説明

硫酸ピッチ処理方法、および硫酸ピッチ処理装置

【課題】それ自体が本来有用性ありとされている物質を用いることを抑制できるよう、廃棄物の焼成品を利用して、酸性度が極めて高い硫酸ピッチの中和処理が、技術上、合理的に達成されるようにする。
【解決手段】硫酸ピッチ2と、廃棄物3の焼成品4とを混合して硫酸ピッチ2の酸性を中和するようにする。硫酸ピッチ2と焼成品4との混合物24における油分が多い場合には、この混合物24の焼成品4を硫酸ピッチ2に混合させるようにする。硫酸ピッチ処理装置1は、硫酸ピッチ2と、廃棄物3の焼成品4とを収容してこれらを混合する混合機16と、硫酸ピッチ2を収容してその上端に開口26を有する容器27を、その開口26が下方に向かうよう傾斜姿勢にさせて容器27内の硫酸ピッチ2を混合機16に投入可能とする投入機29と、傾斜姿勢の容器27内における固形状硫酸ピッチ2を解砕可能とする固形物解砕機40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般廃棄物や産業廃棄物である廃棄物を利用することにより、硫酸ピッチを中和するようにした硫酸ピッチ処理方法、および硫酸ピッチ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石油を精製するために、近時、硫酸が用いられることがあり、この場合、上記精製後には多量の硫酸ピッチが生じる。この硫酸ピッチは、酸性度が例えばpH1以下であって、極めて高いため、そのまま廃棄することはできない。そこで、従来、下記特許文献1,2に示されるように、硫酸ピッチを中和処理する方法が提案されている。
【0003】
即ち、上記特許文献1のものによれば、硫酸ピッチに粘土鉱物を混合することにより上記硫酸ピッチの酸性を中和するようにしている。また、上記特許文献2のものによれば、硫酸ピッチにセメント系固化剤を混合することにより上記硫酸ピッチの酸性を中和するようにしている。
【特許文献1】特開2005−193108号公報
【特許文献2】特開2002−180067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記各従来の技術では、硫酸ピッチを中和処理するために粘土鉱物やセメント系固化剤を用いている。しかし、これらはそれ自体が本来有用性のある物質である。このため、上記硫酸ピッチを中和処理する、ということのために、上記粘土鉱物やセメント系固化剤を用いる場合には、これら有用性のある物質を有益に利用しているとは言い難いという問題点がある。
【0005】
一方、本来、単に廃棄されるものと考えられる一般廃棄物や産業廃棄物は、環境保全の点で、一般に、焼成などされて化学的に安定した物質とされた後、路床、路盤材などの土木用材やセメント製品の骨材などに再利用されている。しかし、近時、上記焼成品をより有効に利用できるようにすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、それ自体が本来有用性ありとされている物質を用いることを抑制できるよう、廃棄物の焼成品を利用して、酸性度が極めて高い硫酸ピッチの中和処理が、技術上、合理的に達成されるようにすることである。
【0007】
請求項1の発明は、硫酸ピッチ2と、廃棄物3の焼成品4とを混合して上記硫酸ピッチ2の酸性を中和するようにしたものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明に加えて、上記硫酸ピッチ2と焼成品4との混合物24における油分が多い場合には、この混合物24を焼成して焼成品4とし、この焼成品4を上記硫酸ピッチ2に混合させるようにしたものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1、もしくは2の発明に加えて、上記混合物24に中和剤6を混合させるようにしたものである。
【0010】
請求項4の発明は、硫酸ピッチ2と、廃棄物3の焼成品4とを収容してこれらを混合する混合機16と、硫酸ピッチ2を収容してその上端に開口26を有する容器27を、上記開口26が下方に向かうよう傾斜姿勢にさせて上記容器27内の硫酸ピッチ2を上記混合機16に投入可能とする投入機29と、上記傾斜姿勢の容器27内における固形状硫酸ピッチ2を解砕可能とする固形物解砕機40とを備えたものである。
【0011】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0012】
本発明による効果は、次の如くである。
【0013】
請求項1の発明は、硫酸ピッチと、廃棄物の焼成品とを混合して上記硫酸ピッチの酸性を中和するようにしている。
【0014】
このため、第1の「効果」が生じる。即ち、上記廃棄物により生成される焼成品を上記硫酸ピッチの中和に利用したことにより、上記硫酸ピッチの中和処理は、セメント系固化剤などそれ自体が本来有用性ありとされている物質を用いないようにでき、つまり、上記廃棄物の焼成品の有効利用により、本来有用性のある物質の消費が防止できる。
【0015】
また、第2の「効果」が生じる。即ち、上記硫酸ピッチの酸性度は極めて高く、一方、この硫酸ピッチの酸性を中和しようとする焼成品は、その性質上、アルカリ性であり、かつ、化学的に安定した物質である。このため、上記したように硫酸ピッチの酸性を焼成品により中和するということは、技術上、合理的に達成される。
【0016】
しかも、上記焼成品は、その性質上、硬化性を有している。このため、上記硫酸ピッチと焼成品とを混合して中和した後の混合物を、例えば、埋め立てにより廃棄処分したとしても、地盤の無用な軟弱化が防止される。よって、上記混合物のその後の処分が、環境悪化などの不都合を生じることなく容易にできる。
【0017】
請求項2の発明は、上記硫酸ピッチと焼成品との混合物における油分が多い場合には、この混合物を焼成して焼成品とし、この焼成品を上記硫酸ピッチに混合させるようにしている。
【0018】
このため、中和された混合物における油分が埋め立て処分などの次工程で無用に拡散させられる、ということが、より確実に防止される。よって、硫酸ピッチに基づく環境汚染の拡大が、より確実に防止される。
【0019】
請求項3の発明は、上記混合物に中和剤を混合させるようにしている。
【0020】
このため、上記硫酸ピッチの中和につき、焼成品が不足する場合には、上記中和剤を混合させることにより、上記焼成品の所望の中和が、より確実に達成される。
【0021】
請求項4の発明は、硫酸ピッチと、廃棄物の焼成品とを収容してこれらを混合する混合機と、硫酸ピッチを収容してその上端に開口を有する容器を、上記開口が下方に向かうよう傾斜姿勢にさせて上記容器内の硫酸ピッチを上記混合機に投入可能とする投入機と、上記傾斜姿勢の容器内における固形状硫酸ピッチを解砕可能とする固形物解砕機とを備えている。
【0022】
このため、前記[請求項1]に基づく第1、第2の「効果」と同様の効果が生じる。
【0023】
また、上記容器に収容された硫酸ピッチに固形状の部分があるとしても、上記固形物解砕機により小片に破砕されて、容器からの排出が、より確実に達成される。よって、上記容器に硫酸ピッチが残るということが防止されると共に、小片とされた硫酸ピッチと焼成品との混合がより十分になされて、硫酸ピッチの中和処理が、より確実に達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の硫酸ピッチ処理方法に関し、それ自体が本来有用性ありとされている物質を用いることを抑制できるよう、本来、廃棄物の焼成品を利用して、酸性度が極めて高い硫酸ピッチの中和処理が、技術上、合理的に達成されるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、硫酸ピッチと、廃棄物の焼成品とを混合して上記硫酸ピッチの酸性を中和するようにしている。
【実施例】
【0025】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0026】
図において、符号1は、硫酸ピッチ2を中和など処理する硫酸ピッチ処理装置である。
【0027】
上記硫酸ピッチ処理装置1には、廃棄物3の焼成品4を貯留する貯留槽5と、中和剤6を貯留する貯留槽7と、上記硫酸ピッチ処理装置1の外部から上記焼成品4と中和剤6とを受け入れ可能とする受け入れホッパ9と、この受け入れホッパ9内の焼成品4もしくは中和剤6を上記貯留槽5,7のいずれかに選択的に搬送して投入する搬送装置10とが設けられている。
【0028】
上記廃棄物3は一般廃棄物や産業廃棄物である。また、上記焼成品4は、上記廃棄物3を焙焼炉12(もしくは焼却炉)により焼成したものである。上記廃棄物3を焙焼炉12により1200−1300℃に加熱すると、ガラス状に溶融するが、このようにガラス状になる直前の1000−1100℃、好ましくは、ほぼ1050℃まで加熱して焼成した後、これを冷却すれば、粉粒状の焼成品4が生成される。
【0029】
上記焼成品4は、pHが約11程度のアルカリ性であって、セメントよりも劣るが硬化性(水硬性)を有している。具体的には、この焼成品4は、SiOが10−20重量%、CaOが20−30重量%、Alが7−12重量%、Feが3−5重量%、Clが5−7重量%、Pが3−4重量%、SOが7−11重量%、その他、PbO、Cr、Cdなどを含有し、化学的に極めて安定した物質である。また、上記中和剤6は消石灰(Ca(OH))などである。
【0030】
固形化した硫酸ピッチ2を破砕する破砕機14と、この破砕機14内に向けて硫酸ピッチ2を案内するホッパ15と、上記破砕機14を通過した硫酸ピッチ2と、上記焼成品4と、中和剤6とを収容して、これら2,4,6を混合、攪拌(混練)する混合機16とが設けられている。
【0031】
上記混合機16は、軸心17が縦向きの有底で円筒形状のケーシング18と、このケーシング18に内有され、上記軸心17回りに回動可能となるよう上記ケーシング18に支持されるロータ19と、このロータ19を駆動する電動機20と、上記ケーシング18の底部に形成された排出口21を開閉可能とするゲート式のバルブ22とを備えている。
【0032】
上記ロータ19の回動により、上記ケーシング18内の硫酸ピッチ2、焼成品4、および中和剤6による混合物24が混練される。この混合物24は上記排出口21と開弁動作したバルブ22とを通して外部に排出可能とされる。
【0033】
軸心25が縦方向に延び、その上端に開口26を有する円筒形状の容器27が複数設けられ、これら容器27に硫酸ピッチ2が収容されている。具体的には、上記各容器27はドラム缶である。これら容器27を上記ホッパ15よりも「下方域」からこのホッパ15よりも「上方域」にまで上昇させ、そこで、上記容器27内の硫酸ピッチ2を上記ホッパ15と破砕機14とを通し、上記混合機16に投入可能とさせる投入機29が設けられている。
【0034】
上記投入機29により、容器27は次のように作動させられる。即ち、上記「下方域」に位置した容器27(図1中一点鎖線)が平行移動するよう上記「上方域」にまで上昇Aさせられる。そこで、この容器27は傾動Bさせられて、その開口26が上記ホッパ15の上方に位置するよう、かつ、その軸心25がほぼ水平となるよう第1傾斜姿勢(各図中実線)とされる。次に、上記容器27は、更に傾動Cさせられて、その開口26が上記ホッパ15内に入り込むよう、かつ、軸心25が斜め下方に向かうよう第2傾斜姿勢(図1中二点鎖線)とされる。そして、上記容器27が第1、第2傾斜姿勢とされることにより、この容器27に収容されていた硫酸ピッチ2が上記ホッパ15内に投入される。次に、上記容器27は、上記したのとは逆の動作により、元の「下方域」に戻される(図1中一点鎖線)。
【0035】
上記硫酸ピッチ2を収容した容器27を「下方域」の外側方からこの「下方域」に順次送り込む送り込みコンベア31と、上記「下方域」からその外側方に向かって空の容器27を順次送り出す送り出しコンベア32とが設けられている。
【0036】
上記貯留槽5に貯留されている焼成品4を上記混合機16に投入可能とする投入機34が設けられ、この投入機34はロータリバルブである。上記貯留槽7に貯留されている中和剤6を上記混合機16に投入可能とする投入機35が設けられている。この投入機35はロータリバルブとスクリューコンベアとを備えている。一方、上記混合機16から、そのバルブ22を通し排出される混合物24をコンテナ37にまで搬送する搬送コンベア38が設けられている。
【0037】
上記第1傾斜姿勢の容器27内における固形状の硫酸ピッチ2を、小片となるよう解砕可能とする固形物解砕機40が設けられている。
【0038】
上記固形物解砕機40は、上記第1傾斜姿勢における容器27の軸方向に延びて建物など静止側部材に支持されるガイド体41と、このガイド体41に案内され、上記容器27の軸方向で上記容器27に向かって往、復移動D,E可能とされる可動台42と、上記容器27のほぼ軸心25回りに回転するよう、かつ、上記容器27の開口26に向かって突出するよう上記可動台42に支持され、この可動台42と共に往、復移動D,E可能とされる回転軸43と、この回転軸43の突出端に支持され、この回転軸43と共に回転して上記容器27内における固形状の硫酸ピッチ2に衝撃力を与えてこれを解砕可能とする解砕体45と、上記回転軸43を駆動させる電動機であるアクチュエータ46とを備えている。上記解砕体45は種々のものが選択可能であり、上記回転軸43に着脱可能に取り付けられる。
【0039】
また、上記第2傾斜姿勢における容器27の内部に向かって水48を噴射し、この内部を水洗する噴射ノズル49が設けられている。
【0040】
上記硫酸ピッチ処理装置1による硫酸ピッチ2の処理作業につき説明する。
【0041】
まず、硫酸ピッチ2が収容された容器27が、上記投入機29によって送り込みコンベア31上から上昇Aさせられ、かつ、傾動Bさせられて第1傾斜姿勢(各図中実線)とされる。すると、上記容器27内の硫酸ピッチ2が上記ホッパ15を通し破砕機14に投入され始める。ここで、上記回転軸43と解砕体45とが回転させられ、かつ、上記可動台42と共に往移動Dされて、上記容器27内における固形状の硫酸ピッチ2が解砕される。そして、解砕されて小片とされた硫酸ピッチ2が上記ホッパ15を通し破砕機14に投入される。
【0042】
次に、上記投入機29により、上記容器27が更に傾動Cされて第2傾斜姿勢(図1中二点鎖線)とされる。すると、上記容器27内の硫酸ピッチ2のほぼ全てが上記ホッパ15を通し破砕機14に投入される。また、ここで、上記噴射ノズル49により上記容器27内に水48が噴射される。すると、上記容器27内の硫酸ピッチ2が上記水48と共に上記破砕機14に投入される。
【0043】
上記容器27内の硫酸ピッチ2の破砕機14への投入が完了すれば、空の容器27は上記投入機29により元の位置に戻され(図1中一点鎖線)、ここで、送り出しコンベア32に載置されて、次工程に送り出される。次に、上記送り込みコンベア31上の次の容器27につき、前記と同様の作業が繰り返される。
【0044】
上記破砕機14に投入された硫酸ピッチ2は、更に小片となるよう破砕されて上記混合機16に投入される。一方、上記各投入機34,35の作動により上記焼成品4と中和剤6とが上記混合機16に投入される。そして、上記混合機16により上記硫酸ピッチ2、焼成品4、中和剤6、および水48による混合物24が混練される。このようにして、上記焼成品4と中和剤6とにより硫酸ピッチ2の酸性が中和される。この中和は、混合物24のpHが5.5−8.5であることが好ましく、6.7−7.5、更にはほぼ7であることがより好ましい。なお、硫酸ピッチ2の酸性を中和する上で、上記中和剤6よりも焼成品4の投入が優先される。このため、硫酸ピッチ2に対する焼成品4の量が十分にあるならば、その分、上記中和剤6はより少量、もしくは不投入とされる。
【0045】
上記硫酸ピッチ2につき所望の中和が完了すれば、上記バルブ22が開弁動作されて、上記混合機16内の混合物24が排出され、搬送コンベア38により搬送される。ここで、上記混合物24における油分が多くて、例えば、その質量%がほぼ5以上の場合には、この混合物24は焙焼炉12(もしくは焼却炉)により焼成されて焼成品4とされる。この焼成品4は前記と同様に上記貯留槽5に貯留され、上記硫酸ピッチ2の中和に利用される。一方、上記混合物24の油分が少ない場合には、コンテナ37に貯留される。そして、このコンテナ37内の混合物24は、埋め立てにより廃棄処理される。なお、上記油分が多い混合物24の焼成品4は、その一部もしくは全部を埋め立てなど廃棄処理してもよく、土木材料などに再利用してもよい。また、上記混合物24は、焼成炉で焼却して埋め立てなど廃棄処理してもよい。
【0046】
上記構成によれば、硫酸ピッチ2と、廃棄物3の焼成品4とを混合して上記硫酸ピッチ2の酸性を中和するようにしている。
【0047】
このため、第1の「効果」が生じる。即ち、上記廃棄物3により生成される焼成品4を上記硫酸ピッチ2の中和に利用したことにより、上記硫酸ピッチ2の中和処理は、セメント系固化剤などそれ自体が本来有用性ありとされている物質を用いないようにでき、つまり、上記廃棄物3の焼成品4の有効利用により、本来有用性のある物質の消費が防止できる。
【0048】
また、第2の「効果」が生じる。即ち、上記硫酸ピッチ2の酸性度は極めて高く、一方、この硫酸ピッチ2の酸性を中和しようとする焼成品4は、その性質上、アルカリ性であり、かつ、化学的に安定した物質である。このため、上記したように硫酸ピッチ2の酸性を焼成品4により中和するということは、技術上、合理的に達成される。
【0049】
しかも、上記焼成品4は、その性質上、硬化性を有している。このため、上記硫酸ピッチ2と焼成品4とを混合して中和した後の混合物24を、例えば、埋め立てにより廃棄処分したとしても、地盤の無用な軟弱化が防止される。よって、上記混合物24のその後の処分が、環境悪化などの不都合を生じることなく容易にできる。
【0050】
また、前記したように、硫酸ピッチ2と焼成品4との混合物24における油分が多い場合には、この混合物24を焼成して焼成品4とし、この焼成品4を上記硫酸ピッチ2に混合させるようにしている。
【0051】
このため、中和された混合物24における油分が埋め立て処分などの次工程で無用に拡散させられる、ということが、より確実に防止される。よって、硫酸ピッチ2に基づく環境汚染の拡大が、より確実に防止される。
【0052】
また、前記したように、混合物24に中和剤6を混合させるようにしている。
【0053】
このため、上記硫酸ピッチ2の中和につき、焼成品4が不足する場合には、上記中和剤6を混合させることにより、上記焼成品4の所望の中和が、より確実に達成される。
【0054】
また、前記したように、硫酸ピッチ処理装置1は、硫酸ピッチ2と、廃棄物3の焼成品4とを収容してこれらを混合する混合機16と、硫酸ピッチ2を収容してその上端に開口26を有する容器27を、上記開口26が下方に向かうよう傾斜姿勢にさせて上記容器27内の硫酸ピッチ2を上記混合機16に投入可能とする投入機29と、上記傾斜姿勢の容器27内における固形状硫酸ピッチ2を解砕可能とする固形物解砕機40とを備えている。
【0055】
このため、前記第1、第2の「効果」と同様の効果が生じる。
【0056】
また、上記容器27に収容された硫酸ピッチ2に固形状の部分があるとしても、上記固形物解砕機40により小片に破砕されて、容器27からの排出が、より確実に達成される。よって、上記容器27に硫酸ピッチ2が残るということが防止されると共に、小片とされた硫酸ピッチ2と焼成品4との混合がより十分になされて、硫酸ピッチ2の中和処理が、より確実に達成される。
【0057】
なお、以上は図示の例によるが、焼成品4は一般廃棄物のみ、もしくは産業廃棄物のみを焼成したものであってもよい。また、硫酸ピッチ2が固形状でない場合には、破砕機14はなくてよい。また、上記混合機16は、そのケーシング18やロータ19の軸心17を横向きとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図2の部分拡大詳細図である。
【図2】硫酸ピッチ処理装置の全体簡略線図である。
【符号の説明】
【0059】
1 硫酸ピッチ処理装置
2 硫酸ピッチ
3 廃棄物
4 焼成品
6 中和剤
12 焙焼炉
14 破砕機
15 ホッパ
16 混合機
24 混合物
25 軸心
26 開口
27 容器
29 投入機
40 固形物解砕機
A 上昇
B 傾動
C 傾動
D 往移動
E 復移動

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸ピッチと、廃棄物の焼成品とを混合して上記硫酸ピッチの酸性を中和するようにしたことを特徴とする硫酸ピッチ処理方法。
【請求項2】
上記硫酸ピッチと焼成品との混合物における油分が多い場合には、この混合物を焼成して焼成品とし、この焼成品を上記硫酸ピッチに混合させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の硫酸ピッチ処理方法。
【請求項3】
上記混合物に中和剤を混合させるようにしたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の硫酸ピッチ処理方法。
【請求項4】
硫酸ピッチと、廃棄物の焼成品とを収容してこれらを混合する混合機と、硫酸ピッチを収容してその上端に開口を有する容器を、上記開口が下方に向かうよう傾斜姿勢にさせて上記容器内の硫酸ピッチを上記混合機に投入可能とする投入機と、上記傾斜姿勢の容器内における固形状硫酸ピッチを解砕可能とする固形物解砕機とを備えたことを特徴とする硫酸ピッチ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−185642(P2007−185642A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−8007(P2006−8007)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【出願人】(501089601)三重中央開発株式会社 (7)
【Fターム(参考)】