説明

硫化水素低減方法及び硫化水素低減装置

【課題】効率よく硫化水素の濃度を低減できる、硫化水素低減方法並びに硫化水素低減装置を提供する。
【解決手段】硫化水素低減装置1は、それぞれ水8が溜められた4つの100リットルの槽と、硫化水素を含んだ温泉ガス3Bが発生する場所を囲って略密閉状態とする囲い3Aに接続していると共に温泉ガス3Bを吸気して第1の槽2に供給する硫化水素供給管3と、各槽内の水8に空気供給管4Aを通して空気を供給し曝気するブロワ4と、第2の槽2A内の水8に液体微生物を供給する微生物供給機5とを備え、第1の槽2と第2の槽2A、第2の槽2Aと第3の槽2B、そして第3の槽2Bと第4の槽2Cはそれぞれ塩化ビニル製の連通管6によって通じており、連通管6内を水8が移動できる様に構成されている。また、第4の槽2Cには、水8を排出する排水管7が取り付けられている。また、各槽の上部は開放されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硫化水素低減方法及び硫化水素低減装置に関する。詳しくは、温泉ガスや温泉水中の硫化水素濃度を低減する硫化水素低減方法並びに硫化水素低減装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
硫化水素は、腐敗した卵に似た強い刺激臭を有し、目、皮膚、粘膜等を刺激して人体に悪影響を及ぼす気体である。また、自然界において、硫化水素は火山ガスや温泉等に含まれ、温泉の吹き出し口等では窪地に溜まりやすく、空気中に拡散しにくい洞窟内や積雪等によって覆われた場所では特に硫化水素濃度が高い。一般に、1000〜2000ppmの硫化水素を人間が吸うと即死するとされるが、積雪等によって覆われた場所では、約5000ppmになるといわれている。特に、観光客等で賑う温泉地では、積雪によって硫化水素が溜まった場所が隠され、観光客がこのような場所に立ち入ってしまうおそれもあり、硫化水素を除去して、硫化水素の濃度を労働安全衛生法の規制値(許容限界濃度)である10ppmより低い値にするなどの対策が求められている。
【0003】
硫化水素を除去する方法については様々な技術が提案されており、例えば、硫化水素と水酸化鉄の化学反応及び吸着によって硫化水素を除去する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
ここで、図4は従来の硫化水素を除去する方法(従来方法)を説明するための概略図であり、従来方法では、脱硫化水素材であるペレット102が充填された脱硫化水素装置101に硫化水素含有ガスを導入し、ガス中の硫化水素をペレット102と反応させることで硫化水素を吸着させて除去している。
【0004】
【特許文献1】特開2002−253963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ペレット表面は硫化水素の接触により反応するものの、ペレット内部には硫化水素が浸透しにくいためにかなりの部分が未反応のまま残り、反応効率が悪くて無駄が多く、また、柱状のペレットであるため脱硫化水素装置内に均一に充填されず、特に壁部において大きな空隙が形成され、その結果ガスが均一に流れずにペレットとの接触が不均一になって、充分に硫化水素を除去できていなかった。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、効率よく硫化水素の濃度を低減できる、硫化水素低減方法及び硫化水素低減装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の硫化水素低減方法は、硫化水素を含む温泉ガスまたは硫化水素を含む温泉水のうち少なくとも一方を水に溶かして硫化水素水溶液を生成する工程と、前記硫化水素水溶液に空気を供給する工程とを備えることを特徴とする。
【0008】
ここで、温泉ガスまたは硫化水素を含む温泉水のうち少なくとも一方を水に溶かして得られた硫化水素水溶液に空気を供給することによって硫化水素が酸化される。
【0009】
また、本発明の硫化水素低減方法において、硫化水素水溶液に、ミクロバクテリウムサペルダエ(Microbacterium saperdae)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−1(FERM P−17974)、スフィンゴモナスエスピー(Sphingomonas sp.)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−2(FERM P−17975)、ミクロバクテリウムエステラロマティクム(Microbacteriumesteraromaticum)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−3(FERM P−17976)、及びバチルスセレウス(Bacillus cereus)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−4(FERM P−17977)のうちの少なくとも1つの微生物を供給する工程を備える場合、供給された微生物によって硫化水素が除去される。
【0010】
また、本発明の硫化水素低減方法において、硫化水素水溶液に、ミクロバクテリウムサペルダエ(Microbacterium saperdae)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−1(FERM P−17974)、スフィンゴモナスエスピー(Sphingomonas sp.)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−2(FERM P−17975)、ミクロバクテリウムエステラロマティクム(Microbacteriumesteraromaticum)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−3(FERM P−17976)、及びバチルスセレウス(Bacillus cereus)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−4(FERM P−17977)のうちの少なくとも1つの微生物を供給すると共に空気を供給する工程を備える場合、供給された空気の酸素によって微生物の働きが活発になり、活発な微生物によって硫化水素が除去される。
【0011】
また、上記の目的を達成するために、本発明の硫化水素低減方法は、硫化水素を含む温泉ガスまたは硫化水素を含む温泉水のうち少なくとも一方を水に溶かして硫化水素水溶液を生成する第1工程と、該第1工程後に、前記硫化水素水溶液に空気を供給する第2工程と、該第2工程後に、前記硫化水素水溶液に、ミクロバクテリウムサペルダエ(Microbacterium saperdae)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−1(FERM P−17974)、スフィンゴモナスエスピー(Sphingomonas sp.)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−2(FERM P−17975)、ミクロバクテリウムエステラロマティクム(Microbacteriumesteraromaticum)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−3(FERM P−17976)、及びバチルスセレウス(Bacillus cereus)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−4(FERM P−17977)のうちの少なくとも1つの微生物を供給すると共に空気を供給する第3工程とを備えることを特徴とする。
【0012】
ここで、硫化水素を含む温泉ガスまたは硫化水素を含む温泉水のうち少なくとも一方を水に溶かして硫化水素水溶液を生成する第1工程後に、硫化水素水溶液に空気を供給する第2工程によって、硫化水素が酸化される。また、硫化水素水溶液に微生物を供給すると共に空気を供給する第3工程によって、供給された空気の酸素によって微生物の働きが活発になり、活発な微生物によって硫化水素が除去される。
【0013】
また、本発明の硫化水素低減方法において、第3工程の硫化水素水溶液は、第2工程の硫化水素水溶液よりも高温である場合、微生物の働きを活発化させることができる。
【0014】
また、上記の目的を達成するために、本発明の硫化水素低減装置は、硫化水素を含む温泉ガスまたは硫化水素を含む温泉水のうち少なくとも一方を水に溶かした硫化水素水溶液中の硫化水素の濃度を低減する硫化水素低減装置において、容器と、該容器内に硫化水素を含む温泉ガスまたは硫化水素を含む温泉水のうち少なくとも一方を供給する硫化水素供給手段と、前記容器内に空気を供給する空気供給手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
ここで、硫化水素供給手段によって水に硫化水素を溶かすことができ、空気供給手段によって硫化水素を酸化させることができる。
【0016】
また、本発明の硫化水素低減装置において、容器内に、ミクロバクテリウムサペルダエ(Microbacterium saperdae)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−1(FERM P−17974)、スフィンゴモナスエスピー(Sphingomonas sp.)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−2(FERM P−17975)、ミクロバクテリウムエステラロマティクム(Microbacteriumesteraromaticum)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−3(FERM P−17976)、及びバチルスセレウス(Bacillus cereus)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−4(FERM P−17977)のうちの少なくとも1つの微生物を供給する微生物供給手段を備える場合、供給された微生物によって硫化水素が除去される。
【0017】
更に、上記の目的を達成するために、本発明の硫化水素低減装置は、硫化水素を含む温泉ガスまたは硫化水素を含む温泉水のうち少なくとも一方を水に溶かした硫化水素水溶液中の硫化水素の濃度を低減する硫化水素低減装置において、第1の容器と、該第1の容器と互いに通じている第2の容器と、前記第1の容器内に硫化水素を含む温泉ガスまたは硫化水素を含む温泉水のうち少なくとも一方を供給する硫化水素供給手段と、前記第1の容器及び前記第2の容器内に空気を供給する空気供給手段と、前記第2の容器内にミクロバクテリウムサペルダエ(Microbacterium saperdae)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−1(FERM P−17974)、スフィンゴモナスエスピー(Sphingomonas sp.)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−2(FERM P−17975)、ミクロバクテリウムエステラロマティクム(Microbacteriumesteraromaticum)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−3(FERM P−17976)、及びバチルスセレウス(Bacillus cereus)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−4(FERM P−17977)のうちの少なくとも1つの微生物を供給する微生物供給手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
ここで、第1の容器及び前記第2の容器内に空気を供給する空気供給手段によって、硫化水素が酸化される。また、第2の容器内に微生物を供給する微生物供給手段によって、供給された微生物が硫化水素を除去し、空気供給手段が供給する空気中の酸素によって微生物の働きが活発になる。
【0019】
また、本発明の硫化水素低減装置において、第1の容器内で空気が供給された硫化水素水溶液が前記第2容器に供給される場合、硫化水素を酸化させたうえに更に微生物によって硫化水素を除去できる。
【0020】
また、本発明の硫化水素低減装置において、第1の容器の上部が開放されていると共に、第1の容器が第2の容器よりも高い位置に配置されている場合、容器の上部が開放されているので硫化水素が大気中に拡散しやすくなり、また第1の容器を第2の容器よりも高い位置例えば山頂に配置することで、人気が少なく硫化水素を拡散させやすいうえに高地であるため気温も低く容器内の水温も低下して硫化水素を溶かしやすくなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る硫化水素低減方法は、効率よく硫化水素の濃度を低減することができる。また、本発明に係る硫化水素低減装置は、効率よく硫化水素の濃度を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明を適用した硫化水低減装置の一例を示す概略図である。本発明を適用した硫化水素低減装置1は、それぞれ水8が溜められた4つの100リットルの槽(第1の槽2、第2の槽2A、第3の槽2B及び第4の槽2C)と、硫化水素を含んだ温泉ガス3Bが発生する場所を囲って略密閉状態とする囲い3Aに接続していると共に温泉ガス3Bをファン(図示せず。)で吸気して第1の槽2に供給する硫化水素供給管(硫化水素供給手段の一例である。)3と、各槽内の水8に空気供給管4Aを通して空気を供給し曝気するブロワ(空気供給手段の一例である。)4と、第2の槽2A内の水8に液体微生物を供給する微生物供給機(微生物供給手段の一例である。)5とを備え、第1の槽2と第2の槽2A、第2の槽2Aと第3の槽2B、そして第3の槽2Bと第4の槽2Cはそれぞれ塩化ビニル製の連通管6によって通じており、連通管6内を水8が移動できる様に構成されている。また、第4の槽2Cには、水8を排出する排水管7が取り付けられている。また、各槽の上部は開放されている。
【0023】
また、第1の槽2内の水8の温度は、例えば20℃以下であり、第2の槽2A内の水8の温度は、加熱機(図示せず。)によって加熱され、微生物が活発に働く40〜50℃である。また、硫化水素供給管3が供給する硫化水素を含んだ温泉ガス中の硫化水素濃度は約818ppmであり、温泉ガスの供給速度は約3.6リットル/分である。また、液体微生物の供給速度は約180ml/分である。また、各槽内の水は、第1の槽2から第2の槽2Aへ、第2の槽2Aから第3の槽2Bへ、第3の槽2Bから第4の槽2Cへと連通管を介して流れ、そして排水管7から排出される。
【0024】
また、本発明で使用される微生物は、特許第3400418号に係る微生物である。即ち、ミクロバクテリウムサペルダエ(Microbacterium saperdae)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−1(受託番号:FERM P−17974)、スフィンゴモナスエスピー(Sphingomonas sp.)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−2(受託番号:FERM P−17975)、ミクロバクテリウムエステラロマティクム(Microbacteriumesteraromaticum)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−3(受託番号:FERM P−17976)、及びバチルスセレウス(Bacillus cereus)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−4(受託番号:FERM P−17977)であり、これら微生物は、工業技術院生命工学工業技術研究所に平成12年(2000年)7月27日に寄託されている。
【0025】
ここで、硫化水素を含んだ温泉ガスを例に挙げて説明しているが、硫化水素を含んだ温泉水を水に供給してもよいことは勿論である。また、硫化水素を含む温泉ガスまたは硫化水素を含む温泉水のうち少なくとも一方を水に溶かして硫化水素水溶液を生成し、硫化水素水溶液に空気を供給するのであれば、必ずしも微生物を供給しなくてもよく、また、必ずしも液体微生物でなくてもよく、粉末微生物であってもよい。
【0026】
また、硫化水素を含む温泉ガスまたは硫化水素を含む温泉水のうち少なくとも一方を水に溶かして硫化水素水溶液を生成し、硫化水素水溶液に空気を供給するのであれば、必ずしも硫化水素を含む温泉ガスまたは硫化水素を含む温泉水のうち少なくとも一方と微生物とを別の槽に供給しなくてもよく、同じ槽に供給してもよいし、また、必ずしも槽は複数なくてもよい。また、硫化水素を含む温泉ガスまたは硫化水素を含む温泉水のうち少なくとも一方を水に溶かして硫化水素水溶液を生成し、硫化水素水溶液に空気を供給するのであれば、必ずしも第1の槽の水温を20℃以下にしなくてもよく、また必ずしも第2の槽の水温を40〜50℃にしなくてもよい。
【0027】
上記の様に構成された硫化水素低減装置における各槽内の水に溶けた硫化水素の濃度を測定したところ、第1の槽2内の水8に溶けた硫化水素の濃度は102.0ppm、第2の槽2A内の水8に溶けた硫化水素の濃度は11.0ppm、第3の槽2B内の水8に溶けた硫化水素の濃度は9.5ppm、そして第4の槽2C内の水8に溶けた硫化水素の濃度は2.2ppmであった。
【0028】
図2は、本発明を適用した硫化水素低減装置の他の例を示す概略図である。図2の硫化水素低減装置1は、硫化水素低減装置1の第1の槽2が、人気のほとんどない山9の山頂に設置されており、山頂から山9の斜面に沿って第2の槽2A、第3の槽2Bそして第4の槽2Cの順に下って設置されていると共に、ブロワ4は各槽に1機ずつ併設されている点を除いて図1の硫化水素低減装置と同じである。
【0029】
図3は、水に硫化水素を溶かして空気を供給したときの硫化水素濃度と、何もしないときの硫化水素濃度の各経時変化を示すグラフである。先ず、硫化水素を含有する液体(硫化水素濃度:818ppm)が入った容器を2つ用意し、一方の容器に入った硫化水素を含有する液体を、20℃の水が入った容器に供給すると共に空気を水に供給した(低減処理)。他方の容器はそのまま放置した(未処理)。そして、15分後、30分後、45分後及び60分後それぞれの時点での、水に溶かして空気を供給したときの硫化水素濃度と、放置された容器内の硫化水素濃度とを測定した。結果を図3に示す。
【0030】
図3から明らかなように、低減処理を行なった場合には、開始からの15分間で、硫化水素の濃度は818ppmから51ppmへと減少し、開始から30分後に30ppm、開始から45分後に22ppm、そして開始から60分後に15ppmへと減少した(グラフ線の低減処理10参照。)。
一方、未処理の場合には、開始から15分間で818ppmから670ppmまでしか減少せず、開始から30分後に659ppm、開始から45分後に575ppm、そして開始から60分後でも587ppmまでしか減少しなかった(グラフ線の未処理11参照。)。
【0031】
このように、本発明の硫化水素低減方法や硫化水素低減装置は、硫化水素を含む温泉ガスまたは硫化水素を含む温泉水のうち少なくとも一方を水に溶かして硫化水素水溶液を生成し、更に硫化水素水溶液に空気を供給しているので硫化水素が酸化でき、硫化水素の濃度を低減できる。
【0032】
また、本発明の硫化水素低減方法や硫化水素低減装置は、特定の微生物を、硫化水素水溶液に供給すると共に空気も供給するので、供給された空気中の酸素によって微生物の働きが活発になり、活発な微生物によって硫化水素が除去され、硫化水素濃度の低減を促進できる。
【0033】
更に、本発明の硫化水素低減方法や硫化水素低減装置は、互いに通じた複数の容器に水を溜め、複数の容器のうち硫化水素を含む温泉ガスまたは硫化水素を含む温泉水のうち少なくとも一方が供給される第1の容器内の水の温度を20℃以下にすると共に、第2の容器内の水の温度を第1の容器内の水の温度よりも高くし(40〜50℃)、第2の容器内に特定の微生物を供給するので、硫化水素が溶けやすくなると共に微生物の働きを活発化させることができる。
【0034】
また、本発明の硫化水素低減方法や硫化水素低減装置は、複数の容器のうち、硫化水素を含む温泉ガスまたは硫化水素を含む温泉水のうち少なくとも一方が供給される第1の容器の上部が開放されているので硫化水素が大気中に拡散しやすくなり、また第1の容器を山頂等に設置して第2の容器よりも高い位置に配置するので、人気が少なく硫化水素を拡散させやすいうえに高地であるため気温も低く容器内の水温も低下して硫化水素を溶かしやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明を適用した硫化水低減装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明を適用した硫化水素低減装置の他の例を示す概略図である。
【図3】水に硫化水素を溶かして空気を供給したときの硫化水素濃度と、何もしないときの硫化水素濃度の各経時変化を示すグラフである。
【図4】従来の硫化水素を除去する方法(従来方法)を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0036】
1 硫化水素低減装置
2 第1の槽
2A 第2の槽
2B 第3の槽
2C 第4の槽
3 硫化水素供給管
3A 囲い
3B 温泉ガス
4 ブロワ
4A 空気供給管
5 微生物供給機
6 連通管
7 排水管
8 水
9 山
10 低減処理グラフ線
11 未処理グラフ線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫化水素を含む温泉ガスまたは硫化水素を含む温泉水のうち少なくとも一方を水に溶かして硫化水素水溶液を生成する工程と、
前記硫化水素水溶液に空気を供給する工程とを備える
ことを特徴とする硫化水素低減方法。
【請求項2】
前記硫化水素水溶液に、ミクロバクテリウムサペルダエ(Microbacterium saperdae)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−1(FERM P−17974)、スフィンゴモナスエスピー(Sphingomonas sp.)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−2(FERM P−17975)、ミクロバクテリウムエステラロマティクム(Microbacteriumesteraromaticum)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−3(FERM P−17976)、及びバチルスセレウス(Bacillus cereus)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−4(FERM P−17977)のうちの少なくとも1つの微生物を供給する工程を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の硫化水素低減方法。
【請求項3】
前記硫化水素水溶液に、ミクロバクテリウムサペルダエ(Microbacterium saperdae)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−1(FERM P−17974)、スフィンゴモナスエスピー(Sphingomonas sp.)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−2(FERM P−17975)、ミクロバクテリウムエステラロマティクム(Microbacteriumesteraromaticum)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−3(FERM P−17976)、及びバチルスセレウス(Bacillus cereus)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−4(FERM P−17977)のうちの少なくとも1つの微生物を供給すると共に空気を供給する工程を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の硫化水素低減方法。
【請求項4】
硫化水素を含む温泉ガスまたは硫化水素を含む温泉水のうち少なくとも一方を水に溶かして硫化水素水溶液を生成する第1工程と、
該第1工程後に、前記硫化水素水溶液に空気を供給する第2工程と、
該第2工程後に、前記硫化水素水溶液に、ミクロバクテリウムサペルダエ(Microbacterium saperdae)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−1(FERM P−17974)、スフィンゴモナスエスピー(Sphingomonas sp.)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−2(FERM P−17975)、ミクロバクテリウムエステラロマティクム(Microbacteriumesteraromaticum)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−3(FERM P−17976)、及びバチルスセレウス(Bacillus cereus)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−4(FERM P−17977)のうちの少なくとも1つの微生物を供給すると共に空気を供給する第3工程とを備える
ことを特徴とする硫化水素低減方法。
【請求項5】
前記第3工程の前記硫化水素水溶液は、前記第2工程の前記硫化水素水溶液よりも高温である
ことを特徴とする請求項4に記載の硫化水素低減方法。
【請求項6】
硫化水素を含む温泉ガスまたは硫化水素を含む温泉水のうち少なくとも一方を水に溶かした硫化水素水溶液中の硫化水素の濃度を低減する硫化水素低減装置において、
容器と、
該容器内に硫化水素を含む温泉ガスまたは硫化水素を含む温泉水のうち少なくとも一方を供給する硫化水素供給手段と、
前記容器内に空気を供給する空気供給手段とを備えた
ことを特徴とする硫化水素低減装置。
【請求項7】
前記容器内に、ミクロバクテリウムサペルダエ(Microbacterium saperdae)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−1(FERM P−17974)、スフィンゴモナスエスピー(Sphingomonas sp.)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−2(FERM P−17975)、ミクロバクテリウムエステラロマティクム(Microbacteriumesteraromaticum)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−3(FERM P−17976)、及びバチルスセレウス(Bacillus cereus)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−4(FERM P−17977)のうちの少なくとも1つの微生物を供給する微生物供給手段を備える
ことを特徴とする請求項6に記載の硫化水素低減装置。
【請求項8】
硫化水素を含む温泉ガスまたは硫化水素を含む温泉水のうち少なくとも一方を水に溶かした硫化水素水溶液中の硫化水素の濃度を低減する硫化水素低減装置において、
第1の容器と、
該第1の容器と互いに通じている第2の容器と、
前記第1の容器内に硫化水素を含む温泉ガスまたは硫化水素を含む温泉水のうち少なくとも一方を供給する硫化水素供給手段と、
前記第1の容器及び前記第2の容器内に空気を供給する空気供給手段と、
前記第2の容器内にミクロバクテリウムサペルダエ(Microbacterium saperdae)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−1(FERM P−17974)、スフィンゴモナスエスピー(Sphingomonas sp.)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−2(FERM P−17975)、ミクロバクテリウムエステラロマティクム(Microbacteriumesteraromaticum)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−3(FERM P−17976)、及びバチルスセレウス(Bacillus cereus)に属し廃油及び油脂を資化して生育できる微生物SIID440−4(FERM P−17977)のうちの少なくとも1つの微生物を供給する微生物供給手段とを備える
ことを特徴とする硫化水素低減装置。
【請求項9】
前記第1の容器内で空気が供給された硫化水素水溶液が前記第2容器に供給される
ことを特徴とする請求項8に記載の硫化水素低減装置。
【請求項10】
前記第1の容器の上部が開放されていると共に、
前記第1の容器が前記第2の容器よりも高い位置に配置されている
ことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の硫化水素低減装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−301437(P2007−301437A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129731(P2006−129731)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(506156322)有限会社エコワールド (1)
【Fターム(参考)】