説明

硝酸の濃度の測定方法

本発明は、シリコン基板の湿式化学的処理の分野に関する。本発明は、特に、基板、例えばシリコン製基板の処理のために使用される水性プロセス溶液中の硝酸の濃度の測定方法に関する。本方法は、別の物質によって引き起こされる妨害的吸収を効果的に取り除く排除剤を用いたUV分光分析法/測光法による硝酸イオンの測定を基礎とするものである。その際、硝酸イオンの濃度は、ほかならぬ硝酸の濃度に相当する。本発明によれば、酸混合物中の硝酸の含量が非常に正確に、特に未使用の酸混合物中でも、その使用目的に相応して使用された酸混合物中でも同様に測定できる丈夫な方法が提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン基板の湿式化学的処理の分野に関する。本発明は、特に、基板、例えばシリコン製基板の処理のために使用される水性プロセス溶液中の硝酸の濃度の測定方法に関する。
【0002】
硝酸(HNO3)を含有する酸混合物は、種々の基板、例えば特にシリコン製の基板の清浄化、粗面化、しかしまた平滑化のために多量に使用される。上述の酸混合物において、硝酸は、基板の酸化のために使用される。酸化性成分を補うにあたり、これらの酸混合物は、フッ化物含有化合物、例えばフッ酸、フッ化アンモニウム、フッ化ナトリウムなどの化合物又は酸化された基板と反応しうる化合物、例えば該基板を溶かしうる化合物を含有する。
【0003】
更に、これらの酸混合物には、必要に応じて、更なる内容物、例えば硫酸、リン酸又は界面活性剤などの物質が加えられる。
【0004】
上述の酸混合物の最も重要な用途には、光起電装置及び半導体産業における基板、例えば特にシリコン製ウェハのテクスチャー化(粗面化)及びポリシング(平滑化)が該当する。また、光起電装置のための素子の製造の範囲におけるウェハのいわゆるエッジアイソレーションも、かかる酸混合物を用いて効果的に実施することができる。前記の酸混合物の更なる用途には、例えば金属の堆積のためのシリコン基板の前処理と、シリコンもしくはケイ素化合物の狙い通りの溶解とが該当する。
【0005】
当業者に公知のように、上述のプロセスは、高い経済的な重要性を有する。
【0006】
酸混合物の組成、例えばまた硝酸の含量は、挙げられた用途の全てにおいて、処理成果に高い関連性を有する。
【0007】
基板の改変は、酸と基板表面との複雑な化学反応を基礎とする。この反応の過程で、従って酸は消費され、そして新たな反応生成物が形成され、該生成物は、簡単で確実なかつ良好に自動化が可能な硝酸含量の測定を今まで妨げていた。従って、本発明により関連するシリコン基板の湿式化学的な酸処理のための方法の範囲において、一方で、液状の反応生成物、例えばヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)及び水などの生成物が生成するが、他方で、気体状の反応生成物、例えばNOx及び揮発性のフッ素/ケイ素化合物であって部分的にプロセス溶液から出るものも、部分的であるがまた、処理媒体中に溶解される。
【0008】
その際、反応のメカニズム、反応速度、そして化学的/物理的な平衡の種類及び位置は、パラメータ、例えば種々の内容物の相対濃度、温度、プロセス溶液中の乱流、そして基板表面の状態などに依存して変動しうる。
【0009】
様々な広範囲にわたる科学論文がより以前の日付でも最新の日付でも存在し、これらの論文は、この文脈の説明に取り組んでいる(例えばM.Steinert et al.,Study on the mechanism of silicon etching in HNO3−rich HF/HNO3 mixtures,J.Phys.Chem.,111,2133−2140,2007を参照のこと)。基礎研究からのこれらの論文は、その経過の理解のために多大な規模において貢献しているが、数多くの疑問はまだ未解決である。
【0010】
更に、長年にわたり、この理論的知識の実践的使用を、前記プロセスのプロセスに付随する物理的及び化学的な分析の範囲で推し進める研究が非常に集中的になされている(例えば、A.Henssge,J.Acker,Chemical analysis of acidic silicon etch solution,I.Titrimetric determination of HNO3,HF,and H2SiF6,Talanta 73,220−226,2007;J.Acker,A.Henssge,Chemical analysis of acidic silicon etch solution,II.Determination of HNO3,HF,and H2SiF6 by ion chromatography,Talanta 72,1540−1545,2007;M.Zimmer et al.,In−line analysis and process control in wet chemical texturing process,22nd European Photovoltalc Solar Energy Conference and Exhibition,Milano,Italy,2007;W.Weinreich et al.,Determination of total fluoride in HF/HNO3/H2SiF6 etch solution by new potentiometric titration methods,Talanta 71,1901−1905,2007;US7,351,349 B2;M.Zimmer et al.,Spectroscopical inline analysis of wet chemical process,23rd European Photovoltaic Solar Energy Conference,Valencia,Spain,2008;M.Zimmer et al.,NIR−spectroscopical process control for wet chemical processes,24th European Solar Energy Conference,Hamburg,Germany,2009を参照のこと)。
【0011】
上述の酸混合物中のプロセスに関連した内容物の測定に際して、硝酸の測定は重要な役割を果たす。ここで、硝酸の濃度が既知の場合に、水性媒体中のアルカリ液での簡単な更なる滴定によって、フッ酸の含量も計算することができる。
【0012】
技術水準においては、硝酸の測定のために、滴定、NIR分光分析法、UV分光分析法/測光法及びクロマトグラフィーの範囲からの様々な分析法がある。しかしながら、これらの公知の方法は、本発明に課される信頼できる正確なデータの提供に関する要求を満たすことができない。
【0013】
確かに、滴定によって、酸の総量を良好に測定することができる。しかし、滴定による硝酸の個別の検出は、主としては、かなりの欠点を伴ってのみ可能であるにすぎない。ここで、滴定媒体として水の代わりに有機溶剤、例えばアセトンなどの溶剤を使用することによって、上述の酸混合物中の硝酸を個別に滴定できることは、たびたび述べられている。プロセス条件下で使用するためには、しかしながら、かかる滴定は、溶剤中ではあまり適していない。更に、シリコンの存在下では、かなりの問題が生ずる(例えば、A.Henssge及びJ.Ackerの上述の箇所を参照のこと)。
【0014】
滴定による硝酸の測定の更なる一つの可能性は、酸のアルカリ液による滴定に加えて、フッ化物含有化合物の総量の検出のために、滴定剤としてランタン塩溶液を用いた第二の滴定を使用することにある(W.Weinreich et al.の上述の箇所を参照のこと)。両方の滴定の結果を差し引くことによって、硝酸の含量を測定できる。
【0015】
しかしながら、ランタン塩溶液での滴定は、工業的な使用の範囲では決定的な経済的な欠点を有する。元素のランタンは、希土類に属する。フッ化物含有化合物の持続的な検出のために必要な量のランタンは、1時間あたり6回の想定される分析の実施で、年間50000ユーロのオーダーである。
【0016】
その滴定の代わりとして、最近では、上述の酸混合物中の硝酸の分析のために、特にNIR分光分析法が普及している。
【0017】
酸であるHF、HNO3及びH2SiF6は、NIR分光分析法によって、試料を量り取ることなく、かつ試料を処理することなく、貫流セル中で良好な精度で個別に検出することができる。その上、装置的構成は単純であり、分析時間は極めて短く、調達費用は手が届く程度であり、経常的な作動コストは安い。
【0018】
酸混合物の分析のためのNIR分光分析法の特別な使用は、様々な刊行物に記載されている(例えばUS7,351,349 B2;M.Zimmer et al.の上述の箇所(2008);M.Zimmer et al.の上述の箇所(2009)を参照のこと)。
【0019】
NIR分光分析法の使用での欠点は、評価モデルの作製に必要な高いキャリブレーション費用である。しかしながら、NIR分光分析法は、本発明による特定の用途においては、すなわち上述の酸混合物のプロセス分析においては、また、特に重大な欠点を有する。
【0020】
本発明による用途で存在する酸であるHNO3、H2SiF6及びHFは、NIR領域ではいかなる固有の吸収を示さない。それらの挙げられた酸は、水の吸収バンドを特異的な様式でのみ変形するにすぎないため、間接的にしか測定できない。種々の酸による水のバンドの特異的な変形における差異は、非常にわずかである。
【0021】
現実の工業的な使用で存在する過酷な周囲条件下で上述の酸混合物の測定のためにNIR分光分析法を使用することは、そこから極めて批判的に評価されねばならない。
【0022】
基本的に、硝酸の測定のためには、UV分光分析法/測光法も考慮される。
【0023】
硝酸イオン(NO3-)、つまり硝酸のアニオンは、約330nm未満のUV領域において非常に強力に放射を吸収し、そしてそこで相応して高い感度で測定できることが知られている。水及び廃水中での、1〜20mg/lのオーダーの低い硝酸イオン含量でさえも、約220nmの波長のUV領域において直接的に測定することができる。
【0024】
UV分光分析法/測光法は、非常に正確であり、高感度であり、廉価であり、かつ丈夫であり、そのため原則的にプロセス分析のためにも優れた適性を示す。刊行物においては、上述の酸混合物中での硝酸の測定のための前記方法の使用もたびたび記載されている。
【0025】
しかしながら、これらの方法は、現実的な実施においては制限されてのみ、つまり本発明に関連する酸混合物がまだ用いられなかった間でのみ使用できることが判明した。少ない測定的使用によるだけでも、すなわち既に少量の基板しか該酸混合物で処理されなかったので、硝酸イオンの測定のために関連する約330nm未満のUVスペクトルの領域は、他の吸収によって見込みなく重ね合わされる。
【0026】
このジレンマからの打開策は、イオンクロマトグラフィーである。上述の酸混合物の分析のためのその使用は、刊行物に多数記載されている。しかしながら、必要とされる高感度の分離カラムと、高い装置費用と、高い維持費を考慮に入れて、イオンクロマトグラフィーは、何よりも、研究室での使用に適した分析法であるにとどまる。
【0027】
丈夫な、すなわち上述のどの様式の湿式化学的用途のためにも使用できるモニタリング法及び場合により制御法であって、硝酸について信頼もでき正確でもあるデータを提供する方法は、あらゆる努力にもかかわらず今まで見出すことができなかった。しかしながら、かかる方法は、場合により、消費された化学物質の制御された添加と組み合わされて、一定の処理成果のための必要条件である。
【0028】
従って、本発明の課題は、技術水準の欠点を克服することができる方法を提供することにある。特に、本発明による方法は、硝酸とフッ化物含有化合物とを含有し、シリコン基板の湿式化学的処理のために使用される水性媒体中の硝酸の濃度の信頼できる測定を可能にするべきである。その際、本方法は、使用済み媒体についても未使用の媒体についても同様に適しているべきである。
【0029】
前記課題は、独立形式請求項による方法を提供することによって解決される。好ましい実施形態は、従属形式請求項の対象である。
【0030】
本発明による方法は、NOx化合物が形成されるシリコン基板の湿式化学的処理の間に、硝酸とフッ化物含有化合物とを含有する水性媒体中の硝酸の濃度を測定するにあたり、UV分光分析法/測光法によって、硝酸イオンのUV吸収スペクトルにおけるNOxを原因とする妨害を排除する少なくとも1種の剤の存在下で又は前記剤の使用下で、硝酸イオンの濃度を測定することによって行うことを用いる。
【0031】
その際、硝酸イオンの濃度は、ほかならぬ硝酸の濃度に相当する。
【0032】
本発明によれば、酸混合物中の硝酸の含量が非常に正確に、特に未使用の酸混合物中でも使用済みの酸混合物中でも同様に測定できる丈夫な方法が提案される。
【0033】
本発明のために実施される作業の範囲において、驚くべきことに、硝酸イオン測定のために重要な約330nm未満のUV領域の妨害は、例えば尿素の添加によってほぼ完全に取り除けることが確認された。従って、該酸混合物は、尿素の添加の後に、更なる希釈をせずにも測定することができる。測定セルの層厚を、相応して薄く選択せねばならないだけである。それとともに、予想に反して、酸混合物と基板との反応から生ずる別の反応生成物も、約330nm未満のUV領域での妨害吸収の原因となるのではなく、何よりもNOx化合物が原因となることが裏付けられる。
【0034】
本願で用いられる表現"NOx化合物"は、酸化窒素(Stickoxide)、硝気又は窒素酸化物(Stickstoffoxide)に関し、従って窒素の気体状の酸化物を指す。これらは、本願ではNOxと略す。それというのも、窒素の多数の酸化数に基づき、複数の窒素−酸素化合物が存在するからである(N2O、NO、N23、NO2、N24、N25)。
【0035】
更なる実験により、尿素の他に、アミドスルホン酸も、以下に挙げられる別の剤も、存在するNOx化合物によって引き起こされる関連のUV領域における妨害の排除のために、単独でも組み合わせても使用できることが示された。
【0036】
UV分光分析法/測光法による硝酸の測定のために重要な約330nm未満の波長領域の妨害の排除のための本発明により用いられるメカニズムは、好適な排除剤のグループの1又は複数の代表物の実際の選択によって多種多様である。
【0037】
以下の基準は、好適な排除剤の選択及び添加又は使用に際して満たさねばならず、それによって本発明による方法は効果的に使用できる。
【0038】
存在する硝酸の量に相当する測定されるべき硝酸イオンの含量は、1もしくは複数の排除剤によって変化してはならない。従って、NOx妨害の排除に際して、測定を妨害する量の硝酸イオンが生成してはならない。更に、その使用によって、硝酸イオンの関連する量が消費されてはならない。
【0039】
排除剤は、硝酸イオン測定に関連する約330nm未満のUVスペクトルの波長領域のNOx化合物を原因とする妨害を取り除くか、又は少なくとも多変量データ解析の使用によって硝酸イオンピークの評価が少なくとも可能である程度で抑制せねばならない。
【0040】
排除剤及びその反応生成物は、それ自体、硝酸イオン測定に関連する約330nm未満のUVスペクトルの波長領域において吸収を示さないべきである。少なくとも、排除剤及びその反応生成物によって引き起こされる上述の波長領域での吸収は、多変量データ解析の使用によって硝酸イオンピークの評価が可能であるほど低くなければならない。
【0041】
前記排除剤は、妨害するNOx化合物を、該NOx化合物の反応生成物が関連のUV領域で新たな妨害を生じないように取り除くべきである。少なくとも、NOx化合物の反応生成物によって引き起こされる上述の波長領域での硝酸イオンピークの妨害は、多変量データ解析の使用によって硝酸イオンピークの評価が可能であるほど低くなければならない。
【0042】
前記の基準を考慮に入れて、以下の(1)〜(5)からなるグループから、NOxによって引き起こされる妨害の排除のために好適な1もしくは複数の剤の選択が行われる:
(1)アンモニア及びアンモニアの誘導体、例えばアミド、例えば尿素、アミドスルホン酸、ホルムアミド、アセトアミド並びにそれらの混合物。そのメカニズムは、相応の反応条件下でのNOxの気体状窒素への還元に基づくものである。
(2)アミノ酸、例えば特にグリシン及び第一級アミン。そのメカニズムは、相応の反応条件下でのNOxの不安定なジアゾニウム塩を介した気体状窒素への還元に基づくものである。
(3)他のアミン、例えばスルファニル酸。その作用は、例えばジアゾニウム塩などの種々の化合物を形成しながらのNOxとの反応に基づくものである。
(4)還元剤、例えば亜硫酸塩もしくは亜硫酸及びシュウ酸及びそれらの塩。その作用は、相応の反応条件下でのNOxの気体状窒素への又は硝酸イオンピークを妨害しない別の化合物への還元に基づくものである;及び
(5)それらの混合物。
【0043】
本発明による方法の範囲における選択のために上記提案の物質及び化合物は、単独でも組み合わせても、固体物質として又は溶液で添加することができる。その際、その都度の添加は、NOxに対して、モル過剰で行われるべきである。必要であれば、生ずるバッチを、反応の促進のために必要に応じて加熱してよい。
【0044】
本発明によれば、前記の提案された物質及び化合物は、試験溶液が貫流するカートリッジのようなものにおいても導入することができる。
【0045】
本発明によれば、排除剤は、代替的に又は追加的に、(6)ダイヤモンド又は電子メディエーター(例えばチオニン又は金属ポルフィリン)で特別な処理がなされた通電する(固体)電極(例えばBドープダイヤモンド電極;ガラス状炭素電極)によって提供することができる。この排除のための使用の作用様式は、上述の様式の特殊な電極上でのNOxの電気化学的還元に基づくものである。この代替的な実施形態は、電極のために必要な電源供給の他に、(1)〜(5)に挙げられる更なる物質又は化合物を必要としない。
【0046】
最後に、本発明による排除のための剤としては、代替的に又は(1)〜(5)に挙げられる物質又は化合物と組み合わせて、(7)水素及び/又はギ酸を使用することができる。この場合には、NOxの電気化学的な還元は、触媒的に、例えばパラジウム上で又はパラジウムドープされた触媒上で、水素の供給によって、又は触媒上での水素の直接的な生成によって、又は還元剤、例えばギ酸もしくはギ酸塩の添加によって行われる。
【0047】
従って、本発明によれば、上述の酸混合物中の硝酸イオンの濃度は、排除剤の相応の使用により、UV分光分析法/測光法を使用して直接的に測定することができる。
【0048】
本発明による方法で測定される硝酸イオン含量は、硝酸の含量と同等に扱うことができる。それというのも、硝酸からの硝酸イオン以外には、他には実際的には硝酸イオンは存在しないからである。
【0049】
本発明により非常に適性の良い排除剤は、尿素であり、それは、NOx化合物に対してモル過剰で使用される。その際、酸混合物1リットルに対して0.2モルの尿素の量で十分と見なされている。
【0050】
その排除は、自己最適化するプロセスとしても、装置工学的に設計することができる。その際、自動的に排除剤は何度も配量され、そして最良の好適なピークが評価される。
【0051】
場合によって残る硝酸イオンスペクトルの重なりは、必要であれば、多変量データ解析によって数学的に補償することができる。
【0052】
原則的に、試験のための1もしくは複数の排除剤の添加又は使用は、バッチ式にも、貫流において連続式にも行うことができる。
【0053】
好ましい一実施形態によれば、UV分光分析法/測光法のためには、サファイア製の測定セルが使用される。その代わりに、その高い固有吸収に基づいて、よりかなり高い光量が必要となるけれども、フッ素化炭化水素製の測定セルの使用が提案される。
【0054】
分光分析法のための光源としては、種々の照明具、例えば連続放射する重水素ランプ、パルスドキセノンフラッシュランプ又はレーザ光源が適している。例えばレーザダイオードなどのレーザ光源は、それらが狭い波長領域でのみ光を発する点と、この頃は紫外線(UV)にまで下がった波長についても許容できる価格で入手可能である点とで優れている。
【0055】
レーザダイオードの発光が分析物の吸収波長に合わされていれば、吸収される光量の検出のために、回折格子及びダイオードアレイを有するスペクトロメーターの代わりに、広帯域のホトダイオードで十分である。
【0056】
本発明による方法は、オンラインの及びアットラインのプロセス分析のためにも、研究室での分析の実施のためにも適している。そのことは、単独の装置の形の装置工学的な形態についても、他の装置及び方法、例えば滴定及び/又はNIR分光分析法との組み合わせについても言える。
【0057】
本発明を、以下の実施例をもとに、図1に関連して詳細に説明するが、本発明は、その実施例に制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、実施例の結果を示すグラフである。
【0059】
実施例
上記説明の方法を、シリコン基板の湿式化学的処理の範囲で使用した。基板を、好適な輸送手段上に載せて水平に、水に加えてフッ酸(15質量%)及び硝酸(35質量%)を含むエッチング液を含有する容器を通じて輸送した。シリコン基板のエッチングに際して、UV分光分析法/測光法による直接的な経路での硝酸の実時間測定を妨げるか又はそれどころか不可能にする反応生成物が形成するので、エッチング液の試料2.5mlに0.2モラーの尿素溶液2.5mlを添加した。この混合物で、硝酸イオン量の分光分析的測定を、層厚5mmを有するサファイア製のキュベットを使用して、200〜330nmの波長領域内で行った。
【0060】
結果を、図1に示す。実線は、排除剤を添加していないエッチング液の測定されたUVスペクトルを表す。破線は、尿素を添加した場合の結果を示す。その図が示しているように、対照試験において生成したNOx化合物によって隠された予想される硝酸イオンピークを明らかに表すことができたので、硝酸イオンもしくは硝酸の濃度の信頼できる定量化が可能であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NOx化合物が形成されるシリコン基板の湿式化学的処理の間に、硝酸とフッ化物含有化合物とを含有する水性媒体中の硝酸の濃度を測定する方法であって、硝酸イオンの濃度を、硝酸イオンのUV吸収スペクトルにおけるNOxを原因とする妨害を排除する少なくとも1種の剤の存在下で又は前記剤の使用下で、UV分光分析法/測光法によって測定することによって行う、前記測定方法。
【請求項2】
少なくとも1種の排除剤が、
(1)アンモニア及びアミド;
(2)アミノ酸及び第一級アミン;
(3)還元剤;
(4)水素;
(5)ギ酸及びギ酸塩;
(6)通電する電極;及び
(7)それらの混合物
からなるグループから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
排除剤として尿素を使用することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
UV分光分析法/測光法を、330nm以下の波長領域で行うことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
UV分光分析法/測光法のために、サファイア製の測定セル又は紫外光を透過するプラスチック製の測定セルを使用することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−519098(P2013−519098A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552308(P2012−552308)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000619
【国際公開番号】WO2011/098271
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(504382349)レナ ゲーエムベーハー (10)
【Fターム(参考)】