硫酸カルシウム及び粘性を有するポリマーを含む骨形成および骨硬化を促進させる骨充填用組成物
本発明は、骨充填用組成物に関するものである。詳細には、硫酸カルシウムと粘性を有するポリマーを含むゲル状の骨充填用組成物及び該組成物を骨形成と骨強化促進に使用する用途に関するものである。本発明の組成物は、骨欠損部に投与しやすく、骨欠損部に長期間残存するため、人体に適合した骨充填剤として効果的に使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、骨充填用組成物に関するものである。詳細には、硫酸カルシウム及び粘性を有するポリマーを含有したゲル状の骨充填用組成物及び前記組成物を骨形成及び骨硬化促進に使用する用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
最近、自動車事故または疾患等により骨欠損が生じる場合がよくあり、それによって骨欠損部分を補完する必要性が高まっている。骨欠損部分を補完するには、骨移植をしたりするが、最近では骨充填剤が多く利用されている。さらに、最近では身長を伸ばしたり矮小した顎を矯正したりするために骨伸延手術が多く行われていて、それにより骨充填剤の要求がさらに大きくなっている。
【0003】
骨伸延手術というのは、ストレッチング(stretching)により骨の長さ方向の成長を誘導するもので「引き延ばす物理的な力は組織学的な発生を刺激する(Tension forces stimulate histogenesis)」という原理に基づくもので初めは足骨の伸長のために考案されたが、最近では顎骨伸長手術に多く採り入れられている。顎骨伸長手術というのは、最近発展した頭蓋顎顔面外科部分中の一つで骨伸長(骨伸延)装置を後退した顎骨部位と中顔の容貌後退部位に装着することにより広範囲な切骨を行なわずに顔の骨を漸次的に動かして顔の比率を改善させる施術である。
【0004】
骨伸延手術は、イリザロブ(Ilizarov)が骨伸延手術に対する生体力学的(biomechanical)因子を糾明した以後に、長骨(long bone)の骨欠損矯正に成功的に利用されてきた(Ilizarov GA,J.Dis.Orthop.Inst.,1988年,第48(1)巻,1頁;Ilizarov GA,Clin.Ortho.,1989年,第239巻、263頁;Ilizarov GA,Clin.Ortho.,1989年,第238巻、249頁)。成功的な骨伸延手術を行なうためには、骨伸延部の血液循環を保存して皮質骨の折骨部位両側に外固定器を安定に固定して骨の長さ延長を漸次的に施行して骨硬化を促進させるようにしなければならない(White SH,J.Bone Join Surgery,1990年,第72−B巻,350頁;White SH,Orthop.Clin.North.Amer.,1991年,第22巻,569頁;Fishgrund J.,Paley D.,Sulter D.,Clin.Orthop.,1994年,第301巻,31頁)。
【0005】
骨硬化期間は、顔面骨または長骨のような伸延する骨の部位、血行化状態、患者の年齢により変わり得る。骨伸延後の骨硬化期間は、頭蓋顔面骨では小児が3週〜5週、成人が6週〜12週所要され、長骨では年齢に関係なく3ヵ月〜6ヵ月程度所要される。したがって、頭蓋顔面骨で骨伸延手術を施行する場合、その治療期間は、潜在期、骨伸延期、骨硬化期を含めて総2ヵ月乃至4ヵ月が所要される。このように長い骨硬化期間によりピンによる感染のような合併症の可能性を高めることもあり、日常生活への復帰を遅延させる問題点が提起されてきた。
【0006】
治療期間を短縮させるための骨伸延後の研究報告においてカールス(Charls)とセイラー(Sailer)は、一日に1mm伸延することが2乃至3mm伸延することよりさらに強い生化学的、生理学的特性を示すと報告した(Carls & Sailer,J.Craniomaxillofac Surg.,1994年,第94巻,152頁)。また、イリザロブ(Ilizarov)は、一日に0.5mm伸延することは未成熟骨硬化を起こし、一日に2mm伸延することは伸延した組織に好ましくない変化を惹起するため、一日に1mm伸延することが最も良い結果を得ると報告した(Ilizarov GA,J.Dis.Orthop.Inst.,1988年,第48(1)巻,1頁;Ilizarov GA,Clin.Ortho.,1989年,第239巻、263頁)。併せて、連続的に伸延することが組織損傷を最も少なくし、最も多い毛細血管新生と骨形成を惹起すると知られている。したがって、骨伸延期間と骨硬化期間を短縮させることが可能なら長い骨硬化期間による合併症の可能性を防ぐことができ、全体的な治療期間を短縮して患者を早期に日常生活に復帰させられるものと期待される。それで、骨伸延期間と骨硬化期間を短縮するために、骨形成を促進して骨硬化を促進させる充填剤を使用している。
【0007】
一方、自家骨移植、処置された同種移植や異種移植及び骨移植代替物(bone graft substitute)は、骨形成を刺激するものと知られている。自家骨移植は、骨空洞(bone cavity)や骨欠損を埋めて感染、腫瘍、手術による空隙(void)と損傷をなくしたり関節癒合や不癒合骨折を治癒したりするのに利用される。移植された自家骨が吸収され再血行化がなされると骨前駆細胞(osteoprogenitor cell)が骨形成細胞(bony osteogenesis cell)に分化され前記骨形成細胞の活動が新しい骨再生と骨欠損部治癒を起こす。しかし、自家骨は採取できる量が制限されていて供与部位に対する二次手術が追加され罹患率(morbidity)が高いという短所を持っている。したがって、伸延された部位で骨再生を誘導するために骨形態発生タンパク質(bone morphogenic protein)や他の骨移植代置物等が使用されている。この中で骨形態発生タンパク質が最も強力な骨誘導物質と考えられているが非常に高価で求めにくい短所のため臨床的に使用するには多くの限界があるのが実情である。
【0008】
硫酸カルシウムは、生体に適合して血管成長と骨形成細胞の成長を誘導して早期に骨を硬化させる骨充填剤である。この物質は、適合した環境で新生骨形成を誘導して正常骨構造を提供し、好ましくない結合組織の成長を防ぎ、骨治癒時の防御膜の役割もして治癒過程で骨に置き換わる。ベッソン(Beeson)は、硫酸カルシウムを犬の前頭洞(frontal sinus)に注入して、4〜6ヵ月内に骨再生が増進されたことを確認した(Beeson W.,Arch Otolaryngol,1981年,第107巻,664頁)、ペコラ(Pecora)等は、硫酸カルシウムが注入されたネズミの下顎角の骨欠損部位で3週後に部分的または全部位の骨治癒効果を報告した(Pecora G.,Andreana S.,Margarone III JE.,Covani U.,Sottosanti JS.,Oral Surg.Oral Med.Oral Pathol.Oral Radio Endod.,1997年,第84巻,434頁)。ペルター(Pelter)は、硫酸カルシウムが多様な骨欠損患者に安全に使用でき、数週または数ヵ月内に体内に吸収されて骨再生がなされ、感染した空洞内での使用が危険を招来したり合併症を誘発したりしなかったと報告した(Pelter LF.,Am.J.Surg.,1959年,第97(3)巻,311頁)。しかし、従来から骨再生用充填剤として使用している硫酸カルシウムは、錠剤や粉末形態であるため骨欠失部位に注入することが困難であるだけではなく、注入するためには、また他の手術的外傷が不可避であり患者にさらにもう一度手術が必要になり、傷跡を残すことになるという欠点があった。
【0009】
以上のことに鑑みて、本発明者は、硫酸カルシウムの投与方法を改善するために努力した結果、硫酸カルシウムと粘性を有するポリマーを含有したゲル状の組成物を調査し、該組成物が注射を通じて骨欠失部位に簡単に投与できるだけではなく、投与後には週辺臓器に広がらず、骨欠失部位にだけ存在して骨形成及び骨硬化を促進し、骨硬化期間を短縮させることを確認して本発明を完成した。
【発明の開示】
【0010】
発明の概要
本発明の目的は、骨欠損部位に投与しやすく、投与後には骨欠損部位に長期間残存することにより骨形成及び骨硬化を促進させるゲル状の骨充填用組成物を提供することである。
【0011】
発明の詳細な説明
前記目的を達成するために、本発明は、硫酸カルシウム及び粘性を有するポリマーを含有したゲル状の骨充填用組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、前記組成物を骨形成及び骨硬化促進に使用する用途を提供する。
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、硫酸カルシウム及び粘性を有するポリマーを含有したゲル状の骨充填用組成物を提供する。
【0014】
本発明の組成物は、
a)CaSO490〜99重量%及びCaCO3、MgCO3及びCaCO3・MgCO31〜10重量%からなる混合物20〜80重量%;及び
b)粘性を有するポリマー80〜20%で構成される。
【0015】
本発明の組成物は、CaSO4を主成分にしてCaCO3、MgCO3、CaCO3・MgCO3及びそれらの混合物からなる群から選択される一つ以上の無機塩をさらに含むことができる。本発明の実施例によると、全体無機塩の重量に対して、CaSO490〜99重量%及びCaCO3、MgCO3、CaCO3・MgCO31〜10重量%からなることが好ましく、CaSO498〜99重量%、CaCO30.3〜1重量%、MgCO3 0.3〜1重量%及びCaCO3・MgCO30.5〜1重量%を含有した組成物であることがさらに好ましい。硫酸カルシウムは、費用が手頃な骨充填剤として特別に精製された純度が高い状態で通常、粉末か丸薬の形態で供給される(図1参照)。前記硫酸カルシウムの最も大きな長所は、硫酸カルシウムが骨内に吸収される時、新生骨が解剖学的性状と構造的特性を回復するようになり新生骨成長が優秀であるということである。また、前記硫酸カルシウムは、吸収性が優れ炎症性反応を示さないため比較的安全な物質である。
【0016】
本発明では、粉形態の硫酸カルシウムと粘性を有するポリマーを混合したゲル形態の組成物を製造して、それを使用した。前記で粘性を有するポリマーは、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)、キトサン、ポリアクリル酸、ポリビニルエステル、ポリスチレン、セルロースエーテル、セルロースエステル、澱粉及び多糖類からなる群から選択して使用できる。本発明では、好ましい実施態様として粘性を有するポリマーにカルボキシメチルセルロースを使用した場合を例示した。
【0017】
前記粉形態の硫酸カルシウムと粘性を有するポリマーを混合した組成物において硫酸カルシウムと粘性を有するポリマーの比率は、20:80乃至80:20であることが好ましく、50:50の定量で混合することがさらに好ましい。
【0018】
本発明のゲル形態の組成物を製造するための好ましい実施例として粘性を有するポリマーに使用したカルボキシメチルセルロースには、ポリカルボキシメチルエーテルのナトリウム塩を使用できる。前記カルボキシメチルセルロースナトリウム塩は白色、クリーム色等の多様な色を示す無臭の吸湿性(hygroscopic)の粉末で、基剤物質に使用され懸濁剤や乳液剤に使用される。
【0019】
また、カルボキシメチルセルロースは、従来から、回腸人工肛門(ileostomy)手術や結腸人工肛門(colostomy)手術時に保護剤に使用される等、人体に無害な物質として知られている(Raynolds JEF.,Martindale.,The Extra Pharmacopoeia.,1989年,第29巻,1433頁)。
【0020】
本発明者らは、前記硫酸カルシウムと粘性を有するポリマーの混合物を18ゲージ注射針を使用して伸延された部位に注入した。該方法は、硫酸カルシウムの注入が簡単で容易であるため時間が節約され、二次的な手術を必要としないため手術傷跡を残さない。本発明の組成物は注入して3週後に旺盛な鉱化作用(mineralization)をして新生骨形成を促進し、6週後には、広範囲な新生骨形成を示した。また、前記組成物は骨伸延された部位に注入された後、徐々に吸収されて硫酸カルシウムだけが残り骨再生にいかなる影響を与えないので、炎症性反応を示さず比較的安全な物質と判断された。
【0021】
また、本発明は、前記組成物を骨形成及び骨硬化促進に使用する用途を提供する。
【0022】
本発明者らは、本発明の骨充填用組成物が前記のような用途に使用できるかどうかを確認するために犬の下顎で一日に2mmまたは1mmで骨伸延手術を行った後、前記組成物を注射して早期骨硬化効果に及ぼす影響を調査した。
【0023】
その結果、3週及び6週目に写した放射線写真において、一日に2mmずつ伸延して組成物を投与していない対照群を除外したすべての群において、下顎骨伸延部位で時間の経過により石灰化(calcification)が進行するのを観察できた。伸延された下顎骨片間に放射線透過領域(radiolucent zone)をおいて両側下顎骨片に接して放射線撮影期間と各群により、異なる硬化された区域があった。骨伸延後3週目には、一日に1mmずつまたは一日に2mmずつ伸延して組成物を投与していない対照群と一日に2mmずつ伸延して組成物を投与した群では、放射線非透過領域(radiodense zone)がほとんど観察されなかったが、一日に1mmずつ伸延した組成物を投与した群では、相当な量の放射線非透過領域が観察された。骨伸延後6週目には、一日に1mmずつ伸延して組成物を投与していない対照群と、一日に1mmまたは一日に2mmずつ伸延して組成物を投与した群で放射線非透過領域が伸延された部位の中央に漸次的に連結される所見が観察された。一日に1mmずつ伸延して組成物を投与した群が最も多い放射線非透過所見を示し、一日に2mmずつ伸延して組成物を投与していない対照群では、放射線非透過所見がほとんど観察されなかった(図3乃至図5参照)。
【0024】
また、組織学的検査結果、一日に1mmずつ伸延して組成物を投与していない対照群では、3週目に伸延された部位の端の部分に部分的に類骨(osteoid)を形成する造骨細胞(osteoblast)と中央部に多くの繊維化組織が観察され(図6A参照)、6週目には、伸延された部位に新生骨が3週目よりは、さらに多く観察されたが、中央部は繊維化組織で満たされていた(図6B及び図6C参照)。一日に2mmずつ伸延して組成物を投与していない対照群では、新生骨が伸延された部位の一部分でだけ観察され、ほとんど大部分が繊維化組織で満たされていた(図7参照)。
【0025】
一方、一日に1mmずつ伸延して組成物を投与した群では、3週目に多くの活動的な造骨細胞が伸延された部位の端の部分と中央部で観察され、新生骨と繊維化組織で満たされていて(図8A及び図8B参照)、6週目には伸延された部位全般にわたって形成された新生骨が正常皮質骨と類似に分布していた(図8C及び図8D参照)。一日に2mmずつ伸延して組成物を投与した群では、3週目に伸延された部位が繊維帯で連結されていて、端の部分に骨新生所見が観察され(図9A及び図9B参照)、6週目には伸延された部位の半分程度で新生骨が形成されていた(図9C及び図9D参照)。
【0026】
前記で確認したように、一日に2mmずつ伸延して組成物を投与した群が、1mmずつ伸延して組成物を投与した群より骨形成が少なく形成され、臨床的に一日に1mmずつ伸延することが有用であると思料される。前記結果は、臨床的にさらに速い伸延率が全般的な治療期間を短縮させるという既存の伸延率に対する研究結果と一致する内容である。
【0027】
一日に1mmずつ伸延して組成物を投与していない対照群では、伸延後6週目まで伸延された部位が新生骨に完全に置き換えられず、伸延された部位の大部分が中央の繊維化部位と端部分の骨化部位に現れた。したがって、前記結果と既存のカリファノ(Califano)及びコムロ(Komuro)の結果(Califano L,Cortese A,Zupi A,Tajana G,J.Oral Maxillofac.Surg.,1994年,第52巻,1179頁;Komuro Y,Takato T,Harii K,Yonemara Y,Plast.Reconstr.Surg.,1994年,第94巻,152頁)から、骨硬化期間は最少6週以上が好ましく、伸延骨生成時の伸延速度は速いほど骨延長に所要される期間を短縮させられ、長い骨硬化期間による患者の苦痛や手術の合併症等を減らすことができるので、骨形成に支障を与えない限り、その速度は速い方が好ましいと思料される。
【0028】
一般的に、伸延された骨は若干吸収される傾向があり、普通10乃至20%の過伸延が勧奨されている。しかし、過伸延の程度に対する正確な資料がなく、過伸延の程度は、手術者の経験により決定されている実情である。このような伸延された骨の吸収は、伸延された骨の鉱化作用程度にかかっていると考えられ、患者の年齢により成人では、完全な骨硬化のために骨伸延後6週から10週まで待つことが推奨されている。しかし、本発明では、組成物が対照群に比べて骨再生をさらに促進するために過伸延が敢えて必要ではないと判断された。
【0029】
前記の結果から、本発明の組成物は骨伸延後の新生骨形成と骨硬化を早期に促進させ骨硬化期間を短縮させるので非常に経済的で生体適合した骨充填用組成物として有用に使用できることを確認した。
【0030】
実施例
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
但し、下記の実施例は、本発明を例示するだけのもので、本発明の内容が下記の実施例に限定されるものではない。
【0031】
実施例1:骨充填用組成物の製造
本発明者らは、カルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose,以下「CMC」と略称する)と硫酸カルシウム塩を混合した骨充填用組成物を製造した。詳細には、98.9gのCaSO4・H2O、0.3gのCaCO3、0.3gのMgCO3及び0.5gのCaCO3・MgCO3をよく混和した後、CMC100gに添加してよく懸濁させて本発明のゲル状の組成物を製造した。
【0032】
実施例2〜実施例7:下記の表1の構成比にして実施例1と同一な方法でゲル状の組成物を製造した。
【0033】
【表1】
【0034】
実験例1:骨伸延手術の施行
本発明者らは、本発明の組成物が骨伸延手術時に新生骨形成と骨硬化を早期に促進させるかどうか確認するために、下記に示す犬の下顎骨で骨伸延手術を施行した後、本発明の組成物を注射して変化を観察した。
【0035】
詳細には、生後5ヵ月の8匹の犬を実験動物に使用した。その中の4匹は、対照群、残りの4匹は、組成物群に分類した。それら対照群と組成物群は、再び一日に1mmずつ伸延した群(対照1群、組成物1群)と2mmずつ伸延した群(対照2群、組成物2群)に細分した。
【0036】
犬は全身麻酔後、気管内挿管で呼吸を維持して手術部位は削毛した後、基本的な消毒と塗布を実施した。下顎骨の下端部に沿って3〜4cmの皮膚切開を加えた後、咬筋(masseter muscle)を持ち上げて下顎骨の外側面を露出させた。電気ノコギリで下顎骨体部に垂直に切骨手術を行って下顎骨を完全切断した。外固定装置に固定するピンは、切骨された部位から左右に1cmの地点の骨片に各々固定した。ピンを下顎骨骨片にドリルで固定時、生理食塩水で洗浄しながら固定してピン固定部位の骨が焦げないようにした。ここで、ピンは下顎骨をやっと貫通する程度打ち込みしっかりと固定した。2匹の犬のピンを固定した後、骨延長器具(Molina Distractors,Wells Johnson Company)に装着した(図2)。
【0037】
5−0ビクリル(vicryl)と5−0ナイロン縫合糸で切開部位を幾重にも縫合して実験動物を麻酔から回復させた。手術後、7日間ペニシリン抗生剤(100,000μ/kg)を12時間毎に筋肉注射し、痛みを緩和するために鎮痛剤10ccを6時間間隔で経口投与した。手術直後から2日目までは軟質食餌(soft diet)を与え、3日目から一般食餌(regular diet)に替えた。手術後5日目から対照1群と組成物1群では、一日に1mmずつ、総10mmになるように10日間伸延し、対照2群と組成物2群では、一日に2mmずつ、総10mmになるように5日間伸延した。
【0038】
骨伸延が終わった日に骨伸延された部位に、前記実施例1で製造した本発明の骨充填用組成物を18ゲージ注射針を通じて骨伸延された部位に1ml注射した。対照群には、カルボキシメチルセルロースだけを1ml骨伸延された部位に注射した。
【0039】
組成物の注入が終わった後、骨硬化と骨再生のために骨伸延装置を6週間維持し、各群毎に1匹ずつ全体で4匹を骨伸延が終わった後3週目、残り4匹は、6週目にペントバルビタール(pentobarbital)を過用量(40〜50mg/kg)注射して犠牲にした。
【0040】
<1−1>放射線検査
前記で骨伸延を行った各群の実験動物に毎週放射線検査を実施し、3週目と6週目に得られた放射線写真を基礎にして骨生成及び骨硬化程度を観察した。
【0041】
その結果、3週目及び6週目に写した放射線写真で、対照2群を除外したすべての群の下顎骨伸延部位において時間の経過により進行されている石灰化を観察できた(図3乃至図5)。放射線撮影期間と各群によって、伸延された下顎骨片間に放射線透過区域をおいて両側下顎骨片に接して異なる硬化された区域が見られた。骨伸延後3週目には、対照群と組成物2群で放射線非透過領域がほとんど観察されなかったが、組成物1群では、相当な量が観察された。6週目には、放射線非透過領域が伸延された部位の中央に漸次的に連結されている所見が対照1群と組成物1、2群で観察された。組成物1群が最も多い放射線非透過所見を示し、対照2群では、ほとんど観察されなかった。
【0042】
<1−2>組織学的検査
前記で骨伸延手術が終わった実験動物の組織学的検査のために、電気ノコを使用して伸延された下顎骨部位とその周囲の正常骨組織を含んだ骨標本を採取した。採取した骨片を10%中性ホルマリンに1週日間固定した後、2日間10%硝酸と10%クエン酸ナトリウムに脱灰(decalcification)した後、通常の方法にしたがって脱水及びパラフィン固定を経て4〜6μmの標本を製作した。前記標本をヘマトキシリン−エオジン(hematoxylin−eosin)で染色して光学顕微鏡で組織学的所見を観察した。
【0043】
その結果、対照1群では、3週目に伸延された部位の端の部分に部分的に類骨(osteoid)を形成する造骨細胞(osteoblast)と中央部に多くの繊維化組織が観察され(図6A)、6週目には、伸延された部位に新生骨が3週目よりは、さらに多く観察されたが、中央部に、繊維化組織で満たされていた(図6B及び図6C)。対照2群では、新生骨が伸延された部位の一部分でだけ観察され、ほとんど大部分が繊維化組織で満たされていた(図7)。一方、組成物1群では、3週目に多くの活動的な造骨細胞が伸延された部位の端の部分と中央部で観察され、新生骨と繊維化組織で満たされていた(図8A及び図8B)。6週目には、伸延された部位全般にわたって形成された新生骨が正常皮質骨と類似に分布した(図8C及び図8D)。組成物2群では、3週目に伸延された部位が繊維帯で連結されていて、端の部分に骨新生所見が観察され(図9A及び図9B)、6週目には、伸延された部位の半分程度に新生骨が形成されていた(図9C及び図9D)。
【0044】
産業上の利用可能性
前記で詳しく見たように、本発明のゲル形態の組成物は、新生骨形成を誘導して正常骨構造を提供して、好ましくない結合組織の成長を防いで骨治癒時に防御膜の役割をするだけではなく、治癒過程で骨に置き換えられるので、生体に適合して血管成長、骨形成細胞及び骨硬化を早期に誘導する骨充填用組成物として有用に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の組成物の製造に使用した硫酸カルシウム塩錠剤の写真である。
【図2】本発明の組成物を使用した骨伸延手術時に実験動物に外部固定装置を装着した様子を示した写真である。
【図3A】本発明でカルボキシメチルセルロースだけ注射して一日に1mmずつ10日間伸延した対照1群で、骨伸延手術後3週が経過した後の骨硬化程度を示した放射線写真である。
【図3B】本発明でカルボキシメチルセルロースだけ注射して一日に1mmずつ10日間伸延した対照1群で、骨伸延手術後6週が経過した後の骨硬化程度を示した放射線写真である。
【図3C】本発明でカルボキシメチルセルロースだけ注射して一日に2mmずつ5日間伸延した対照2群で、骨伸延手術後3週が経過した後の骨硬化程度を示した放射線写真である。
【図3D】本発明でカルボキシメチルセルロースだけ注射して一日に2mmずつ5日間伸延した対照2群で、骨伸延手術後6週が経過した後の骨硬化程度を示した放射線写真である。
【図4A】本発明の組成物を注射して一日に1mmずつ10日間伸延された硫酸カルシウム塩1群で、組成物を注入した後3週が経過した後の骨硬化程度を示した放射線写真である。
【図4B】本発明の組成物を注射して一日に1mmずつ10日間伸延された硫酸カルシウム塩1群で、組成物を注入した後6週が経過した後の骨硬化程度を示した放射線写真である。
【図5A】本発明の組成物を注射して一日に2mmずつ5日間伸延された硫酸カルシウム塩2群で、組成物を注入した後3週が経過した後の骨硬化程度を示した放射線写真である。
【図5B】本発明の組成物を注射して一日に2mmずつ5日間伸延された硫酸カルシウム塩2群で、組成物を注入した後6週経過した後の骨硬化程度を示した放射線写真である。
【図6A】本発明でカルボキシメチルセルロースだけ注射して一日に1mmずつ10日間伸延した対照1群で、骨伸延手術後3週経過後の組織学的な断面を示した写真である。矢印;最初切断部位。
【図6B】本発明でカルボキシメチルセルロースだけ注射して一日に1mmずつ10日間伸延した対照1群で、骨伸延手術後6週経過後の組織学的な断面を示した写真である。矢印;最初切断部位。
【図6C】本発明でカルボキシメチルセルロースだけ注射して一日に1mmずつ10日間伸延した対照1群の骨伸延手術部位の端の部分で、新しい骨が形成されることをヘマトキシリン&エオジン染色で確認した組織写真である。A;造骨細胞。B;繊維化組織。
【図7A】本発明でカルボキシメチルセルロースだけ注射して一日に2mmずつ5日間伸延された対照2群で、骨伸延手術後3週経過後の組織学的な断面を示した写真である。矢印;最初切断部位。
【図7B】本発明でカルボキシメチルセルロースだけ注射して一日に2mmずつ5日間伸延された対照2群で、骨伸延手術後6週経過後の組織学的な断面を示した写真である。矢印;最初切断部位。
【図7C】本発明でカルボキシメチルセルロースだけ注射して一日に2mmずつ5日間伸延された対照2群の骨伸延手術部位の端の部分で、新しい骨が形成されることをヘマトキシリン&エオジン染色で確認した組織写真である。A;造骨細胞。B;繊維化組織。
【図8A】本発明の組成物を注射して一日に1mmずつ10日間伸延した硫酸カルシウム塩1群で、骨伸延手術後3週経過後の組織学的な断面を示した写真である。矢印;最初切断部位。
【図8B】図8Aの組織学的な断面をヘマトキシリン&エオジンで染色して、伸延された部位の中央が造骨細胞と繊維化組織で満たされているのを示した写真である。A;造骨細胞。B;繊維化組織。
【図8C】本発明の組成物を注射して一日に1mmずつ10日間伸延した硫酸カルシウム塩1群で、骨伸延手術後6週経過後の組織学的な断面を示した写真である。矢印;最初切断部位。
【図8D】図8Cの組織学的な断面をヘマトキシリン&エオジンで染色して、伸延された部位全般にわたって新生骨が形成されていることを示した写真である。
【図9A】本発明の組成物を注射して一日に2mmずつ5日間伸延した硫酸カルシウム塩2群で、骨伸延手術後3週経過後の組織学的な断面を示した写真である。矢印;最初切断部位。
【図9B】図9Aの組織学的な断面をヘマトキシリン&エオジンで染色して、伸延された部位が繊維帯で連結されていて端の部分で造骨形成が起きていることを示した写真である。
【図9C】本発明の組成物を注射して一日に2mmずつ5日間伸延した硫酸カルシウム塩2群で、骨伸延手術後6週経過後の組織学的な断面を示した写真である。矢印;最初切断部位。
【図9D】図9Cの組織学的な断面をヘマトキシリン&エオジンで染色して、伸延された部位の半分程度で新生骨が形成されていることを示した写真である。A;造骨細胞。B;繊維化組織。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、骨充填用組成物に関するものである。詳細には、硫酸カルシウム及び粘性を有するポリマーを含有したゲル状の骨充填用組成物及び前記組成物を骨形成及び骨硬化促進に使用する用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
最近、自動車事故または疾患等により骨欠損が生じる場合がよくあり、それによって骨欠損部分を補完する必要性が高まっている。骨欠損部分を補完するには、骨移植をしたりするが、最近では骨充填剤が多く利用されている。さらに、最近では身長を伸ばしたり矮小した顎を矯正したりするために骨伸延手術が多く行われていて、それにより骨充填剤の要求がさらに大きくなっている。
【0003】
骨伸延手術というのは、ストレッチング(stretching)により骨の長さ方向の成長を誘導するもので「引き延ばす物理的な力は組織学的な発生を刺激する(Tension forces stimulate histogenesis)」という原理に基づくもので初めは足骨の伸長のために考案されたが、最近では顎骨伸長手術に多く採り入れられている。顎骨伸長手術というのは、最近発展した頭蓋顎顔面外科部分中の一つで骨伸長(骨伸延)装置を後退した顎骨部位と中顔の容貌後退部位に装着することにより広範囲な切骨を行なわずに顔の骨を漸次的に動かして顔の比率を改善させる施術である。
【0004】
骨伸延手術は、イリザロブ(Ilizarov)が骨伸延手術に対する生体力学的(biomechanical)因子を糾明した以後に、長骨(long bone)の骨欠損矯正に成功的に利用されてきた(Ilizarov GA,J.Dis.Orthop.Inst.,1988年,第48(1)巻,1頁;Ilizarov GA,Clin.Ortho.,1989年,第239巻、263頁;Ilizarov GA,Clin.Ortho.,1989年,第238巻、249頁)。成功的な骨伸延手術を行なうためには、骨伸延部の血液循環を保存して皮質骨の折骨部位両側に外固定器を安定に固定して骨の長さ延長を漸次的に施行して骨硬化を促進させるようにしなければならない(White SH,J.Bone Join Surgery,1990年,第72−B巻,350頁;White SH,Orthop.Clin.North.Amer.,1991年,第22巻,569頁;Fishgrund J.,Paley D.,Sulter D.,Clin.Orthop.,1994年,第301巻,31頁)。
【0005】
骨硬化期間は、顔面骨または長骨のような伸延する骨の部位、血行化状態、患者の年齢により変わり得る。骨伸延後の骨硬化期間は、頭蓋顔面骨では小児が3週〜5週、成人が6週〜12週所要され、長骨では年齢に関係なく3ヵ月〜6ヵ月程度所要される。したがって、頭蓋顔面骨で骨伸延手術を施行する場合、その治療期間は、潜在期、骨伸延期、骨硬化期を含めて総2ヵ月乃至4ヵ月が所要される。このように長い骨硬化期間によりピンによる感染のような合併症の可能性を高めることもあり、日常生活への復帰を遅延させる問題点が提起されてきた。
【0006】
治療期間を短縮させるための骨伸延後の研究報告においてカールス(Charls)とセイラー(Sailer)は、一日に1mm伸延することが2乃至3mm伸延することよりさらに強い生化学的、生理学的特性を示すと報告した(Carls & Sailer,J.Craniomaxillofac Surg.,1994年,第94巻,152頁)。また、イリザロブ(Ilizarov)は、一日に0.5mm伸延することは未成熟骨硬化を起こし、一日に2mm伸延することは伸延した組織に好ましくない変化を惹起するため、一日に1mm伸延することが最も良い結果を得ると報告した(Ilizarov GA,J.Dis.Orthop.Inst.,1988年,第48(1)巻,1頁;Ilizarov GA,Clin.Ortho.,1989年,第239巻、263頁)。併せて、連続的に伸延することが組織損傷を最も少なくし、最も多い毛細血管新生と骨形成を惹起すると知られている。したがって、骨伸延期間と骨硬化期間を短縮させることが可能なら長い骨硬化期間による合併症の可能性を防ぐことができ、全体的な治療期間を短縮して患者を早期に日常生活に復帰させられるものと期待される。それで、骨伸延期間と骨硬化期間を短縮するために、骨形成を促進して骨硬化を促進させる充填剤を使用している。
【0007】
一方、自家骨移植、処置された同種移植や異種移植及び骨移植代替物(bone graft substitute)は、骨形成を刺激するものと知られている。自家骨移植は、骨空洞(bone cavity)や骨欠損を埋めて感染、腫瘍、手術による空隙(void)と損傷をなくしたり関節癒合や不癒合骨折を治癒したりするのに利用される。移植された自家骨が吸収され再血行化がなされると骨前駆細胞(osteoprogenitor cell)が骨形成細胞(bony osteogenesis cell)に分化され前記骨形成細胞の活動が新しい骨再生と骨欠損部治癒を起こす。しかし、自家骨は採取できる量が制限されていて供与部位に対する二次手術が追加され罹患率(morbidity)が高いという短所を持っている。したがって、伸延された部位で骨再生を誘導するために骨形態発生タンパク質(bone morphogenic protein)や他の骨移植代置物等が使用されている。この中で骨形態発生タンパク質が最も強力な骨誘導物質と考えられているが非常に高価で求めにくい短所のため臨床的に使用するには多くの限界があるのが実情である。
【0008】
硫酸カルシウムは、生体に適合して血管成長と骨形成細胞の成長を誘導して早期に骨を硬化させる骨充填剤である。この物質は、適合した環境で新生骨形成を誘導して正常骨構造を提供し、好ましくない結合組織の成長を防ぎ、骨治癒時の防御膜の役割もして治癒過程で骨に置き換わる。ベッソン(Beeson)は、硫酸カルシウムを犬の前頭洞(frontal sinus)に注入して、4〜6ヵ月内に骨再生が増進されたことを確認した(Beeson W.,Arch Otolaryngol,1981年,第107巻,664頁)、ペコラ(Pecora)等は、硫酸カルシウムが注入されたネズミの下顎角の骨欠損部位で3週後に部分的または全部位の骨治癒効果を報告した(Pecora G.,Andreana S.,Margarone III JE.,Covani U.,Sottosanti JS.,Oral Surg.Oral Med.Oral Pathol.Oral Radio Endod.,1997年,第84巻,434頁)。ペルター(Pelter)は、硫酸カルシウムが多様な骨欠損患者に安全に使用でき、数週または数ヵ月内に体内に吸収されて骨再生がなされ、感染した空洞内での使用が危険を招来したり合併症を誘発したりしなかったと報告した(Pelter LF.,Am.J.Surg.,1959年,第97(3)巻,311頁)。しかし、従来から骨再生用充填剤として使用している硫酸カルシウムは、錠剤や粉末形態であるため骨欠失部位に注入することが困難であるだけではなく、注入するためには、また他の手術的外傷が不可避であり患者にさらにもう一度手術が必要になり、傷跡を残すことになるという欠点があった。
【0009】
以上のことに鑑みて、本発明者は、硫酸カルシウムの投与方法を改善するために努力した結果、硫酸カルシウムと粘性を有するポリマーを含有したゲル状の組成物を調査し、該組成物が注射を通じて骨欠失部位に簡単に投与できるだけではなく、投与後には週辺臓器に広がらず、骨欠失部位にだけ存在して骨形成及び骨硬化を促進し、骨硬化期間を短縮させることを確認して本発明を完成した。
【発明の開示】
【0010】
発明の概要
本発明の目的は、骨欠損部位に投与しやすく、投与後には骨欠損部位に長期間残存することにより骨形成及び骨硬化を促進させるゲル状の骨充填用組成物を提供することである。
【0011】
発明の詳細な説明
前記目的を達成するために、本発明は、硫酸カルシウム及び粘性を有するポリマーを含有したゲル状の骨充填用組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、前記組成物を骨形成及び骨硬化促進に使用する用途を提供する。
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、硫酸カルシウム及び粘性を有するポリマーを含有したゲル状の骨充填用組成物を提供する。
【0014】
本発明の組成物は、
a)CaSO490〜99重量%及びCaCO3、MgCO3及びCaCO3・MgCO31〜10重量%からなる混合物20〜80重量%;及び
b)粘性を有するポリマー80〜20%で構成される。
【0015】
本発明の組成物は、CaSO4を主成分にしてCaCO3、MgCO3、CaCO3・MgCO3及びそれらの混合物からなる群から選択される一つ以上の無機塩をさらに含むことができる。本発明の実施例によると、全体無機塩の重量に対して、CaSO490〜99重量%及びCaCO3、MgCO3、CaCO3・MgCO31〜10重量%からなることが好ましく、CaSO498〜99重量%、CaCO30.3〜1重量%、MgCO3 0.3〜1重量%及びCaCO3・MgCO30.5〜1重量%を含有した組成物であることがさらに好ましい。硫酸カルシウムは、費用が手頃な骨充填剤として特別に精製された純度が高い状態で通常、粉末か丸薬の形態で供給される(図1参照)。前記硫酸カルシウムの最も大きな長所は、硫酸カルシウムが骨内に吸収される時、新生骨が解剖学的性状と構造的特性を回復するようになり新生骨成長が優秀であるということである。また、前記硫酸カルシウムは、吸収性が優れ炎症性反応を示さないため比較的安全な物質である。
【0016】
本発明では、粉形態の硫酸カルシウムと粘性を有するポリマーを混合したゲル形態の組成物を製造して、それを使用した。前記で粘性を有するポリマーは、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)、キトサン、ポリアクリル酸、ポリビニルエステル、ポリスチレン、セルロースエーテル、セルロースエステル、澱粉及び多糖類からなる群から選択して使用できる。本発明では、好ましい実施態様として粘性を有するポリマーにカルボキシメチルセルロースを使用した場合を例示した。
【0017】
前記粉形態の硫酸カルシウムと粘性を有するポリマーを混合した組成物において硫酸カルシウムと粘性を有するポリマーの比率は、20:80乃至80:20であることが好ましく、50:50の定量で混合することがさらに好ましい。
【0018】
本発明のゲル形態の組成物を製造するための好ましい実施例として粘性を有するポリマーに使用したカルボキシメチルセルロースには、ポリカルボキシメチルエーテルのナトリウム塩を使用できる。前記カルボキシメチルセルロースナトリウム塩は白色、クリーム色等の多様な色を示す無臭の吸湿性(hygroscopic)の粉末で、基剤物質に使用され懸濁剤や乳液剤に使用される。
【0019】
また、カルボキシメチルセルロースは、従来から、回腸人工肛門(ileostomy)手術や結腸人工肛門(colostomy)手術時に保護剤に使用される等、人体に無害な物質として知られている(Raynolds JEF.,Martindale.,The Extra Pharmacopoeia.,1989年,第29巻,1433頁)。
【0020】
本発明者らは、前記硫酸カルシウムと粘性を有するポリマーの混合物を18ゲージ注射針を使用して伸延された部位に注入した。該方法は、硫酸カルシウムの注入が簡単で容易であるため時間が節約され、二次的な手術を必要としないため手術傷跡を残さない。本発明の組成物は注入して3週後に旺盛な鉱化作用(mineralization)をして新生骨形成を促進し、6週後には、広範囲な新生骨形成を示した。また、前記組成物は骨伸延された部位に注入された後、徐々に吸収されて硫酸カルシウムだけが残り骨再生にいかなる影響を与えないので、炎症性反応を示さず比較的安全な物質と判断された。
【0021】
また、本発明は、前記組成物を骨形成及び骨硬化促進に使用する用途を提供する。
【0022】
本発明者らは、本発明の骨充填用組成物が前記のような用途に使用できるかどうかを確認するために犬の下顎で一日に2mmまたは1mmで骨伸延手術を行った後、前記組成物を注射して早期骨硬化効果に及ぼす影響を調査した。
【0023】
その結果、3週及び6週目に写した放射線写真において、一日に2mmずつ伸延して組成物を投与していない対照群を除外したすべての群において、下顎骨伸延部位で時間の経過により石灰化(calcification)が進行するのを観察できた。伸延された下顎骨片間に放射線透過領域(radiolucent zone)をおいて両側下顎骨片に接して放射線撮影期間と各群により、異なる硬化された区域があった。骨伸延後3週目には、一日に1mmずつまたは一日に2mmずつ伸延して組成物を投与していない対照群と一日に2mmずつ伸延して組成物を投与した群では、放射線非透過領域(radiodense zone)がほとんど観察されなかったが、一日に1mmずつ伸延した組成物を投与した群では、相当な量の放射線非透過領域が観察された。骨伸延後6週目には、一日に1mmずつ伸延して組成物を投与していない対照群と、一日に1mmまたは一日に2mmずつ伸延して組成物を投与した群で放射線非透過領域が伸延された部位の中央に漸次的に連結される所見が観察された。一日に1mmずつ伸延して組成物を投与した群が最も多い放射線非透過所見を示し、一日に2mmずつ伸延して組成物を投与していない対照群では、放射線非透過所見がほとんど観察されなかった(図3乃至図5参照)。
【0024】
また、組織学的検査結果、一日に1mmずつ伸延して組成物を投与していない対照群では、3週目に伸延された部位の端の部分に部分的に類骨(osteoid)を形成する造骨細胞(osteoblast)と中央部に多くの繊維化組織が観察され(図6A参照)、6週目には、伸延された部位に新生骨が3週目よりは、さらに多く観察されたが、中央部は繊維化組織で満たされていた(図6B及び図6C参照)。一日に2mmずつ伸延して組成物を投与していない対照群では、新生骨が伸延された部位の一部分でだけ観察され、ほとんど大部分が繊維化組織で満たされていた(図7参照)。
【0025】
一方、一日に1mmずつ伸延して組成物を投与した群では、3週目に多くの活動的な造骨細胞が伸延された部位の端の部分と中央部で観察され、新生骨と繊維化組織で満たされていて(図8A及び図8B参照)、6週目には伸延された部位全般にわたって形成された新生骨が正常皮質骨と類似に分布していた(図8C及び図8D参照)。一日に2mmずつ伸延して組成物を投与した群では、3週目に伸延された部位が繊維帯で連結されていて、端の部分に骨新生所見が観察され(図9A及び図9B参照)、6週目には伸延された部位の半分程度で新生骨が形成されていた(図9C及び図9D参照)。
【0026】
前記で確認したように、一日に2mmずつ伸延して組成物を投与した群が、1mmずつ伸延して組成物を投与した群より骨形成が少なく形成され、臨床的に一日に1mmずつ伸延することが有用であると思料される。前記結果は、臨床的にさらに速い伸延率が全般的な治療期間を短縮させるという既存の伸延率に対する研究結果と一致する内容である。
【0027】
一日に1mmずつ伸延して組成物を投与していない対照群では、伸延後6週目まで伸延された部位が新生骨に完全に置き換えられず、伸延された部位の大部分が中央の繊維化部位と端部分の骨化部位に現れた。したがって、前記結果と既存のカリファノ(Califano)及びコムロ(Komuro)の結果(Califano L,Cortese A,Zupi A,Tajana G,J.Oral Maxillofac.Surg.,1994年,第52巻,1179頁;Komuro Y,Takato T,Harii K,Yonemara Y,Plast.Reconstr.Surg.,1994年,第94巻,152頁)から、骨硬化期間は最少6週以上が好ましく、伸延骨生成時の伸延速度は速いほど骨延長に所要される期間を短縮させられ、長い骨硬化期間による患者の苦痛や手術の合併症等を減らすことができるので、骨形成に支障を与えない限り、その速度は速い方が好ましいと思料される。
【0028】
一般的に、伸延された骨は若干吸収される傾向があり、普通10乃至20%の過伸延が勧奨されている。しかし、過伸延の程度に対する正確な資料がなく、過伸延の程度は、手術者の経験により決定されている実情である。このような伸延された骨の吸収は、伸延された骨の鉱化作用程度にかかっていると考えられ、患者の年齢により成人では、完全な骨硬化のために骨伸延後6週から10週まで待つことが推奨されている。しかし、本発明では、組成物が対照群に比べて骨再生をさらに促進するために過伸延が敢えて必要ではないと判断された。
【0029】
前記の結果から、本発明の組成物は骨伸延後の新生骨形成と骨硬化を早期に促進させ骨硬化期間を短縮させるので非常に経済的で生体適合した骨充填用組成物として有用に使用できることを確認した。
【0030】
実施例
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
但し、下記の実施例は、本発明を例示するだけのもので、本発明の内容が下記の実施例に限定されるものではない。
【0031】
実施例1:骨充填用組成物の製造
本発明者らは、カルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose,以下「CMC」と略称する)と硫酸カルシウム塩を混合した骨充填用組成物を製造した。詳細には、98.9gのCaSO4・H2O、0.3gのCaCO3、0.3gのMgCO3及び0.5gのCaCO3・MgCO3をよく混和した後、CMC100gに添加してよく懸濁させて本発明のゲル状の組成物を製造した。
【0032】
実施例2〜実施例7:下記の表1の構成比にして実施例1と同一な方法でゲル状の組成物を製造した。
【0033】
【表1】
【0034】
実験例1:骨伸延手術の施行
本発明者らは、本発明の組成物が骨伸延手術時に新生骨形成と骨硬化を早期に促進させるかどうか確認するために、下記に示す犬の下顎骨で骨伸延手術を施行した後、本発明の組成物を注射して変化を観察した。
【0035】
詳細には、生後5ヵ月の8匹の犬を実験動物に使用した。その中の4匹は、対照群、残りの4匹は、組成物群に分類した。それら対照群と組成物群は、再び一日に1mmずつ伸延した群(対照1群、組成物1群)と2mmずつ伸延した群(対照2群、組成物2群)に細分した。
【0036】
犬は全身麻酔後、気管内挿管で呼吸を維持して手術部位は削毛した後、基本的な消毒と塗布を実施した。下顎骨の下端部に沿って3〜4cmの皮膚切開を加えた後、咬筋(masseter muscle)を持ち上げて下顎骨の外側面を露出させた。電気ノコギリで下顎骨体部に垂直に切骨手術を行って下顎骨を完全切断した。外固定装置に固定するピンは、切骨された部位から左右に1cmの地点の骨片に各々固定した。ピンを下顎骨骨片にドリルで固定時、生理食塩水で洗浄しながら固定してピン固定部位の骨が焦げないようにした。ここで、ピンは下顎骨をやっと貫通する程度打ち込みしっかりと固定した。2匹の犬のピンを固定した後、骨延長器具(Molina Distractors,Wells Johnson Company)に装着した(図2)。
【0037】
5−0ビクリル(vicryl)と5−0ナイロン縫合糸で切開部位を幾重にも縫合して実験動物を麻酔から回復させた。手術後、7日間ペニシリン抗生剤(100,000μ/kg)を12時間毎に筋肉注射し、痛みを緩和するために鎮痛剤10ccを6時間間隔で経口投与した。手術直後から2日目までは軟質食餌(soft diet)を与え、3日目から一般食餌(regular diet)に替えた。手術後5日目から対照1群と組成物1群では、一日に1mmずつ、総10mmになるように10日間伸延し、対照2群と組成物2群では、一日に2mmずつ、総10mmになるように5日間伸延した。
【0038】
骨伸延が終わった日に骨伸延された部位に、前記実施例1で製造した本発明の骨充填用組成物を18ゲージ注射針を通じて骨伸延された部位に1ml注射した。対照群には、カルボキシメチルセルロースだけを1ml骨伸延された部位に注射した。
【0039】
組成物の注入が終わった後、骨硬化と骨再生のために骨伸延装置を6週間維持し、各群毎に1匹ずつ全体で4匹を骨伸延が終わった後3週目、残り4匹は、6週目にペントバルビタール(pentobarbital)を過用量(40〜50mg/kg)注射して犠牲にした。
【0040】
<1−1>放射線検査
前記で骨伸延を行った各群の実験動物に毎週放射線検査を実施し、3週目と6週目に得られた放射線写真を基礎にして骨生成及び骨硬化程度を観察した。
【0041】
その結果、3週目及び6週目に写した放射線写真で、対照2群を除外したすべての群の下顎骨伸延部位において時間の経過により進行されている石灰化を観察できた(図3乃至図5)。放射線撮影期間と各群によって、伸延された下顎骨片間に放射線透過区域をおいて両側下顎骨片に接して異なる硬化された区域が見られた。骨伸延後3週目には、対照群と組成物2群で放射線非透過領域がほとんど観察されなかったが、組成物1群では、相当な量が観察された。6週目には、放射線非透過領域が伸延された部位の中央に漸次的に連結されている所見が対照1群と組成物1、2群で観察された。組成物1群が最も多い放射線非透過所見を示し、対照2群では、ほとんど観察されなかった。
【0042】
<1−2>組織学的検査
前記で骨伸延手術が終わった実験動物の組織学的検査のために、電気ノコを使用して伸延された下顎骨部位とその周囲の正常骨組織を含んだ骨標本を採取した。採取した骨片を10%中性ホルマリンに1週日間固定した後、2日間10%硝酸と10%クエン酸ナトリウムに脱灰(decalcification)した後、通常の方法にしたがって脱水及びパラフィン固定を経て4〜6μmの標本を製作した。前記標本をヘマトキシリン−エオジン(hematoxylin−eosin)で染色して光学顕微鏡で組織学的所見を観察した。
【0043】
その結果、対照1群では、3週目に伸延された部位の端の部分に部分的に類骨(osteoid)を形成する造骨細胞(osteoblast)と中央部に多くの繊維化組織が観察され(図6A)、6週目には、伸延された部位に新生骨が3週目よりは、さらに多く観察されたが、中央部に、繊維化組織で満たされていた(図6B及び図6C)。対照2群では、新生骨が伸延された部位の一部分でだけ観察され、ほとんど大部分が繊維化組織で満たされていた(図7)。一方、組成物1群では、3週目に多くの活動的な造骨細胞が伸延された部位の端の部分と中央部で観察され、新生骨と繊維化組織で満たされていた(図8A及び図8B)。6週目には、伸延された部位全般にわたって形成された新生骨が正常皮質骨と類似に分布した(図8C及び図8D)。組成物2群では、3週目に伸延された部位が繊維帯で連結されていて、端の部分に骨新生所見が観察され(図9A及び図9B)、6週目には、伸延された部位の半分程度に新生骨が形成されていた(図9C及び図9D)。
【0044】
産業上の利用可能性
前記で詳しく見たように、本発明のゲル形態の組成物は、新生骨形成を誘導して正常骨構造を提供して、好ましくない結合組織の成長を防いで骨治癒時に防御膜の役割をするだけではなく、治癒過程で骨に置き換えられるので、生体に適合して血管成長、骨形成細胞及び骨硬化を早期に誘導する骨充填用組成物として有用に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の組成物の製造に使用した硫酸カルシウム塩錠剤の写真である。
【図2】本発明の組成物を使用した骨伸延手術時に実験動物に外部固定装置を装着した様子を示した写真である。
【図3A】本発明でカルボキシメチルセルロースだけ注射して一日に1mmずつ10日間伸延した対照1群で、骨伸延手術後3週が経過した後の骨硬化程度を示した放射線写真である。
【図3B】本発明でカルボキシメチルセルロースだけ注射して一日に1mmずつ10日間伸延した対照1群で、骨伸延手術後6週が経過した後の骨硬化程度を示した放射線写真である。
【図3C】本発明でカルボキシメチルセルロースだけ注射して一日に2mmずつ5日間伸延した対照2群で、骨伸延手術後3週が経過した後の骨硬化程度を示した放射線写真である。
【図3D】本発明でカルボキシメチルセルロースだけ注射して一日に2mmずつ5日間伸延した対照2群で、骨伸延手術後6週が経過した後の骨硬化程度を示した放射線写真である。
【図4A】本発明の組成物を注射して一日に1mmずつ10日間伸延された硫酸カルシウム塩1群で、組成物を注入した後3週が経過した後の骨硬化程度を示した放射線写真である。
【図4B】本発明の組成物を注射して一日に1mmずつ10日間伸延された硫酸カルシウム塩1群で、組成物を注入した後6週が経過した後の骨硬化程度を示した放射線写真である。
【図5A】本発明の組成物を注射して一日に2mmずつ5日間伸延された硫酸カルシウム塩2群で、組成物を注入した後3週が経過した後の骨硬化程度を示した放射線写真である。
【図5B】本発明の組成物を注射して一日に2mmずつ5日間伸延された硫酸カルシウム塩2群で、組成物を注入した後6週経過した後の骨硬化程度を示した放射線写真である。
【図6A】本発明でカルボキシメチルセルロースだけ注射して一日に1mmずつ10日間伸延した対照1群で、骨伸延手術後3週経過後の組織学的な断面を示した写真である。矢印;最初切断部位。
【図6B】本発明でカルボキシメチルセルロースだけ注射して一日に1mmずつ10日間伸延した対照1群で、骨伸延手術後6週経過後の組織学的な断面を示した写真である。矢印;最初切断部位。
【図6C】本発明でカルボキシメチルセルロースだけ注射して一日に1mmずつ10日間伸延した対照1群の骨伸延手術部位の端の部分で、新しい骨が形成されることをヘマトキシリン&エオジン染色で確認した組織写真である。A;造骨細胞。B;繊維化組織。
【図7A】本発明でカルボキシメチルセルロースだけ注射して一日に2mmずつ5日間伸延された対照2群で、骨伸延手術後3週経過後の組織学的な断面を示した写真である。矢印;最初切断部位。
【図7B】本発明でカルボキシメチルセルロースだけ注射して一日に2mmずつ5日間伸延された対照2群で、骨伸延手術後6週経過後の組織学的な断面を示した写真である。矢印;最初切断部位。
【図7C】本発明でカルボキシメチルセルロースだけ注射して一日に2mmずつ5日間伸延された対照2群の骨伸延手術部位の端の部分で、新しい骨が形成されることをヘマトキシリン&エオジン染色で確認した組織写真である。A;造骨細胞。B;繊維化組織。
【図8A】本発明の組成物を注射して一日に1mmずつ10日間伸延した硫酸カルシウム塩1群で、骨伸延手術後3週経過後の組織学的な断面を示した写真である。矢印;最初切断部位。
【図8B】図8Aの組織学的な断面をヘマトキシリン&エオジンで染色して、伸延された部位の中央が造骨細胞と繊維化組織で満たされているのを示した写真である。A;造骨細胞。B;繊維化組織。
【図8C】本発明の組成物を注射して一日に1mmずつ10日間伸延した硫酸カルシウム塩1群で、骨伸延手術後6週経過後の組織学的な断面を示した写真である。矢印;最初切断部位。
【図8D】図8Cの組織学的な断面をヘマトキシリン&エオジンで染色して、伸延された部位全般にわたって新生骨が形成されていることを示した写真である。
【図9A】本発明の組成物を注射して一日に2mmずつ5日間伸延した硫酸カルシウム塩2群で、骨伸延手術後3週経過後の組織学的な断面を示した写真である。矢印;最初切断部位。
【図9B】図9Aの組織学的な断面をヘマトキシリン&エオジンで染色して、伸延された部位が繊維帯で連結されていて端の部分で造骨形成が起きていることを示した写真である。
【図9C】本発明の組成物を注射して一日に2mmずつ5日間伸延した硫酸カルシウム塩2群で、骨伸延手術後6週経過後の組織学的な断面を示した写真である。矢印;最初切断部位。
【図9D】図9Cの組織学的な断面をヘマトキシリン&エオジンで染色して、伸延された部位の半分程度で新生骨が形成されていることを示した写真である。A;造骨細胞。B;繊維化組織。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)CaSO490〜99重量%及びCaCO3、MgCO3及びCaCO3・MgCO31〜10重量%からなる混合物20〜80重量%;及び
2)粘性を有するポリマー80〜20重量%を含むことを特徴とする骨形成及び骨硬化促進のための骨充填用組成物。
【請求項2】
CaSO498〜99重量%、CaCO30.3〜1重量%、MgCO30.3〜1重量%及びCaCO3・MgCO30.5〜1重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の骨形成及び骨硬化促進のための骨充填用組成物。
【請求項3】
粘性を有するポリマーは、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)、キトサン、ポリアクリル酸、ポリビニルエステル、ポリスチレン、セルロースエーテル、セルロースエステル、澱粉及び多糖類からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の骨形成及び骨硬化促進のための骨充填用組成物。
【請求項4】
粘性を有するポリマーが、カルボキシメチルセルロースであることを特徴とする、請求項3に記載の骨形成及び骨硬化促進のための骨充填用組成物。
【請求項5】
硫酸カルシウムと粘性を有するポリマーの比率が、50:50であることを特徴とする、請求項1に記載の骨形成及び骨硬化促進のための骨充填用組成物。
【請求項6】
前記組成物が、ゲル状であることを特徴とする、請求項1に記載の骨形成及び骨硬化促進のための骨充填用組成物。
【請求項1】
1)CaSO490〜99重量%及びCaCO3、MgCO3及びCaCO3・MgCO31〜10重量%からなる混合物20〜80重量%;及び
2)粘性を有するポリマー80〜20重量%を含むことを特徴とする骨形成及び骨硬化促進のための骨充填用組成物。
【請求項2】
CaSO498〜99重量%、CaCO30.3〜1重量%、MgCO30.3〜1重量%及びCaCO3・MgCO30.5〜1重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の骨形成及び骨硬化促進のための骨充填用組成物。
【請求項3】
粘性を有するポリマーは、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)、キトサン、ポリアクリル酸、ポリビニルエステル、ポリスチレン、セルロースエーテル、セルロースエステル、澱粉及び多糖類からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の骨形成及び骨硬化促進のための骨充填用組成物。
【請求項4】
粘性を有するポリマーが、カルボキシメチルセルロースであることを特徴とする、請求項3に記載の骨形成及び骨硬化促進のための骨充填用組成物。
【請求項5】
硫酸カルシウムと粘性を有するポリマーの比率が、50:50であることを特徴とする、請求項1に記載の骨形成及び骨硬化促進のための骨充填用組成物。
【請求項6】
前記組成物が、ゲル状であることを特徴とする、請求項1に記載の骨形成及び骨硬化促進のための骨充填用組成物。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【公表番号】特表2006−503615(P2006−503615A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−539599(P2004−539599)
【出願日】平成14年9月30日(2002.9.30)
【国際出願番号】PCT/KR2002/001839
【国際公開番号】WO2004/028580
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り
【出願人】(502411159)リージェン バイオテック インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成14年9月30日(2002.9.30)
【国際出願番号】PCT/KR2002/001839
【国際公開番号】WO2004/028580
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り
【出願人】(502411159)リージェン バイオテック インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
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