説明

硝酸ガリウム製剤

本発明は、送達剤および/または薬学的に許容されるその塩を含む安定な医薬製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年6月28日に出願された米国特許仮出願第60/817561号、および2007年1月17日に出願された米国特許仮出願第60/881044号の特典を主張し、これらのいずれも参照を通じて本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、薬学的に許容されるガリウム塩(例えば、硝酸ガリウム)、および送達剤を含む安定な医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
薬剤を送達する従来の手段は、しばしば、生物学的、化学的、および物理的障害によって厳しく制限される。通常、これらの障害は、送達が行なわれる環境、送達ターゲットの環境、および/またはターゲットそれ自体によって課される。物理的障害の例には、皮膚、脂質2重層、および、特定の薬剤に対して比較的不透過性であるが、ターゲット(例えば、循環系)に到達する前に横切らなければならない様々な器官の膜が含まれる。化学的障害には、これらに限らないが、消化(GI)管のpH変化、および分解酵素が含まれる。
【0004】
これらの障害は、経口送達システムの設計において特に重要である。多くの薬剤の経口送達は、薬剤の通過を妨げる、制限する、または減らす生物学的、化学的、および物理的障害がなければ、投与のために一般に好まれる経路であろう。この部類の多数の薬剤の中にガリウム塩がある。
【0005】
米国特許第4529593号は、個体に薬学的に許容されるガリウム化合物(例えば、硝酸ガリウム)を投与することによって、ヒト個体の骨からカルシウムが加速度的に失われることに伴う疾患を防止または治療する方法を開示する。
【0006】
米国特許第4704277号は、薬学的に許容されるガリウム化合物(例えば、硝酸ガリウム)を個体に投与することによって、骨の成長を増し、ヒドロキシアパタイトの溶解性を低下させ、骨におけるヒドロキシアパタイト結晶の大きさおよび/または完全さを増大させ、また/あるいは、骨の引張り強さを増大させる方法を開示する。
【0007】
硝酸ガリウムは、十分な水分補給に反応しなかった、明瞭に症状を示す、癌に関連する高カルシウム血症の治療のためのGanite(商標)(静脈内注射液)として現在市販されている。硝酸ガリウムは、その劣った経口でのバイオアベイラビリティーのせいで、経口製剤として現在入手不可能である。FDAに承認されたGanite(商標)のラベル表示によれば、硝酸ガリウムは、可能性として、増大した骨の代謝回転を低減することによって、骨からのカルシウム再吸収を抑制することにより、カルシウム低下作用を及ぼす。
【0008】
さらに、FDAに承認されたGanite(商標)ラベル表示によれば、高カルシウム血症は、悪性腫瘍を有する入院患者によく起こる問題である。それは癌患者の10〜20%に影響を及ぼし得る。異なるタイプの悪性腫瘍は、高カルシウム血症を引き起こすそれらの傾向が違うように思われる。高カルシウム血症の高い発生率は、非小細胞肺癌、乳癌、多発性骨髄腫、腎臓癌、および頭頸部癌の患者において認められる。悪性腫瘍の高カルシウム血症は骨の正味の再吸収と尿へのカルシウム排泄との間の不均衡により生じると思われる。広範な溶解型骨転移を有する患者は頻繁に高カルシウム血症にかかる。このタイプの高カルシウム血症は原発乳癌でよく起こる。これらの患者のいくらかで、腎尿細管のカルシウム再吸収の増加が報告された。乳癌細胞は、局所的破骨細胞活動を刺激するいくつかの潜在的骨再吸収因子を産出することが報告されている。体液性高カルシウム血症は、肺、頭頸部、腎臓、および卵巣の固形腫瘍でよく起こる。腫瘍または宿主細胞のいずれかによって産出される全身性因子(例えば、PTH-rP)は、細胞外液、腎臓、および骨格の間のカルシウムの流れの変化に関与していることが示された。約30%の骨髄腫患者は、広範な溶解型病変および糸球体濾過損傷に伴う高カルシウム血症にかかる。骨髄腫細胞は、隣接する破骨細胞を刺激する局所因子を産出することが報告されている。高カルシウム血症は以下が含まれる多様な徴候および症状を生じ得る:無食欲、無気力(lethargy)、疲労、吐き気、嘔吐、便秘、多尿症、脱水、腎不全、精神状態の損傷、昏睡、EKG異常および心拍停止。
【0009】
高カルシウム血症の一タイプである「非-PTH-介在高カルシウム血症」は、破骨細胞活動の増加により生じると理論上想定される。悪性疾患は、このタイプの高カルシウム血症のよくある原因であるが、それはまた他の原因にも起因し得る。カルシトリオールが高レベルの肉芽腫疾患は、サルコイドーシス、ベリリウム症、結核、ハンセン病、コクシジオイデス症、およびヒストプラスマ症の患者に見出され得る。カルシウムレベルの医原性疾患は、多くの薬物の摂取に対する2次的症状を増大し得る(例えば、サイアザイド系利尿薬、炭酸カルシウム、ビタミンD過剰症、ビタミンA過剰症、リチウム、ミルク-アルカリ症候群およびテオフィリン毒性)。慢性腎不全、移植後状態および血液透析もまた高カルシウム血症を引き起こし得る。
【0010】
高カルシウム血症はまた、原発性副甲状腺機能亢進症の結果でもあり得る。血漿カルシウムは、3つの主なホルモン、副甲状腺ホルモン(PTH)、1,25-ジヒドロキシビタミンD(すなわち、カルシトリオール)、およびカルシトニンの複雑な相互作用によって基準範囲内に保たれる。これらの3つのホルモンは、適切なカルシウムレベルを保つために、主として、骨、腎臓、および小腸部位で作用する。多くの原発性副甲状腺機能亢進症の場合において、カルシウムの上昇は、小腸でのカルシウム吸収の増加によって引き起こされる。これは、カルシウムの吸収を高める、PTH-誘発カルシトリオール合成によって媒介される。血清カルシウムの増加の結果として、腎臓でのカルシウムの濾過は増加する。遠位尿細管でのPTH-介在カルシウム吸収のために、期待されるより少量のカルシウムが排泄される。通常、PTH-介在高カルシウム血症において、骨を分解するPTH-介在破骨細胞活動のほとんどは高カルシウム血症-誘発骨集積によって相殺されているので、骨は積極的な役割を果たしていない。
【0011】
国際公開WO 2006/072070は、薬学的に許容されるガリウム塩(例えば、硝酸ガリウム)、送達剤、ならびに任意選択で、1種または複数の化学療法剤および/または補助化学療法剤を含む医薬製剤を記載する。
【0012】
治療の目標は、カルシウムレベルを安定化し、低下させ、尿中へのカルシウムの排泄を増大させ、骨の破骨細胞の活動を抑制し、可能であれば根本的な原因を治療することである。
【0013】
高カルシウム血症を治療するために、十分なバイオアベイラビリティーが得られる、ガリウム塩のための改良された経口送達システムが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/817561号
【特許文献2】米国特許仮出願第60/881044号
【特許文献3】米国特許第4529593号
【特許文献4】米国特許第4704277号
【特許文献5】WO 2006/072070
【特許文献6】米国特許仮出願第60/619418号
【特許文献7】米国特許仮出願第60/569476号
【特許文献8】米国特許第5650386号
【特許文献9】WO 00/46182
【特許文献10】WO 00/59863
【特許文献11】WO 03/057650
【特許文献12】米国特許第6699467号
【特許文献13】米国特許第6663898号
【特許文献14】米国特許第6693208号
【特許文献15】米国特許第6693073号
【特許文献16】米国特許第6693898号
【特許文献17】米国特許第6663887号
【特許文献18】米国特許第6646162号
【特許文献19】米国特許第6642411号
【特許文献20】米国特許第6627228号
【特許文献21】米国特許第6623731号
【特許文献22】米国特許第6610329号
【特許文献23】米国特許第6558706号
【特許文献24】米国特許第6525020号
【特許文献25】米国特許第6461643号
【特許文献26】米国特許第6461545号
【特許文献27】米国特許第6440929号
【特許文献28】米国特許第6428780号
【特許文献29】米国特許第6413550号
【特許文献30】米国特許第6399798号
【特許文献31】米国特許第6395774号
【特許文献32】米国特許第6391303号
【特許文献33】米国特許第6384278号
【特許文献34】米国特許第6375983号
【特許文献35】米国特許第6358504号
【特許文献36】米国特許第6346242号
【特許文献37】米国特許第6344213号
【特許文献38】米国特許第6331318号
【特許文献39】米国特許第6313088号
【特許文献40】米国特許第6245359号
【特許文献41】米国特許第6242495号
【特許文献42】米国特許第6221367号
【特許文献43】米国特許第6180140号
【特許文献44】米国特許第6100298号
【特許文献45】米国特許第6100285号
【特許文献46】米国特許第6099856号
【特許文献47】米国特許第6090958号
【特許文献48】米国特許第6084112号
【特許文献49】米国特許第6071510号
【特許文献50】米国特許第6060513号
【特許文献51】米国特許第6051561号
【特許文献52】米国特許第6051258号
【特許文献53】米国特許第6001347号
【特許文献54】米国特許第5990166号
【特許文献55】米国特許第5989539号
【特許文献56】米国特許第5976569号
【特許文献57】米国特許第5972387号
【特許文献58】米国特許第5965121号
【特許文献59】米国特許第5962710号
【特許文献60】米国特許第5958451号
【特許文献61】米国特許第5955503号
【特許文献62】米国特許第5939381号
【特許文献63】米国特許第5935601号
【特許文献64】米国特許第5879681号
【特許文献65】米国特許第5876710号
【特許文献66】米国特許第5866536号
【特許文献67】米国特許第5863944号
【特許文献68】米国特許第5840340号
【特許文献69】米国特許第5824345号
【特許文献70】米国特許第5820881号
【特許文献71】米国特許第5811127号
【特許文献72】米国特許第5804688号
【特許文献73】米国特許第5792451号
【特許文献74】米国特許第5776888号
【特許文献75】米国特許第5773647号
【特許文献76】米国特許第5766633号
【特許文献77】米国特許第5750147号
【特許文献78】米国特許第5714167号
【特許文献79】米国特許第5709861号
【特許文献80】米国特許第5693338号
【特許文献81】米国特許第5667806号
【特許文献82】米国特許第5643957号
【特許文献83】米国特許第5629020号
【特許文献84】米国特許第5601846号
【特許文献85】米国特許第5578323号
【特許文献86】米国特許第5541155号
【特許文献87】米国特許第5540939号
【特許文献88】米国特許第5451410号
【特許文献89】米国特許第5447728号
【特許文献90】米国特許第5443841号
【特許文献91】米国特許第5401516号
【特許文献92】米国特許出願公開第20040110839号
【特許文献93】米国特許出願公開第20040106825号
【特許文献94】米国特許出願公開第20040068013号
【特許文献95】米国特許出願公開第20040062773号
【特許文献96】米国特許出願公開第20040022856号
【特許文献97】米国特許出願公開第20030235612号
【特許文献98】米国特許出願公開第20030232085号
【特許文献99】米国特許出願公開第20030225300号
【特許文献100】米国特許出願公開第20030198658号
【特許文献101】米国特許出願公開第20030133953号
【特許文献102】米国特許出願公開第20030078302号
【特許文献103】米国特許出願公開第20030072740号
【特許文献104】米国特許出願公開第20030045579号
【特許文献105】米国特許出願公開第20030012817号
【特許文献106】米国特許出願公開第20030008900号
【特許文献107】米国特許出願公開第20020155993号
【特許文献108】米国特許出願公開第20020127202号
【特許文献109】米国特許出願公開第20020120009号
【特許文献110】米国特許出願公開第20020119910号
【特許文献111】米国特許出願公開第20020102286号
【特許文献112】米国特許出願公開第20020065255号
【特許文献113】米国特許出願公開第20020052422号
【特許文献114】米国特許出願公開第20020040061号
【特許文献115】米国特許出願公開第20020028250号
【特許文献116】米国特許出願公開第20020013497号
【特許文献117】米国特許出願公開第20020001591号
【特許文献118】米国特許出願公開第20010039258号
【特許文献119】米国特許出願公開第20010003001号
【特許文献120】WO 2004/104018
【特許文献121】WO 2004/080401
【特許文献122】WO 2004/062587
【特許文献123】WO 2003/057170
【特許文献124】WO 2003/045331
【特許文献125】WO 2003/045306
【特許文献126】WO 2003/026582
【特許文献127】WO 2002/100338
【特許文献128】WO 2002/070438
【特許文献129】WO 2002/069937
【特許文献130】WO 02/20466
【特許文献131】WO 02/19969
【特許文献132】WO 02/16309
【特許文献133】WO 02/15959
【特許文献134】WO 02/02509
【特許文献135】WO 01/92206
【特許文献136】WO 01/70219
【特許文献137】WO 01/51454
【特許文献138】WO 01/44199
【特許文献139】WO 01/34114
【特許文献140】WO 01/32596
【特許文献141】WO 01/32130
【特許文献142】WO 00/07979
【特許文献143】WO 00/06534
【特許文献144】WO 00/06184
【特許文献145】WO 00/59480
【特許文献146】WO 00/50386
【特許文献147】WO 00/48589
【特許文献148】WO 00/47188
【特許文献149】WO 00/40203
【特許文献150】WO 99/16427
【特許文献151】WO 98/50341
【特許文献152】WO 98/49135
【特許文献153】WO 98/34632
【特許文献154】WO 98/25589
【特許文献155】WO 98/21951
【特許文献156】WO 97/47288
【特許文献157】WO 97/31938
【特許文献158】WO 97/10197
【特許文献159】WO 96/40076
【特許文献160】WO 96/40070
【特許文献161】WO 96/39835
【特許文献162】WO 96/33699
【特許文献163】WO 96/30036
【特許文献164】WO 96/21464
【特許文献165】WO 96/12475
【特許文献166】WO 96/12474
【特許文献167】WO 97/36480
【特許文献168】WO 00/46812
【特許文献169】米国特許第5258376号
【特許文献170】米国特許第5574027号
【特許文献171】米国特許第5883088号
【特許文献172】米国特許第5968922号
【特許文献173】米国特許第5981518号
【特許文献174】米国特許第5998397号
【特許文献175】米国特許第6004951号
【特許文献176】米国特許第6048851号
【特許文献177】米国特許第6087354号
【特許文献178】米国特許第5196412号
【特許文献179】米国特許出願第11/204778号
【特許文献180】米国特許第6562870号
【特許文献181】米国特許第5525598号
【特許文献182】米国特許第5556645号
【特許文献183】米国特許第5686116号
【特許文献184】米国特許第6165514号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】T.W. Greene、「Protecting Groups in Organic Synthesis」、Wiley、New York(1981年)
【非特許文献2】Finneganら、Inorganic Chemistry、26:2171〜2176頁(1987年)
【非特許文献3】Farrarら、Food and Chemical Toxicology、26:523-525頁(1988年)
【非特許文献4】Bernsteinら、「Chemistry and Pharmacokinetics of Gallium Maltolate. A Compound With High Oral Gallium Bioavailability」、Metal-Based Drugs 7(1):33〜47頁(2000年)
【非特許文献5】「Physicians’Desk Reference」(第58版、2004年、Medical Economics Company, Inc.、Montvale、NJ)
【非特許文献6】Fauci, ASら、「Harrison’s Principles of Internal Medicine」(第14版、1998年、McGraw-Hill Health Professions Division、New York)
【非特許文献7】Fosterら、「Gallium Nitrate: The Second Metal With Clinical Activity」、Cancer Treatment Reports、70:1311〜1319頁(1986年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ガリウム塩の経口製剤の開発で出会う主な問題は、硝酸ガリウムおよび送達剤化合物の存在下に起こる酸化反応である。水および痕跡量の硝酸(どちらも硝酸ガリウムに付随する)の存在が、酸化反応に寄与すると考えられる。酸化反応は、投与形態が茶色に変色することによって明白に示され、送達剤および/またはガリウム塩の劣化生成物を生じ、これは望ましくない。例えば、硝酸ガリウムが溶解性に乏しい酸化ガリウムまたは水酸化ガリウム劣化生成物に変換されると、ガリウム分子の吸収を損ねる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、少なくとも1種の送達剤および薬学的に許容されるガリウム塩を含む安定な医薬製剤の調製方法を提供し、この方法は、次の工程の少なくとも1つを含む:(i)送達剤および薬学的に許容されるガリウム塩を低剪断混合技法により混合する工程、(ii)ガリウム塩を含む湿った顆粒を調製し、また送達剤を含む別の湿った顆粒を任意選択で調製し、これらの湿った顆粒を、好ましくは穏やかに、乾燥する工程、(iii)低圧縮圧力を用いて、ガリウム塩および送達剤を含む錠剤を調製する工程、および(iv)医薬製剤に、該医薬製剤の変色を防止するのに有効な量の賦形剤を導入する工程。これらの実施形態の各々において、送達剤およびガリウム塩は、それらの間の接触が、調製の間および最終製品において完全に無くせないとしても、最小限度に抑えられる様に、医薬製剤に組み入れられることが好ましい。
【0018】
本発明はまた、少なくとも1種の送達剤および薬学的に許容されるガリウム塩を含む医薬製剤の調製方法を提供し、この方法は、(a)薬学的に許容されるガリウム塩と、任意選択の(b)顆粒内賦形剤とから本質的になる顆粒を調製する工程、(a)送達剤化合物と、任意選択の(b)顆粒内賦形剤とから本質的になる顆粒を調製する任意選択の工程、該ガリウム塩顆粒および送達剤を混合する工程(ここで、この送達剤は顆粒または他の何らかの形態にある)、および、例えば、顆粒の混合物を錠剤にすること、または顆粒の混合物をカプセルに充填することによって、混合物により医薬製剤を形成する工程を含む。
【0019】
本発明はまた、少なくとも1種の送達剤および薬学的に許容されるガリウム塩を含む医薬製剤の調製方法を提供し、この方法は、ガリウム塩を水に溶かしてガリウム塩溶液を形成する、少なくとも1種の顆粒内賦形剤および/または送達剤化合物を含む別個の混合物を生成させる工程、該ガリウム塩溶液を造粒溶液として用い、該混合物を顆粒化する工程を含む。好ましくは、塩基(例えばクエン酸ナトリウム)が、例えば、硝酸ガリウムに由来して存在する余分の硝酸を中和するために、前記ガリウム塩水溶液および/または前記混合物に加えられる。
【0020】
本発明はまた、ガリウム塩および送達剤化合物と、希釈剤、高多孔質剤、吸収剤、親水性ポリマー、圧縮性助剤(compressibility aid)、結合剤、崩壊剤、乾燥剤、酸化防止剤、またはこれらの任意の組合せから選択される賦形剤とを含む医薬組成物も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例13および14での、イヌにおける硝酸ガリウムの経時(hr)血漿濃度(ng/mL)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義
「約」または「ほぼ」という用語は、当業者によって求められた特定の値に対して、許容される誤差範囲内であることを意味し、誤差範囲は、一部は、その値がどのようにして測定または決定されたか、すなわち、測定系の限界に依存するであろう。例えば、「約」は、当技術分野における実践によって、1または1を超える標準偏差内であることを意味し得る。別に、製剤に関連して「約」は、10%、好ましくは5%までの範囲を意味し得る。
【0023】
「アルキル」「アルケニル」、「アルコキシ」、「アルキレン」、「アルケニレン」、「アルキル(アリーレン)」、および「アリール(アルキレン)」という用語は、これらに限らないが、それぞれ、線状または分岐状のアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキレン、アルケニレン、アルキル(アリーレン)、およびアリール(アルキレン)基を含む。
【0024】
「薬学的に許容される」という句は、生理学的に忍容され、また哺乳動物に投与された時に、アレルギー反応または類似の不都合な反応(例えば、胃の不調、めまいなど)を通常生じない化合物または組成物を表す。
【0025】
「ガリウム塩の有効量」または「硝酸ガリウムの有効量」は、状態、疾患または病気(condition)を治療または防止ために哺乳動物に投与された時に、このような治療または防止を結果としてもたらすのに十分である1種または複数のガリウム塩あるいは硝酸ガリウム(その溶媒和化合物、活性代謝物、プロドラッグ、あるいはこれらのラセミ体またはエナンチオマー(その塩がキラル中心を有すると仮定して)を含めて)の量を意味する。「有効量」は、活性成分、治療される状態、疾患、または病気、およびその重篤度、ならびに、年齢、体重、物理的条件および治療される哺乳動物の反応に応じて変わるであろう。本発明の一実施形態によれば、治療上有効な量のガリウム塩は、前記疾患のいずれか1つを治療するために有効な量である。ガリウム塩は、前記疾患(例えば、悪性腫瘍および高カルシウム血症)のいずれかを治療するために、第2の薬物(例えば、ループ利尿薬、化学療法剤、または補助化学療法剤)と共に増量され得る。
【0026】
「送達剤の有効量」は、例えば消化管からの、所望量のガリウム塩の吸収を促進する送達剤の量を表す。
【0027】
「医薬製剤の有効量」は、医薬製剤がある期間に渡って投与される患者の病気を、治療または防止するのに有効である(例えば、望み通りの投与間隔の間に治療効果をもたらす)記載の医薬製剤の量である。通常、医薬製剤の有効量は、望み通りの期間に渡って所望の病気を治療または防止するためのガリウム塩および少なくとも1種の送達剤の量(すなわち、送達剤の有効量およびガリウム塩の有効量)を含む。
【0028】
本明細書では、「治療する」という用語は、次の1つまたは複数を含む:
(a)発症を阻止すること、遅らせること(すなわち、疾患の臨床症状の前の期間)、および/または、疾患にかかる、もしくは悪化させる危険を減らすこと;
(b)例えば高カルシウム血症を含めて、哺乳動物における疾患の少なくとも1つの症状を和らげること、もしくは軽減すること;または
(c)これらに限らないが、所定の刺激(例えば、圧力、組織損傷または低温)に反応している哺乳動物を含めて、哺乳動物によって経験される疾患の発症の強度および/または持続を和らげること、もしくは軽減すること。「治療する」という用語はまた、病気(例えば、疾患)、病気の症状、または病気に向かう素質を、予防的に、防止し、治し、癒し、軽減し、和らげ、改め、矯正し、改良し、改善し、または変化をもたらすことを含む。
【0029】
本明細書では、「徐放(sustained release)」という用語は、同じ活性成分の「速放(immediate release)」製剤に比べて、ピークの血漿濃度がより低くなり、またTmaxが大きくなる、長時間に渡る活性成分の放出を表す。
【0030】
「バイオアベイラビリティー」という用語は、活性成分(ガリウム塩)または活性部分が、薬剤製品から吸収され、体系的に利用できるようになる割合および程度を表す。
【0031】
「多形」という用語は、結晶学的に異なる、1つの物質の複数の形を表す。
【0032】
本明細書では、「水和物」という用語は、これらに限らないが、(i)分子の形において結合水を含む物質、および(ii)1つまたは複数の結晶水分子を含む結晶性物質、あるいは自由水を含む結晶性材料を含む。
【0033】
本明細書では、「SNAC」という用語は、N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸、および、その一ナトリウム塩および二ナトリウム塩を含めて、薬学的に許容されるその塩を表す。「SNAC遊離酸」という用語は、N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸を表す。特に断らなければ、「SNAC」という用語は、SNACの全ての非晶質形および多形を含めて、SNACの全ての形、例えば、SNAC三水和物、ならびに米国特許仮出願第60/619418号および米国特許仮出願第60/569476号(これらのいずれも参照を通じて本明細書に組み込まれる)に記載のものを表す。本明細書では、「SNAC三水和物」という用語は、3つの水分子がSNACの各分子に結び付いた、SNACの結晶形を表す。SNACは、米国特許第5650386号ならびに国際公開WO 00/46182およびWO 00/59863に記載の手順によって調製できる。
【0034】
本明細書では、「SNAD」という用語は、N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)デカン酸、および、その一ナトリウム塩を含めて、薬学的に許容されるその塩を表す。特に断らなければ、「SNAD」という用語は、SNADの全ての非晶質形および多形を含めて、SNADの全ての形を表す。
【0035】
本明細書では、「4-CNAB」という用語は、4-[(4-クロロ-2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]ブタン酸(4-[(2-ヒドロキシ-4-クロロベンゾイル)アミノ]ブタン酸としても知られる)、および、そのナトリウム塩(例えば、一ナトリウム塩)を含めて、薬学的に許容されるその塩を表す。特に断らなければ、「4-CNAB」という用語は、4-CNABの全ての非晶質形および多形を含めて、4-CNABの全ての形を表す。「4-CNABナトリウム」および「4-CNAB一ナトリウム」という用語は、4-[(2-ヒドロキシ-4-クロロベンゾイル)アミノ]ブタン酸一ナトリウムを、その無水物、一水和物、およびイソプロパノール溶媒和化合物、ならびにその非晶質形および多形を含めて(国際公開WO 03/057650(これは参照を通じて本明細書に組み込まれる)に記載のものを含めて)表す。
【0036】
本明細書では、「溶媒和化合物」という用語は、これらに限らないが、溶媒の分子もしくはイオンと、送達剤またはガリウム塩の分子もしくはイオンとの、分子あるいはイオン錯体を含む。
【0037】
「送達剤」は、本明細書において開示されているか、または参照を通じて組み込まれた任意の送達剤化合物を表す。
【0038】
「補助化学療法剤」という用語は、化学療法剤の副作用を治療し、軽減し、和らげる、または改良する作用剤を含む。このような作用剤には、血液細胞の成長および成熟を加減するものが含まれる。補助化学療法剤の例には、これらに限らないが、フィルグラスチムおよびエリスロポエチンが含まれる。
【0039】
「ガリウム塩」という用語は、1種または複数のガリウム塩、ガリウム錯体、ならびにこれらの活性代謝物、プロドラッグ、ラセミ体、エナンチオマー、および水和物を含む。
【0040】
「化学療法剤」という用語は、悪性腫瘍およびそれらの転移を治療し、防止し、治し、癒し、軽減し、和らげ、改め、矯正し、改良し、改善する、または変化をもたらす、任意の作用剤を含む。このような作用剤(「抗腫瘍薬」としても知られる)の例には、これらに限らないが、プレドニゾン、フルオロウラシル(例えば、5-フルオロウラシル(5-FU))、アナストロゾール、ビカルタミド、カルボプラチン、シスプラチン、クロラムブシル、ドセタキセル、ドキソルビシン、フルタミド、インターフェロン-アルファ、レトロゾール、ロイプロイド、メゲストロール、マイトマイシン、パクリタキセル、プリカマイシン(Mithracin(商標))、タモキシフェン、チオテパ、トポテカン、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびこれらのいずれかの任意の組合せが含まれる。
【0041】
送達剤化合物
適切な送達剤には、次の構造を有するもの、および薬学的に許容されるこれらの塩が含まれる。
2-HO-Ar-C(O)-NR8-R7-COOH 式(1)
式中、
Arは、フェニルまたはナフチル(OH、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシまたは、C1〜C4ハロアルコキシにより任意選択で置換されている)であり;
R7は、C4〜C20アルキル、C4〜C20アルケニル、フェニル、ナフチル、(C1〜C10アルキル)フェニル、(C1〜C10アルケニル)フェニル、(C1〜C10アルキル)ナフチル、(C1〜C10アルケニル)ナフチル、フェニル(C1〜C10アルキル)、フェニル(C1〜C10アルケニル)、ナフチル(C1〜C10アルキル)、またはナフチル(C1〜C10アルケニル)であり;
R8は、水素、C1からC4のアルキル、C2からC4のアルケニル、C1からC4のアルコキシ、C1〜C4またはハロアルコキシであり;
R7は、C1からC4のアルキル、C2からC4のアルケニル、C1からC4のアルコキシ、C1〜C4ハロアルコキシ、-OH、-SH、および-CO2R9、またはこれらの任意の組合せにより任意選択で置換されており;
R9は、水素、C1からC4のアルキル、またはC2からC4のアルケニルであり;また
R7は、酸素、窒素、硫黄、またはこれらの任意の組合せが任意選択で介在している;
但し、これらの化合物は、酸基またはその塩に対してアルファ位でアミノ基により置換されていないものとする。
【0042】
一実施形態によれば、Arはハロゲンにより置換されている。
【0043】
好ましくは、R7は、C4〜C20アルキル、またはフェニル(C1〜C10アルキル)である。より好ましくは、R7は、C5〜C10アルキル、またはフェニル(C2アルキル)である。最も好ましくは、R7は、C7〜C9アルキル、またはフェニル(C2アルキル)である。
【0044】
他の適切な送達剤には、次の構造を有するもの、および薬学的に許容されるこれらの塩が含まれる。
2-OH-Ar-C(O)-NH-R1-R2 式(2)
式中、
Arは、フェニルまたはナフチルであり;
Arは、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、アリールオキシ、複素環式環、C5〜C7炭素環式環、ハロゲン、-OH、-SH、CO2R6、-NR7R8、または-N+R7R8R9Y-により任意選択で置換されており;
(a)R1は、C1〜C16アルキレン、C2〜C16アルケニレン、C2〜C16アルキニレン、C6〜C16アリーレン、(C1〜C16アルキル)アリーレン、またはアリール(C1〜C16アルキレン)であり;
R2は、-NR3R4または-N+R3R4R5Y-であり;
R3およびR4は独立に、水素;酸素;ヒドロキシ;置換または非置換C1〜C16アルキル;置換または非置換C2〜C16アルケニル;置換または非置換C2〜C16アルキニル;置換または非置換アリール;置換または非置換アルキルカルボニル;置換または非置換アリールカルボニル;置換または非置換アルカンスルフィニル;置換または非置換アリールスルフィニル;置換または非置換アルカンスルホニル;置換または非置換アリールスルホニル;置換または非置換アルコキシカルボニル;置換または非置換アリールオキシカルボニルであり;
R5は独立に、水素;置換または非置換C1〜C16アルキル;置換または非置換C2〜C16アルケニル;置換または非置換C2〜C16アルキニル;置換または非置換アリール;置換または非置換アルキルカルボニル;置換または非置換アリールカルボニル;置換または非置換アルカンスルフィニル;置換または非置換アリールスルフィニル;置換または非置換アルカンスルホニル;置換または非置換アリールスルホニル;置換または非置換アルコキシカルボニル;置換または非置換アリールオキシカルボニルである;
(b)R1、R2、およびR5は上で定義された通りであり;
R3およびR4は一緒になって5、6もしくは7員の複素環式環;または、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アリール、アリールオキシ、オキソ基もしくは炭素環式環により置換された、5、6もしくは7員の複素環式環を形成している;あるいは
(c)R2およびR5は上で定義された通りであり;
R1およびR3は一緒になって5、6もしくは7員の複素環式環;または、C1〜C6アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、またはオキソ基もしくは炭素環式環により置換された、5、6もしくは7員の複素環式環を形成しており;
R4は、水素;酸素;ヒドロキシ;置換または非置換C1〜C16アルキル;置換または非置換C2〜C16アルケニル;置換または非置換C2〜C16アルキニル;置換または非置換アリール;置換または非置換アルキルカルボニル;置換または非置換アリールカルボニル;置換または非置換アルカンスルフィニル;置換または非置換アリールスルフィニル;置換または非置換アルカンスルホニル;置換または非置換アリールスルホニル;置換または非置換アルコキシカルボニル;置換または非置換アリールオキシカルボニルであり;
R6は、水素;C1〜C4アルキル;ハロゲンまたは-OHにより置換されたC1〜C4アルキル;C2〜C4アルケニル;あるいはハロゲンまたは-OHにより置換されたC2〜C4アルケニルであり;
R7、R8、およびR9は独立に、水素;酸素; C1〜C4アルキル;ハロゲンまたは-OHにより置換されたC1〜C4アルキル; C2〜C4アルケニル;あるいはハロゲンまたは-OHにより置換されたC2〜C4アルケニルであり;また
Yは、ハロゲン、ヒドロキシド、サルフェート、ニトレート、ホスフェート、アルコキシ、パークロレート、テトラフルオロボレート、またはカルボキシレートである。適切なカルボキシレートの非限定的例はアセテートである。
【0045】
式(2)の化合物に関連して本明細書で使用される場合、「置換(された)」という用語は、これらに限らないが、ヒドロキシルおよびハロゲンを含む。
【0046】
一実施形態において、Arは、非置換フェニル、あるいはC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、またはハロゲンの1つまたは複数により置換されたフェニルである。より好ましくは、Arは、メトキシ、Cl、FまたはBrにより置換されたフェニルであり、より一層好ましくは、ArはClにより置換されたフェニルである。
【0047】
別の実施形態において、R1は、C1〜C12アルキル、C2〜C8アルキル、C2〜C6アルキル、またはC6アルキルである。
【0048】
別の実施形態において、R3およびR4は独立に、HまたはC1〜C2アルキルである;あるいはさらに、R3およびR4は両方ともHではない;あるいはさらに、R3およびR4は独立に、メチルまたはエチルである;より好ましくは、R3およびR4はどちらもメチルである。
【0049】
他の適切な送達剤には、次の構造を有するもの、および薬学的に許容されるこれらの塩が含まれる。
【0050】
【化1】

【0051】
式中、
R1、R2、R3、およびR4は独立に、水素、-OH、-NR6R7、ハロゲン、C1〜C4アルキル、またはC1〜C4アルコキシであり;
R5は、置換または非置換C2〜C16アルキレン、置換または非置換C2〜C16アルケニレン、置換または非置換C1〜C12アルキル(アリーレン)、あるいは置換または非置換アリール(C1〜C12アルキレン)であり;また
R6およびR7は独立に、水素、酸素、またはC1〜C4アルキルである。
【0052】
式(3)に関連して用いられる場合、「置換(された)」という用語は、これらに限らないが、次の置換基:ハロゲン、ヒドロキシド、C1〜C4アルキル、およびC1〜C4アルコキシの任意の1つまたは任意の組合せによる置換を含む。
【0053】
他の適切な送達剤には、次の構造式を有するもの、および薬学的に許容されるこれらの塩が含まれる。
【0054】
【化2】

【0055】
式中、
(a)R1、R2、R3、およびR4は独立に、H、-OH、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシ、-C(O)R8、-NO2、-NR9R10、または-N+R9R10R11(Y-)であり;
R8は、水素、-OH、C1〜C6アルキル、ハロゲンもしくは-OHにより置換されたC1〜C4アルキル、非置換またはハロゲンもしくは-OHにより置換されたC2〜C4アルケニル、あるいは-NR14R15であり;
R9、R10、およびR11は独立に、水素、酸素、非置換またはハロゲンもしくは-OHにより置換されたC1〜C4アルキル、非置換またはハロゲンもしくは-OHにより置換されたC2〜C4アルケニルであり;
Yは、ハライド、ヒドロキシド、サルフェート、ニトレート、ホスフェート、アルコキシ、パークロレート、テトラフルオロボレート、カルボキシレート、メシラート、フマレート、マロネート、サクシネート、タータレート、アセテート、グルコネート、マレエート(maleate)であり;
R5は、H、-OH、-NO2、ハロゲン、CF3、-NR14R15、-N+R14R15R16(Y-)、アミド、C1〜C12アルコキシ、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、カルバメート、カルボネート、ウレア、または-C(O)R22であり;R5は、ハロゲン、-OH、-SH、または-COOHにより任意選択で置換されており;R5は、O、N、S、または-C(O)-が任意選択で介在しており;
R14、R15、およびR16は独立に、HまたはC1〜C10アルキルであり;
R22は、H、C1〜C6アルキル、-OH、-NR14R15であり;
R6は、置換または非置換のC1〜C16アルキレン、C2〜C16アルケニレン、C2〜C16アルキニレン、C5〜C16アリーレン、(C1〜C16アルキル)アリーレンまたはアリール(C1〜C16アルキレン)であり;R6は、C1〜C7アルキルまたはC1〜C7シクロアルキルにより任意選択で置換されており;
R7は、-NR18R19または-N+R18R19R20Y-であり;
R18およびR19は独立に、水素、酸素、ヒドロキシ、置換または非置換C1〜C16アルキル、置換または非置換C2〜C16アルケニル、置換または非置換C2〜C16アルキニル、置換または非置換アリール、置換または非置換アルキルカルボニル(例えば、置換または非置換(C1〜6アルキル)カルボニル)、置換または非置換アリールカルボニル、置換または非置換アルカンスルフィニル(例えば、置換または非置換(C1〜6アルカン)スルフィニル)、置換または非置換アリールスルフィニル、置換または非置換アルカンスルホニル(例えば、置換または非置換(C1〜6アルカン)スルホニル)、置換または非置換アリールスルホニル、置換または非置換アルコキシカルボニル(例えば、置換または非置換(C1〜6アルコキシ)カルボニル)、あるいは置換または非置換アリールオキシカルボニル、あるいは置換または非置換C5〜C7複素環式環(すなわち、5、6、または7-員の複素環式環)であり、これらの置換はハロゲンまたは-OHであることができ;また
R20は独立に、水素、置換または非置換C1〜C16アルキル、置換または非置換C2〜C16アルケニル、置換または非置換C2〜C16アルキニル、置換または非置換アリール、置換または非置換アルキルカルボニル(例えば、置換または非置換(C1〜6アルキル)カルボニル)、置換または非置換アリールカルボニル、置換または非置換アルカンスルフィニル(例えば、置換または非置換(C1〜6アルカン)スルフィニル)、置換または非置換アリールスルフィニル、置換または非置換アルカンスルホニル(例えば、置換または非置換(C1〜6アルカン)スルホニル)、置換または非置換アリールスルホニル、置換または非置換アルコキシカルボニル(例えば、置換または非置換(C1〜6アルコキシ)カルボニル)、あるいは置換または非置換アリールオキシカルボニルである;あるいは
(b)R1〜R16およびR20は上で定義された通りであり;また
R18およびR19は一緒になって5、6、または7-員の複素環式環(オキソ基が任意選択で介在しており、非置換であるか、またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アリール、アリールオキシ、もしくは炭素環式環により置換されている)を形成している。
【0056】
一実施形態によれば、R7は、モルホリノ、モルホリニウム塩、またはジエタノールアミノである。
【0057】
別の実施形態によれば、R6は、C1〜C16アルキレンであり、R7はモルホリノまたはモルホリニウム塩である。好ましくは、R6は、C4〜C12アルキレン、例えば、非置換C4〜C12アルキレンである。より好ましくは、R6は、C4〜C10、C4〜C8、またはC6〜C8アルキレン、例えば、非置換のC4〜C10、C4〜C8、またはC6〜C8アルキレンである。一実施形態によれば、R1〜R5の1つはヒドロキシであり、例えば、R1がヒドロキシであり得る。
【0058】
さらに別の実施形態によれば、R6がC1〜C10アルキレンである場合、R2およびR4の多くても1つがハロゲンである。別の実施形態によれば、R6はC8〜C16、C9〜C16、C10〜C16、またはC11〜C16アルキレンである。例として、R6は、C8、C9、C10、C11、またはC12アルキレンであり得る(例えば、直鎖状C8〜C12アルキレン)。さらに別の実施形態によれば、R1およびR5の多くても1つがアルキルである。
【0059】
さらに別の実施形態によれば、R1はヒドロキシであり、R2、R3、R4、およびR5は独立に、水素またはハロゲンである。
【0060】
さらに別の実施形態によれば、R2は水素であり、R1、R3、R4、およびR5は独立に、水素またはハロゲンである。
【0061】
さらに別の実施形態によれば、R3はヒドロキシであり、R1、R2、R4、およびR5は独立に、水素またはハロゲンである。
【0062】
好ましい実施形態において、ハロゲンは、F、ClまたはBr、より好ましくはFまたはCl、より一層好ましくはClである。
【0063】
さらに別の実施形態によれば、R6は、C1〜C16アルキレン、(C1〜C16アルキル)アリーレン、またはアリール(C1〜C16アルキレン)である。より好ましくは、R6は、C1〜C12アルキレン、より好ましくはC3〜C10アルキレン、より好ましくはC4〜C10またはC4〜C8アルキレン、より好ましくはC6〜C8アルキレンである。より好ましくは、R6は非置換である。
【0064】
さらに別の実施形態によれば、R7は、-NR18R19であり、R18およびR19は独立に、-OHにより置換されたC1〜C4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、またはブチル)である。別の実施形態において、R7は、-NR18R19であり、R18およびR19は一緒になって、オキソ基により置換された6員の複素環式環を形成している。
【0065】
好ましい一実施形態によれば、R1は水素であり;R2、R3、およびR4は独立に、水素、ハロゲン、-OH、または-OCH3であり;R5は、水素、-OH、または-C(O)CH3であり;R6はC1〜C12アルキレンであり、R7はNR18R19であり、R18およびR19は一緒になって、5、6、または7員の複素環式環を形成している。
【0066】
別の好ましい実施形態によれば、R3、R4、およびR5の1つはヒドロキシであり、その他は独立に、ハロゲンまたは水素であり;R1およびR2は独立に、ハロゲンまたは水素であり;R6はC1〜C16アルキレンであり;R7はNR18R19であり、R18およびR19は一緒になって5、6、または7員の複素環式環を形成している。R6は、好ましくは、C6〜C16、C6〜C10、C8〜C16、C10〜C16、またはC4〜C8アルキレン、例えば、非置換のC6〜C16、C6〜C10、C8〜C16、C10〜C16、またはC4〜C8アルキレンである。好ましくは、R18およびR19はモルホリノまたはイミダゾールを形成している。
【0067】
別の好ましい実施形態において、R1は水素であり;R2、R3、およびR4は独立に、水素、ハロゲン、-OH、または-OCH3であり;R5は、水素、-OH、または-C(O)CH3であり;R6は、C1〜C12アルキレンであり;また、R7は、N+R18R19R20(Y-)であり、R18およびR19は、ヒドロキシ置換C1〜C16アルキルであり、R20は水素である。
【0068】
別の好ましい実施形態において、R1は水素であり;R2、R3、およびR4は独立に、水素、ハロゲン、-OH、または-OCH3であり;R5は、水素、-OH、または-C(O)CH3であり;R6は、C1〜C12アルキレンであり;また、R7は、N+R18R19R20(Y-)であり、R18およびR19は、ヒドロキシ置換C1〜C16アルキルであり、R20は水素である。
【0069】
別の好ましい実施形態において、R1、R2、R4、R5は独立に、ハロゲンまたは水素であり;R3は、-OH、または-OCH3であり;また、R7はN+R18R19R20(Y-)であり、R18およびR19は、ヒドロキシ置換C1〜C16アルキルであり、R20は水素である。
【0070】
好ましい一実施形態において、R1は水素であり;R2、R3、およびR4は独立に、水素、ハロゲン、-OH、または-OCH3であり;R5は、水素、-OH、または-C(O)CH3であり;R6はC1〜C16アルキレンまたはアリール置換C1〜C12アルキルであり;また、R7は、-NR18R19(R18およびR19は一緒になって、5、6、または7員の複素環式環を形成している)、あるいは、N+R18R19R20(Y-)(R18およびR19はヒドロキシ置換C1〜C16アルキルであり、R20は水素である)である。
【0071】
別の好ましい実施形態において、送達剤のクエン酸塩が用いられる。
【0072】
他の適切な送達剤には、次の構造を有するもの、および薬学的に許容されるこれらの塩が含まれる。
【0073】
【化3】

【0074】
式中、
R1、R2、R3、およびR4は独立に、H、-OH、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシ、-C(O)R8、-NO2、-NR9R10、または-N+R9R10R11(R12)-であり;
R5は、H、-OH、-NO2、ハロゲン、-CF3、-NR14R15、-N+R14R15R16(R13)-、アミド、C1〜C12アルコキシ、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、カルバメート、カルボネート、ウレア、または-C(O)R18であり;
R5は、ハロゲン、-OH、-SH、または-COOHにより任意選択で置換されており;
R5は、O、N、S、または-C(O)-が任意選択で介在しており;
R6は、C1〜C12アルキレン、C2〜C12アルケニレン、またはアレーレンであり;
R6は、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシ、-OH、-SH、ハロゲン、-NH2、または-CO2R8により任意選択で置換されており;
R6は、OまたはNが任意選択で介在しており;
R7は、結合またはアリーレンであり;
R7は、-OH、ハロゲン、-C(O)CH3、-NR10R11、または-N+R10R11R12(R13)-により任意選択で置換されており;
R8は、H、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、または-NH2であり;
R9、R10、R11、およびR12は独立に、HまたはC1〜C10アルキルであり;
R13は、ハライド、ヒドロキシド、サルフェート、テトラフルオロボレート、またはホスフェートであり;
R14、R15およびR16は独立に、H、C1〜C10アルキル、-COOHにより置換されたC1〜C10アルキル、C2〜C12アルケニル、-COOHにより置換されたC2〜C12アルケニル、-C(O)R17であり;
R17は、-OH、C1〜C10アルキル、またはC2〜C12アルケニルであり;また
R18は、H、C1〜C6アルキル、-OH、-NR14R15、またはN+R14R15R16(R13)-である。
【0075】
一実施形態によれば、
(1)R1、R2、R3、R4、およびR5がHであり、R7が結合である場合、R6は、C1〜C6、C9、またはC10アルキルでなく;
(2)R1、R2、R3、およびR4がHであり、R5が-OHであり、R7が結合である場合、R6は、C1〜C3アルキルでなく;
(3)R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つがHでなく、R5が-OHであり、R7が結合である場合、R6は、C1〜C4アルキルでなく;
(4)R1、R2、およびR3がHであり、R4が-OCH3であり、R5が-C(O)CH3であり、R6が結合である場合、R7は、C3アルキルでなく;
(5)R1、R2、R4、およびR5がHであり、R3が-OHであり、R7が結合である場合、R6はメチルではない。
【0076】
好ましい一実施形態によれば、R1は水素であり; R2、R3、およびR4は独立に、水素、ハロゲン、-OH、または-OCH3であり;R5は、水素、-OH、または-C(O)CH3であり;R6は、C1〜C12アルキレンであり、R7は、結合またはパラ-フェニレンである。R7は、より好ましくは、C7〜C9アルキルである。
【0077】
別の好ましい実施形態によれば、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つは、水素、-C(O)CH3、-OH、Cl、-OCH3、F、または-NO2である。より好ましい一実施形態において、R2は、-C(O)CH3、-OH、-OCH3、または-Clである。別のより好ましい実施形態において、R3は、Cl、-OCH3、F、または-OHである。さらに別のより好ましい実施形態において、R4は、-OCH3、または-NO2である。
【0078】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R5は、-C(O)CH3、-OH、H、-CH=CHCH3、-NH2、-NO2、-NHC(O)CH3、-CH=CHCO2H、-C(O)CH2CH3、-C(O)NH2、-C(O)NHCH3、-C00H、-C(O)NHCH2CH3、-C(O)NHCH(CH3)2、-OCH3、-C(CH3)20H、-C(OH)(CH3)2、または-CH(OH)CH3である。
【0079】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R6は、線状C1〜C12アルキレンである。より好ましくは、R6は、-(CH2)n-であり、nは1から10の整数である。
【0080】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R4およびR5は、アルキルまたはハロゲンではない。
【0081】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R7は、パラ-フェニレンまたは結合である。
【0082】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R6は、-CH2-であり、R7はフェニレン、より好ましくはパラ-フェニレンである。より好ましくは、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つは水素である。より好ましくは、R5は、-C(O)CH3、-OH、または-C(CH3)2OHである。
【0083】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R7は結合であり、R5は-OHであり、R1、R2、R3、およびR4は水素である。R6は、好ましくは、C4〜C12アルキレン、より好ましくは、C4〜C9アルキレンである。
【0084】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R7は結合であり、R5は-OHであり、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つは水素ではない。R6は、好ましくは、C1〜C12アルキレン、より好ましくは、C5〜C12アルキレン、最も好ましくは、C5〜C9アルキレンである。
【0085】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R7は結合であり、R5は-C(O)CH3であり、R1、R2、R3、およびR4は水素である。R6は、好ましくは、C1〜C12アルキレン、より好ましくは、C3〜C12アルキレン、最も好ましくは、C3〜C7アルキレンである。
【0086】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R7は結合であり、R1、R2、R3、R4、およびR5は水素である。好ましくは、R6はC7〜C8アルキレンである。
【0087】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R7は結合であり、R5は水素であり、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つは水素ではない。R6は、好ましくは、C1〜C12アルキレン、より好ましくは、C4〜C9アルキレン、最も好ましくは、C7〜C8アルキレンである。
【0088】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R2は-OHである。より好ましくは、R7は結合であり、R5は水素である。好ましくは、R6は、C1〜C12アルキレン、より好ましくはC3〜C9アルキレン、最も好ましくはC7アルキレンである。
【0089】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R3は-OHである。より好ましくは、R7は結合であり、R5は水素である。R6は、好ましくは、C1〜C12アルキレン、より好ましくはC3〜C9アルキレン、最も好ましくはC7アルキレンである。
【0090】
他の適切な送達剤には、次の構造を有するもの、および薬学的に許容されるこれらの塩が含まれる。
【0091】
【化4】

【0092】
式中、
R1、R2、R3、およびR4は独立に、H、-OH、ハロゲン、-OCH3、-NR10R11、または-N+R10R11R12(R13)-であり;
R5は、H、-OH、-NO2、-NR14R15、-N+R14R15R16(R13)-、アミド、C1〜C12アルコキシ、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、カルバメート、カルボネート、ウレア、または-C(O)R18であり;
R5は、-OH、-SH、または-COOHにより任意選択で置換されており;
R5は、O、N、S、または-C(O)-が任意選択で介在し;
R6は、C1〜C12アルキレン、C2〜C12アルケニレン、またはアリーレンであり;
R6は、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシ、-OH、-SH、ハロゲン、-NH2、または-CO2R9により任意選択で置換されており;
R6は、OまたはNが任意選択で介在し;
R7は、結合またはアリーレンであり;
R7は、-OH、ハロゲン、-C(O)CH3、-NR10R11、または-N+R10R11R12(R13)-により任意選択で置換されており;
R8は、HまたはC1〜C4アルキルであり;
R9は、H、C1〜C4アルキル、またはC2〜C4アルケニルであり;
R10、R11、およびR12は独立に、HまたはC1〜C10アルキルであり;
R13は、ハライド、ヒドロキシド、サルフェート、テトラフルオロボレート、またはホスフェートであり;
R14、R15、およびR16は独立に、H、C1〜C10アルキル、C2〜C12アルケニル、O、または-C(O)R17であり;
R17は、-OH、C1〜C10アルキル、またはC2〜C12アルケニルであり;また
R18は、-OH、C1〜C6アルキル、-NR14R15、-N+R14R15R16(R13)-である。
【0093】
一実施形態によれば、R5がOCH3である場合、R6はC1〜C8またはC10〜C12アルキルである。
【0094】
好ましい実施形態によれば、R5は-OCH3ではない。より好ましくは、R5はアルコキシではない。
【0095】
別の好ましい実施形態によれば、R1、R2、R3およびR4は水素であり、R5は、-COOH、-C(O)NH2、-C(O)CH3、または-NO2であり、R6は、-(CH2)7-であり、R7は結合である。
【0096】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R1、R2、R3およびR4は水素であり、R5は、-C(O)NH2であり、R6は、-CH2-であり、R7はパラ-フェニレンである。
【0097】
一実施形態によれば、式(6)の送達剤は、次の式を有する。
【0098】
【化5】

【0099】
式中、
R19は、-NO2、または-C(O)R23であり;
R20は、C1〜C12アルキレンまたはC1〜C12アルケニレンであり;
R21は、結合またはアリーレンであり;
R22は、HまたはC1〜C4アルキルであり;また
R23は、-OH、C1〜C6アルキル、または-NH2である。
【0100】
好ましい送達剤には、これらに限らないが、SNAC、SNAD、8-(N-2-ヒドロキシ-5-クロロベンゾイル)アミノカプリル酸、8-(N-2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾイル)-アミノカプリル酸、4-CNAB、および薬学的に許容されるこれらの塩が含まれる。
【0101】
好ましい一実施形態によれば、送達剤はSNACまたは薬学的に許容されるその塩である。一実施形態において、送達剤はSNACのナトリウム塩である。別の実施形態において、送達剤はSNACの一ナトリウム塩であり、例えば、2004年5月6日に出願された米国特許仮出願第60/569476号、および2004年10月15日に出願された米国特許仮出願第60/619418号(これらいずれも参照を通じて本明細書に組み込まれる)に開示のSNAC一ナトリウムの多形のいずれかであり得る。さらに別の実施形態において、送達剤はSNACの二ナトリウム塩である。
【0102】
別の好ましい実施形態によれば、送達剤はSNADまたは薬学的に許容されるその塩である。一実施形態において、送達剤はSNADのナトリウム塩である。別の実施形態において、送達剤はSNADの二ナトリウム塩である。
【0103】
さらに別の好ましい実施形態によれば、送達剤は4-CNABまたは薬学的に許容されるその塩である。一実施形態において、送達剤は4-CNABのナトリウム塩である。4-CNABナトリウムは、国際公開WO 03/057650(これは参照を通して本明細書に組み込まれる)に記載の非晶質形および多形のいずれかであり得る。
【0104】
本発明での他の適切な送達剤は、米国特許第6699467号、米国特許第6663898号、米国特許第6693208号、米国特許第6693073号、米国特許第6693898号、米国特許第6663887号、米国特許第6646162号、米国特許第6642411号、米国特許第6627228号、米国特許第6623731号、米国特許第6610329号、米国特許第6558706号、米国特許第6525020号、米国特許第6461643号、米国特許第6461545号、米国特許第6440929号、米国特許第6428780号、米国特許第6413550号、米国特許第6399798号、米国特許第6395774号、米国特許第6391303号、米国特許第6384278号、米国特許第6375983号、米国特許第6358504号、米国特許第6346242号、米国特許第6344213号、米国特許第6331318号、米国特許第6313088号、米国特許第6245359号、米国特許第6242495号、米国特許第6221367号、米国特許第6180140号、米国特許第6100298号、米国特許第6100285号、米国特許第6099856号、米国特許第6090958号、米国特許第6084112号、米国特許第6071510号、米国特許第6060513号、米国特許第6051561号、米国特許第6051258号、米国特許第6001347号、米国特許第5990166号、米国特許第5989539号、米国特許第5976569号、米国特許第5972387号、米国特許第5965121号、米国特許第5962710号、米国特許第5958451号、米国特許第5955503号、米国特許第5939381号、米国特許第5935601号、米国特許第5879681号、米国特許第5876710号、米国特許第5866536号、米国特許第5863944号、米国特許第5840340号、米国特許第5824345号、米国特許第5820881号、米国特許第5811127号、米国特許第5804688号、米国特許第5792451号、米国特許第5776888号、米国特許第5773647号、米国特許第5766633号、米国特許第5750147号、米国特許第5714167号、米国特許第5709861号、米国特許第5693338号、米国特許第5667806号、米国特許第5650386号、米国特許第5643957号、米国特許第5629020号、米国特許第5601846号、米国特許第5578323号、米国特許第5541155号、米国特許第5540939号、米国特許第5451410号、米国特許第5447728号、米国特許第5443841号、および米国特許第5401516号に記載されている。本発明での送達剤はまた、米国特許出願公開第20040110839号、米国特許出願公開第20040106825号、米国特許出願公開第20040068013号、米国特許出願公開第20040062773号、米国特許出願公開第20040022856号、米国特許出願公開第20030235612号、米国特許出願公開第20030232085号、米国特許出願公開第20030225300号、米国特許出願公開第20030198658号、米国特許出願公開第20030133953号、米国特許出願公開第20030078302号、米国特許出願公開第20030072740号、米国特許出願公開第20030045579号、米国特許出願公開第20030012817号、米国特許出願公開第20030008900号、米国特許出願公開第20020155993号、米国特許出願公開第20020127202号、米国特許出願公開第20020120009号、米国特許出願公開第20020119910号、米国特許出願公開第20020102286号、米国特許出願公開第20020065255号、米国特許出願公開第20020052422号、米国特許出願公開第20020040061号、米国特許出願公開第20020028250号、米国特許出願公開第20020013497号、米国特許出願公開第20020001591号、米国特許出願公開第20010039258号、および米国特許出願公開第20010003001号に記載されている。本発明での送達剤はまた、国際公開WO 2004/104018、WO 2004/080401、WO 2004/062587、WO 2003/057650、WO 2003/057170、WO 2003/045331、WO 2003/045306、WO 2003/026582、WO 2002/100338、WO 2002/070438、WO 2002/069937、WO 02/20466、WO 02/19969、WO 02/16309、WO 02/15959、WO 02/02509、WO 01/92206、WO 01/70219、WO 01/51454、WO 01/44199、WO 01/34114、WO 01/32596、WO 01/32130、WO 00/07979、WO 00/06534、WO 00/06184、WO 00/59863、WO 00/59480、WO 00/50386、WO 00/48589、WO 00/47188、WO 00/46182、WO 00/40203、WO 99/16427、WO 98/50341、WO 98/49135、WO 98/34632、WO 98/25589、WO 98/21951、WO 97/47288、WO 97/31938、WO 97/10197、WO 96/40076、WO 96/40070、WO 96/39835、WO 96/33699、WO 96/30036、WO 96/21464、WO 96/12475、およびWO 96/12474に記載されている。上に列挙された米国特許、ならびに米国および国際特許出願公開の各々は、参照を通じて本明細書に組み込まれる。
【0105】
カルボン酸として記載されている送達剤化合物は、カルボン酸またはその塩の形であり得る。適切な塩には、これらに限らないが、有機および無機の塩、例えば、ナトリウム(例えば、一ナトリウム塩および二ナトリウム塩)、カリウムおよびリチウムのようなアルカリ金属塩;マグネシウム、カルシウムまたはバリウムのようなアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;塩基性アミノ酸、例えば、リシンまたはアルギニン;ならびに、ジメチルアミンまたはピリジンのような有機アミンが含まれる。好ましくは、前記塩はナトリウム塩である。塩は、1価または多価の塩、例えば、一ナトリウム塩および二ナトリウム塩であり得る。塩はまた、エタノール溶媒和化合物および水和物を含めて、溶媒和化合物でもあり得る。
【0106】
アミンとして記載されている送達剤化合物は、遊離アミンまたはその塩の形であり得る。適切な塩には、これらに限らないが、有機および無機の塩、例えば、ナトリウム塩、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、フッ化物塩、炭酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、酸化物塩、ギ酸塩、酢酸塩またはクエン酸塩が含まれる。
【0107】
本発明での送達剤化合物の塩は、当技術分野において知られている方法によって調製され得る。例えば、ナトリウム塩は、送達剤化合物をエタノールに溶かし、水酸化ナトリウム水溶液を加えることによって調製され得る。
【0108】
送達剤がアミン部分およびカルボン酸部分を有する場合、1つまたは複数のこれらの化合物を含むポリアミノ酸およびペプチドが使用され得る。アミノ酸は、少なくとも1つの遊離アミン基を有するカルボン酸であり、これには、天然に産するアミノ酸および合成アミノ酸が含まれる。ポリアミノ酸は、ペプチド(これらは、ペプチド結合によって繋がれた2つ以上のアミノ酸である)であるか、あるいは、例えばエステルもしくは無水物結合により連結され得る他の基によって形成された結合により連結された2つ以上のアミノ酸であるかのいずれかである。ペプチドは、2つのアミノ酸によるジペプチドから、数百のアミノ酸によるポリペプチドまで、長さが変化し得る。アミノ酸あるいはペプチド単位の1つまたは複数は、アシル化またはスルホン化されていてもよい。
【0109】
送達剤は、国際公開WO 03/045306に記載のように、それに複合化した(conjugated)ポリマーを含み得る。例えば、送達剤およびポリマーは、-NHC(O)NH-、-C(O)NH-、-NHC(O)、-0OC-、-COO-、-NHC(O)O-、-OC(O)NH-、-CH2NHNHCH2-、-CH2NHC(O)O-、-OC(O)NHCH2-、-CH2NHC0CH2O-、-OCH2C(O)NHCH2-、-NHC(O)CH2O-、-OCH2C(O)NH-、-NH-、-0-、および炭素-炭素結合からなる群から選択される連結基によって複合化され得るが、但し、ポリマー送達剤はポリペプチドまたはポリアミノ酸ではないとする。ポリマーは、これらに限らないが、交互コポリマー、ブロックコポリマーおよびランダムコポリマーを含めて、哺乳動物に用いられて安全である任意のポリマーであり得る。
【0110】
好ましいポリマーには、これらに限らないが、ポリエチレン;ポリアクリレート;ポリメタクリレート;ポリ(オキシエチレン);ポリ(プロピレン);ポリプロピレングリコール;ポリエチレングリコール(PEG);およびこれらの誘導体、ならびにこれらの組合せが含まれる。ポリマーの分子量は通常、約100から約200,000ダルトンの範囲である。ポリマーの分子量は、好ましくは、約200から約10,000ダルトンの範囲である。一実施形態において、ポリマーの分子量は、約200から約600ダルトン、より好ましくは約300から約550ダルトンの範囲である。
【0111】
本明細書に記載の化合物は、アミノ酸から誘導されてもよく、当業者の技術の範囲内の方法(例えば、国際公開WO 96/30036、WO 97/36480、WO 00/06534、WO 00/46812、WO 00/50386、WO 00/59863、WO 01/32596、およびWO 00/07979、ならびに米国特許第5643957号、米国特許第5650386号、米国特許第5866536号に記載のもの、これら特許の全ては参照を通じて組み込まれる)によってアミノ酸から容易に調製できる。例えば、前記化合物は、1種のアミノ酸と、アミノ酸に存在する遊離アミノ部分と反応してアミドを生成する適切なアシル化剤またはアミン修飾剤とを反応させることによって調製され得る。当業者に知られているように、望んでいない副反応を避けるために、保護基が用いられてもよい。保護基に関しては、T.W. Greene、「Protecting Groups in Organic Synthesis」、Wiley、New York(1981年)が参照され、その開示は参照を通じて本明細書に組み込まれる。
【0112】
送達剤化合物は、再結晶によって、あるいは、単独で、またはタンデムに連結して、1つまたは複数の固体クロマトグラフィー担体での分別によって精製され得る。適切な再結晶溶媒系には、これらに限らないが、アセトニトリル、メタノール、エタノール、酢酸エチル、ヘプタン、水、テトラヒドロフラン、およびこれらの組合せが含まれる。分別は、アルミナのような適切なクロマトグラフィー担体で、移動相としてメタノール/n-プロパノール混合物を用いて;トリフルオロ酢酸/アセトニトリル混合物を移動相として用いる逆相クロマトグラフィーで;また、水または適切な緩衝液を移動相として用いるイオン交換クロマトグラフィーで実施され得る。陰イオン交換クロマトグラフィーが実施される場合、好ましくは、0〜500mMの塩化ナトリウム勾配が用いられる。
【0113】
ガリウム塩および錯体
使用され得るガリウム塩は、硝酸塩、マルトラート(maltrate)、クエン酸塩、ハロゲン化物(好ましくは、塩化物)、炭酸塩、酢酸塩、三酢酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、酸化物塩、水酸化物および水和酸化物、さらには、米国特許第4529593号および米国特許第4704277号(これらは参照を通じて本明細書に組み込まれる)に記載のものを含めて、薬学的に許容されるものである。通常、これらのガリウム塩は非放射性である。好ましいガリウム塩には、これらに限らないが、塩化ガリウムおよび硝酸ガリウム、ならびにこれらの水和物、例えば、硝酸ガリウム一水和物が含まれる。
【0114】
使用され得るガリウム錯体には、米国特許第5258376号、米国特許第5574027号、米国特許第5883088号、米国特許第5968922号、米国特許第5981518号、米国特許第5998397号、米国特許第6004951号、米国特許第6048851号、および米国特許第6087354号、さらには、Finneganら、Inorganic Chemistry、26:2171〜2176頁(1987年)、および、Farrarら、Food and Chemical Toxicology、26:523-525頁(1988年)に記載のものが含まれる。これらの参考文献の各々は、参照を通じて本明細書に組み込まれる。例えば、3-ヒドロキシ-4-ピロンのガリウムキレートおよび錯体(例えば、マルトールの錯体)が使用され得る。
【0115】
一実施形態において、医薬製剤におけるガリウム錯体は、中性の3:1(ヒドロキシピロン:ガリウム)錯体であり、この錯体では、ヒドロキシピロンは、非置換の3-ヒドロキシ-4-ピロン(ピロメコン酸(pyromeconic acid))、または1から3個の低級アルキル置換基(メチル、エチル、イソプロピル、およびn-プロピル基が含まれる)により置換された3-ヒドロキシ-4-ピロンのいずれかである。さらなる実施形態において、3-ヒドロキシ-4-ピロンは、3-ヒドロキシ-4-ピロン、3-ヒドロキシ-2-メチル-4-ピロン、3-ヒドロキシ-2-エチル-4-ピロン、および3-ヒドロキシ-6-メチル-4-ピロンである。投与形態におけるヒドロキシピロン:ガリウム錯体の量は、例えば、0.9から1800mg、または9から360mgであり得る。
【0116】
別の実施形態において、本発明の医薬製剤におけるガリウム錯体は、中性の3:1(ヒドロキシピロン:ガリウム)錯体であり、このヒドロキシピロンは次の式を有する。
【0117】
【化6】

【0118】
式中、各Rは独立に、水素、および1から6個の炭素原子のアルキルから選択される。さらなる実施形態において、Rは非環式、無分岐である。ガリウム錯体におけるヒドロキシピロンは、例えば、マルトールまたはピロメコン酸であり得る。一実施形態によれば、錯体はガリウムマルトラート(トリス(3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オナト(pyran-4-onato))ガリウム)である。Bernsteinら、「Chemistry and Pharmacokinetics of Gallium Maltolate. A Compound With High Oral Gallium Bioavailability」、Metal-Based Drugs 7(1):33〜47頁(2000年)(これは参照を通じて本明細書に組み込まれる)を参照。
【0119】
前記ガリウムヒドロキシピロン錯体は、胃液のpHを約5〜9、好ましくは約6〜7に上げるための、薬学的に適合する緩衝剤と共に投与され得る。このような緩衝剤の例には、これらに限らないが、炭酸カルシウム(CaCO3)、および炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)が含まれる。一実施形態において、前記ガリウム錯体は、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、および/または余分の遊離ヒドロキシピロン(もしくは、薬学的に許容される陽イオンを含むその塩)と共に投与される。遊離ヒドロキシピロンとガリウム錯体の重量比は、好ましくは、0.1から100の範囲である。一実施形態において、前記ガリウム錯体は、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、および/または余分の遊離ヒドロキシピロン(もしくは、薬学的に許容される陽イオンを含むその塩)と共に、あるいはこれら無しで、遅延放出の形態で投与される。緩衝剤および/または遊離ヒドロキシピロンは、本発明の医薬製剤に含められても、あるいは、それと共に同時に投与されてもよい。
【0120】
別の実施形態において、ガリウムは次の式を有する錯体として投与される。
【0121】
【化7】

【0122】
式中、それぞれのR1は、C1〜C8のn-アルキルであり、それぞれのR2は、HまたはC1〜C2アルキルであるか、あるいはR1およびR2は合わせてテトラまたはペンタ-メチレンである。米国特許第5196412号(これは参照を通じて本明細書に組み込まれる)を参照。
【0123】
別の実施形態によれば、本発明の医薬製剤は、約0.01、0.1、または0.5から、約1、5、10、または20グラムのガリウム塩を含む。さらに別の実施形態によれば、医薬製剤は、ヒトに摂取された時、約10から約400または1400mg/m2/日、あるいは、より好ましくは100〜300mg/m2/日とするのに十分な量のガリウム塩を含む。高カルシウム血症を治療する場合、この投与量は、約5日間続けることができる、あるいは、最適な血清カルシウム濃度が5日未満で達成された場合には、中止できる。さらに別の実施形態によれば、医薬製剤は、ヒトに摂取された時、次の1つまたは複数が得られるだけの十分な量のガリウム塩を含む:(a)約0.1から約5μg/ml、または約0.9から約2.0μg/mlの血漿ガリウム濃度、(b)約1000から約2500ng/mlのガリウムの平均定常状態血漿レベル、または(c)高カルシウム血症(例えば、癌に関連する高カルシウム血症)のヒトにおける、少なくとも2.0mg/dlの血清イオン化カルシウム(アルブミンについて補正して)の低下。
【0124】
ガリウム塩および送達剤化合物を含む安定な医薬製剤を調製するための配合技術
本発明の実施形態は、ガリウム塩、特に硝酸ガリウム、および送達剤化合物の経口製剤に伴う安定性の問題に対処する医薬製剤を提供する。ガリウム塩の経口製剤の開発で出会う主な問題は、硝酸ガリウムと送達剤化合物の存在下に起こる酸化反応である。水および痕跡量の硝酸(どちらも硝酸ガリウムに付随する)の存在が酸化反応に寄与すると考えられる。酸化反応は、投与形態が茶色に変色することによって明白に示され、送達剤および/またはガリウム塩の劣化生成物を生じ、これは望ましくない。例えば、硝酸ガリウムが溶解性に乏しい酸化ガリウムまたは水酸化ガリウム劣化生成物に変換されると、ガリウム分子の吸収を損ねる。
【0125】
如何なる特定の理論にも拘束されないが、硝酸ガリウムと送達剤化合物との間の相互作用が、水および/または硝酸の存在と一緒になって、劣化生成物を生じ、また投与形態を変色させる酸化反応を引き起こすか、あるいは少なくとも容易にすると考えられる。フェノール環を有する送達剤化合物は、このような酸化反応を一層起こしがちであるとも考えられる。このため、酸化は、硝酸ガリウムと送達剤化合物との接近を減らすこと、すなわち、製剤処理の間に起こり得る、非常に密接に接触する局面の数を少なくすることによって減らすことができるか、または完全に抑制できる。また、酸化は、ガリウム塩に付随する水が、例えば、水吸収性賦形剤および/または穏やかな乾燥の使用により、放出に際して封鎖されても、抑制され得る。また、硝酸ガリウムに付随する痕跡量の硝酸の中和も、酸化反応を抑制し得る。
【0126】
本発明の一実施形態は、ガリウム塩および送達剤化合物を含む医薬組成物の調製方法を提供し、この方法は、送達剤化合物(例えば、SNAD)を導入する前にガリウム塩を導入する工程を含む。製剤に送達剤化合物を添加する前に、ガリウム塩は、希釈剤、圧縮助剤または酸化防止剤のような配合材料と混合されるので、硝酸ガリウムは覆われ、ガリウム塩と送達剤化合物との間の相互作用は最低限度に抑えられる。代わりに、順序を逆にしてもよい - 送達剤が最初に添加され、次いで、「被覆する」賦形剤が加えられ、その後、ガリウム塩が添加されてもよい。ガリウム塩と送達剤化合物との間の密接な相互作用(特に、圧縮の間の)を防止することは、酸化反応を妨げ、または抑制しようとする試みである。
【0127】
本発明の別の実施形態は、ガリウム塩および送達剤化合物を含む医薬組成物の調製方法を提供し、この方法は、送達剤顆粒およびガリウム塩顆粒を別々に調製する工程を含む。1群の顆粒は、送達剤と顆粒内賦形剤(もしあれば)から本質的になり、第2群の顆粒は、ガリウム塩と顆粒内賦形剤から本質的になる。好ましい実施形態は、硝酸ガリウムの顆粒、およびSNADの顆粒を調製する工程、次いで、別々に調製された顆粒を混合する工程、および、後で、2つの群の顆粒を錠剤に圧縮するか、または2つの群の顆粒をカプセルに充填する工程を含む。経口投与の製剤に、粘度を増大させる賦形剤が、さらに含められてもよい。
【0128】
本発明のさらに別の実施形態は、送達剤化合物および/またはガリウム塩を含む医薬組成物の調製方法を提供し、この方法は、ガリウム塩(例えば、硝酸ガリウム)を水に溶かす工程、その後、硝酸ガリウムに付随する硝酸を中和する任意選択の工程を含む。この実施形態の一適用において、硝酸ガリウム溶液は、次に、SNAD(または別の送達剤)および/または製剤における他の賦形剤を造粒するための造粒溶液として使用されて、錠剤またはカプセルへとさらに処理される顆粒が生成される。中和の方法は、塩基(例えば、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムまたは水酸化ナトリウム)の添加によって硝酸ガリウム溶液のpHを約7〜7.5に上げること、あるいは、硝酸ガリウム水性造粒液が加えられる混合物へ塩基を添加することを含む。
【0129】
硝酸ガリウム製剤は、送達剤化合物が製剤に添加されないことを除いて、上の段落に記載されたように処理され得る。しかし、好ましくは、製剤は送達剤化合物を含む。
【0130】
別法として、硝酸が中和された硝酸ガリウム溶液は、乾燥されて、硝酸ガリウムおよび顆粒内賦形剤(もしあれば)から本質的になる顆粒、すなわち、送達剤化合物を含まない顆粒が生成され得る。好ましい実施形態において、硝酸ガリウムから本質的になる顆粒は、次に、送達剤化合物(例えば、SNAD)から本質的になる顆粒と混合され得る。いずれの実施形態においても、酸化防止剤およびバインダーが硝酸ガリウム溶液に添加され得る。
【0131】
本発明の一実施形態は、ガリウム塩および送達剤を含む医薬組成物の調製方法を提供し、この方法は、ガリウム塩(例えば、硝酸ガリウム)および送達剤化合物(例えば、SNAD)の粉末ブレンドのための低剪断混合技法または低剪断造粒技法を含む。低剪断混合または低剪断造粒技法は、ガリウム塩/送達剤の粒子-粒子相互作用の度合いを限られたものとし、またガリウム塩に付随する水の放出を減らす。これは、酸化反応を限られたものとするか、または完全に抑制しようとする試みである。一実施形態において、低剪断混合技法は、30〜500rpm、好ましくは30〜300rpmまたは30〜100rpmの回転速度を用い、混合機/造粒機で行なわれる。低剪断混合または造粒は、市販の低剪断混合機/造粒機、例えば、KitchenAid(登録商標)Mixer、Chemineer(登録商標)Nimix Mixing System、またはHobart(登録商標)混合機を用いて実施できる。低剪断混合または造粒技法には、また、リボンブレンダーおよびV形ブレンダー(例えば、液体添加装置を有するV形ブレンダー)を含めて、穏やかな回転運動により混合する市販のタンブラーブレンダーの使用が含まれる。
【0132】
本発明の別の実施形態は、ガリウム塩および送達剤化合物を含む医薬組成物の調製方法を提供し、この方法は湿った顆粒を穏やかに乾燥する工程を含む。一般的に、乾燥は、ほぼ60〜70℃で行なわれ、用途に応じて、2時間未満の継続時間で実施され得る。対照的に、本発明の実施形態は、より低温でより長時間に渡る乾燥が用いられる、すなわち、本発明の実施形態は、穏やかな乾燥技法を用いる。好ましくは、乾燥は、30〜50℃、より好ましくは30〜40℃の範囲の温度で、2から12時間、好ましくは4〜12時間の間に渡って実施される。穏やかな乾燥技法の使用は、酸化反応に寄与する、硝酸ガリウムに付随する水の可用性を減少させる。
【0133】
本発明の別の実施形態は、ガリウム塩および送達剤化合物を含む医薬組成物の調製方法を提供し、この方法は、錠剤を得るために低圧縮圧力を用いる工程を含む。一実施形態において、約1500psi未満、好ましくは約800psi未満の圧縮圧力が用いられる。一実施形態において、製品は圧縮されず、投与単位は粉末の形態(例えば、粉末パック)である。圧縮助剤(これらに限らないが、コロイダルシリカおよびマイクロクリスタリンセルロースが含まれる)の導入は、圧縮助剤がなければ必要とされるより低い圧力での、粉末または顆粒の錠剤への圧縮を容易にする。
【0134】
前記処理技法の任意の1つは、ガリウム塩および送達剤化合物を含む安定な医薬組成物を得るために、他の前記処理技法の1つまたは複数と組み合わされてもよい。これらの実施形態のいずれか1つの好ましい適用において、ガリウム塩は硝酸ガリウム(例えば、硝酸ガリウム一水和物)であり、送達剤化合物は、SNAD(SNADの二ナトリウム塩が含まれる)である。
【0135】
安定性を付与することに加えて、前記処理技法はそれら自体、経口投与でのガリウム塩のバイオアベイラビリティーを増大させ得る。一実施形態において、前記処理技法は、送達剤化合物の添加無しに実施される。送達剤化合物はまた、経口でのガリウム塩のバイオアベイラビリティーを容易にするので、好ましい実施形態は送達剤化合物を含む。
【0136】
ガリウム塩および送達剤化合物を含む安定な医薬製剤
本発明の別の態様は、ガリウム塩および送達剤化合物を含む安定な医薬製剤を提供する。これらの製剤は、好ましくは、前記の方法によって調製される、あるいは、それらは、粉末ブレンドの調製、湿式造粒法、湿った顆粒の乾燥、直接圧縮のための粉末ブレンドの調製またはこれらの任意の組合せ(これらに限らないが)を含めて、当技術分野において知られている他の方法によって調製されてもよい。
【0137】
本発明の一実施形態は、ガリウム塩および送達剤化合物を含む医薬組成物を提供し、この医薬組成物は、ガリウム塩ならびにそれに付随する硝酸および水を希薄化して送達剤化合物(例えば、SNAD)との如何なる酸化反応も限られたものにするのに十分な量の賦形剤をさらに含む。本明細書では、賦形剤には、希釈剤、結合剤、圧縮助剤(compression aid)、高多孔質剤、吸収剤、親水性ポリマー、乾燥剤、圧縮性助剤(compressibility aid)、酸化防止剤および崩壊剤が含まれる。賦形剤の非限定的例には、クロスカルメロースナトリウム(例えば、0.5〜50%w/w)、ポリビニルピロリドン(例えば、0.2〜50%w/w)、およびクロスポビドン(例えば、0.5〜50%w/w)、タルク、ならびにステアリン酸マグネシウムが含まれる。また、ナトリウムおよびカリウムのような他の金属を含む賦形剤(例えば、クエン酸ナトリウムまたはカリウム)(例えば、0.5〜50%w/w)を含めると、硝酸ガリウムからの水酸化ガリウムの生成を防止し得る。
【0138】
本発明の一実施形態において、医薬組成物における賦形剤の量は、医薬組成物の全重量に対して、約0.2%または2%から約65%または75%(w/w)である。本発明の一実施形態において、本発明の医薬組成物に存在する賦形剤の量は、単位投与形態において通常見出される量を超える。例えば、本発明の実施形態において、医薬組成物中の賦形剤の量は、医薬組成物の全重量に対して、約55%または60%から約65%または75%(w/w)の範囲であり得る。これは、硝酸ガリウムに付随する痕跡量の硝酸を希薄化するという有益な効果を有し、硝酸の反応、または送達剤化合物とガリウム塩との相互作用を限られたものとする。
【0139】
本発明の別の実施形態は、高多孔質剤および/または吸収剤(例えば、親水剤)をさらに含む、ガリウム塩および送達剤化合物を含む医薬組成物を提供する。これらの作用剤は、(1)ガリウム製剤中の水を吸収して、反応に水が利用されることをできる限り少なくすること;および(2)送達剤化合物およびガリウム塩の混合物を安定化する不活性基材(template)としての役目を果たすことができる。例には、これらに限らないが、デンプン(例えば、2〜75%w/w)、シリカ、例えばコロイダルシリカ(例えば、1〜20%w/w);セルロース、例えば、ケイ酸化マイクロクリスタリンセルロース(例えば、2〜75%w/w)、マイクロクリスタリンセルロース(例えば、2〜75%w/w);カオリナイト(アルミニウムシリケートヒドロキシド、例えば、1〜50%w/w)、アルミナ(例えば、1〜50%w/w)、およびケイ酸アルミニウムマグネシウム(例えば、1〜10%w/w)が含まれる。添加できる吸収剤の他の例は、ゼラチン、例えば、自重の約10%に達する水を吸収できるものを含めて、低分子量ゼラチン(例えば、1〜50%w/w)である。さらなる例には、親水性ポリマー、例えば、これらに限らないが、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(1〜50%w/w)、およびアルギン酸ナトリウム(1〜50%w/w)が含まれる。
【0140】
本発明のさらに別の実施形態は、圧縮助剤(これらに限らないが、マイクロクロスタリンセルロース(例えば、1〜75%w/w)、無水ラクトース(例えば、1〜75%w/w)、および噴霧乾燥されたラクトース(例えば、1〜75%w/w)が含まれる)をさらに含む、ガリウム塩および送達剤化合物を含む医薬組成物を提供する。このような圧縮助剤は、比較的低い圧力での、硝酸ガリウムおよび送達剤化合物の圧縮を容易にする。さらに、これらの圧縮助剤は、ガリウム塩ならびに付随する硝酸および水を希薄化して、送達剤化合物(例えば、SNAD)との酸化反応を限られたものとする賦形剤として働く。
【0141】
本発明のさらに別の実施形態は、起こり得る酸化反応を防止または抑制するための酸化防止剤をさらに含む、ガリウム塩および送達剤化合物を含む医薬組成物を提供する。酸化防止剤の非限定的例には、これらに限らないが、没食子酸プロピル、アスコルベート(ascorbate)、アルファトコフェロール、およびビタミンCが含まれる。本発明の一実施形態において、医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、約0.2%または1%から約20%または25%(w/w)の酸化防止剤を含む。
【0142】
本発明のさらに別の実施形態は、乾燥剤をさらに含む、ガリウム塩および送達剤化合物を含む医薬組成物を提供する。錠剤は、錠剤の中に組み入れることができる(例えば、長期の安定性を保証するための湿気不透性コートによりコーティングされた錠剤)、あるいは、医薬組成物のパッケージングまたは容器は、湿気の増加および蓄積を防止するための吸湿剤を含み得る。得られる投与形態もまた、湿気蒸気の透過が少ない容器にパッケージングされ得る。
【0143】
前記医薬製剤のいずれも、ガリウム塩を制御、調節(modified)、遅延および/または持続放出する徐放経口医薬製剤であり得る。このような製剤は、当業者に知られた方法によって調製できる。例には、これらに限らないが、(i)迅速放出(fast-release)層および制御放出層を含む2重層錠剤の調製;(ii)単独または適切な組合せのいずれかで適用される様々なポリマーまたは賦形剤(例えば、様々なグレードのヒドロキシルプロピルメチルセルロース;ヒドロキシルエチルセルロース、アルギン酸ナトリウムおよびマイクロクリスタリンセルロース、ゼラチンおよびアルギン酸)の適用、が含まれる。ガリウム塩の抗カルシウム作用は、計画に関連するので(すなわち、低濃度に長期間曝すと、高用量による短期治療より大きな、骨の再吸収の抑制を生じる)、本発明の徐放経口製剤は効能を向上させ得る。徐放製剤はまた、ガリウム塩の急速な吸収により生じる望ましくない副作用、例えば、吐き気、嘔吐、および腎不全の危険の増大を減らし得る。
【0144】
バイオアベイラビリティーを向上させるために、ガリウム塩粒子および/または送達剤粒子は微粉状になっている。これらの粒子は、細かい顆粒状でもマイクロビーズ状であってもよく、900または1000μm未満の大きさの中央値を有し得る。例えば、粒径中央値は、約45から約840μm、約45から約150μm、約150から約250μm、約250から約425μm、約425から約850μm、約100から約1000μm、および約500から約1000μmの範囲であり得る。別の実施形態によれば、粒子は約1μm未満の粒径中央値を有する。一実施形態において、送達剤だけが微粉状になっている。別の実施形態において、送達剤およびガリウム塩の両方が微粉状でなっている。硝酸ガリウムおよび/または送達剤(例えば、SNAD)は、迅速な放出または遅延放出の製剤では、カプセルまたは錠剤として投与され得る。このような製剤は、例えば、キトサン、アルギン酸、デキストリン、ゼラチンおよびポリメタクリル酸もまた含み得る。微粉状粒子の調製方法は、2005年9月6日に出願された米国特許出願第11/204778号に開示されており、この特許出願は、参照を通じて全体として本明細書に組み込まれる。
【0145】
固体医薬製剤は、錠剤、カプセル(ハードおよびソフトゼラチンカプセルが含まれる)、および粒子、例えば、粉末およびサシェ(sachet)の形態にあり得る。本発明の一実施形態において、医薬組成物は、粉末が錠剤へと圧縮される時に、時々認められる酸化の問題を避けるために、粉末状である。固体の投与形態は、固体状の送達剤と固体状のガリウム塩とを混合することによって調製され得る。別法として、固体は、送達剤およびガリウム塩の溶液から、当技術分野において知られている方法、例えば、凍結乾燥、沈殿、晶析および固体分散によって得られてもよい。
【0146】
本発明の医薬製剤はまた、1種または複数の酵素阻害剤も含み得る。このような酵素阻害剤には、これらに限らないが、アクチノニンまたはエピアクチノニン、およびこれらの誘導体のような化合物が含まれる。他の酵素阻害剤には、これらに限らないが、アプロチニン(Trasylol)およびBowman-Birk阻害剤が含まれる。
【0147】
医薬製剤はまた、可塑剤、着色剤、香味剤、味マスキング剤、糖、甘味料、塩、および投与媒体(これらに限らないが、水、1,2-プロパンジオール、エタノール、オリーブオイル、もしくはこれらの組合せが含まれる)のいずれか1つまたは組合せも含み得る。
【0148】
医薬製剤に含まれるガリウム塩(例えば、硝酸ガリウム)の量は、ターゲットとする徴候に対する、ガリウム含有塩の目的を達成するのに有効な量である。医薬製剤におけるガリウム塩の量は、通常、薬理学的に、生物学的に、治療上、または化学的に有効な量である。しかし、医薬製剤が本発明の投与単位形態で用いられる時には、投与単位形態が、送達剤/ガリウム塩の複数の医薬製剤を含み得る、あるいは、薬理学的に、生物学的に、治療上、または化学的に有効な量を分割して含み得るので、医薬製剤におけるガリウム塩の量は、この量より少ないこともあり得る。この場合、有効な量の全体は、有効な量のガリウム塩を全体として含む漸加(cumulative)単位として投与されてよい。
【0149】
使用されるガリウム塩の全量は、当業者に知られた方法によって決めることができる。しかし、本発明の医薬製剤は、ガリウム塩を単独で含む製剤より効率的にガリウム塩を送達し得るので、従来の投与単位形態または送達システムにおいて用いられるより少量のガリウム塩が、同じ血液レベルおよび治療効果を依然として実現しながら、患者に投与され得る。
【0150】
送達剤は、ガリウム塩の送達を、特に経口の形態で、容易にするが、鼻腔内、舌下、十二指腸内、皮下、口腔内、結腸内、直腸内、膣、粘膜、肺、経皮、皮内、非経口、静脈内、筋肉内および目のシステムにもまた有用である。
【0151】
医薬製剤は、哺乳動物(これらに限らないが、ウマ、齧歯類、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、霊長類、特にヒトが含まれる)にガリウム塩を投与するのに有用である。
【0152】
別の実施形態によれば、医薬製剤は、高カルシウム血症、悪性腫瘍、またはガリウムが有効である他の徴候を治療し、治し、緩和し、または防止する他の薬物を含む。例えば、一実施形態において、医薬組成物は化学療法剤を含む。別の実施形態において、医薬組成物は補助化学療法剤を含む。本発明の医薬製剤は、化学療法の間に、またはそれに続いて投与され得る。好ましい一実施形態によれば、医薬製剤が化学療法に続いて投与される時には、医薬製剤は補助化学療法剤、例えば、フィルグラスチムまたはエリスロポエチンを含む。
【0153】
治療方法
本発明の医薬製剤は、ガリウム塩が治療および/または防止できることが知られている疾患を治療および/または防止するために投与され得る。通常、有効な量の医薬製剤が所望の疾患を治療および/または防止するために投与される。このような疾患には、これらに限らないが、高カルシウム血症(非小細胞肺癌、乳癌、前立腺癌、多発性骨髄腫、扁平上皮癌、腎臓癌、尿道および膀胱癌、および頭頸部癌を含めて、癌に関連する高カルシウム血症および悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症が含まれる)、骨からの過度の(または、加速度的な)カルシウム喪失に伴う疾患、骨量減少、骨粗鬆症、悪性腫瘍からの転移に起因する骨の破壊、副甲状腺機能亢進症、ならびに歯周疾患が含まれる。
【0154】
医薬製剤はまた、次の目的でも投与され得る:
(1)哺乳動物(例えば、ヒト)の骨によるカルシウムの取り込みを増加させる、高カルシウム血症、骨脆弱、または異常に増加したカルシウムの再吸収(または放出)に伴う他の疾患を有する哺乳動物(例えば、ヒト)の骨からのカルシウムの再吸収(または放出)を抑制する、
(2)骨からの過度の(または、加速度的な)カルシウム喪失に起因する骨疼痛を治療する、および/または
(3)骨からの過度の(または、加速度的な)カルシウム喪失に起因する骨折を防止する、
(4)パジェット病を治療または防止する、
(5)破骨細胞活性を抑制する、および/または骨芽細胞活性を促進する、
(6)尿道(尿路)悪性腫瘍を治療または防止する、
(7)腫瘍を治療または防止する、
(8)尿道、小細胞肺、泌尿生殖器の悪性腫瘍(例えば、前立腺、睾丸および膀胱の癌)、リンパ腫、白血病、および多発性骨髄腫を含めて、癌を治療または防止する、
(9)骨転移(および、付随する疼痛)を処理する、
(10)同種移植での拒絶を含めて、免疫応答を弱める、
(11)鉄の代謝を中断させる、
(12)細胞遊走を促進させる、
(13)皮膚、結合組織および支持組織(例えば、皮膚、腱、筋膜、組織を包むコラーゲン含有組織、骨)の治療および増強、すなわち、創傷の治療を高める、
(14)マイコバクテリウム種(これらに限らないが、結核菌、およびマイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(Mycobacterium avium complex))の感染過程を弱める、治療する、または防止する、
(15)皮膚の疾患および欠点(blemish)を治療する、例えば、皮膚の裂傷、破損、皺、または欠陥の治癒を容易にする、
(16)AIDSに伴う非ホジキンリンパ腫(米国特許第6562870号を参照)を治療する、
(17)ウイルス感染症を治療する、例えば、HIVを治療する(米国特許第5525598号を参照)、
(18)骨の成長を増大させる、ヒドロキシアパタイトの溶解性を低下させる、骨におけるヒドロキシアパタイト結晶の大きさおよび/または完全さを増大させる、および/または、骨の引張り強さを増大させる、
(19)骨組織におけるカルシウム付加を増大させる、および/または骨再吸収を減少させる、また
(20)尿路上皮癌または非扁平上皮細胞癌を治療または防止する(Bernsteinら、Metal-Based Drugs 7(1):33〜47頁(2000年)を参照)。
【0155】
本発明の医薬製剤は、(1)「Physicians’Desk Reference」(第58版、2004年、Medical Economics Company, Inc.、Montvale、NJ)、(2)Fauci, ASら、「Harrison’s Principles of Internal Medicine」(第14版、1998年、McGraw-Hill Health Professions Division、New York)、および(3)米国特許第4529593号、米国特許第4704277号、米国特許第5196412号、米国特許第5258376号、米国特許第5525598号、米国特許第5556645号、米国特許第5574027号、米国特許第5686116号、米国特許第5883088号、米国特許第5981518号、米国特許第5998397号、米国特許第5968922号、米国特許第6004951号、米国特許第6048851号、米国特許第6087354号、米国特許第6165514号、および米国特許第6562870号に見出される、ガリウム塩に対する徴候を治療するために投与され得る。前記特許および出版物の全ては、参照を通じて全体として本明細書に組み込まれる。
【0156】
癌に関連した高カルシウム血症は、比較的高用量のガリウム塩を含む本発明の医薬製剤の数日間の投与、それに続く、再発を防ぐための、より少ない用量のガリウム塩を含む医薬製剤の連日投与によって治療できる。歯周疾患に起因する、骨からのカルシウム喪失の治療では、ガリウム塩および送達剤は、例えば高濃度のリンス、ゲル、または他の薬学的に許容される担体を含む、歯周疾患の局所治療のための口腔内製剤として局所投与され得る。
【0157】
一実施形態において、癌の治療は、本発明の医薬製剤の有効量の投与によってもたらされる。ガリウムの有効量は、経口投与される場合、ガリウム塩の静脈内または皮下注入による、すでに報告された投与計画に相応する投与量および計画を含む。例えば、一実施形態において、短時間の注入によって投与される700〜750mg/m2の硝酸ガリウムの経口での相当量が、2〜3週間毎に経口投与される、あるいは、注入によって投与される300μg/m2/日の経口での相当量が3日連続して、2週間毎に繰り返して投与される;あるいは、7日間連続して注入によって投与される300mg/m2/日の経口での相当量が、3〜5週間毎に繰り返して、経口投与される。例えば、Fosterら、「Gallium Nitrate: The Second Metal With Clinical Activity」、Cancer Treatment Reports、70:1311〜1319頁(1986年)(これは参照を通じて本明細書に組み込まれる)を参照。
【0158】
別の実施形態において、ガリウム塩(例えば、硝酸ガリウム)および送達剤を含む局所用組成物が、加齢に起因する皺、および以前の損傷(例えば、アクネまたは以前の外傷)に起因する皮膚の欠陥を含めて、皮膚の状態を治療するために皮膚に付けられる。米国特許第5556645号(これは参照を通じて本明細書に組み込まれる)を参照。
【0159】
一実施形態において、ガリウム塩(例えば、硝酸ガリウム)および本発明の送達剤を含む局所用組成物が、創傷を治療するために付けられる。さらなる実施形態において、本発明の局所用組成物は、創傷のための包帯または被覆剤(dressing)に組み入れられる、または付けられる。米国特許第6165514号(これは参照を通じて本明細書に組み込まれる)を参照。
【0160】
以下の実施例は限定することなく本発明を例示する。特に断らなければ、全ての部数は重量によって与えられる。
【実施例1】
【0161】
様々な比率での硝酸ガリウムおよびSNADの粉末ブレンド。これらの粉末ブレンドの全てで色の変化は全くなかった。
【0162】
【表1】

【0163】
これは、圧縮されていない粉末としての投与形態(例えば、粉末の包み)が、酸化を受けにくいことを示す。
【実施例2】
【0164】
700psiでKorsch EK-0単発式打錠機を用いて圧縮した、硝酸ガリウムおよびSNAD粉末ブレンドの成分。最初の白色の粉末ブレンドは圧縮後直ちに暗茶色に変わった。
【0165】
【表2】

【実施例3】
【0166】
実施例2の粉末ブレンドにコロイダルシルカ(Aerosil 200(登録商標))を含めること。Aerosilを含む粉末ブレンドに色の変化は全くなかった。200mgのブレンドを、700psiの圧力で、Korsch EK-0単発式打錠機で圧縮したが、色の変化はなかった。
【0167】
【表3】

【実施例4】
【0168】
造粒流体としてポリビニルピロリドン(PVP)を用いる硝酸ガリウムおよびSNADの湿式造粒。粉末ブレンドおよび湿った顆粒の調製の間、色の変化は全くなかった。
【0169】
【表4】

【0170】
真空オーブン中40℃で4時間の乾燥後、顆粒に暗い変色が認められた。これは、乾燥中に放出された水が酸化反応に寄与したこと、および使用したPVPの量がこの実施例において、またこれらの処理条件の下で、変色を防止するのに不十分であったことを示す。
【実施例5】
【0171】
実施例4の硝酸ガリウムおよびSNADの粉末ブレンドにマイクロクリスタリンセルロース(Ceolus(登録商標))を含めること。湿った顆粒を、真空オーブン[Model 282A、Fisher Scientific]中40℃で4時間乾燥した。
【0172】
【表5】

【0173】
顆粒を乾燥後、暗い変色が認められた。この観察は、マイクロクリスタリンセルロースのような圧縮助剤は、硝酸ガリウムおよびSNADの混合物を安定化させるのに、このような条件下では不十分であることを示す。
【実施例6】
【0174】
デンプンを含む硝酸ガリウムおよびSNADの粉末ブレンド。粉末ブレンドをPVP 1%により造粒し、湿った顆粒を真空オーブン中40℃で4時間乾燥した。粉末ブレンド、湿式造粒、および湿った顆粒の乾燥の過程の間に、色の変化は全くなかった。この配合は、硝酸ガリウム/SNAD混合物を安定化するのに、デンプンのような吸収性賦形剤を用いることの有用性を例示した。
【0175】
【表6】

【実施例7】
【0176】
安定な硝酸ガリウム/SNAD製剤の成分。粉末ブレンド、湿式造粒、および湿った顆粒の乾燥の過程の間に色の変化は全くなかった。PVPを造粒液体として用いた。700psiで単発打錠機を用いて、錠剤(200mgの重さ)を圧縮した。この配合は、粉末混合、PVPによる湿式造粒、および真空オーブン中40℃で4時間の乾燥による、硝酸ガリウム製剤における、デンプンおよびゼラチンのような賦形剤の有効性を例示した。
【0177】
【表7】

【実施例8】
【0178】
安定な硝酸ガリウム/SNAD製剤の成分。粉末ブレンド、湿式造粒、および湿った顆粒の乾燥の過程の間に、色の変化は全くなかった。ゼラチン溶液(40℃の精製水にゼラチンを添加することによって調製した)を、造粒液体として用いた。乾いた顆粒(200mg)を、700psiで、単発式打錠機(Korsch EK-0)で圧縮した。粉末混合、ゼラチン溶液による湿式造粒、および真空オーブン中40℃で4時間の乾燥によって調製される、この配合は、デンプン、エアロゾルおよびゼラチンのような賦形剤の有効性を例示した。
【0179】
【表8】

【実施例9】
【0180】
安定な硝酸ガリウム/SNAD製剤の成分。粉末ブレンド、湿式造粒、および顆粒の乾燥の過程の間に、色の変化は全くなかった。この配合は、没食子酸プロピル(酸化防止剤)を、SNADを含む硝酸ガリウム製剤に含めることができることを例示した。
【0181】
【表9】

【実施例10】
【0182】
デンプンおよびフュームドシリカの組合せを用いる、硝酸ガリウム/SNAD製剤を調製した。造粒溶液としてPVP溶液を用い、湿った顆粒を調製した。各錠剤は、180mgの硝酸ガリウム九水和物(1錠当たり30mgのガリウム金属)を含む。
【0183】
【表10】

【実施例11】
【0184】
クエン酸ナトリウムおよび没食子酸プロピルを含む硝酸ガリウム/SNAD製剤を調製した。デンプンおよびAerosilの組合せを希釈剤として用いた。湿った顆粒を、造粒溶液としてPVP溶液を用いて調製した。各錠剤は180mgの硝酸ガリウム九水和物(1錠当たり30mgのガリウム金属)を含む。
【0185】
【表11】

【実施例12】
【0186】
造粒溶液として硝酸ガリウム水溶液を用いる硝酸ガリウム/SNAD製剤。硝酸ガリウム:SNADの重量比は1:10である。デンプンは希釈剤として用いた。湿った顆粒を、造粒溶液として硝酸ガリウム水溶液を用いて調製した。各錠剤は180mgの硝酸ガリウム九水和物(1錠当たり30mgのガリウム金属)を含む。
【0187】
【表12】

【実施例13】
【0188】
下の表における全ての成分は、サイズ#35(細孔径500μm)の篩を通して選別した。必要量のAerosil 200(コロイダルシリカ)、α化デンプン、クエン酸ナトリウムおよびポビドンを秤量し、乳鉢と乳棒を用いて約5分間ブレンドした。硝酸ガリウム水溶液を、3.6gの硝酸ガリウム(20錠を製造するのに必要な量)を約2〜3gの水に溶かすことによって調製した。硝酸ガリウムの透明な溶液が得られた時に、この硝酸ガリウム水溶液を滴下して加えることによって、賦形剤の粉末ブレンドを顆粒化した。
【0189】
実施例13の硝酸ガリウム経口錠剤の成分。各錠剤は180mgの硝酸ガリウム(30mgのガリウム金属)を含む。
【0190】
【表13】

【0191】
硝酸ガリウム溶液を一滴ずつ添加した後、粉末ブレンドを穏やかに混合した。約1gの精製水を加えて造粒過程を完了した。湿った顆粒を、湿分含量が約5%になるまで、真空オーブン(Isotemp Model 282A;Fisher Scientific)中40℃で乾燥した。次いで、乾燥した顆粒をミル加工し、#35の篩を通して選別して、均一な大きさの顆粒を得た。乾燥した顆粒は、湿分含量、および単位重量の顆粒当たりのガリウムについて分析した。乾燥した顆粒を、必要量のクロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムと5分間ブレンドし、錠剤に圧縮した。
【実施例14】
【0192】
300ミリグラムのα化デンプンを300ミリグラムのSNADに置き換えた以外は、実施例13と同様に錠剤を調製した。実施例14の錠剤は下の表に示す量を有していた。
【0193】
実施例14の硝酸ガリウム/SNAD経口錠剤の成分。各錠剤は180mgの硝酸ガリウム(30mgのガリウム金属)を含む。
【0194】
【表14】

【0195】
実施例13および14の製剤の薬物動態学的プロフィールをビーグル犬で評価した。ビーグル犬での研究は、Emisphere Technologiesの実験動物委員会(Animal Care and Use Committee)により承認されたプロトコルに従って実施した。各ビーグルに、実施例13および14の硝酸ガリウム錠剤を経口投与した。1匹のビーグル当たりの投与量は180mgの硝酸ガリウム(または、30mgのガリウム金属)であった。投与前に、少なくとも8時間ビーグルに餌を与えず、研究直後に餌を与えた。絶食は24時間を超えなかった。約0.5mlの容量の血液試料を、投与の前後に頸静脈から抜き取った。血液の抜取り時点は、-15、+10、20、30、40、50分、1、2、3、4、8、24時間であった。血液試料は、採取直後に氷の上に置き、次いで、ほぼ4℃で10分間、3000RPMで遠心した(採取後45分以内)。血漿試料は、ガリウムレベルの分析時まで、-20℃で保管した。血漿ガリウム金属レベルは、ICP(誘導結合プラズマ原子発光分光)法によって分析した。血漿ガリウム濃度(ng/mL)を下に示す。
【0196】
【表15】

【0197】
【表16】

【0198】
これらの結果はまた図1にも示す。
【0199】
前記特許、出願、試験法、および出版物は、参照を通じて全体として本明細書に組み込まれる。
【0200】
上記の詳細な説明に鑑みて、本発明の多くの変形形態が当業者に浮かぶであろう。このような明白な変形形態は全て、添付の特許請求の範囲の完全な保護範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)薬学的に許容されるガリウム塩またはその活性代謝物もしくはプロドラッグ、および(b)医薬製剤の酸化を防止または軽減するための少なくとも1種の送達剤を含む医薬製剤の調製方法であって、次の工程:
(a)ガリウム塩および送達剤を低剪断混合技法により混合する工程;
(b)ガリウム塩から本質的になる湿った顆粒、送達剤から本質的になる湿った顆粒、または両方を調製し、湿った顆粒の穏やかな乾燥を実施する工程;
(c)低圧縮圧力を用いて、送達剤およびガリウム塩を含む錠剤を調製する工程;
(d)医薬製剤に、医薬製剤の変色を防止する効果のある量の賦形剤を導入する工程
の少なくとも1つを含む方法。
【請求項2】
低剪断混合技法が、30〜500rpmを有するミキサーで実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
穏やかな乾燥が約30〜50℃の温度で行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
穏やかな乾燥が2〜12時間行なわれる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
錠剤が、1500psi未満の圧力を用いて圧縮される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
賦形剤が、希釈剤、高多孔質剤、吸収剤、親水性ポリマー、圧縮助剤、結合剤、崩壊剤、乾燥剤、酸化防止剤、またはこれらの任意の組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
賦形剤が、デンプン、ゼラチン、シリカおよびコロイダルシリカである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
賦形剤が医薬組成物の全重量の約0.2〜75%をなす、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
賦形剤が医薬組成物の全重量の約10〜75%をなす、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
(a)薬学的に許容されるガリウム塩またはその活性代謝物もしくはプロドラッグ、および(b)医薬製剤の酸化を防止または軽減するための少なくとも1種の送達剤を含む医薬製剤の調製方法であって、次の工程:
a. 送達剤化合物および賦形剤から本質的になる顆粒を調製する工程;
b. ガリウム塩および賦形剤から本質的になる顆粒を調製する工程;
c. 顆粒を混合する工程;および
d. 顆粒を錠剤にするか、または顆粒をカプセルに充填する工程
を含む方法。
【請求項11】
送達剤化合物および賦形剤から本質的になる顆粒の導入の前に、顆粒外賦形剤が、ガリウム塩および賦形剤から本質的になる顆粒を含む混合物に加えられる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ガリウム塩および賦形剤から本質的になる顆粒の導入の前に、顆粒外賦形剤が、送達剤および賦形剤から本質的になる顆粒を含む混合物に加えられる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
(a)薬学的に許容されるガリウム塩またはその活性代謝物もしくはプロドラッグ、および(b)医薬製剤の酸化を防止または軽減するための少なくとも1種の送達剤を含む医薬製剤の調製方法であって、次の工程:
a. ガリウム塩を水に溶かしてガリウム塩溶液とする工程;
b. ガリウム塩溶液を塩基により中和する工程;および
c. 中和されたガリウム塩溶液を、送達剤を造粒するための造粒溶液として用いる工程
を含む方法。
【請求項14】
ガリウム塩溶液が約7.0〜7.5のpHに中和される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
塩基が、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムまたは水酸化ナトリウムである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
(a)薬学的に許容されるガリウム塩またはその活性代謝物もしくはプロドラッグ、および(b)医薬製剤の酸化を防止または軽減するための少なくとも1種の送達剤を含む医薬製剤の調製方法であって、次の工程:
a. ガリウム塩を水に溶かしてガリウム塩溶液とする工程;
b. ガリウム塩溶液を塩基により中和する工程;
c. 中和されたガリウム塩溶液を乾燥して、ガリウム塩および賦形剤から本質的になる顆粒を調製する工程;
d. 顆粒外賦形剤を加える任意選択の工程;
e. 送達剤および賦形剤から本質的になる顆粒を導入する工程;
f. 顆粒を混合する工程;および
g. 混合された顆粒を錠剤にするか、または混合された顆粒をカプセルに充填する工程
を含む方法。
【請求項17】
ガリウム塩溶液が約7.0〜7.5のpHに中和される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
塩基が、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムまたは水酸化ナトリウムである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
ガリウム塩が硝酸ガリウム(その水和物も含まれる)である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ガリウム塩が硝酸ガリウム九水和物である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
送達剤がSNADである、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
送達剤がSNADの二ナトリウム塩である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
送達剤がSNACである、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
医薬製剤が、ヒトへの経口摂取で、
(a)約0.1から約5μg/ml、または約0.9から約2.0μg/mlの血漿ガリウム濃度、
(b)約1000から約2500ng/mlのガリウムの平均定常状態血漿レベル、または
(c)高カルシウム血症(例えば、癌に関連する高カルシウム血症)のヒトにおける、少なくとも2.0mg/dlの血清カルシウム(アルブミンについて補正して)の低下
の1つまたは複数をもたらす、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−542711(P2009−542711A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518557(P2009−518557)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/072373
【国際公開番号】WO2008/003050
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(500139958)エミスフェアー・テクノロジーズ・インク (28)
【Fターム(参考)】