説明

硫酸バリウムおよびその製造方法

【課題】硫化バリウムにボウ硝あるいは硫酸を反応させる従来法における問題点を改善して粒子径が小さく、かつ粒度分布の幅が狭い分散性に優れた沈降性硫酸バリウムの粉末の提供。
【解決手段】硫化バリウム溶液に反応させる硫酸塩溶液が硫酸アンモニウム溶液であり、硫化バリウム溶液の濃度がバリウムとして50g/l以上、液温30〜60℃で、硫化バリウムに対して0.8〜2.5当量の硫酸アンモニウムを添加して得られる硫酸バリウムの沈殿を含むスラリーに水酸化ナトリウムを加えてpHを11〜13に調整し液温60〜90℃で熟成した後、濾過、水洗、乾燥、砕解して硫酸バリウム粉末を得る。該粉末中のナトリウムは10重量ppm以下、粉体pHが7.0〜9.0のほぼ中性から弱アルカリ性であって、レーザー回折法粒度分布曲線は図1に示す如くであり、粒度分布の幅が狭く分散性に優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分散性に優れた沈降性硫酸バリウムおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硫酸バリウムには水簸(水ヒ)性硫酸バリウムと沈降性硫酸バリウムの二つがあり、工業的には前者は重晶石(BaSO4 )を選別して粗砕後、湿式で微粉砕し、水簸として微粉を集め、硫酸を少量加えて鉄分を除き水洗乾燥して粉砕したものである。後者の沈降性硫酸バリウムは重晶石の還元焙焼でつくった硫化バリウムの浸出溶液に過マンガン酸カリウムで脱鉄精製したボウ硝(硫酸ナトリウム)溶液を反応させ、できた沈殿を濾過、水洗、乾燥して製品とする。また硫酸塩水溶液のかわりに硫酸を加え、得られる白色沈殿を濾過水洗してもよい。
【0003】
沈降性硫酸バリウムは空気や熱に安定で変色しないので、パーマネントホワイトと呼ばれ白色顔料として重要であり、ゴム、紙、絶縁テープの充填剤として使用されている。また、X線吸収力が大きく溶解度が小さく無害であるためX線造影剤として消化管の検査に用いられるほか、特に光沢を必要とするアート紙、バライト紙には最上質の沈降性硫酸バリウムが用いられる。
【特許文献1】特開昭58−120520号公報
【特許文献2】特開昭62−252328号公報
【特許文献3】特公昭47−1008号公報
【特許文献4】特開平3−88715号公報
【特許文献5】特開昭60−137823号公報
【特許文献6】特開平2−83211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の沈降性硫酸バリウムは製品中に残存するナトリウムの存在量が多く、分散性および透明度が必ずしも満足できるものではなかった。また工業的に硫化バリウムとボウ硝あるいは硫酸との反応で生じた沈殿から得られる従来法の沈降性硫酸バリウムはその粉体pHが6.5よりも低く白色度が低下し、塗料樹脂との混合性が劣っていた。さらに原料としての硫化バリウム溶液の硫化バリウム濃度や反応時の液温によって、得られる白色沈殿粉末の粒子径および粒度分布が影響を受け、これら特性が安定した微細な沈降性硫酸バリウムが得られないという課題があった。すなわち、本発明者らは、硫化バリウムにボウ硝あるいは硫酸を反応させる従来方法における問題点を改善して粒子径が小さく、かつ粒度分布の幅が狭い分散性に優れた沈降性硫酸バリウム粉末を得ることを発明の目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を進め、重晶石の還元焙焼でつくった硫化バリウムにボウ硝溶液を反応させる従来の方法では製品中のナトリウムが高いため分散性が改善されず、また硫酸を反応させる硫酸法では粉体pHが6.5未満となって塗料との混合性に問題が残ることに鑑み、これらの欠点の改善に取り組んだ結果、硫化バリウムに反応させる溶液としてボウ硝または硫酸溶液のかわりに硫酸アンモニウム溶液を用いるとともに、硫化バリウムの濃度、硫酸アンモニウムの添加量および液温等の反応条件を調整することにより分散性に有害な影響を与えるナトリウムを10ppm以下に抑制でき、分散性に優れた沈降性硫酸バリウムが得られることを見いだし本発明に到達した。
【0006】
すなわち本発明は第1に、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定して得られる粒度分布が、累積50%径D50は1μm以下であり、かつ累積90%径D90は2μm以下であることを特徴とする硫酸バリウム;第2に、前記粒度分布が累積10%径D10は0.4μm以下であり、累積50%径D50は0.6μm以下であり、累積90%径D90は1μm以下であることを特徴とする前記第1記載の硫酸バリウム;第3に、粉体pHが7.0〜9.0であることを特徴とする前記第1または2のいずれかに記載の硫酸バリウム;第4に、ナトリウム含有量が10重量ppm以下であることを特徴とする前記第1〜3のいずれかに記載の硫酸バリウム;第5に、硫化バリウム溶液に硫酸アンモニウムを添加して硫酸バリウムの沈殿を生成させる工程を含むことを特徴とする硫酸バリウムの製造方法;第6に、前記硫酸バリウムの沈殿を生成させた後、熟成することを特徴とする前記第5記載の硫酸バリウムの製造方法;第7に、前記硫化バリウム溶液のバリウム濃度を50g/l以上とすることを特徴とする前記第5または6のいずれかに記載の硫酸バリウム粉末の製造方法;第8に、前記硫酸アンモニウムの添加時の硫化バリウム溶液の温度を30〜60℃とすることを特徴とする前記第5〜7のいずれかに記載の硫酸バリウムの製造方法;第9に、前記硫酸アンモニウムの添加量を硫化バリウムに対して0.8反応当量以上とすることを特徴とする前記第5〜8のいずれかに記載の硫酸バリウムの製造方法;第10に、前記硫酸バリウムの熟成においては、硫化バリウム溶液に硫酸アンモニウムを添加して硫酸バリウムの沈殿を生成させた後、得られた硫酸バリウムの沈殿を含むスラリーにアルカリを添加し、pHを11〜13に調整して熟成することを特徴とする前記第6〜9のいずれかに記載の硫酸バリウムの製造方法;第11に、前記熟成時のスラリーの温度を60〜90℃とすることを特徴とする前記第6〜10のいずれかに記載の硫酸バリウムの製造方法;第12に、前記熟成時のpH調整のために添加するアルカリが水酸化ナトリウムであることを特徴とする前記第6〜11のいずれかに記載の硫酸バリウムの製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
ボウ硝や硫酸を反応させる従来の方法に対して、本発明の方法によれば、硫化バリウムに対して0.8〜2.5当量の硫酸アンモニウムを添加反応させて沈殿を生成させるとともに、硫化バリウムの濃度、液温および沈殿発生後のスラリーのpH等を調整するので、ナトリウム含量が10重量ppm以下と少なく、かつ粉末の粒度分布が適正であって分散性に優れた沈降性硫酸バリウムを得ることができる。本発明の硫酸バリウムは従来の硫酸バリウムに比し、粒度分布が極めてシャープであり、この特性を本発明品の同定のために用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明では硫化バリウムの濃度がバリウムとして50g/l以上の硫化バリウムの水溶液に、液温30〜60℃で、硫化バリウムに対して0.8反応当量以上の硫酸アンモニウムを添加する。次いで得られた硫酸バリウムの沈殿を含むスラリーにアルカリを添加しpHを11〜13に調整する。さらに60〜90℃で撹拌しながら熟成した後、濾過、水洗、乾燥、砕解して硫酸バリウム粉末を得る。ここで、熟成とは一定時間、一定温度で処理して、特に長時間液体、スラリーを攪拌して必要とする特性を、ここでは、S、H2 S等のS分をNa2 Sとして溶解させ、S分の少ない硫酸バリウムを得ることを言う。
【0009】
反応溶液の硫化バリウムの濃度がバリウムとして50g/l未満では、生成する硫酸バリウムの粒子径(D50)が1μmを越え大きくなり好ましくなく、さらに粒度分布の幅がD90>2μmと広くなり硫酸バリウムの分散性が低下し好ましくない。
【0010】
また硫化バリウムの水溶液の反応時の温度が30℃よりも低いと硫化バリウムの溶解度が低下するため工業的には好ましくない。一方、60℃を越える高温になると得られる硫酸バリウムの粒子径(D50)が1μmを越え大きくなり好ましくなく、さらに粒度分布の幅がD90>2μmと広くなり硫酸バリウムの分散性が低下し好ましくない。
【0011】
添加する硫酸アンモニウムの形態は固体でも水溶液でもどちらでもよい。添加する硫酸アンモニウムの量が硫化バリウムに対する反応当量で0.8当量未満では、未反応の硫化バリウムが存在し、硫酸バリウムの粒径が大きくなり過ぎて好ましくない。一方、添加する硫酸アンモニウムの量が硫化バリウムに対する反応当量で0.8当量以上であれば十分であり、特に上限はないが、2.5当量を越えても特に特性に変化はなく硫酸アンモニウムが過剰になるだけで、原材料費の面からは好ましくない。反応時に、逆に硫化バリウムの水溶液(または固体)を硫酸アンモニウム水溶液に添加しても構わない。
【0012】
硫酸バリウムの沈殿を含むスラリーの熟成時のpH調整剤は水酸化ナトリウム、硫化ナトリウム等のアルカリが使用できるが、S分をNa2 Sとして溶解させてS分を除去できるため、特に水酸化ナトリウムが好ましい。添加する水酸化ナトリウムの形態は固体でも水溶液でもどちらでもよい。
【0013】
硫酸バリウムの沈殿を含むスラリーの熟成時の調整したpHが11未満では、S分が残りやすく好ましくない。一方、pHが13を越えると、アルカリ除去のための水洗時間が長く必要になり好ましくない。
【0014】
熟成時の液温は60℃よりも低くても熟成の目的上は支障ないが、60℃よりも低いとS分を除去するための熟成時間が延びるので好ましくない。一方、熟成時の温度は60℃以上であれば十分であり特に上限はないが、装置の耐熱性、水溶液の沸点等を考慮すると90℃までとするのが妥当である。
【0015】
熟成後の沈殿の溶液からの分離および水洗方法は特に限定されず、一般的な方法が適用可能であり、デカンテーション、あるいはヌッチェ、ブフナー漏斗による自然濾過または吸引濾過、フィルタープレス、あるいは遠心分離法等が適用できるがその他の装置、方法等を適用してもよい。水洗時間は、付着したNaOH、N2 Sがなくなり、pHが9以下となるように適宜行う。
【0016】
乾燥方法は特に限定されず、一般的な方法が適用可能であり、大気圧乾燥、減圧乾燥、真空乾燥等が適用できるがその他の装置、方法等を適用してもよい。砕解方法は特に限定されず、一般的な方法が適用可能である。
【0017】
得られた硫酸バリウムに対して種々の測定を行い、従来の硫酸バリウムと比較した。ナトリウム含有量は原子吸光法によって測定した。S分は硫化物として滴定法で分析した。次に、粉体pHは、JISK5101Bにより測定した。粒度分布は、島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定し、累積10%径 D10、累積50%径 D50、累積90%径 D90を測定した。BETは、湯浅アイオニクス製のMONOSORBにより測定した。塗布したときの表面状態、凹凸をみるための粒試験は、煮あまに油と混練し、JISK5400(A法、B法)により測定した。白色度は、ミノルタ製の色彩色差計により測定した。
【0018】
本発明の方法で得られる沈降性硫酸バリウムは、ナトリウムの含有量がきわめて低く、常に100重量ppm以下であり、必要に応じ10重量ppm以下とすることも容易にできる。かつ粉体pHが7.0〜9.0のほぼ中性から弱アルカリ性である。さらにレーザー回折法での粒度分布は累積50%径(D50)が1μm以下、累積90%径(D90)が2μm以下である。所望により累積10%径(D10)が0.4μm以下であり、累積50%径(D50)が0.6μm以下であり、かつ累積90%径(D90)が1μm以下である製品も容易に製造できる。実施例にその製造の一例を示した。
【0019】
ナトリウム含有率が高く、例えば100ppmを越えると硫酸バリウムの分散性が低下し、粒度分布の幅が広くなり好ましくなく、また硫酸バリウムの透明度が低下し好ましくない。そのため、ナトリウム含有率が100ppm以下、より好ましくは10ppm以下となるように制御することが必要であるが、本発明の方法ではナトリウム含有率100ppm以下とすることが容易にでき、所望により10ppm以下とすることもできる。硫化物としてのS分は<0.01%が好ましい。≧0.01%ではS分がSO4 等まで酸化されて粉体pHが下がる傾向があり好ましくない。
【0020】
またボウ硝の代わりに硫酸を用いた場合のように粉体pHが7.0未満では硫酸バリウムの白色度が低下し、樹脂塗料との混合性も劣り好ましくない。
【0021】
一方、粉体pHが9.0でも使用できるものの、9.0を越えると、混合後樹脂塗料が劣化し易くなり好ましくない。
【0022】
レーザー回折法での粒度分布における累積50%径が1μmを越え、累積90%径が2μmを越えると、樹脂との混練に時間がかかったり、塗布後の表面が不均一になり好ましくない。
【0023】
BETは、高い方がよいが、高過ぎても二次凝集が進み、樹脂の分散時間がかかるため、5〜25m2 /gが好ましい。
【0024】
粒試験で得られる粒度は低い方がよく、A法では30μm以下、B法では20μm以下が好ましい。
【0025】
白色度は、W、Lは高い方がよく、a、bは0に近い方がよい。
【0026】
本発明の硫酸バリウムは上記全ての要件を満たし、最上質の沈降性硫酸バリウムとして広範囲の用途に使用することができる。
【0027】
上記本発明の硫酸バリウムを、アート紙およびバライト紙の充填剤として使用したところ、D50≦1μm、D90≦2μmのため分散性が良く、粉体pHが7.0〜9.0のため、白色度が高く、混練性が良く、劣化しにくく、Na≦10重量ppmのため、分散性が良く透明度も高く、粒試験A法≦30μm、B法≦20μmであり、混合性、なじみが良く、表面の凹凸が少なく、均一な良好なアート紙、バライト紙を得た。さらに、塗料用の顔料として用いても同様の良好の結果を得た。
【実施例】
【0028】
[実施例]
硫化バリウム(BaS)の濃度が100g/l(Baとして81g/l)の40℃の水溶液に2当量の硫酸アンモニウム[(NH42 SO4 ]水溶液を反応させた後、液温80℃にて水酸化ナトリウムを加えpHを12に調整して2時間攪拌しながら熟成してからNo.5C濾紙を敷いたヌッチェで濾過、約1時間水洗した後乾燥および砕解の処理を行い硫酸バリウム粉末を得た。
【0029】
得られた硫酸バリウムについて、実施の形態に示した方法でナトリウム含有量および各種の物性を測定した。
【0030】
該硫酸バリウム中のナトリウム含有量を調べたところ、10重量ppm未満、S分含有量は0.01重量%未満で、粉体pHは8.1であった。レーザー回折法粒度分布は累積10%径が0.37μm、累積50%径が0.51μm、累積90%径が0.70μmであった。粒度分布曲線1を図1に示す。
【0031】
BETは、5.7m2 /gであり、粒試験は、A法で25μm、B法で14μmであった。また白色度は、W 98.5、L99.0、a−0.45、b0.22であった。
【0032】
上記本発明の硫酸バリウムを、アート紙およびバライト紙の充填剤として使用したところ、D50≦1μm、D90≦2μmのため分散性が良く、粉体pHが7.0〜9.0のため、白色度が高く、混練性が良く、劣化しにくく、Na≦10重量ppmのため、分散性が良く透明度も高く、粒試験A法≦30μm、B法≦20μmであり、混合性、なじみが良く、表面の凹凸が少なく、均一な良好なアート紙、バライト紙を得た。さらに、塗料用の顔料として用いても同様の良好の結果を得た。
【0033】
[比較例1]
実施例と同様に濃度100g/lの硫化バリウムを用意し、これに硫酸を加えてpH3で液温を40℃に調整した後、実施例と同様に熟成を行い硫酸バリウムを得た。ナトリウム含有量は10重量ppm、S分含有量は0.01重量%で、粉体pHは6.5であった。レーザー回折法粒度分布は累積10%径が0.56μm、累積50%径が0.80μm、累積90%径が4.34μmであった。粒度分布曲線2を図2に示す。
【0034】
BETは、6.5m2 /gであり、粒試験は、A法で40μm、B法で25μmであった。また白色度は、W 97.4、L98.0、a−0.24、b2.11であった。
【0035】
上記の硫酸バリウムを、アート紙およびバライト紙の充填剤および塗料用の顔料として用いたが、良好な結果は得られなかった。
【0036】
[比較例2]
実施例と同様に濃度100g/lの硫化バリウムとボウ硝との反応により上記と同様にして粉末を得た。
【0037】
ナトリウム含有量が100重量ppmで、S分含有量は0.01重量%未満、粉体pHは9.5であった。レーザー回折法粒度分布は累積10%径が0.75μm、累積50%径が2.69μm、累積90%径が3.81μmであった。粒度分布曲線3を図3に示す。
【0038】
BETは、3.5m2 /gであり、粒試験は、A法で40μm、B法で30μmであった。また白色度は、W 97.4、L97.8、a−0.51、b0.40であった。
【0039】
上記の硫酸バリウムを、アート紙およびバライト紙の充填剤および塗料用の顔料として用いたが、良好な結果は得られなかった。
【0040】
図4に、実施例で得られた本発明品の粒度分布曲線1を比較例1および2で得られた従来品の粒度分布曲線2および3と同一座標上に対比して示した。また、各製品の物性値を表1に対比して示した。
【0041】
【表1】

【0042】
この表から明らかであるように、本発明の硫酸バリウムは、白色度も高く分散性に優れているため、アート紙、バライト紙等への充填剤や塗料用の顔料として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例1に記載した方法で得られた本発明の硫酸バリウムについてレーザー回折法で得られ粒度分布曲線1を示す図である。
【図2】比較例1に記載した方法で得られた従来法の硫酸バリウムについてレーザー回折法で得られ粒度分布曲線2を示す図である。
【図3】比較例2に記載した方法で得られた従来法の硫酸バリウムについてレーザー回折法で得られ粒度分布曲線2を示す図である。
【図4】比較のため粒度分布曲線1、2、3を同一の座標上に対比して示したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー回折式粒度分布測定装置により測定して得られる粒度分布が、累積50%径D50は1μm以下であり、かつ累積90%径D90は2μm以下であって、BETが5〜25m2/g、粉体pHが7.0〜9.0であることを特徴とする硫酸バリウム。
【請求項2】
S分含有量が0.01重量%未満である請求項1記載の硫酸バリウム。
【請求項3】
前記粒度分布が累積10%径D10は0.4μm以下であり、累積50%径D50は0.6μm以下であり、累積90%径D90は1μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の硫酸バリウム。
【請求項4】
ナトリウム含有量が10重量ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の硫酸バリウム。
【請求項5】
硫化バリウム溶液に硫酸アンモニウムを添加して硫酸バリウムの沈殿を生成させた後、得られた硫酸バリウムの沈殿を含むスラリーにアルカリを添加し、pHを11〜13に調整して熟成し、次いで該熟成後の沈殿を粉体pHが7.0〜9.0となるように水洗時間を設定して水洗することを特徴とする硫酸バリウムの製造方法。
【請求項6】
前記硫化バリウム溶液のバリウム濃度を50g/l以上とすることを特徴とする請求項5に記載の硫酸バリウムの製造方法。
【請求項7】
前記硫酸アンモニウム添加時の硫化バリウム溶液の温度を30〜60℃とすることを特徴とする請求項5または6に記載の硫酸バリウムの製造方法。
【請求項8】
前記硫酸アンモニウムの添加量を硫化バリウムに対して0.8反応当量以上とすることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の硫酸バリウムの製造方法。
【請求項9】
前記熟成時のスラリーの温度を60〜90℃とすることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の硫酸バリウムの製造方法。
【請求項10】
前記熟成時のpH調整のために添加するアルカリが水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の硫酸バリウムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−50261(P2008−50261A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253090(P2007−253090)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【分割の表示】特願平9−203803の分割
【原出願日】平成9年7月14日(1997.7.14)
【出願人】(000224798)DOWAホールディングス株式会社 (550)
【Fターム(参考)】