8−215591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来のこれらの問題点を解消し、被破砕物に含まれている鋼製部材等の磁性体製部材が破砕・粉砕の支障とならないようにし、又それらの鋼製部材等の磁性体製部材を簡単に排除できるようにした破砕装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 被破砕物の投入口と破砕された細片の排出口を有するドラム内で複数のチェーン又はリンクを回転させ、同チェーン又はリンクチェーンで被破砕物を打撃して細片に破砕する破砕装置において、
ドラム内周壁の一部に永久磁石又は電磁石を設けて、被破砕物に含まれた磁性体片を吸着して捕捉することを特徴とする、破砕装置
2) 永久磁石又は電磁石を取付けたドラム内周壁部分を開閉自在とし、捕捉した被破砕物の磁性体片を外部に排除できやすくした、前記1)記載の破砕装置
3) 永久磁石又は電磁石を取付けたドラム内周壁部分を外側に膨ませてポケットを形成し、同ポケットの空間に吸着した磁性体片を収容できるようにした、前記1)記載の破砕装置
4) チェーン又はリンクチェーンの下から上への送り方向側のドラム下部の内周壁にポケットを設けた、前記3)記載の破砕装置
5) ポケットの壁面の一部を開閉自在とした、前記3)又は4)記載の破砕装置
6) ポケットの空間に磁性体製の筒体を複数列設し、同筒体内に永久磁石又は電磁石を挿脱可能とし、同ポケット壁面の一部壁面を開閉自在とした、前記3)又は4)記載の破砕装置
7) ドラムが横向きに設置され、永久磁石又は電磁石が投入口近くの側面の位置に取付けられた、前記1)〜6)いずれか記載の破砕装置
8) 永久磁石又は電磁石が横向きに設置されたドラムの破砕細片の排出口近くの側面に設けた、前記1)〜7)いずれか記載の破砕装置
にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、ドラム内周壁の一部に永久磁石又は電磁石を設けたことで、チェーン・リンクチェーンで破砕されて分離・露出した鋼製部材はこの永久磁石又は電磁石に吸着され、捕捉されてドラム内周壁に固定される。これによって、チェーン・リンクチェーンとの抵触を少なくして損傷を避けることができる。
特に永久磁石又は電磁石を取付けた内周壁を外側に膨らませてポケットを形成したものでは、ホッチキス・釘・ファイル金具等の磁性体片をポケット内に収容してチェーン・リンクチェーンとの抵触を更に少なくでき、損傷を更に少なくできる。
更に永久磁石・電磁石のある内周壁の一部を開閉自在にするものでは、吸着した磁性体片を容易且つ迅速に除去できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明で、永久磁石又は電磁石はドラム内周壁に露出させて直接磁性体片を吸着させるより、磁石の表面に鋼製等の磁性体層を被着(磁力吸着等)し、その磁性体層表面に破砕されて出てくる磁性体片を吸着させるのが永久磁石・電磁石の損傷が少なくできるので好ましい。磁性体層は、中空の円形又は矩形状断面の鋼製筒体中に棒状又は板状永久磁石又は電磁石を挿入することによって形成させるのがよい。
又本発明では、吸着した磁性体片を排除し易くするため、永久磁石又は電磁石の磁力がない状態にするため、永久磁石の取り外し、又は退避できるようにしたり、電磁石の電源のON/OFFができるようにするのが好ましい。
又、永久磁石・電磁石が吸着する磁性体片をドラム内周壁より外側に格納するポケットを設け、吸着した磁性体片がチェーン・リンクチェーンと接触しないようにすることが好ましい。
又、永久磁石・電磁石の横向きに置いたドラム内周壁での取付け位置は、ドラムの最下面よりチェーン・リンクチェーンの送り側の少し高い側面の位置が好ましく、又投入口と排出口との近くにそれぞれ設けることが好ましい。
ドラムは、横向き・縦向き・中間の斜め向きの設置形態があるが、横向きがチェーン回動・投入が容易で好ましい。
【実施例1】
【0008】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本実施例は、主に連結具で綴じた機密書類を破砕・粉砕するための装置で、ドラムは横向きに設置され、ドラムは内径の半径40cm程であり、ドラム内周のリンクチェーンが下から上へ送られる側の下部内周壁にポケットを設け、電磁石をその開閉扉内面に取付けた例である。
【0009】
図1は、実施例の平面図である。
図2は、実施例の側面図である。
図3は、実施例の電磁石の取付構造を示す説明図である。
図4は、実施例の開閉扉を示す正面図である。
図5は、実施例の内部構造の説明図である。
【0010】
図中、Aは実施例の破砕装置、1は内径半径40cm程の横向きに設置されたドラム、1aはその投入口、1bはその排出口、1cはドラム内周面、1dは同ドラム内周面に設けた被破砕物の滑り止め凸条、2はドラム1の内部中心に横架された回転軸、3は同回転軸に放射状且つ複列取付けたリンクチェーン、4は回転軸2を回動するモータ、5は回転軸2に取付けられた移動制限用回転盤、6は同回転盤の排出口側に取付けられた平板状送風用羽根でリンクで回転軸に揺動自在に取付けられている。7はドラム内周面に形成されたポケット、7aは同ポケットの周壁を構成する蝶番7bで開閉自在な扉、7bは蝶番、8は扉7aの内面に固着した電磁石、8aは同電磁石の電源コード、9は点検扉、10は投入口1aに取付けたロータリーバルブ、Sは書類、Rは同書類の連結金具である。
【0011】
この実施例では、モータ4を作動させ、リンクチェーン3を回転軸2とともに回動させる。次にホッチキスで綴じられた書類S、又は連結金具Rで綴じられた書類Sをロータリーバルブ10を介して投入口1aからドラム1内に投入すると、書類Sは回転しているリンクチェーン3で打撃され、リンクチェーン3とドラム内周面1cの凸条1d、ドラム内周面1cと衝突・打撃を繰り返して数mm程の細片までに破断・破砕される。このとき、ホッチキス、連結金具Rは紙から外れて分離し、又は破砕されてドラム内周面1cに接触するが、その一部がポケット7の電磁石8に電磁吸着されて捕捉される。ポケット7は外側に膨らんでいるからリンクチェーン3と接触して電磁石8から引き剥がされることは少ない。又リンクチェーン3の回転方向は連結金具Rの破砕片をポケット7へ送る方向であるので、破砕片はポケット7に入り易く捕捉され易くなっている。
一方細かく破砕された紙片は、回転円盤5の外周縁とドラム内周面1cとの間の小さな間隙を通過して回転円盤5の左側に移動する。間隙より大きい紙片は間隙より小さくなって通過できるまで右側の室でリンクチェーン3で繰り返し破砕される。
同回転円盤の左側の回転軸2には平板状送風用羽根6が複数枚取付けられ、回転軸2の回転とともに羽根6が回転して送風して移動した紙の細片を空気流とともに飛ばして排出口1bから排出する。排出した細片は袋(図示せず)等に回収される。
【0012】
破砕して細片にして排出した後、モータ4を停止し、扉7aを固定していたボルトを取り外して蝶番7bまわりに開く。その後下方に金属回収箱(図示)を置いて電磁石8の電源を切ることで磁力を失って磁性体の連結金具Rの破砕片は吸着力がなくなって自重で下方に落下するか、磁力が残っていても軽い力で電磁石8から引き剥がすことができて、破砕片をポケット7外へ除去できる。
【0013】
このように本実施例では、ホッチキス・連結金具等の磁性体片をドラム1外に簡単に取り出せるようになっている。
【0014】
図6に示す例は、電磁石20をドラム1の最下端に取付けた例である。磁性体片はドラム1内の底部に吸着して固定され、モータ4停止後点検扉21からそれらを排除できるようにする例である。
図中、20は電磁石、21は点検扉であり、他は実施例の構造と同様である。
【0015】
図7,8に示す他の例は、ポケット30の空間に磁性体の鋼製の円筒体31を4本垂直に固定され、同筒体31に棒状電磁石32が挿入できるようになっている。又ポケット30の底壁30aを蝶番30bで開閉自在になっている。他の構造は実施例と同様である。
【0016】
この実施例では、磁性体のホッチキス・連結金具の破砕片はポケット30に入り込み、挿入された棒状電磁石で磁化された4本の円筒体31の表面に吸着されて捕捉される。
破砕終了してモータ4を停止させた後、底壁30aを開放し、棒状電磁石32の電源を切って円筒体31から引き上げると円筒体31の磁力が失われその表面に磁気吸着した破砕片は自重で落下する。残存磁力で吸着されたものは、軽い力で手作業で剥がされて容易に排除できる。
この例では、電磁石32は円筒体31で覆われているため電磁石32に直接吸着しないので、電磁石が受ける吸着時の衝撃・衝突による損傷が大巾に少ないものにできる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、主に被破砕物に磁性体製(鋼鉄素材物)部品が入ったものが対象であり、ホッチキス・連結金具・ファイル金具が用いられた書類の他には、釘・ボルトが入った建築廃材、鋼・鉄の部品が入ったプラスチック製品の破砕にも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例の平面図である。
【図2】実施例の側面図である。
【図3】実施例の電磁石の取付構造を示す説明図である。
【図4】実施例の開閉扉を示す正面図である。
【図5】実施例の内部構造の説明図である。
【図6】電磁石をドラムの最下端に取付けた例である。
【図7】本発明の他の例を示す説明図である。
【図8】図7の他の例の電磁石の挿脱を示す説明図である。
【符号の説明】
【0019】
A 破砕装置
S 書類
R 連結金具
1 ドラム
1a 投入口
1b 排出口
1c ドラム内周面
1d 凸条
2 回転軸
3 リンクチェーン
4 モータ
5 回転盤
6 羽根
7 ポケット
7a 扉
7b 蝶番
8 電磁石
8a 電源コード
9 点検扉
10 ロータリーバルブ
20 電磁石
21 点検窓
30 ポケット
30a 底壁
30b 蝶番
31 円筒体
32 棒状電磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被破砕物の投入口と破砕された細片の排出口を有するドラム内で複数のチェーン又はリンクを回転させ、同チェーン又はリンクチェーンで被破砕物を打撃して細片に破砕する破砕装置において、
ドラム内周壁の一部に永久磁石又は電磁石を設けて、被破砕物に含まれた磁性体片を吸着して捕捉することを特徴とする、破砕装置。
【請求項2】
永久磁石又は電磁石を取付けたドラム内周壁部分を開閉自在とし、捕捉した被破砕物の磁性体片を外部に排除できやすくした、請求項1記載の破砕装置。
【請求項3】
永久磁石又は電磁石を取付けたドラム内周壁部分を外側に膨ませてポケットを形成し、同ポケットの空間に吸着した磁性体片を収容できるようにした、請求項1記載の破砕装置。
【請求項4】
チェーン又はリンクチェーンの下から上への送り方向側のドラム下部の内周壁にポケットを設けた、請求項3記載の破砕装置。
【請求項5】
ポケットの壁面の一部を開閉自在とした、請求項3又は4記載の破砕装置。
【請求項6】
ポケットの空間に磁性体製の筒体を複数列設し、同筒体内に永久磁石又は電磁石を挿脱可能とし、同ポケット壁面の一部壁面を開閉自在とした、請求項3又は4記載の破砕装置。
【請求項7】
ドラムが横向きに設置され、永久磁石又は電磁石が投入口近くの側面の位置に取付けられた、請求項1〜6いずれか記載の破砕装置。
【請求項8】
永久磁石又は電磁石が横向きに設置されたドラムの破砕細片の排出口近くの側面に設けた、請求項1〜7いずれか記載の破砕装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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