説明

破砕装置

【課題】破砕片を山盛りになることなく平らに積み込む。
【解決手段】搬入コンベア7により搬入されるガラス基板Gを検知する検知センサ27を引込み口15側に配置する。回収ボックス25を往復移動可能に構成する。回収ボックス25の駆動モータ33にコントローラ35を接続する。検知センサ27の検知信号に基づき駆動モータ33を起動させ、破砕片gの落下開始と落下終了とが回収ボックス25の端で行われるように回収ボックス25を往復移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、平板状被破砕物を破砕する破砕装置の改良に関し、特に破砕片の積込み対策に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液晶表示パネルの製造過程で発生する規格外のガラス基板を再利用するため等に破砕する破砕装置が開示されている。この破砕装置は、互いに逆向きに回転することでガラス基板を挟みながら引き込む一対の上側及び下側引込みローラと、上側及び下側引込みローラ側方に隣設された破砕ローラとが内部に設けられた破砕作業室を備え、該破砕作業室内に上記上側及び下側引込みローラにより引き込まれたガラス基板を上記破砕ローラの回転動作により破砕し、破砕片(カレット)を回収ボックスに回収するようになっている。破砕片が積み込まれた回収ボックスは、開口部が蓋で塞がれて次の作業工程に搬出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−216131号公報(段落0032欄〜段落0034欄、段落0038欄、段落0042欄、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、一般に、破砕片は、破砕ローラの下方で待ち受けている停止状態の回収ボックスに落下して所定量だけ積み込まれるため、図4(c)に示すように、中央が回収ボックス25の開口部よりも上方に盛り上がった山盛り状態になり、これでは、蓋で回収ボックス25の開口部を塞ぐことができなくなる。したがって、積み込まれた破砕片gの盛り上がった中央を崩して、蓋ができるように全体を平らに均す余分な作業が必要になり、作業効率が低下する。さりとて、蓋ができるように、積み込まれた破砕片gの盛り上がった中央が回収ボックス25の開口部に達しないように積み込むと、破砕片gの1台当たりの積込み量が規定量を下回り、積込み回数が増大して作業効率が低下する。
【0005】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、破砕片を山盛りになることなくほぼ平らに積み込むようにしたことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、この発明は、回収ボックスを往復移動可能にして、破砕片の落下タイミングと、回収ボックスの移動タイミングとを適正に設定したことを特徴とする。
【0007】
具体的には、この発明は、側壁上部に引込み口を有する破砕作業室と、平板状被破砕物を上記引込み口に向かって搬入する搬入コンベアと、上記破砕作業室内の引込み口側に設けられ、上記搬入コンベアにより搬入される被破砕物を破砕作業室内に引き込む引込みローラと、上記破砕作業室内の上記引込みローラ側方に隣設され、該引込みローラにより引き込まれた被破砕物を回転動作により破砕する破砕ローラと、該破砕ローラの下方に配置された回収シュートと、該回収シュートの下方に配置された回収ボックスとを備え、上記引込みローラにより破砕作業室内に引き込まれた被破砕物を上記破砕ローラの回転動作により破砕し、破砕されて小片化された破砕片を上記回収シュートを経て回収ボックス内に落下させて回収するように構成された破砕装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明は、上記引込み口側には、搬入コンベアにより搬入される被破砕物を検知する検知手段が配置され、上記回収ボックスは、駆動源の起動により往復移動可能に構成され、上記駆動源には、上記検知手段の検知信号が入力される制御手段が接続され、該制御手段は、上記駆動源を上記検知手段の検知信号に基づき起動させ、破砕片の落下開始と落下終了とが上記回収ボックスの端で行われるように該回収ボックスを往復移動させるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、上記制御手段は、破砕片の落下位置が上記回収ボックスの両端にあるときには、当該両端を除く中間にあるときよりも回収ボックスの移動速度を遅く制御するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記回収シュートは、狭幅に絞られたシュート口を下端に有し、該シュート口には、カバーが上記回収ボックスの開口部をその全移動領域に亘って覆うように引込み口側から反引込み口側に亘って設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明によれば、搬入コンベアにより引込み口に向かって搬入される被破砕物が検知手段で検知され、この検知信号が制御手段に入力されて回収ボックスの駆動源が起動され、破砕ローラの回転動作により破砕された被破砕物の破砕片の落下開始と落下終了とが回収ボックスの端で行われるように回収ボックスが往復移動する。
【0012】
したがって、破砕片を山盛りになることなくほぼ平らに規定量だけ回収ボックスに積み込み、かつ蓋をして次の作業工程に搬出することができ、作業効率を向上させることができる。
【0013】
第2の発明によれば、破砕片の落下位置が回収ボックスの両端にあるときには、当該両端を除く中間にあるときよりも回収ボックスの移動速度が遅くなるため、破砕片の平らな積込み作業をより確実に行うことができる。
【0014】
つまり、回収ボックスを等速で1往復させると、図3に示すように、破砕片の落下は回収ボックスの両端ではそれぞれ1回行われるのに対し、当該両端を除く中間では2回行われる。図3では4往復を例示する。このため、図4(b)に示すように、回収ボックス25の両端における破砕片gの積込み量が中間に比べて若干少なくなり、破砕片gは図4(c)の従来例に比べてなだらかになるものの、少しだけ盛り上がっているが、このような事態を上述の如く回収ボックス25の移動速度を変化させることで解消することができ、図4(a)に示すように、破砕片gをより平らに回収ボックス25に積み込むことができる。
【0015】
第3の発明によれば、回収ボックスが往復移動する間、その開口部がカバーで覆われているため、破砕片gが回収ボックス25外に零れ落ちない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態に係る破砕装置の概略構成図である。
【図2】(a)は回収ボックスが引込み口側に移動した状態を、(b)は回収ボックスが反引込み口側に移動した状態をそれぞれ示す。
【図3】破砕片が回収ボックスの一端側から他端側に亘って落下するように回収ボックスを往復移動させた場合における破砕片の落下軌跡の説明図である。
【図4】(a)は回収ボックスの移動速度を変化させた場合における破砕片の回収ボックス内での積込み状態を、(b)は回収ボックスを等速で往復移動させた場合における破砕片の回収ボックス内での積込み状態を、(c)は従来例であり、回収ボックスを移動させない場合における破砕片の回収ボックス内での積込み状態をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は実施形態に係る破砕装置1の概略構成図を示す。この実施形態1では、破砕対象である被破砕物として、液晶表示パネル等、各種表示パネルを構成するガラス基板Gを例示する。このガラス基板Gは、表示パネルの製造過程で発生する規格外のものであり、廃棄や再利用のため等に破砕されるが、これに限らず、市場にて廃棄された表示装置等の解体処理により発生するガラス基板Gも含む。また、ガラス基板Gのほかに、金属以外の平板状物で破砕可能な材質であればよく、プラスチック材や建築材(石膏ボード、パーティクルボード等)をも被破砕物として含む。後述の実施形態2〜7においても同様である。
【0019】
上記破砕装置1の側方には、前後一対のロール3にエンドレスベルト5を巻き掛けたベルトコンベアからなる搬入コンベア7が水平に延びるように並設され、該搬入コンベア7の上流端には、複数のコロ9を並列に配置してなるコロコンベアからなる移送コンベア11が水平に連続するように並設されている。
【0020】
上記破砕装置1は、内部が外部と遮断された破砕作業室13を備え、該破砕作業室13の一方(図1で右側)の側壁13a上部には、ガラス基板引込み用の引込み口15が形成され、該引込み口15に上記搬入コンベア7の下流端が臨み、ガラス基板Gを上記移送コンベア11で搬入コンベア7に移送した後、該搬入コンベア7で破砕作業室13の引込み口15に向かって搬入するようになっている。
【0021】
上記破砕作業室13内における上部空間Sの引込み口15側には、一対の上側及び下側引込みローラ17,19が回転可能に配置され、これら上側及び下側引込みローラ17,19のうち下側引込みローラ19は、外周上端が上記搬入コンベア7のエンドレスベルト5上面と略同一高さに位置付けられ、上側引込みローラ17は、下側引込みローラ19の上方に該下側引込みローラ19とでガラス基板Gを挟んで引込み可能な間隔をあけて配置されている。そして、上記上側引込みローラ17が図1で時計回りに、上記下側引込みローラ19が図1で反時計回りに互いに逆向きに回転することで、上記搬入コンベア7で引込み口15前に搬入されたガラス基板Gを挟みながら破砕作業室13内に引き込むようにしている。
【0022】
上記破砕作業室13内の上記引込み口15から見て奥部(図1左側)で上記上側及び下側引込みローラ17,19側方には、回転軸方向に延びる破砕刃21aを外周面に周方向に間隔をあけて複数有する破砕ローラ21が回転可能に隣設され、該破砕ローラ21の下方には回収シュート23が配置され、該回収シュート23の下方には回収ボックス25が配置されている。そして、上記上側及び下側引込みローラ17,19により破砕作業室13内に引き込まれたガラス基板Gを上記破砕ローラ21の図1で時計回りの回転動作により破砕刃21aで衝撃を与えて破砕し、破砕されて小片化された破砕片(カレット)gを上記回収シュート23を経て回収ボックス25内に落下させて回収するようにしている。なお、上記破砕ローラ21として、打撃式破砕機をイメージして説明したが、外周面に破砕刃を複数有する一軸破砕機や二軸破砕機を用いてもよい。
【0023】
この発明の特徴の1つとして、上記破砕作業室13における側壁13aの引込み口15上側には、検知手段としての反射型検知センサ27が下向きに配置され、上記搬入コンベア7により引込み口15に向かって搬入されるガラス基板Gを検知するようになっている。
【0024】
この発明の今1つの特徴は、上記回収ボックス25が破砕作業室13内を引込み口15側と反引込み口15側との間で往復移動可能になっていることである。つまり、回収ボックス25は、レール29上を移動する台車31に搭載され、該台車31には駆動源としての駆動モータ33が据え付けられていて、該駆動モータ33の起動により台車31(回収ボックス25)がレール29上を移動するようになっている。
【0025】
この発明のさらなる特徴として、上記駆動モータ33には、制御手段としてのCPU等からなるコントローラ35が接続され、該コントローラ35に上記検知センサ27の検知信号が入力されるようになっている。そして、このコントローラ35は、上記駆動モータ33を上記検知センサ27の検知信号に基づき起動させ、破砕片gの落下開始と落下終了とが上記回収ボックス25の端で行われるように台車31(回収ボックス25)を往復移動させるように構成されている。さらに、このコントローラ35は、破砕片gの落下位置が上記回収ボックス25の両端にあるとき(図2(a)及び(b)参照)には、当該両端を除く中間にあるとき(図1参照)よりも台車31(回収ボックス25)の移動速度を遅く制御するように構成されている。
【0026】
上記移送コンベア11及び搬入コンベア7上の隣り合うガラス基板Gは所定の間隔をあけているため、1枚のガラス基板Gを破砕して次のガラス基板Gを破砕するまでの間に破砕に寄与しない非破砕時間があり、上記コントローラ35は、この間は、台車31(回収ボックス25)を破砕片gの落下位置が回収ボックス25の端にある状態で停止させるようにしている。また、上記コントローラ35には、ガラス基板Gを検知センサ27が検知してから破砕ローラ21で破砕された破砕片gが落下してくるまでの間のタイムラグを勘案して、遅延回路が設けられ、破砕片gの落下タイミングと台車31(回収ボックス25)の移動タイミングとを合わせるようにしている。
【0027】
また、上記回収シュート23は、狭幅に絞られたシュート口23aを下端に有し、該シュート口23aには、カバー37が上記回収ボックス25の開口部をその全移動領域に亘って塞ぐように引込み口15側から反引込み口15側に亘って設けられている。
【0028】
このように構成された破砕装置1では、複数枚のガラス基板Gが移送コンベア11で搬入コンベア7に移送された後、該搬入コンベア7で破砕作業室13の引込み口15に向かって搬入され、このことが検知センサ27で検知される。この検知信号はコントローラ35に入力され、この検知信号に基づきコントローラ35からモータ起動信号が駆動モータ33に出力され、破砕片gの落下とタイミングを合わせるように駆動モータ33が起動して台車31(回収ボックス25)がレール29上を往復移動する。ガラス基板Gは、上側及び下側引込みローラ17,19により破砕作業室13内に1枚ずつ順次引き込まれて破砕ローラ21の回転動作により破砕刃21aで破砕される。破砕されて小片化された破砕片gは、回収シュート23のシュート口23aから回収ボックス25内に落下して回収される。この間、破砕片gの落下開始と落下終了とが回収ボックス25の両端で行われる。しかも、回収ボックス25の移動速度を、破砕片gの落下位置が回収ボックス25の両端にあるときには、当該両端を除く中間にあるときよりも遅くしている。
【0029】
したがって、破砕片gを図4(a)に示すように山盛りになることなく平らに規定量だけ回収ボックス25に正確に積み込み、かつ蓋をして次の作業工程に搬出することができ、作業効率を確実に向上させることができる。
【0030】
また、回収ボックス25が往復移動する間、その開口部をカバー37で覆っているので、破砕片gを回収ボックス25外に零れ落ちないようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明は、例えば、液晶表示パネルの製造過程で発生する規格外のガラス基板等の平板状被破砕物を廃棄したり、再利用するため等に破砕する破砕装置について有用である。
【符号の説明】
【0032】
1 破砕装置
7 搬入コンベア
13 破砕作業室
13a 側壁
15 引込み口
17 上側引込みローラ
19 下側引込みローラ
21 破砕ローラ
23 回収シュート
23a シュート口
25 回収ボックス
27 反射型センサ(検知手段)
33 駆動モータ(駆動源)
35 コントローラ(制御手段)
37 蓋
G ガラス基板(被破砕物)
g 破砕片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁上部に引込み口を有する破砕作業室と、
平板状被破砕物を上記引込み口に向かって搬入する搬入コンベアと、
上記破砕作業室内の引込み口側に設けられ、上記搬入コンベアにより搬入される被破砕物を破砕作業室内に引き込む引込みローラと、
上記破砕作業室内の上記引込みローラ側方に隣設され、該引込みローラにより引き込まれた被破砕物を回転動作により破砕する破砕ローラと、
該破砕ローラの下方に配置された回収シュートと、
該回収シュートの下方に配置された回収ボックスとを備え、
上記引込みローラにより破砕作業室内に引き込まれた被破砕物を上記破砕ローラの回転動作により破砕し、破砕されて小片化された破砕片を上記回収シュートを経て回収ボックス内に落下させて回収するように構成された破砕装置であって、
上記引込み口側には、搬入コンベアにより搬入される被破砕物を検知する検知手段が配置され、
上記回収ボックスは、駆動源の起動により往復移動可能に構成され、
上記駆動源には、上記検知手段の検知信号が入力される制御手段が接続され、
該制御手段は、上記駆動源を上記検知手段の検知信号に基づき起動させ、破砕片の落下開始と落下終了とが上記回収ボックスの端で行われるように該回収ボックスを往復移動させるように構成されていることを特徴とする破砕装置。
【請求項2】
請求項1に記載の破砕装置において、
上記制御手段は、破砕片の落下位置が上記回収ボックスの両端にあるときには、当該両端を除く中間にあるときよりも回収ボックスの移動速度を遅く制御するように構成されていることを特徴とする破砕装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の破砕装置において、
上記回収シュートは、狭幅に絞られたシュート口を下端に有し、該シュート口には、カバーが上記回収ボックスの開口部をその全移動領域に亘って覆うように引込み口側から反引込み口側に亘って設けられていることを特徴とする破砕装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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