説明

破砕装置

破砕機駆動用の油圧モータと、この油圧モータとを備えた回転式破砕装置は、油圧モータの負荷状態を検出する負荷検出手段と、油圧モータの負荷状態を判定する負荷判定手段と、負荷判定手段により過負荷であると判定されたら、供給装置による被破砕物の供給を停止し、低負荷であると判定されたら供給装置による被破砕物の供給を開始する供給量制御手段と、負荷判定手段により過負荷であると判定されたら、可変容量モータの容量を大容量側に変更するモータ容量制御手段とを備えている。供給装置停止時に油圧モータの容量が大容量側に切換わるので、破砕機内の木材を高トルクで破砕し、負荷を低くして元の状態に短時間で復帰することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、木材、岩等の被破砕物を破砕するための破砕装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
破砕装置として、自走式破砕機械がある(例えば、特許文献1参照)。
この破砕機械は、図18に示すように、回転式破砕機(破砕体)151と、軸心別に回転して回転式破砕機151に木材(被破砕物)を供給するタブ(回転式タブ)152とを備えたものである。なお、上記タブ152及び破砕機151等は機体153に付設され、また、この機体153には走行体154が付設されている。そして、木材(被破砕物)をこのタブ152に投入することによって、破砕機151にて破砕して、その破砕物をこの破砕機151の下方に供給して、搬送コンベヤ155にて外部へ排出するものである。
【0003】
ところで、被破砕物としての木材は、枝、幹、根株等があり、硬さや大きさ等が様々で一定ではないことが多く、被破砕物によっては破砕機151が過負荷状態となってたびたび稼動停止し、作業効率が低下するおそれがあった。
そこで、上記特許文献1記載の木材破砕機械では、破砕機151の目標破砕回転数を設定して、破砕機151の実際の回転数がこの目標破砕回転数を越えているときには、上記タブ152を所定回転数で正回転させる。
また、破砕機151の実際の回転数が、目標破砕回転数よりも低く、この目標破砕回転数よりも低い基準回転数よりも高いときには、タブ152の回転数を上記正回転より漸減させる。さらに、破砕機151の実際の回転数が上記基準回転数以下では、タブ152を停止又は逆回転させる。
これによって、破砕機151へ被破砕物が過供給となるのを防止して破砕機が過負荷状態になるのを回避している。
【0004】
【特許文献1】特許第3298829号(第3−6頁、図1、図3、図4、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1の制御では、破砕機151の実際の回転速度が基準回転速度以下でタブ152による被破砕物の破砕機151への供給を停止して、破砕作業を停止することになる。そして、破砕機151の実際の回転速度が基準回転速度を上回るまで、その回復を待つことになる。
しかしながら、この回復を持つ状態では、過負荷により破砕機駆動用の油圧が大量にリリーフしている状態となっている。このため、回復までの時間が大となって、作業効率が悪かった。すなわち、油圧モータの出力トルクはモータ容量(1回転するのに必要な油量)と圧力とに比例し、しかも、この場合、リリーフセット圧とモータ容量が決まっているので、モータの出力トルクは所定値で一定である。
このため、回復までの時間が大となっている。しかも油圧回路のリリーフによる油圧ロスが生じている。
【0006】
この発明は、上記従来の欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、回転式破砕機への被破砕物の供給減少又は停止時間の短縮化を行って、作業量の向上を図ることができる破砕装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る破砕装置は、回転式破砕機と、この回転式破砕機を回転駆動させる油圧モータと、前記回転式破砕機に被破砕物を供給する供給装置と、この供給装置及び前記油圧モータを制御するコントローラとを備えた破砕装置であって、
前記油圧モータは、所定容量及び大容量の切換可能な可変容量モータであり、
前記油圧モータの負荷状態を検出する負荷検出手段と、
この負荷検出手段で検出された前記油圧モータの負荷状態が、過負荷状態であるか、低負荷状態であるかを判定する負荷判定手段と、
この負荷判定手段により、過負荷であると判定されたら、前記供給装置による被破砕物の供給を減少又は停止し、低負荷であると判定されたら、前記供給装置による被破砕物の供給を増加又は開始する供給量制御手段と、
前記負荷判定手段により、過負荷であると判定されたら、前記可変容量モータの容量を大容量側に変更するモータ容量制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
第1発明では、油圧モータが過負荷状態になると、モータ容量制御手段により、油圧モータを大容量側とするので、トルクの増加を達成できる。
すなわち、油圧モータの過負荷復元加速性はトルクに比例するので、油圧モータにおいて、大容量側とすることにより出力トルクが増加することになる。また、油圧モータを大容量側とすることによってリリーフ量を少なくすることができる。
これにより、破砕機への被破砕物の供給を減少又は停止していた状態で逃がすことになっていた油圧の一部の利用が可能となる。
【0009】
第2発明に係る破砕装置は、第1発明に係る破砕装置において、
前記モータ容量制御手段は、前記負荷判定手段により、前記油圧モータが過負荷状態を脱したと判定されると、前記油圧モータの容量を所定容量側に復帰させることを特徴とする。
第2発明では、油圧モータは、油圧モータが過負荷状態を脱すると所定容量側に復帰する。すなわち、油圧モータが過負荷状態を脱した状態においてはトルクを増加させる必要がないので、元の所定容量側に戻すことができるので、燃料消費が少なくなる。
【0010】
第3発明に係る破砕装置は、第1発明及び第2発明に係る破砕装置において、
前記回転式破砕機は、2機の油圧モータによって駆動され、
いずれか一方の油圧モータが前記可変容量モータであることを特徴とする。
第3発明では、油圧モータを2機備えたことによって、個々のモータの小型化を図ることができ、油圧モータの配置が容易になる。
【0011】
第4発明に係る破砕装置は、第3発明に係る破砕装置において、
前記他方の油圧モータが、大容量及び所定容量側の2段階に切換可能な容量切換可能モータであることを特徴とする。
他方の油圧モータを、大容量側と所定容量側との切換えが可能な容量切換可能モータとしたことを特徴としている。
第4発明では、他方の油圧モータが大容量側と所定容量側との切換えが可能な容量切換可能モータであるので、この容量切換可能モータの容量を大容量側に切換えることによって、出力トルクを増加させたり、容量切換可能モータの容量を所定容量側に切換えることによって、出力トルクを減少させたりすることができる。
このため、起動時等において大容量側に切換えることによって、素早い起動を行うことができる。しかも、高トルク破砕等の他の目的で、容量切換可能モータが、大容量側に切換っていても、可変容量モータでは、過負荷で回転式破砕機への被破砕物の供給が開始されるまでの待機状態において、容量切換可能モータを大容量側とする制御が可能であり、出力トルクが大きくなり、回転式破砕機の回転数の復帰が早い。
【0012】
第5発明に係る破砕装置は、第1発明から第4発明に係る破砕装置において、前記可変容量モータは、自己圧で容量を変化させる制御モータであることを特徴としている。
第5発明では、前記可変容量モータは、自己庄で容量を変化させる制御モータであるので、過負荷で回転式破砕機への被破砕物の供給が開始されるまでの待機又は供給減少状態において、可変容量モータを自動的に大容量側とするができる。
【0013】
第6発明に係る破砕装置は、第1〜第5発明において、
前記供給量制御手段が、
前記被破砕物の供給増加又は開始時から前記被破砕物の供給減少又は停止時に至るまでの破砕継続時間を計測する破砕継続時間計測部と、
計測された破砕時間が予め設定された設定時間よりも長いか否かを判定する時間判定部と、
計測された破砕継続時間が、
予め設定された設定時間以下のときには、次回の前記供給装置の供給能力を低下させ、
前記設定時間よりも長いときには、次回の前記供給装置の供給能力を増加させる供給量調整部とを備えていることを特徴とする。
【0014】
第7発明に係る破砕装置は、第6発明において、
前記供給装置が、前記破砕機の上部に回転自在に設けられ、回転することで前記破砕機に被破砕物を供給するタブであり、
前記破砕継続時間計測部が、被破砕物を前記破砕機に供給する方向に回転させる前記タブの正転時間を計測して破砕継続時間とすることを特徴とする。
【0015】
第8発明に係る破砕装置は、第7発明において、
前記タブには、その正転速度の上限値及び下限値が設定され、
前記供給量制御手段が、前記下限値を前記タブが回転を停止しない回転可能値と設定する下限値設定部を備えていることを特徴とする。
【0016】
第9発明に係る破砕装置は、第8発明において、
前記供給量制御手段が、
計測された破砕継続時間が前記設定時間よりも長いと判定されたら、前記タブに設定された回転速度を、回転速度の上限値として設定する上限値設定部を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1発明の破砕装置によれば、過負荷で回転式破砕機への被破砕物の供給が増加又は開始されるまでの待機又は供給減少状態において、トルクの増加を達成できるので、破砕機が所定の回転速度に回復するまでの時間を短縮することができる。これによって、作業効率の向上を図って、作業量を増加させることができる。また、破砕機への被破砕物の供給を停止していた状態で逃がすことになっていた油圧の一部の利用が可能となって、油圧ロスを減少させることができる。
【0018】
第2発明の破砕装置によれば、油圧モータが過負荷状態を脱した状態においてはトルクを増加させる必要がないので、元の所定容量側に戻すことができる。このため、無駄な運転を回避することができ、燃料消費が少なくなる。
第3発明の破砕装置によれば、個々のモータの小型化を達成できるので、全体としてのコンパクト化を達成できると共に、破砕機やモータ等のレイアウトの容易化を達成できる。
【0019】
第4発明の破砕装置によれば、例えば、容量切換可能モータを、起動時等において大容量側に切換えることによって、素早い起動を行わせたりすることができるので、作業効率の向上を一層達成できる。また、容量切換可能モータが、大容量側に切換っていても所定容量側に切換っていても、可変容量モータでは、過負荷で回転式破砕機への被破砕物の供給が増加又は開始されるまでの待機状態において、油圧モータを大容量側とする制御が可能であるので、破砕機が所定の回転速度に回復するまでの時間を短縮することができる。
これによって、作業効率の向上を図って、作業量を増加させることができる。
【0020】
第5発明の破砕装置によれば、過負荷で回転式破砕機への被破砕物の供給が増加又は開始されるまでの待機又は供給減少状態において、油圧モータを自動的に大容量側とすることができるので、破砕機が所定の回転速度に回復するまでの時間の短縮を自動的に確実に行うことができ、作業量増加の信頼性が向上する。
【0021】
第6発明の破砕装置によれば、供給量調整部を備えていることにより、破砕機の過負荷状態での運転を回避することができる。これにより、作業効率が向上し、破砕機の負担が軽減されて、破砕機が損傷等するのを防止できる。また、破砕継続時間に応じて、破砕機への供給量の適正化を図ることができる。
これにより、破砕機の稼動時間を大きく取れて効率のよい破砕作業を行うことができ、全体の破砕量(作業量)の向上を図ることができる。しかも、この第6発明の破砕装置は、上記特許文献1のように破砕機の負荷を瞬時のものとして点状に捉えるものではなく、経過時間として線状に捉えたことにより、一段と精度の高い制御が行える。
【0022】
第7発明の破砕装置によれば、破砕継続時間を簡単に検知することができ、破砕機への被破砕物の供給量の適正化を確実に図ることができる。
【0023】
第8発明の破砕装置によれば、タブは上限値を越えた回転速度とならない。このため、破砕機に対して被破砕物(木材)が設定値より過供給状態となるのを防止でき、安全性を確保することができる。
また、タブ回転速度の下限値を、下限値設定部によりタブが回転を停止しない回転可能値とするので、低速であってもタブは必ず回転することになる。このため、この装置の制御によって、タブ回転速度が低下しても、被破砕物(木材)を破砕機に供給することができて、破砕機による被破砕物の破砕作業を行うことができ、作業量の低下を防止できる。
これに対して、タブが回転せずに停止した状態となるものでは、装置停止状態(破砕作業停止状態)か、過負荷によるタブ停止状態かが作業者等には分らず、その後の対応が不安定となって、作業性が悪い。
【0024】
第9発明の破砕装置によれば、上限値設定部により、破砕機への被破砕物の供給量を設定値に対し適正化することができる。これにより、効率のよい破砕作葉を行うことができ、作業量の向上を図ることができる。また、タブ用モータの負担を軽減することができ、耐久性に優れた破砕装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
[図1]図1は、本発明の第1実施形態に係る木材破砕装置の側面図。
[図2]図2は、前記実施形態における木材破砕装置の背面図。
[図3]図3は、前記実施形態における木材破砕装置の油圧回路を表す模式図。
[図4]図4は、前記実施形態におけるタブ制御油圧回路の要部模式図。
[図5]図5は、前記実施形態におけるタブ制御における指令電流とタブ回転数の関係を表すグラフ。
[図6]図6は、前記実施形態における破砕機制御油圧回路の要部模式図。
[図7]図7は、前記実施形態における破砕機制御における指令電流と破砕機回転数の関係を表すグラフ。
[図8]図8は、前記実施形態におけるコントローラの構造を表す機能ブロック図。
[図9]図9は、前記実施形態におけるタブ制御動作を表すフローチャート。
[図10]図10は、前記実施形態の破砕機制御動作を表すフローチャート。
[図11]図11は、前記実施形態の作用を説明するためのグラフ。
[図12]図12は、前記実施形態の効果を説明するためのグラフ。
[図13]図13は、本発明の第2実施形態に係る破砕装置を表す要部模式図。
[図14]図14は、前記実施形態における第2油圧モータの圧力と容量の関係を表すグラフ。
[図15]図15は、本発明の第3実施形態に係る破砕装置を表す要部模式図。
[図16]図16は、前記実施形態におけるコントローラの構造を表す機能ブロック図。
[図17]図17は、前記実施形態の破砕機制御動作を表すフローチャート。
[図18]図18は、従来の破砕装置を表す側面図。
【符号の説明】
【0026】
1…回転式破砕機、1A、201A、301A…油圧モータ(可変容量モータ)、1B、201B…容量切換可能モータ、2…タブ(供給装置)、30…コントローラ、34…供給量制御手段、161D、303…負荷検出手段、331…モータ容量制御手段、341…破砕継続時間計測部、342…時間判定部、343…供給量調整部、344…下限値設定部、345…上限値設定部
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
〔第1実施形態〕
〔1〕全体構成
次に、この発明の破砕装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は木材破砕装置の側面図であり、図2はその背面図である。
この木材破砕装置は自走式であって、破砕機1と、軸心O2廻りに回転して破砕機1に木材を供給する略円筒状のタブ(回転式タブ)2とを備えたものである。
そして、上記タブ2を軸心廻りに付設するためのタブ受フレーム及び破砕機1等は機台(機体)3に付設され、この機台3には走行体4が付設されている。また、タブ2の上方開口部にはホッパ(固定式ホッパ)5が付設され、このホッパ5に木材を投入することによって、タブ2内に木材が供給される。
【0028】
破砕機1は、図1及び図2に示されるように、木材破砕装置の走行方向に延びる軸O1を中心として回転する回転軸と、この回転軸と共に回転する破砕機本体とを備えて構成される。破砕機本体は、円筒状の回転ドラムの外周面上にビットと呼ばれる刃が植設されたものであり、回転軸の両端には、破砕機本体を回転駆動するために、後述する第1及び第2油圧モータがそれぞれ接続されている。
タブ2は、機台3上に設けられるタブ受けフレームと、このタブ受けフレーム上に、回転軸O2回りに回転自在に支持されるタブ本体21とを備えて構成される。
図示を略したが、タブ本体21の外周の底部近傍には、スプロケットが設けられ、このスプロケットには、後述する無端チェーンCHが噛合している。無端チェーンCHの一端には、さらに駆動用の歯車が噛合しており、この歯車の回転中心には、後述するタブモータの回転軸が接続されている。
【0029】
タブ2内に木材が供給されると、タブ2の回転とともに木材が破砕機1に供給され、破砕機1により、木材を破砕する。破砕機1によって所定の粒度のチップ状に粉砕された木片は、図示を略したスクリーンを介して、破砕機1の下方に配置される第1コンベヤ61に排出され、さらに、第2コンベヤ62によって外部に排出される。つまり、第1コンベヤ61及び第2コンベヤ62は、協働することによって、破砕されたチップ状の木片を外部に排出する搬送コンベヤ6として機能する。なお、この木材破砕装置においては、走行体4を履帯式としたが、タイヤ式であってもよい。また、走行体4を設けずに定置式としたり、可搬式の木材破砕装置としたりしてもよい。
以下の記載において、搬送コンベヤ6が突出している方を前方と呼び、その反対側で、搬送コンベヤ6が突出していない方を後方と呼ぶ。
【0030】
上記機台3の後方側において、上記タブ2は、駆動手段にてその軸心O2廻りに回転可能とされ、また、ホッパ5は機台3に取り付けたタブ受けフレームから立設された支柱7に支持され、下端部がタブ2の上端部に遊嵌状に外嵌されている。
タブ2の下部側には、上記破砕機1が配設されている。
ホッパ5は、その投入口8が水平面に対して傾斜しており、さらに、この投入口8には、その一部を覆う飛散防止カバー9が付設されている。
基台3上の略中央部には、動力室10が設置されている。動力室10には、動力源となるエンジン、油圧ポンプ、作動油タンク、操作弁、及び図示を略したが、コントローラが設けられている。尚、コントローラは、やはり図示を略した操作パネルと電気的に接続され、オペレータが操作パネル上で破砕、タブ回転設定を行うことにより、被破砕物に適した破砕条件、タブ回転条件を設定することが可能である。
操作弁は、配管ラインを介して前述した破砕機1、タブ2、走行体4、搬送コンベヤ6の駆動源となる油圧モータと接続され、エンジンを起動して油圧ポンプによって圧油を油圧モータに分配することにより、破砕機1等の各部分を動作させることができる。
【0031】
〔2〕油圧回路の構造
(2−1)油圧回路の全体構造
次に、動力室10から各油圧モータに至る油圧回路の概略構成を、図3に基づいて説明する。
動力室10には、エンジン11、ファン12、メインポンプ13、作動油タンク14、オイルクーラ15、及び操作弁16が設けられている。
エンジン11は、図示を略したが、ディーゼルエンジン等のエンジン本体と、このエンジン本体を冷却するためのラジエータとを備え、付設されるファン12によって冷却される。
このエンジン11には、燃料油タンクが燃料供給管を介して接続されるとともに、バッテリが電気配線を介して接続され、燃料油タンクからの燃料供給を受けつつ、バッテリによってエンジンが駆動を開始する。
【0032】
メインポンプ13は、第1油圧ポンプ131、第2油圧ポンプ132、及び第3油圧ポンプ133を備えて構成され、エンジン11によって各ポンプ131〜133を駆動し、各ポンプ131〜133から、配管ライン101〜103を介して、操作弁16に作動油を圧送する。
操作弁16は、切換操作により、前述した各部位に設けられる油圧モータに作動油を供給する分配機として機能し、これらの切換制御は、図3では図示を略したコントローラによって行われる。
【0033】
操作弁16の後段には、各部位に設けられる油圧モータ等が配管ライン161〜168を介して接続される。
本実施形態では、油圧モータとしては、ファン12を駆動するためのファンモータ12A、タブ2を駆動するためのタブモータ2Aと、搬送コンベヤ6を駆動するためのコンベヤモータ6A、6Bと、走行体4を駆動するための左走行体モータ4A及び右走行体モータ4Bと、破砕機1を駆動するミルモータとしての第1油圧モータ1A、第2油圧モータ1Bとが設けられている。また、前記の操作弁16には、飛散防止カバー9の開閉用シリンダ91が接続され、さらに図示を略したが、コンベヤ上下及びタブ開閉シリンダにも接続され、飛散防止カバー9の開閉や、搬送コンベヤ6の上下姿勢変更、タブ2の開閉等を操作弁の切換によって行えるようになっている。
【0034】
前記の油圧回路の構造についてより詳しく説明すると、メインポンプ13は、配管ライン100によって接続される作動油タンク14から作動油の供給を受けている。
第1油圧ポンプ131は、送油量可変の容量可変ポンプから構成され、配管ライン101を介して、操作弁16のミルモータ用操作弁16A及びコンベヤ上下/タブ開閉シリンダ用操作弁16Bに接続されている。ミルモータ用操作弁16Aは、配管ライン161を介して破砕機1の第1油圧モータ1A及び第2油圧モータ1Bと接続されている。
これら第1油圧モータ1A及び第2油圧モータ1Bは、破砕機1の回転軸に接続され、回転軸の回転に伴って回転式破砕体1Cが回転することによって、木材の破砕が実現される。
第2油圧ポンプ132も容量可変ポンプから構成され、この第2油圧ポンプ132は、配管ライン102を介して操作弁16における、右及び左走行体用操作弁16C、16D、傾斜カバーシリンダ用操作弁16E、コンベヤモータ用操作弁16F、及びタブモータ用操作弁16Gと接続される。
【0035】
右走行体用操作弁16Cは、配管ライン162を介して右走行用油圧モータ4Bと接続され、左走行体用操作弁16Dは、配管ライン163を介して左走行用油圧モータ4Aと接続されている。尚、配管ライン162、163の間には、両走行体のバランス調整のために走行連通弁18が設けられている。
傾斜カバーシリンダ用操作弁16Eは、配管ライン164を介して、飛散防止カバー9の開閉用シリンダ91と接続されている。
コンベヤモータ用操作弁16Fは、配管ライン165を介して第1コンベヤ61を駆動するためのコンベヤモータ6Aと接続され、さらにコンベヤモータ6Aは、配管ライン166を介して第2コンベヤ62を駆動するためのコンベヤモータ6Bに接続されている。
タブモータ用操作弁16Gは、配管ライン167を介して、タブ2を駆動するためのタブモータ2Aに接続されている。
【0036】
第3油圧ポンプ133は、定容量形ポンプから構成され、配管ライン103を介して、ファンモータ用操作弁16Hに接続されている。ファンモータ用操作弁16Hは、配管ライン168を介してファンモータ12Aに接続されている。尚、ファンモータ12Aは、エンジン冷却用のファンを回転させる駆動源として機能している。
そして、このような操作弁16から送油され、各油圧モータを駆動した後の戻り油は背圧チェック弁19を経て、配管ライン104を介してオイルクーラ15で冷却された後、配管ライン105を介して作動油タンク14に戻される。
【0037】
(2−2)タブモータ2Aの油圧回路
次に、タブ2の駆動源であるタブモータ2Aの油圧回路について詳述する。
図4には、タブ2側の油圧回路を示している。同図において、2は、回転駆動されるタブ、2Aは駆動用のタブモータであって、上記したように、タブモータ2Aが、チェーンCHを介してタブ2を駆動するようになっている。
第2油圧ポンプ132からの配管ライン102は、4ポート3位置切換の流量方向制御弁からなるタブモータ用操作弁16Gに接続されている。
【0038】
このタブモータ用操作弁16Gからタブモータ2Aへの配管ライン167は、さらに、ポンプライン167Aとタンクライン167Bとに分けられ、これらのライン167A、167Bが上記タブモータ2Aに接続されている。
このポンプライン167Aとタンクライン167Bとが接続されるタブモータ用操作弁16Gには、比例電磁弁167Cが付設されている。
また、タブモータ用操作弁16Gには、正逆を切換えるためのソレノイド167Dが接続されている。なお、167Eは圧力スイッチである。
タブ2は、図5に示すように、比例電磁弁167Cへの指令電流Itに略比例するような回転速度Ntで回転駆動される。
【0039】
(2−3)破砕機1の油圧回路
次に、破砕機1の駆動源である第1油圧モータ1A及び第2油圧モータ1Bの油圧回路について詳述する。
図6には、破砕機1側の油圧回路を示している。同図において、1Cは、回転駆動される回転式破砕体であり、この回転式破砕体1Cが、その両端部に接続された一対の駆動用の油圧モータ1A、1Bによって駆動される。
一方の第1油圧モータ1Aは、可変容量モータであって、モータが自己圧で容量を所定容量と、それよりも大きな大容量とに切換える方式の可変容量モータである。
また、他方の第2油圧モータ1Bは、容量切換可能モータであって、傾転角の大小切換を行い、容量を所定容量と、それよりも大きな大容量とに切換える方式のものである。
そして、本実施形態においては、自己圧により自動的に容量が切り換わる第1油圧モータ1A自身が、本発明にいう負荷検出手段、負荷判定手段、及びモータ容量制御手段として機能する。
【0040】
第1油圧ポンプ131からの配管ライン101は、4ポート3位置切換の流量方向制御弁からなるミルモータ用操作弁16Aに接続されている。
このミルモータ用操作弁16Aから第1、第2油圧モータ1A、1Bへの配管ライン161は、さらに、ポンプライン161Aとタンクライン161Bとに分けられ、これらのライン161A、161Bが上記第1及び第2油圧モータ1A、1Bに接続されている。
両油圧モータ1A、1Bは、上記ポンプライン161Aとタンクライン161Bとに互いに並列に接続されている。ポンプライン161Aとタンクライン161Bとが接続されるミルモータ用操作弁16Aには、比例電磁弁161Cが付設されている。なお、161Dは回転式破砕体1Cの回転速度を検出する回転検知センサ、161Eは圧力スイッチである。
また、上記第1油圧ポンプ131からの配管ライン101には、リリーフ弁161Fが介設されており、ポンプライン161Aの最高圧力を規制している。
上記回転式破砕体1Cは、図7に示すように、比例電磁弁161Cへの指令電流Imに略比例するような回転速度Nmsを目標として回転駆動される。
【0041】
〔3〕油圧回路の制御構造
前述した構造のタブ2のタブモータ2Aの油圧回路、及び、破砕機1の第1油圧モータ1A及び第2油圧モータ1Bの油圧回路は、動力室10に設置された操作パネル10Aで設定された第1油圧モータ1A及び第2油圧モータ1Bの設定回転速度と、回転検知センサ161Dで検出された第1油圧モータ1A及び第2油圧モータ1Bの回転速度とに基づいて、図8に示されるようなコントローラ30によって制御される。
このコントローラ30は、コンピュータ装置を含んで構成され、コンピュータ装置の演算処理装置上で実行されるソフトウエアとしての、破砕機回転速度設定手段31、タブ回転速度設定手段32、負荷判定手段33、及び供給量制御手段34を備えている。
【0042】
破砕機回転速度設定手段31は、操作パネル10Aでオペレータが設定した破砕機1の設定回転速度Nmsoに基づいて電流信号Imを生成し、生成した電流信号Imを比例電磁弁161Cに出力し、比例電磁弁161Cに設定回転速度Nmsoに応じた作動油供給を行わせる部分である。
タブ回転速度設定手段32は、操作パネル10Aでオペレータが設定したタブ2の設定回転速度に基づいて電流信号Itを生成し、比例電磁弁167Cに生成した電流信号Itを出力し、比例電磁弁167Cに設定回転速度に応じた作動油供給を行わせる部分である。
【0043】
負荷判定手段33は、破砕機1に設けられた回転検知センサ161Dから出力された回転式破砕体1Cの回転速度信号Nmに基づいて、破砕機1が過負荷の状態であるか、低負荷の状態であるかを判定する部分である。
詳しくは後述するが、この負荷判定手段33は、操作パネル10A上で設定した設定回転速度Nmsoに対して、回転検知センサ161Dで検出された回転式破砕体1Cの回転速度Nmが70%以下である場合に破砕機1が過負荷状態であると判定し、回転速度Nmが70%から90%の間にある場合に破砕機1が定常負荷状態であると判定し、回転速度Nmが90%を超えている場合に、低負荷状態であると判定する。
負荷判定手段33による判定結果は、供給量制御手段34に出力される。
【0044】
供給量制御手段34は、回転検知センサ161Dの検出状態に基づいて、タブモータ2Aの駆動制御を行うことにより、タブ2による破砕機1への木材供給量の制御を行う部分である。
この供給量制御手段34は、負荷判定手段33で破砕機1が過負荷状態にあると判定された場合、詳しくは後述するが、破砕機1が過負荷状態を脱して低負荷状態となるまで、破砕機1への木材供給を停止し、破砕機1が低負荷状態にあるときは、破砕機1への木材供給量を増加させるような制御を行う。タブ2による木材供給量の増減は、タブモータ2Aに接続される配管ライン167に設けられた比例電磁弁167Cへの制御信号を変動させることにより実現することができる。尚、この供給量制御手段34は計時手段として機能する部分を具備しており、タイマのカウント値に応じて、比例電磁弁167Cへの出力電流を変化するように構成されている。
【0045】
具体的には、供給量制御手段34は、破砕継続時間計測部341、時間判定部342、供給量調整部343、下限値設定部344、及び上限値設定部345を備えて構成される。
破砕継続時間計測部341は、被破砕物の供給増加又は開始時から、被破砕物の供給減少又は停止時に至るまでの破砕継続時間を計測する部分であり、コントローラ30内に設けられるタイマ回路を利用して破砕継続時間の計測を行う。
時間判定部342は、破砕継続時間計測部341により計測された破砕継続時間tが予め設定された設定時間t10よりも長いか否かを判定する部分であり、設定時間t10よりも長いと判定されたら、その旨を供給量調整部343に出力する。
【0046】
供給量調整部343は、破砕継続時間計測部341で計測された破砕継続時間に基づいて、タブ2の供給能力を調整する部分であり、具体的には、以下のように供給量の調整を行う。
(1)計測された破砕時間tが設定時間t10以下のときには、次回のタブ2の供給能力を低下させる。具体的には、タブ2への指令電流Itmを一定電流値ΔItoだけ高い値として、指令電流を記憶保持するメモリに書き込んで次回の指令電流とする。
(2)計測された破砕時間tが設定時間t10よりも長いときには、次回のタブ2の供給能力を増加させる。具体的には、タブ2タブ2への指令電流Itmを一定電流値ΔItoだけ低い値として、指令電流を記憶保持するメモリに書き込んで次回の指令電流とする。
【0047】
下限値設定部344は、タブ2に設定された回転速度の下限値を設定する部分であり、タブ2が回転をしない回転可能値として設定する。具体的には、上記供給量調整部343で設定された指令電流Itmが下限値Itminよりも小さいか否かで設定され、指令電流Itmが下限値Itminよりも小さい場合には、その際の指令電流Itmを下限値Itminとしてメモリに記憶することにより、下限値Itminが更新設定される。
上限値設定部345は、時間判定部342の結果に基づいて、回転速度の上限値を更新設定する。具体的には、上限値設定部345は、供給量調整部343で増加させた指令電流Itmがメモリ上に記憶された上限値Itoよりも大きいか否かを判定し、大きい場合に、新たな上限値Itoを前記指令電流Itmとしてメモリに記憶することにより、上限値Itoが更新設定される。
【0048】
〔4〕コントローラ30によるタブ2及び破砕機1の制御
次に、上記タブ2及び破砕機1の動作制御につき、図9及び図10に示すフローチャートに基づいて説明する。
(4−1)タブ2の動作制御
タブ2の動作制御は、図9に示されるフローチャートに基づいて行われる。
(1)ステップS1において、コントローラ30の供給量制御手段34は、タブ2が動作している(運転スイッチON)ことを確認する。次に、ステップS2において、タブ2の比例電磁弁167Cへの指令電流Itを指令上限値Itoに設定し、被破砕物の供給を開始する(It=Ito)。
(2)供給量制御手段34は、タブ2の回転再開時の指令電流Itmを上記指令上限値Itoとする旨をメモリに入力する(ステップS3)。
(3)ステップS4では、負荷判定手段33は、上記回転検知センサ161Dで検出した回転式破砕体1Cの回転速度Nmが、設定回転速度Nmsoの70%以上であるか否かの判断を行う。
【0049】
(4)負荷判定手段33が破砕機1の検出回転速度Nmが設定回転速度Nmsoの70%以上であり、過負荷状態にないと判定すれば、その状態(破砕機1の稼動状態)を継続する。
(5)一方、負荷判定手段33が破砕機1の検出回転速度Nmが設定回転速度Nmsoの70%よりも小さく、破砕機1が過負荷状態にあると判定されたら、ステップS5に移行して、供給量制御手段34は、比例電磁弁167Cへの指令電流Itを0にしてタブ2を停止させることで被破砕物の供給を中断する。
(6)供給量制御手段34は、その後、所定時間(約1秒間)だけソレノイド167Dを励磁して、タブ2を逆転させる(ステップS6)。所定時間経過後には、ソレノイド167Dの励磁は停止され、タブモータ用操作弁16Gがタブ停止位置に切換わり、タブ2は停止したままとなる。よって、破砕機1に被破砕物(木材)は、供給されないので、ミルモータ1A、1Bの負荷はなくなり、回転式破砕体1Cの回転速度Nmは、徐々に増加する。
【0050】
(7)ステップS7においては、負荷判定手段33は、回転検知センサ161Dで検出した回転式破砕体1Cの回転速度Nmが、設定回転速度Nmsoの90%よりも大であるか否かの判断を行う。負荷判定手段33は、回転速度Nmが設定回転速度Nsmoの90%以下であれば、その状態を継続し、90%よりも大であれば低負荷状態になったと判定して、ステップS8に移行する。
(8)ステップS8において、供給量制御手段34は、タブ2の比例電磁弁167Cへの指令電流Itを、ステップS3においてメモリに記憶したタブ2の回転再開時の指令電流Itmとして出力し、タブ2の回転駆動を再開し、被破砕物の供給を再開する。
(9)その後、供給量制御手段34は、ステップS9おいて、破砕継続時間計測部341は、タイマをリセット(t=0)すると共に、次のステップS10において、タイマをスタートさせる。
【0051】
(10)ステップS11においては、負荷判定手段33は、上記回転検知センサ161Dで検出した回転式破砕体1Cの回転速度Nmが、設定回転速度Nmsoの70%以上であるか否かの判断を行う。検出された回転速度Nmが設定回転速度Nmsoの70%以上であれば、その状態(破砕機1の稼動状態)を継続しながらステップS12へと移行する。一方、70%よりも小さければ、ステップS13に移行して、供給量制御手段34は、タイマをストップして、次のステップS14へと移行する。
(11)ステップS14では、供給量制御手段34の時間判定部342は、上記タイマのカウント値tが、設定時間t10以下であるのか否かの判断を行う。
【0052】
(12)ステップS14において、カウント値tが、設定時間t10以下である場合(t≦t10)には、ステップS15に移行し、供給量制御手段34の供給量調整部343は、次回のタブ2の回転再開時の指令電流Itmを、今回のタブ2の回転再開時の指令電流Itmよりも一定電流値ΔItoだけ低い指令電流値(Itm=Itm−ΔIto)としてメモリに書き込む。
(13)次に、ステップS16に移行し、供給量制御手段34の下限値設定部344は、上記次回の指令電流Itmが、指令下限値Itminよりも小であるか否かの判断を行う。
【0053】
(14)ステップS16において、供給量制御手段34の下限値設定部344は、次回の指令電流Itmが、指令下限値Itminよりも小(Itm<Itmin)であると場合には、ステップS17において、次回の指令電流Itmを、指令下限値Itminとして(Itm=Itmin)、上記ステップS5へと移行する。一方、小でない場合にはそのまま、上記ステップS5へと移行して、比例電磁弁167Cへの指令電流Itを0にしてタブ2を停止することで被破砕物の供給を中断し、その後、ステップS6において、所定時間(約1秒間)だけソレノイド167Dを励磁して、タブ2を逆転させる。上記における指令下限値Itminは、タブ2が回転を停止しない回転可能値としている。
【0054】
(15)ステップS14において、カウント値tが、設定時間t10より大である場合(t>t10)には、ステップS18に移行し、供給量制御手段34の供給量調整部343は、次回のタブ2の回転再開時の指令電流Itmを、今回のタブ2の回転再開時の指令電流Itmよりも一定電流値ΔItoだけ高い指令電流値(Itm=Itm+ΔIto)としてメモリに書き込む。
(16)次に、ステップS19に移行し、供給量制御手段34の上限値設定部345は、上記次回の指令電流Itmが、指令上限値Itoよりも大であるか否かの判断を行い、次回の指令電流Itmが、指令上限値Itoよりも大(Itm>Ito)である場合には、ステップS20において、次回の指令電流Itmを、指令上限値Itoとして(Itm=Ito)、また大でない場合にはそのまま、上記ステップS5へと移行する。
【0055】
(17)上記ステップS11において、回転検知センサ161Dで検出した回転式破砕体1Cの回転速度Nmが、設定回転速度Nmsoの70%以上であり、破砕機1が過負荷状態にはないと負荷判定手段33が判定した場合には、その状態(破砕機1の稼動状態)を継続しながらステップS12へと移行したが、このステップS12においては、供給量制御手段34の時間判定部342は、上記タイマのカウント時間tが上限設定時間tmax以上であるか否かの判断を行い、判断結果に基づいて、破砕継続時間計測部341は、上限設定時間tmaxに達していなければ、その状態を継続し、上限設定時間tmaxに達すれば(t≧tmax)、ステップS21に移行して、タイマを停止して、上記ステップS2へと移行する。
【0056】
(4−2)破砕機1の第1油圧モータ1Aの動作制御
破砕機1の第1油圧モータ1Aの動作制御は、図10に示されるフローチャートに基づいて行われる。
(1)破砕機1の第1油圧モータ1A及び第2油圧モータ1Bが所定容量側で動作中(ステップS22)、コントローラ30の破砕機回転速度設定手段31は、回転速度Nmsoに相当する作動油供給を行う電流信号Imを比例電磁弁161Cに出力する。第1油圧モータ1Aは、供給された作動油に応じた回転速度で回転しようとするが、実際には、木材破砕による負荷が掛かった状態、すなわち、無負荷の状態よりも若干回転速度が落ちた状態で回転している。
(3)負荷の増加に伴い、ポンプライン161A内の圧力は高まるが、実際の破砕機1の回転速度Nmが設定回転速度Nmsoの70%以上となるまでは現在の状態を継続する(ステップS23)。
【0057】
(4)一方、ポンプライン161Aの内圧が、実際の回転速度Nmが設定回転速度Nmsoの70%を下回るような内圧に上昇すると、第1油圧モータ1Aは、自己圧によって自動的に容量を、所定容量側から大容量側に切り換える(ステップS24)。
(5)第2油圧モータ1Bは、図6において図示を略したが、配管ライン161中に設けられる圧力検知手段によって検出された油圧に基づいて、コントローラ30からの制御信号により、大容量側に切り換えられる(ステップS25)。
【0058】
(6)その後、ポンプライン161A内の圧力が下がらなければ、第1油圧モータ1A及び第2油圧モータ1Bの容量はそのまま維持され、ポンプライン161A内の圧力が、70%以上となるような圧力に低下すると、次に移行する(ステップS26)。
(7)次のステップS27においては、ポンプライン161A内の圧力低下に伴い、再び第1油圧モータ1Aは自己の容量を所定側に切り換える(ステップS27)
(8)第2油圧モータ1Bは、前記の圧力検知手段によって検出された油圧に基づいて、コントローラ30からの制御信号により所定容量側に切り換えられる(ステップS28)。
【0059】
〔5〕実施形態の作用
(5−1)タブ2の制御による作用及び効果
上記フローチャートに基づく制御では、回転式破砕体1Cの回転速度Nmが、設定回転速度Nmsoの70%未満になり、破砕機1が過負荷状態になると、タブ2の回転を停止すると共に、タブ2を一定時間逆転させる(ステップS5、S6)。
また、運転起動時を除き、回転式破砕体1Cの回転速度Nmが、設定回転速度Nmsoの90%よりも大になり、破砕機1が低負荷状態になれば、タブ2の回転駆動を再開し、被破砕物の供給を再開する(ステップS8)。
そして、タブ2の回転駆動の再開から、次のタブ2の回転停止までの破砕継続時間tをカウントする(ステップS10)。
【0060】
カウント値tが、設定時間t10以下である場合(t≦t10)には、次回のタブ2の回転再開時の指令電流Itmを、今回のタブ2の回転再開時の指令電流Itmよりも一定電流値ΔItoだけ低い指令電流値(Itm=Itm−ΔIto)として(ステップS15)、タブ2の回転速度を低下させる。
一方、カウント値tが、設定時間t10より大である場合(t>t10)には、次回のタブ2の回転再開時の指令電流Itmを、今回のタブ2の回転再開時の指令電流Itmよりも一定電流値ΔItoだけ高い指令電流値(Itm=Itm+ΔIto)として(ステップS18)、タブ2の回転速度を増加させる。
【0061】
図11には、具体的な制御例を示している。図において、1回目の破砕(1)、2回目の破砕(2)、3回目の破砕(3)では、それぞれ破砕継続時間tが設定時間t10以下であるので、2回目の破砕(2)では、指令電流を低く(It=Ito−ΔIto)、3回目の破砕(3)では、指令電流をさらに低く(It=Ito−2△Ito)、4回目の破砕(4)では、指令電流を一層低く(It=Ito−3ΔIto)している。
また、4回目の破砕(4)では、破砕継続時間tが設定時間t10より大であるので、5回目の破砕(5)では、指令電流を4回目よりもΔItoだけ高く(It=Ito−2ΔIto)している。
そして、5回目の破砕(5)では、破砕継続時間tが設定時間t10以下であるので、6回目の破砕(6)では、指令電流を5回目よりもΔItoだけ低く(It=Ito−3△Ito)している。
【0062】
上記破砕装置では、破砕継続時間tが設定時間t10よりも大きいとき、すなわち、低負荷状態が長く続くときには、木材の供給不足ぎみであり、次回のタブ回転速度を前回のタブ回転時のときよりも増加させて木材の供給量を増加させることができる。
また、破砕継続時間tが設定時間t10よりも小さいときには、木材の過供給ぎみであり、次回のタブの回転速度を前回のタブ回転時のときよりも減少させて木材の供給量を減少させることができる。
このため、次回の木材供給において、破砕機1の破砕能力に応じた木材供給となるように、タブ2の回転速度を調整することができる。従って上記破砕装置によれば、破砕機の過負荷状態での運転を回避することができ、これにより、作業効率が向上し、破砕機の負担が軽減されて、破砕機1が損傷等するのを防止できる。
また、破砕継続時間tに応じてタブの回転速度を変更することができるので、破砕機1への木材の供給量の適正化を図ることができる。これにより、破砕機1の稼動時間を大きく取れて効率のよい破砕作業を行うことができ、全体の破砕量(作業量)の向上を図ることができる。しかも、破砕機1の負荷を瞬時のものとして点状に捉えるものではなく、経過時間として線状に捉えたことにより、一段と精度の高い制御が行える。
【0063】
また、上記破砕装置では、破砕機1の負荷状態を回転速度に基づいて検知しているので、破砕機1の過負荷状態を簡単に検知することができ、破砕機1への木材の供給量の適正化を確実に図ることができる。
破砕機1の負荷状態は、上記の他、破砕機に供給される作動油の圧力を検出することによっても把握でき、この場合にも同様の作用、効果が得られる。
また、破砕継続時間tを、タブ2の回転時間に基づいて検知しているので、破砕継続時間tを簡単に検知することができ、破砕機への被破砕物の供給量の適正化を確実に図ることができる。
【0064】
さらに、上記破砕装置では、タブ2の回転再開時の指令電流Itmに指令上限値Itoと指令下限値Itminとを設け、タブ回転速度に上限値と下限値とを設定すると共に、上記下限値をタブが回転を停止しない回転可能値としている。従って、タブ2は上限値を越えた回転速度とならないため、破砕機1に対して木材が設定値より過供給状態となるのを防止でき、安全性を確保することができる。
また、タブ回転速度の下限値を、タブが回転を停止しない回転可能値とするので、低速であってもタブ2は必ず回転することになる。このため、この装置の制御によって、タブ回転速度が低下しても、木材を破砕機に供給することができて、破砕機による被破砕物の破砕作業を行うことができ、作業量の低下を防止できる。
これに対して、タブ2が回転せずに停止した状態となるものでは、装置停止状態(破砕作業停止状態)か、過負荷によるタブ停止状態かが作業者等には分らず、その後の対応が不安定となって、作業性が悪い。
【0065】
上記破砕装置では、破砕継続時間tが上記設定時間t10よりも大きい上限設定時間tmaxを超えれば、タブ2の比例電磁弁167Cへの指令電流Itを指令上限値Itoにしてタブ回転速度を上限値としている。
これは、低負荷状態が長時間継続すれば、破砕機への被破砕物の供給量が不足ぎみであるため、このようなときには、タブ2の回転速度を上限値とすることによって、破砕機1への被破砕物の供給量の適正化及びタブモータ2Aの負担の軽減を図るためである。
【0066】
(5−2)油圧モータ容量変更制御による作用効果
ところで、図6においては、回転式破砕体1Cが、その両端部に接続された一対の駆動用の油圧モータ1A、1Bによって駆動されるようになっている。
そして、一方の第1油圧モータ1Aは、可変容量モータであって、モータが自己圧で容量を所定容量と、それよりも大きな大容量とに切換える方式の可変容量モータである。
また、他方の第2油圧モータ1Bは、容量切換可能モータであって、傾転角の大小切換を行い、容量を所定容量と、それよりも大きな大容量とに切換える方式のものであるとしている。なお、大容量とは、所定容量よりも、油圧モータ1A、1Bの1回転に要する作動油量が多いことを意味する。
また、図10のフローチャートにおいては、ステップS23で、破砕機1が過負荷状態である場合に、ステップS24及びステップS25においては、上記第1油圧モータ1Aと第2油圧モータ1Bとを、通常破砕時の所定容量側から大容量側に切換えることとしている。
すなわち、破砕機1が過負荷状態であり、タブ2からの破砕機1への木材供給を中断しているときに、第1油圧モータ1Aと第2油圧モータ1Bとを、通常破砕時の所定容量側から大容量側に切換えるようにしている。なお、この過負荷状態では、ポンプライン161Aからはリリーフ弁161Fによるリリーフが生じており、第1油圧モータ1Aの大容量側への切換は、このリリーフ圧(又はそれよりやや低い圧力)により自動的に行われる。また、第2油圧モータ1Bの大容量側への切換、及び復帰は、圧力検知手段(図示せず)の検知圧力によって行われる。
【0067】
第1油圧モータ1Aと第2油圧モータ1Bとを、大容量側に切換えれば、出力トルクが増加する。
一般に油圧モータの発生トルクは、モータ容量(行程容積)に比例し、また、モータ駆動圧に比例する。
一方、ある回転慣性を持った回転体を増減速させるのに必要とされるトルクは、回転加速度(角加速度)及び慣性モーメントに比例する。
従って、上記油圧モータ1A、1Bの発生トルクが回転体の増速に作用するとした場合、モータの容量の増大→モータ出力トルクの増大→回転加速度の増大→所定回転数の増加に必要な時間の短縮の働きがあると云える。
従って、過負荷で回転式破砕機への被破砕物の供給が開始されるまでの待機状態において、破砕機1が所定の回転速度に回復するまでの時間を短縮することができるのである。
【0068】
図12には、上記実施形態と従来例との回転の変化状態を対比して示している。図12において、実線は上記実施形態を、また破線は従来例をそれぞれ示している。
回転式破砕体1Cの回転速度Nmが、設定回転速度Nmsoの70%未満になり、破砕機1が過負荷状態になって、タブ2の回転を停止した待機状態に突入(図中X点)した後、回転式破砕体1Cの回転速度Nmが、設定回転速度Nmsoの90%に達して、破砕機1が低負荷状態になり、タブ2の回転駆動を再開するのは、従来例ではY点であるのに対して、実施形態ではZ点となる。具体的にいうと、破砕機1が所定の回転速度に回復するまでの時間は、従来例では約20秒の時間を要するのに対して、実施形態では約8秒と大幅に短縮される。
このように、上記破砕装置によれば、過負荷で回転式破砕機への被破砕物の供給が開始されるまでの待機状態において、破砕機1が所定の回転速度に回復するまでの時間を短縮することができる。
これによって、作業効率の向上を図って、作業量を増加させることができる。
【0069】
また、第1油圧モータ1Aと第2油圧モータ1Bとを大容量側とすることによって、過負荷状態でリリーフ弁161Fからのリリーフ量を少なくすることができる。
これにより、破砕機1への被破砕物の供給を停止していた状態で逃がすことになっていた油圧の一部の利用が可能となり、油圧ロスを減少させることができ、省エネルギを達成できる。
【0070】
また、上記破砕装置では、上記第1油圧モータ1Aと第2油圧モータ1Bとは、この油圧モータ1A、1Bが過負荷状態を脱すると所定容量側に復帰する。
すなわち、図10に示すフローチャートでは、ステップS26において、回転式破砕体1Cの回転速度Nmが、設定回転速度Nmsoの70%以上に回復すれば、ステップS27に移行して、上記第1油圧モータ1Aと第2油圧モータ1Bとを所定容量側に復帰させるようにしている。
これは、油圧モータ1A、1Bが過負荷状態を脱した状態においてはトルクを増加させる必要がないので、元の所定容量側に戻すことができるためであり、このようにすれば、無駄な運転を回避することができ、燃料消費が少なくなる。なお、所定容量側に復帰するタイミングとしては、回転式破砕体1Cの回転速度Nmが、設定回転速度Nmsoの90%以上に回復したときとしてもよい。
【0071】
(5−3)その他の作用効果
さらに、上記破砕装置では、1機の油圧モータを使用するのではなく、第1油圧モータ1Aと第2油圧モータ1Bとの2機の油圧モータを備えている。
この結果、個々のモータ1A、1Bの小型化を図ることができ、全体としてのコンパクト化を達成できると共に、破砕機1やモータ等のレイアウトの容易化を達成できる。
【0072】
さらに、上記破砕装置では、第1油圧モータ1Aと第2油圧モータ1Bとの両方の油圧モータを、大容量側と所定容量側との切換えが可能な可変容量モータと容量切換可能なモータとしている。
そのため、例えば、第1油圧モータ1Aと第2油圧モータ1Bの両方の容量を大容量側に切換えることによって、出力トルクを増加させたり、第1油圧モータ1Aと第2油圧モータ1Bの両方の容量を所定容量側に切換えることによって、出力トルクを減少させたりすることができる。
【0073】
このため、起動時等において、両油圧モータ1A、1Bを大容量側に切換えることによって、素早い起動を行うことができる。しかも、第2油圧モータ1Bが、高トルク破砕等の他の目的で大容量側に切換っていても、所定容量側に切換っていても、第1油圧モータ1Aでは、過負荷で回転式破砕機への被破砕物の供給が開始されるまでの待機状態において、第1油圧モータ1Aを大容量側とする制御が可能であり、出力トルクが大きくなり、回転式破砕機1の回転数の復帰が早い。
【0074】
上記破砕装置では、上記第1油圧モータ1Aは、自己圧で容量を変化させる制御モータであるので、過負荷状態で回転式破砕機1への被破砕物の供給が開始されるまでの待機状態において、油圧モータ1Aを自動的に大容量側とするができる。
そのため、破砕機が所定の回転速度に回復するまでの時間の短縮を自動的に確実に行うことができ、作業量増加の信頼性が向上する。
【0075】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。尚、以下の説明では、既に説明した部分と同一の部分については、その説明を省略又は簡略する。
前述の第1実施形態に係る破砕装置では、第1油圧モータ1Aは、自己圧によってのみ、容量を変化させることのできる可変容量モータであった。
これに対して、第2実施形態に係る破砕装置では、図13に示すように、第1油圧モータ201Aには、ソレノイド202が接続されており、このソレノイド202は、第1油圧モータ201Aの容量の変化を設定するために設けられている。
オペレータが操作パネルの第1油圧モータ201Aの容量設定スイッチをオンにすると、ソレノイド202によって第1油圧モータ201Aは小容量側に設定され、容量設定スイッチをオフにすると大容量側に設定されるようになっている。尚、このような第1油圧モータ201Aの負荷に応じた容量切換は第1実施形態の場合と同様である。
【0076】
また、前記第1実施形態では、第2油圧モータ1Bは、図示しない圧力検知手段の検知圧力に基づいて、コントローラ30から制御信号を出力して、所定容量及び大容量の切換が行われていた。
これに対して、第2実施形態に係る破砕装置では、第2油圧モータ201Bは、自己圧によって容量を切り換える形式のものである点が相違する。すなわち、第2油圧モータ201Bは、図14に示されるようなグラフに示されるように、ポンプライン161A内の圧力が一定以上になると、大容量VH側(図14中右側の高い部分)に切り換わり、一定以下になると、所定容量VL側(図14中左側の低い部分)に切り換わるようになっている。
さらに、第2実施形態に係る破砕装置では、タブモータ2Aの配管ライン167中に圧力スイッチ203が設けられており、この圧力スイッチ203は、図示を略したが、前記第1実施形態でも設けてあり、破砕機が過負荷状態であると判定された際、タブ2の停止及び逆転用のソレノイド167Dを励磁するためのトリガセンサとして機能する。
【0077】
第2実施形態に係る破砕装置では、第1実施形態に係る破砕装置と上記の点で相違するが、タブモータ2Aの制御構造やその際の制御フロー、第1油圧モータ201Aの制御構造及びその際の制御フローは第1実施形態と略同様なので、説明を省略する。
このような第2実施形態に係る破砕装置によっても、前記第1実施形態で述べた作用効果と同様の効果を享受することができる。
【0078】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
前述した第2実施形態に係る破砕装置では、第1油圧モータ201Aに設けられたソレノイド202は、オペレータが第1油圧モータ201Aの容量設定を行うために設けられていた。
これに対して、第3実施形態に係る破砕装置では、図15に示されるように、第1油圧モータ301Aには、自己圧によって容量が切り換わるタイプのものではなく、付設されたソレノイド302を励磁することにより、容量が切り換わるタイプのものを採用している点が相違する。
ソレノイド302による第1油圧モータ301Aの容量切換のトリガセンサとしては、本実施形態においては、ポンプライン161A中に圧力センサ303を採用し、この圧力センサ303の出力をコントローラ30で処理することにより、ソレノイド302を励磁するようにしている。
【0079】
コントローラ30内の制御構造は、図16に示される機能ブロック図のようになっていて、コントローラ30は、第1実施形態と同様の破砕機回転速度設定手段31、タブ回転速度設定手段32、負荷判定手段33、供給量制御手段34の他に、コントローラ30の演算処理装置上にソフトウエアとして展開されるモータ容量制御手段331を具備している。
負荷判定手段33は、第1実施形態の場合と同様に、回転検知センサ161Eからの信号のみならず、前記した圧力センサ303から出力される信号をも加味しながら、過負荷状態を判定する。この負荷判定手段33は、圧力センサからの電流信号に基づいて、検出された圧力が所定の閾値よりも大きい場合を過負荷状態、小さい状態を低負荷状態と判定する。
モータ容量制御手段331は、負荷判定手段33の判定結果に基づいて、ソレノイド302に制御信号を出力する部分であり、ソレノイド302を励磁すると、第1油圧モータ301Aの容量が大容量側に変化するようになっている。
【0080】
コントローラ30による第1油圧モータ301A及び第2油圧モータ201Bの切換制御は、図17に示されるフローチャートに基づいて行われる。
(1)破砕機の第1油圧モータ301A及び第2油圧モータ201Bが所定容量側で動作中(ステップS31)、コントローラ30の負荷判定手段33は、圧力センサ303からの電流信号に基づいて、ポンプライン161Aの圧力Pmを監視する。
(2)負荷判定手段33は、ポンプライン161Aの圧力Pmと予め設定された閾値Pmsoとを比較判定して(ステップS32)、検出圧力Pmが閾値Pmsoよりも小さいと判定された場合には、その状態を継続する。
【0081】
(3)検出圧力Pmが閾値Pmsoよりも大きいと判定された場合、負荷判定手段33は、その旨をモータ容量制御手段331に出力する。モータ容量制御手段331は、ソレノイド302を励磁する信号を生成して、ソレノイド302を励磁させ、第1油圧モータ301Aの切換スイッチをオンする(ステップS33)。
(4)ソレノイド302の励磁に伴い、第1油圧モータ301Aの容量が大容量側に変更される。一方、第2油圧モータ201Bは自己圧によって容量が変化する構成であるため、ポンプライン161A内の圧力が前記の閾値Pmsoに相当する圧力となったら、自動的に大容量側に切り換わる(ステップS35)。
【0082】
(5)負荷判定手段33は、さらに圧力センサ303からの検出圧力Pmを監視し、閾値Pmsoとの比較判定を行い(ステップS36)、検出圧力Pmが閾値Pmsoよりも大きいと判定されたら、この状態を維持する。
(6)一方、検出圧力Pmが閾値Pmso以下と判定されたら、ソレノイド302への励磁を止めると、バネ等の反力によってソレノイド302は、元の状態に戻り、これに伴い、第1油圧モータ301Aの切換スイッチが所定容量側に切り換わる(ステップS37)。
(7)ポンプライン161A内の圧力とともに、第2油圧モータ201Bの自己圧も低下し、これに伴い第2油圧モータ201Bの容量も自動的に所定容量側に切り換わる。
尚、タブ2の回転式破砕体1Cの回転速度による制御は、第1実施形態と同様なのでその説明を省略する。
【0083】
このような第3実施形態に係る破砕装置によれば、前記第1実施形態と同様の作用及び効果を享受できるうえ、次のような効果を享受することができる。
すなわち、第1実施形態とは異なり、タブ2による供給制御と、破砕機による破砕制御を全く異なるパラメータ(回転速度、ポンプライン圧力)に基づいて制御しているので、両者を独立して制御することが可能となり、制御の自由度が向上する。
また、このような圧力による制御は、搬送用コンベヤの容量切換制御にも応用できるものである。すなわち、搬送用コンベヤによる搬送量の増加により、コンベヤを駆動する駆動モータには大きな負荷が掛かり、コンベヤ駆動用モータへの配管ライン中の圧力が上昇する。従って、図16に示される機能ブロック図を搬送コンベヤの制御系にそのまま置き換えても、容量切換を実現でき、極めて汎用性が高い。
【0084】
〔実施形態の変形〕
上記第1実施形態においては、破砕機1が過負荷状態となったときにタブ2の回転を停止し、破砕機1が低負荷状態となったときにタブ2の回転を開始するように構成しているが、破砕機1が過負荷状態となったときにタブ2の回転を低下させ、破砕機1が低負荷状態となったときにタブ2の回転を増加させる制御構成を採用することもできる。
また、上記第1実施形態では、回転式破砕体1Cを有する破砕機1と、回転式タブ2とを備えた木材破砕装置を例示しているが、被破砕物としては木材に限らず、岩等であってもよく、また、被破砕物供給手段とは、上記回転式タブ2に限らず、ベルトコンベヤのようなものも含むものであり、さらに、破砕機1も回転式破砕体1Cを有するものに限らず、ジョークラッシャー等も含むものである。
産業上の利用分野
【0085】
本発明は、木材、岩等の被破砕物を破砕するための破砕装置、特に木材破砕装置に好適に用いることができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式破砕機と、この回転式破砕機を回転駆動させる油圧モータと、前記回転式破砕機に被破砕物を供給する供給装置と、この供給装置及び前記油圧モータを制御するコントローラとを備えた破砕装置であって、
前記油圧モータは、所定容量及び大容量の切換可能な可変容量モータであり、
前記油圧モータの負荷状態を検出する負荷検出手段と、
この負荷検出手段で検出された前記油圧モータの負荷状態が、過負荷状態であるか、低負荷状態であるかを判定する負荷判定手段と、
この負荷判定手段により、過負荷であると判定されたら、前記供給装置による被破砕物の供給を増加又は開始する供給量制御手段と、
前記負荷判定手段により、過負荷であると判定されたら、前記可変容量モータの容量を大容量側に変更するモータ容量制御手段とを備えていることを特徴とする破砕装置。
【請求項2】
請求項1に記載の破砕装置において、
前記モータ容量制御手段は、前記負荷判定手段により、前記油圧モータが過負荷状態を脱したと判定されると、前記油圧モータの容量を所定容量側に復帰させることを特徴とする破砕装置。
【請求項3】
請求項1及び請求項2に記載の破砕装置において、
前記回転式破砕機は、2機の油圧モータによって駆動され、
いずれか一方の油圧モータが前記可変容量モータであることを特徴とする破砕装置。
【請求項4】
請求項3に記載の破砕装置において、
前記他方の油圧モータが、大容量及び所定容量側の2段階に切換可能な容量切換可能モータであることを特徴とする破砕装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の破砕装置において、
前記可変容量モータは、自己圧で容量を変化させる制御モータであることを特徴とする破砕装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の破砕装置において、
前記供給量制御手段は、
前記被破砕物の供給増加又は開始時から前記被破砕物の供給減少又は停止時に至るまでの破砕継続時間を計測する破砕継続時間計測部と、
計測された破砕継続時間が予め設定された設定時間よりも長いか否かを判定する時間判定部と、
計測された破砕継続時間が、
予め設定された設定時間以下のときには、次回の前記供給装置の供給能力を低下させ、
前記設定時間よりも長いときには、次回の前記供給装置の供給能力を増加させる供給量調整部とを備えていることを特徴とする破砕装置。
【請求項7】
請求項6に記載の破砕装置において、
前記供給装置は、前記破砕機の上部に回転自在に設けられ、回転することで前記破砕機に被破砕物を供給するタブであり、
前記破砕継続時間計測部は、被破砕物を前記破砕機に供給する方向に回転させる前記タブの正転時間を計測して破砕継続時間とすることを特徴とする破砕装置。
【請求項8】
請求項7に記載の破砕装置において、
前記タブには、その正転速度の上限値及び下限値が設定され、
前記供給量制御手段は、前記下限値を前記タブが回転を停止しない回転可能値と設定する下限値設定部を備えていることを特徴とする破砕装置。
【請求項9】
請求項8に記載の破砕装置において、
前記供給量制御手段は、
計測された破砕継続時間が前記設定時間よりも長いと判定されたら、前記タブに設定された回転速度を、回転速度の上限値として設定する上限値設定部を備えていることを特徴とする破砕装置。

【国際公開番号】WO2005/039777
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【発行日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515049(P2005−515049)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016102
【国際出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】